JP2003313218A - オレフィンの多段重合法 - Google Patents

オレフィンの多段重合法

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JP2003313218A
JP2003313218A JP2002117099A JP2002117099A JP2003313218A JP 2003313218 A JP2003313218 A JP 2003313218A JP 2002117099 A JP2002117099 A JP 2002117099A JP 2002117099 A JP2002117099 A JP 2002117099A JP 2003313218 A JP2003313218 A JP 2003313218A
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Japan
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transition metal
ethylene
olefin
atom
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Application number
JP2002117099A
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English (en)
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Toshiyuki Tsutsui
俊之 筒井
Mamoru Takahashi
守 高橋
Shotaro Matsuda
正太郎 松田
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形性に優れ、かつ透明性、機械的強度に優れ
たフィルムを製造できるエチレン系共重合体組成物の製
造方法を提供すること。 【解決手段】下記工程[I]と[II]を含むことを特徴と
するオレフィンの多段重合法。工程[I];M x
[b]有機アルミニウムオキシ化合物等とを、[c]担体
上に担持した触媒[d-1]の存在下に、エチレンとα-
オレフィンとを共重合させ、共重合体(A)を製造する
工程。工程[II];工程[I]で得られた(A)の存在
下、M または M 、前記[b]、およ
び前記[c]上に担持した触媒[d-2]を添加し、エ
チレンまたはエチレンとα-オレフィンとを(共)重合
させ、共重合体(B)を製造する工程。〔ただし、
,M,Mは第IVb族遷移金属、Lの少なくとも
二個はCp基またはC1〜C10置換Cp基、Lは架橋型Cp
基、Lの少なくても二個はMeまたはEt基を2〜5個持
つCp基。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィンの多段
重合法に関し、さらに詳しくは、従来公知のエチレン系
共重合体またはエチレン系共重合体組成物と比較して熱
安定性および成形性に優れ、かつ透明性、機械的強度に
優れたフィルムとなり得るようなエチレン系共重合体組
成物の多段重合法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エチレン系共重合体は、種々の成形方法
により成形され、多方面の用途に供されている。エチレ
ン系共重合体は、成形方法や用途に応じて要求される特
性も異なってくる。例えばインフレーションフィルムを
高速で成形しようとする場合、バブルのゆれ、あるいは
ちぎれがなく、安定して高速成形を行なうためには、エ
チレン系共重合体として分子量の割にはメルトテンショ
ン(溶融張力)の大きいものを選択しなければならな
い。同様の特性が中空成形におけるたれ下りあるいはち
ぎれを防止するために、あるいはTダイ成形における幅
落ちを最小限に押えるために必要である。加えてこのよ
うな押出成形では、押出時における高剪断下におけるエ
チレン系共重合体の応力が小さいことが成形物の品質向
上や成形時の消費電力減少等の経済面からも必要であ
る。
【0003】ところで、チーグラー型触媒、特にチタン
系触媒を用いて得られるエチレン重合体のメルトテンシ
ョン(溶融張力)や膨比(ダイスウエル比)を向上させ
て成形性の向上を図る方法が、特開昭56-90810
号公報あるいは特開昭60-106806号公報などに
提案されている。しかし、一般にチタン系触媒を用いて
得られるエチレン系重合体、特に低密度エチレン系共重
合体では、組成分布が広く、フィルムなどの成形体はベ
タつきがあるなどの問題点があった。
【0004】また、クロム系触媒を用いて得られるエチ
レン系重合体は、メルトテンションは比較的高いが、共
重合性に劣り、生成するエチレン系共重合体の組成分布
が広いという問題点がある。
【0005】チーグラー型触媒系のうち、メタロセン触
媒系を用いて得られるエチレン系重合体は、組成分布が
狭くフィルムなどの成形体はベタつきが少ないなどの長
所があることが知られている。しかしながら、得られる
エチレン系重合体のメルトテンション(溶融張力)や膨
比(ダイスウエル比)が小さく成形性に劣ることが予想
される。
【0006】このため、もしメルトテンションが高く、
機械的強度に優れ、かつ組成分布の狭いようなオレフィ
ン重合体、特にエチレン系共重合体を製造し得るような
オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法が出
現すれば、その工業的価値は極めて大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な状況に鑑みなされたものであって、成形性に優れ、か
つ透明性、機械的強度に優れたフィルムを製造できるエ
チレン系共重合体組成物の製造方法を提供することを目
的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は多段
重合方法に関し、下記一般式[a-1]で表わされる遷移
金属化合物から選ばれる少なくとも1種と M …[a-1] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
は、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジ
エニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、ま
たは炭素数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくと
も1種の基を有する置換シクロペンタジエニル基であ
り、シクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジ
エニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水
素基、アルコキシ基、アリーロキシ(aryloxy)基、トリ
アルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原子であ
り、xは遷移金属Mの原子価である。) [b]有機アルミニウムオキシ化合物および/または上
記の遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合
物とを [c]微粒子担体上に担持したオレフィン重合用触媒
[d-1]の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-
オレフィンとを共重合させ、エチレン・α-オレフィン
共重合体(A)を製造する工程[I]と工程[I]で得
られたエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の存在
下に、下記一般式[a-2]または一般式[a-3]で表
わされる遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種と M …[a-2] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
は、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエ
ニル基であり、これらの配位子は炭化水素基、シリレン
基または置換シリレン基を介して結合しており、シクロ
ペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基以
外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アル
コキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子または水素原子であり、xは遷移金属M
原子価である。) M …[a-3] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
は、メチル基およびエチル基から選ばれる置換基のみ
を2〜5個有する置換シクロペンタジエニル基であり、
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素
数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原
子であり、xは遷移金属Mの原子価である。) [b]有機アルミニウムオキシ化合物および/または上
記の遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合
物とを [c]微粒子担体上に担持したオレフィン重合用触媒
[d-2]を添加し、エチレンまたはエチレンと炭素数
3〜20のα-オレフィンとを(共)重合させ、エチレ
ン・α-オレフィン共重合体(B)を製造する工程[I
I]とを含むことを特徴とするオレフィンの多段重合法
に関する。
【0009】本発明では、共重合工程[I]および
(共)重合工程[II]において用いられるオレフィン
重合用触媒は、オレフィンが予備重合されてなる予備重
合触媒であってもよい。
【0010】このようなオレフィンの多段重合法による
と、熱安定性および成形性に優れ、かつ透明性、機械的
強度に優れたフィルムを製造できるエチレン系共重合体
組成物を得ることができる以下、本発明に係るオレフィ
ンの多段重合法について具体的に説明する。
【0011】本発明で用いられるオレフィン重合用触媒
[d-1]および[d-2]を形成する触媒成分である、
[b]有機アルミニウムオキシ化合物および/または下
記の遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合
物、[a-1]、[a-3]シクロペンタジエニル骨格を
有する配位子を含む周期律表第IVb族の遷移金属化合
物、[a-2]炭化水素基、シリレン基または置換シリ
レン基を介して結合したシクロペンタジエニル骨格を有
する配位子を含む周期律表第IVb族の遷移金属化合
物、[c]担体について具体的に説明する。
【0012】本発明で用いられるオレフィン重合用触媒
[d-1]および[d-2]を形成する[b]有機アルミ
ニウムオキシ化合物(以下「成分[b]」と記載するこ
とがある。)は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノ
キサンであってもよく、また特開平2−276807号
公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アル
ミニウムオキシ化合物であってもよい。また、遷移金属
化合物と反応してイオン対を形成する化合物としては、
特開平1−501950号公報、特開平3−17900
5号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−
207704号公報、USP−5321106号などに
記載されたルイス酸、イオン化化合物およびカルボラン
化合物が挙げられる。
【0013】次に、本発明で用いられるオレフィン重合
用触媒[d-1]および[d-2]を形成する[a-
1]、[a-2]および[a-3]の遷移金属化合物につ
いて説明する。本発明で用いられる[a-1]遷移金属
化合物は、下記一般式[a-1]で表され、[a-2]遷
移金属化合物は、下記一般式[a-2]で表わされ、
[a-3]遷移金属化合物は、下記一般式[a-3]で表
わされる。
【0014】M1 … [a-1] (式中M1は、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
は、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジ
エニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、ま
たは炭素数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくと
も1種の基を有する置換シクロペンタジエニル基であ
り、シクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジ
エニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水
素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシ
リル基、ハロゲン原子または水素原子であり、xは遷移
金属Mの原子価である。) M … [a-2] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
は、シクロアルカジエニル基または置換シクロペンタ
ジエニル基であり、これらの配位子は炭化水素基、シリ
レン基または置換シリレン基を介して結合しており、シ
クロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル
基以外の配位子L2は、炭素数1〜12の炭化水素基、
アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル
基、ハロゲン原子または水素原子であり、xは遷移金属
原子Mの原子価である。) M …[a-3] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
は、メチル基およびエチル基から選ばれる置換基のみ
を2〜5個有する置換シクロペンタジエニル基であり、
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素
数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原
子であり、xは遷移金属Mの原子価である。) 以下、上記一般式[a-1]、[a-2]および[a-
3]で表わされる遷移金属化合物について、より具体的
に説明する。
【0015】上記式[a-1]において、M1は周期律表
第IVb族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的に
は、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好
ましくはジルコニウムである。
【0016】Lは、遷移金属原子Mに配位する配位子
であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L1は、
シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル
基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、または炭
素数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種
の基を有する置換シクロペンタジエニル基である。これ
らの配位子は、各々同一であっても異なっていてもよ
い。またシクロペンタジエニル基または置換シクロペン
タジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭
化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキ
ルシリル基、ハロゲン原子または水素原子である。
【0017】なお置換シクロペンタジエニル基は、置換
基を2個以上有していてもよく、2個以上の置換基は各
々同一であっても異なっていてもよい。置換シクロペン
タジエニル基は、置換基を2個以上有する場合は、少な
くとも1個の置換基が炭素数3〜10の炭化水素基であ
ればよく、他の置換基は、メチル基、エチル基または炭
素数3〜10の炭化水素基である。
【0018】炭素数3〜10の炭化水素基として具体的
には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基などを例示することができる。より具体的に
は、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソ
ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基
などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル
基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基など
のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラル
キル基を例示することができる。
【0019】これらのうちアルキル基が好ましく、n-プ
ロピル基、n-ブチル基が特に好ましい。本発明では、遷
移金属に配位するシクロペンタジエニル基または置換シ
クロペンタジエニル基としては、置換シクロペンタジエ
ニル基が好ましく、炭素数3以上のアルキル基が置換し
たシクロペンタジエニル基がより好ましく、二置換シク
ロペンタジエニル基が更に好ましく、1,3-置換シクロペ
ンタジエニル基が特に好ましい。
【0020】また上記一般式[a-1]において、遷移
金属原子M1に配位するシクロペンタジエニル基または
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素
数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原
子である。
【0021】炭素数1〜12の炭化水素基としては、ア
ルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル
基などを例示することができ、より具体的には、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル
基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、
トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基
などのアラルキル基を例示することができる。
【0022】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキ
シ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ
基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などを
例示することができる。
【0023】アリーロキシ基としては、フェノキシ基な
どを例示することができる。トリアルキルシリル基とし
ては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ
フェニルシリル基などを例示することができる。
【0024】ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素である。このような一般式[b-I]で表わされる遷
移金属化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-プ
ロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ビス(n-ヘキシルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチル-n-プロピ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(メチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ビス(ジメチル-n-ブチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブローミド、ビ
ス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメト
キシクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(n-ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエト
キシド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムメチルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n-ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベン
ジル、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムフェニルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムハイドライドクロリド、ビス(ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ビス(エチルメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルエチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロ
ーミド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムメトキシクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(ジメ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロ
リド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジエトキシド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス(ジメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロ
リド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジベンジル、ビス(ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムフェニルクロリド、ビス(ジメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムハイドライドクロリ
ド、などが挙げられる。なお、上記例示において、シク
ロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体
を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。
本発明では、上記のようなジルコニウム化合物におい
て、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム
金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることができ
る。
【0025】これらの、一般式[a-1]で表わされる
遷移金属化合物のうちでは、ビス(n-プロピルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(1,3-メチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ビス(1,3-n-ブチルメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが特に好ま
しい。
【0026】上記一般式[a-2]においてM2は周期律
表第IVb族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的
には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、
好ましくはジルコニウムである。
【0027】Lは遷移金属原子Mに配位した配位子で
あり、これらのうち少なくとも2個の配位子L2は、シ
クロアルカジエニル基または置換シクロアルカジエニル
基であり、各々同一であっても異なっていてもよく、こ
れらの配位子は炭化水素基、シリレン基または置換シリ
レン基を介して結合している。このシクロアルカジエニ
ル基または置換シクロアルカジエニル基としては、イン
デニル基、置換インデニル基、シクロペンタジエニル
基、置換シクロペンタジエニル基、フルオレニル基、置
換フルオレニル基が好ましく、中でもインデニル基が特
に好ましい。
【0028】また上記式[a-2]において、シクロア
ルカジエニル基または置換シクロアルカジエニル基以外
の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコ
キシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハロ
ゲン原子または水素原子であり、xは遷移金属原子M
の原子価である。なお、各置換基は同一であっても異な
っていてもよい。
【0029】このような一般式[a-2]で表わされる
遷移金属化合物としては、エチレンビス(インデニル)
ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)
ジルコニウムジブローミド、エチレンビス(インデニ
ル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニ
ル)ジフェニルジルコニウム、エチレンビス(インデニ
ル)メチルジルコニウムモノクロリド、エチレンビス
(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナ
ト)、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス
(p-トルエンスルホナト)、エチレンビス(インデニ
ル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナ
ト)、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シク
ロペンタジエニル-メチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタ
ジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イ
ソプロピリデン(シクロペンタジエニル-2,7-ジ-t-ブチ
ルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキ
シリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジル
コニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペン
タジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(メチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル
シリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(トリメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメ
チルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウム
ビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ジメチルシリ
レンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエ
ニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェ
ニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、などが挙げられる。
【0030】本発明では、上記のようなジルコニウム化
合物において、ジルコニウム金属をチタン金属またはハ
フニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いること
ができる。
【0031】これらの、一般式[a-2]で表わされる
遷移金属化合物のうちでは、エチレンビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシ
リレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドが特
に好ましい。
【0032】上記一般式[a-3]においてM3は周期律
表第IVb族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的
には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、
好ましくはジルコニウムである。
【0033】L3は遷移金属原子M3に配位した配位子で
あり、これらのうち少なくとも2個の配位子L3は、メ
チル基およびエチル基から選ばれる置換基のみを2〜5
個有する置換シクロペンタジエニル基であり、各々同一
であっても異なっていてもよい。この置換シクロペンタ
ジエニル基は、置換基を2個以上有する置換シクロペン
タジエニル基であり、置換基を2〜3個有する置換シク
ロペンタジエニルであることが好ましく、2置換シクロ
ペンタジエニル基であることがより好ましく、1、3-置
換シクロペンタジエニル基であることが特に好ましい。
なお、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0034】また上記式[a-3]において、遷移金属
原子M3に配位する置換シクロペンタジエニル基以外の
配位子L3は、上記一般式[a-1]中のL1と同様の炭
素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素
原子である。
【0035】このような一般式[a-3]で表わされる
遷移金属化合物としては、ビス(ジメチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジエチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(ジメチルエチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジブローミド、ビス(ジメ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロ
リド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムエトキシクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムブトキシクロリド、ビス(ジメチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエトキシド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメ
チルクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムハイドライドクロリドなどが挙げ
られる。なお、上記例示において、シクロペンタジエニ
ル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換
体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。本発明では、上
記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム
金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた
遷移金属化合物を用いることができる。これらの、一般
式[a-3]で表わされる遷移金属化合物のうちでは、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ビス(1,3-ジエチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3-エチルメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが特に
好ましい。
【0036】本発明で用いられるオレフィン重合用触媒
[d-1]および[d-2]を形成する[c]担体(以下
「成分[c]」と記載することがある。)は、無機ある
いは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、
好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状
の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質
酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al23、M
gO、ZrO2、TiO 2、B23、CaO、ZnO、B
aO、ThO2等またはこれらの混合物、例えばSiO2
-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO
2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgO
等を例示することができる。これらの中でSiO2およ
びAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成
分を主成分とするものが好ましい。
【0037】なお、上記無機酸化物には少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2
Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、
硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつか
えない。
【0038】このような担体[c]はその種類および製
法により性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる
担体は、比表面積が50〜1000m/g、好ましく
は100〜700m/gであり、細孔容積が0.3〜
2.5cm/gであることが望ましい。該担体は、必
要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜7
00℃で焼成して用いられる。
【0039】このような担体[c]では、吸着水量が
1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であるこ
とが望ましく、表面水酸基が1.0重量%以上、好まし
くは1.5〜4.0重量%、特に好ましくは2.0〜3.5
重量%であることが望ましい。
【0040】ここで、担体[c]の吸着水量(重量%)
および表面水酸基量(重量%)は下記のようにして求め
られる。 [吸着水量]200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4
時間乾燥させたときの重量減を吸着水量とする。 [表面水酸基量]200℃の温度で、常圧、窒素流通下
で4時間乾燥して得られた担体の重量をX(g)とし、
さらに該担体を1000℃で20時間焼成して得られた
表面水酸基が消失した焼成物の重量をY(g)として、
下記式により計算する。
【0041】 表面水酸基量(重量%)={(X−Y)/X}×100 さらに、本発明で用いることのできる担体[c]として
は、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状
ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有
機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、
4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα-オレフ
ィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビ
ニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成され
る重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0042】さらに本発明で用いられるオレフィン重合
用触媒[d-1]および[d-2]を形成する触媒成分と
して、下記のような[e]有機アルミニウム化合物を必
要に応じて用いることができる。
【0043】本発明で必要に応じて用いられる[e]有
機アルミニウム化合物(以下「成分[e]」と記載する
ことがある。)としては、例えば下記一般式[IV]で表
される有機アルミニウム化合物を例示することができ
る。
【0044】R1 nAlX3-n … [IV] (式[IV]中、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基であ
り、Xはハロゲン原子、アルコキシ基または水素原子で
あり、nは1〜3である。) 上記一般式[IV]において、R は炭素数1〜12の
炭化水素基例えばアルキル基、シクロアルキル基または
アリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などであ
る。
【0045】このような有機アルミニウム化合物[e]
としては、具体的には以下のような化合物が挙げられ
る。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチル
ヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウ
ム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミ
ニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアル
ミニウムブローミドなどのジアルキルアルミニウムハラ
イド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセ
スキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エ
チルアルミニウムセスキブローミドなどのアルキルアル
ミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリ
ド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアル
ミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブローミド
などのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアル
ミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイ
ドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジ
メチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウム
エトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドな
ど。
【0046】本発明で用いられるオレフィン重合用触媒
[d-1]および[d-2]は、上記のような成分[a-
1]、[a-2]または[a-3]の遷移金属化合物と成
分[b]有機アルミニウムオキシ化合物および/または
上記の遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化
合物、成分[c]微粒子状担体、さらに必要に応じて成
分[e]有機アルミニウム化合物を接触させることによ
り形成される。
【0047】この際、接触順序は任意に選ばれるが、好
ましくは[c]微粒子状担体と[b]有機アルミニウム
オキシ化合物および/または上記の遷移金属化合物と反
応してイオン対を形成する化合物とを接触させ、次いで
[a-1]、[a-2]または[a-3]の遷移金属化合
物を接触させるか、[c]微粒子状担体と、[b]有機
アルミニウムオキシ化合物および/または上記の遷移金
属化合物と反応してイオン対を形成する化合物と[a-
1]、[a-2]または[a-3]の遷移金属化合物との
混合物を接触させる。
【0048】成分[a-1]、[a-2]または[a-
3]、成分[b]、成分[c]および必要に応じて、成
分[e]を混合するに際して、成分[a-1]、[a-
2]または[a-3]は、成分[c]1g当り、通常5×
10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10
-4モルの量で用いられ、成分[a-1]、[a-2]また
は[a-3]の濃度は、約10-4〜2×10-2モル/リ
ットル、好ましくは2×10-4〜10-2モル/リットル
の範囲である。
【0049】成分[b]のアルミニウムと、成分[a-
1]、[a-2]または[a-3]中の遷移金属との原子
比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましく
は20〜200であり、また、成分[b]の遷移金属化
合物と反応してイオン対を形成する化合物と、成分[a
-1]、[a-2]または[a-3]のモル比(b/a)
は、通常0.5〜50、好ましくは1〜20である。
【0050】成分[a-1]、[a-2]または[a-
3]、成分[b]、成分[c]および必要に応じて、成
分[e]を混合するに際の混合温度は、通常−50〜1
50℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間
は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間であ
る。特に、成分[c]と成分[b]との反応温度は、通
常50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
【0051】上記接触は、下記のような不活性炭化水素
溶媒中で行なうことができる。プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレ
ンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハ
ロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物。
【0052】上記のようにして得られた本発明のオレフ
ィン重合用触媒は、成分[c]1g当り約5×10-6
5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4
グラム原子の遷移金属原子が担持され、また約10-3
5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3〜2×1
-2グラム原子のアルミニウム原子が担持されているこ
とが望ましい。
【0053】本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上
記のような成分[a-1]、[a-2]または[a-
3]、成分[b]、成分[c]および必要に応じて、成
分[e]にオレフィンを予備重合させて得られる予備重
合触媒であってもよい。予備重合する際には、上記成分
[a-1]、[a-2]または[a-3]は、該成分中の
遷移金属原子に換算して通常10-6〜2×10-2モル/
リットル(溶媒)、好ましくは5×10-5〜10-2モル
/リットル(溶媒)の量で用いられる。この際、成分
[a-1]、[a-2]または[a-3]に対し、有機ア
ルミニウムを遷移金属との原子比(Al/遷移金属)
で、通常10〜500、好ましくは20〜200で用い
ることが好ましい。
【0054】予備重合温度は−20〜60℃、好ましく
は0〜50℃であり、また予備重合時間は0.5〜10
0時間、好ましくは1〜50時間程度である。予備重合
の際に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび
炭素数が3〜20のα-オレフィン、例えばプロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テト
ラデセンなどを例示することができる。これらの中で
は、エチレン、またはエチレンと重合の際に用いられる
α-オレフィンとの組合せが特に好ましい。
【0055】予備重合において、生成するオレフィン重
合体は、担体1g当り0.1〜500g、好ましくは0.
2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量で
あることが望ましい。
【0056】予備重合は、回分式あるいは連続式のいず
れでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下
のいずれでも行うことができる。予備重合においては、
少なくとも135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.2〜7dl/gの範囲、好ましくは0.5〜
5dl/gであるような予備重合体を製造することが望
ましい。
【0057】本発明に係るオレフィンの多段重合法は、
上記のようなオレフィン重合用触媒[d-1]の存在下
に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを共
重合させ、エチレン・α-オレフィン共重合体[A]を
製造する工程[I]と、工程[I]で得られたエチレン
・α-オレフィン共重合体[A]の存在下に、上記のよ
うなオレフィン重合用触媒[d-2]を添加し、エチレ
ンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを(共)重合さ
せ、エチレン・α-オレフィン共重合体[B]を製造す
る工程[II]とを含んでいる。
【0058】本発明で用いられる炭素数が3〜20のα
-オレフィンとして具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1
-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1
-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが
挙げられる。
【0059】本発明では、エチレンとα-オレフィンと
の共重合は、気相であるいはスラリー状の液相で行われ
る。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒と
してもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもでき
る。
【0060】スラリー重合において用いられる不活性炭
化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、イソ
ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデ
カン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化
水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロ
ヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;
ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられ
る。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水
素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0061】スラリー重合法または気相重合法で実施す
る際には、上記のようなオレフィン重合用触媒([d-
1]または[d-2])は、重合反応系内の遷移金属原
子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リッ
トル、好ましくは10-7〜10 -4グラム原子/リットル
の量で用いられることが望ましい。また、[d-2]
は、[d-1]に対して、遷移金属原子の原子比([d-
2]/[d-1])として、通常、0.1〜2、好まし
くは0.2〜1の範囲で用いられる。
【0062】本発明において、スラリー重合法を実施す
る際には、重合温度は、通常−50〜100℃、好まし
くは0〜90℃の範囲であり、気相重合法を実施する際
には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20
〜100℃の範囲である。
【0063】重合圧力は、通常常圧ないし100kg/
cm、好ましくは2〜50kg/cmの加圧条件下
で行われる。本発明のオレフィンの多段重合法では、直
列に結合した複数の重合器を用いて、先ずオレフィン重
合用触媒[d-1]の存在下にエチレン・α-オレフィン
共重合体[A]を製造し、次いで前記共重合反応が行わ
れる重合器とは異なる重合器へ上記エチレン・α-オレ
フィン共重合体[A]を移送し、且つ、オレフィン重合
用触媒[d-2]を添加し、エチレン・α-オレフィン共
重合体[B]を製造する。
【0064】[エチレン・α-オレフィン共重合体
[A]]本発明のオレフィンの多段重合法において、工
程[I]で製造されるエチレン・α-オレフィン共重合
体[A]は、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィ
ンとのランダム共重合体である。
【0065】エチレン・α-オレフィン共重合体[A]
では、エチレンから導かれる構成単位は、50〜99.
9重量%、好ましくは55〜99重量%、より好ましく
は65〜98重量%、最も好ましくは70〜96重量%
の量で存在し、炭素数3〜20のα-オレフィンから導
かれる構成単位は0.1〜50重量%、好ましくは1〜
45重量%、より好ましくは2〜35重量%、最も好ま
しくは4〜30重量%の量で存在することが望ましい。
【0066】エチレン・α-オレフィン共重合体の組成
は、通常10mmφの試料管中で約200〜400mg
の共重合体をo-ジクロルベンゼン:ベンゼン−d6
5:1(体積比)の混合液3mlに均一に溶解させた試
料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測
定周波数67.7MHz、スペクトル幅14000Hz、
パルス繰返し時間4.5sec、45度パルスの測定条件下
で測定して決定される。
【0067】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体[A]は、下記(A-i)〜(A-iv)に示すような特
性を有していることが好ましく、下記(A-i)〜(A-v
i)に示すような特性を有していることがより好まし
い。
【0068】(A-i)密度(d)は、0.850〜0.9
80g/cm、好ましくは0.880〜0.940g/
cm、より好ましくは0.890〜0.935g/cm
、最も好ましくは0.900〜0.930g/cm
範囲にあることが望ましい。
【0069】なお密度(d)は、190℃における2.
16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時
に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1
時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定す
る。
【0070】(A-ii)135℃、デカリン中で測定した
極限粘度[η]が0.4〜8dl/g、好ましくは1.0〜
6dl/g、より好ましくは1.2〜4dl/g最も好まし
くは1.4〜2.5dl/gの範囲にあることが望まし
い。なお、[η]はデカリン溶媒を用いて、135℃で
測定した値である。すなわち、造粒ペレット約20mg
をデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中
で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン
溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηsp
測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度
(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度とし
て求める。 [η]=lim (ηsp/C) (C→0)
【0071】(A-iii)190℃におけるメルトテンシ
ョン(MT(g))とメルトフローレート(MFR)と
が MT≦2.2×MFR-0.84 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0072】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体[A]は、長鎖分岐を含有しないために、強度が優
れる。なお、溶融張力(MT(g))は、溶融させたポ
リマーを一定速度で延伸した時の応力を測定することに
より決定される。すなわち、生成ポリマー粉体を通常の
方法で溶融後ペレット化して測定サンプルとし、東洋精
機製作所製、MT測定機を用い、樹脂温度190℃、押
し出し速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/
分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件
で行なった。ペレット化の際、エチレン・α-オレフィ
ン共重合体[A]に、あらかじめ二次抗酸化剤としての
トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.
05重量%、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'
-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネー
トを0.1重量%、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カ
ルシウムを0.05重量%配合した。
【0073】メルトフローレート(MFR)は、AST
M D1238−89に従い、190℃、2.16kg
荷重の条件下に測定される。 (A-iv)GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn、た
だしMw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が
1.5〜4、好ましくは1.8〜2.8の範囲にあるこ
とが望ましい。
【0074】なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ウォ
ーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにし
て測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−
HT及びTSKgel GMH6−HTLであり、カラ
ムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmで
あり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロ
ロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてB
HT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml /
分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入
量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈
折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1
000およびMw>4×106 については東ソー社製を
用い、1000<Mw<4×106についてはプレッシ
ャーケミカル社製を用いた。分子量計算は、ユニバーサ
ル校正して、PEとして換算して求めた値である。
【0075】(A-v)示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm
(℃))と密度(d)とが、 Tm<400×d−248 好ましくは Tm<450×d−296 より好ましくは Tm<500×d−343 特に好ましくは Tm<550×d−392 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0076】なお、示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm
(℃))は、約0.5mm厚みにプレス成形したシート
から切り出した試料約5mgをアルミパンに詰め10℃
/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した
のち10℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で
昇温する際の吸熱曲線より求められる。測定は、パーキ
ンエルマー社製DSC-7型装置を用いた。
【0077】(A-vi)室温におけるn-デカン可溶成分量
分率(W(重量%))と密度(d)とがMFR≦10g
/10分のとき、 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1 好ましくは、 W<60×exp(−100(d−0.88))+0.1 より好ましくは、 W<40×exp(−100(d−0.88))+0.1 MFR>10g/10分のとき W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−
0.88))+0.1 で示される関係を満たしている。
【0078】なお、n-デカン可溶成分量(可溶成分量の
少ないもの程組成分布が狭い)の測定は、共重合体約3
gをn-デカン450mlに加え、145℃で溶解後室温
まで冷却し、濾過によりn−デカン不溶部を除き、濾液
よりn-デカン可溶部を回収することにより行われる。
【0079】このように示差走査型熱量計(DSC)に
より測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度
(Tm)と密度(d)との関係、そしてn-デカン可溶成
分量分率(W)と密度(d)とが上記のような関係を有
するエチレン・α-オレフィン共重合体[A]は組成分
布が狭いと言える。
【0080】[エチレン・α-オレフィン共重合体
[B]]本発明のオレフィンの多段重合法において、工
程[I]で得られたエチレン・α-オレフィン共重合体
(A)の存在下に工程[II]で製造されるエチレン・α
-オレフィン共重合体[B]は、エチレンと炭素数3〜
20のα-オレフィンとのランダム共重合体である。
【0081】エチレン・α-オレフィン共重合体[B]
では、エチレンから導かれる構成単位は、50〜99.
9重量%、好ましくは55〜99重量%、より好ましく
は65〜98重量%、最も好ましくは70〜96重量%
の量で存在し、炭素数3〜20のα-オレフィンから導
かれる構成単位は0〜50重量%、好ましくは1〜45
重量%、より好ましくは2〜35重量%、最も好ましく
は4〜30重量%の量で存在することが望ましい。
【0082】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体[B]は、下記(B-i)〜(B-iv)に示すような特
性を有している。(B-i)密度(d)は、0.850〜
0.980g/cm、好ましくは0.880〜0.94
0g/cm、より好ましくは0.890〜0.935g
/cm、最も好ましくは0.900〜0.930g/c
の範囲にあることが望ましい。
【0083】(B-ii)135℃、デカリン中で測定した
極限粘度[η]が0.4〜8dl/g、好ましくは1.0〜
6dl/g、より好ましくは1.4〜4dl/g最も好まし
くは1.5〜3.0dl/gの範囲にあることが望まし
い。
【0084】(B-iii)190℃におけるメルトテンシ
ョン(MT(g))とメルトフローレート(MFR)と
が、MT>2.2×MFR-0.84 好ましくは、8.5×
MFR-0.40>MT>2.2×MFR-0.84で示される関
係を満たしていることが望ましい。MTが大きいこと
で、インフレーションフィルム成形時のバブル安定性な
どを付与することが出来る。
【0085】(B-iv)示差走査型熱量計(DSC)によ
り測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(T
m(℃))と密度(d)とが、 Tm<400×d−248 好ましくは、 Tm<450×d−296 より好ましくは、 Tm<500×d−343 特に好ましくは、 Tm<550×d−392 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0086】(B-v)室温におけるn-デカン可溶成分量
分率(W(重量%))と密度(d)とが、MFR≦10
g/10分のとき、 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1 好ましくは、 W<60×exp(−100(d−0.8
8))+0.1 より好ましくは、W<40×exp(−100(d−0.8
8))+0.1 MFR>10g/10分のとき、 W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−
0.88))+0.1 で示される関係を満たしている。
【0087】このように示差走査型熱量計(DSC)に
より測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度
(Tm)と密度(d)との関係、そしてn-デカン可溶成
分量分率(W)と密度(d)とが上記のような関係を有
するエチレン・α-オレフィン共重合体[B]は組成分
布が狭いと言える。
【0088】[エチレン系共重合体組成物]本発明のオ
レフィンの多段重合法により製造されたエチレン系共重
合体組成物は、前記エチレン・α-オレフィン共重合体
[A]と、エチレン・α-オレフィン共重合体[B]と
からなり、エチレン・α-オレフィン共重合体[A]は
20〜95重量%、好ましくは40〜75重量%の量で
含まれ、エチレン・α-オレフィン共重合体[B]は5
〜80重量%、好ましくは25〜60重量%の量で含ま
れることが望ましい。
【0089】このようなエチレン系共重合体組成物は、
下記(i)〜(v)に示すような特性を有することが好
ましい。 (i)密度が0.850〜0.980g/cm 、好ま
しくは0.890〜0.955g/cm 、より好まし
くは0.900〜0.950g/cm の範囲にあるこ
とが望ましい。
【0090】(ii)190℃、2.16kg荷重におけ
る該組成物のメルトフローレート(MFR)が0.1〜
100g/10分、好ましくは0.2〜50g/10分
の範囲にあることが望ましい。
【0091】(iii)190℃におけるメルトテンショ
ン(MT(g))とメルトフローレート(MFR)と
が、MT>2.2×MFR-0.84 好ましくは、8.5×MFR-0.40>MT>2.2×M
FR-0.84で示される関係を満たしていることが望まし
い。
【0092】(iv)示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm
(℃))と密度(d)とが、 Tm<400×d−248 好ましくは、 Tm<450×d−296 より好ましくは、 Tm<500×d−343 特に好ましくは、 Tm<550×d−392 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0093】(v)室温におけるn-デカン可溶成分量分
率(W(重量%))と密度(d)とがMFR≦10g/
10分のとき、 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1 好ましくは、 W<60×exp(−100(d−0.8
8))+0.1 より好ましくは、 W<40×exp(−100(d−0.8
8))+0.1 MFR>10g/10分のとき、 W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−
0.88))+0.1 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0094】本発明に係るオレフィンの多段重合法によ
り得られたエチレン系共重合体組成物には、耐候性安定
剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチ
ブローッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、
可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加
剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0095】本発明に係るオレフィンの多段重合法によ
り得られたエチレン系共重合体組成物は、通常の空冷イ
ンフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成
形、高速インフレーション成形、T−ダイフィルム成
形、水冷インフレーション成形、押出ラミネーション成
形等で加工することにより、フィルムを得ることができ
る。このようにして成形されたフィルムは、透明性、機
械的強度、耐ブローッキング性に優れ、通常のLLDP
Eの特徴であるヒートシール性、ホットタック性、耐熱
性等を有している。また、エチレン・α-オレフィン共
重合体[A]および[B]の組成分布が極めて狭いた
め、フィルム表面のべたつきもない。更にメルトテンシ
ョンが高いため、インフレーション成形時のバブル安定
性に優れる。
【0096】本発明に係るオレフィンの多段重合法によ
り得られたエチレン系共重合体組成物を加工することに
より得られるフィルムは、規格袋、砂糖袋、油物包装
袋、水物包装袋等の各種包装用フィルムや農業用資材等
に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材
と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもでき
る。また、射出成形、フィルム以外の各種押出(ブロ
ー、パイプ、チューブ、異形、シートなど)成形、発泡
成形、回転成形などの加工法により、成形物を得る事が
出来る。
【0097】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づいて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0098】なお、流動インデックス(FI)は、ずり
速度を変えながら樹脂をキャピラリーから押し出し、そ
の時の応力を測定することにより決定した。すなわち、
MT測定と同様の試料を用い、東洋精機製作所製、毛細
式流れ特性試験機を用い、樹脂温度190℃、ずり応力
の範囲が5×104〜3×106 dyne/cm2程度で測定
した。
【0099】なお、測定する樹脂のMFR(g/10
分)によって、ノズルの直径を次の様に変更して測定し
た。 MFR>20 のとき、 0.5mm 20≧MFR>3 のとき、 1.0mm 3≧MFR>0.8 のとき、 2.0mm 0.8≧MFR のとき、 3.0mm また、本発明においてフィルムの物性評価は下記のよう
にして行った。
【0100】[Haze(曇度)]ASTM−D−10
03−61に従って測定した。
【0101】[ダートインパクト強度]ASTMD 17
09A法に準じて測定した。
【0102】〔実施例1〕 (エチレン・αオレフィン共重合体の製造) [触媒成分[d-1]の調製]250℃で10時間乾燥
したシリカ5.0kgを80リットルのトルエンで懸濁
状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミ
ノキサンのトルエン溶液(Al;1.33モル/リット
ル)28.7リットルを1時間で滴下した。この際、系
内の温度を0℃に保った。引続き0℃で30分間反応さ
せ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温
度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄
液をデカンテーション法により除去した。このようにし
て得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トル
エン80リットルで再懸濁化した。この系内へ、ビス
(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;34.0ミリモ
ル/リットル)8.2リットルを80℃で30分間かけ
て滴下し、更に80℃で2時間反応させた。その後、上
澄液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1
g当り3.4mgのジルコニウムを含有する固体触媒を
得た。
【0103】[予備重合触媒の調製]1.7モルのトリ
イソブチルアルミニウムを含有する85リットルのヘキ
サンに、上記で得られた固体触媒0.85kgおよび1-
ヘキセン76.5gを加え、35℃で2時間エチレンの
予備重合を行なうことにより、固体触媒1g当り3gの
ポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0104】[触媒成分[d-2]の調製]および[予
備重合触媒の調製] [d-1]の調製において、ビス(1,3-n-ブチルメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの代わ
りにビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリドを使用した以外は同様に行なった。
【0105】[重合]直列に結合した2器の連続式流動
床気相重合装置を用い、エチレンと1-ヘキセンとの共重
合を行った。1段目においては全圧20kg/cm
G、重合温度80℃の条件下に、上記で調製した[d-
1]の予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.44
ミリモル/hで連続的に供給し、重合の間一定のガス組
成を維持するためにエチレン、1-ヘキセン、水素、窒素
を連続的に供給した(ガス組成;1-ヘキセン/エチレン
=0.017、水素/エチレン=1.1×10-4、エチ
レン濃度=52.3%)。
【0106】2段目においては、全圧17kg/cm2
−G、重合温度85℃の条件下に、上記で調製した[d
-2]の予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.0
23ミリモル/h、エチレン、1-ヘキセン、水素、窒素
を連続的に供給した(ガス組成;1-ヘキセン/エチレン
=0.023、水素/エチレン=7×10-4、エチレン
濃度=83%)。
【0107】1段目における滞留時間は4時間であり、
共重合体の生成速度は40kg/hであった。このよう
にして得られた共重合体のMFRは1.0g/10分で
あり、密度は0.925g/cmであり、23℃にお
けるデカン可溶部は0.15wt%であった。一方、2
段目における滞留時間は2時間であり、2段目の重合器
での共重合体の生成速度は27kg/hであった。得ら
れた共重合体のMFRは0.9g/10分であり、密度
が0.923g/cmであり、23℃のおけるデカン
可溶部が0.22wt%であり、MTは2.8gであ
り、FIは100であった。
【0108】[フィルム加工]得られたエチレン・1-ヘ
キセン共重合体を用い、20mmφ・L/D=26の単
軸押出機を用いて、25mmφダイ、リップ幅0.7m
m、一重スリットエアリングを用いエア流量=90リッ
トル/min、押出量=9g/min、ブロー比=1.
8、引き取り速度=2.4m/min、加工温度=20
0℃で厚み=30μmのフィルムをインフレーション成
形した。
【0109】溶融物性等およびフィルム物性を表2に示
す。成形性に優れ、光学特性、機械的強度に優れたイン
フレーションフィルムが得られた。
【0110】〔比較例1〕実施例1で調製した[d-
1]の予備重合触媒を用い、表1に記載の条件下で重合
した以外は、実施例1と同様に行った。得られた共重合
体のMFRは1.0g/10分であり、密度が0.92
5g/cmであった。得られたエチレン・1-ヘキセン
共重合体を用いて、実施例1と同様にしてインフレーシ
ョン成形により厚み30μmのフィルムを成形した。溶
融物性等およびフィルム物性を表2および表3に示す。
【0111】〔比較例2〕実施例1で調製した[d-
2]の予備重合触媒を用い、表1に記載の条件下で重合
した以外は、実施例1と同様に行った。得られた共重合
体のMFRは1.0g/10分であり、密度が0.92
3g/cmであった。得られたエチレン・1-ヘキセン
共重合体を用いて、実施例1と同様にしてインフレーシ
ョン成形により厚み30μmのフィルムを成形した。溶
融物性等およびフィルム物性を表2および表3に示す。
【0112】表2から明らかなように、実施例1および
比較例1、2で得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体
は、MFRおよび密度が同等であるにもかかわらず、実
施例1によって得た共重合体はインフレーションフィル
ムの透明性に優れている。また、インフレーションフィ
ルム成形時の製膜安定性とフィルム強度とのバランスに
優れている。
【0113】〔実施例2〜4〕 (エチレン・α-オレフィン共重合体の製造)実施例1
において、重合条件を表1に示した条件に変更した以外
は同様に行った。また、得られたエチレン・1-ヘキセン
共重合体を用いて、実施例1と同様にしてインフレーシ
ョン成形により厚み30μmのフィルムを成形した。溶
融物性等およびフィルム物性を表2および表3に示す。
【0114】〔実施例5〕 [触媒成分[d-2]の調製]および[予備重合触媒の
調製][d-1]の調製において、ビス(1,3-n-ブチル
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
の代わりにエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジ
クロリドを使用した以外は同様に行なった。
【0115】[重合]上記のようにして得られた予備重
合触媒を用いた以外は、実施例1と同様の方法でMFR
と密度が異なるエチレン/1-ヘキセン共重合体を得た。
得られた共重合体はMFRが1.2g/10分であり、
密度が0.914g/cm3であり、23℃のおけるデカ
ン可溶部が0.33wt%であり、MTが2.2gであ
り、FIが110であった。
【0116】得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体を
用いて、実施例1と同様にしてインフレーション成形に
より厚み30μmのフィルムを成形した。溶融物性等お
よびフィルム物性を表2および表3に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】成形性に優れ、光学特性、機械的強度に優
れたインフレーションフィルムが得られた。
【0121】
【発明の効果】本発明に係るオレフィンの多段重合法に
より得られたエチレン系共重合体組成物は、特定の物性
を有するエチレン・α-オレフィン共重合体[A]と、
エチレン・α-オレフィン共重合体[B]とから形成さ
れているので熱安定性および成形性に優れ、透明性、機
械的強度、耐ブローッキング性に優れたフィルムなどを
製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AA02P AA03Q AA04Q AA07Q AA15Q AA16Q AA17Q AA19Q AA21Q CA04 FA10 FA19 FA22 FA39 FA43 JA00 JA58 4J128 AA01 AB00 AB01 AC01 AC10 AC28 AD05 AD06 AD08 AD11 AE15 BA01A BA01B BB01A BB01B BC15B BC16B BC17B BC19B BC24B BC25A BC26A BC27B DA01 DA02 DA03 DA04 DA09 EA02 EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB10 EC02 ED01 ED02 ED03 ED04 EF02 FA02 FA04 GA26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[a-1]で表わされる遷移金
    属化合物から選ばれる少なくとも1種と M …[a-1] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
    属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
    子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
    は、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジ
    エニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、ま
    たは炭素数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくと
    も1種の基を有する置換シクロペンタジエニル基であ
    り、シクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジ
    エニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水
    素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシ
    リル基、ハロゲン原子または水素原子であり、xは遷移
    金属Mの原子価である。) [b]有機アルミニウムオキシ化合物および/または上
    記の遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合
    物とを [c]微粒子担体上に担持したオレフィン重合用触媒
    [d-1]の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-
    オレフィンとを共重合させ、エチレン・α-オレフィン
    共重合体(A)を製造する工程[I]と、工程[I]で
    得られたエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の存
    在下に、下記一般式[a-2]または一般式[a-3]で
    表わされる遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種
    と M …[a-2] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
    属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
    子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
    は、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエ
    ニル基であり、これらの配位子は炭化水素基、シリレン
    基または置換シリレン基を介して結合しており、シクロ
    ペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基以
    外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アル
    コキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、ハ
    ロゲン原子または水素原子であり、xは遷移金属M
    原子価である。) M …[a-3] (式中Mは、周期律表第IVb族から選ばれる遷移金
    属原子であり、Lは遷移金属原子Mに配位する配位
    子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子L
    は、メチル基およびエチル基から選ばれる置換基のみ
    を2〜5個有する置換シクロペンタジエニル基であり、
    置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素
    数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ
    基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子または水素原
    子であり、xは遷移金属Mの原子価である。) [b]有機アルミニウムオキシ化合物および/または上
    記の遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合
    物とを [c]微粒子担体上に担持したオレフィン重合用触媒
    [d-2]を添加し、エチレンまたはエチレンと炭素数
    3〜20のα-オレフィンとを(共)重合させ、エチレ
    ン・α-オレフィン共重合体(B)を製造する工程[I
    I]とを含むことを特徴とするオレフィンの多段重合
    法。
  2. 【請求項2】前記オレフィン重合用触媒[d-1]およ
    び[d-2]にオレフィンが予備重合されてなる予備重
    合触媒である請求項1に記載のオレフィンの多段重合
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119726A (ja) * 2005-09-30 2007-05-17 Sumitomo Chemical Co Ltd 予備重合触媒成分の製造方法、予備重合触媒成分およびオレフィン重合体の製造方法

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JP2007119726A (ja) * 2005-09-30 2007-05-17 Sumitomo Chemical Co Ltd 予備重合触媒成分の製造方法、予備重合触媒成分およびオレフィン重合体の製造方法

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