JP2003313513A - 木質パネルの充填接着方法 - Google Patents
木質パネルの充填接着方法Info
- Publication number
- JP2003313513A JP2003313513A JP2002121177A JP2002121177A JP2003313513A JP 2003313513 A JP2003313513 A JP 2003313513A JP 2002121177 A JP2002121177 A JP 2002121177A JP 2002121177 A JP2002121177 A JP 2002121177A JP 2003313513 A JP2003313513 A JP 2003313513A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- filling
- moisture
- resin
- melt
- curable hot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 充填剤兼接着剤が木質パネルの裏面に設けら
れた凹溝部内の隅々にまで入り込むので、接着欠陥部の
発生がなく、かつ、上記充填剤兼接着剤は初期凝集力の
発現が速いので、充填した後、短時間で次工程の作業を
行うことが可能であって、生産性に優れる木質パネルの
充填接着方法を提供する。 【解決手段】 木質パネルの裏面に設けられた凹溝部内
に湿気硬化性熱溶融型樹脂を充填する木質パネルの充填
接着方法であって、上記湿気硬化性熱溶融型樹脂が、1
20℃における溶融粘度が10000mPa・s以下で
あり、かつ、120℃における溶融体積(V120)と
20℃における体積(V20)との関係が(V120−
V20)/V120<0.1を満たす湿気硬化性熱溶融
型樹脂であることを特徴とする木質パネルの充填接着方
法。
れた凹溝部内の隅々にまで入り込むので、接着欠陥部の
発生がなく、かつ、上記充填剤兼接着剤は初期凝集力の
発現が速いので、充填した後、短時間で次工程の作業を
行うことが可能であって、生産性に優れる木質パネルの
充填接着方法を提供する。 【解決手段】 木質パネルの裏面に設けられた凹溝部内
に湿気硬化性熱溶融型樹脂を充填する木質パネルの充填
接着方法であって、上記湿気硬化性熱溶融型樹脂が、1
20℃における溶融粘度が10000mPa・s以下で
あり、かつ、120℃における溶融体積(V120)と
20℃における体積(V20)との関係が(V120−
V20)/V120<0.1を満たす湿気硬化性熱溶融
型樹脂であることを特徴とする木質パネルの充填接着方
法。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木質パネルの充填
接着方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、内装ドア、壁、床材、木質パ
ネルの土台等として中密度繊維板(MDF)や合板など
の各種木質パネルが使用されている。これらの木質パネ
ルは、表面に各種の装飾やパーツが裏面からのネジ止め
や釘打ち等によって取り付けられている。 【0003】この場合、施工性等を考慮し、裏面の平滑
さを保つために、木質パネルの裏面に凹状の溝加工を施
し、この凹溝部内にて上記ネジ止めや釘打ち等を行って
いる。また、凹溝部内でネジや釘等の加工部材が弛んだ
り外れたりするのを防止するために、凹溝部内に充填剤
(シーリング剤)や接着剤等を充填して、強固に接着加
工している。 【0004】ところが、通常の充填剤は常温では非常に
粘調なパテ状であるため、木質パネル裏面の凹溝部内に
充填した場合、凹溝部の隅々にまで十分に入り込まず、
接着欠陥部が発生するという問題点や、タックフリー時
間が長く、初期凝集力の発現が遅いため、充填した後、
少なくとも半日程度の養生を行わないと次工程での作業
ができず、生産性が悪いという問題点がある。 【0005】一方、2液混合型接着剤、例えば、2液混
合型ウレタン樹脂系接着剤や2液混合型エポキシ樹脂系
接着剤等を自動混合ミキサーで混合し、凹溝部内に充填
する方法も行われている。 【0006】この方法の場合、上記2液混合型接着剤は
一般的に粘度が低いため、凹溝部の隅々にまで十分に入
り込むことが可能であるが、やはりタックフリー時間が
長く、初期凝集力の発現が遅いため、充填した後、少な
くとも半日程度の養生を行わないと次工程での作業がで
きず、生産性が悪いという問題点が残る。また、初期凝
集力の発現を速めるために2液混合型接着剤を速硬化性
にすると、2液を混合した後の可使時間(ポットライ
フ)が短くなるため、充填時の作業性が悪くなるという
問題点が生じる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、充填剤兼接着剤が木質パネルの裏面に設
けられた凹溝部内の隅々にまで入り込むので、接着欠陥
部の発生がなく、かつ、上記充填剤兼接着剤は初期凝集
力の発現が速いので、充填した後、短時間で次工程の作
業を行うことが可能であって、生産性に優れる木質パネ
ルの充填接着方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
(本発明)による木質パネルの充填接着方法は、木質パ
ネルの裏面に設けられた凹溝部内に湿気硬化性熱溶融型
樹脂を充填する木質パネルの充填接着方法であって、上
記湿気硬化性熱溶融型樹脂が、120℃における溶融粘
度が10000mPa・s以下であり、かつ、120℃
における溶融体積(V120)と20℃における体積
(V20)との関係が(V120−V20)/V120
<0.1を満たす湿気硬化性熱溶融型樹脂であることを
特徴とする。 【0009】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂としては、常温で湿気硬化し得るものであって、か
つ、常温では固形または半固形であるが、加熱により熱
溶融し得るものであれば如何なる樹脂であっても良く、
特に限定されるものではないが、例えば、ポリオールと
ポリイソシアネート化合物との付加反応によって得られ
る分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレ
ポリマーを主成分としてなる湿気硬化性熱溶融型樹脂が
挙げられ、好適に用いられる。 【0010】上記ウレタンプレポリマーは、ポリオール
およびポリイソシアネート化合物の種類や組み合わせを
選択して、これらを付加反応させることにより、特性の
異なる種々のウレタンプレポリマーを得ることができ
る。これらのウレタンプレポリマーは、単独で用いられ
ても良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0011】上記ポリオールとしては、特に限定される
ものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポ
リカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポ
リオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。 【0012】ポリエステルポリオールの具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナ
フタル酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチ
レンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸などの
ジカルボン酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール
等のポリオールとの反応により得られるポリエステルポ
リオールや、ε−カプロラクタムを開環重合して得られ
るポリ−ε−カプロラクトンポリオールが挙げられる。
これらのポリエステルポリオールは、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0013】ポリエーテルポリオールの具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール等が挙げられる。これらのポリエ
ーテルポリオールは、単独で用いられても良いし、2種
類以上が併用されても良い。 【0014】ポリアルキレンポリオールの具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリブタ
ジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、
ポリイソプレンポリオール、水素化ポリイソプレンポリ
オール等が挙げられる。これらのポリアルキレンポリオ
ールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用
されても良い。 【0015】ポリカーボネートポリオールの具体例とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリヘ
キサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキ
サンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられ
る。これらのポリカーボネートポリオールは、単独で用
いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0016】また、上記ポリイソシアネート化合物とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、トリレ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)、MDIの液状変性物、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロ
ヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−
1,5−ジイソシアネート等が挙げられ、なかでも、安
全性、取り扱い易さ、反応性等の点で優れることから、
MDIやMDIの液状変性物が好適に用いられる。これ
らのポリイソシアネート化合物は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0017】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂には、主成分としての例えば上記ウレタンプレポリマ
ー以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に
応じて、例えば、溶融粘度や木質パネルの裏面に設けら
れた凹溝部に対する密着性や初期凝集力を向上させた
り、溶融粘度を調整するために、粘着性付与樹脂、熱可
塑性樹脂、熱可塑性ゴム、ワックス等が添加されていて
も良い。 【0018】粘着性付与樹脂としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹
脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂が挙げられる。こ
れらの粘着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。 【0019】上記粘着性付与樹脂は、特に限定されるも
のではないが、環球式軟化点が90〜150℃であるも
のが好ましい。 【0020】また、上記粘着性付与樹脂の添加量は、特
に限定されるものではないが、ウレタンプレポリマー1
00重量部に対して、粘着性付与樹脂200重量部以下
であることが好ましい。ウレタンプレポリマー100重
量部に対する粘着性付与樹脂の添加量が200重量部を
超えると、湿気硬化性熱溶融型樹脂の硬化物が高温下で
は耐熱性が低下したり、低温下で脆弱になることがあ
る。 【0021】熱可塑性樹脂としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)、エチレン−アクリル酸n−ブチルエステル
共重合体のようなエチレン−アクリル酸エステル共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−
ビニル系モノマー共重合体;ポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、エチレンやプロピレンとそれ以外のα−
オレフィンとの共重合体などのポリオレフィン系樹脂;
ポリエステル系樹脂;ポリカプロラクトン系樹脂等が挙
げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0022】熱可塑性ゴムとしては、特に限定されるも
のではないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピ
レン−スチレンブロック共重合体などのスチレンと共役
ジエンとの共重合体やその水素添加物等が挙げられる。
これらの熱可塑性ゴムは、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。また、上記熱可塑性樹
脂および熱可塑性ゴムは、それぞれ単独で用いられても
良いし、両者が併用されても良い。 【0023】上記熱可塑性樹脂や熱可塑性ゴムは、特に
限定されるものではないが、メルトインデックス(M
I)が50以上であるものが好ましい。 【0024】また、上記熱可塑性樹脂や熱可塑性ゴムの
添加量は、特に限定されるものではないが、ウレタンプ
レポリマー100重量部に対して、熱可塑性樹脂や熱可
塑性ゴム100重量部以下であることが好ましい。ウレ
タンプレポリマー100重量部に対する熱可塑性樹脂や
熱可塑性ゴムの添加量が100重量部を超えると、湿気
硬化性熱溶融型樹脂の溶融粘度が著しく高くなって、充
填性や塗工性などの作業性が低下することがある。 【0025】ワックスとしては、特に限定されるもので
はないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等が
挙げられる。これらのワックスは、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0026】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂には、主成分としての例えば前記ウレタンプレポリマ
ーおよび添加されていても良い上記粘着性付与樹脂、熱
可塑性樹脂、熱可塑性ゴム、ワックス等以外に、本発明
の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、
無機充填剤、有機充填剤、揺変性付与剤、例えば3級ア
ミンや有機金属化合物などの硬化触媒、脱水剤、カップ
リング剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸
収剤、着色剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添
加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良
い。 【0027】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂は、120℃における溶融粘度が10000mPa・
s以下であり、かつ、120℃における溶融体積(V1
20)と20℃における体積(V20)との関係が(V
120−V20)/V120<0.1を満たす湿気硬化
性熱溶融型樹脂であることが必要である。 【0028】湿気硬化性熱溶融型樹脂の120℃におけ
る溶融粘度を10000mPa・s以下とすることによ
り、湿気硬化性熱溶融型樹脂を木質パネルの裏面に設け
られた凹溝部内に充填する際の作業性が良くなるととも
に、充填された湿気硬化性熱溶融型樹脂が凹溝部内の隅
々にまで入り込むので、接着欠陥部の発生がなくなる。
また、充填後、湿気硬化性熱溶融型樹脂の温度低下に伴
い、溶融粘度が急激に上昇して流動しにくくなるため、
木質パネルを反転して次工程の作業を行う際に、湿気硬
化性熱溶融型樹脂がタレ流れることがなく、生産性が向
上する。 【0029】また、湿気硬化性熱溶融型樹脂の120℃
における溶融体積(V120)とは、湿気硬化性熱溶融
型樹脂が120℃に加熱溶融されて熱膨張した時の体積
を意味し、湿気硬化性熱溶融型樹脂の20℃における体
積(V20)とは、湿気硬化性熱溶融型樹脂が20℃に
冷却されて収縮した時の体積を意味する。従って、(V
120−V20)/V120が小さいほど冷却時の体積
収縮が少ないことになる。 【0030】上記(V120−V20)/V120が
0.1以上であると、湿気硬化性熱溶融型樹脂の冷却時
における体積収縮が大きいということになり、充填面か
らの剥離が起こったり、充填された湿気硬化性熱溶融型
樹脂中にクラック(ひび割れ)が生じて、接着欠陥部が
発生する。 【0031】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂は、加熱溶融され、次いで冷却固化した後の表面が粘
着性を有していても良いし、粘着性を有していなくても
良いが、次工程もしくは後工程での作業性を考慮する
と、粘着性を有していない方が好ましい。 【0032】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂の充填方法は、特に限定されるものではなく、例え
ば、加熱機器を備えた専用のアプリケーターやハンドガ
ン等の各種塗工装置を用いて、加熱溶融させた湿気硬化
性熱溶融型樹脂をビード状、スパイラル状、フォーム状
等の様々なパターンで、木質パネルの裏面に設けられた
凹溝部内に充填すれば良い。 【0033】上記充填時における湿気硬化性熱溶融型樹
脂の加熱溶融温度は、特に限定されるものではないが、
100〜130℃であることが好ましい。 【0034】 【作用】本発明の木質パネルの充填接着方法は、充填剤
兼接着剤として120℃における溶融粘度が10000
mPa・s以下であり、かつ、120℃における溶融体
積(V120)と20℃における体積(V20)との関
係が(V120−V20)/V120<0.1を満たす
湿気硬化性熱溶融型樹脂を用いるので、木質パネルの裏
面に設けられた凹溝部内の隅々にまで入り込み、従って
接着欠陥部の発生がなく、かつ、初期凝集力の発現が速
く、従って充填した後、短時間で次工程の作業を行うこ
とが可能であって、生産性に優れるものである。 【0035】 【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例の
みに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」
は「重量部」を意味する。 【0036】(実施例1)1,6−ヘキサンアジペート
(水酸基価:25)100部および分子内にビスフェノ
ールA型骨格を有するポリエーテル(商品名「BPX−
55」、分子量:1000、旭電化工業社製)90部を
100℃で加熱溶融した後、93.3kPa(700m
mHg)の減圧下で1時間脱水した。次いで、MDI
(商品名「Isonate125M」、三菱化成ダウ社
製)60部を投入し、3時間反応させて、常温で結晶性
を有するウレタンプレポリマーを合成し、このウレタン
プレポリマーをそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(A)
として用いた。 【0037】、(実施例2)ポリブタジエン(商品名
「R−45HT」、分子量:2800、出光石油化学社
製)40部、石油樹脂(商品名「アルコンM−10
0」、軟化点:100℃、荒川化学工業社製)30部、
エチレン−ブチルアクリレート共重合体(商品名「ロト
リル35BA320」、アトフィナ社製)20部および
エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックス(商品名「ウ
ルトラセン7A55A」、東ソー社製)10部を160
℃で加熱溶融した後、90℃に調温した。次いで、NC
O/OH(モル比)が2.0となるようにMDI(商品
名「スミジュール44S」、住化バイエル社製)8部を
添加し、窒素ガス雰囲気下で3時間反応させて、常温で
固形のウレタンプレポリマーを合成し、このウレタンプ
レポリマーをそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(B)と
して用いた。 【0038】(実施例3)1,6−ヘキサンセバケート
(水酸基価:30)400部およびロジンエステル樹脂
(軟化点:100℃)400部をセパラブルフラスコ中
にて120℃で加熱溶融した後、3.3kPa(700
mmHg)の減圧下で1時間脱水した。次いで、この加
熱溶融物を100℃に温調した後、MDI「スミジュー
ル44S」54部を投入し、3時間反応させて、常温で
固形のウレタンプレポリーを合成し、このウレタンプレ
ポリマーをそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(C)とし
て用いた。 【0039】(比較例1)1,6−ヘキサンジオールと
デカメチレンジカルボン酸とからなるポリエステル樹脂
(水酸基価:30)100部をセパラブルフラスコ中に
て100℃で加熱溶融した後、3.3kPa(700m
mHg)の減圧下で1時間脱水した。次いで、MDI
「Isonate125M」15部を投入し、3時間反
応させて、常温で結晶性を有するウレタンプレポリマー
を合成し、このウレタンプレポリマーをそのまま湿気硬
化性熱溶融型樹脂(D)として用いた。 【0040】(比較例2)市販の湿気硬化性熱溶融型接
着剤(商品名「エスダイン9615W」、積水化学工業
社製)をそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(E)として
用いた。 【0041】(比較例3)湿気硬化性熱溶融型樹脂の代
わりに、市販の2液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤
(商品名「エスダイン3200」、積水化学工業社製)
を用いた。 【0042】実施例1〜実施例3、および、比較例1お
よび比較例2の湿気硬化性熱溶融型樹脂の特性{溶融粘
度および(V120−V20)/V120}を以下の方
法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。 【0043】溶融粘度:JIS K−6862「ホット
メルト接着剤の溶融粘度試験方法」に準拠して、湿気硬
化性熱溶融型樹脂の120℃および90℃における溶融
粘度を測定した。 【0044】(V120−V20)/V120:メスシ
リンダー中に湿気硬化性熱溶融型樹脂の所定量を入れ、
20℃における体積(V20)および120℃における
溶融体積(V120)を測定し、(V120−V20)
/V120を算出した。 【0045】また、実施例1〜実施例3、および、比較
例1および比較例2の湿気硬化性熱溶融型樹脂および比
較例3の2液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤の性能
(充填時間、凹溝部充填性、クラックの有無、
初期タレ性)を以下の方法で評価した。その結果は表1
に示すとおりであった。 【0046】充填時間:厚み30mmのMDFの裏面
に幅10mm、深さ5mm、長さ30cmの凹溝部を設
けた。次いで、120℃に設定したハンドガン{ノズル
径:3mm、エア圧:490kPa(5kg/c
m2 )}を用いて、湿気硬化性熱溶融型樹脂を上記凹溝
部内に充填し、湿気硬化性熱溶融型樹脂が凹溝部内を十
分に充填するまでの充填時間を測定した。なお、比較例
3の2液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤については、
主剤/硬化剤=1/1(重量比)の混合物(20℃にお
ける粘度:10000mPa・s)を用い、上記凹溝部
内に20℃で充填し、充填時間を測定した。 【0047】凹溝部充填性:で作製した充填物を2
0℃の雰囲気下に24時間放置して養生した後、カット
して、湿気硬化性熱溶融型樹脂または2液混合型液状エ
ポキシ樹脂系接着剤の充填状況を目視で観察し、下記判
定基準により凹溝部充填性を評価した。 〔判定基準〕 ◎‥‥凹溝部内の隅々にまで十分に充填されていた。 ○‥‥1mm未満の空隙部が認められたが、殆ど充填さ
れていた。 ×‥‥1mm以上の空隙部が認められた。 【0048】クラックの有無:で作製したカット物
を目視で観察し、クラックの有無を確認した。 【0049】初期タレ性:で作製した充填物を充填
直後から1分毎に凹溝部が垂直になるように立て、湿気
硬化性熱溶融型樹脂または2液混合型液状エポキシ樹脂
系接着剤の流動状況を目視で観察し、下記判定基準によ
り初期タレ性を評価した。 〔判定基準〕 ○‥‥全く流動せず、タレは認められなかった。 △‥‥表面に多少の起伏が発生した。 ×‥‥流動し、タレが発生した。 【0050】 【表1】【0051】表1から明らかなように、本発明による実
施例1〜実施例3の木質パネルの充填接着方法は、いず
れも充填時間が短く、凹溝部充填性に優れ、クラックの
発生がなく、かつ、初期凝集力の発現が速く、初期タレ
も短時間で止まったので、生産性に優れていた。 【0052】これに対し、(V120−V20)/V1
20が0.1を超えていた湿気硬化性熱溶融型樹脂を用
いた比較例1の木質パネルの充填接着方法は、凹溝部充
填性が悪く、クラックの発生も認められた。また、12
0℃における溶融粘度が10000mPa・sを超えて
いた湿気硬化性熱溶融型樹脂を用いた比較例2の木質パ
ネルの充填接着方法は、充填時間が長く、生産性が悪か
った。さらに、湿気硬化性熱溶融型樹脂の代わりに、2
液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤を用いた比較例3の
木質パネルの充填接着方法は、初期凝集力の発現が遅
く、生産性が悪かった。 【0053】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の木質パネル
の充填接着方法によれば、湿気硬化性熱溶融型樹脂(充
填剤兼接着剤)が木質パネルの裏面に設けられた凹溝部
内の隅々にまで入り込むので、接着欠陥部の発生がな
く、かつ、上記湿気硬化性熱溶融型樹脂は初期凝集力の
発現が速いので、充填した後、短時間で次工程の作業を
行うことが可能であるので、優れた生産性で木質パネル
の充填接着を行うことができる。
接着方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、内装ドア、壁、床材、木質パ
ネルの土台等として中密度繊維板(MDF)や合板など
の各種木質パネルが使用されている。これらの木質パネ
ルは、表面に各種の装飾やパーツが裏面からのネジ止め
や釘打ち等によって取り付けられている。 【0003】この場合、施工性等を考慮し、裏面の平滑
さを保つために、木質パネルの裏面に凹状の溝加工を施
し、この凹溝部内にて上記ネジ止めや釘打ち等を行って
いる。また、凹溝部内でネジや釘等の加工部材が弛んだ
り外れたりするのを防止するために、凹溝部内に充填剤
(シーリング剤)や接着剤等を充填して、強固に接着加
工している。 【0004】ところが、通常の充填剤は常温では非常に
粘調なパテ状であるため、木質パネル裏面の凹溝部内に
充填した場合、凹溝部の隅々にまで十分に入り込まず、
接着欠陥部が発生するという問題点や、タックフリー時
間が長く、初期凝集力の発現が遅いため、充填した後、
少なくとも半日程度の養生を行わないと次工程での作業
ができず、生産性が悪いという問題点がある。 【0005】一方、2液混合型接着剤、例えば、2液混
合型ウレタン樹脂系接着剤や2液混合型エポキシ樹脂系
接着剤等を自動混合ミキサーで混合し、凹溝部内に充填
する方法も行われている。 【0006】この方法の場合、上記2液混合型接着剤は
一般的に粘度が低いため、凹溝部の隅々にまで十分に入
り込むことが可能であるが、やはりタックフリー時間が
長く、初期凝集力の発現が遅いため、充填した後、少な
くとも半日程度の養生を行わないと次工程での作業がで
きず、生産性が悪いという問題点が残る。また、初期凝
集力の発現を速めるために2液混合型接着剤を速硬化性
にすると、2液を混合した後の可使時間(ポットライ
フ)が短くなるため、充填時の作業性が悪くなるという
問題点が生じる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、充填剤兼接着剤が木質パネルの裏面に設
けられた凹溝部内の隅々にまで入り込むので、接着欠陥
部の発生がなく、かつ、上記充填剤兼接着剤は初期凝集
力の発現が速いので、充填した後、短時間で次工程の作
業を行うことが可能であって、生産性に優れる木質パネ
ルの充填接着方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
(本発明)による木質パネルの充填接着方法は、木質パ
ネルの裏面に設けられた凹溝部内に湿気硬化性熱溶融型
樹脂を充填する木質パネルの充填接着方法であって、上
記湿気硬化性熱溶融型樹脂が、120℃における溶融粘
度が10000mPa・s以下であり、かつ、120℃
における溶融体積(V120)と20℃における体積
(V20)との関係が(V120−V20)/V120
<0.1を満たす湿気硬化性熱溶融型樹脂であることを
特徴とする。 【0009】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂としては、常温で湿気硬化し得るものであって、か
つ、常温では固形または半固形であるが、加熱により熱
溶融し得るものであれば如何なる樹脂であっても良く、
特に限定されるものではないが、例えば、ポリオールと
ポリイソシアネート化合物との付加反応によって得られ
る分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレ
ポリマーを主成分としてなる湿気硬化性熱溶融型樹脂が
挙げられ、好適に用いられる。 【0010】上記ウレタンプレポリマーは、ポリオール
およびポリイソシアネート化合物の種類や組み合わせを
選択して、これらを付加反応させることにより、特性の
異なる種々のウレタンプレポリマーを得ることができ
る。これらのウレタンプレポリマーは、単独で用いられ
ても良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0011】上記ポリオールとしては、特に限定される
ものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポ
リカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポ
リオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。 【0012】ポリエステルポリオールの具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナ
フタル酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチ
レンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸などの
ジカルボン酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール
等のポリオールとの反応により得られるポリエステルポ
リオールや、ε−カプロラクタムを開環重合して得られ
るポリ−ε−カプロラクトンポリオールが挙げられる。
これらのポリエステルポリオールは、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0013】ポリエーテルポリオールの具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール等が挙げられる。これらのポリエ
ーテルポリオールは、単独で用いられても良いし、2種
類以上が併用されても良い。 【0014】ポリアルキレンポリオールの具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリブタ
ジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、
ポリイソプレンポリオール、水素化ポリイソプレンポリ
オール等が挙げられる。これらのポリアルキレンポリオ
ールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用
されても良い。 【0015】ポリカーボネートポリオールの具体例とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリヘ
キサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキ
サンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられ
る。これらのポリカーボネートポリオールは、単独で用
いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0016】また、上記ポリイソシアネート化合物とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、トリレ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)、MDIの液状変性物、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロ
ヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−
1,5−ジイソシアネート等が挙げられ、なかでも、安
全性、取り扱い易さ、反応性等の点で優れることから、
MDIやMDIの液状変性物が好適に用いられる。これ
らのポリイソシアネート化合物は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0017】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂には、主成分としての例えば上記ウレタンプレポリマ
ー以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に
応じて、例えば、溶融粘度や木質パネルの裏面に設けら
れた凹溝部に対する密着性や初期凝集力を向上させた
り、溶融粘度を調整するために、粘着性付与樹脂、熱可
塑性樹脂、熱可塑性ゴム、ワックス等が添加されていて
も良い。 【0018】粘着性付与樹脂としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹
脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂が挙げられる。こ
れらの粘着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。 【0019】上記粘着性付与樹脂は、特に限定されるも
のではないが、環球式軟化点が90〜150℃であるも
のが好ましい。 【0020】また、上記粘着性付与樹脂の添加量は、特
に限定されるものではないが、ウレタンプレポリマー1
00重量部に対して、粘着性付与樹脂200重量部以下
であることが好ましい。ウレタンプレポリマー100重
量部に対する粘着性付与樹脂の添加量が200重量部を
超えると、湿気硬化性熱溶融型樹脂の硬化物が高温下で
は耐熱性が低下したり、低温下で脆弱になることがあ
る。 【0021】熱可塑性樹脂としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)、エチレン−アクリル酸n−ブチルエステル
共重合体のようなエチレン−アクリル酸エステル共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−
ビニル系モノマー共重合体;ポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、エチレンやプロピレンとそれ以外のα−
オレフィンとの共重合体などのポリオレフィン系樹脂;
ポリエステル系樹脂;ポリカプロラクトン系樹脂等が挙
げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0022】熱可塑性ゴムとしては、特に限定されるも
のではないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピ
レン−スチレンブロック共重合体などのスチレンと共役
ジエンとの共重合体やその水素添加物等が挙げられる。
これらの熱可塑性ゴムは、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。また、上記熱可塑性樹
脂および熱可塑性ゴムは、それぞれ単独で用いられても
良いし、両者が併用されても良い。 【0023】上記熱可塑性樹脂や熱可塑性ゴムは、特に
限定されるものではないが、メルトインデックス(M
I)が50以上であるものが好ましい。 【0024】また、上記熱可塑性樹脂や熱可塑性ゴムの
添加量は、特に限定されるものではないが、ウレタンプ
レポリマー100重量部に対して、熱可塑性樹脂や熱可
塑性ゴム100重量部以下であることが好ましい。ウレ
タンプレポリマー100重量部に対する熱可塑性樹脂や
熱可塑性ゴムの添加量が100重量部を超えると、湿気
硬化性熱溶融型樹脂の溶融粘度が著しく高くなって、充
填性や塗工性などの作業性が低下することがある。 【0025】ワックスとしては、特に限定されるもので
はないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等が
挙げられる。これらのワックスは、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。 【0026】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂には、主成分としての例えば前記ウレタンプレポリマ
ーおよび添加されていても良い上記粘着性付与樹脂、熱
可塑性樹脂、熱可塑性ゴム、ワックス等以外に、本発明
の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、
無機充填剤、有機充填剤、揺変性付与剤、例えば3級ア
ミンや有機金属化合物などの硬化触媒、脱水剤、カップ
リング剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸
収剤、着色剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添
加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良
い。 【0027】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂は、120℃における溶融粘度が10000mPa・
s以下であり、かつ、120℃における溶融体積(V1
20)と20℃における体積(V20)との関係が(V
120−V20)/V120<0.1を満たす湿気硬化
性熱溶融型樹脂であることが必要である。 【0028】湿気硬化性熱溶融型樹脂の120℃におけ
る溶融粘度を10000mPa・s以下とすることによ
り、湿気硬化性熱溶融型樹脂を木質パネルの裏面に設け
られた凹溝部内に充填する際の作業性が良くなるととも
に、充填された湿気硬化性熱溶融型樹脂が凹溝部内の隅
々にまで入り込むので、接着欠陥部の発生がなくなる。
また、充填後、湿気硬化性熱溶融型樹脂の温度低下に伴
い、溶融粘度が急激に上昇して流動しにくくなるため、
木質パネルを反転して次工程の作業を行う際に、湿気硬
化性熱溶融型樹脂がタレ流れることがなく、生産性が向
上する。 【0029】また、湿気硬化性熱溶融型樹脂の120℃
における溶融体積(V120)とは、湿気硬化性熱溶融
型樹脂が120℃に加熱溶融されて熱膨張した時の体積
を意味し、湿気硬化性熱溶融型樹脂の20℃における体
積(V20)とは、湿気硬化性熱溶融型樹脂が20℃に
冷却されて収縮した時の体積を意味する。従って、(V
120−V20)/V120が小さいほど冷却時の体積
収縮が少ないことになる。 【0030】上記(V120−V20)/V120が
0.1以上であると、湿気硬化性熱溶融型樹脂の冷却時
における体積収縮が大きいということになり、充填面か
らの剥離が起こったり、充填された湿気硬化性熱溶融型
樹脂中にクラック(ひび割れ)が生じて、接着欠陥部が
発生する。 【0031】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂は、加熱溶融され、次いで冷却固化した後の表面が粘
着性を有していても良いし、粘着性を有していなくても
良いが、次工程もしくは後工程での作業性を考慮する
と、粘着性を有していない方が好ましい。 【0032】本発明で用いられる湿気硬化性熱溶融型樹
脂の充填方法は、特に限定されるものではなく、例え
ば、加熱機器を備えた専用のアプリケーターやハンドガ
ン等の各種塗工装置を用いて、加熱溶融させた湿気硬化
性熱溶融型樹脂をビード状、スパイラル状、フォーム状
等の様々なパターンで、木質パネルの裏面に設けられた
凹溝部内に充填すれば良い。 【0033】上記充填時における湿気硬化性熱溶融型樹
脂の加熱溶融温度は、特に限定されるものではないが、
100〜130℃であることが好ましい。 【0034】 【作用】本発明の木質パネルの充填接着方法は、充填剤
兼接着剤として120℃における溶融粘度が10000
mPa・s以下であり、かつ、120℃における溶融体
積(V120)と20℃における体積(V20)との関
係が(V120−V20)/V120<0.1を満たす
湿気硬化性熱溶融型樹脂を用いるので、木質パネルの裏
面に設けられた凹溝部内の隅々にまで入り込み、従って
接着欠陥部の発生がなく、かつ、初期凝集力の発現が速
く、従って充填した後、短時間で次工程の作業を行うこ
とが可能であって、生産性に優れるものである。 【0035】 【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例の
みに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」
は「重量部」を意味する。 【0036】(実施例1)1,6−ヘキサンアジペート
(水酸基価:25)100部および分子内にビスフェノ
ールA型骨格を有するポリエーテル(商品名「BPX−
55」、分子量:1000、旭電化工業社製)90部を
100℃で加熱溶融した後、93.3kPa(700m
mHg)の減圧下で1時間脱水した。次いで、MDI
(商品名「Isonate125M」、三菱化成ダウ社
製)60部を投入し、3時間反応させて、常温で結晶性
を有するウレタンプレポリマーを合成し、このウレタン
プレポリマーをそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(A)
として用いた。 【0037】、(実施例2)ポリブタジエン(商品名
「R−45HT」、分子量:2800、出光石油化学社
製)40部、石油樹脂(商品名「アルコンM−10
0」、軟化点:100℃、荒川化学工業社製)30部、
エチレン−ブチルアクリレート共重合体(商品名「ロト
リル35BA320」、アトフィナ社製)20部および
エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックス(商品名「ウ
ルトラセン7A55A」、東ソー社製)10部を160
℃で加熱溶融した後、90℃に調温した。次いで、NC
O/OH(モル比)が2.0となるようにMDI(商品
名「スミジュール44S」、住化バイエル社製)8部を
添加し、窒素ガス雰囲気下で3時間反応させて、常温で
固形のウレタンプレポリマーを合成し、このウレタンプ
レポリマーをそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(B)と
して用いた。 【0038】(実施例3)1,6−ヘキサンセバケート
(水酸基価:30)400部およびロジンエステル樹脂
(軟化点:100℃)400部をセパラブルフラスコ中
にて120℃で加熱溶融した後、3.3kPa(700
mmHg)の減圧下で1時間脱水した。次いで、この加
熱溶融物を100℃に温調した後、MDI「スミジュー
ル44S」54部を投入し、3時間反応させて、常温で
固形のウレタンプレポリーを合成し、このウレタンプレ
ポリマーをそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(C)とし
て用いた。 【0039】(比較例1)1,6−ヘキサンジオールと
デカメチレンジカルボン酸とからなるポリエステル樹脂
(水酸基価:30)100部をセパラブルフラスコ中に
て100℃で加熱溶融した後、3.3kPa(700m
mHg)の減圧下で1時間脱水した。次いで、MDI
「Isonate125M」15部を投入し、3時間反
応させて、常温で結晶性を有するウレタンプレポリマー
を合成し、このウレタンプレポリマーをそのまま湿気硬
化性熱溶融型樹脂(D)として用いた。 【0040】(比較例2)市販の湿気硬化性熱溶融型接
着剤(商品名「エスダイン9615W」、積水化学工業
社製)をそのまま湿気硬化性熱溶融型樹脂(E)として
用いた。 【0041】(比較例3)湿気硬化性熱溶融型樹脂の代
わりに、市販の2液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤
(商品名「エスダイン3200」、積水化学工業社製)
を用いた。 【0042】実施例1〜実施例3、および、比較例1お
よび比較例2の湿気硬化性熱溶融型樹脂の特性{溶融粘
度および(V120−V20)/V120}を以下の方
法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。 【0043】溶融粘度:JIS K−6862「ホット
メルト接着剤の溶融粘度試験方法」に準拠して、湿気硬
化性熱溶融型樹脂の120℃および90℃における溶融
粘度を測定した。 【0044】(V120−V20)/V120:メスシ
リンダー中に湿気硬化性熱溶融型樹脂の所定量を入れ、
20℃における体積(V20)および120℃における
溶融体積(V120)を測定し、(V120−V20)
/V120を算出した。 【0045】また、実施例1〜実施例3、および、比較
例1および比較例2の湿気硬化性熱溶融型樹脂および比
較例3の2液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤の性能
(充填時間、凹溝部充填性、クラックの有無、
初期タレ性)を以下の方法で評価した。その結果は表1
に示すとおりであった。 【0046】充填時間:厚み30mmのMDFの裏面
に幅10mm、深さ5mm、長さ30cmの凹溝部を設
けた。次いで、120℃に設定したハンドガン{ノズル
径:3mm、エア圧:490kPa(5kg/c
m2 )}を用いて、湿気硬化性熱溶融型樹脂を上記凹溝
部内に充填し、湿気硬化性熱溶融型樹脂が凹溝部内を十
分に充填するまでの充填時間を測定した。なお、比較例
3の2液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤については、
主剤/硬化剤=1/1(重量比)の混合物(20℃にお
ける粘度:10000mPa・s)を用い、上記凹溝部
内に20℃で充填し、充填時間を測定した。 【0047】凹溝部充填性:で作製した充填物を2
0℃の雰囲気下に24時間放置して養生した後、カット
して、湿気硬化性熱溶融型樹脂または2液混合型液状エ
ポキシ樹脂系接着剤の充填状況を目視で観察し、下記判
定基準により凹溝部充填性を評価した。 〔判定基準〕 ◎‥‥凹溝部内の隅々にまで十分に充填されていた。 ○‥‥1mm未満の空隙部が認められたが、殆ど充填さ
れていた。 ×‥‥1mm以上の空隙部が認められた。 【0048】クラックの有無:で作製したカット物
を目視で観察し、クラックの有無を確認した。 【0049】初期タレ性:で作製した充填物を充填
直後から1分毎に凹溝部が垂直になるように立て、湿気
硬化性熱溶融型樹脂または2液混合型液状エポキシ樹脂
系接着剤の流動状況を目視で観察し、下記判定基準によ
り初期タレ性を評価した。 〔判定基準〕 ○‥‥全く流動せず、タレは認められなかった。 △‥‥表面に多少の起伏が発生した。 ×‥‥流動し、タレが発生した。 【0050】 【表1】【0051】表1から明らかなように、本発明による実
施例1〜実施例3の木質パネルの充填接着方法は、いず
れも充填時間が短く、凹溝部充填性に優れ、クラックの
発生がなく、かつ、初期凝集力の発現が速く、初期タレ
も短時間で止まったので、生産性に優れていた。 【0052】これに対し、(V120−V20)/V1
20が0.1を超えていた湿気硬化性熱溶融型樹脂を用
いた比較例1の木質パネルの充填接着方法は、凹溝部充
填性が悪く、クラックの発生も認められた。また、12
0℃における溶融粘度が10000mPa・sを超えて
いた湿気硬化性熱溶融型樹脂を用いた比較例2の木質パ
ネルの充填接着方法は、充填時間が長く、生産性が悪か
った。さらに、湿気硬化性熱溶融型樹脂の代わりに、2
液混合型液状エポキシ樹脂系接着剤を用いた比較例3の
木質パネルの充填接着方法は、初期凝集力の発現が遅
く、生産性が悪かった。 【0053】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の木質パネル
の充填接着方法によれば、湿気硬化性熱溶融型樹脂(充
填剤兼接着剤)が木質パネルの裏面に設けられた凹溝部
内の隅々にまで入り込むので、接着欠陥部の発生がな
く、かつ、上記湿気硬化性熱溶融型樹脂は初期凝集力の
発現が速いので、充填した後、短時間で次工程の作業を
行うことが可能であるので、優れた生産性で木質パネル
の充填接着を行うことができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 木質パネルの裏面に設けられた凹溝部内
に湿気硬化性熱溶融型樹脂を充填する木質パネルの充填
接着方法であって、上記湿気硬化性熱溶融型樹脂が、1
20℃における溶融粘度が10000mPa・s以下で
あり、かつ、120℃における溶融体積(V120)と
20℃における体積(V20)との関係が(V120−
V20)/V120<0.1を満たす湿気硬化性熱溶融
型樹脂であることを特徴とする木質パネルの充填接着方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002121177A JP2003313513A (ja) | 2002-04-23 | 2002-04-23 | 木質パネルの充填接着方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002121177A JP2003313513A (ja) | 2002-04-23 | 2002-04-23 | 木質パネルの充填接着方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003313513A true JP2003313513A (ja) | 2003-11-06 |
Family
ID=29537196
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002121177A Pending JP2003313513A (ja) | 2002-04-23 | 2002-04-23 | 木質パネルの充填接着方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003313513A (ja) |
-
2002
- 2002-04-23 JP JP2002121177A patent/JP2003313513A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102245051B1 (ko) | 제거가능 폴리우레탄 핫 멜트 접착제 및 용도 | |
JP5773652B2 (ja) | 湿気硬化性ホットメルト接着剤 | |
JPH0216180A (ja) | ホットメルトポリウレタン接着性組成物 | |
EP3394198B1 (en) | Moisture-curable hot melt adhesive | |
JP2007308705A (ja) | 2成分型ポリウレタン接着剤 | |
TW201623538A (zh) | 具有高起始和最終強度之雙組份式熱熔性聚胺基甲酸酯黏著劑 | |
KR20180133846A (ko) | 습기 경화형 반응성 핫멜트 접착제 조성물 및 그의 제조 방법 | |
JP2007091996A (ja) | 湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤 | |
JP2007211150A (ja) | 反応型ホットメルト接着剤組成物 | |
CN114616304B (zh) | 用于低温施加的聚氨酯热熔粘合剂 | |
US20200087542A1 (en) | Moisture-Curable Hot-Melt Adhesive Agent | |
US7053152B2 (en) | Highly elastic polyurethane hot-melt adhesives | |
JPH0753940A (ja) | 湿分硬化性ポリウレタン系接着剤組成物 | |
US20200095471A1 (en) | Moisture-Curable Hot-Melt Adhesive Agent | |
JP3623149B2 (ja) | 湿気硬化型接着剤組成物 | |
JP2003313513A (ja) | 木質パネルの充填接着方法 | |
JP4477738B2 (ja) | 湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤 | |
TW201906974A (zh) | 具有經胺基甲酸酯改質之松香的濕氣可固化熱熔融黏著劑 | |
JP5969842B2 (ja) | コンクリート型枠の製造方法 | |
JPH11349913A (ja) | 反応性ホットメルト形接着性発泡体 | |
JP2001107014A (ja) | 湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物 | |
KR102437160B1 (ko) | 수지 조성물의 장비 내 흐름성 판단방법 | |
JP2007332278A (ja) | 反応性ホットメルト接着剤組成物 | |
JP6276554B2 (ja) | コンクリート型枠の製造方法 | |
JP4021182B2 (ja) | 木質材料表面の補修剤 |