JP2003310575A - 光式皮下脂肪厚測定方法及びそれに用いる装置 - Google Patents

光式皮下脂肪厚測定方法及びそれに用いる装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮下脂肪厚を再現性良く高精度に測定するこ
とができる光式皮下脂肪厚測定方法及びそれに用いる装
置を提供する。 【解決手段】 生体表面1を成形部10により平ら成形
し、生体に加える圧力を圧力計測部15により計測しな
がら、生体表面1に配置した光源11から生体内部へ入
射し、再び生体表面に返ってくる光を受光部12により
受光する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮下脂肪の厚みを
光学式に測定することができる光式皮下脂肪厚測定方法
及びそれに用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体表面に配置された光源から生体内部
に入射した光のうち、生体内部で散乱、吸収されながら
伝播して再び生体表面にあらわれた光を受光することで
生体内部の組織の厚みを測定する方法が考案されてい
る。図16はその一例である特開2000−15509
1号公報に記載の皮下脂肪厚測定装置における光源と受
光素子と生体との位置関係を表したものである。生体表
面1に光源2と測定用受光素子3を配置している。生体
は図16のように皮膚5、皮下脂肪6及び筋肉7の三層
の平行平板の構造であるとすると、測定用受光素子3の
受光する光8は各生体組織の吸収、散乱特性の違いから
皮下脂肪6の厚みに相関性がある。しかしながら、測定
用受光素子3が受光する光8の受光量は皮膚5及び皮下
の血流の変化の影響も多く受けて変動している。したが
って、光源2の近傍(1から6mmの距離)に補正用受
光素子4を配置し、補正用受光素子4が受光する光9の
受光量により測定用受光素子3が受光のする光8を補正
することで、精度の良い皮下脂肪厚みの測定が可能とな
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の皮
下脂肪厚測定装置においては、生体表面の光源1及び測
定用受光素子3の生体への押し当て圧力のばらつきに連
動して皮下脂肪6の厚みが変化してしまうので、測定ご
とに皮下脂肪6の厚みがばらつくため測定再現性が悪化
していた。この問題点は、特に皮下脂肪が厚い場合に顕
著であった。
【0004】さらに、押し当て圧力によって皮下脂肪6
が変形することにより、皮下脂肪6内部の血液量が変化
し、皮下脂肪6内部の血液による吸収特性にばらつきが
生じる。そのため、測定用受光素子3での受光量が安定
せず測定再現性が悪化していた。
【0005】そこで本発明は上記従来の問題点に鑑み、
皮下脂肪厚を再現性良く高精度に測定することができる
光式皮下脂肪厚測定方法及びそれに用いる装置を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の光式皮下脂肪厚測定方法は、生体表面に
圧力を加えて所定の形状に成形する工程Aと、前記圧力
を計測する工程Bと、前記生体に光を照射する工程C
と、前記生体内部を伝播して前記生体表面より出射した
光を受光する工程Dと、前記工程Dにおいて受光した受
光量及び前記工程Bにおいて計測した圧力に基づき前記
生体の皮下脂肪厚を算出する工程Eとを含むことを特徴
とする。
【0007】また、本発明の光式皮下脂肪厚測定方法
は、生体表面に圧力を加えて所定の形状に成形する工程
Aと、前記圧力が規定値に達したことを検出する工程B
と、前記生体に光を照射する工程Cと、前記工程Bにお
いて前記圧力が前記規定値に達したことを検出したとき
に、前記生体内部を伝播して前記生体表面より出射した
光を受光する工程Dと、前記工程Dにおいて受光した受
光量に基づき前記生体の皮下脂肪厚を算出する工程Eと
を含むことを特徴とする。
【0008】また、本発明の光式皮下脂肪厚測定装置
は、生体を照明する光源部と、前記光源部から前記生体
内部を伝播して前記生体表面より出射した光を受光する
受光部と、前記生体表面を所定の形状に成形する成形部
と、前記成形部が前記生体表面に加える圧力を計測する
圧力計測部と、前記受光部において受光した受光量及び
前記圧力計測部において計測した圧力に基づき前記生体
の皮下脂肪厚を算出する演算部とを有することを特徴と
する。
【0009】また、本発明の光式皮下脂肪厚測定装置
は、生体を照明する光源部と、前記光源部から前記生体
内部を伝播して前記生体表面より出射した光を受光する
受光部と、前記生体表面を所定の形状に成形する成形部
と、前記成形部が前記生体表面に加える圧力が規定値に
達したことを検出する圧力検出部と、前記圧力が前記規
定値に達したことを前記圧力検出部が検出したときの、
前記受光部において受光した受光量に基づき前記生体の
皮下脂肪厚を算出する演算部とを有することを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態における光
式皮下脂肪厚測定方法は、生体表面に圧力を加えて所定
の形状に成形する工程Aと、前記圧力を計測する工程B
と、前記生体に光を照射する工程Cと、前記生体内部を
伝播して前記生体表面より出射した光を受光する工程D
と、前記工程Dにおいて受光した受光量及び前記工程B
において計測した圧力に基づき前記生体の皮下脂肪厚を
算出する工程Eとを含むことを特徴とする。このように
すると、生体表面に加わる圧力による皮下脂肪厚の変化
及び皮下脂肪内部の血液量の変化に基づく影響を除くこ
とにより、皮下脂肪厚を再現性良く高精度に測定するこ
とができる。
【0011】また、本発明の他の実施の形態における光
式皮下脂肪厚測定方法は、生体表面に圧力を加えて所定
の形状に成形する工程Aと、前記圧力が規定値に達した
ことを検出する工程Bと、前記生体に光を照射する工程
Cと、前記工程Bにおいて前記圧力が前記規定値に達し
たことを検出したときに、前記生体内部を伝播して前記
生体表面より出射した光を受光する工程Dと、前記工程
Dにおいて受光した受光量に基づき前記生体の皮下脂肪
厚を算出する工程Eとを含むことを特徴とする。生体表
面に加える圧力が増加するにしたがって皮下脂肪の厚み
は減少するが、その厚みはある値で収束する。皮下脂肪
厚が収束するときの圧力を規定値とすると、規定値以上
の圧力を生体表面に加えることにより、皮下脂肪厚が安
定した状態で測定を行うことができるため、皮下脂肪厚
を再現性良く高精度に測定することができる。
【0012】ここで、工程Bにおける規定値が1kg重
以上であれば、皮下脂肪厚が安定するので好ましい。
【0013】また、工程Cにおいて照射する光の中心波
長が500nm〜1000nmの波長であれば、皮膚、
皮下脂肪、筋肉の各組織間で、吸収及び散乱特性の差が
大きいため好ましい。
【0014】本発明の一実施の形態における光式皮下脂
肪厚測定装置は、生体を照明する光源部と、前記光源部
から前記生体内部を伝播して前記生体表面より出射した
光を受光する受光部と、前記生体表面を所定の形状に成
形する成形部と、前記成形部が前記生体表面に加える圧
力を計測する圧力計測部と、前記受光部において受光し
た受光量及び前記圧力計測部において計測した圧力に基
づき前記生体の皮下脂肪厚を算出する演算部とを有する
ことを特徴とする。このようにすると、生体表面に加わ
る圧力による皮下脂肪厚の変化及び皮下脂肪内部の血液
量の変化に基づく影響を除くことにより、皮下脂肪厚を
再現性良く高精度に測定することができる。
【0015】また、本発明の他の実施の形態における光
式皮下脂肪厚測定装置は、生体を照明する光源部と、前
記光源部から前記生体内部を伝播して前記生体表面より
出射した光を受光する受光部と、前記生体表面を所定の
形状に成形する成形部と、前記成形部が前記生体表面に
加える圧力が規定値に達したことを検出する圧力検出部
と、前記圧力が前記規定値に達したことを前記圧力検出
部が検出したときの、前記受光部において受光した受光
量に基づき前記生体の皮下脂肪厚を算出する演算部とを
有することを特徴とする。このようにすると、皮下脂肪
厚が収束するときの圧力を規定値とし、規定値以上の圧
力を生体表面に加えることにより、皮下脂肪厚が安定し
た状態で測定を行うことができるため、皮下脂肪厚を再
現性良く高精度に測定することができる。
【0016】ここで、成形部の生体表面と接する面が略
平面形状であると、測定対象部分である生体表面に均一
に圧力が加わるので好ましい。
【0017】また、成形部の生体表面と接する面に突起
部を備え、前記突起部に光源部及び受光部を設けること
が好ましい。
【0018】また、光源部に複数の光源を設けることが
好ましい。また、受光部に複数の受光素子を設けてもよ
い。
【0019】また、光源−受光素子間の距離が15mm
〜30mmである第1の距離となるように設けられた光
源及び受光素子、並びに35mm〜80mmである第2
の距離となるように設けられた光源及び受光素子を有
し、光源との距離が前記第1の距離である受光素子にお
ける受光量をY1、光源との距離が前記第2の距離であ
る受光素子における受光量をY2としたとき、演算部に
おいてY2/Y1を用いて生体の皮下脂肪厚を算出する
ことが好ましい。このようにすると、皮膚及び皮下の血
流の影響を除くことができるので、皮下脂肪厚をより再
現性良く高精度に測定することができる。
【0020】以下、図面を用いて、本発明の光式皮下脂
肪厚測定方法及びそれに用いる装置について詳細に説明
する。
【0021】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1における光式皮下脂肪厚測定装置の構成図であり、
図2は同光式皮下脂肪厚測定装置の成形部10を生体表
面1と接する側から見た上面図である。
【0022】皮膚5、皮下脂肪6、筋肉7の3層からな
る生体表面1上に、生体表面1を略平面形状に成形する
成形部10が設けられている。成形部10は直径60m
mの円盤形状をしており、黒色ABSでできている。な
お、成形部10の材質は光源からの光に対して低反射率
のものであればよい。成形部10は角を丸くすることで
生体表面に鋭角な部分があたらない構造としている。な
お、ここで成形部10は楕円または縦40mm、横60
mm程度の大きさを有する平板の角を面取りした形状と
してもよい。
【0023】成形部10内に光源11からなる光源部と
受光部12とが設けられている。受光部12は計測用受
光素子13と補正用受光素子14からなる。計測用受光
素子13と光源11との距離は45mmであり、補正用
受光素子14と光源11との距離は22.5mmであ
る。光源11から出射する光の出射口は直径φ1.5m
mであり、計測用受光素子13及び補正用受光素子14
の光の入射口はφ1.5mmである。なお、計測用受光
素子13と光源11との距離は35mm〜80mm(第
2の距離)の間であることが好ましく、補正用受光素子
14と光源11との距離(第1の距離)は15mm〜3
0mmであることが好ましい。光源11が点灯したとき
に、補正用受光素子14において補正用受光量(第1の
距離での受光量Y1)が受光され、計測用受光素子13
において計測用受光量(第2の距離での受光量Y2)が
受光される。
【0024】ここで、光源11は光源素子として中心波
長が785nmのレーザーダイオードを用いている。な
お、光源素子は中心波長が500nm〜1000nm
の、レーザーダイオードまたはLEDなどの光源素子で
あることが好ましい。さらに光源素子から光ファイバー
などの導光部品を用いて生体表面まで光を導光する構成
とすると、光源素子で発生した熱が生体表面に伝わらな
いので好ましい。
【0025】受光部12は受光素子としてフォトダイオ
ードを用いている。なお、受光素子はCdSなどの光電
変換素子でもよい。また、生体表面から受光素子までを
光ファイバーなどの導光部品を用いて光を導光する構成
としても良い。
【0026】成形部10には、生体表面1に加える圧力
を計測する圧力計測部15が接続されている。
【0027】演算部20では、受光部12で得られた受
光量と圧力計測部15で得られた圧力に基づき、皮下脂
肪6の厚みを算出する。算出された皮下脂肪6の厚みは
表示部21に表示され、通信部22を通して他の機器に
データとして送られる。
【0028】また、入力部23から直接、または通信部
22を通して他の機器から、身長、体重、年齢、性別、
測定部位などのデータを入力することにより、皮下脂肪
6の厚みと相関性のある体脂肪率を演算部20で計算
し、表示部21に表示したり通信部22によって他の機
器へデータを転送したりすることもできる。
【0029】次に計測の手順について説明する。第1の
動作として、光源11が点灯していない状態で、成形部
10を生体表面1に押し当てる。
【0030】第2の動作として、受光部12での受光量
が100pW以下であり、圧力計測部15での計測値が
0.1kg重以上である場合、受光部12全体が生体表
面と接しており、成形部10が生体表面に押し当てられ
ていることが確認され、その状態で通信部22または入
力部23から計測開始の信号が入力されると光源11が
点灯する。
【0031】第3の動作として、補正用受光素子14に
到達した光18を計測することにより補正用受光量(Y
1)が得られ、計測用受光素子13に到達した光19を
計測することにより計測用受光量(Y2)が得られる。
【0032】次に、演算部20での皮下脂肪6の厚みの
算出方法について説明する。図5に、圧力0.5kg重
及び2.5kg重での計測用受光量と皮下脂肪6の厚み
との関係を示す。図5において、黒丸が0.5kg重で
の計測用受光量と皮下脂肪6の厚みとの関係を示し、白
丸が2.5kg重での計測用受光量と皮下脂肪6の厚み
との関係を示している。また、実線が圧力0.5kg重
の場合の1次回帰直線で、点線が圧力2.5kg重の場
合の1次回帰直線である。
【0033】図からわかるように、生体表面に加わる圧
力の違いによって、計測用受光量と皮下脂肪6の厚みと
の関係を示す直線は変化している。したがって、生体表
面に加わる圧力が異なる複数の場合について、計測用受
光量と皮下脂肪厚との相関を示す複数の1次回帰直線を
あらかじめ求めておき、複数の1次回帰直線の中から圧
力計測部15での計測した圧力の値に応じた1次回帰直
線を選択し、選択された1次回帰直線と測定された計測
用受光量とを用いることにより、皮下脂肪厚を再現性良
く高精度に測定することができる。
【0034】しかしながら、計測用受光量には皮膚5の
散乱及び吸収のばらつきの影響が誤差要因として含まれ
ている。この皮膚5の影響を補正するために、補正用受
光量を用いる。
【0035】計測用受光量(第2の距離での受光量Y
2)を補正用受光量(第1の距離での受光量Y1)で割
ったパラメータY2/Y1と皮下脂肪6の厚みとの関係
を図6に示す。図6において、黒丸が0.5kg重での
Y2/Y1と皮下脂肪6の厚みとの関係を示し、白丸が
2.5kg重でのY2/Y1と皮下脂肪6の厚みとの関
係を示している。また、実線が圧力0.5kg重の場合
の1次回帰直線で、点線が圧力2.5kg重の場合の1
次回帰直線である。
【0036】図5と比較して、明らかにばらつきは収ま
り、補正用受光量による補正の効果のあることがわか
る。また、図5と同様に、圧力の違いによってY2/Y
1と皮下脂肪6の厚みとの関係を示す直線は変化する。
そこで計測用受光量のみを用いる場合と同様に、生体表
面に加わる圧力が異なる複数の場合について、Y2/Y
1と皮下脂肪厚との相関を示す複数の1次回帰直線をあ
らかじめ求めておき、複数の1次回帰直線の中から圧力
計測部15での計測した圧力の値に応じた1次回帰直線
を選択し、選択された1次回帰直線とY2/Y1とを用
いることにより、皮膚5の影響及び生体表面に加わる圧
力の影響を補正することができるので、皮下脂肪厚をさ
らに再現性良く高精度に測定することができる。
【0037】ここで、光源部を1つの光源11、受光部
12を計測用受光素子13と補正用受光素子14からな
る構成としたが、図3の構成図及び図4の成形部10の
上面図に示すように、受光部12を1つの受光素子、光
源部11を計測用光源素子16と補正用光源素子17か
らなる構成としてもよい。この場合、補正用光源素子1
7が点灯し計測用光源素子16が消灯しているときに、
受光部12において受光される光(補正用光源素子から
の光)18の受光量が補正用受光量(第1の距離での受
光量Y1)となり、補正用光源素子17が消灯し計測用
光源素子16が点灯しているときに、受光部12におい
て受光される光(計測用光源素子からの光)19の受光
量が計測用受光量(第2の距離での受光量Y2)とな
る。
【0038】(実施の形態2)図7は本発明の実施の形
態2における光式皮下脂肪厚測定装置の構成図である。
図3に示した実施の形態1における光式皮下脂肪厚測定
装置と異なる点は、圧力計測部に代えて、成形部10が
生体表面1に加える圧力がある規定値に達したことを検
出する圧力検出部24が成形部10につながっている点
である。その他の構成については実施の形態1における
光式皮下脂肪厚測定装置と同じであるため説明を省略す
る。
【0039】成形部10を生体表面に押し当てた状態
で、成形部10に加える圧力を増加させると、圧力が増
加するにしたがって皮下脂肪6は圧縮されて薄くなる
が、その厚みはある値で収束する。皮下脂肪厚が収束す
るときの圧力を規定値とすると、規定値以上の圧力を生
体表面1に加えることにより、皮下脂肪6の厚みが安定
した状態で測定を行うことができる。また、皮下脂肪6
が圧縮されて薄くなることで、皮下脂肪6内部の血液量
のばらつきによる個体差も減少する。圧力の規定値が1
kg重以上であれば皮下脂肪6の厚みが安定するので好
ましい。本実施の形態では、圧力の規定値を2.5kg
重とした。
【0040】次に計測の手順について説明する。第1の
動作として、光源11が点灯していない状態で、成形部
10を生体表面1に押し当てる。
【0041】第2の動作として、受光部12での受光量
が100pW以下であり、圧力検出部24において2.
5kg重以上の圧力が検出された場合、受光部12全体
が生体表面と接しており、成形部10が十分な圧力で生
体表面に押し当てられていることが確認され、その状態
で通信部22または入力部23から計測開始の信号が入
力されると補正用光源素子17が点灯する。
【0042】第3の動作として、補正用光源素子17か
ら生体内部を伝播して受光部12に到達した光18の受
光量、すなわち補正用受光量(第1の距離での受光量Y
1)を計測する。
【0043】次に、第4の動作として、補正用光源素子
17が消灯し、計測用光源素子16が点灯している状態
で、計測用光源素子16から生体内部を伝播して受光部
12に到達した光19の受光量、すなわち計測用受光量
(第2の距離での受光量Y2)を計測する。
【0044】次に演算部20での皮下脂肪6の厚みの算
出方法について説明する。図8に、計測用受光量と皮下
脂肪6の厚みの関係を示す。図8において、白丸が計測
用受光量と皮下脂肪6の厚みとの関係を示しており、点
線がその1次回帰直線である。したがって、この1次回
帰直線を表わす関係式と計測された計測用受光量とを用
いると、皮下脂肪の厚みが求められる。この測定方法に
よれば、皮下脂肪6の厚みが安定した状態で測定を行う
ので、皮下脂肪厚を再現性良く高精度に測定することが
できる。
【0045】さらに、皮膚5の影響の補正について説明
する。計測用受光量(第2の距離での受光量Y2)を補
正用受光量(第1の距離での受光量Y1)で割ったパラ
メータY2/Y1と皮下脂肪6の厚みとの関係を図9に
示す。図9において、白丸がY2/Y1と皮下脂肪6の
厚みとの関係を示しており、点線がその1次回帰直線で
ある。したがって、この1次回帰直線を表わす関係式と
算出されたパラメータY2/Y1とを用いると、皮下脂
肪の厚みが求められる。この測定方法によれば、皮膚5
の影響も補正することができるので、皮下脂肪厚をさら
に再現性良く高精度に測定することができる。
【0046】(実施の形態3)図10は本発明の実施の
形態3における光式皮下脂肪厚測定装置の構成図であ
り、図11は同光式皮下脂肪厚測定装置の成形部10を
生体表面1と接する側から見た上面図である。実施の形
態1または2と構成が同じ部分については説明を省略す
る。成形部10の略中心部分に幅5mm、長さ52.5
mm、高さ5mmの突起部25が配置され、その突起部
25に光源11と受光部12とが配置されている。
【0047】なお、突起部25及び成形部10の形状
は、図12(a)の上面図及び図12(b)の側面図に
示すように突起部25の角が鋭角にならないようする
と、生体に与える痛みをなくすことができるので好まし
い。また、図13(a)の上面図及び図13(b)の側
面図に示すように突起部25を成形部10上全体に曲面
を有するように設けても良い。
【0048】成形部10の突起部25が設けられた面を
生体表面1に押し当てることにより、成形部10と突起
部25とで生体表面1を安定して局所的に押しつぶし
て、突起部25直下の皮下脂肪6内部の血液量を減少さ
せる。成形部10のみで押しつぶす場合よりも、押しつ
ぶされる面積が狭いので、突起部25直下の皮下脂肪6
内部の血液量はより少なくなり、血液量によるばらつき
の個体差はさらに減少する。
【0049】また、受光部12において受光される光の
うち、生体内部の突起部25直下以外の領域を伝播して
きた光の成分は、突起部25直下の領域に比べて血液量
が多い領域を伝播するために、突起部25直下を伝播し
てきた光の成分と比較して減衰する。したがって、計測
される受光量の内、突起部25直下の皮下脂肪6を伝播
してきた光の成分の占める割合が増加するため、より局
所的な皮下脂肪厚測定が可能となる。
【0050】次に計測の手順について説明する。第1の
動作として、光源11が点灯していない状態で、成形部
10を生体表面1に押し当てる。
【0051】第2の動作として、受光部12での受光量
が100pW以下であり、圧力検出部24において2.
5kg重以上の圧力が検出された場合、受光部12全体
が生体表面と接しており、成形部10が十分な圧力で生
体表面に押し当てられていることが確認され、その状態
で通信部22または入力部23から計測開始の信号が入
力されると光源11が点灯する。
【0052】第3の動作として、補正用受光素子14に
到達した光18を計測することにより補正用受光量(第
1の距離での受光量Y1)が得られ、計測用受光素子1
3に到達した光19を計測することにより計測用受光量
(第2の距離での受光量Y2)が得られる。
【0053】次に演算部20での皮下脂肪6の厚みの算
出方法について説明する。図14に、計測用受光量と皮
下脂肪6の厚みの関係を示す。図14において、白丸が
計測用受光量と皮下脂肪6の厚みとの関係を示してお
り、点線がその1次回帰直線である。したがって、この
1次回帰直線を表わす関係式と計測された計測用受光量
とを用いると、皮下脂肪の厚みが求められる。この測定
方法によれば、皮下脂肪6の厚みが安定した状態で測定
を行うので、皮下脂肪厚を再現性良く高精度に測定する
ことができる。
【0054】さらに、皮膚5の影響の補正について説明
する。計測用受光量(第2の距離での受光量Y2)を補
正用受光量(第1の距離での受光量Y1)で割ったパラ
メータY2/Y1と皮下脂肪6の厚みとの関係を図15
に示す。図15において、白丸がY2/Y1と皮下脂肪
6の厚みとの関係を示しており、点線がその1次回帰直
線である。したがって、この1次回帰直線を表わす関係
式と算出されたパラメータY2/Y1とを用いると、皮
下脂肪の厚みが求められる。この測定方法によれば、皮
膚5の影響も補正することができるので、皮下脂肪厚を
さらに再現性良く高精度に測定することができる。
【0055】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれ
ば、皮下脂肪厚を再現性良く高精度に測定することがで
きる光式皮下脂肪厚測定方法及びそれに用いる装置を提
供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における光式皮下脂肪厚
測定装置の構成図
【図2】同光式皮下脂肪厚測定装置の成形部を生体表面
と接する側から見た上面図
【図3】同実施の形態における、光源部と受光部の構成
が異なる光式皮下脂肪厚測定装置の構成図
【図4】同光式皮下脂肪厚測定装置の成形部を生体表面
と接する側から見た上面図
【図5】本発明の一実施の形態における光式皮下脂肪厚
測定装置により求めた計測用受光量と皮下脂肪厚みとの
関係を示すグラフ
【図6】同光式皮下脂肪厚測定装置により求めたパラメ
ータY2/Y1と皮下脂肪厚みとの関係を示すグラフ
【図7】本発明の他の実施の形態における光式皮下脂肪
厚測定装置の構成図
【図8】同光式皮下脂肪厚測定装置により求めた計測用
受光量と皮下脂肪厚みとの関係を示すグラフ
【図9】同光式皮下脂肪厚測定装置により求めたパラメ
ータY2/Y1と皮下脂肪厚みとの関係を示すグラフ
【図10】本発明のさらに他の実施の形態における光式
皮下脂肪厚測定装置の構成図
【図11】同光式皮下脂肪厚測定装置の成形部を生体表
面と接する側から見た上面図
【図12】同実施の形態における、成形部と突起部の形
状が異なる光式皮下脂肪厚測定装置の成形部を生体表面
と接する側から見た上面図及び側面図
【図13】同実施の形態における、成形部と突起部の形
状が異なる光式皮下脂肪厚測定装置の成形部を生体表面
と接する側から見た上面図及び側面図
【図14】本発明のさらに他の実施の形態における光式
皮下脂肪厚測定装置により求めた計測用受光量と皮下脂
肪厚みとの関係を示すグラフ
【図15】同光式皮下脂肪厚測定装置により求めたパラ
メータY2/Y1と皮下脂肪厚みとの関係を示すグラフ
【図16】従来の光式皮下脂肪厚測定装置の構成図
【符号の説明】
1 生体表面 2 光源 3 測定用受光素子 4 補正用受光素子 5 皮膚 6 皮下脂肪 7 筋肉 8 測定用受光素子が受光する光 9 補正用受光素子が受光する光 10 成形部 11 光源(光源部) 12 受光部 13 計測用受光素子 14 補正用受光素子 15 圧力計測部 16 計測用光源素子 17 補正用光源素子 18 補正用受光素子が受光する光(補正用光源素子か
らの光) 19 計測用受光素子が受光する光(計測用光源素子か
らの光) 20 演算部 21 表示部 22 通信部 23 入力部 24 圧力検出部 25 突起部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G059 AA01 AA03 BB12 CC14 DD15 EE01 FF06 GG01 GG02 GG03 HH01 HH02 HH06 JJ17 KK01 KK03 MM01 MM14 PP04 PP06 4C038 VA04 VB22 VC01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体表面に圧力を加えて所定の形状に成
    形する工程Aと、前記圧力を計測する工程Bと、前記生
    体に光を照射する工程Cと、前記生体内部を伝播して前
    記生体表面より出射した光を受光する工程Dと、前記工
    程Dにおいて受光した受光量及び前記工程Bにおいて計
    測した圧力に基づき前記生体の皮下脂肪厚を算出する工
    程Eとを含む光式皮下脂肪厚測定方法。
  2. 【請求項2】 生体表面に圧力を加えて所定の形状に成
    形する工程Aと、前記圧力が規定値に達したことを検出
    する工程Bと、前記生体に光を照射する工程Cと、前記
    工程Bにおいて前記圧力が前記規定値に達したことを検
    出したときに、前記生体内部を伝播して前記生体表面よ
    り出射した光を受光する工程Dと、前記工程Dにおいて
    受光した受光量に基づき前記生体の皮下脂肪厚を算出す
    る工程Eとを含む光式皮下脂肪厚測定方法。
  3. 【請求項3】 工程Bにおける規定値が1kg重以上で
    あることを特徴とする、請求項2記載の光式皮下脂肪厚
    測定方法。
  4. 【請求項4】 工程Cにおいて照射する光の中心波長が
    500nm〜1000nmの波長であることを特徴とす
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光式皮下脂肪
    厚測定方法。
  5. 【請求項5】 生体を照明する光源部と、前記光源部か
    ら前記生体内部を伝播して前記生体表面より出射した光
    を受光する受光部と、前記生体表面を所定の形状に成形
    する成形部と、前記成形部が前記生体表面に加える圧力
    を計測する圧力計測部と、前記受光部において受光した
    受光量及び前記圧力計測部において計測した圧力に基づ
    き前記生体の皮下脂肪厚を算出する演算部とを有する光
    式皮下脂肪厚測定装置。
  6. 【請求項6】 生体を照明する光源部と、前記光源部か
    ら前記生体内部を伝播して前記生体表面より出射した光
    を受光する受光部と、前記生体表面を所定の形状に成形
    する成形部と、前記成形部が前記生体表面に加える圧力
    が規定値に達したことを検出する圧力検出部と、前記圧
    力が前記規定値に達したことを前記圧力検出部が検出し
    たときの、前記受光部において受光した受光量に基づき
    前記生体の皮下脂肪厚を算出する演算部とを有する光式
    皮下脂肪厚測定装置。
  7. 【請求項7】 成形部の生体表面と接する面が略平面形
    状であることを特徴とする、請求項5または6に記載の
    光式皮下脂肪厚測定装置。
  8. 【請求項8】 成形部の生体表面と接する面に突起部を
    備え、前記突起部に光源部及び受光部を設けたことを特
    徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光式皮
    下脂肪厚測定装置。
  9. 【請求項9】 光源部に複数の光源を設けたことを特徴
    とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の光式皮下
    脂肪厚測定装置。
  10. 【請求項10】 受光部に複数の受光素子を設けたこと
    を特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の光
    式皮下脂肪厚測定装置。
  11. 【請求項11】 光源−受光素子間の距離が15mm〜
    30mmである第1の距離となるように設けられた光源
    及び受光素子、並びに35mm〜80mmである第2の
    距離となるように設けられた光源及び受光素子を有し、
    光源との距離が前記第1の距離である受光素子における
    受光量をY1、光源との距離が前記第2の距離である受
    光素子における受光量をY2としたとき、演算部におい
    てY2/Y1を用いて生体の皮下脂肪厚を算出すること
    を特徴とする、請求項9または10に記載の光式皮下脂
    肪厚測定装置。
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