JP2003311432A - 溶接装置の冷却方法 - Google Patents

溶接装置の冷却方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接作業の実働時間が断続的でしかも短時間
であることから、特に溶接作業時における溶接機本体や
溶接制御部等の発熱箇所をペルチェ素子を用いて有効に
冷却するようにした溶接装置の冷却方法を提供する。 【解決手段】 溶接装置の発熱部1近傍にペルチェ素子
2を配置し、溶接装置における溶接電流の供給に対応す
るペルチェ素子制御電流を断続的に供給して前記溶接装
置の発熱部からの熱を吸収するようにした溶接装置の冷
却方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接装置における
発熱部である溶接機本体や溶接制御部等の発熱箇所を冷
却する溶接装置の冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、溶接装置における発熱部である溶
接機本体や溶接制御部等の発熱箇所を冷却するのには、
対象の発熱部への常時水の供給による水冷或は強制空冷
等が用いられることが普通に行われている。
【0003】また、半導体装置においてペルチェ素子を
用いて該半導体装置の発熱部を連続して冷却するものは
例えば特開平6ー216471号公報に示すように公知
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来普
通に行われている溶接装置の冷却においては、 1)対象の発熱部への常時水の供給による水冷の場合に
は、装置全体が大きくなるばかりでなく、冷却水の漏洩
防止等に過分の配慮が必要となる。 2)対象の発熱部を強制的に空冷する場合にも、装置全
体が大きくなるばかりでなく、設備に過分のコストを要
する。また、ペルチェ素子を用いて通常の半導体装置の
発熱部を連続して冷却する場合には、冷却時間の経過と
ともにペルチェ素子の冷却能率の低下により半導体装置
の充分な冷却ができない。等の問題がある。
【0005】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、溶接作業の実働時間が断続的でしかも短時間で
あることから、特に溶接作業時における溶接機本体や溶
接制御部等の発熱箇所をペルチェ素子を用いて有効に冷
却するようにした溶接装置の冷却方法を提供しようとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における溶接装置の冷却方法は、溶接装置の
発熱部近傍にペルチェ素子を配置し、溶接装置における
溶接電流の供給に対応するペルチェ素子制御電流を断続
的に供給して前記溶接装置の発熱部からの熱を吸収する
ようにしたことを特徴とするものである。
【0007】また、前記断続的に供給するペルチェ素子
制御電流を該ペルチェ素子が具有する初期の冷却能力の
増大域範囲内に収めたことを特徴とするものである。
【0008】また、前記溶接装置における発熱部を冷却
をペルチェ素子による冷却と水による冷却とを併用する
ようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】添付図面を参照して本発明の実施
例を抵抗溶接について説明する。図1は本発明に係る溶
接装置の冷却方法を実施する等価回路図、図2は溶接電
流と冷却素子への供給関連図、図3は冷却素子の状態遷
移図、図4は冷却素子の吸熱面の温度変化図である。
【0010】図1において、1は溶接装置に配置された
電路制御素子,トランス,溶接機本体等で該溶接装置に
おいて溶接時に発熱する部品を総称した発熱体である。
2は前記発熱体1を冷却するためのペルチェ素子であ
り、該ペルチェ素子2の低温側は発熱体1と直接或はヒ
―トパイプ等の熱搬送体に接触して吸熱動作を行い、高
温側は例えばフィン3,ファン4を介して該ペルチェ素
子2で発生する熱を放熱するようになされている。そし
て、該ペルチェ素子2は制御線5,5を介して溶接装置
の制御回路6に接続されている。また、該制御回路6に
は溶接作業のスタ―トから終了までの情報が記憶されて
おり、この制御回路6からの制御線7,7によって溶接
装置の全てが通常の如く制御されるようになっている。
【0011】そして、前記制御回路6からの制御線5,
7への通電の相関関係は例えば図2に示す通りであり、
各溶接打点毎に制御回路6からは、先ず溶接スタ―ト信
号aが制御線7を介して発せられ、抵抗溶接機は該信号
aにより加圧動作に入り溶接準備を行い、溶接準備が完
了した時点で制御回路6からは抵抗溶接機の電極へ電流
の供給を所定時間送るようにトランス等に通電電流信号
bを制御線7を介して発する。また、前記溶接スタ―ト
信号aは通電電流信号bの終了後溶接部の所定の養生期
間を経過した後でその信号aは消滅すると同時に制御回
路6からは溶接完了信号cを発する。また、制御回路6
からは、前記溶接スタ―ト信号aが発せられてから通電
電流信号bが発せられるまでの間で制御線5を介してペ
ルチェ素子2へ通電がスタ―トされ、この通電は少なく
とも前記溶接完了信号cが発せられるまでに終了するよ
うになされている。
【0012】したがって、ペルチェ素子2は図3に示す
ような状態遷移をする。即ち,該ペルチェ素子2は、溶
接機が溶接動作を行わない通常の状態では溶接装置に特
に冷却を要するような発熱がないので常温状態或はフィ
ン3により連続冷却によって比較的に低温に維持されて
いる。該ペルチェ素子2は、制御回路6が溶接機側に向
けて溶接スタ―ト信号aを発した後で制御線5を介して
通電を受付け、制御回路6が溶接機に向けて通電電流信
号bを発する前に冷却動作に入り、溶接装置の発熱体1
を冷却する。そして、該ペルチェ素子2は、所定の時間
通電された後前記制御線5により制御されて、制御回路
6が溶接完了信号cを発する時点までに冷却動作を終了
して通常の温度状態に戻る。そして該ペルチェ素子2は
上述の状態変遷を繰り返す。
【0013】以上のように、本発明においては溶接装置
における溶接電流の供給に対応するペルチェ素子2制御
電流を各溶接打点毎に断続的に供給して前記溶接装置の
発熱部である発熱体1からの熱を吸収するようにしたも
のである。
【0014】図4は、本発明に使用するペルチェ素子2
の通電時における吸熱面の温度(摂氏)変化を縦軸に
し、横軸の時間(秒)の経過と関連して示すものであっ
て、縦軸の1目盛りは15度,横軸の1目盛りは10秒
単位として表したものである。
【0015】この図でわかるように、通電開始前のペル
チェ素子2の吸熱面の温度は常温の約20度程度(季節
及び周囲の環境等により多少変化する)であり、通電開
始に伴って約10秒間程度はその温度が下がる傾向にあ
り、10秒経過時には約2度程度になり、その後通電を
継続すると時間の経過と共に吸熱面の温度は徐々に上昇
して、通電から1分後には60度程度になる。この温度
上昇はペルチェ素子2の発熱面からの熱の伝達に起因す
るものである。
【0016】ところで、一般に溶接装置における溶接ス
タ―ト信号aの指令から溶接機の通電電流信号bの指令
までは数秒であり、且つ信号bによる溶接通電時間は2
ないし3秒程度であるので、ペルチェ素子2への通電
は、溶接スタ―ト信号aを発した後で通電電流信号bを
発する前にスタ―トして溶接完了信号cを発する時点ま
でとしても、それは10秒以内であり、この範囲は前記
ペルチェ素子2の吸熱面の温度が下がる傾向にある即ち
冷却能力の増大域範囲内に納まることから、ペルチェ素
子2による発熱体1からの熱の有効な吸収が可能とな
る。
【0017】図5は溶接制御部内に配置される電子部品
であるSCR,IGBT,FET等の発熱体をペルチェ
素子2で冷却するようにした概略説明図であり、SC
R,IGBT,FET等10の発熱体は溶接制御部内の
ベ―ス11上に位置しており、該ベ―ス11にはペルチ
ェ素子2が裏付けされている。そして該ペルチェ素子2
は制御線5,5によって制御回路6に接続されている。
【0018】したがって、溶接打点毎に発熱体10が発
熱しても、ペルチェ素子2が制御回路6で溶接打点毎に
タイミングよく通電されるので、この通電によりペルチ
ェ素子2が発熱体10の発熱に伴った熱を有効に吸熱す
るのである。
【0019】図6は溶接トランスから電極へ溶接電流を
供給するシャントをペルチェ素子2で冷却するようにし
た概略説明図であり、該シャント20は溶接機本体に基
部21が組み付けられており、前記溶接電流の供給によ
って発熱するものである。そこで、該シャント20の基
部21には直接にペルチェ素子2の吸熱面が接触され、
該ペルチェ素子2の発熱面にはヒ―トシンク22が形成
されている。この場合にも該ペルチェ素子2は制御線
5,5によって制御回路6に接続されるようになってい
る。
【0020】したがって、溶接打点毎に発熱体であるシ
ャント20が発熱しても、ペルチェ素子2が制御回路6
で溶接打点毎にタイミングよく通電されるので、この通
電によりペルチェ素子2がシャント20の発熱に伴った
熱を有効に吸熱するのである。
【0021】図7は溶接機本体に設けた電極30,31
をペルチェ素子2で冷却するようにした概略説明図であ
り、電極30はその近傍の固定ア―ム32に取り付けら
れており、前記ペルチェ素子2は固定ア―ム32に複数
個配置され、電極30と各ペルチェ素子2の吸熱面との
間はヒ―トパイプ33で接続されている。また、電極3
1はその近傍の可動ア―ム34に取り付けられており、
ペルチェ素子2は可動ア―ム34のガイドロッド35の
取り付け部36に配置され、電極31とペルチェ素子2
の吸熱面との間はヒ―トパイプ37で接続されている。
この場合にもペルチェ素子2は制御線5,5によって制
御回路6に接続されるようになっている。なお、38は
ペルチェ素子2の発熱面に形成されたヒ―トシンク,3
9は前記可動ア―ム34の駆動部である。
【0022】したがって、溶接打点毎に発熱体である電
極30,31が発熱しても、ペルチェ素子2が制御回路
6で溶接打点毎にタイミングよく通電されるので、この
通電によりペルチェ素子2がヒ―トパイプ33,37を
介して電極30,31の発熱に伴った熱を有効に吸熱す
るのである。
【0023】図8は溶接用トランス40をペルチェ素子
2で冷却するようにした概略説明図であり、41は1次
コイル,42は2次コイル,43は電気絶縁体,44は
コア,45はモ―ルド樹脂,46はヒ―トパイプ,47
はヒ―トシンクであって、トランス40の1次コイル4
1や2次コイル42には、これらと密着するようにヒ―
トパイプ46が配列され、夫々の発熱体であるコイル4
1,42から発生する熱を該ヒ―トパイプ46によりト
ランス40の外部近傍に移動させるようになっている。
【0024】そして、前記トランス40の上部近傍には
ペルチェ素子2が配置されており、トランス40の外部
のヒ―トパイプ46はペルチェ素子2の吸熱面に接続さ
れるようになっている。
【0025】したがって、溶接打点毎に発熱体である溶
接トランス40のコイル41,42が発熱しても、ペル
チェ素子2が制御回路6で溶接打点毎にタイミングよく
通電されるので、この通電によりペルチェ素子2がヒ―
トパイプ46を介してコイル41,42の発熱に伴った
熱を有効に吸熱するのである。
【0026】以上の実施例では、発熱体からの熱をペル
チェ素子のみで吸熱するものについて説明をしたが、本
発明では、発熱体からの熱をペルチェ素子による吸熱と
従来の水による吸熱とを併用してもよい。
【0027】この場合、両者による吸熱を実行すること
から、従来の水による冷却装置を備えた溶接装置に単に
ペルチェ素子による冷却装置を付加して、該ペルチェ素
子への通電を本発明に係る手法により実行すればよく、
これによっても発熱体からの有効な吸熱が得られる。
【0028】
【発明の効果】本発明では、溶接装置の発熱部近傍にペ
ルチェ素子を配置し、溶接装置における溶接電流の供給
に対応するペルチェ素子制御電流を断続的に供給して前
記溶接装置の発熱部からの熱を吸収するようにしたの
で、小規模のペルチェ素子によって溶接装置の発熱部で
ある発熱体からの熱の吸収を有効に吸収できるものであ
る。
【0029】また、前記断続的に供給するペルチェ素子
制御電流を該ペルチェ素子が具有する初期の冷却能力の
増大域範囲内に収めた場合には、ペルチェ素子によって
溶接装置の発熱部である発熱体からの熱の吸収をより有
効に吸収できるものである。
【0030】更に、前記溶接装置における発熱部を冷却
をペルチェ素子による冷却と水による冷却とを併用する
ようにした場合には、従来の水による冷却装置をそのま
ま残してペルチェ素子による冷却を併用できるので、従
来の溶接機に適用できると共に溶接装置の発熱部である
発熱体からの熱の吸収を有効に吸収できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る溶接装置の冷却方法を実施
する等価回路図である。
【図2】図2は溶接電流と冷却素子への供給関連図であ
る。
【図3】図3は冷却素子の状態遷移図である。
【図4】図4は冷却素子の吸熱面の温度変化図である。
【図5】図5は本発明に係る溶接制御部内に配置される
電子部品の冷却のための説明図である。
【図6】図6は本発明に係る溶接機のシャントの冷却の
ための説明図である。
【図7】図7は本発明に係る溶接機の電極の冷却のため
の説明図である。
【図8】図8は本発明に係る溶接用トランスの冷却のた
めの説明図である。
【符号の説明】
1,10,20,30,31,40 発熱体(発熱
部) 2 ペルチェ素子 5 制御線 6 制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 秀樹 神奈川県綾瀬市大上4丁目2番37号小原株 式会社内 (72)発明者 松林 豊 神奈川県綾瀬市大上4丁目2番37号小原株 式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶接装置における発熱部を冷却する方法に
    おいて、溶接装置の発熱部近傍にペルチェ素子を配置
    し、溶接装置における溶接電流の供給に対応するペルチ
    ェ素子制御電流を断続的に供給して前記溶接装置の発熱
    部からの熱を吸収するようにしたことを特徴とする溶接
    装置の冷却方法。
  2. 【請求項2】前記断続的に供給するペルチェ素子制御電
    流を該ペルチェ素子が具有する初期の冷却能力の増大域
    範囲内に収めたことを特徴とする請求項1記載の溶接装
    置の冷却方法。
  3. 【請求項3】前記溶接装置における発熱部を冷却をペル
    チェ素子による冷却と水による冷却とを併用するように
    したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の溶
    接装置の冷却方法。
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