JP2003314918A - 極低温冷凍機 - Google Patents

極低温冷凍機

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JP2003314918A JP2002151592A JP2002151592A JP2003314918A JP 2003314918 A JP2003314918 A JP 2003314918A JP 2002151592 A JP2002151592 A JP 2002151592A JP 2002151592 A JP2002151592 A JP 2002151592A JP 2003314918 A JP2003314918 A JP 2003314918A
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spiral groove
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Tomio Nishitani
富雄 西谷
Yoshio Maruno
善生 丸野
Hiromitsu Ura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第2シリンダ2と第2ディスプレーサ4との
間のクリアランスの範囲を広く設定しながらも冷凍性能
が高く、品質管理が容易なディスプレーサのシール機構
を提供する。 【解決手段】 各シリンダ1・2内に第1ディスプレー
サ3と第2ディスプレーサ4をそれぞれ収容して駆動手
段10で往復連動可能に構成し、第1シリンダ1のガス
出入口5にガス通路6の切換弁7を介して圧縮機8を連
通連結する。第2ディスプレーサ4の第1シリンダ寄り
の基端側部分4aをクリアランスシール機構とし、その
クリアランスシール機構の寸法Lを第2ディスプレーサ
4の往復ストローク範囲を超える寸法Lに設定し、第2
ディスプレーサ4の残余部分4bに螺旋溝16を凹設す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2段構成で極低温
を得るのに適した極低温冷凍機に関し、特に第2ディス
プレーサのシール構造に関する。
【0002】
【技術の背景】この種の極低温冷凍機は以下の基本構成
を備える(図2参照)。ここで図2(A)は極低温小型
冷凍機の概要を示す縦断面図、図2(B)はその冷凍機
の作動工程図であり、図2(B)中の符号Vは後述する
膨張室の容積を、Pはその膨張室内の圧力を、1〜4は
作動工程順を、それぞれ示す。
【0003】この種の極低温冷凍機は、第1シリンダ1
と第2シリンダ2とを直列に設け、上記各シリンダ1・
2内に第1ディスプレーサ3と第2ディスプレーサ4を
それぞれ収容して駆動手段10で往復連動可能に構成
し、上記第1シリンダ1のガス出入口5にガス通路6の
切換弁7を介して圧縮機8を連通連結し、圧縮機8で圧
縮した冷媒ガスを第1ディスプレーサ3内、第1シリン
ダ下部の第1膨張室11、第2ディスプレーサ4内、第
2シリンダ下部の第2膨張室12へ順に圧送するように
構成されている。
【0004】この極低温冷凍機は、以下のように4つの
工程で作動する。工程1で各ディスプレーサ3・4が上
方へ移動する。工程2で上記切換弁7が減圧側に切り替
わり、各シリンダ1・2の膨張室11・12内は低圧に
なり、断熱膨張により冷媒ガスの温度が低下する。工程
3で各ディスプレーサ3・4が下方へ移動する。工程4
で上記切換弁7が高圧側に切り替わり、各シリンダ1・
2の膨張室11・12内は高圧になる。この運転サイク
ルは反復して実行され、運転サイクルの反復により冷却
が進むこととなる。
【0005】
【従来の技術】ところで、上記極低温冷凍機において、
所望の冷凍性能を得るためには、上記各シリンダと各デ
ィスプレーサとの間のシール機構が重要である。このシ
ール機構としては、従来より例えば図6に示すもので特
開平7−324831号に開示されたものが知られてい
る。
【0006】この従来例は、図6に示すように、第2デ
ィスプレーサ4の外周面に螺旋溝16を凹設し、第1シ
リンダ下部の第1膨張室11と第2シリンダ下部の第2
膨張室12とを、第2ディスプレーサ4内の冷媒ガス通
路15以外に上記螺旋溝16で連通し、この螺旋溝16
を介して一定量の冷媒ガスを流すように構成されてい
る。
【0007】なお、図6中の第2シリンダ2及び第2デ
ィスプレーサ4を構成する本体13は、ステンレス製の
筒体で構成され、その本体13の外周に耐摩耗性樹脂部
材14(例えばPTFE)が固着され、上記螺旋溝16
はその耐摩耗性樹脂部材14に凹設されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例において所望の冷凍性能を得るには、例えば図3
(B)に示すように、第2シリンダ2と第2ディスプレ
ーサ4との間隙(クリアランス)を所定の狭い範囲に設
定する必要があるため、製造時の品質管理が容易でな
く、コストが高くつくという問題があった。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、上記クリアランスの範囲を従
来例よりも広く設定しながらも冷凍性能が高く、品質管
理が容易なディスプレーサのシール機構を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による極低温冷凍
機は、以下の基本構成を備える。即ち、第1シリンダ1
と第2シリンダ2とを直列に設け、上記各シリンダ1・
2内にそれぞれ第1ディスプレーサ3と第2ディスプレ
ーサ4をそれぞれ収容して駆動手段10で往復連動可能
に構成し、上記第1シリンダ1のガス出入口5にガス通
路6の切換弁7を介して圧縮機8を連通連結し、圧縮時
には圧縮機8で圧縮した冷媒ガスを第1ディスプレーサ
3内、第1シリンダ下部の第1膨張室11、第2ディス
プレーサ4内、第2シリンダ下部の第2膨張室12へ順
に圧送し、減圧時には冷媒ガスを逆順路で圧縮機8へ還
流させるように構成する。
【0011】上記課題を解決するために、請求項1に記
載の発明は、上記基本構成を備える極低温冷凍機におい
て、例えば図1に示すように、上記第2ディスプレーサ
4の第1シリンダ寄りの基端側部分4aをクリアランス
シール機構とし、そのクリアランスシール機構の寸法L
を当該第2ディスプレーサ4の往復ストローク範囲を超
える寸法Lに設定するとともに、第2ディスプレーサ4
の残余部分4bに螺旋溝16を凹設したことを特徴とす
る。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の極低温冷凍機において、例えば図4に示すように、上
記第2ディスプレーサ4の外周面を耐摩耗性樹脂材料1
4で覆うとともに、上記螺旋溝16の開口端の寸法cを
当該螺旋溝の幅bよりも狭くしたことを特徴とする。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請
求項2に記載の極低温冷凍機において、例えば図5
(B)(C)に示すように、上記螺旋溝16の断面積
を、クリアランスシール側では相対的に小さく、先端側
では大きくしたことを特徴とする。
【0014】
【発明の作用・効果】本発明によれば、以下の作用・効
果を奏する。 (イ)請求項1に記載の発明では、前記基本構成を備え
る極低温冷凍機において、上記第2ディスプレーサ4の
第1シリンダ寄りの基端側部分4aをクリアランスシー
ル機構とし、そのクリアランスシール機構の寸法Lを当
該第2ディスプレーサ4の往復ストローク範囲を超える
寸法Lに設定するとともに、第2ディスプレーサ4の残
余部分4bに螺旋溝16を凹設したことから、例えば図
3(A)に示すように、第2シリンダ2と第2ディスプ
レーサ4とのクリアランスの範囲を従来例(図3
(B))よりも広く設定した場合でも所要の冷凍性能が
得られる。これにより製造時の品質管理が容易になり、
極低温冷凍機を安価に製造することができる。
【0015】これは第2ディスプレーサ4の基端側部分
4aをクリアランスシール機構とし、そのクリアランス
シール機構の寸法Lを当該第2ディスプレーサ4の往復
ストローク範囲を超える寸法Lに設定したことから、そ
の第1シリンダ寄りの基端側部分4aのシール性能がア
ップするとともに、螺旋溝16に流れる冷媒ガスが第2
ディスプレーサ4の先端側(下端側)から基端側部分へ
向かって流れ、螺旋溝16と冷媒ガスの間に生じるサー
フェスヒートポンピング作用(第2ディスプレーサ4の
先端側(下端側)から基端側(上端側)へ熱を運ぶ作
用)を奏するためと推測される。
【0016】(ロ)請求項2に記載の発明では、請求項
1に記載の極低温冷凍機において、上記第2ディスプレ
ーサ4の外周面を耐摩耗性樹脂材料14で覆うととも
に、上記螺旋溝16の開口端の寸法cを当該螺旋溝16
の幅bよりも狭くしたことから、当該螺旋溝16内を第
2ディスプレーサ4の先端側(下端側)から基端側部分
へ向かって流れる冷媒ガスの流れを妨げることなく、螺
旋溝16内を流れる冷媒ガスのサーフェスヒートポンピ
ング作用(第2ディスプレーサ4の先端側(下端側)か
ら基端側(上端側)へ熱を運ぶ作用)を奏する。他方、
螺旋溝16に沿って流れる冷媒ガスとシリンダーの熱交
換に伴うシャトルヒート損失(サーフェスヒートポンピ
ング作用とは逆向きへ熱を運ぶ作用)を減らすことが可
能になる。これにより、一層冷凍性能を高めることがで
きる。
【0017】(ハ)請求項3に記載の発明では、請求項
1又は請求項2に記載の極低温冷凍機において、例えば
図5(B)(C)に示すように、上記螺旋溝16の断面
積を、クリアランスシール側では相対的に小さく、先端
側では大きくしたので、断面積が相対的に小さい螺旋溝
では、大きい螺旋溝よりも、第2ディスプレーサ4の先
端側(下端側)から基端側部分へ向かって流れる冷媒ガ
スの粘性抵抗が大きくなり、流れ辛くなる。この結果、
全体が同じ断面積の螺旋溝にくらべ、クリアランスシー
ル側の断面積を相対的に小さく、先端側の断面積を大き
くした螺旋溝では、大きな螺旋溝中を冷媒ガスが流れる
のが遅れる。これはサーフェスヒートポンピング作用を
より強める効果があり、より性能を向上することができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、極低温冷凍機であるギ
フォード・マクマホン冷凍機(以下、GM冷凍機と略記
する)やスターリング冷凍機、ソルベイ冷凍機に適用さ
れるが、以下、本発明の実施形態をGM冷凍機を例に添
付図面を参照しつつ説明する。ここで、図1(A)は本
発明の実施形態に係るGM冷凍機の要部の縦断面図、図
1(B)は図1(A)中の要部の拡大図である。
【0019】この冷凍機は、図2に示す前記基本構成を
備え、4つの工程で作動する。即ち、第1シリンダ1と
第2シリンダ2とを直列に設け、上記各シリンダ1・2
内に第1ディスプレーサ3と第2ディスプレーサ4をそ
れぞれ往復動可能に収容して駆動手段10で連動可能に
構成し、上記第1シリンダ1のガス出入口5にガス通路
6の切換弁7を介して圧縮機8を連通連結して成り、工
程1で駆動手段10により第1ディスプレーサ3と第2
ディスプレーサ4が復動(上昇)し、工程2の減圧時に
は冷媒ガスを第2シリンダ下部の第2膨張室12、第2
ディスプレーサ4内、第1シリンダ下部の第1膨張室1
1、第1ディスプレーサ3内へ順に圧縮機8へ還流さ
せ、工程3で第1ディスプレーサ3と第2ディスプレー
サ4が往動(下降)し、工程4の圧縮時には圧縮機8で
圧縮した冷媒ガスを逆順路で圧送させるように構成さ
れ、この運転サイクルを反復して実行することにより、
極低温(4K)が得られるように構成されている。
【0020】上記第1シリンダ1と第1ディスプレーサ
3及び上記第2シリンダ2と第2ディスプレーサ4を構
成する筒体は、いずれも線膨張率が等しくなるようにス
テンレス鋼で構成され、各ディスプレーサ3・4の内部
には、冷媒ガス通路15が形成され、この冷媒ガス通路
内15内に蓄冷材25が充填されている。この蓄冷材2
5としては、ステンレス金網、銅金網、鉛球等が充填さ
れ、特に高い冷却性能が求められる第2ディスプレーサ
4の蓄冷材25として磁性蓄冷材が用いられる。
【0021】上記第1ディスプレーサ3と第2ディスプ
レーサ4は、連結ピン20により連動可能に連結されて
いる。なお、図2中の符号21・22は第1ディスプレ
ーサ3のガス出入口、23・24は第2ディスプレーサ
4のガス出入口、26・27は冷熱取出部を示す。ま
た、図1中の符号28・29は上記ガス出入口26・2
7を有する止端部材、30はパンチングメタル、31は
金網、32はフェルト部材、をそれぞれ示す。
【0022】以下、本発明の特徴をなす構成について説
明する。図1(A)は本発明の実施形態に係る要部の縦
断面図、図1(B)は図1(A)中の要部の拡大図であ
る。本発明では、図1(A)に示すように、第2ディス
プレーサ4の第1シリンダ寄りの基端側部分4aをクリ
アランスシール機構とし、そのクリアランスシール機構
の寸法Lを当該第2ディスプレーサ4の往復ストローク
範囲を超える寸法Lに設定するとともに、第2ディスプ
レーサ4の残余部分4bに螺旋溝16を凹設してある。
従来例で第2ディスプレーサ4の外周面に凹設した螺旋
溝16が両端を連通するように構成した場合のガス熱交
換通路構造とは異なる原理によるものである。
【0023】これは第2シリンダ2と第2ディスプレー
サ4とのクリアランスの範囲を従来例(図6)よりも広
く設定した場合でも、所要の冷凍性能が得られるように
意図したものである。これにより製造時の品質管理が容
易になり、極低温冷凍機を安価に製造することができ
る。これは第2ディスプレーサ4の基端側部分4aをク
リアランスシール機構とし、その寸法Lを当該第2ディ
スプレーサ4の往復作動の範囲を超える寸法に設定する
ことにより、その基端側部分4aのシール性能がアップ
したためである。
【0024】上記第2ディスプレーサ4は、その外周面
が耐摩耗性樹脂材料14で覆われ、この耐摩耗性樹脂材
料は例えばテフロン(登録商標)系の樹脂材料から成
り、その膜圧は略30μmに設定されている。また、上
記螺旋溝16は第2ディスプレーサ4の残余部分4bに
凹設してあり、その螺旋溝16の基端部はリング溝17
に連接してある。これは螺旋溝16の切設加工を容易に
するためである。ちなみに、上記螺旋溝16のピッチ2
bは略4mmに設定され、その溝幅bは略2mm、溝の
深さdは略1mmに設定されている。
【0025】図3は各種極低温冷凍機の性能試験結果を
示すグラフで、図3(A)は本発明に係る上記実施形態
の性能を、図3(B)は従来例の性能を、図3(C)は
第2ディスプレーサ全体がクリアランスシール機構の場
合の性能を、それぞれ示す。いずれも横軸に第2シリン
ダ2と第2ディスプレーサ4とのクリアランスを、縦軸
に第2ディスプレーサ4の冷熱取出部27の温度(2段
温度と同義)を示す。
【0026】これらの性能試験結果を対比すれば、図3
(A)に示すように、本発明を適用することにより、第
2シリンダ2と第2ディスプレーサ4とのクリアランス
の範囲を、従来例(図3(B))やクリアランススシー
ルの場合よりも広く設定した場合でも所要の冷凍性能が
得られることが判明した。これにより製造時の品質管理
が容易になり、極低温冷凍機を安価に製造することがで
きる。
【0027】図4は螺旋溝の変形例を示す図1(B)相
当図である。この変形例は、上記第2ディスプレーサ本
体13の外周面に、例えばステンレス材等の外筒13a
を固着し、この外筒13aを耐摩耗性樹脂材料14で覆
うとともに、上記螺旋溝16の開口端の寸法cを当該螺
旋溝16の幅寸法bよりも狭くしたものである。この変
形例によれば、当該螺旋溝16内の冷媒ガスの流れを妨
げることなく、螺旋溝16内を流れる冷媒ガスのサーフ
ェスヒートポンピング作用(第2ディスプレーサ4の先
端側(下端側)から基端側(上端側)へ熱を運ぶ作用)
を奏する。他方、シャトルヒート損失(これとは逆向き
へ熱を運ぶ作用)を減らすことが可能になる。これによ
り、一層冷凍性能を高めることができる。
【0028】図5は上記螺旋溝の配列の変形例を示す第
2ディスプレーサの外形図で、図5(A)は図1(A)
中のリング溝17がないものを示し、図5(B)(C)
は上記螺旋溝16の断面積を、基端側部分4aに近い側
の螺旋溝16aでは相対的に小さく、先端側の螺旋溝1
6bでは大きくしたものを示す。ただし、図5(B)は
両螺旋溝16a・16bの配列ピッチが同じものを示
し、図5(C)は両螺旋溝16a・16bの配列ピッチ
が異なるものを示す。
【0029】上記のように、螺旋溝16の断面積を、基
端側部分4aに近い側の螺旋溝16aを相対的に小さ
く、先端側の螺旋溝16bを大きくした場合には、下記
のような利点がある。断面積が相対的に小さい螺旋溝で
は、大きい螺旋溝よりも、第2ディスプレーサ4の先端
側(下端側)から基端側部分へ向かって流れる冷媒ガス
の粘性抵抗が大きくなり、流れ辛くなる。この結果、全
体が同じ断面積の螺旋溝にくらべ、クリアランスシール
側の断面積を相対的に小さく、先端側の断面積を大きく
した螺旋溝では、大きな螺旋溝中を冷媒ガスが流れるの
が遅れる。これはサーフェスヒートポンピング作用をよ
り強める効果があり、より性能を向上することができ
る。
【0030】本発明に係る極低温冷凍機は、上記のGM
冷凍機に限らず、スターリング冷凍機やソルベイ冷凍機
に適用することができる。また、この発明は上記の実施
形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を変更
しない範囲内において、種々の設計変更を施すことが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る極低温冷凍機の要部
の縦断面図、図1(B)は図1(A)中の要部の拡大図
である。
【図2】図2(A)は極低温冷凍機の縦断面図、図2
(B)はその冷凍機の作動工程図である。
【図3】各種極低温冷凍機の性能試験結果を示すグラフ
で、図3(A)は本発明に係る上記実施形態の性能を、
図3(B)は従来例の性能を、図3(C)は第2ディス
プレーサがクリアランスシール機構を有する場合の性能
をそれぞれ示す。
【図4】本発明に係る螺旋溝の変形例を示す図1(B)
相当図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、それぞれ本発明に
係る螺旋溝の配列の変形例を示す第2ディスプレーサの
外形図である。
【符号の説明】
1…第1シリンダ、2…第2シリンダ、3…第1ディス
プレーサ、4…第2ディスプレーサ、4a…第2ディス
プレーサの基端側部分、4b…第2ディスプレーサの残
余部分、5…ガス出入口、6…ガス通路、7…切換弁、
8…圧縮機、10…駆動手段、11…第1膨張室、12
…第2膨張室、14…耐摩耗性樹脂材料、16…螺旋
溝、b…螺旋溝の幅、c…螺旋溝の開口端の寸法、L…
クリアランスシール機構の寸法。
【手続補正書】
【提出日】平成14年6月25日(2002.6.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る極低温冷凍機の要部
の縦断面図、図1(B)は図1(A)中の要部の拡大図
である。
【図2】図2(A)は極低温冷凍機の縦断面図、図2
(B)はその冷凍機の作動工程図である。
【図3】各種極低温冷凍機の性能試験結果を示すグラフ
で、図3(A)は本発明に係る上記実施形態の性能を、
図3(B)は従来例の性能を、図3(C)は第2ディス
プレーサがクリアランスシール機構を有する場合の性能
をそれぞれ示す。
【図4】本発明に係る螺旋溝の変形例を示す図1(B)
相当図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、それぞれ本発明に
係る螺旋溝の配列の変形例を示す第2ディスプレーサの
外形図である。
【図6】従来例に係る極低温冷凍機の図1(A)相当図
である。
【符号の説明】 1…第1シリンダ、2…第2シリンダ、3…第1ディス
プレーサ、4…第2ディスプレーサ、4a…第2ディス
プレーサの基端側部分、4b…第2ディスプレーサの残
余部分、5…ガス出入口、6…ガス通路、7…切換弁、
8…圧縮機、10…駆動手段、11…第1膨張室、12
…第2膨張室、14…耐摩耗性樹脂材料、16…螺旋
溝、b…螺旋溝の幅、c…螺旋溝の開口端の寸法、L…
クリアランスシール機構の寸法 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月26日(2002.9.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 極低温冷凍機
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2段構成で極低温
を得るのに適した極低温冷凍機に関し、特に第2ディス
プレーサのシール構造を改善した極低温冷凍機に関す
る。
【0002】この種の極低温冷凍機は以下の基本構成を
備えている(図2参照)。ここで図2(A)は極低温小
型冷凍機の概要を示す縦断面図、図2(B)はその冷凍
機の作動工程図であり、図2(B)中の符号Vは後述す
る膨張室の容積を、Pはその膨張室内の圧力を、1〜4
は作動工程順を、それぞれ示す。
【0003】この種の極低温冷凍機は、第1ディスプレ
ーサ3を内蔵する第1シリンダ1と、上記第4ディスプ
レーサ3と連動する第2ディスプレーサ4を内蔵する第
2シリンダ2とが直列に形成されている。上記第1、2
ディスプレーサ3、4は駆動手段10により往復動され
るように構成されており、上記第1シリンダ1のガス出
入口5と圧縮機8との間に、切換弁7を備えてなるガス
通路6が介装されている。そして、圧縮機8で圧縮され
冷媒ガスガス出入口5に流入すると共に、ガス出入
口5に流入した冷媒ガスは第1ディスプレーサ3内、第
1シリンダ下部の第1膨張室11内、第2ディスプレー
サ4内、第2シリンダ下部の第2膨張室12の順に流入
するように構成されている。
【0004】この極低温冷凍機は、以下のように4つの
工程で作動する。工程1で各ディスプレーサ34が上
方へ移動する。工程2で上記切換弁7が減圧側に切り
えられ、各シリンダ12の膨張室11,12内は低圧
になり、断熱膨張により冷媒ガスの温度が低下する。工
程3で各ディスプレーサ34が下方へ移動する。工程
4で上記切換弁7が圧縮側に切り換えられ、各シリンダ
2の膨張室11,12内は高圧になる。この運転サ
イクルは反復して実行され、運転サイクルの反復により
冷却が進むこととなる。
【0005】ところで、上記極低温冷凍機において、所
望の冷凍性能を得るためには、上記各シリンダと各ディ
スプレーサとの間のシール機構が重要である。このよう
な極低温冷凍機の第2ディスプレーサシール機構として
は、例えば、特開平7−324831号公報に開示され
ている。
【0006】以下、上記従来例に係る極低温冷凍機を、
その要部の縦断断面図の図6を参照しながら説明する。
即ち、第2ディスプレーサ4の外周面に螺旋溝16が周
設されている。そして、第1シリンダ下部の第1膨張室
11と第2シリンダ下部の第2膨張室12とは、第2デ
ィスプレーサ4内に形成された冷媒ガス通路15と、上
記螺旋溝16とで連通しており、この螺旋溝16を介し
て一定量の冷媒ガスを流すように構成されている。な
お、図6中における第2シリンダ2及び第2ディスプレ
ーサ4を構成する本体13はステンレス製の筒体により
構成され、その本体13の外周に、耐摩耗性樹脂筒体1
4(例えば、PTFE)が外装されており、上記螺旋溝
16はその、耐摩耗性樹脂筒体14に周設されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例において、
所望の冷凍性能を得るためには、例えば第2シリンダと
第2ディスプレーサとの間隙(クリアランス)と、2段
温度との関係説明図の図3(B)に示すように、第2シ
リンダと第2ディスプレーサとのクリアランスを所定の
狭い範囲内に設定する必要がある。そのため、製造時の
品質管理が容易でなく、コストが高くつくという問題が
あった。
【0008】本発明は、上記のような実情に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、上記クリアランスの範囲
が従来例よりも広く設定されているにもかかわらず冷凍
性能が優れ、品質管理が容易なディスプレーサを備えた
極低温冷凍機を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであって、本発明の請求項1
に係る極低温冷凍機は、第1ディスプレーサ3を内蔵す
る第1シリンダ1と、上記第1ディスプレーサ3と連動
する第2ディスプレーサ4を内蔵する第2シリンダ2と
が直列に形成され、上記第1、2ディスプレーサ3,4
を往復動させる駆動手段10が設けられ、上記第1シリ
ンダ1のガス出入口5と圧縮機8との間に、切換弁7を
備えてなるガス通路6が介装されるとともに、圧縮時に
は圧縮機8からガス出入口5に流入する冷媒ガスが第1
ディスプレーサ3内、第1シリンダ下部の第1膨張室1
1内、第2ディスプレーサ4内、第2シリンダ下部の第
2膨張室12の順に流入する一方、減圧時には冷媒ガス
が逆順路を経て上記ガス出入口5から流出するように構
成された極低温冷凍機において、上記第2ディスプレー
サ4の第1シリンダ寄りの基端側部分4aに、この第2
ディスプレーサ4のストローク範囲以上の寸法Lのクリ
アランスシール機構を形成し、この第2ディスプレーサ
4の上記クリアランスシール機構を除く残余部分4bの
外周に螺旋溝16を周設したことを特徴とする。
【0010】本発明の請求項2に係る極低温冷凍機は、
請求項1に記載の極低温冷凍機において、上記第2ディ
スプレーサ(4)の外周面に耐摩耗性樹脂層(14)を
形成させるとともに、上記螺旋溝(16)の開口溝幅
(c)を、この螺旋溝(16)の最大溝幅(b)よりも
狭くしたことを特徴とする。
【0011】本発明の請求項3に係る極低温冷凍機は、
請求項1又は2のうちの何れか1つの項に記載の極低温
冷凍機において、上記螺旋溝16の断面積を、上記クリ
アランスシール機構側よりも先端側を相対的に大きくし
たことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形熊に係る
極低温冷凍機を、極低温冷凍機がギフォード・マクマホ
ン冷凍機(以下、GM冷凍機という)である場合を例と
して、添付図面を参照しつつ説明する。図1(A)は本
発明の実施の形態に係るGM冷凍機の要部の縦断面図、
図1(B)は図1(A)中の要部の拡大図である。な
お、主要構成は、図2に示す従来例と同等であるから、
主要構成については図2も参照することとする。
【0013】先ず、GM冷凍機の全体構成を説明する。
即ち、第1ディスプレーサ3を内蔵する第1シリンダ1
の下部に、上記第1ディスプレーサ3の連結ピン20に
より連結された第2ディスプレーサ4を内蔵する第2シ
リンダ2の上端が固着されて一体形成されている。上記
第1ディスプレーサ3は駆動手段10で往復動され、こ
の第1ディスプレーサ3に連動して第2ディスプレーサ
4も往復動されるように構成されている。上記第1シリ
ンダ1のガス出入口5と圧縮機8との間には、切換弁7
を備えたガス通路6が介装されている。つまり、このガ
ス通路6は、切換弁7の切り換えにより、圧縮機8から
吐出される冷媒ガスをガス出入口5に流入させ、逆にこ
のガス出入口5から戻される冷媒ガスを圧縮機8のガス
吸込口に戻すものである。
【0014】冷媒ガスの圧縮時には、圧縮機8からガス
出入口5に流入する冷媒ガスが第1ディスプレーサ3
内、第1シリンダ下部の第1膨張室11内、第2ディス
プレーサ4内、第2シリンダ下部の第2膨張室12の順
に流入する。一方、冷媒ガスの減圧時には、冷媒ガスが
逆順路を経て上記ガス出入口5から流出する。このよう
な冷媒ガスの圧縮、減圧は駆動手段10による第1、2
ディスプレーサ3,4の往復動により行われ、このよう
な反復運転によって、極低温(4K)が得られるように
なっている。
【0015】上記第1シリンダ1、第1ディスプレーサ
3、第2シリンダ2、及び第2ディスプレーサ4を構成
する筒体は、何れも腺膨張が等しいステンレス鋼で構成
されている。各ディスプレーサ3,4の内部には空間状
のガス通路15が形成されており、そしてこれらガス通
路15には蓄冷材25が充填されている。蓄冷材25と
しては、ステンレス金網、銅金網、鉛球などが用いら
れ、そして特に高い冷却性能が求められる第2ディスプ
レーサ4用の蓄冷材25には磁性材料が用いられてい
る。
【0016】なお、図2において、第1ディスプレーサ
3の上部で冷媒ガス通路15と第1シリンダ1内とを連
通させるポートは冷媒ガスのガス出入口21であり、下
部で冷媒ガス通路15と第1膨張室11とを連通させる
ポートは冷媒ガスのガス出入口22である。また、第2
ディスプレーサ4の上部で冷媒ガス通路15と第2シ
ンダ2内とを連通させるポートは冷媒ガスのガス出入口
23であり、下部で冷媒ガス通路15と第2膨張室12
とを連通させるポートは冷媒ガスのガス出入口24であ
る。また、第1シリンダ1の下部に外嵌され、下部にフ
ランジを備えた筒体は冷熱取出部26であり、第2シリ
ンダ2の下部に外嵌され、下部にフランジを備えた筒体
は冷熱取出部27である。また、図1において、第2デ
ィスプレーサ4の上端に嵌着されてなるものは上記ガス
出入口23が設けられた止端部材28であり、下端に嵌
着されてなるものは上記ガス出入口24が設けられた止
端部材29である。さらに、上記止端部材28の下部に
組込まれてなるものはパンチングメタル30であり、上
記止端部材29の上部に組込まれてなるものは金網3
1、フェルト材32である。
【0017】以下、本実施の形態1に係るGM冷凍機の
特徴をなす構成を説明する。即ち、図1(A)に示すよ
うに、第2ディスプレーサ4の第1シリンダ寄りの基端
側部分4aに、この第2ディスプレーサ4のストローク
範囲以上の寸法Lのクリアランスシール機構を形成し
た。そして、この第2ディスプレーサ4の上記クリアラ
ンスシール機構を除く残余部分4bの外周に螺旋溝16
を周設した、この螺旋溝16は、図6との比較において
良く理解されるように、第2ディスプレーサ4が上昇し
た場合、従来例では螺旋溝が第1シリンダ1の第1膨張
室11内に位置するのに対して、必ず第2シリンダ2側
に位置するように構成してある。
【0018】これは、第2シリンダ2と第2ディスプレ
ーサ4とのクリアランスを従来例よりも大きく設定して
も、所要の冷凍性能を得ることを狙いとしたものであ
る。冷凍機能を向上させることができるのは、第2ディ
スプレーサ4のストローク範囲以上の寸法Lのクリアラ
ンスシール機構により、第2ディスプレーサ4の基端側
部分4aのシール性能が向上する。これに加えて、螺旋
溝16に流れる冷媒ガスが第2ディスプレーサ4の先端
側から基端側部分4aの方向に流れ、螺旋溝16と冷媒
ガスの間の生じるサーフェイスヒートポンピング作用
(第2ディスプレーサ4の先端側から基端側部分へ熱を
運ぶ作用)が向上する。そのため、第2シリンダ2と第
2ディスプレーサ4とのクリアランスの範囲を従来例よ
り広く設定しても、所望の冷凍性能を得ることができ
る。従って、製造時の品質管理が容易になり、極低温冷
凍機を低コストで製造することができる。
【0019】
【実施例】以下、上記実施の形態1に係る実施例を、図
1と、第2シリンダと第2ディスプレーサとのクリアラ
ンスと2段温度との関係説明図の図3(A),(B),
(C)を参照して説明する。なお、図3(A)は本実施
例に係る第2シリンダと第2ディスプレーサとのクリア
ランスと2段温度(K)との関係説明図であり、図3
(B)は従来例に係る第2シリンダと第2ディスプレー
サとのクリアランスと2段温度(K)との関係説明図で
あり、図3(C)は第2シリンダと全体にクリアランス
シール機構が形成されている第2ディスプレーサとのク
リアランスと2段温度(K)との関係説明図である。
【0020】本実施例に係る第2ディスプレーサ4の外
周面に、4フッ化エチレン樹脂系材料からなる、厚さ3
0μmの耐摩耗性樹脂層14が形成されている。第2デ
ィスプレーサ4の残余部分4bに周設された螺旋溝16
の上端は、基端側部分4aの下端と接する部位に周設さ
れたリング溝17に連通している。上記リング溝17
は、螺旋溝16の加工を容易にするために設けたもので
あり、必ずしも設ける必要がないものである。そして、
螺旋溝16のピッチ2b、溝幅b、溝深さdは、それぞ
れ実質的に4mm、2mm、1mmに設定されている。
【0021】従来例の場合には、図3(B)に示すよう
に、クリアランスが所定の値から外れると2段温度
(K)が急激に悪化するため、極めて厳しい品質管理が
必要であるということが分かる。それに対して、本実施
例の場合には、図3(A)に示すように、ある大きなク
リアランス範囲においてほぼ同定度の2段温度(K)が
得られる。つまり、クリアランスがばらついても所要の
冷凍性能がえられ、従来例のような厳しい品質管理を行
う必要がないことを示唆している。従って、GM冷凍機
を低コストで製造することができる なお、図3(C)
は、第2ディスプレーサ4の全体にクリアランスシール
機構が形成されている場合の効果を確認するためにテス
トしたものである。その結果、螺旋溝が設けられていな
い第2ディスプレーサでは使用に供し得ないことが分か
った。
【0022】本発明の実施の形態2を、螺旋溝の断面形
状を示す図4(図1(B)に対応する)を参照して説明
する。即ち、第2ディスプレーサ本体13の外周面に、
例えばステンレス鋼からなる外筒13aを外嵌する。こ
の外筒13aには上記第2ディスプレーサ本体13の外
周面に周設されてなる螺旋溝16の溝幅bよりも小寸の
溝幅cの螺旋溝が刻設されており、この外筒13aの螺
旋溝の内縁が上記第2ディスプレーサ本体13の螺旋溝
16の内側方向に突出するように、上記第2ディスプレ
ーサ本体13の外周に外嵌されている。そして、この外
筒13aの外周面には耐摩耗性樹脂層14が形成されて
いる。
【0023】本実施の形態2によれば、螺旋溝16内に
おける冷媒ガスの流れが妨げられることがない。従っ
て、螺旋溝16内を第2ディスプレーサ4の先端側から
基端側部分4aの方向へ冷媒ガスがスムーズに流れるた
め、冷媒ガスのサーフェイスヒートポンピング作用が効
果的に働く。他方、螺旋溝16に沿って流れる冷媒ガス
と第2シリンダ2との熱交換に伴うシャトルヒート損失
(サーフェイスヒートポンピング作用と逆の作用)を小
なくすることができる。これにより、極低温冷凍機の冷
凍性能を一層向上させることができるという優れた効果
を奏することができる。
【0024】本発明の実施の形態3を、添付図面の図5
(A),5(B),5(C)を参照して説明す。図5
(A)は、リング溝(17)が設けられておらず、同断
面積の螺旋溝を有する第2ディスプレーサの模式図であ
る。また、図5(B)は、クリアランスシール機構側の
螺旋溝16aより先端側の螺旋溝16bの断面積が大き
く、かつ螺旋溝16a,16bが同ピッチである第2デ
ィスプレーサの模式図である。また、図5(C)は、ク
リアランスシール機構側の螺旋溝16aより先端側の螺
旋溝16bの断面積が大きく、かつ螺旋溝16a,16
bのピッチが異なる第2ディスプレーサの模式図であ
る。
【0025】図5(B),5(C)に示すように、クリ
アランスシール機構側の螺旋溝16aより先端側の螺旋
溝16bの断面積を大きくすると、下記のとおりの効果
を得ることができる。即ち、螺旋溝16の流路抵抗は第
2ディスプレーサ4のクリアランスシール機構側が先端
側より大きいから、冷媒ガスが先端側からクリアランス
シール機構側の方向に流れ難くなる。つまり、螺旋溝の
全体が、図5(A)に示すように、同じ断面積である場
合に比較して冷媒ガスの流速が低下する。そのため、サ
ーフェイスヒートポンピング作用が強まるから、極低温
冷凍機の冷凍性能がより一層向上するという、優れた効
果を得ることができる。
【0026】以上では、極低温冷凍機がGM冷凍機であ
る場合を例として説明したが、本発明の技術的思想を、
スターリング冷凍機やソルベイ冷凍機に対しても適用す
ることができるから、GM冷凍機への適用に限定される
ものではない。また、上記実施の形態は、本発明の具体
例に過ぎないから、技術的しそうを逸脱しない範囲内に
おける設計変更は自由自在である。
【0027】
【発明の効果】上記のとおり、本発明の請求項1に係る
極低温冷凍機では、第2ディスプレーサ4の第1シリン
ダ寄りの基端側部分4aに、この第2ディスプレーサ4
のストローク範囲以上の寸法Lのクリアランスシール機
構を形成し、この第2ディスプレーサ4の上記クリアラ
ンスシール機構を除く残余部分4bの外周に螺旋溝16
を周設した。従って、本発明の請求項1に係る極低温冷
凍機によれば、基端側部分4aのシール性能が向上する
とともに、螺旋溝16に流れる冷媒ガスが第2ディスプ
レーサ4の先端側から基端側部分4aの方向に流れ、螺
旋溝16と冷媒ガスの間に生じるサーフェイスヒートポ
ンピング作用(第2ディスプレーサ4の先端側から基端
側部分へ熱を運ぶ作用)が向上する。そのため、第2シ
リンダ2と第2ディスプレーサ4とのクリアランスの範
囲を従来例より広く設定しても、所望の冷凍性能が得ら
れるから、製造時の品質管理が容易になり、極低温冷凍
機を低コストで製造することができる。
【0028】本発明の請求項2に係る極低温冷凍機で
は、第2ディスプレーサ4の外周面に耐摩耗性樹脂層1
4を形成させるとともに、上記螺旋溝16の開口溝幅c
を、この螺旋溝16の最大溝幅bよりも狭くした。従っ
て、本発明の請求項2に係る極低温冷凍機によれば、螺
旋溝16内を第2ディスプレーサ4の先端側から基端側
部分4aの方向へ冷媒ガスがスムーズに流れるため、冷
媒ガスのサーフェイスヒートポンピング作用が効果的に
働く。他方、螺旋溝16に沿って流れる冷媒ガスと第2
シリンダ2との熱交換に伴うシャトルヒート損失(サー
フェイスヒートポンピング作用と逆の作用)を少なくす
ることができる。これにより、極低温冷凍機の冷凍性能
を一層向上させることができる。
【0029】本発明の請求項3に係る極低温冷凍機で
は、螺旋溝16の断面積を、クリアランスシール機構側
よりも先端側を相対的に大きくした。従って、本発明の
請求項3に係る極低温冷凍機によれば、螺旋溝16の流
路抵抗は第2ディスプレーサ4のクリアランスシール機
構側が先端側より大きいから、冷媒ガスが先端側からク
リアランスシール機構側の方向に流れ難くなる。つま
り、全体が同断面積の螺旋溝に比較して冷媒ガスの流速
が低下する。そのため、サーフェイスヒートポンピング
作用が強まり、極低温冷凍機の冷凍性能がより一層向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係り、図1(A)はG
冷凍機の要部の縦断面図であり、図1(B)は図1
(A)中の要部の拡大図である。
【図2】図2(A)は極低温小型冷凍機の概要を示す
断面図、図2(B)はその冷凍機の作動工程図である。
【図3】本発明の実施の形態1に対応する実施例に係
り、図3(A)は第2シリンダと第2ディスプレーサと
のクリアランスと2段温度(K)との関係説明図であ
り、図3(B)は従来例に係る第2シリンダと第2ディ
スプレーサとのクリアランスと2段温度(K)との関係
説明図であり、図3(C)は第2シリンダと全体にクリ
アランスシール機構が形成されている第2ディスプレー
サとのクリアランスと2段温度(K)との関係説明図で
ある。
【図4】本発明の実施の形態2に係り、螺旋溝の断面形
状を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係り、図5(A)はリ
ング溝が設けられておらず、同断面積の螺旋溝を有する
第2ディスプレーサの模式図であり、図5(B)はクリ
アランスシール機構側の螺旋溝より先端側の螺旋溝の断
面積が大きく、かつ螺旋溝が同ピッチである第2ディス
プレーサの模式図であり、図5(C)はクリアランスシ
ール機構側の螺旋溝より先端側の螺旋溝の断面積が大き
く、かつ螺旋溝のピッチが異なる第2ディスプレーサの
模式図である。
【図6】従来例に係る極低温冷凍機の要部の断面図であ
る。
【符号の説明】 1…第1シリンダ、2…第2シリンダ、3…第1ディス
プレーサ、4…第2ディスプレーサ、4a…第2ディス
プレーサの基端側部分、4b…第2ディスプレーサの残
余部分、5…ガス出入口、6…ガス通路、7…切換弁、
8…圧縮機、10…駆動手段、11…第1膨張室、12
…第2膨張室、13…第2ディスプレーサ本体、14…
耐摩耗性樹脂15…冷媒ガス通路、16…螺旋溝、
17…リング溝20…連結ピン、b…螺旋溝の
は最大溝幅、c…螺旋溝の開口溝幅、L…クリアランス
シール機構の寸法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸野 善生 滋賀県守山市勝部4丁目5番1号 岩谷瓦 斯株式会社内 (72)発明者 浦 裕充 滋賀県守山市勝部4丁目5番1号 岩谷瓦 斯株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1シリンダ(1)と第2シリンダ
    (2)とを直列に設け、上記各シリンダ(1・2)内に
    それぞれ第1ディスプレーサ(3)と第2ディスプレー
    サ(4)をそれぞれ収容して駆動手段(10)で往復連
    動可能に構成し、上記第1シリンダ(1)のガス出入口
    (5)にガス通路(6)の切換弁(7)を介して圧縮機
    (8)を連通連結し、圧縮時には圧縮機(8)で圧縮し
    た冷媒ガスを第1ディスプレーサ(3)内、第1シリン
    ダ下部の第1膨張室(11)、第2ディスプレーサ
    (4)内、第2シリンダ下部の第2膨張室(12)へ順
    に圧送し、減圧時には冷媒ガスを逆順路で圧縮機(8)
    へ還流させるように構成した極低温冷凍機において、 上記第2ディスプレーサ(4)の第1シリンダ寄りの基
    端側部分(4a)をクリアランスシール機構とし、その
    クリアランスシール機構の寸法(L)を当該第2ディス
    プレーサ(4)の往復ストローク範囲を超える寸法
    (L)に設定するとともに、第2ディスプレーサ(4)
    の残余部分(4b)に螺旋溝(16)を凹設した、こと
    を特徴とする極低温冷凍機。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した極低温冷凍機におい
    て、 上記第2ディスプレーサ(4)の外周面を耐摩耗
    性樹脂材料(14)で覆うとともに、上記螺旋溝(1
    6)の開口端の寸法(c)を当該螺旋溝(16)の幅
    (b)よりも狭くした、ことを特徴とする極低温冷凍
    機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の極低温冷
    凍機において、 上記螺旋溝(16)の断面積を、クリアランスシール側
    では相対的に小さく、先端側では大きくした、ことを特
    徴とする極低温冷凍機。
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