JP2003304893A - 有機酸の製造方法及び製造装置並びに有機酸の保存方法 - Google Patents

有機酸の製造方法及び製造装置並びに有機酸の保存方法

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JP2003304893A
JP2003304893A JP2002113442A JP2002113442A JP2003304893A JP 2003304893 A JP2003304893 A JP 2003304893A JP 2002113442 A JP2002113442 A JP 2002113442A JP 2002113442 A JP2002113442 A JP 2002113442A JP 2003304893 A JP2003304893 A JP 2003304893A
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organic acid
anaerobic treatment
liquid
heat
solid
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English (en)
Inventor
Akio Nakao
彰夫 中尾
Masanobu Koseki
正信 小関
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、有機性廃棄物から有機酸を効率よ
く生成できる有機酸の製造方法及び製造装置並びに有機
酸の保存方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、有機性汚泥を加熱処理する加
熱処理装置2、加熱処理装置2から排出される加熱処理
液を嫌気処理する嫌気処理装置10、嫌気処理装置10
から排出される嫌気処理液を固液分離し有機酸を得る固
液分離装置21を備える有機酸の製造装置1である。汚
泥を加熱処理装置2で50〜180℃で加熱処理する
と、汚泥が熱で分解されて可溶性低分子となり、また微
生物膜や動植物膜は熱で破壊され、膜内部の体内物質が
流出する。このため、加熱処理液が嫌気処理装置10で
嫌気処理されると、有機酸が効率よく生成される。そし
て、固液分離装置21で嫌気処理液を固液分離すること
により上記有機酸が回収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酢酸、酪酸、プロ
ピオン酸等の有機酸の製造方法及び製造装置並びに有機
酸の保存方法に関する。
【0002】
【従来技術】有機酸は、例えば排水中の窒素分を除去す
る循環脱窒法に使用する炭素源として、高価なメタノー
ルに代わるものとして有用である。特に、循環脱窒法を
適用する脱窒設備が大規模になる場合には、メタノール
を用いると、大幅に運転コストがかかるため、炭素源と
してメタノールの代わりに有機酸を用いることは、運転
コスト低減の観点から、極めて望ましい。
【0003】このような有機酸を製造する方法として、
従来、例えば2000年度下水道新技術研究所年報〔1
/2巻〕p.123〜128に開示されるものがある。
この年報には、沈殿池で発生する汚泥等の有機性廃棄物
を発酵槽に導入し、発酵槽での酸発酵により有機酸を得
る方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の方法は以下に示す課題を有する。
【0005】すなわち従来の方法では、発酵槽の温度が
35℃以下であり低いものであった。このため、発酵槽
において有機酸が効率よく生成されず、有機酸の生成に
多大な時間を要していた。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、有機性廃棄物から有機酸を効率よく生成できる
有機酸の製造方法及び製造装置並びに有機酸の保存方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、有機性廃棄物を加熱処理する加熱処理装
置と、前記加熱処理装置で加熱処理される加熱処理液を
嫌気処理する嫌気処理装置と、前記嫌気処理装置で嫌気
処理される嫌気処理液を固液分離して有機酸を得る固液
分離装置とを備えることを特徴とする有機酸の製造装置
である。
【0008】この製造装置によれば、有機性廃棄物が加
熱処理装置によって50〜180℃で加熱処理される
と、有機性廃棄物が熱で分解されて可溶性の低分子とな
り、また微生物膜や動植物膜は熱で破壊され、膜内部の
体内物質が流出する。このため、このような低分子の可
溶性物質や微生物の体内物質を含む加熱処理液が嫌気処
理装置で嫌気処理されると、嫌気処理装置で有機酸が効
率よく生成される。ここで、嫌気処理液には有機酸のほ
か固形物が含まれている。そこで、固液分離装置により
嫌気処理液を固液分離すると、上記有機酸が回収され
る。
【0009】上記嫌気処理装置が、前記加熱処理液が嫌
気処理される嫌気処理槽と、前記嫌気処理槽に酸素を導
入する酸素導入手段と、前記嫌気処理槽における槽内液
の酸化還元電位を測定する電位測定装置と、前記電位測
定装置で測定される酸化還元電位に基づいて前記酸素導
入手段を制御し、前記嫌気処理槽に導入する酸素の量を
調整する制御手段とを備えることが好ましい。
【0010】この場合、嫌気処理槽において、電位測定
装置により測定される槽内液の酸化還元電位に基づき、
制御手段により酸素導入手段を制御し、酸化還元電位が
−0〜−300mVの範囲となるよう嫌気処理槽に導入
する酸素量を調整することが可能となる。この場合、嫌
気処理槽において有機酸の発酵速度が速くなるため、有
機酸が多量に且つ短時間で生成される。
【0011】上記製造装置は、前記固液分離装置の下流
側に設けられ、有機酸を貯留する有機酸貯留槽と、前記
固液分離装置の下流側であって前記有機酸貯留槽の上流
側に設けられ、アンモニア性窒素を吸着する吸着材を備
えた吸着装置とを更に備えることが好ましい。
【0012】この場合、吸着装置において、吸着材によ
りアンモニア性窒素が十分に除去される。こうして得ら
れる有機酸は、排水の硝酸性窒素除去用の有機物源とし
て有効利用することが可能となる。
【0013】また本発明は、有機性廃棄物を50〜18
0℃で加熱処理する加熱工程と、前記加熱工程で得られ
る加熱処理液を嫌気処理する嫌気処理工程と、前記嫌気
処理工程で得られる嫌気処理液を固液分離して有機酸を
得る固液分離工程とを含むことを特徴とする有機酸の製
造方法である。
【0014】この製造方法によれば、有機性廃棄物を5
0〜180℃で加熱処理すると、有機性廃棄物は熱で分
解され、可溶性の低分子となり、また微生物膜や動植物
膜は熱で破壊され、膜内部の体内物質が流出する。この
ため、このような低分子の可溶性物質や微生物の体内物
質を含む加熱処理液が嫌気処理されると、有機酸が効率
よく生成される。ここで、嫌気処理液には有機酸のほか
固形物が含まれている。このため、嫌気処理液の固液分
離により上記有機酸が回収される。
【0015】上記嫌気処理工程は、前記加熱処理液の酸
化還元電位を測定する電位測定工程と、前記電位測定工
程で測定される酸化還元電位に基づき、酸化還元電位が
−0〜−300mVとなるように前記有機酸に酸素を導
入する酸素導入工程とを含むことが好ましい。
【0016】この場合、嫌気処理工程において有機酸の
発酵速度が速くなるため、有機酸が多量に且つ短時間で
生成される。
【0017】更に本発明は、上記有機酸に塩類を添加す
ることを特徴とする有機酸の保存方法である。
【0018】上記のようにして回収される有機酸には多
量の微生物が混入している。このため、そのままの状態
にすると微生物により発酵が進み、有機酸は、低分子の
有機酸になるか、炭酸ガス及び水に変換され、有機酸濃
度が低下する。そこで、上記のようにして回収される有
機酸に塩類を添加すると、微生物は、その膜の浸透圧変
化で死滅するか又は、生育が阻害される。このため、発
酵は抑制され、有機酸を長期間保存することが可能とな
る。
【0019】更にまた本発明は、上記有機酸の酸化還元
電位を測定する電位測定工程と、前記電位測定工程で測
定される酸化還元電位に基づき、酸化還元電位が−0〜
−300mVとなるように上記有機酸に酸素を導入する
酸素導入工程とを含むことを特徴とする有機酸の保存方
法である。
【0020】この場合、有機酸においてメタン菌の生育
が阻害されるため、メタン菌による有機酸の分解が十分
に防止される。このため、発酵は抑制され、有機酸を長
期間保存することが可能となる。
【0021】なお、本発明において、酸化還元電位と
は、電位測定装置としての酸化還元電位計を用いて測定
した値を言う。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明による有機酸の製造装置の
第1実施形態を示す概略図であり、有機性廃棄物として
の有機性汚泥から有機酸を製造する製造装置を示すもの
である。この有機性汚泥としては、例えば有機性排水の
処理設備で得られた沈殿物、処理設備を構成する生物処
理槽で発生した余剰汚泥又はこれらの混合汚泥など、有
機性排水の処理設備における有機性廃棄物が用いられ
る。
【0024】図1に示すように、有機酸の製造装置1
は、有機性汚泥を加熱する加熱処理装置2を備えてい
る。加熱処理装置2は、加熱反応タンク3を備えてお
り、加熱反応タンク3には汚泥導入ライン4が接続され
ている。加熱反応タンク3には、槽内液の温度を均一に
するための攪拌機5が設けられ、攪拌機5は、モータ6
と、モータ6に接続される回転軸7と、回転軸7に固定
される攪拌羽根8とから構成されている。また加熱反応
タンク3には、蒸気導入ライン9を介して蒸気源が接続
されている。蒸気は、加熱反応タンク3の槽内液を加熱
する熱源となるものである。
【0025】製造装置1は、加熱処理装置2で得られる
加熱処理液を嫌気処理する嫌気処理装置10を備えてい
る。嫌気処理装置10は、加熱処理液が嫌気処理される
嫌気性反応タンク(嫌気処理槽)11を備えており、嫌
気性反応タンク11と加熱反応タンク3は、加熱処理液
導入ライン12によって接続されている。嫌気性反応タ
ンク11には、槽内液の温度を均一にするための攪拌機
13が設けられ、攪拌機13は、モータ14と、モータ
14に接続される回転軸15と、回転軸15に固定され
る攪拌羽根16とから構成されている。また嫌気性反応
タンク11には、槽内液の酸化還元電位(以下、「OR
P」という)を測定するORP測定計17が設けられて
いる。また嫌気性反応タンク11及び蒸気導入ライン9
は、分岐ライン18によって接続されている。更に嫌気
性反応タンク11には、空気導入ライン19を介して空
気源が接続されている。なお、空気導入ライン19及び
空気源により酸素導入手段が構成されている。
【0026】嫌気性反応タンク11には、嫌気処理液導
入ライン20を介して汚泥分離装置(固液分離装置)2
1が接続され、汚泥分離装置21と嫌気性反応タンク1
1は、汚泥返送ライン22によって接続されている。汚
泥分離装置21としては、例えば機械的濃縮を行う遠心
分離機が用いられる。但し、汚泥分離装置21は、汚泥
と有機酸とを分離できるものであれば如何なるものであ
ってもよい。従って、汚泥分離装置21としては、上記
遠心分離機のほか、重力濃縮を行う凝集沈殿装置(シッ
クナー)又はポリマー、PAC(ポリ塩化アルミニウ
ム)、塩化第2鉄、塩化アルミニウム等の凝集剤の添加
により固液分離を行う凝集槽も用いることができる。上
記汚泥分離装置21により嫌気処理液から固形分を除去
し、有機酸を得ることが可能であり、除去した汚泥は汚
泥返送ライン22により嫌気性反応タンク11に返送す
ることが可能である。
【0027】汚泥分離装置21には、ライン23を介し
て有機酸貯留槽24が接続されており、有機酸貯留槽2
4には有機酸が貯留されるようになっている。
【0028】なお、加熱処理液導入ライン12及び汚泥
導入ライン4はいずれも、熱交換器25を通り、嫌気処
理液導入ライン20及び汚泥導入ライン4はいずれも熱
交換器26を通ることが好ましい。この場合、熱交換器
25においては、加熱処理液導入ライン12を通る加熱
処理液の熱によって汚泥導入ライン4を通る汚泥が予熱
され、熱交換器26においては、嫌気処理液導入ライン
20を通る嫌気処理液の熱によって汚泥導入ライン4を
通る汚泥が予熱される。このため、加熱反応タンク3に
おいて容易に汚泥を加熱でき、加熱に要する運転コスト
の低減を図ることができる。
【0029】次に、前述した有機酸の製造装置1を用い
た有機酸の製造方法について説明する。
【0030】まず有機性汚泥を、汚泥導入ライン4を経
て加熱反応タンク3に導入する。加熱反応タンク3には
蒸気源から蒸気導入ライン9を経て蒸気を導入し、槽内
液を所定温度50〜180℃で加熱する。これにより、
加熱反応タンク3に導入される汚泥は加熱処理され(加
熱工程)、有機性汚泥が熱で分解されて可溶性の低分子
となり、また微生物膜や動植物膜は熱で破壊され、膜内
部の体内物質が流出する。
【0031】槽内液の温度が50℃未満では、温度が低
すぎて汚泥が分解されず、嫌気性反応タンク11におい
て有機酸が十分に生成されなくなり、槽内液の温度が1
80℃を超えると、混入している不純物により、配管内
におけるスケールの発生が多くなる。
【0032】また槽内液の加熱時間は好ましくは10分
〜3時間であり、より好ましくは20分〜60分であ
る。加熱時間が10分未満では汚泥の分解が不十分とな
る傾向があり、3時間を超えると、加熱するエネルギー
が増大し、不経済となる傾向がある。
【0033】更に加熱反応タンク3の内部圧力は、10
0〜500kPaとすることが好ましい。内部圧力が1
00kPa未満では、内部圧力が大気圧より低くなるの
で、加温が難しくなる傾向があり、内部圧力が500k
Paを超えると、加熱反応タンク3の管理が難しくなる
傾向がある。
【0034】加熱反応タンク3で得られた加熱処理液
は、加熱処理液導入ライン12を経て嫌気性反応タンク
11に導入して嫌気処理する(嫌気処理工程)。このと
き、加熱処理液は、上記のような低分子の可溶性物質や
微生物の体内物質を含んでおり、これらは嫌気性菌によ
って容易に分解されるものである。このため、嫌気性反
応タンク11で嫌気処理がなされると、嫌気性反応タン
ク11で有機酸が効率よく生成される。
【0035】嫌気性反応タンク11においては、空気源
から空気導入ライン19を経て嫌気性反応タンク11に
空気を導入することが好ましい。このとき、ORP測定
計17でORP値を測定し(電位測定工程)、測定され
たORP値に基づき、ORP値が−0〜−300mV、
好適には−50〜−150mVとなるように空気の導入
量を調整する(酸素導入工程)。これにより、有機酸の
発酵速度が速くなるため、有機酸が多量に且つ短時間で
生成される。
【0036】また嫌気性反応タンク11の槽内液中に
は、蒸気を導入して槽内液の温度を、20〜100℃、
好ましくは30〜70℃とする。槽内液の温度が20℃
未満では、酸発酵速度が非常に遅くなる傾向があり、1
00℃を超えると、微生物の耐熱種が極端に少なくな
り、生育速度も極端に低下するので、酸発酵がほとんど
停止する。蒸気は、蒸気源から蒸気導入ライン9、分岐
ライン18を経て嫌気性反応タンク11に導入する。
【0037】嫌気性反応タンク11の嫌気処理液は、嫌
気処理液導入ライン20を経て汚泥分離装置21に導入
する。このとき、嫌気処理液には、汚泥及び有機酸が含
まれており、汚泥分離装置21により嫌気処理液から汚
泥を除去して有機酸を分離することができる(固液分離
工程)。
【0038】除去した汚泥は、汚泥返送ライン22を経
て嫌気性反応タンク11に返送することが好ましい。こ
の場合、返送汚泥中には多量の微生物が含まれるため、
嫌気性反応タンク11において有機酸発酵が速やかに進
行する。
【0039】分離した有機酸は、ライン23を経て有機
酸貯留槽24に導入し、ここで有機酸を貯留する。こう
して有機性汚泥が有価物である有機酸として回収され、
有機性汚泥が有効に利用されることになる。
【0040】次に、こうして製造された有機酸の保存方
法について説明する。
【0041】上記のようにして製造された有機酸には多
量の微生物が混入している。このため、そのままの状態
では微生物により発酵が進み、有機酸は、低分子の有機
酸になるか、炭酸ガス及び水に変換される。
【0042】そこで、有機酸に塩類を添加する。これに
より、微生物は、微生物膜の浸透圧変化で死滅するか又
は、生育が阻害される。このため、発酵は抑制され、有
機酸を長期間保存することが可能となる。ここで、塩類
としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸
ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリ
ウム等が挙げられる。これらのうち、有機酸中の微生物
を死滅させたり生育を阻害するためには塩化ナトリウム
が有効である。
【0043】塩類は通常、有機酸貯留槽24の槽内液中
の濃度が500〜50,000mg/l、好ましくは
5,000〜10,000mg/lとなるように添加す
る。500mg/l未満では、メタン菌等の増殖で有機
酸の発酵が進み、有機酸がメタンガス、炭酸ガスや水等
に分解され、有機酸の保存ができなくなる傾向があり、
50,000mg/lを超えると、脱窒に使用する時、
注入後の有機酸の希釈倍率が少なく、脱窒菌の生育阻害
が起こる傾向がある。塩類の濃度を500〜50,00
0mg/lの範囲内とすると、有機酸貯留槽24に貯留
された有機酸をそのまま排水処理の硝酸性窒素除去に使
用しても、脱窒反応に影響が出なくなる。
【0044】また有機酸は、次のようにして保存するこ
とも可能である。すなわち図3に示すように、有機酸貯
留槽24にORP測定計27を設けると共に、散気管2
8を設け、ORP測定計27によりORP値を測定し
(電位測定工程)、ORP値が−0〜−300mVとな
るよう、散気管28から有機酸に導入する空気の量を調
整する(酸素導入工程)。散気管28にはブロワ29に
よりライン29aを経て空気を導入する。これによりメ
タン菌の生育が阻害され、メタン菌による有機酸の分解
が十分に防止される。
【0045】次に、本発明による有機酸の製造装置の第
2実施形態について図3を参照して説明する。なお、図
3において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素に
ついては同一の符号を付すこととする。
【0046】図3は、本発明による有機酸の製造装置の
第2実施形態を示す概略図である。図3に示すように、
本実施形態の有機酸製造装置30は、汚泥分離装置21
の下流側であって有機酸貯留槽24の上流側に、吸着材
31を備えた吸着塔(吸着装置)32を更に備える点で
第1実施形態の有機酸製造装置1と相違する。ここで、
吸着材31としては、例えばゼオライトのほか、イオン
交換樹脂等が挙げられるが、これらのうち安価であるこ
とから、ゼオライトが好ましい。また吸着塔32と汚泥
分離装置21はライン33によって接続され、吸着塔3
2と汚泥貯留槽23はライン34によって接続されてい
る。
【0047】汚泥分離装置21により分離された有機酸
にアンモニア性窒素が含まれている場合、汚泥分離装置
21からライン33を経て有機酸が吸着塔32に導入さ
れると、有機酸は吸着材31を通過する。このとき、吸
着材31においてアンモニア性窒素が十分に除去され
る。アンモニア性窒素が除去された有機酸はライン34
を経て有機酸貯留槽24に貯留され、この有機酸は、排
水の硝酸性窒素除去用の有機物源として有効利用するこ
とができる。
【0048】なお、吸着材31に多量のアンモニア性窒
素が吸着されると、やがて吸着性能が低下する。そのよ
うな場合には、吸着材31を空気で曝気し、生物学的に
アンモニア性窒素を硝化し、硝酸として除去する。又は
吸着材31に80〜140℃の高温蒸気を吹き込み、ア
ンモニア性窒素をアンモニアガスとして除去する。
【0049】本発明は、前述した実施形態に限定される
ものではない。例えば上記実施形態は、有機性汚泥から
有機酸を製造する装置に係るものであるが、有機性汚泥
に限定されず、有機性廃棄物であれば、生ごみであって
もよい。
【0050】また上記第1及び第2実施形態では、嫌気
処理装置10において、ORP測定計17で測定される
ORP値に基づき、ORP値が−0〜−300mVの範
囲内の値となるよう、制御装置により空気の導入量を制
御するようにすることが好ましい。この場合、ORP値
が確実に上記範囲内の値とされるため、嫌気性反応タン
ク11においてより効率よく有機酸を生成することがで
きる。
【0051】更に上記第1及び第2実施形態では、汚泥
分離装置21から汚泥返送ライン22を経て嫌気性反応
タンク11に汚泥を返送しているが、汚泥分離装置21
で分離された汚泥を嫌気性反応タンク11に導入する代
わりに、有機酸の製造装置1,30の運転開始時におい
て、作業者が、活性汚泥又は有機性排水の処理設備で得
られた沈殿物を直接嫌気性反応タンク11に導入しても
良い。この場合でも、活性汚泥、沈殿物に多量の微生物
が混入しているため、嫌気性反応タンク11において有
機酸発酵が速やかに進行する。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明の有機酸の製
造装置及び製造方法によれば、有機性廃棄物が嫌気処理
に先立って加熱され、嫌気処理時に分解されやすい状態
とされるため、有機性廃棄物から有機酸を効率よく生成
することができる。
【0053】また本発明の有機酸の保存方法によれば、
メタン菌の増殖が抑制され、有機酸の分解を十分に防止
できるので、長時間にわたって有機酸を保存することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機酸の製造装置の一実施形態を
示す概略図である。
【図2】図1の有機酸貯留槽の内部を示す概略図であ
る。
【図3】本発明による有機酸の製造装置の他の実施形態
を示す概略図である。
【符号の説明】
1,30…有機酸の製造装置、2…加熱処理装置、3…
加熱反応タンク(加熱処理装置)、5…攪拌機(加熱処
理装置)、10…嫌気処理装置、11…嫌気性反応タン
ク(嫌気処理装置)、13…攪拌機(嫌気処理装置)、
17…ORP測定計(電位測定装置)、19…空気導入
ライン(酸素導入手段)、21…汚泥分離装置(固液分
離装置)、24…有機酸貯留槽、31…吸着材、32…
吸着塔(吸着装置)。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B064 AD04 AD05 AD06 CA01 CB30 CC01 CC05 CC12 CC30 CD02 DA16 4D059 AA04 AA05 BA11 BA21 BA34 BA56 BE31 BE38 BE49 BE55 BE56 BF02 BH03 BJ03 BK30 CA23 CA27 CC10 DA45 EA20 EB06 EB20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性廃棄物を加熱処理する加熱処理装
    置と、 前記加熱処理装置から排出される加熱処理液を嫌気処理
    する嫌気処理装置と、 前記嫌気処理装置から排出される嫌気処理液を固液分離
    して有機酸を得る固液分離装置と、を備えることを特徴
    とする有機酸の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記嫌気処理装置が、 前記加熱処理液が嫌気処理される嫌気処理槽と、 前記嫌気処理槽に酸素を導入する酸素導入手段と、 前記嫌気処理槽における槽内液の酸化還元電位を測定す
    る電位測定装置と、 前記電位測定装置で測定される酸化還元電位に基づいて
    前記酸素導入手段を制御し、前記嫌気処理槽に導入する
    酸素の量を調整する制御手段と、を備えることを特徴と
    する請求項1に記載の有機酸の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記固液分離装置の下流側に設けられ、
    有機酸を貯留する有機酸貯留槽と、前記固液分離装置の
    下流側であって前記有機酸貯留槽の上流側に設けられ、
    アンモニア性窒素を吸着する吸着材を備えた吸着装置と
    を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    有機酸の製造装置。
  4. 【請求項4】 有機性廃棄物を50〜180℃で加熱処
    理する加熱工程と、 前記加熱工程で得られる加熱処理液を嫌気処理する嫌気
    処理工程と、 前記嫌気処理工程で得られる嫌気処理液を固液分離して
    有機酸を得る固液分離工程と、を含むことを特徴とする
    有機酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記嫌気処理工程が、 前記加熱処理液の酸化還元電位を測定する電位測定工程
    と、 前記電位測定工程で測定される酸化還元電位に基づき、
    酸化還元電位が−0〜−300mVとなるように前記有
    機酸に酸素を導入する酸素導入工程と、を含むことを特
    徴とする請求項4に記載の有機酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載の有機酸の製造方
    法により製造される有機酸に塩類を添加することを特徴
    とする有機酸の保存方法。
  7. 【請求項7】 請求項4又は5に記載の有機酸の製造方
    法により製造される有機酸の酸化還元電位を測定する電
    位測定工程と、 前記電位測定工程で測定される酸化還元電位に基づき、
    酸化還元電位が−0〜−300mVとなるように前記有
    機酸に酸素を導入する酸素導入工程と、を含むことを特
    徴とする有機酸の保存方法。
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