JP2003313670A - 無電解めっき皮膜の形成方法 - Google Patents

無電解めっき皮膜の形成方法

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JP2003313670A
JP2003313670A JP2002118948A JP2002118948A JP2003313670A JP 2003313670 A JP2003313670 A JP 2003313670A JP 2002118948 A JP2002118948 A JP 2002118948A JP 2002118948 A JP2002118948 A JP 2002118948A JP 2003313670 A JP2003313670 A JP 2003313670A
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electroless plating
plating film
metal
forming
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JP2002118948A
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Yoshihiro Suzuki
芳博 鈴木
Fujio Matsui
富士夫 松井
Shoichiro Suzuki
祥一郎 鈴木
Yukie Minami
幸江 南
Shinji Tachibana
眞司 立花
Hisamitsu Yamamoto
久光 山本
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C Uyemura and Co Ltd
Original Assignee
C Uyemura and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸着現象を用いて触媒を基材上に付与する場
合において、より確実に多くの触媒金属を基材表面上に
付与し得、密着性に優れた無電解めっき皮膜を確実に形
成できる無電解めっき皮膜の形成方法を提供すること。 【解決手段】 触媒金属を含む水溶液で非導電性基材を
処理する触媒付与工程と、この触媒付与工程後に前記非
導電性基材を水洗せずに乾燥させる乾燥工程と、この乾
燥工程後に前記非導電性基材を還元剤溶液で処理する還
元処理工程と、この還元処理工程後に前記非導電性基材
を無電解めっき液で処理して無電解めっき皮膜を形成す
る皮膜形成工程と、を有する無電解めっき皮膜の形成方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電解めっき皮膜
の形成方法に関し、さらに詳述すると、触媒毒となる錫
を用いることなく基材表面に触媒を付与し、密着性に優
れた無電解めっき皮膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
から、非導電性基材の表面に無電解めっき皮膜を形成す
る際には、錫によるセンシタイジングを行い、その後、
例えば、パラジウムなどの触媒金属を含有する水溶液
(以下、触媒溶液という)で処理するセンシタイジング
−アクチベーター法や、錫−パラジウムコロイド溶液を
用いるキャタリスト−アクセレレーター法などが一般的
に行われている。
【0003】しかしながら、上記触媒付与に用いられる
錫は、触媒毒となることが一般的に知られており、この
錫の存在により、無電解めっき反応が開始しない、また
は反応開始までに時間がかかるといった問題を生じる虞
がある上、不均一な無電解めっき皮膜が形成される虞も
ある。
【0004】このような問題点を解決すべく、(1)触
媒毒となり得る錫以外の金属からなる触媒金属塩と、ア
ミノシランとを反応させた錯化合物を含む触媒溶液を用
いて非導電性基材上に触媒を付与した後、非導電性基材
を加熱乾燥させ、続いて無電解めっき液に浸漬して無電
解めっき皮膜を形成する方法(特開昭60−36669
号公報、特開昭60−36673号公報)、(2)非導
電性基材表面上に、還元剤と非イオン界面活性剤とを含
有したコロイドタイプの触媒溶液を用いて銀や銅といっ
た触媒金属を付与した後、続いて無電解めっき皮膜を形
成する方法(特開平10−229280号公報)等が開
発されている。
【0005】しかしながら、上記各方法では、無電解め
っき皮膜が形成されない、または形成されたとしても非
導電性基材と無電解めっき皮膜の密着性が低いといった
不都合が生じる場合がある。このような問題は、非導電
性基材表面上に付着した触媒金属量の不足により生じる
と考えられるが、これは、触媒が基材表面に吸着によっ
て保持されていることに起因するものと考えられる。
【0006】すなわち、一般的には、吸着による触媒金
属の付与では、基材表面上に触媒金属を多量に付与する
ことは難しいとされている。なぜなら、吸着という現象
は、触媒溶液中の触媒金属のうち、基材表面近傍にある
ものの中の一部が、ある確率で基材表面上にトラップさ
れて起きると考えられるからである。また、吸着による
触媒金属の付与は、一般的に、化学吸着の場合は、基材
表面上の反応性部と反応し、化学的結合により触媒金属
が吸着すると考えられており、基材表面上に多くても1
層分の触媒金属しか吸着しないと考えられている。ま
た、物理吸着の場合は、ファンデルワールス力により触
媒金属が基材表面の活性サイトに選択的にある一定の限
られた時間吸着するというものであり、吸着した触媒金
属上にさらに触媒金属が吸着する場合もあるとされてい
るが、厚くても数層程度であると考えられている。さら
に、化学吸着、物理吸着のどちらの吸着であっても、基
材上の触媒金属が吸着する部分(反応性部、活性サイ
ト)の密度は部分的に限られて存在する場合がほとんど
であり、触媒金属が基材表面上に吸着する量はわずかで
あり、ある一定量しか吸着できないと考えられている。
【0007】ところで、近年パラジウムの価格が高騰
し、無電解めっきにかかるコストが上昇しており、上記
(1)、(2)の方法でも、パラジウム以外の金属(例
えば、銅、銀等)を触媒金属として利用することが開示
されている。この場合、銅や銀といった触媒金属は、パ
ラジウム金属と比べて触媒活性が低いという欠点を有し
ているため、密着性に優れた無電解めっき皮膜を形成す
るためには、より多量の触媒金属を基材上に付着させる
必要があるが、上記(1)、(2)の皮膜形成方法で
は、上述のように吸着により触媒の付着を行っているた
め、充分な量の触媒を基材表面に付着させることが困難
であった。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、吸着現象を用いて触媒を基材上に付与する場合
において、より確実に多くの触媒金属を基材表面上に付
与し得、密着性に優れた無電解めっき皮膜を確実に形成
できる無電解めっき皮膜の形成方法を提供することを目
的とする。また、本発明は、銀や銅といったパラジウム
に比べて触媒活性の低い金属を使用した場合でも、密着
性に優れた無電解めっき皮膜を確実に形成できる無電解
めっき皮膜の形成方法を提供することを他の目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ね
た結果、触媒溶液を用いて触媒金属を付与した後、水洗
を行わずに乾燥させることで、基材上に付着される触媒
量を増大でき、密着性に優れた無電解めっき皮膜を形成
でき、これは、銀や銅といった触媒活性の低い金属を触
媒として用いた場合でも有効であることを見いだし、本
発明を完成した。
【0010】したがって、本発明は、 1. 触媒金属を含む水溶液(以下、触媒溶液という)
で非導電性基材を処理する触媒付与工程と、この触媒付
与工程後に前記非導電性基材を水洗せずに乾燥させる乾
燥工程と、この乾燥工程後に前記非導電性基材を還元剤
溶液で処理する還元処理工程と、この還元処理工程後に
前記非導電性基材を無電解めっき液で処理して無電解め
っき皮膜を形成する皮膜形成工程と、を有することを特
徴とする無電解めっき皮膜の形成方法、 2. 前記触媒溶液がアミノシラン化合物を含有するこ
とを特徴とする1の無電解めっき皮膜の形成方法、 3. 前記触媒金属が、Ag,Cu,Ni,Pd,Au
およびPtから選ばれる1種または2種以上であること
を特徴とする1または2の無電解めっき皮膜の形成方
法、 4. 前記触媒金属が、Ag,CuおよびNiから選ば
れる1種または2種以上であることを特徴とする3の無
電解めっき皮膜の形成方法、 5. 前記触媒金属が、Ag,CuおよびNiから選ば
れる1種または2種以上を主成分とするとともに、P
d,AuおよびPtから選ばれる1種または2種以上を
微量成分とすることを特徴とする3の無電解めっき皮膜
の形成方法を提供する。
【0011】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明に係る無電解めっき皮膜の形成方法は、触媒
金属を含む水溶液(以下、触媒溶液という)で非導電性
基材を処理する触媒付与工程と、この触媒付与工程後に
前記非導電性基材を水洗せずに乾燥させる乾燥工程と、
この乾燥工程後に前記非導電性基材を還元剤溶液で処理
する還元処理工程と、この還元処理工程後に前記非導電
性基材を無電解めっき液を用いて処理して無電解めっき
皮膜を形成する皮膜形成工程と、を有するものである。
ここで、非導電性基材としては、特に制限はなく、例え
ば、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等の樹脂基板、セラ
ミック基板、有機・無機の繊維織布もしくは不織布等を
用いることができる。
【0012】前記触媒付与工程において、触媒溶液中の
触媒金属としては、Ag,Cu,Ni,Pd,Auおよ
びPtから選ばれる1種または2種以上であることが好
ましく、中でも、Ag,Cu,およびNiから選ばれる
1種または2種以上であることが好ましい。すなわち、
Ag,Cu,およびNiから選ばれる触媒金属を用いる
場合、高価なPd等を用いないため、製造コストの低減
化を図ることができる上、エッチングが容易になるた
め、高精細な回路パターンの形成なども容易に行うこと
ができる。
【0013】また、触媒金属として、Ag,Cu,Ni
から選ばれる1種または2種以上を主成分とするととも
に、Pd,AuおよびPtから選ばれる1種または2種
以上を微量成分とするものを用いることもできる。この
場合、主成分としてAg,Cu,Niから選ばれる触媒
金属を用いているため、製造コストの低減化およびエッ
チングの容易化という上述した利点を損なわずに、触媒
活性の高いPt,Pd,Auから選ばれる触媒金属を微
量成分として用いているため、Ag,Cu,Niから選
ばれる触媒金属単独で用いる場合よりも密着性に優れた
無電解めっき皮膜を基材上に形成することができる。な
お、Agを触媒金属として選択した場合には、沈殿物の
生成を抑制するために、塩化物を含まないようにするこ
とが望ましい。
【0014】触媒付与工程で用いられる上記触媒溶液
は、金属塩を水に溶かして調製されるものである。ここ
で、金属塩の濃度は、触媒金属の種類によって適宜設定
されるものであるが、通常、金属として0.001〜1
50g/Lとすることができる。より具体的には、例え
ば、銀塩を用いる場合には、金属として、0.005〜
20g/L、特に、0.01〜10g/Lとすることが
好ましく、この濃度より低いと、充分な触媒金属が基材
上に付着されない虞があり、一方、この濃度より高い
と、光の作用によって溶液が不安定になる虞があり、触
媒金属が基材上に均一に付着せず、無電解めっき皮膜が
不均一になる虞がある。
【0015】また、銅塩、ニッケル塩を用いる場合に
は、金属として、0.1〜150g/L、特に、10〜
100g/Lとすることが好ましく、この濃度より低い
と、充分な触媒金属が基材上に付着されない虞があり、
一方、この濃度より高いと、沈殿物が生じる虞がある。
これらCu,Niの場合は、Agよりも触媒活性が弱い
と考えられるため、より多く基材上に付着させるために
Agよりも高濃度に設定されている。さらに、触媒活性
の高いパラジウム塩、金塩,白金塩を用いる場合、金属
として0.0001〜0.5g/Lとすることが好まし
い。なお、上記触媒溶液の形態は、触媒金属を金属イオ
ンとして含有する溶液でも、コロイドとして含有する溶
液でもよい。また、触媒溶液のpHも、金属塩の種類に
応じて適宜設定されるものであるが、通常、pH1〜1
3程度の溶液として用いられる。
【0016】上記金属塩の具体例を挙げると、銀塩とし
ては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、フッ化
銀、亜硝酸銀、塩化銀、臭化銀、プロピオン酸銀、酒石
酸銀、メチルエチル酢酸銀、トリメチル酢酸銀、炭酸
銀、シュウ酸銀、雷酸銀等が挙げられる。銅塩として
は、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、塩素酸銅、過塩素酸銅、
臭化銅、酢酸銅、炭酸銅、シュウ酸銅等が挙げられる。
ニッケル塩としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩
化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケ
ル、シュウ酸ニッケル等が挙げられる。パラジウム塩と
しては、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジ
ウム、[Pd(NH34]Cl2、PdCl2PdCl2
・2KCl等が挙げられる。金塩としては、AuCl3
等が挙げられる。白金塩としては、[Pt(NH34
Cl2、PtCl4等が挙げられる。なお、水に対する溶
解度の低い金属塩を使用する場合、触媒溶液に酸、アン
モニア水、カリウム塩、ナトリウム塩等を加えることで
該塩の溶解度を高くして、上述した濃度範囲内に調製す
ることができる。
【0017】以上において、触媒付与工程で用いる触媒
溶液は、アミノシラン化合物を含有するものであること
が好ましい。アミノシラン化合物を加えると、その理由
は定かではないが、基材表面に付着する触媒金属量を増
加させることができるとともに、無電解めっき皮膜と非
導電性塩との密着性を向上できる。また、触媒金属の活
性を高め、無電解めっき反応を確実に開始させることが
できる。
【0018】上記アミノシラン化合物を用いる場合、そ
の濃度は特に制限されるものではないが、触媒溶液に対
して0.01〜10vol%、特に0.05〜2vol
%を用いることが好ましい。この濃度より低くなると、
上述した触媒金属の付着量増加効果が充分に発揮されな
い虞があり、一方、上記濃度を超えると、触媒溶液の粘
度が高くなり、触媒金属が基材上に均一に付着しにくく
なる虞がある上、製造コスト増を招き経済性に劣る可能
性が高い。
【0019】上述のような触媒付与工程において、触媒
溶液で非導電性基材を処理する方法としては、特に制限
されるものではなく、例えば、触媒溶液中に基材を浸漬
する浸漬法、基材表面に触媒溶液をスプレーするスプレ
ー法、基材表面に触媒溶液を塗布する塗布法等を適宜用
いることができる。また、処理時間、温度についても特
に限定はなく、通常、処理時間10秒〜30分、処理温
度室温〜100℃程度で行われる。
【0020】また、触媒付与工程後の乾燥工程は、上述
した触媒溶液で処理した非導電性基材を水洗せずに乾燥
する工程である。すなわち、触媒付与工程後の非導電性
基材表面には、触媒溶液が付着しているが、付着液中に
は、基材表面上に付着した触媒金属に加え、まだ付着し
てない触媒金属も含まれている。この状態で非導電性基
材を水洗すると、付着液中の基材に付着していない触媒
金属が流出するだけでなく、基材表面に付着した触媒金
属の一部までも脱離してしまう虞がある。
【0021】したがって、触媒付与工程後、水洗をしな
い乾燥工程を行うことで、基材表面に付着している触媒
金属を最大限に活用することができるとともに、付着液
中の基材表面上にまだ付着していない触媒金属も基材表
面に付着させることができるため、結果として、還元剤
溶液で触媒金属を還元する際、より多くの触媒金属を確
実に基材表面に付着させることができる。この場合、乾
燥前に充分な液切りを行って、基材表面の一部分にの
み、触媒溶液が多量に残存しないようにすることが好ま
しい。
【0022】つまり、充分な液切りを行わずに、乾燥さ
せると、本発明では水洗を行わないため、基材表面の触
媒溶液が多量に残存した部分のみ触媒金属が多く付着す
るという事態を招き、これにより無電解めっき皮膜にム
ラが生じる原因となる虞がある。なお、液切りの方法と
しては、特に限定はなく、遠心力を利用する方法、送風
による方法、拭き取る方法等、適宜選択して用いること
ができる。
【0023】上記乾燥工程における乾燥温度は、非導電
性基材の材質等に応じて適宜設定されるが、通常、室温
〜300℃程度であり、例えば、エポキシ樹脂からなる
非導電性基材の場合は室温〜200℃、ポリエステル繊
維や織布からなる基材の場合は室温〜120℃程度、ポ
リイミド樹脂からなる基材の場合は室温〜280℃程
度、ガラス繊維やセラミックスからなる基材の場合は室
温〜500℃程度である。
【0024】上述のような乾燥工程を行うことで、基材
表面に存在している触媒金属を最大限活用することがで
きるようになるだけでなく、乾燥させて付着させた触媒
金属を基材表面に安定化させることで、還元処理工程で
還元剤溶液に浸漬した場合でも、基材表面から触媒金属
が脱離しにくくなり、還元剤溶液の寿命を長くすること
もできる。
【0025】上記乾燥工程後に行われる還元処理工程
は、非導電性基材を還元剤溶液で処理する工程である。
ここで、還元剤溶液は、所定の還元剤を水に溶解させて
調製されるものであり、還元剤の種類は特に限定される
ものではないが、ホルムアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルアクリルアミド、水素化ホウ素ナトリウム、水素
化ホウ素カリウム、ブドウ糖、ジメチルアミンボラン、
ヒドラジン、ジエチルアミンボラン、ホルムアルデヒ
ド、グリオキシル酸、イミダゾール、アスコルビン酸、
ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒ
ドロキシルアミン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム
等が挙げられる。
【0026】また、還元剤溶液中の還元剤の濃度は、通
常0.01〜200g/L、好ましくは、0.1〜10
0g/Lであり、溶液のpHは、9〜14、特に11〜
13.5であることが好ましい。ここで、還元剤溶液の
pHが9未満であると、非導電性基材表面上の触媒金属
が還元剤溶液中に溶出する虞があるとともに、溶出した
触媒金属が還元剤溶液中の還元剤を消費して還元剤溶液
の寿命が短くなる虞がある。一方、pHが14を超える
と、還元剤溶液の管理が困難になる場合がある。
【0027】還元剤溶液で非導電性基材を処理する方法
としては、特に制限されるものではなく、還元剤溶液中
に基材を浸漬する浸漬法、基材表面に還元剤溶液をスプ
レーするスプレー法、基材表面に還元剤溶液を塗布する
塗布法等を適宜用いることができる。また、処理時間、
温度についても特に限定はなく、通常、処理時間30秒
〜20分、処理温度室温〜95℃程度で行われる。
【0028】なお、上述した触媒付与工程、乾燥工程、
還元剤処理工程を一連の工程として、複数回繰り返し行
うこともできる。この場合、触媒溶液中の金属濃度を低
くすることもでき、例えば、金属として0.0001〜
10g/L程度の濃度で行うこともできる。このように
複数回行うことで、触媒金属の付着量を確実に多くする
ことができ、より一層密着性に優れた無電解めっき皮膜
を形成することができる。
【0029】上述した還元処理工程後に無電解めっきを
行って、非導電性基材上に無電解めっき皮膜を形成する
ことになる(皮膜形成工程)が、無電解めっきの種類と
しては、特に制限はなく、例えば、無電解銅めっき、無
電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解コバルト
めっき、これらの合金めっき、その他の無電解複合めっ
き等を用いることができる。
【0030】この場合のめっき条件は特に限定されるも
のではなく、通常行われる条件を用いることができる。
無電解めっき液として一例を挙げると、電気めっき下地
用無電解Cuめっき皮膜を形成する場合、硫酸銅等の水
溶性銅塩1〜100g/L、特に5〜50g/L、ホル
ムアルデヒド等の還元剤0.5〜10g/L、特に1〜
5g/L、EDTA等の錯化剤20〜100g/L、特
に30〜70g/Lを含み、pH12〜13.5、特に
12.5〜13に調整した溶液に、触媒溶液で処理した
基材を50〜90℃、30秒〜60分浸漬する方法を採
用することができる。
【0031】なお、本発明の無電解めっき皮膜形成方法
では、必要に応じて、適宜添加物を加えることもでき、
また、その他の工程を付加することもできる。例えば、
酒石酸,シュウ酸,コハク酸,クエン酸等のカルボキシ
ル基を含む化合物、ショ糖,果糖,砂糖等の糖類物質、
12NCH2COOH(ここで、R1,R2は炭素数1
〜5のアルキル基を示す)で示されるアミノ酸、ニトリ
ロ酸酢酸,ジエチレントリアミン4酢酸,エチレンジア
ミン,トリエタノールアミン,トリエチルアミン,トリ
メチルアミン等のアミン化合物等の有機化合物を、上記
触媒溶液に対し、0.5〜50g/Lで溶解させた溶液
で触媒付与工程を行うこともできる。このように、有機
化合物を触媒溶液に添加した溶液で触媒付与工程を行う
ことで、基材表面上への触媒金属の付着量を効率よく高
めることができる。
【0032】また、乾燥工程後に、上記有機化合物を水
100に対して1〜100wt%溶解した水溶液で非導
電性基材を処理する工程を加えることもでき、この場合
の処理方法は、特に限定されるものではなく、浸漬法、
スプレー法、塗布法等を適宜選択して用いることができ
る。さらに、上記有機化合物を、上記還元剤溶液に対し
て1〜20wt%で溶解させた溶液で還元処理工程を行
うこともできる。
【0033】また、上記乾燥工程前、乾燥工程と同時、
または乾燥工程後に、紫外線照射を行うこともできる。
この場合、照射条件は、特に制限されるものではない
が、例えば、0.1〜20mW/cm2で、1〜60分
間照射を行うことが好ましい。このような紫外線照射を
行うことで、基材表面上への触媒金属の付着量を効率よ
く高め、付着した触媒金属を効率よく活性化させること
ができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。
【0035】[実施例1〜6]非導電性基材として、エ
ポキシ樹脂基板を用い、このエポキシ樹脂基板を、55
℃に加温した脱脂剤(C−4000、上村工業(株)
製)50g/L水溶液中に5分間浸漬し、水洗後、1N
硫酸で中和処理し、さらに水洗した。次に、脱脂処理し
たエポキシ樹脂基板を、下記表1に示す触媒溶液に5分
間浸漬した後(触媒付与工程)、水洗せずに乾燥槽にセ
ットし、120℃の熱風を送気して基板上に付着した触
媒溶液が一部に固まらないように液切りしつつ、水分を
蒸発させ、乾燥させた(乾燥工程)。
【0036】この乾燥工程後エポキシ樹脂基板上に付着
された触媒金属量を測定した結果を併せて表1に示し
た。なお、触媒金属量は、乾燥工程後のエポキシ樹脂基
板を硝酸溶液中に浸漬し、エポキシ樹脂基板表面上の触
媒金属を溶解させた後、蒸留水で希釈し、この希釈溶液
中に含まれる触媒金属を原子吸光法で測定した。続い
て、上記乾燥工程後のエポキシ樹脂基板を、40℃に調
整したジメチルアミンボラン5g/L水溶液(pH1
3)からなる還元剤溶液に、5分間浸漬した後(還元処
理工程)、水洗し、実施例1〜4および実施例6では、
下記無電解Cuめっき浴に10分間浸漬して無電解Cu
めっき皮膜を形成し、実施例5では、下記無電解Niめ
っき浴に10分間浸漬して無電解Niめっき皮膜を形成
した(皮膜形成工程)。
【0037】無電解Cuめっき浴 硫酸銅:6.5g/L ホルムアルデヒド:1.2g/L EDTA・四ナトリウム:40g/L 2,2′−ビピリジル:10ppm ポリエチレングリコール(平均分子量600):500
ppm pH:12.8 温度:65℃無電解Niめっき浴 硫酸ニッケル:6.2g/L クエン酸ナトリウム:64.5g/L ホウ酸:31g/L DMAB:10g/L pH:9.2 温度:40℃
【0038】[比較例1,2]触媒溶液で処理した後
に、エポキシ樹脂基板を1分間流水にて水洗し、乾燥槽
にセットした以外は、それぞれ実施例1および実施例2
と同様にして無電解Cuめっき皮膜を形成した。
【0039】上記実施例1〜6および比較例1,2で形
成した無電解めっき皮膜の評価結果を表2に示す。評価
方法としては、無めっきの有無は目視により観察し、エ
ポキシ樹脂基板の表面に無電解めっき皮膜が形成されな
かった部位があるものを×、完全に無電解めっき膜で覆
われているものを○とした。また、密着性の評価は、ポ
リエステル粘着テープ(スコッチテープ、3M社製)を
用いて引き剥がし試験を行い、目視により剥離が確認さ
れたものを×、剥離が観察されないものを○とした。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表1,2に示されるように、実施例1〜6
では、水洗をせずに乾燥を行っているから、比較例より
も基材表面の触媒の付着量が多くなっていることがわか
る。その結果、非導電性基材表面全体に無電解Cuめっ
き皮膜または無電解Niめっき皮膜が形成されており、
また、皮膜の密着性にも優れていることがわかる。
【0043】[実施例7]実施例2において、触媒溶液
中の硝酸銀の濃度を1.0g/Lとした以外は同一の条
件で、触媒付与工程、乾燥工程、還元処理工程を一連の
工程として2回繰り返した後、実施例2と同様の条件で
皮膜形成工程を行い、無電解めっきCu皮膜を形成し
た。2回目の乾燥処理が終わったエポキシ樹脂基板表面
上の触媒金属量は、0.018mg/cm2であり、基
材表面が完全に無電解めっきCu皮膜により覆われてい
るとともに、剥離試験でもめっき皮膜が剥離することは
なく、密着性は良好であった。
【0044】[実施例8〜10]実施例7において、使
用する非導電性基材、乾燥槽での乾燥温度および還元剤
溶液に使用した還元剤を下記表3のように変えた以外は
同様にして、無電解めっきCu皮膜を形成した。なお、
還元剤溶液は、苛性ソーダを用いてpH13に調整して
用いた。得られた無電解めっきCu皮膜について、無め
っきの有無および密着性を実施例1と同様にして評価
し、結果を表3に併せて示した。
【0045】
【表3】
【0046】表3に示されるように、実施例8〜10の
全てにおいて、非導電性基材表面全体に無電解Cuめっ
き皮膜が形成されており、また、皮膜の密着性にも優れ
ていることがわかる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、無電解めっき皮膜形成
時に、非導電性基材を水洗せずに乾燥させているから、
基材表面に触媒金属を付与する際に、より多くの触媒金
属を基材表面に付着させることができ、基材との密着性
に優れた無電解めっき皮膜を形成することができる。ま
た、Pdに比べて、触媒活性の低いAg、Cu、Niを
用いた場合でも、密着性に優れた無電解めっき皮膜を確
実に形成することができるため、高価なPdの使用を抑
制でき、その結果、製造コストを削減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 祥一郎 大阪府牧方市出口一丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 (72)発明者 南 幸江 大阪府牧方市出口一丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 (72)発明者 立花 眞司 大阪府牧方市出口一丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 (72)発明者 山本 久光 大阪府牧方市出口一丁目5番1号 上村工 業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4K022 AA04 AA13 AA15 AA18 AA36 BA03 BA06 BA08 BA14 CA03 CA14 CA15 CA17 CA19 CA20 CA21 CA22 CA23 DA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒金属を含む水溶液で非導電性基材を
    処理する触媒付与工程と、 この触媒付与工程後に前記非導電性基材を水洗せずに乾
    燥させる乾燥工程と、 この乾燥工程後に前記非導電性基材を還元剤溶液で処理
    する還元処理工程と、 この還元処理工程後に前記非導電性基材を無電解めっき
    液で処理して無電解めっき皮膜を形成する皮膜形成工程
    と、を有することを特徴とする無電解めっき皮膜の形成
    方法。
  2. 【請求項2】 前記触媒金属を含む水溶液がアミノシラ
    ン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の無
    電解めっき皮膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記触媒金属が、Ag,Cu,Ni,P
    d,AuおよびPtから選ばれる1種または2種以上で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の無電解め
    っき皮膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記触媒金属が、Ag,CuおよびNi
    から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とす
    る請求項3記載の無電解めっき皮膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記触媒金属が、Ag,CuおよびNi
    から選ばれる1種または2種以上を主成分とするととも
    に、Pd,AuおよびPtから選ばれる1種または2種
    以上を微量成分とすることを特徴とする請求項3記載の
    無電解めっき皮膜の形成方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102675A (ja) * 2007-10-22 2009-05-14 Konica Minolta Holdings Inc めっき方法、めっき処理液及び導電性パターンシート
JP2009535837A (ja) * 2006-05-02 2009-10-01 コリア リサーチ インスティテュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス ナノギャップ電極の製造方法及びこれを用いて製造されたナノギャップ素子
KR20170008289A (ko) 2015-02-19 2017-01-23 이시하라 케미칼 가부시키가이샤 무전해 구리도금용 구리 콜로이드 촉매액 및 무전해 구리도금 방법
KR20190133780A (ko) 2017-06-01 2019-12-03 이시하라 케미칼 가부시키가이샤 무전해 구리 도금용의 구리 콜로이드 촉매액, 무전해 구리 도금 방법, 및 구리 도금 기판의 제조방법

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