JP2015010988A - 被検体情報取得装置、被検体情報取得装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】介在組織を表層に有する被検体に対して光を照射する光照射手段と、前記介在組織を透過して前記被検体内を伝搬した光の強度を検出し、第一の信号に変換する光検出手段と、前記照射された光に起因して前記介在組織内で発生した音響波を検出し、第二の信号に変換する音響波受信手段と、前記第二の信号に基づいて、前記介在組織の光学特性に関連した情報である光学関連情報を取得する信号処理手段と、前記光学関連情報に基づいて前記第一の信号を補正し、前記第一の信号から前記介在組織の影響を除去する信号補正手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
光イメージング技術の一つに、近赤外分光法がある。近赤外分光法は、光源から被検体に光を照射して、被検体内を伝播および拡散した微弱光を光検出器によって検出することで、被検体の内部組織における光の吸収特性を取得する方法である。また、検出した光の強度の変化を取得することで、被検体内部の光吸収特性の変化についての情報を得る事ができる。
このような近赤外分光法による測定を生体の頭部に対して行うことで、大脳皮質表面の酸素代謝の変化(脳の活性化状態)などを非侵襲で測定することができる。
被検体内において光は、光の入射位置と検出位置とを円弧状に結ぶ経路で伝搬する。前述したように、光の入射位置と検出位置の間隔を短くした場合、光は被検体内の浅い位置を透過するため、相対的に浅い部位の情報を得ることができる。
すなわち、従来の技術では、介在組織を透過する計測光の光量の変動を必ずしも正確に取得することができないという問題があった。
介在組織を表層に有する被検体に対して光を照射する光照射手段と、前記介在組織を透過して前記被検体内を伝搬した光の強度を検出し、第一の信号に変換する光検出手段と、前記照射された光に起因して前記介在組織内で発生した音響波を検出し、第二の信号に変換する音響波受信手段と、前記第二の信号に基づいて、前記介在組織の光学特性に関連した情報である光学関連情報を取得する信号処理手段と、前記光学関連情報に基づいて前記第一の信号を補正し、前記第一の信号から前記介在組織の影響を除去する信号補正手段と、を有することを特徴とする。
介在組織を表層に有する被検体の内部情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、被検体に照射する光を発生させる光照射ステップと、前記介在組織を透過して前記被検体内を伝搬した光の強度を検出し、第一の信号に変換する光検出ステップと、前記照射された光に起因して前記介在組織内で発生した音響波を検出し、第二の信号に変換する音響波受信ステップと、前記第二の信号に基づいて、前記介在組織の光学特性に関連した情報である光学関連情報を取得する信号処理ステップと、前記光学関連情報に基づいて前記第一の信号を補正し、前記第一の信号から前記介在組織の影響を除去する信号補正ステップと、を含むことを特徴とする。
第一の実施形態に係る生体光測定装置は、近赤外分光法を用いて、生体の脳内における血流に関する情報を取得して画像化することで脳機能を可視化する装置である。また、音響波を用いて被検体の介在組織に関する情報を取得し、取得した情報を用いて、測定結果から介在組織の影響を除去する機能を有する。
図1を参照しながら、第一の実施形態に係る生体光測定装置の構成を説明する。
第一の実施形態に係る生体光測定装置は、光源1、光検出器2、光導波路3、投光プローブ4、受光プローブ5、光導波路6、信号処理部7、パルス光源8、光導波路9、第二の投光プローブ10、音響波探触子11、表示部12からなる。また、本実施形態に係る光計測装置は、本発明における第一の信号を測定する光強度測定系と、第二の信号を測定する光音響波測定系から構成される。各測定系に含まれる構成要素を順に説明する。
光強度測定系は、光源1から被検体100に照射され、被検体100内を伝播した光の強度を光検出器2で検出し、第一の信号に変換する測定系である。
光源1はレーザ光源であることが好ましいが、レーザのかわりに発光ダイオードなどを用いてもよい。レーザ光源を使用する場合、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど、様々な種類のレーザを使用することができる。
しなくてもよい。
被検体100の内部は、装置によって測定を行う対象の領域である測定対象領域101と、測定対象領域よりも表層側に位置する介在組織102に大別される。被検体が生体の頭部である場合、測定対象領域101は大脳皮質であり、介在組織102は頭皮や頭蓋骨などの脳外組織である。
被検体100に入射した光は、減衰および散乱しながら被検体の内部を拡散し、被検体表面から出射する。投光プローブ4から出射され、受光プローブ5に入射する光の経路103は、図に示したように、いわゆるバナナシェープと呼ばれる円弧状の形状となる。計測光は、投光プローブ4から出射されて介在組織102を透過する部分と、測定対象領域101を透過する部分と、介在組織102を透過して受光プローブ5に入射する部分の三つに分けられる。
大脳皮質(測定対象領域101)における光吸収特性が変動すると、大脳皮質を透過する計測光の光量が変動するため、当該変動量を取得することで、脳機能を測定することができる。
しかし、同様に、頭皮において光吸収特性が変動すると、大脳皮質を往復する計測光の光量が変動する。光吸収特性が変化する要因は、例えば血液中の酸化ヘモグロビン、脱酸化ヘモグロビンなどの色素の濃度や量の変化が挙げられる。これにより、大脳皮質に対して行った測定の結果が変動してしまう。
光導波路6は、受光プローブ5に入射した光を光検出器2に導く手段である。光導波路6には、光導波路3と同様に光ファイバを用いることが好ましい。なお、光検出器2を被検体100の近傍に配置できる場合、光導波路6は必ずしも使用しなくてもよい。
シェフォトダイオード(APD)、光電子増倍管(PMT)などを用いることができる。
光検出器2が検出した光の強度を取得することで、被検体内部の光吸収特性の時間変化についての情報を得ることができる。また、第一の信号には、光が透過する経路についての情報が含まれる。すなわち、第一の信号には、測定対象領域101および介在組織102の光吸収特性の情報が混在して含まれている。変換された信号は、信号処理部7に送られる。
光音響波測定系は、被検体に対してパルス光を照射して、当該パルス光に起因して被検体内の光吸収体から発生する音響波を音響波探触子11で検出し、第二の信号に変換する測定系である。
パルス光源8はレーザ光源であることが好ましいが、レーザ光源のかわりに発光ダイオードなどを用いてもよい。レーザ光源を使用する場合、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど、様々な種類のレーザを使用することができる。また、被検体に照射する光の照射強度を上げるため、同じ波長の光を発生させる複数の光源を用いてもよい。
光導波路9には、光導波路3と同様に光ファイバを用いることが好ましい。また、パルス光源が複数個である場合、それぞれのパルス光源に対応する複数の光ファイバを用い、被検体100の表面にパルス光を導いてもよい。
また、複数のパルス光源で発生した計測光を単一の光ファイバに導くことで合成し、被検体の表面に導いてもよい。反対に、一本の光ファイバを分岐して、被検体の表面に複数のパルス光を導いてもよい。なお、パルス光源8を被検体100の近傍に配置できる場合、光導波路9は必ずしも使用しなくてもよい。
ここで、被検体の内部で発生する音響波について説明する。
被検体100に照射されるパルス光は、吸収減衰されながら被検体100内部に拡散していく。そして、被検体100内で光吸収体が光エネルギーを吸収することで音響波が発生する。発生する音響波の初期音圧Pは、数式1で表すことができる。
P=Γ×μa×φ ・・・(数式1)
ここで、Γはグリューナイゼン定数、μaは光吸収体における光の吸収係数、φは光吸収体に到達するパルス光の光量である。発生する音響波の音圧は、吸収される光エネルギー(μa×φ)に比例する。音響波探触子11は、このようにして発生した音響波を受信する。
プローブ5)を挟む形で、第二の投光プローブ10と音響波探触子11を配置してもよい。
また、音響波探触子11は、感度が高く、周波数帯域が広いものが望ましい。具体的にはPZT(圧電セラミックス)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、CMUT(容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ)、ファブリペロー干渉計を用いたものなどが挙げられる。ただし、ここに挙げたものだけに限定されず、探触子としての機能を満たすものであれば、どのようなものであってもよい。
また、音響波探触子11が取得した信号のレベルが小さい場合、増幅器を用いて信号強度を増幅することが好ましい。また、音響波探触子11と被検体100との間には、音波の反射を抑えるための音響インピーダンスマッチング剤(不図示)を配置してもよい。
音響波探触子11が取得した第二の信号は、信号処理部7に送られる。
信号処理部7は、コンピュータによって実現してもよいし、専用に設計されたハードウェアやFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現してもよい。また、
信号処理部7は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータや、解析に必要な情報や解析結果を保持する記憶媒体などを含んでいてもよい。
また、信号処理部7が実行する画像再構成方法には、例えば、フーリエ変換法、ユニバーサルバックプロジェクション法やフィルタードバックプロジェクション法、逐次再構成法などがあるが、どのような画像再構成方法を用いても構わない。
次に、取得した第一の信号を補正することで、測定結果から介在組織の影響を除去する方法について具体的に説明する。
まず、音響波探触子が取得した第二の信号を用いて、介在組織を透過する計測光の光量を取得する方法について述べ、次に、取得した結果に基づいて測定信号(第一の信号)を補正する方法について述べる。
被検体が生体の頭部である場合、介在組織は頭皮であり、介在組織内の光吸収体とは、頭皮の表面付近にあるメラニンや毛細血管などである。これら毛細血管中の血流が、光吸収特性の変動要因となる。これらの光吸収体に関する情報(光学関連情報)は、パルス光に起因して発生する音響波を解析することで取得することができる。
音響波探触子11に対して毛細血管は微小であるため、介在組織は均質であるとみなせる。また、被検体表面に照射される光量は一定であるため、吸収される光エネルギーは、光の吸収係数にほぼ比例する。従って、パルス光に起因して介在組織内で発生する音響波の音圧は、介在組織の吸収係数にほぼ比例する。
また、音響波の伝播解析には、公知の解析ソフトを使用した。超音波を取り扱える解析ソフトとして、例えば、University College Londonにて公開されている、k-waveがある
。
本例では、図2に示したような、頭部を模擬した縦横64ミリメートル四方の二次元のモデルを作成した。当該モデルは、空気110、音響マッチング材111、頭皮112、頭蓋骨113、脳髄液114、大脳皮質115の6層構造となっている。頭皮112表面には、幅1mmの光照射領域Wが設定されている。
このようなモデルを用いて、光伝播解析を行うことで、光の吸収エネルギー(数式1におけるμa×φ)の分布を求め、次に、吸収エネルギー分布を元に初期音圧(数式1におけるP)を求め、最後に音響波の伝播解析を行った。本例では、光照射領域Wの中心から5mm離れた位置に音響波探触子11があるものとして、到達する圧力波を求めた。解析に使用した各層の厚さ、および光学特性、音響特性を表1に示す。使用したパラメータは
、各物質における代表的な値である。
s)の関係から、図中の約3.3μsの時刻に現れるピークが、頭皮112で発生する音響波に由来することが分かる。すなわち、図中の頭皮112に相当する振幅Aから、頭皮
112での光の吸収エネルギーに関する情報が得られる。
図5(a)および図5(b)より求めた、頭皮112で発生する音響波の振幅と、大脳皮質115表面に照射される光量の関係を、図5(c)に示す。図5(c)より、大脳皮質115表面に照射される光量と、頭皮112で発生する音響波の振幅には負の相関があることが分かる。このような、図5(c)に相当するデータがあれば、頭皮112で発生する音響波の振幅の変化から、大脳皮質115表面に照射される計測光の光量の変化を推定することができる。
なお、受信した音響波から、介在組織を透過する計測光の光量を求めることができれば、振幅以外を用いてもよい。例えば、音響波の波形の傾きや自乗平均、FFTを実行した時のパワーなどを用いてもよい。
次に、第一の信号を補正する具体的な方法について説明する。
始めに、被検体を測定する際の基準となる「対照状態」と「換算テーブル」について説明する。対照状態とは、被検体に負荷を課していない状態、もしくは被検体の状態を一定にする標準的な負荷を課している状態(コントロール)である。
また、換算テーブルとは、図5(c)に示したような、介在組織で発生した音響波の振幅と、介在組織を透過する光量との関係を表したテーブルである。本実施形態では、換算テーブルを用いて、介在組織を透過する計測光の光量が少なくなるほど、第一の信号を増幅する方向に補正を行う。
換算テーブルは、前述したようなシミュレーション、あるいはファントムや動物実験などによって事前に作成することができる。また、換算テーブルは、標準的な被検体に対応するものを一つだけ使用してもよいし、被検体に応じて複数用意してもよい。例えば、介在組織の厚さは、被検体の測定部位や被検者の年齢、性別、体格などに応じて変わる。そこで、介在組織の厚さに応じた換算テーブルを事前に複数用意し、対象の被検体に適合する換算テーブルを選択するようにしてもよい。
なお、換算テーブルの選択は、磁気共鳴映像法やX線断層像などによって取得した情報を用いて行うことができる。また、被検体を複数回測定した後に、安定して頭皮の影響を補正できている換算テーブルを事後的に選択するようにしてもよい。
る光量の変化量Tを得る。最後に、変化量の逆数(1/T)を補正量Kとして、第二の測定にて取得した第一の信号を補正する。
なお、本実施形態では、光音響波測定系は、投光プローブおよび受光プローブの近傍それぞれに設けられている。このような場合、投光側と受光側の光音響波測定系それぞれについて補正量Kを取得すればよい。数式2に示すように、第一の信号に補正係数を乗ずることで、介在組織の吸収係数の変化を補正した信号を得ることができる。なお、Iは第一の信号、I’は補正後の信号、Ksは投光プローブ側の補正量、KDは受光プローブ側の補正量を表す。
I’=I×(Ks×KD) ・・・(数式2)
なお、当該処理は、第一の測定から第二の測定までの間に生じた計測光の光量の変化を補正するためのものであるため、対照状態で取得した信号を補正する必要はない。よって、第一の測定で取得した第一の信号は、補正せずに使用する(I’=I)。
例えば、測定対象成分が酸化ヘモグロビンや脱酸化ヘモグロビンである場合、波長が700nm以上、1100nm以下である二以上の波長を用いればよい。酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの光吸収係数は、800nm付近で大小関係が逆転するため、少なくとも800nmを挟んだ二つ以上の波長を選択することが好ましい。例えば、700nmと830nmの波長を用いることで相対濃度変化を計測することができる。
図6に、本実施形態に係る生体光測定装置が行う処理のフローチャートを示す。なお、被検体に対するプローブ等の設置および、前述した対照状態の測定(第一の測定)と換算テーブルの準備は完了しているものとする。
始めに、特定の波長の光を被検体に照射し、光強度測定系を用いて第一の信号を測定する(ステップS1)。次に、ステップS1と同じ波長のパルス光を被検体に照射し、光音響測定系を用いて第二の信号を測定する(ステップS2)。ステップS1およびS2は、短い間隔で実行することが好ましい。
次に、第一および第二の測定で取得した音響波に基づいて、介在組織内で発生した音響波に相当する振幅を取得し、当該振幅の変化量を算出し、換算テーブルを用いて第一の信号の補正量を算出する(ステップS3)。もし、換算テーブルが複数ある場合、被検体の条件に最も適した換算テーブルを選択して処理を行う。
次に、算出した補正量を用いて、ステップS1で取得した第一の信号を補正する(ステップS4)。
次に、波長ごとに測定した結果を用い、吸収特性の波長依存性から、被検体を構成する物質の濃度変化を算出する(ステップS6)。
なお、経時的な変化を測定する場合、所定の測定時間が終了するまで、ステップS1からステップS6の処理を繰り返す(ステップS7)。経時的な変化を測定する際は、被検体内部の変化に対して十分な時間分解能を有する周期で測定を繰り返せばよい。例えば、大脳皮質の血液は百ミリ秒から秒オーダーの周期で変化するため、血流の変化周期よりも小さい周期で測定すればよい。また、経時的な変化の測定中に被検体に負荷を課すことで、対照状態に対する内部状態の変化を測定することができる。内部状態の変化を測定する
対象としては、例えば、脳の賦活領域を測定する脳機能測定などが挙げられる。
前述した通り、従来技術に係る測定装置では、介在組織を透過する計測光の光量を正確に取得できず、被検体の内部情報を精度よく取得することができなかった。これに対して、本実施形態に係る生体光測定装置では、介在組織における光吸収特性を正確に取得できるため、介在組織の影響を正確に除去することができ、測定精度を向上させることができる。
第一の実施形態では、投光プローブ4の近傍と受光プローブ5の近傍に、それぞれ第二の投光プローブ10と音響波探触子11を配置した。すなわち、複数組の光音響波測定系を用いて測定を行った。これに対して第二の実施形態は、単一の光音響波測定系を用いて測定を行う実施形態である。
第二の実施形態は、介在組織に起因する測定信号の変動量が、位置に依存せず同一であるとみなせる場合に適用できる。
図7は、第二の実施形態に係る生体光測定装置の構成図である。本例では、投光プローブ4および受光プローブ5の略中間に、第二の投光プローブ10および音響波探触子11をそれぞれ配置する。他の構成は、第一の実施形態と同様である。なお、第二の投光プローブ10および音響波探触子11は、介在組織に起因する信号の変動が略同一であるとみなせる位置であれば、どこに配置してもよい。
I’=I×(K×K) ・・・(数式3)
被検体100が頭部である場合、大脳皮質の局所的な変化と比較して、水平方向における頭皮血流の変化は相対的に少ないと考えられるため、単一の補正計数を用いても大きな誤差は発生しないと考えられる。従って、本実施形態のような構成とすることで、光音響波測定系の数を減らし、装置のコストを削減することができる。
第一および第二の実施形態では、光強度測定系と光音響測定系とでそれぞれ異なる光源を使用した。これに対して第三の実施形態は、共通のパルス光源を用いて測定を行う実施形態である。
図8は、第三の実施形態に係る生体光測定装置の構成図である。本例では、共通の光源であるパルス光源13を用い、光導波路14によってパルス光を分岐させている。他の構成は、第一の実施形態と同様である。なお、図8の例では、投光プローブ15も、光強度測定系と光音響測定系とで共通のものを使用しているが、別個のものを使用してもよい。
内で発生した音響波を第二の信号として検出する。第一の信号および第二の信号は同時に測定してもよいし、別々に測定してもよい。このような構成とすることで、使用する光源および光導波路、投光プローブの数を減らし、装置のコストを削減することができる。
第一ないし第三の実施形態では、対照状態と、被検体に負荷を課した状態で測定を行い、計測光の光量の変化を用いて信号を補正した。これに対して第四の実施形態は、第二の信号から得られる介在組織の光吸収特性の経時的な変化を用いて、第一の信号の経時的な変化から介在組織の情報を除去する実施形態である。すなわち、被検体に負荷を課しながら複数回の測定を連続して行う実施形態である。第四の実施形態に係る生体光測定装置の構成は、第一ないし第三の実施形態と同様である。
また、第二の信号から、介在組織にて発生した音響波に相当する振幅を得て、当該振幅を時系列で表した信号を生成する。これを第三の信号と称する。すなわち、第三の信号は、取得した振幅の経時的な変化を表す信号である。
第一の実施形態に対応する実施例について説明する。本実施例に係る生体光測定装置は、生体の脳の血液動態の変化を求めることを目的とした測定装置である。
光強度測定系と光音響波測定系は、不図示のホルダによって被検体100の表面に配置した。また、光源1には、波長が750nmと1060nmである半導体レーザ光を照射できる光源を用いた。光源1にて発生する光は、変調周波数100MHzの変調光である。また、パルス光源8には、パルス幅が50ナノ秒、繰返し周波数が10Hz、波長が1064nmであるNd:YAGレーザと、波長が750nmであるアレキサンドライトレーザを用いた。
また、音響波探触子11には、中心周波数が1MHzのピエゾタイプのトランスデューサを使用した。
また、パルス光源8から発せられたパルス光を、光ファイバ経由で第二の投光プローブ10から被検体100に照射した。そして、パルス光に起因して被検体100内で発生する音響波を音響波探触子11で取得し、第二の信号を得た。
測定は、複数波長の光源を用いて行い、所定の測定時間が終了するまで繰返し行った。このようにして最終的に得られた結果は、頭皮における血流の影響が除去されたものであった。すなわち、介在組織(頭皮)の吸収係数の変化を正確に取得することができ、信号を正確に補正したうえで脳の血液動態を求められることが確認できた。
なお、各実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。例えば本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む被検体情報取得装置の制御方法として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
例えば、光強度測定系と光音響波測定系を複数組設け、被検体表面上に一次元あるいは二次元的に配置してもよい。各測定系を複数組配置することで、測定結果の空間的な分布を得ることができる。また、取得した分布は表示部に出力するようにしてもよい。
また、実施形態の説明では、音響波の振幅と、介在組織を透過する計測光の光量との対応を表した換算テーブルを用いた。すなわち、本発明における光学関連情報とは、介在組織を透過する計測光の光量である。しかし、大脳皮質に到達する計測光の光量を求めることができれば、他の情報を用いてもよい。例えば、介在組織に吸収される光エネルギーを用いてもよいし、介在組織における光の吸収係数を用いてもよい。
この目的のために、上記プログラムは、例えば、ネットワークを通じて、又は、上記記憶装置となり得る様々なタイプの記録媒体(つまり、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体)から、上記コンピュータに提供される。したがって、上記コンピュータ(CPU、MPU等のデバイスを含む)、上記方法、上記プログラム(プログラムコード、プログラムプロダクトを含む)、上記プログラムを非一時的に保持するコンピュータ読取可能な記録媒体は、いずれも本発明の範疇に含まれる。
Claims (13)
- 介在組織を表層に有する被検体に対して光を照射する光照射手段と、
前記介在組織を透過して前記被検体内を伝搬した光の強度を検出し、第一の信号に変換する光検出手段と、
前記照射された光に起因して前記介在組織内で発生した音響波を検出し、第二の信号に変換する音響波受信手段と、
前記第二の信号に基づいて、前記介在組織の光学特性に関連した情報である光学関連情報を取得する信号処理手段と、
前記光学関連情報に基づいて前記第一の信号を補正し、前記第一の信号から前記介在組織の影響を除去する信号補正手段と、
を有することを特徴とする、被検体情報取得装置。 - 前記光検出手段は、第一および第二の測定を行い、前記第一の信号をそれぞれ取得し、
前記音響波受信手段は、第一および第二の測定を行い、前記第二の信号をそれぞれ取得し、
前記信号補正手段は、前記第一および第二の測定によって得られた前記第二の信号から、前記介在組織を透過する光の光量の変動量を取得し、当該変動量を用いて、前記第二の測定によって得られた前記第一の信号を補正する
ことを特徴とする、請求項1に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光学関連情報は、前記介在組織を透過する光の光量である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。 - 前記第二の信号は、前記介在組織内で発生した音響波の音圧を表す信号であり、
前記信号処理手段は、前記介在組織内で発生した音響波の音圧と、前記介在組織を透過する光の光量との関係を表したデータを用いて前記光学関連情報を取得する
ことを特徴とする、請求項3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記信号補正手段は、前記光学関連情報に基づき、前記介在組織を透過する光の光量が少なくなるほど、前記第一の信号を増幅する
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光照射手段は、第一の光源と、パルス光源である第二の光源を含み、
前記光検出手段は、前記第一の光源から発生し、被検体内を伝搬した光の強度を検出し、
前記音響波受信手段は、前記第二の光源から発生したパルス光に起因して発生した音響波を検出する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記第一の光源および前記光検出手段の近傍に、前記第二の光源および前記音響波受信手段が配置される
ことを特徴とする、請求項6に記載の被検体情報取得装置。 - 介在組織を表層に有する被検体の内部情報を取得する被検体情報取得装置の制御方法であって、
被検体に照射する光を発生させる光照射ステップと、
前記介在組織を透過して前記被検体内を伝搬した光の強度を検出し、第一の信号に変換する光検出ステップと、
前記照射された光に起因して前記介在組織内で発生した音響波を検出し、第二の信号に
変換する音響波受信ステップと、
前記第二の信号に基づいて、前記介在組織の光学特性に関連した情報である光学関連情報を取得する信号処理ステップと、
前記光学関連情報に基づいて前記第一の信号を補正し、前記第一の信号から前記介在組織の影響を除去する信号補正ステップと、
を含むことを特徴とする、被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光検出ステップでは、第一および第二の測定を行い、前記第一の信号をそれぞれ取得し、
前記音響波受信ステップでは、第一および第二の測定を行い、前記第二の信号をそれぞれ取得し、
前記信号補正ステップでは、前記第一および第二の測定によって得られた前記第二の信号から、前記介在組織を透過する光の光量の変動量を取得し、当該変動量を用いて、前記第二の測定によって得られた前記第一の信号を補正する
ことを特徴とする、請求項8に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光学関連情報は、前記介在組織を透過する光の光量である
ことを特徴とする、請求項8または9に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記第二の信号は、前記介在組織内で発生した音響波の音圧を表す信号であり、
前記信号処理ステップでは、前記介在組織内で発生した音響波の音圧と、前記介在組織を透過する光の光量との関係を表したデータを用いて前記光学関連情報を取得する
ことを特徴とする、請求項10に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記信号補正ステップでは、前記光学関連情報に基づき、前記介在組織を透過する光の光量が少なくなるほど、前記第一の信号を増幅する
ことを特徴とする、請求項8から11のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光照射ステップでは、第一の光源と、パルス光源である第二の光源を用いて光の照射を行い、
前記光検出ステップでは、前記第一の光源から発生し、被検体内を伝搬した光の強度を検出し、
前記音響波受信ステップでは、前記第二の光源から発生したパルス光に起因して発生した音響波を検出する
ことを特徴とする、請求項8から12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。
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