JP2003304879A - カフェイン合成酵素及びその用途 - Google Patents

カフェイン合成酵素及びその用途

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caffeine
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amino acid
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Hirotaka Kamifuji
洋敬 上藤
Hiroshi Sano
浩 佐野
Nozomi Koizumi
望 小泉
Atsuhiko Niina
惇彦 新名
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Nara Institute of Science and Technology NUC
Toyota Central R&D Labs Inc
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Hitachi Zosen Corp
Nara Institute of Science and Technology NUC
Toyota Central R&D Labs Inc
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】カフェイン合成酵素をコードするDNAの少なく
とも一部を微生物又は植物にセンス又はアンチセンスの
形で組み込むことにより、(1) 工業用、食品用、医療用
として利用できるカフェイン合成酵素を効率よく生産
し、これを用いて酵素反応によってカフェインを製造す
る、(2) メチルキサンチン類を生合成する植物体、植物
組織、植物細胞のメチルキサンチン類生合成代謝を改変
して、カフェインを効率よく生産する、(3) メチルキサ
ンチン類を生合成する植物体、植物組織、植物細胞のメ
チルキサンチン類生合成代謝を改変して、カフェインの
生産を抑制又は停止、メチルキサンチン類の生成比を変
化させる等の課題を達成する。 【解決手段】コーヒーノキ由来の特定のアミノ酸配列又
は該アミノ酸配列の変異体をコードするDNA又はRNAをセ
ンス又はアンチセンスの形で組み込んだベクターで、微
生物、植物体又は培養細胞を形質転換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、コーヒーノキにおけ
る、キサントシンから7−メチルキサントシン、7−メ
チルキサンチン、テオブロミン(3,7−ジメチルキサ
ンチン)を経てカフェイン(1,3,7−トリメチルキ
サンチン)が生合成される一連の反応において、テオブ
ロミンからカフェインを生成する活性を有するカフェイ
ン合成酵素(3,7−ジメチルキサンチンメチル化酵
素)及びその変異体、これらのいずれかをコードする塩
基配列を有するDNA分子又はRNA分子、これらの分子を用
いたベクター、該ベクターによる形質転換生物及びこれ
らの用途に関する。
【0002】
【発明の背景】コーヒーノキ(Coffea)、チャノキ(Camel
lia sinensis)、コラ(Cola acuminata)、マテ(Ilex par
aguariensis)は1,3,7−トリメチルキサンチン(カ
フェイン)を、カカオ(Theobroma cacao)、コラは3,7
−ジメチルキサンチン(テオブロミン)を生合成する植物
である。これらの植物種の葉や果実は嗜好品として飲料
や食品に加工され、人々に摂取されている。また、これ
らの植物種から抽出されたカフェインは、中枢神経興奮
作用などの様々な薬理作用を有するため医薬品として利
用されている。
【0003】カフェインは世界中で莫大な需要がある
が、これらを生合成する植物種の多くは特定の地域での
み栽培される。そこで、遺伝子組換え技術を利用して微
生物や栽培の簡単な植物種にそれらを生合成させる技術
の開発が望まれている。
【0004】他方、カフェインの過剰な摂取は不眠、不
整脈、震顫などの副作用を引き起こすため、遺伝子組換
え技術を利用してカフェイン生合成機能を抑制した植物
種を育種し、カフェイン含量の低い飲料や食品を製造す
る技術が望まれている。これらの技術を開発するために
は、カフェインの生合成に関与する遺伝子あるいはその
cDNAを単離することが必要である。
【0005】
【従来の技術】コーヒーノキ及びチャノキでは、アデニ
ンヌクレオチド及びグアニンヌクレオチドの異化代謝中
間産物であるキサントシンを出発材料とし、7−メチル
キサントシン、7−メチルキサンチン、テオブロミンを
経てカフェインが生合成される(後述の文献(1)、図1参
照)。
【0006】コーヒーノキから7−メチルキサンチンメ
チル化酵素(テオブロミン合成酵素)をコードするCaMX
MT cDNA(後述の文献(2))、はすでに単離されている。
【0007】また、特開2001−37490号公報に
は、カフェイン生合成の最終反応である7−メチルキサ
ンチン→テオブロミン→カフェインの2段階のメチル化
反応を触媒するN−メチルトランスフェラーゼのアミノ
酸配列及びそのアミノ酸配列をコードするチャノキ由来
のDNA配列が記載されている。
【0008】更に同公報では、該発明にかかるDNAをア
ンチセンスの形で植物に導入し、ホスト細胞の代謝を改
変してメチルキサンチン類(7−メチルキサンチン、パ
ラキサンチン、テオブロミン及びカフェイン)の生成比
を改変することができると述べられており、そのための
植物細胞、植物組織又は植物体の供給源として、チャノ
キなどのツバキ(Camellia)属植物の他にコーヒーノキ
(Coffea)属植物を好ましいものとして例示している。
【0009】しかし、ツバキ属植物とコーヒーノキ属植
物は系統的に遠縁であり、N−メチルトランスフェラー
ゼのアミノ酸配列及びそのアミノ酸配列をコードするDN
A配列も両者の間で著しく異なっていることが予測され
ている。従って、同公報に記載のDNAをアンチセンスの
形でコーヒーノキ属植物に導入した場合、メチルキサン
チン類の生成比を改変できるかどうかは疑わしく、でき
たとしても効果は非常に弱いものと考えられる。
【0010】
【発明の課題】本発明は、コーヒーノキにおける、キサ
ントシンから7−メチルキサントシン、7−メチルキサ
ンチン、テオブロミンを経てカフェインが生合成される
一連の反応において、テオブロミンからカフェインを生
成する活性を有するカフェイン合成酵素、微生物や植物
におけるメチルキサンチン類(本明細書において、7−
メチルキサントシン、7−メチルキサンチン、テオブロ
ミン、パラキサンチン、カフェインを「メチルキサンチ
ン類」と呼ぶ)の生産制御に有用なカフェイン合成酵素
をコードするDNA又はRNA分子、及びそれを用いたベクタ
ー等を提供することを目的とする。例えば、本発明によ
るDNA分子の全部もしくは一部を、微生物又は植物に、
センス又はアンチセンスの形で組み込むことにより、以
下の目的を達成することが可能になる。(1) 工業用、食
品用、医療用として利用できるカフェイン合成酵素を効
率よく生産し、これを用いて酵素反応によってカフェイ
ンを製造する。(2) メチルキサンチン類を生合成する植
物体、植物組織、植物細胞のメチルキサンチン類生合成
代謝を改変して、カフェインを効率よく生産する。(3)
メチルキサンチン類を生合成する植物体、植物組織、植
物細胞のメチルキサンチン類生合成代謝を改変して、カ
フェインの生産を抑制又は停止、及びメチルキサンチン
類の生成比を変化させる。
【0011】
【課題の解決手段】本発明者らは、上記課題を解決すべ
く研究を重ねた結果、配列表の配列番号:2に示すDNA
断片をPCR法により増幅し、次に、このDNA分子を発現ベ
クターに組み込んだ後、大腸菌に導入し、当該DNA分子
に由来するポリペプチドを大量に発現させ、発現したポ
リペプチドを回収してその酵素学的性質を調べたとこ
ろ、これが、テオブロミンのメチル化によるカフェイン
の生成反応を触媒することを認めた。すなわち、当該DN
A分子がカフェイン合成系を構成する酵素の一つである
カフェイン合成酵素をコードすることが確認された。
【0012】上記発現ベクターに上記DNAを組み込む方
法には、既知のいずれの方法も適用し得る。例えば適当
な制限酵素を選択し、これで該DNAを処理して切断し、
次いで同様に処理した発現ベクターと混合し、リガーゼ
によって再結合する方法が用いられる。この様にして得
られた該DNAと発現ベクターの結合物を、形質転換法に
よって微生物の菌体、好ましくは大腸菌に導入し、遺伝
形質として安定するまで増殖すると、目的の遺伝形質と
ベクターDNAの形質を併せもつ形質転換株が得られる。
形質転換株の培養、形質転換株から組換えタンパク質の
取得(必要ならばその精製)は、いずれも常法に従って
行ってよい。
【0013】S−アデノシルメチオニン(SAM)をメチ
ル基供与体としてメチルキサンチン類を生合成する植物
であれば、本発明によるカフェイン合成酵素あるいはそ
れと同一の酵素活性を有するポリペプチド、更にはこれ
らをコードするDNAが含まれていると推測され、本発明
に記載の方法を用いれば、それらの植物からも、本発明
によるカフェイン合成酵素あるいはそれと実質的に同一
の酵素、更にはこれらをコードするDNA分子又はRNA分子
を得ることができる。
【0014】本発明は以上の様な知見に基づいて完成さ
れたものである。以下、本発明を説明する。
【0015】本発明によるDNA分子は、下記の塩基配列
(a)(b)のいずれかを有するDNA分子である。
【0016】(a)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸
配列を有し、プリン環の1位でのテオブロミンのメチル
化を触媒する酵素活性を有するポリペプチドであるカフ
ェイン合成酵素をコードする塩基配列、(b)上記塩基配
列(a)に、該塩基配列(a)がコードするポリペプチドが上
記酵素活性を維持し得る範囲内で、塩基の置換、欠失又
は挿入を行って得られた変異塩基配列。
【0017】変異塩基配列(b)としては、上記塩基配列
(a)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得
るものが好ましい。
【0018】本発明によるDNA分子の具体例は、配列番
号:2の塩基配列からなる。
【0019】本発明によるRNA分子は、下記の塩基配列
(a)(b)のいずれかを有するRNA分子である。
【0020】(a)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸
配列を有し、プリン環の1位でのテオブロミンのメチル
化を触媒する酵素活性を有するポリペプチドであるカフ
ェイン合成酵素をコードする塩基配列、(b)上記塩基配
列(a)に、該塩基配列(a)がコードするポリペプチドが上
記酵素活性を維持し得る範囲内で、塩基の置換、欠失又
は挿入を行って得られた変異塩基配列。
【0021】変異塩基配列(b)としては、上記塩基配列
(a)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得
るものが好ましい。
【0022】本発明によるRNA分子の具体例は、配列番
号:3の塩基配列からなる。
【0023】本発明によるDNA分子の他の態様は、上記
のDNA分子の有する塩基配列の全部又は一部に相補的な
塩基配列であって、前記酵素活性を有する植物細胞に導
入されて発現した場合に、該植物細胞の該酵素活性を阻
害し得る。
【0024】本発明によるRNA分子の他の態様は、上記
のRNA分子の有する塩基配列の全部又は一部に相補的な
塩基配列であって、前記酵素活性を有する植物細胞に導
入されて発現した場合に、該植物細胞の該酵素活性を阻
害し得る。
【0025】本発明によるベクターの一態様は、上記の
DNA分子及びRNA分子のいずれかを含む。このベクター
は、例えば、微生物及び/又は植物の細胞内で、プリン
環の1位でのテオブロミンのメチル化を触媒する酵素活
性を有するカフェイン合成酵素を発現させることができ
るか、もしくは該カフェイン合成酵素の発現を阻害する
機能を有するものとして提供することができる。このベ
クターを用いて、微生物、植物細胞、植物組織又は植物
体を形質転換することができ、得られた形質転換体も本
発明に含まれる。
【0026】また、上記の微生物、植物体、植物組織又
は植物細胞を用いてカフェイン合成酵素を製造すること
ができる。
【0027】また、上記の植物体、植物組織又は植物細
胞を用いてカフェインを効率よく生成することができ
る。
【0028】また、上記の植物体、植物組織又は植物細
胞を用いてカフェインの生成を抑制又は停止すること、
及びメチルキサンチン類の生成比を改変することができ
る。本明細書において、メチルキサンチン類とは、7−
メチルキサントシン、7−メチルキサンチン、パラキサ
ンチン、テオブロミン及びカフェインからなる群から選
ばれる少なくとも1つの化合物を言う。
【0029】カフェインを効率よく生成するために用い
る植物体、植物組織又は植物細胞の供給源としては、コ
ーヒーノキ(Coffea)属植物、ツバキ(Camellia)属植
物、コラノキ(Cola)属植物、モチノキ(Ilex)属植
物、ネエア(Neea)属植物、アオギリ(Firmiana)属植
物、ポーリニア(Paullinia )属植物又はカカオノキ
(Theobroma )属植物を挙げることができる。
【0030】カフェインの生成を抑制又は停止するた
め、及びメチルキサンチン類の生成比を改変するために
用いる植物体、植物組織又は植物細胞の供給源として
は、上記のカフェインを効率よく生成するために用いる
ものと同一の群を挙げることができるが、コーヒーノキ
属植物が最も適している。
【0031】本発明によるカフェイン合成酵素は、下記
のアミノ酸配列(a)(b)のいずれかを有するタンパク質か
らなり、かつ、プリン環の1位でのテオブロミンのメチ
ル化を触媒する酵素活性を有する。
【0032】(a)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸
配列、(b)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸配列
に、上記酵素活性を損なわない範囲内でのアミノ酸の置
換、挿入又は欠失を行って得られた変異アミノ酸配列。
【0033】この変異アミノ酸配列(b)としては、上記
アミノ酸配列(a)をコードする塩基配列及び上記変異ア
ミノ酸配列(b)をコードする塩基配列がストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし得るものが好ましい。
【0034】本発明は、上記カフェイン合成酵素と、テ
オブロミンと、S−アデノシルメチオニンとを含む混合
液をインキュベーションして、カフェインを生成させ
る、カフェインの製造法を含む。
【0035】この様に、本発明により、カフェインの生
産に用いるカフェイン合成酵素の製造、植物において生
産されるメチルキサンチン類の組成の改変などに有用
な、カフェイン合成酵素をコードするDNA分子及びRNA分
子が提供される。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明のカフェイン合成酵素は、
配列番号:1に示したアミノ酸配列を有しているもの、
又は、配列番号:1のアミノ酸配列に、目的とするカフ
ェイン合成酵素活性を損なわない範囲で、アミノ酸の置
換、挿入又は欠失を行って得られた変異アミノ酸配列を
有しているものである。本明細書では、上記カフェイン
合成酵素活性を有する配列番号:1のアミノ酸配列及び
その変異配列を有するポリペプチドをカフェイン合成酵
素と総称する。
【0037】上記の変異アミノ酸配列を有するポリペプ
チドは、好ましくは、それ自身が実質的にコーヒーノキ
由来のカフェイン合成酵素と同等の機能を有し、且つ配
列番号:1のアミノ酸配列と酵素活性に関する部位にお
いて高い相同性を有しているものである。
【0038】一般に同等の機能を有する複数の酵素間に
おいて、酵素活性に必須である部位以外のアミノ酸配列
の相同性は非常に低いことがある(Kawagoe et al., Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA, 93, 12082-(1996)参照)。従っ
て、全体としての相同性が低い場合でも、活性に関する
部位において高い相同性を有するものは本発明によるカ
フェイン合成酵素として分類できる。
【0039】アミノ酸配列全体として比較した場合にお
ける変異アミノ酸配列は、この、配列番号:1のアミノ
酸配列に対して、15%以上の相同性、好ましくは30
%以上の相同性、より好ましくは45%以上の相同性、
更に好ましくは60%以上の相同性、更により好ましく
は75%以上の相同性、更により一層好ましくは90%
以上の相同性、最も好ましくは95%以上の相同性を有
し、かつ目的のカフェイン合成酵素活性を有するポリペ
プチドを提供できる変異アミノ酸配列である。
【0040】なお、配列番号:1のアミノ酸配列を基準
とした変異を、これらをコードする塩基配列のレベルで
表現した場合、変異アミノ酸配列をコードする変異塩基
配列は、配列番号:1のアミノ酸配列をコードする塩基
配列に対して、35%以上の相同性、好ましくは60%
以上の相同性、より好ましくは75%以上の相同性、更
に好ましくは90%以上の相同性、更に好ましくは95
%以上の相同性を有する変異塩基配列である。
【0041】本発明によるカフェイン合成酵素をコード
する塩基配列、すなわちカフェイン合成酵素遺伝子とし
ては、配列番号:1のアミノ酸配列をコードする塩基配
列を挙げることができ、その具体例としては、配列番
号:2のDNA配列、配列番号:3のRNA配列を挙げること
ができる。これらのカフェイン合成酵素遺伝子に対し
て、上記で規定される相同性を有する塩基配列も本発明
におけるカフェイン合成酵素をコードする遺伝子に含ま
れる。
【0042】目的とするカフェイン合成酵素活性を維持
した変異アミノ酸配列としては、この変異アミノ酸配列
をコードする変異塩基配列と、配列番号:1のアミノ酸
配列をコードする塩基配列とがストリンジェントな条件
下でハイブリダイズし得るものが実用上好適に利用し得
る。
【0043】また、変異カフェイン合成酵素遺伝子とし
ても、配列番号:1のアミノ酸配列をコードする塩基配
列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る
ものが実用上好適に利用し得る。その具体例としては、
配列番号:2の塩基配列にストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズし得るDNA分子及び配列番号:3の塩基
配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得
るRNA分子を挙げることができる。
【0044】このストリンジェントな条件下でのハイブ
リダイゼーションは、例えば、Molecular Cloning: Col
d Spring Harbor Laboratory Press, Current Protocol
s inMolecular Biology; Wiley Interscience に記載の
方法によって行うことができ、市販のシステムとして
は、Gene Image システム(アマシャム)を挙げること
ができる。具体的には以下の操作によってハイブリダイ
ゼーションを行うことができる。
【0045】試験すべきDNA分子又はRNA分子を転写した
膜を、製品プロトコールに従って、標識したプローブと
プロトコール指定のハイブリダイゼーションバッファー
中でハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションバ
ッファーの組成は、0.1重量%SDS、5重量%デキ
ストラン硫酸、1/20容のキット添付のブロッキング
試薬及び2〜7×SSCからなる。ブロッキング試薬と
しては、例えば、100×Denhardt's solution 、2%
(重量/容量)Bovine serum albumin2%(重量/容
量)FicllTM400、2%(重量/容量)ポリビニルピロリ
ドンを5培濃度で調製したものを1/20に希釈して使
用することができる。20×SSCは、3M塩化ナトリ
ウム、0.3Mクエン酸溶液であり、SSCは、より好
ましくは、3〜6×SSC、更に好ましくは、4〜5×
SSCの濃度で使用する。
【0046】ハイブリダイゼーションの温度は、40〜
80℃、より好ましくは50〜70℃、更に好ましくは
55〜65℃の範囲であり、数時間から一晩のインキュ
ベーションを行った後、洗浄バッファーで洗浄する。洗
浄の温度は、好ましくは室温、より好ましくはハイブリ
ダイゼーション時の温度である。洗浄バッファーの組成
は、6×SSC+0.1重量%SDS溶液、より好まし
くは4×SSC+0.1重量%SDS溶液、更に好まし
くは2×SSC+0.1重量%SDS溶液、更に好まし
くは1×SSC+0.1重量%SDS溶液、最も好まし
くは0.1×SSC+0.1重量%SDS溶液である。
この様な洗浄バッファーで膜を洗浄し、プローブがハイ
ブリダイズしたDNA分子又はRNA分子を、プローブに用い
た標識を利用して識別することができる。
【0047】なお、変異は、自然界において生じたもの
でもよく、塩基配列における部位突然変異により人工的
に起こしたものでも良い。
【0048】本発明のカフェイン合成酵素遺伝子を有す
るDNA分子は、例えば、カフェイン合成酵素をコードす
るDNA分子に特異的にハイブリダイズするオリゴ塩基を
プライマーとして用いたPCR技術(植物のPCR実験プロト
コール(細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ2)秀潤
社(1995))を利用して、本発明によるカフェイン合成酵
素を生産する細胞から分離することができる。
【0049】具体的には、mRNAから合成したcDNAにリン
カーを結合させ、カフェイン合成酵素を構成するアミノ
酸配列をコードするDNAとリンカー間でPCRを行うこと等
により、目的cDNAの全長配列を単離することができる。
【0050】この様なハイブリダイゼーション技術やPC
R技術により得られるカフェイン合成酵素をコードするD
NA分子は、少なくとも単離に使用した部位においては、
配列番号:2に記載のカフェイン合成酵素遺伝子と相同
性を有する。ここで相同性とは、それぞれのカフェイン
合成酵素遺伝子がコードするアミノ酸配列の比較におい
て15%以上の相同性、好ましくは30%以上の相同
性、より好ましくは45%以上の相同性、更に好ましく
は60%以上の相同性、更により好ましくは75%以上
の相同性、更により一層好ましくは90%以上の相同
性、最も好ましくは95%以上の相同性を指す。ただ
し、得られるカフェイン合成酵素遺伝子によっては、コ
ードするアミノ酸の複数の残基が欠失、付加、置換され
た結果として、カフェイン合成酵素との相同性が15%
以下となってもなお、カフェイン合成酵素の機能に必須
な領域を保持し、実質的にカフェイン合成酵素と同等の
機能を有するタンパク質をコードしていることも想定さ
れる。
【0051】本発明によるカフェイン合成酵素をコード
する塩基配列(遺伝子)を有するDNA分子又はRNA分子を
単離するために用いる生物は、メチルキサンチン類を生
成する生物であればいずれも使用できるが、中でもコー
ヒーノキなどのアカネ科コーヒーノキ (Coffea) 属植
物、チャノキなどのツバキ科ツバキ (Camellia) 属植
物、コラノキなどのアオギリ科コラノキ(Cola)属植物
などが好ましい。
【0052】本発明によるカフェイン合成酵素遺伝子を
有するRNA分子は、Sp6プロモーターやT7プロモー
ターといったRNAポリメラーゼが認識するプロモーター
の下流に、上記方法で得たカフェイン合成酵素DNAを所
望の向きで、機能し得る位置に接続して組換え分子を調
製し、これをSp6RNAポリメラーゼやT7RNAポリメラ
ーゼなどのRNAポリメラーゼで転写させて得ることがで
きる。また、植物ウイルスにカフェイン合成酵素DNAな
いしRNAを導入するか、後で述べる様に適当なDNA発現カ
セットにカフェイン合成酵素遺伝子を有するDNAを所望
の向きで機能し得る位置に接続して組換え分子を形成
し、この組換え分子を微生物や植物等の宿主に導入する
ことにより宿主の転写活性を利用して得ることもでき
る。
【0053】カフェイン合成酵素遺伝子を有するDNA分
子の全部又は一部と相補性を有するDNA分子、あるいは
カフェイン合成酵素遺伝子を有するRNA分子の全部又は
一部と相補性を有するRNA分子であって、カフェインを
生成する宿主細胞中において発現した際に宿主細胞にお
けるカフェイン合成酵素の発現を阻害する機能を有する
ものは、宿主細胞におけるカフェイン合成酵素発現の阻
害又は抑制用のDNA分子又はRNA分子として用いることが
できる。
【0054】ここで、カフェイン合成酵素遺伝子の一部
とは、その部分に相補性を有する配列を基礎として得ら
れる阻害用のmRNA、すなわちアンチセンスRNAが宿主細
胞中で形成された際に、これが宿主細胞におけるカフェ
イン合成酵素を発現させるためのmRNAと結合して、宿主
細胞におけるカフェイン合成酵素の発現が阻害される部
分である。この部分としては、この様なアンチセンスmR
NAの形成に必要となる部分であり、例えば少なくとも1
4塩基長の長さの部分を挙げることができる。
【0055】アンチセンスmRNA形成用のDNA分子として
は、例えば、配列番号:2の塩基配列の全部又は一部と
相補性を有しているDNA分子を挙げることができ、アン
チセンスRNA分子としては、配列番号:3の塩基配列の
全部又は一部と相補性を有しているRNA分子を挙げるこ
とができる。これらの塩基配列とストリンジェントな条
件下でハイブリダイズし得る変異配列の全部又は一部と
相補性を有しているDNA分子又はRNA分子もこの様な目的
に用いることができる。
【0056】なお、これらの阻害用のDNA分子又はRNA分
子に対して、高い相同性を有し、目的とする阻害又は抑
制機能を発揮できるものも利用できる。ここで高い相同
性とはそれぞれの塩基配列の比較において60%以上の
相同性、好ましくは75%以上の相同性、更に好ましく
は90%以上の相同性、最も好ましくは95%以上の相
同性を指す。
【0057】これらの阻害用のDNA分子又はRNA分子自体
は、必ずしも本発明によるカフェイン合成酵素をコード
するものでなくてもよい。
【0058】本発明によるカフェイン合成酵素阻害用の
塩基配列の他の態様としては、カフェイン合成酵素遺伝
子と相同性を有する部分を有するが、カフェイン合成酵
素をコードしていない塩基配列で、宿主細胞の有するカ
フェイン合成酵素遺伝子と置換されることで、宿主のカ
フェイン合成酵素活性を消失させ得るものを挙げること
ができる。
【0059】これらカフェイン合成酵素遺伝子又はカフ
ェイン合成酵素の発現を阻害又は抑制する機能を有する
DNA分子の宿主細胞内での発現について、宿主細胞とし
て植物細胞を利用した例について以下に説明する。
【0060】植物細胞での発現は、(i)宿主細胞内で
のDNAからmRNAへの転写を可能とするプロモーター、(i
i)プロモーターの下流にセンス方向又はアンチセンス
方向に連結したカフェイン合成酵素遺伝子を含むDNA断
片、又はカフェイン合成酵素の発現を阻害する機能を有
するDNA断片、(iii)必要に応じてこれらDNA断片の下
流に連結された転写産物の安定化に必要なポリアデニレ
ーション部位を含むターミネーター配列、などを含む発
現カセットを宿主である植物細胞に導入して、これを形
質転換する方法が利用できる。
【0061】この様な発現カセット、及びこれを含むベ
クターも本発明の対象である。
【0062】発現カセットは、挿入されているDNAを恒
常的又は誘導的に発現させるためのプロモーターを含有
し得る。また、この発現カセットは、必要に応じて、植
物細胞内での複製のための複製オリジンを有することが
できる。
【0063】恒常的に発現させるためのプロモーターと
しては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35
Sプロモーター、イネのアクチンプロモーターなどが挙
げられる。また、誘導的に発現させるためのプロモータ
ーとしては、例えば糸状菌、細菌、ウイルスの感染や侵
入、低温、高温、乾燥、嫌気的条件、特定の化合物の散
布等の外因によって発現することが知られているプロモ
ーター等が挙げられる。この様なプロモーターとして
は、例えば、糸状菌、細菌、ウイルスの感染や侵入によ
って発現するイネのキチナーゼ遺伝子のプロモーターや
タバコのPRタンパク質遺伝子のプロモーター、低温に
よって誘導されるイネの「lip19」遺伝子のプロモ
ーター、高温によって誘導されるシロイヌナズナの「H
SP18.2」遺伝子のプロモーター、乾燥によって誘
導されるイネの「rab」遺伝子のプロモーター、嫌気
的条件で誘導されるトウモロコシのアルコールデヒドロ
ゲナーゼ遺伝子のプロモーター等が挙げられる。またイ
ネのキチナーゼ遺伝子のプロモーターとタバコのPRタ
ンパク質遺伝子のプロモーターはサリチル酸等の特定の
化合物によって、イネの「rab」遺伝子プロモーター
は植物ホルモンのアブシジン酸の散布によっても誘導さ
れる。
【0064】或いはまた、発現カセットに挿入されてい
るDNAを発現させるためのプロモーターとしては、カフ
ェイン合成酵素遺伝子のプロモーターを単離して利用す
る方法も挙げられる。
【0065】具体的なプロモーターの単離方法の一例に
は、カフェイン合成酵素遺伝子の少なくとも一部をプロ
ーブとしたハイブリダイゼーション技術の利用により、
ゲノムDNA断片を選択し、該遺伝子の上流部DNAを特定す
る方法を挙げることができる。
【0066】発現カセット中の組み換えDNA分子の植物
への導入に備えるために、大腸菌の複製シグナル及び形
質転換された細菌の細胞を選抜するためのマーカー遺伝
子を含むクローニングベクターが数多く利用できる。こ
の様なベクターの例には、pBR322、pUC系、M
13mp系等がある。適当な制限酵素切断部位で、目的の
配列をベクターに導入することができる。得られたプラ
スミドDNAの特徴を明らかにするため、制限酵素切断部
位分析、ゲル電気泳動、及びその他の生化学的−分子生
物学的方法が一般に用いられる。各々の操作を終えた
後、プラスミドDNAを切断して、別のDNAに結合させるこ
とができる。各プラスミドDNAの配列を、同じプラスミ
ド又は別のプラスミド中にクローニングすることができ
る。
【0067】植物細胞の中に発現カセットを導入するた
めには、さまざまな手法を用いることができる。これら
の手法には、形質転換因子としてアグロバクテリウム・
ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens )又
は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium
rhizogenes)を用いたT-DNAによる植物細胞の形質転
換、プロトプラストへの直接導入(インジェクション
法、エレクトロポレーション法等)、パーティクルガン
法等やその他の可能性が含まれる。
【0068】プロトプラストへの直接導入では、特別に
必要とされるベクターはない。例えば、pUC誘導体の
様な単純なプラスミドを用いることができる。目的の遺
伝子を植物細胞に導入する方法によっては、他のDNA配
列が必要になることもある。例えばTi又はRiプラス
ミドを植物細胞の形質転換に用いる場合には、Ti及び
RiプラスミドのT-DNA領域の少なくとも右端の配列、
大抵は両端の配列を、導入されるべき遺伝子の隣接領域
となる様に接続するのが好ましい。
【0069】アグロバクテリウム属菌を形質転換に用い
る場合には、導入すべき発現カセットを、特別のプラス
ミド、すなわち中間ベクター又はバイナリーベクター中
にクローニングする必要がある。中間ベクターはアグロ
バクテリウム属菌の中では複製されない。中間ベクター
は、ヘルパープラスミドあるいはエレクトロポレーショ
ンによってアグロバクテリウム属菌の中に移行される。
中間ベクターは、T-DNAの配列と相同な領域をもつた
め、相同組換えによって、アグロバクテリウム属菌のT
i又はRiプラスミド中に取り込まれる。宿主として使
われるアグロバクテリウム属菌には、vir領域が含ま
れている必要がある。通常Ti又はRiプラスミドにv
ir領域が含まれており、その働きにより、T-DNAを植
物細胞に移行させることができる。
【0070】一方、バイナリーベクターはアグロバクテ
リウム属菌の中で複製、維持され得るので、ヘルパープ
ラスミドあるいはエレクトロポレーション法によってア
グロバクテリウム属菌中に取り込まれると、宿主のvi
r領域の働きによって、バイナリーベクター上のT-DNA
を植物細胞に移行させることができる。
【0071】この様にして得られた発現カセットを含む
中間ベクター又はバイナリーベクター、及びこれを含む
大腸菌やアグロバクテリウム属菌等の微生物も本発明の
対象である。
【0072】形質転換された植物細胞は、再生過程を経
ることにより植物組織又は植物体に変換することができ
る。再生の方法は植物細胞の種類により異なるが、例え
ばコーヒーノキではHatanakaら(Plant Cell Rep., 19,
106- (1999))の方法、イネではFujimuraら(Plant
Tissue Culture Lett., 2, 74- (1995))の方法、ト
ウモロコシでは、Shillitoら(Bio/Technology, 7, 581
- (1989))の方法、シロイヌナズナではAkama らの方
法(Plant Cell Rep., 12, 7- (1992))などがある。
【0073】本発明において、「植物体」とは植物に分
類される生物個体の全体もしくは一部の器官(例えば、
葉、茎、根、花、果実、種子等)を指す。
【0074】これらの方法により作出された植物体又は
その繁殖媒体(例えば種子、塊茎、切穂など)から得た
植物体は、メチルキサンチン類を生成する野生型の植物
体と比較して本発明のカフェイン合成酵素の発現量が変
化し、ホスト植物の代謝の改変によるメチルキサンチン
類の生成量の変化や、ホスト植物の代謝の改変によるメ
チルキサンチン類の生成比の変化が起こる。この様にし
て得られた形質転換植物は本発明の対象である。本発明
でいう植物には、葉、花、果実、種子などの植物の特定
の組織又は細胞も含まれる。
【0075】また、近年植物のポストトランスレーショ
ナルなジーンサイレンシングの研究から、ウイルス等の
外来核酸に対して植物が本来備えている防御機能を利用
して、目的遺伝子の発現を抑制することが可能なことが
わかってきた(Cell,95,177-187(1998) 、化学と生物、
37、532-(1999)、蛋白質核酸酵素、44、1396-(199
9))。これによれば、DNAウイルスやRNAウイルス等が植
物に進入した場合、植物はこれらの鋳型からアベラント
RNAを転写し、植物が本来持っている配列の転写産物と
配列特異的に二本鎖RNAを形成する。この二本鎖RNAはR
Naseにより分解されることにより、目的の遺伝子の
発現を抑制することが可能となる(Cell,96,303-(1999)
)。本方法の重要な特徴のひとつは、発現を抑制した
い配列を目的植物に必ずしも形質転換させる必要がない
点にある。また本方法のさらなる特徴は、植物の一部
(下位葉等)に目的の核酸を感染等により導入すれば、
その効果が植物体全体に広がることである。具体的な発
現抑制方法は、目的遺伝子の配列又はそれと高い相同性
を持つ配列の全部又は一部を含む二本鎖RNAや、二本鎖D
NAを持つアグロバクテリウムを植物の下位葉に感染させ
る。ここで高い相同性とはそれぞれの塩基配列の比較に
おいて60%以上の相同性、好ましくは75%以上の相
同性、更に好ましくは90%以上の相同性、最も好まし
くは95%以上の相同性を指す。
【0076】この方法を施された植物体は、メチルキサ
ンチン類を生成する野生型の植物体と比較して本発明の
カフェイン合成酵素タンパク質の発現量が変化し、ホス
ト植物の代謝の改変によるメチルキサンチン類の生成量
の変化や、ホスト植物の代謝の改変によるメチルキサン
チン類の生成比の変化が起こる。この様にして得られた
植物は本発明の対象である。本発明でいう植物には、
葉、花、果実、種子などの植物の特定の組織又は細胞も
含まれる。
【0077】上記のメチルキサンチン類を生成する植物
としては、コーヒーノキなどのアカネ科コーヒーノキ
(Coffea) 属植物、チャノキなどのツバキ科ツバキ (Cam
ellia) 属植物、コラノキなどのアオギリ科コラノキ (C
ola) 属植物などを例示することができる。
【0078】
【実施例】本発明を下記の実施例により具体的に説明す
る。ただし、本発明の範囲は実施例に限定されるもので
はない。
【0079】(1)コーヒーノキ由来 mRNAからの二重鎖cD
NAの合成 5gのコーヒーノキ(Coffea arabica)未熟果実からCTAB
法(Chang et al., Plant Mol. Biol. Rep., 11, 113-
(1993)参照)を用いてtotal RNAを抽出した。100μg
のtotal RNAから PolyATtract mRNA Isolation System
III(Promega )を用いてmRNAを精製した。5μgのmRNA
とZAP-cDNA Synthesis Kit (Stratagene)を用いて二
重鎖cDNAを合成した。
【0080】(2)CaMXMT cDNA及びCaMTL3 cDNAと相同性
を有する新規cDNAの単離 CaMXMT cDNA(DDBJ/GenBank/EMBL accession number AB
048794 )及びCaMTL3cDNA(DDBJ/GenBank/EMBL accessi
on number AB048793 )の保存配列を基に設計した CaCS
-N2プライマー(5-ATGGAGCTCCAAGAAGTCCT-3)と CaCS-C
1プライマー(5-CTTTTACACGTCTGACTTCTCTG-3 )を合成
した。上記cDNA、上記プライマー及びPyrobest DNA Pol
ymerase(宝酒造)を用いてPCRを行い、cDNA断片を増幅
した。このcDNA断片をpBluescript II KS-(Stratagen
e)のEcoRVサイトへ挿入し、プラスミドクローンを作成
した。無作為に選択したクローンについて塩基配列決定
を行い、CaMXMT cDNA及びCaMTL3 cDNAと相同性を有する
新規なcDNA(配列番号:2)が挿入されたクローンを選
抜した。新規なcDNAには便宜的にN1と命名した。
【0081】(3)GST-N1融合タンパク質発現ベクターの
構築 N1 cDNA断片を、制限酵素SmaI 及び制限酵素NotI を用
いて pBluescript II KS-から切り出し、グルタチオンS
-トランスフェラーゼ(GST)発現ベクターである pGEX-
4T-2(Amersham Biosciences)のSmaI/NotI サイトへ挿
入した。以上の操作によって、GSTタンパク質とN1 cDNA
がコードするタンパク質との融合タンパク質(GST-N1)を
大腸菌において発現させるための pGEX-N1ベクター(図
2A参照)を構築した。
【0082】(4)GST-TCS1融合タンパク質発現ベクター
の構築 カフェイン合成酵素をコードするチャノキ由来TCS1 cDN
A(DDBJ/GenBank/EMBLaccession number AB031280; 特
開2001-37490号公報に記載の配列)のコード配列をPyro
best DNA Polymeraseを用いてPCRによって増幅した。鋳
型にはTCS1 cDNAが挿入されたプラスミドクローンを用
いた。プライマーは制限酵素の認識配列を付加したTCS1
-EcoRIプライマー(5-GAATTCATGAACAGGGGGGAAG-3)及び
TCS1-XhoIプライマー(5-CTCGAGTGGCATATATGTGATAGGGA
C-3 )を用いた。増幅したTCS1 cDNA断片を pBluescrip
t II KS-のEcoRVサイトへ挿入し、塩基配列決定を行う
ことによって塩基置換や欠失が無いことを確認した。TC
S1 cDNA断片を、制限酵素EcoRI及び制限酵素XhoIを用い
てpBluescript II KS-から切り出し、pGEX-4T-1 (Amer
sham Biosciences)のEcoRI/XhoIサイトへ挿入した。以
上の操作によって、GST タンパク質とTCS1タンパク質の
融合タンパク質(GST-TCS1)を大腸菌において発現させる
ためのpGEX-TCS1ベクター(図2B参照)を構築した。
【0083】(5)組換えタンパク質の生産 各ベクターpGEX-N1、pGEX-TCS1及びpGEX-4T-2によって
大腸菌BL21株を形質転換した。いずれの形質転換株も3m
lの2xYT液体培地(100 mg/lのアンピシリンを含む)にお
いて、培養の吸光度(A600)が約0.8になるまで37℃で振
盪培養を行った。この培養に終濃度が 1 mM になるよう
にイソプロピル-β-D- チオガラクトシドを添加し、更
に 20℃で6時間の振盪培養を行った。以上の操作によっ
て、大腸菌において組換えタンパク質(GST-N1、GST-TC
S1、GST)の生産を行った。
【0084】(6)組換えタンパク質試料の調製 組換えタンパク質を生産した大腸菌を遠心分離によって
回収し、300μlの破砕液(50mM Tris-HCl[pH 8.0]、1mM
EDTA、5mM ジチオスレイトール)に懸濁した。以降の
操作は氷上あるいは4℃で行った。懸濁液を超音波破砕
し、終濃度が1%になるように Triton X-100 を加えて30
分間インキュベーションした。破砕液を遠心分離によっ
て上清と沈殿に分離し、この上清を組換えタンパク質試
料とした。
【0085】(7)薄層クロマトグラフィー(TLC)による
酵素反応生成物の検出 100mM Tris-HCl[pH 8.0]、200μM MgCl 、200μM テ
オブロミン(メチル基受容体)、16.8μM S-アデノシル
-L-[メチル]メチオニン[SAM][2.2GBq/mmol; Amersham B
iosciences](メチル基供与体)、及び5μlの組換えタ
ンパク質試料(GST-N1を含む) からなる混合液25μlを
27℃で終夜インキュベーションした。 得られた酵素反
応液をフィルターカップ(ULTRAFREE-MC 10,000 NMWL;
Millipore)によって濾過した。2μlの酵素反応液を2μ
lのメタノールと混合して、得られた混合液をTLCプレー
ト(Silicagel 60 F254;Merck)に点着した。
【0086】GST-N1を含む組換えタンパク質試料の代わ
りに、GST-TCS1を含む組換えタンパク質試料、GSTを含
む組換えタンパク質試料を用いた点を除いて、それぞれ
上記と同様の操作を行った。
【0087】酵素反応液の代わりに標品としてカフェイ
ン(1mM水溶液)を用いた点を除いて、上記と同様に標
品2μlとメタノール2μlの混合液をTLCプレートに点着
した。TLCプレートにSAMを含むメタノール溶液も点着し
た。
【0088】その後、展開溶媒として水/酢酸/n-ブタノ
ール(2:1:4,v/v/v)を用いて1.5時間展開を行った。酵素
反応液を展開した部分に増感剤(EnHance;Dupont NE
N)を噴霧し、X線フィルム(BioMax MS;Kodak)を用い
てオートラジオグラフィー(マイナス80℃で3日間の露
光)を行い、14Cレーベル化されたメチル基が付加さ
れた酵素反応生成物のスポットを検出した。標品を展開
した部分に紫外光を照射して標品のスポットを検出し
た。TLCによる解析の結果を図3に示す。
【0089】図3から分かるように、カフェイン合成活
性を有する対照タンパク質試料として用いた融合タンパ
ク質GST-TCS1は、テオブロミンをメチル基受容体として
カフェインを生成する活性を示した。これと同様に、融
合タンパク質GST-N1もテオブロミンをメチル基受容体と
してカフェインを生成する活性を示した。すなわち、GS
T-N1は、プリン環の1位でのテオブロミンのメチル化を
触媒する。これに対し、タンパク質GSTはその様な活性
を示さなかった。以上の結果から、コーヒーノキ由来N1
cDNAはカフェイン合成酵素(3,7-ジメチルキサンチン
メチル化酵素)をコードしていることが明らかになっ
た。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、下記の様な効果が発揮
される。
【0091】(1) 工業用、食品用、医療用として利用で
きるカフェイン合成酵素を効率よく生産し、これを用い
て酵素反応によってカフェインを製造することが可能に
なる。
【0092】(2) メチルキサンチン類を生合成する植
物、植物組織、植物細胞のメチルキサンチン類生合成代
謝を改変して、カフェインを効率よく生産することが可
能になる。
【0093】(3) メチルキサンチン類を生合成する植
物、植物組織、植物細胞のメチルキサンチン類生合成代
謝を改変して、カフェインの生産を抑制又は停止させる
こと、及びメチルキサンチン類の生成比を変化させるこ
とが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はコーヒーノキ及びチャノキにおける主
要なカフェイン生合成経路を示すフローシートである。
右側に各化合物の名称を併記し、左側に各反応を触媒す
る酵素の名称を併記する。SAMはS−アデノシル−L−
メチオニン、SAHはS−アデノシル−L−ホモシステイ
ンを意味する。
【図2】 図2はpGEX-N1ベクター(図2A)及びpGEX-T
CS1ベクター(図2B)を模式的に示す図である。前者は
tacプロモーター(Ptac)によって制御されるグルタチ
オンS−トランスフェラーゼ遺伝子(GST)の下流にN1
cDNA(配列番号:2) を連結して構築したベクターであ
り、後者は同グルタチオンS−トランスフェラーゼ遺伝
子(GST)の下流にTCS1 cDNA(DDBJ/GenBank/EMBL acce
ssionnumber AB031280; 特開2001-37490号公報に記載の
配列)を連結して構築したベクターである。アンピシリ
ン耐性遺伝子(Amp)、ラックリプレサー遺伝子(lac
I)、pBR322複製起点(pBR322ori)、制限酵素認識部
位(SmaI、NotI、EcoRI及びXhoI)を図中に示す。
【図3】 図3は薄層クロマトグラフィー(TLC)によ
る酵素反応生成物の検出を示もので、展開後、TLCプレ
ートをパネル(A)とパネル(B)に2分した。パネル
(A)は、展開後、オートラジオグラフィーによってメ
チル基(メチル−14C)が付加された酵素反応生成物
のスポットを検出した状態を示す。パネル(A)の左側
には各生成物の位置を示す。パネル(B)は、展開後、
紫外光によって標品のスポットを検出した状態を示す。
パネル(A)とパネル(B)の間にスポットの原点と移動
率(R値)を示す。GSTはグルタチオンS−トランスフェ
ラーゼ、N1はGSTとN1の融合タンパク質(GST-N1)、TCS
1はGSTとTCS1の融合タンパク質(GST-TCS1)、SAMはS
−アデノシル−L−(メチル−14C)メチオニン、Tb
はテオブロミン、Cfはカフェイン、星印は非特異的生成
物をそれぞれ意味する。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> NARA INSTITUTE of SCIENCE and TECHNOLOGY, HITACHI ZOSEN CORPORATIO N, KABUSHIKI KAISHA TOYOTA CHUO KENKYUSHO <120> Caffeine synthase and its use <130> <140> <141> <150> <151> <160> 3 <170> Microsoft Word <210> 1 <211> 384 <212> PRT <213> Coffea arabica <400> 1 Met Glu Leu Gln Glu Val Leu His Met Asn Gly Gly Glu Gly 14 Asp Thr Ser Tyr Ala Lys Asn Ser Phe Tyr Asn Leu Phe Leu 28 Ile Arg Val Lys Pro Ile Leu Glu Gln Cys Ile Gln Glu Leu 42 Leu Arg Ala Asn Leu Pro Asn Ile Asn Lys Cys Ile Lys Val 56 Ala Asp Leu Gly Cys Ala Ser Gly Pro Asn Thr Leu Leu Thr 70 Val Arg Asp Ile Val Gln Ser Ile Asp Lys Val Gly Gln Glu 84 Lys Lys Asn Glu Leu Glu Arg Pro Thr Ile Gln Ile Phe Leu 98 Asn Asp Leu Phe Gln Asn Asp Phe Asn Ser Val Phe Lys Ser 112 Leu Pro Ser Phe Tyr Arg Lys Leu Glu Lys Glu Asn Gly Arg 126 Lys Ile Gly Ser Cys Leu Ile Gly Ala Met Pro Gly Ser Phe 140 Tyr Gly Arg Leu Phe Pro Glu Glu Ser Met His Phe Leu His 154 Ser Cys Tyr Cys Leu His Trp Leu Ser Gln Val Pro Ser Gly 168 Leu Val Thr Glu Leu Gly Ile Ser Ala Asn Lys Gly Cys Ile 182 Tyr Ser Ser Lys Ala Ser Arg Pro Pro Ile Gln Lys Ala Tyr 196 Leu Asp Gln Phe Thr Lys Asp Phe Thr Thr Phe Leu Arg Ile 210 His Ser Glu Glu Leu Ile Ser Arg Gly Arg Met Leu Leu Thr 224 Trp Ile Cys Lys Glu Asp Glu Phe Glu Asn Pro Asn Ser Ile 238 Asp Leu Leu Glu Met Ser Ile Asn Asp Leu Val Ile Glu Gly 252 His Leu Glu Glu Glu Lys Leu Asp Ser Phe Asn Val Pro Ile 266 Tyr Ala Pro Ser Thr Glu Glu Val Lys Cys Ile Val Glu Glu 280 Glu Gly Ser Phe Glu Ile Leu Tyr Leu Glu Thr Phe Lys Val 294 Pro Tyr Asp Ala Gly Phe Ser Ile Asp Asp Asp Tyr Gln Gly 308 Arg Ser His Ser Pro Val Ser Cys Asp Glu His Ala Arg Ala 322 Ala His Val Ala Ser Val Val Arg Ser Ile Phe Glu Pro Ile 336 Val Ala Ser His Phe Gly Glu Ala Ile Met Pro Asp Leu Ser 350 His Arg Ile Ala Lys Asn Ala Ala Lys Val Leu Arg Ser Gly 364 Lys Gly Phe Tyr Asp Ser Leu Ile Ile Ser Leu Ala Lys Lys 378 Pro Glu Lys Ser Asp Val 384 <210> 2 <211> 1155 <212> DNA <213> Coffea arabica <220> <221> CDS <222> (1) …(1155) <400> 2 atggagctcc aagaagtcct gcatatgaat ggaggcgaag gcgatacaag 50 ctacgccaag aactcattct acaatctgtt tctcatcagg gtgaaaccta 100 tccttgaaca atgcatacaa gaattgttgc gggccaactt gcccaacatc 150 aacaagtgca ttaaagttgc ggatttggga tgcgcttctg gaccaaacac 200 acttttaaca gttcgggaca ttgtacaaag tattgacaaa gttggccagg 250 aaaagaagaa tgaattagaa cgtcccacca ttcagatttt tctgaatgat 300 cttttccaaa atgatttcaa ttcggttttc aagtcgctgc caagcttcta 350 ccgcaaactt gagaaagaaa atggacgcaa aataggatca tgcctgatag 400 gcgcaatgcc tggctctttc tacggcagac tcttccccga ggagtccatg 450 cattttttac actcttgtta ctgtttgcat tggttatctc aggttcccag 500 cggtttggtg actgaattgg ggatcagtgc gaacaaaggg tgcatttact 550 cttccaaagc aagtcgtccg cccatccaga aggcatattt ggatcaattt 600 acgaaagatt ttaccacatt tcttaggatt cattcggaag agttgatttc 650 acgtggccga atgctcctta cttggatttg caaagaagat gaattcgaga 700 acccgaattc catagactta cttgagatgt caataaacga cttggttatt 750 gagggacatc tggaggaaga aaaattggac agtttcaatg ttccaatcta 800 tgcaccttca acagaagaag taaagtgcat agttgaggag gaaggttctt 850 ttgaaatttt atacctggag acttttaagg tcccttatga tgctggcttc 900 tctattgatg atgattacca aggaagatcc cattccccag tatcctgcga 950 tgaacatgct agagcagcgc atgtggcatc tgtcgttaga tcaattttcg 1000 aacccatcgt cgcaagtcat tttggagaag ctatcatgcc tgacttatcc 1050 cacaggattg cgaagaatgc agcaaaggtt cttcgctccg gcaaaggctt 1100 ctatgatagt cttatcattt ctctcgccaa aaagccagag aagtcagacg 1150 tgtaa 1155 <210> 3 <211> 1155 <212> RNA <213> Coffea arabica <220> <221> CDS <222> (1) …(1155) <400> 3 auggagcucc aagaaguccu gcauaugaau ggaggcgaag gcgauacaag 50 cuacgccaag aacucauucu acaaucuguu ucucaucagg gugaaaccua 100 uccuugaaca augcauacaa gaauuguugc gggccaacuu gcccaacauc 150 aacaagugca uuaaaguugc ggauuuggga ugcgcuucug gaccaaacac 200 acuuuuaaca guucgggaca uuguacaaag uauugacaaa guuggccagg 250 aaaagaagaa ugaauuagaa cgucccacca uucagauuuu ucugaaugau 300 cuuuuccaaa augauuucaa uucgguuuuc aagucgcugc caagcuucua 350 ccgcaaacuu gagaaagaaa auggacgcaa aauaggauca ugccugauag 400 gcgcaaugcc uggcucuuuc uacggcagac ucuuccccga ggaguccaug 450 cauuuuuuac acucuuguua cuguuugcau ugguuaucuc agguucccag 500 cgguuuggug acugaauugg ggaucagugc gaacaaaggg ugcauuuacu 550 cuuccaaagc aagucguccg cccauccaga aggcauauuu ggaucaauuu 600 acgaaagauu uuaccacauu ucuuaggauu cauucggaag aguugauuuc 650 acguggccga augcuccuua cuuggauuug caaagaagau gaauucgaga 700 acccgaauuc cauagacuua cuugagaugu caauaaacga cuugguuauu 750 gagggacauc uggaggaaga aaaauuggac aguuucaaug uuccaaucua 800 ugcaccuuca acagaagaag uaaagugcau aguugaggag gaagguucuu 850 uugaaauuuu auaccuggag acuuuuaagg ucccuuauga ugcuggcuuc 900 ucuauugaug augauuacca aggaagaucc cauuccccag uauccugcga 950 ugaacaugcu agagcagcgc auguggcauc ugucguuaga ucaauuuucg 1000 aacccaucgu cgcaagucau uuuggagaag cuaucaugcc ugacuuaucc 1050 cacaggauug cgaagaaugc agcaaagguu cuucgcuccg gcaaaggcuu 1100 cuaugauagu cuuaucauuu cucucgccaa aaagccagag aagucagacg 1150 uguaa 1155
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フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 17/18 B 9/00 C12N 15/00 ZNAA C12P 17/18 5/00 A C (72)発明者 上藤 洋敬 奈良県生駒市高山町8916−5 奈良先端科 学技術大学院大学 先端科学技術研究調査 センター内バイオテクノロジー開発技術研 究組合内 (72)発明者 佐野 浩 奈良県生駒市高山町8916−5 奈良先端科 学技術大学院大学 遺伝子教育研究センタ ー内 (72)発明者 小泉 望 奈良県生駒市高山町8916−5 奈良先端科 学技術大学院大学 遺伝子教育研究センタ ー内 (72)発明者 新名 惇彦 奈良県生駒市高山町8916−5 奈良先端科 学技術大学院大学 バイオサイエンス研究 科内 Fターム(参考) 2B030 CA14 CA17 4B024 AA01 AA05 AA08 BA07 CA04 DA01 DA05 DA11 EA01 EA03 EA04 FA01 GA11 HA03 4B050 CC01 CC03 DD13 LL05 4B064 AE57 CA01 CA11 CA19 CC24 DA01 DA10 4B065 AA01X AA57X AA88X AA88Y AB01 BA01 CA18 CA27 CA41 CA44

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の塩基配列(a)(b)のいずれかを有す
    るDNA分子。 (a)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸配列を有し、
    プリン環の1位でのテオブロミンのメチル化を触媒する
    酵素活性を有するポリペプチドであるカフェイン合成酵
    素をコードする塩基配列、(b)上記塩基配列(a)に、該塩
    基配列(a)がコードするポリペプチドが上記酵素活性を
    維持し得る範囲内で、塩基の置換、欠失又は挿入を行っ
    て得られた変異塩基配列。
  2. 【請求項2】 上記塩基配列(a)及び上記変異塩基配列
    (b)がストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得
    るものである請求項1に記載のDNA分子。
  3. 【請求項3】 上記塩基配列(a)が、配列表の配列番
    号:2の塩基配列からなる請求項1又は2に記載のDNA
    分子。
  4. 【請求項4】 下記の塩基配列(a)(b)のいずれかを有す
    るRNA分子。 (a)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸配列を有し、
    プリン環の1位でのテオブロミンのメチル化を触媒する
    酵素活性を有するポリペプチドであるカフェイン合成酵
    素をコードする塩基配列、(b)上記塩基配列(a)に、該塩
    基配列(a)がコードするポリペプチドが上記酵素活性を
    維持し得る範囲内で、塩基の置換、欠失又は挿入を行っ
    て得られた変異塩基配列。
  5. 【請求項5】 上記塩基配列(a)及び上記変異塩基配列
    (b)がストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得
    るものである請求項4に記載のRNA分子。
  6. 【請求項6】 上記塩基配列(a)が、配列表の配列番
    号:3の塩基配列からなる請求項4又は5に記載のRNA
    分子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載のDNA分
    子の有する塩基配列の少なくとも一部に相補的な塩基配
    列であって、上記酵素活性を有する植物細胞に導入され
    て発現した場合に、該植物細胞の該酵素活性を阻害し得
    るDNA分子。
  8. 【請求項8】 請求項4〜6のいずれかに記載のRNA分
    子の有する塩基配列の少なくとも一部に相補的な塩基配
    列であって、上記酵素活性を有する植物細胞に導入され
    て発現した場合に、該植物細胞の該酵素活性を阻害し得
    るRNA分子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のDNA分
    子又はRNA分子を含むベクター。
  10. 【請求項10】 微生物及び植物の少なくとも一方の細
    胞内で、プリン環の1位でのテオブロミンのメチル化を
    触媒する酵素活性を有するカフェイン合成酵素を発現さ
    せることができるか、もしくは該カフェイン合成酵素の
    発現を阻害する機能を有する請求項9に記載のベクタ
    ー。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10に記載のベクターで
    形質転換された微生物、植物体、植物組織又は植物細
    胞。
  12. 【請求項12】 請求項9又は10に記載のベクター
    が、感染により導入された微生物、植物体、植物組織又
    は植物細胞。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12に記載の微生物、
    植物体、植物組織又は植物細胞を用いて、カフェイン合
    成酵素を製造する方法。
  14. 【請求項14】 請求項11又は12に記載の微生物、
    植物組織又は植物細胞を培養するか、植物体を栽培し
    て、カフェイン合成酵素を製造する方法。
  15. 【請求項15】 請求項11又は12に記載の微生物、
    植物体、植物組織又は植物細胞を用いてカフェインを製
    造する方法。
  16. 【請求項16】 請求項11又は12に記載の微生物、
    植物組織又は植物細胞を培養するか、植物体を栽培し
    て、カフェインを製造する方法。
  17. 【請求項17】 請求項11又は12に記載の微生物、
    植物体、植物組織又は植物細胞を用いてメチルキサンチ
    ン類の組成を改変する方法。
  18. 【請求項18】 請求項11又は12に記載の微生物、
    植物組織又は植物細胞を培養するか、植物体を栽培し
    て、メチルキサンチン類の組成を改変する方法。
  19. 【請求項19】 メチルキサンチン類が、7−メチルキ
    サントシン、7−メチルキサンチン、パラキサンチン、
    テオブロミン及びカフェインからなる群から選ばれる少
    なくとも1つの化合物である請求項17又は18に記載
    の方法。
  20. 【請求項20】 上記形質変換体が、コーヒーノキ(Co
    ffea)属植物、ツバキ(Camellia)属植物、コラノキ
    (Cola)属植物、モチノキ(Ilex)属植物、ネエア(Ne
    ea)属植物、アオギリ(Firmiana)属植物、ポーリニア
    (Paullinia )属植物又はカカオノキ(Theobroma )属
    植物である請求項17又は18に記載の方法。
  21. 【請求項21】 下記のアミノ酸配列(a)(b)のいずれか
    を有するタンパク質からなり、かつ、プリン環の1位で
    のテオブロミンのメチル化を触媒する酵素活性を有する
    カフェイン合成酵素。 (a)配列表の配列番号:1に示すアミノ酸配列、(b)配列
    表の配列番号:1に示すアミノ酸配列に、上記酵素活性
    を損なわない範囲内でのアミノ酸の置換、挿入又は欠失
    を行って得られた変異アミノ酸配列。
  22. 【請求項22】 上記アミノ酸配列(a)をコードする塩
    基配列及び上記変異アミノ酸配列(b)をコードする塩基
    配列がストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得
    るものである請求項21に記載のカフェイン合成酵素。
  23. 【請求項23】 請求項21又は22に記載のカフェイ
    ン合成酵素と、テオブロミンと、S−アデノシルメチオ
    ニンとを含む混合液をインキュベーションして、カフェ
    インを生成させる、カフェインの製造法。
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