JP2001037490A - カフェイン合成系関連酵素をコードする遺伝子及びその用途 - Google Patents

カフェイン合成系関連酵素をコードする遺伝子及びその用途

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JP2001037490A
JP2001037490A JP2000151718A JP2000151718A JP2001037490A JP 2001037490 A JP2001037490 A JP 2001037490A JP 2000151718 A JP2000151718 A JP 2000151718A JP 2000151718 A JP2000151718 A JP 2000151718A JP 2001037490 A JP2001037490 A JP 2001037490A
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Misako Mizuno
美砂子 水野
Hiroshi Ashihara
坦 芦原
Koichi Mizuno
幸一 水野
Tatsuto Fujimura
達人 藤村
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Mitsui Chemicals Inc
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、カフェイン合成系にあるN−メチ
ルトランスフェラーゼをコードするDNAの全部もしく
は一部を微生物または植物細胞にセンスまたはアンチセ
ンスの形で組み込むことにより、(1)工業用、食品用
または医療用酵素として利用できるN−メチルトランス
フェラーゼの効率的な生産、(2)カフェイン産生植
物、植物組織または植物細胞のカフェイン生合成代謝を
改変することによるカフェイン代謝系の化合物の効率的
生産、及び(3)カフェイン産生植物、植物組織または
植物細胞のカフェイン生合成代謝を改変することによる
カフェイン代謝系の化合物群の生成比の改変等の課題を
達成する。 【解決手段】 配列番号1に記載のアミノ酸配列または
該アミノ酸配列の変異体をコードするDNAまたはRN
Aをセンスまたはアンチセンスの形で組み込んだベクタ
ーで、微生物、植物体または培養細胞を形質転換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カフェイン合成系
を構成する酵素の一つである7−メチルキサンチンN3
メチルトランスフェラーゼ、テオブロミンN1メチルト
ランスフェラーゼ及びパラキサンチンN3メチルトラン
スフェラーゼの3つのメチルトランスフェラーゼ活性を
同時に有するポリペプチドであるN−メチルトランスフ
ェラーゼ及びその変異体、これらのいずれかをコードす
るヌクレオチド配列を有するDNA分子またはRNA分
子、これらの分子を用いたベクター、該ベクターによる
形質転換細胞及びこれらの用途に関する。
【0002】
【従来の技術】カフェインは、チャ(Camellia sinensi
s)などのツバキ科ツバキ属植物やコーヒー(Coffea ar
abica)等のアカネ科コーヒー属植物等に含まれるプリ
ンアルカロイドで、医薬品原料や食品添加物として使用
されている。現在のところ、カフェインは前記植物種を
始めとするカフェイン産生植物からの抽出、または有機
合成によって製造されている。また、チャやコーヒーな
どの嗜好品においては、それらの刺激性を緩和また又は
増強するために、古典的な育種手法等を用いてカフェイ
ンおよびその中間体の含有量の低減または増加が試みら
れている。
【0003】Phytochemistry, 31, 2575-(1992)に
は、カフェインがキサントシンから3段階のN−メチル
化を経て生合成されることが14C−トレーサー実験によ
り明らかにされている。この反応経路を以下に示す。
【0004】
【化1】
【0005】このメチル化を触媒する酵素活性、すなわ
ちメチルトランスフェラーゼ活性は、1975年にチャ
葉の粗抽出液を用いた研究で最初に報告された(Bioche
m.J., 146, 87-(1975))。コーヒーでメチルトランス
フェラーゼの精製が試みられているが(Phytochemistr
y, 37, 1577-(1994))、精製倍率はきわめて低い。チ
ャでは、メチルトランスフェラーゼの部分精製の報告は
あるが(Physiol.Plant., 98, 629-(1996))、酵素タ
ンパク質は単離されていない。
【0006】以上のように、カフェイン合成系酵素、即
ち、カフェインの生合成の最終反応である7−メチルキ
サンチン〜テオブロミン〜カフェインの2段階のメチル
化反応を触媒するN−メチルトランスフェラーゼのアミ
ノ酸配列及びそのアミノ酸配列をコードするDNAに関
しては、これまでのところ全く知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カフ
ェインの合成に有用なカフェイン合成系を構成する酵素
の一つである7−メチルキサンチンN3メチルトランス
フェラーゼ、テオブロミンN1メチルトランスフェラー
ゼ及びパラキサンチンN3メチルトランスフェラーゼと
しての酵素活性を同時に有するN−メチルトランスフェ
ラーゼ、微生物や植物におけるカフェイン生産の増強や
抑制に有用なこのN−メチルトランスフェラーゼをコー
ドするDNAまたはRNA分子、及びそれを用いたベク
ター等を提供することにある。
【0008】例えば、本発明にかかるDNA分子の全部
もしくは一部を、微生物または植物細胞に、センスまた
はアンチセンスの形で組み込むことにより、以下の目的
を達成することが可能となる。 (1)工業用、食品用または医療用酵素として利用でき
るN−メチルトランスフェラーゼを効率よく生産する。 (2)カフェイン産生植物、植物組織または植物細胞の
カフェイン生合成代謝を改変してカフェイン代謝系の化
合物を効率よく生産する。 (3)カフェイン産生植物、植物組織または植物細胞の
カフェイン生合成代謝を改変してカフェイン代謝系の化
合物群の生成比を改変する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、チャの幼葉から部分精製された7−メチルキサ
ンチンN3メチルトランスフェラーゼ、テオブロミンN
1メチルトランスフェラーゼ及びパラキサンチンN3メ
チルトランスフェラーゼの3つの酵素活性を同時に有す
るポリペプチドとしてのN−メチルトランスフェラーゼ
のN末端アミノ酸配列を解析した。その結果を基に、D
NAプローブを作成し、このプローブを用いてRT−P
CR法および5’RACE法により目的とするDNA分
子を単離することに成功した。
【0010】次に、このDNA分子をベクターに組み込
んだ後、大腸菌に導入し、当該DNA分子に由来するポ
リペプチドを大量に発現させた。発現したポリペプチド
を回収してその酵素学的性質を調べたところ、チャの幼
葉から分離した上記の3種のN−メチルトランスフェラ
ーゼ活性を有するポリペプチドと同一の反応、すなわち
パラキサンチンからのカフェインの生成が認められ、当
該DNA分子がカフェイン合成系を構成する酵素の一つ
である上記の3つのN−メチルトランスフェラーゼ活性
を同時に有するN−メチルトランスフェラーゼをコード
する遺伝子を有することを確認した。
【0011】S−アデノシルメチオニン(SAM)をメ
チル基供与体としてキサントシン類化合物やキサンチン
類化合物にN−メチル化を行う植物であれば、本発明に
かかるN−メチルトランスフェラーゼあるいはそれと同
一の酵素活性を有するポリペプチド、更にはこれらをコ
ードするDNAが含まれていると推測され、本発明に記
載の方法を用いれば、それらの植物からも、本発明にか
かるN−メチルトランスフェラーゼあるいはそれと実質
的に同一の酵素、更にはこれらをコードするDNA分子
またはRNA分子を得ることができる。
【0012】本発明者らは以上の知見に基づいて本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明には以下の各態
様が含まれる。
【0013】本発明にかかるDNA分子は、以下のヌク
レオチド配列: (a)配列表の配列番号:1のアミノ酸配列を有し、7
−メチルキサンチンN3メチルトランスフェラーゼ、テ
オブロミンN1メチルトランスフェラーゼ及びパラキサ
ンチンN3メチルトランスフェラーゼとしての酵素活性
を有するポリペプチドであるN−メチルトランスフェラ
ーゼをコードするヌクレオチド配列、及び(b)前記ヌ
クレオチド配列(a)に、該ヌクレオチド配列(a)が
コードするポリペプチドが前記酵素活性を維持し得る範
囲内で、ヌクレオチドの置換、欠失または挿入を行って
得られた変異ヌクレオチド配列のいずれかを有すること
を特徴とする。
【0014】この変異ヌクレオチド配列(b)として
は、ヌクレオチド配列(a)とストリンジェントな条件
下でハイブリダイズし得るものが好ましい。
【0015】本発明にかかるRNA分子は、以下のヌク
レオチド配列: (a)配列表の配列番号:1のアミノ酸配列を有し、7
−メチルキサンチンN3メチルトランスフェラーゼ、テ
オブロミンN1メチルトランスフェラーゼ及びパラキサ
ンチンN3メチルトランスフェラーゼとしての酵素活性
を有するポリペプチドであるN−メチルトランスフェラ
ーゼをコードするヌクレオチド配列、及び(b)前記ヌ
クレオチド配列(a)に、該ヌクレオチド配列(a)が
コードするポリペプチドが前記酵素活性を維持し得る範
囲内で、ヌクレオチドの置換、欠失または挿入を行って
得られた変異ヌクレオチド配列のいずれかを有すること
を特徴とする。
【0016】この変異ヌクレオチド配列(b)として
は、ヌクレオチド配列(a)とストリンジェントな条件
下でハイブリダイズし得るものが好ましい。
【0017】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼ発現用のベクターは、上記のDNA分子と、該DN
A分子によりコードされたN−メチルトランスフェラー
ゼを植物細胞中で発現させるための構成と、を有するこ
とを特徴とする。この発現用ベクターを用いて、宿主細
胞を形質転換することで、形質転換細胞を得ることがで
きる。更に、この形質転換細胞を培養して、前記酵素活
性を有するN−メチルトランスフェラーゼを製造するこ
とができる。
【0018】本発明にかかるDNA分子の他の態様は、
上記のDNA分子の有するヌクレオチド配列の全部又は
一部に相補的なヌクレオチド配列であって、前記酵素活
性を有する植物細胞に導入されて発現した場合に、該植
物細胞の該酵素活性を阻害し得ることを特徴とする。
【0019】本発明にかかるRNA分子の他の態様は、
上記のRNA分子の有するヌクレオチド配列の全部又は
一部に相補的な配列であって、前記酵素活性を有する植
物細胞に導入されて発現した場合に、該植物細胞の該酵
素活性を阻害し得ることを特徴とする。
【0020】本発明にかかるベクターの一態様は、上記
のDNA分子及びRNA分子のいずれかを含むことを特
徴とする。このベクターは、例えば、微生物および/ま
たは植物の細胞内で、7−メチルキサンチンN3メチル
トランスフェラーゼ、テオブロミンN1メチルトランス
フェラーゼ及びパラキサンチンN3メチルトランスフェ
ラーゼの酵素活性を有するN−メチルトランスフェラー
ゼを発現させることができるか、もしくは該N−メチル
トランスフェラーゼの発現を阻害する機能を有するもの
として提供することができる。このベクターを用いて、
微生物、植物細胞、植物組織または植物体を形質転換す
ることができ、得られた形質転換体も本発明に含まれ
る。この植物細胞、植物組織または植物体の形質転換体
を用いて植物二次代謝産物を製造させることができる。
また、この植物細胞、植物組織または植物体を用いて植
物二次代謝産物の組成を改変することができる。
【0021】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼは、7−メチルキサンチンN3メチルトランスフェ
ラーゼ、テオブロミンN1メチルトランスフェラーゼ及
びパラキサンチンN3メチルトランスフェラーゼとして
の酵素活性を有するポリペプチドであって、(a)配列
表の配列番号:1のアミノ酸配列、または(b)配列表
の配列番号:1のアミノ酸配列に、該アミノ酸配列に、
前記酵素活性を損なわない範囲内でのアミノ酸の置換、
挿入または欠失を行って得られた変異アミノ酸配列を有
することを特徴とする。
【0022】この変異アミノ酸配列(b)としては、ア
ミノ酸配列(a)をコードするDNAと、この変異アミ
ノ酸配列(b)をコードするDNAとがストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし得るものが好ましい。
【0023】本発明によれば、カフェインの合成、微生
物や植物において生産されるカフェインの組成の改変な
どに有用なカフェイン合成系を構成する酵素の一つであ
る7−メチルキサンチンN3メチルトランスフェラー
ゼ、テオブロミンN1メチルトランスフェラーゼ及びパ
ラキサンチンN3メチルトランスフェラーゼとしての酵
素活性を同時に有するポリペプチドであるN−メチルト
ランスフェラーゼをコードするDNA分子及びRNA分
子が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明にかかるN−メチルトラン
スフェラーゼは、7−メチルキサンチンN3メチルトラ
ンスフェラーゼ、テオブロミンN1メチルトランスフェ
ラーゼ及びパラキサンチンN3メチルトランスフェラー
ゼとしての酵素活性を同時に有するポリペプチドであ
る。
【0025】このN−メチルトランスフェラーゼとして
は、配列番号:1に示したアミノ酸配列を有しているも
の、配列番号:1のアミノ酸配列に、所望とするN−メ
チルトランスフェラーゼ活性を損なわない範囲で、アミ
ノ酸の置換、挿入または欠失を行って得られた変異アミ
ノ酸配列を有しているものを挙げることができる。すな
わち、所望とする上記のN−メチルトランスフェラーゼ
活性を有する配列番号:1のアミノ酸配列及びその変異
配列を有するポリペプチドをN−メチルトランスフェラ
ーゼと総称する。
【0026】上記の変異アミノ酸配列を有するポリペプ
チドとしては、それ自身が実質的にチャ幼葉のN−メチ
ルトランスフェラーゼと同等の機能を有し、且つ配列番
号:1のアミノ酸配列と酵素活性にかかわる部位におい
て高い相同性を有しているものを挙げることができる。
【0027】一般に同等の機能を有する複数の酵素間に
おいて、酵素活性に必須である部位以外のアミノ酸配列
の相同性は非常に低いことがあることは良く知られてい
る(Kawagoe et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 93, 12
082-(1996))。従って、全体としての相同性が低い場合
でも、活性にかかわる部位において高い相同性を有する
ものは本発明にかかるN−メチルトランスフェラーゼと
して分類できる。
【0028】アミノ酸配列全体として比較した場合にお
ける変異アミノ酸配列としては、配列番号:1のアミノ
酸配列に対して、15%以上の相同性、好ましくは30
%以上の相同性、より好ましくは45%以上の相同性、
更に好ましくは60%以上の相同性、さらにより好まし
くは75%以上の相同性、さらにより一層好ましくは9
0%以上の相同性、最も好ましくは95%以上の相同性
を有し、かつ所望のN−メチルトランスフェラーゼ活性
を有するポリペプチドを提供できる変異アミノ酸配列を
挙げることができる。
【0029】なお、配列番号:1のアミノ酸配列を基準
とした変異を、これらをコードするヌクレオチド配列の
レベルで表現した場合、変異アミノ酸配列をコードする
変異ヌクレオチド配列としては、配列番号:1のアミノ
酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、35%
以上の相同性、好ましくは60%以上の相同性、より好
ましくは75%以上の相同性、さらに好ましくは90%
以上の相同性、更に好ましくは95%以上の相同性を有
する変異ヌクレオチド配列を挙げることができる。
【0030】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼをコードするヌクレオチド配列、すなわちN−メチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子としては、配列番号:1の
アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を挙げるこ
とができ、その具体例としは、配列番号:2のDNA配
列、配列番号:3のRNA配列を挙げることができる。
これらのN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子に対し
て、上記で規定される相同性を有するヌクレオチド配列
も本発明におけるN−メチルトランスフェラーゼをコー
ド遺伝子に含まれる。
【0031】所望とするN−メチルトランスフェラーゼ
活性を維持した変異アミノ酸配列としては、この変異ア
ミノ酸配列をコードする変異ヌクレオチド配列と、配列
番号:1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
とがストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る
ものが実用上好適に利用し得る。
【0032】また、変異N−メチルトランスフェラーゼ
遺伝子としても、配列番号:1のアミノ酸配列をコード
するヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし得るものが実用上好適に利用し得る。そ
の具体例としては、配列番号:2のヌクレオチド配列に
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDN
A分子及び配列番号:3のヌクレオチド配列にストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし得るRNA分子を
挙げることができる。
【0033】このストリンジェントな条件下でのハイブ
リダイゼーションは、例えば、Molecular Cloning: Col
d Spring Harbor Laboratory Press, Current Protocol
s inMolecular Biology; Wiley Interscienceに記載の
方法によって行うことができ、市販のシステムとして
は、GeneImageシステム(アマシャム)を挙げることが
できる。具体的には以下の操作によってハイブリダイゼ
ーションを行うことができる。
【0034】試験すべきDANまたはRNA分子を転写
した膜を、製品プロトコールに従って、標識したプロー
ブとプロトコール指定のハイブリダイゼーションバッフ
ァー中でハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーショ
ンバッファーの組成は、0.1重量%SDS、5重量%
デキストラン硫酸、1/20容のキット添付のブロッキ
ング試薬及び2〜7×SSCからなる。ブロッキング試
薬としては、例えば、100×Denhardt's solution、
2%(重量/容量)Bovine serum albumin2%(重量
/容量)FicllTM400、2%(重量/容量)ポリビニルピ
ロリドンを5培濃度で調製したものを1/20に希釈し
て使用することができる。20×SSCは、3M塩化ナ
トリウム、0.3Mクエン酸溶液であり、SSCは、よ
り好ましくは、3〜6×SSC、更に好ましくは、4〜
5×SSCの濃度で使用する。
【0035】ハイブリダイゼーションの温度は、40〜
80℃、より好ましくは50〜70℃、更に好ましくは
55〜65℃の範囲であり、数時間から一晩のインキュ
ベーションを行った後、洗浄バッファーで洗浄する。洗
浄の温度は、好ましくは室温、より好ましくはハイブリ
ダイゼーション時の温度である。洗浄バッファーの組成
は、6×SSC+0.1重量%SDS溶液、より好まし
くは4×SSC+0.1重量%SDS溶液、更に好まし
くは2×SSC+0.1重量%SDS溶液、更に好まし
くは1×SSC+0.1重量%SDS溶液、最も好まし
くは0.1×SSC+0.1重量%SDS溶液である。
このような洗浄バッファーで膜を洗浄し、プローブがハ
イブリダイズしたDNA分子またはRNA分子を、プロ
ーブに用いた標識を利用して識別することができる。
【0036】なお、変異は、自然界において生じたもの
でもよく、ヌクレオチド配列における部位突然変異によ
り人工的に起こしたものでも良い。
【0037】本発明のN−メチルトランスフェラーゼ遺
伝子を有するDNA分子は、例えば、N−メチルトラン
スフェラーゼをコードするDNA分子に特異的にハイブ
リダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして用
いたPCR技術(植物のPCR実験プロトコール(細胞
工学別冊、植物細胞工学シリーズ2)秀潤社(1995))を
利用して、本発明にかかるN−メチルトランスフェラー
ゼを生産する細胞から分離することができる。
【0038】具体的には、mRNAから合成したcDN
Aにリンカーを結合させ、N−メチルトランスフェラー
ゼを構成するアミノ酸配列をコードするDNAとリンカ
ー間でPCRを行うこと等により、目的cDNAの全長
配列を単離することができる。
【0039】このようなハイブリダイゼーション技術や
PCR技術により得られるN−メチルトランスフェラー
ゼをコードするDNA分子は、少なくとも単離に使用し
た部位においては、配列番号:2に記載のN−メチルト
ランスフェラーゼ遺伝子と相同性を有する。ここで相同
性とは、それぞれのN−メチルトランスフェラーゼ遺伝
子がコードするアミノ酸配列の比較において15%以上
の相同性、好ましくは30%以上の相同性、より好まし
くは45%以上の相同性、更に好ましくは60%以上の
相同性、さらにより好ましくは75%以上の相同性、さ
らにより一層好ましくは90%以上の相同性、最も好ま
しくは95%以上の相同性を指す。ただし、得られるN
−メチルトランスフェラーゼ遺伝子によっては、コード
するアミノ酸の複数の残基が欠失、付加、置換された結
果として、N−メチルトランスフェラーゼとの相同性が
15%以下となってもなお、N−メチルトランスフェラ
ーゼの機能に必須な領域を保持し、実質的にN−メチル
トランスフェラーゼと同等の機能を有するタンパク質を
コードしていることも想定される。
【0040】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼをコードするヌクレオチド配列(遺伝子)を有する
DNA分子またはRNA分子を単離するために用いる生
物としては、カフェインまたはその前駆体を産生する生
物であればすべて使用できるが、中でもチャなどのツバ
キ科ツバキ(Camellia)属植物、コーヒーなどのアカネ
科コーヒー(Coffea)属植物、コラノキなどのアオギリ
科コラノキ(Cola)属植物などを例示することができ
る。
【0041】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼ遺伝子を有するRNA分子は、Sp6プロモーター
やT7プロモーターといったRNAポリメラーゼが認識
するプロモーターの下流に、上記方法で得たN−メチル
トランスフェラーゼDNAを所望の向きで、機能し得る
位置に接続して組換え分子を調製し、これをSp6RN
AポリメラーゼやT7RNAポリメラーゼなどのRNA
ポリメラーゼで翻訳させて得ることができる。また、植
物ウイルスにN−メチルトランスフェラーゼDNAない
しRNAを導入するか、後で述べるように適当なDNA
発現カセットにN−メチルトランスフェラーゼDNAを
所望の向きで機能し得る位置に接続して組換え分子を形
成し、この組換え分子を微生物や植物等の宿主に導入す
ることにより宿主の転写活性を利用して得ることもでき
る。
【0042】N−メチルトランスフェラーゼ遺伝子を有
するDNA分子の全部または一部と相補性を有するDN
A分子、あるいはN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子
を有するRNA分子の全部または一部と相補性を有する
RNA分子であって、カフェインまたはその前駆体を産
生する宿主細胞中において発現した際に宿主細胞におけ
るN−メチルトランスフェラーゼの発現を阻害する機能
を有するものは、宿主細胞におけるN−メチルトランス
フェラーゼ発現の阻害または抑制用のDNA分子または
RNA分子として用いることができる。
【0043】ここで、N−メチルトランスフェラーゼ遺
伝子の一部とは、その部分に相補性を有する配列を基礎
として得られる阻害用のmRNA、すなわちアンチセン
スRNAが宿主細胞中で形成された際に、これが宿主細
胞におけるN−メチルトランスフェラーゼを発現させる
ためのmRNAと結合して、宿主細胞におけるN−メチ
ルトランスフェラーゼの発現が阻害される部分である。
この部分としては、このようなアンチセンスmRNAの
形成に必要となる部分であり、例えば少なくとも14塩
基長の長さの部分を挙げることができる。
【0044】アンチセンスmRNA形成用のDNA分子
としては、例えば、配列番号:2のヌクレオチド配列の
全部または一部と相補性を有しているDNA分子を挙げ
ることができ、アンチセンスRNA分子としては、配列
番号:3のヌクレオチド配列の全部または一部と相補性
を有しているRNA分子を挙げることができる。これら
のヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズし得る変異配列の全部または一部と相補性を
有しているDNA分子またはRNA分子もこのような目
的に用いることができる。
【0045】なお、これらの阻害用のDNA分子または
RNA分子に対して、高い相同性を有し、所望とする阻
害又は抑制機能を発揮できるものも利用できる。ここで
高い相同性とはそれぞれのヌクレオチド配列の比較にお
いて60%以上の相同性、好ましくは75%以上の相同
性、さらに好ましくは90%以上の相同性、最も好まし
くは95%以上の相同性を指す。
【0046】これらの阻害用のDNA分子またはRNA
分子自体は、必ずしも本発明にかかるN−メチルトラン
スフェラーゼをコードするものでなくてもよい。
【0047】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼ阻害用のヌクレオチド配列の他の態様としては、N
−メチルトランスフェラーゼ遺伝子と相同性を有する部
分を有するが、N−メチルトランスフェラーゼをコード
していないヌクレオチド配列で、宿主細胞の有するN−
メチルトランスフェラーゼ遺伝子と置換されることで、
宿主のN−メチルトランスフェラーゼ活性を消失させ得
るものを挙げることができる。
【0048】これらN−メチルトランスフェラーゼ遺伝
子またはN−メチルトランスフェラーゼの発現を阻害ま
たは抑制する機能を有するDNA分子の宿主細胞内での
発現について、宿主細胞として植物細胞を利用した例に
ついて以下に説明する。
【0049】植物細胞での発現は、(i)宿主細胞内で
のDNAからmRNAへの転写を可能とするプロモータ
ー、(ii)プロモーターの下流にセンス方向またはアン
チセンス方向に連結したN−メチルトランスフェラーゼ
遺伝子を含むDNA断片、またはN−メチルトランスフ
ェラーゼの発現を阻害する機能を有するDNA断片、
(iii)必要に応じてこれらDNA断片の下流に連結さ
れた転写産物の安定化に必要なポリアデニレーション部
位を含むターミネーター配列、などを含む発現カセット
を宿主である植物細胞に導入して、これを形質転換する
方法が利用できる。
【0050】このような発現カセット、及びこれを含む
ベクターも本発明の対象である。
【0051】発現カセットは、挿入されているDNAを
恒常的または誘導的に発現させるためのプロモーターを
含有し得る。また、この発現カセットは。必要に応じ
て、植物細胞内での複製のための複製オリジンを有する
ことができる。
【0052】恒常的に発現させるためのプロモーターと
しては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35
Sプロモーター、イネのアクチンプロモーターなどが挙
げられる。また、誘導的に発現させるためのプロモータ
ーとしては、例えば糸状菌、細菌、ウイルスの感染や侵
入、低温、高温、乾燥、嫌気的条件、特定の化合物の散
布等の外因によって発現することが知られているプロモ
ーター等が挙げられる。このようなプロモーターとして
は、例えば、糸状菌、細菌、ウイルスの感染や侵入によ
って発現するイネのキチナーゼ遺伝子のプロモーターや
タバコのPRタンパク質遺伝子のプロモーター、低温に
よって誘導されるイネの「lip19」遺伝子のプロモ
ーター、高温によって誘導されるシロイヌナズナの「H
SP18.2」遺伝子のプロモーター、乾燥によって誘
導されるイネの「rab」遺伝子のプロモーター、嫌気
的条件で誘導されるトウモロコシのアルコールデヒドロ
ゲナーゼ遺伝子のプロモーター等が挙げられる。またイ
ネのキチナーゼ遺伝子のプロモーターとタバコのPRタ
ンパク質遺伝子のプロモーターはサリチル酸等の特定の
化合物によって、イネの「rab」遺伝子プロモーター
は植物ホルモンのアブシジン酸の散布によっても誘導さ
れる。
【0053】或いはまた、発現カセットに挿入されてい
るDNAを発現させるためのプロモーターとしては、N
−メチルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターを単
離して利用する方法も挙げられる。
【0054】具体的なプロモーターの単離方法の一例に
は、N−メチルトランスフェラーゼ遺伝子の全部又は一
部をプローブとしたハイブリダイゼーション技術の利用
により、ゲノムDNA断片を選択し、該遺伝子の上流部
DNAを特定する方法を挙げることができる。
【0055】発現カセット中の組み換えDNA分子の植
物への導入に備えるために、大腸菌の複製シグナル及び
形質転換された細菌の細胞を選抜するためのマーカー遺
伝子を含むクローニングベクターが数多く利用できる。
このようなベクターの例には、pBR322、pUC
系、M13mp系等がある。適当な制限酵素切断部位
で、目的の配列をベクターに導入することができる。得
られたプラスミドDNAの特徴を明らかにするため、制
限酵素切断部位分析、ゲル電気泳動、及びその他の生化
学的−分子生物学的方法が一般に用いられる。各々の操
作を終えた後、プラスミドDNAを切断して、別のDN
Aに結合させることができる。各プラスミドDNAの配
列を、同じプラスミド又は別のプラスミド中にクローニ
ングすることができる。
【0056】植物細胞の中に発現カセットを導入するた
めには、さまざまな手法を用いることができる。これら
の手法には、形質転換因子としてアグロバクテリウム・
ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)また
は、アグロバクテリウム リゾゲネス(Agrobacterium r
hizogenes)を用いたT−DNAによる植物細胞の形質
転換、プロトプラストへの直接導入(インジェクション
法、エレクトロポレーション法等)、パーティクルガン
法等やその他の可能性が含まれる。
【0057】プロトプラストへの直接導入では、特別に
必要とされるベクターはない。例えば、pUC誘導体の
ような単純なプラスミドを用いることができる。目的の
遺伝子を植物細胞に導入する方法によっては、他のDN
A配列が必要になることもある。例えばTiまたはRi
プラスミドを植物細胞の形質転換に用いる場合には、T
iおよびRiプラスミドのT−DNA領域の少なくとも
右端の配列、大抵は両端の配列を、導入されるべき遺伝
子の隣接領域となるように接続するのが好ましい。
【0058】アグロバクテリウム属菌を形質転換に用い
る場合には、導入すべき発現カセットを、特別のプラス
ミド、すなわち中間ベクターまたはバイナリーベクター
中にクローニングする必要がある。中間ベクターはアグ
ロバクテリウム属菌の中では複製されない。中間ベクタ
ーは、ヘルパープラスミドあるいはエレクトロポレーシ
ョンによってアグロバクテリウム属菌の中に移行され
る。中間ベクターは、T−DNAの配列と相同な領域を
もつため、相同組換えによって、アグロバクテリウム属
菌のTiまたはRiプラスミド中に取り込まれる。宿主
として使われるアグロバクテリウム属菌には、vir領
域が含まれている必要がある。通常TiまたはRiプラ
スミドにvir領域が含まれており、その働きにより、
T−DNAを植物細胞に移行させることができる。
【0059】一方、バイナリーベクターはアグロバクテ
リウム属菌の中で複製、維持され得るので、ヘルパープ
ラスミドあるいはエレクトロポレーション法によってア
グロバクテリウム属菌中に取り込まれると、宿主のvi
r領域の働きによって、バイナリーベクター上のT−D
NAを植物細胞に移行させることができる。
【0060】なお、このようにして得られた発現カセッ
トを含む中間ベクターまたはバイナリーベクター、及び
これを含む大腸菌やアグロバクテリウム属菌等の微生物
も本発明の対象である。
【0061】形質転換された植物細胞は、再生過程を経
ることにより植物組織または植物体に変換することがで
きる。再生の方法は植物細胞の種類により異なるが、例
えばイネではFujimuraら(Plant Tissue Culture Let
t., 2, 74-(1995))の方法、トウモロコシでは、Shil
litoら(Bio/Technology, 7, 581-(1989))の方法、
シロイヌナズナではAkamaらの方法(Plant Cell Rep.,
12, 7-(1992))などが挙げられる。
【0062】本発明において、「植物体」とは植物に分
類される生物個体の全体もしくは一部の器官(例えば、
葉、茎、根、花、果実、種子等)を指す。
【0063】これらの方法により作出された植物体また
はその繁殖媒体(例えば種子、塊茎、切穂など)から得
た植物体は、カフェインまたはその前駆体を産生する野
生型の植物体と比較して本発明のN−メチルトランスフ
ェラーゼの発現量が変化し、ホスト植物の代謝の改変に
よるカフェイン代謝系化合物の生成量の変化や、ホスト
植物の代謝の改変によるカフェイン代謝系化合物群の生
成比の変化が起こる。このようにして得られたトランス
ジェニック植物は本発明の対象である。本発明でいう植
物には、葉、花、果実、種子などの植物の特定の組織ま
たは細胞も含まれる。
【0064】また、近年植物のポストトランスレーショ
ナルなジーンサイレンシングの研究から、ウイルス等の
外来核酸に対して植物が本来備えている防御機項を利用
して、目的遺伝子の発現を抑制することが可能なことが
わかってきた(Cell,95,177-187(1998)、化学と生物、3
7、532-(1999)、蛋白質核酸酵素、44、1396-(1999))。
これによれば、DNAウイルスやRNAウイルス等が植
物に進入した場合、植物はこれらの鋳型からアベラント
RNAを転写し、植物が本来持っている配列の転写産物
と配列特異的に二本鎖RNAを形成する。この二本鎖R
NAはRNaseにより分解されることにより、目的の
遺伝子の発現を抑制することが可能となる(Cell,96, 3
03-(1999))。本方法の重要な特徴のひとつは、発現を
抑制したい配列を目的植物に必ずしも形質転換させる必
要がない点にある。また本方法のさらなる特徴は、植物
の一部(下位葉等)に目的の核酸を感染等により導入す
れば、その効果が植物体全体に広がることである。具体
的な発現抑制方法は、目的遺伝子の配列またはそれと高
い相同性を持つ配列の全部または一部を含む二本鎖RN
Aや、二本鎖DNAを持つアグロバクテリウムを植物の
下位葉に感染させる。ここで高い相同性とはそれぞれの
塩基配列の比較において60%以上の相同性、好ましく
は75%以上の相同性、さらに好ましくは90%以上の
相同性、最も好ましくは95%以上の相同性を指す。
【0065】この方法を施された植物体は、カフェイン
またはその前駆体を産生する野生型の植物体と比較して
本発明のN−メチルトランスフェラーゼタンパク質の発
現量が変化し、ホスト植物の代謝の改変によるカフェイ
ン代謝系化合物の生成量の変化や、ホスト植物の代謝の
改変によるカフェイン代謝系化合物群の生成比の変化が
起こる。このようにして得られた植物は本発明の対象で
ある。本発明でいう植物には、葉、花、果実、種子など
の植物の特定の組織または細胞も含まれる。
【0066】前記のSAMをメチル基供与体としてカフ
ェインを生成する植物としては、チャなどのツバキ科ツ
バキ(Camellia)属植物、コーヒーなどのアカネ科コー
ヒー(Coffea)属植物、コラノキなどのアオギリ科コラ
ノキ(Cola)属植物など、カフェイン産生植物を例示す
ることができる。
【0067】本発明にかかるN−メチルトランスフェラ
ーゼをコードするDNAを導入してN−メチルトランス
フェラーゼタンパク質を大量に発現させるための微生物
としては、大腸菌や枯草菌等の細菌及びバキュロウイル
ス等のウイルスを例示することができる。
【0068】また、ホスト細胞の代謝を改変して特定化
合物の生産性向上や特定の化合物群の生成比改変を図る
ことを目的に、本発明にかかるN−メチルトランスフェ
ラーゼをコードするDNAをセンスまたはアンチセンス
の形で組み込んで形質転換植物を得るための植物として
は、カフェインまたはその前駆体を産生する植物であれ
ばすべて使用できる。
【0069】上記の構成のベクターで形質転換された植
物細胞または植物組織を培養して、あるいは同様に形質
転換された植物体を栽培して、カフェイン合成系にかか
る二次代謝産物の製造やこれらの形質転換体で生産され
る二次代謝産物の組成の改変を行うことがきる。この二
次代謝産物としては、例えば、7−メチルキサンチン、
パラキサンチン、テオブロミン及びカフェインからなる
群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を挙げるこ
とができる。
【0070】形質転換に用いる植物細胞、植物組織また
は植物体の供給原としては、例えば、質転換植物体が、
ツバキ(Camellia)属植物、コーヒー(Coffea)属植
物、がコラノキ(Cola)属植物、モチノキ(Ilex)属植
物、ネエア(Neea)属植物、アオギリ(Firmiana)属植
物、ポーリニア(Paullinia)属植物又はカカオノキ(T
heobroma)属植物を挙げることができる。
【0071】中でもチャなどのツバキ科ツバキ(Camell
ia)属植物、コーヒーなどのアカネ科コーヒー(Coffe
a)属植物、コラノキなどのアオギリ科コラノキ(Col
a)属植物などを好ましいものとして例示することがで
きる。
【0072】さらに、本発明にかかるN−メチルトラン
スフェラーゼは、テオブロミンの他にも7−メチルキサ
ンチンといった構造類似化合物もメチル化することがで
きるので、前記の植物種以外であってもこれらキサンチ
ンの構造類似化合物を含む植物であれば、本発明の方法
を適用することができる。
【0073】なお、酵素学的な検討の結果、本発明にか
かるN−メチルトランスフェラーゼは以下の基本的性質
を有することが明らかになっている。 分子量:41,000(SDS−PAGE)、61,00
0(ゲルろ過) 等電点:4.5〜5.0 (クロマトフォーカシング) 至適pH:8.5 Km値:21μM(SAM)、24μM(パラキサンチ
ン) 阻害剤:SAH(S−アデノシルホモシステイン) 反応機構:SAM+パラキサンチン→SAH+カフェイ
【0074】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を更
に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例
に限定されるものではない。
【0075】実施例1 N−メチルトランスフェラーゼ精製画分の調製 1997年5月に鹿児島県枕崎市で採種した、チャ葉
(Camellia sinensis var. Yabukita)の第1、2、3
葉を液体窒素を用いて凍結し、−80℃で保存した。こ
の材料100gを、1,000mlの5mM EDTA
−Na2、5mM2−メルカプトエタノール、5%(v
/v) グリセリン、1mg アプロチニン、0.5%
(w/v) アスコルビン酸ナトリウム、2.5%(w
/v)不溶性ポリビニルポリピロリドンを含む50mM
リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)を加えて磨砕
し、3層のガーゼで濾過した後に濾液を遠心分離(1
0,000g、15分)して上清を得た。この上清に対
して50―80% 飽和硫安分画を調製した。この分画
をSephadex G−25を用いて脱塩し、2mM
EDTA−Na2、2mM 2−メルカプトエタノー
ル、20%(v/v) グリセリンを含む10mM リ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)に溶解させた後
に、同じ緩衝液で平衡化したハイドロキシアパタイトカ
ラム(15×160mm)に吸着させ、200ml 2
mM EDTA−Na2、2mM 2−メルカプトエタ
ノール、20%(v/v) グリセリンを含む10―2
00mMリン酸ナトリウム緩衝液の直線濃度勾配を用い
て活性画分を溶出した。活性画分を集め、80% 飽和
硫安処理により沈殿を回収し、2mM EDTA−Na
2、2mM 2−メルカプトエタノール、20mM K
Cl、20%(v/v)グリセリンを含む50mM ト
リス−塩酸緩衝液(pH8.4)に溶解した。脱塩処理
を行った後に、同じ緩衝液で平衡化した高速液体クロマ
トグラフィー専用の陰イオン交換カラムShodex
IEC QA−824(8×25mm)に吸着させた。
同じ緩衝液でカラムを洗浄後、36mlの20―750
mM KCl(2mM EDTA−Na2、2mM 2
−メルカプトエタノール、20%(v/v) グリセリ
ンを含む50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)
に溶解)の直線濃度勾配で吸着タンパク質を溶出した。
活性画分を集め、脱塩処理を行い、2mM EDTA−
Na2、2mM 2−メルカプトエタノール、20%
(v/v) グリセリンを含む50mM トリス−塩酸
緩衝液(pH8.5)に溶解した後、同じ緩衝液で平衡
化したアフィニティーカラムであるアデノシン−アガロ
ース(1ml)に吸着させた。0.2M NaCl、2
mM EDTA−Na2、2mM 2−メルカプトエタ
ノール、20%(v/v) グリセリンを含む50mM
トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)で活性画分を溶出
した。得られた画分を2mM 2−メルカプトエタノー
ル、150mM KCl、20%(v/v) グリセリ
ンを含む50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)
で平衡化したHiLoad Superdex 200
(16×600mm)を用いてゲル濾過を行い、最終精
製標品を得た。表1にN−メチルトランスフェラーゼの
精製過程における比活性の変化をまとめた。
【0076】
【表1】
【0077】実施例2 N−メチルトランスフェラーゼ精製画分のアミノ末端ア
ミノ酸配列の解析 最終精製標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動後、セミドライブロッティング装置を用いPVDFメ
ンブレンに転写した。N−メチルトランスフェラーゼが
転写された部位を切り取り、ABIプロテインシーケン
サーを用いてN末端のアミノ酸配列を分析した。その結
果を配列番号:4に示す。
【0078】実施例3 N−メチルトランスフェラーゼのcDNAクローニング
のためのオリゴヌクレオチド N末端の7アミノ酸残基に基づく19残基のオリゴヌク
レオチドNMT−1とNotI−(dT)18プライマ
ー(ファルマシアバイオテック)をプローブとした。配
列番号:5にNMT−1の配列を示す。
【0079】実施例4 N−メチルトランスフェラーゼ遺伝子のクローニングの
ための1本鎖cDNAの合成 (1)total RNAの単離 5gの若いチャ葉を液体窒素存在下で乳棒、乳鉢を用い
て破砕した。液体窒素の昇華後、50mlの3M Li
Cl、8M 尿素を加えて、ポリトロンでさらに破砕し
た。4℃で一晩静置した後、12,000rpmで15
分間、遠心分離を行った。沈殿を0.5% SDS、1
0mM Tris−塩酸緩衝液 (pH7.6)に懸濁
し、総量で10ml程度にした。10mlのフェノール
/クロロホルム溶液を加えて混合し、12,000rp
m、10分間の遠心分離を行った。上清に1/10倍容
の3M 酢酸ナトリウム溶液(pH4.8)を加え、さ
らに2倍容のエタノールを加えて−80℃で1時間静置
した。4℃、12,000rpm、10分間の遠心分離
を行い、上清を除去した沈殿に70% エタノールを加
えて懸濁し、再度、遠心分離を行った。上清を除去し、
真空ポンプでドライアップした。沈殿を1.5mlの水
に溶かし、150μlの3M 酢酸ナトリウム溶液(p
H4.8)を加え、さらに1.5mlのフェノール/ク
ロロホルム溶液を加えて転倒混和し、12,000rp
m、10分間の遠心分離を行った。上清に2倍容のエタ
ノールを加え、−80℃で20分間静置した後、4℃で
12,000rpm、10分間の遠心分離を行い得られ
た沈殿に70% エタノールを加えて、再度、遠心分離
を行った。沈殿を1.5mlの水に溶かし、150μl
の3M 酢酸ナトリウム溶液(pH4.8)を加え、さ
らに1.5mlのフェノール/クロロホルム溶液を加え
て転倒混和し、12,000rpm、10分間の遠心分
離を行った。上清に2倍容のエタノールを加え、−80
℃で20分間静置した後、4℃で12,000rpm、
10分間の遠心分離を行い得られた沈殿に70% エタ
ノールを加えて、再度、遠心分離を行った。真空ポンプ
でドライアップした後、200μlの水に溶解し、to
tal RNAの画分とした。
【0080】(2) mRNAの単離 上述の方法で得たtotal RNA(2mg)に65
℃、5分間の熱処理を行った後、等量の2倍濃度A液
(10 mM Tris−塩酸緩衝液(pH7.5)、
1mM EDTA−Na2、0.1% SDS、0.5
M NaCl)と混合した。0.1gのoligo(d
T)−Cellulose Type7(ファルマシ
ア)を2mlのB液(10mM Tris−塩酸緩衝液
(pH7.5)、1mM EDTA−Na2、0.1%
SDS、0.1M NaCl)中で膨潤させ、その
懸濁液を先端にガラスウールをつめたブルーチップに注
ぎ、2.5 mlの0.1N NaOHで洗浄した後、
5mlのA液を流して平衡化した。このカラムにtot
al RNAをアプライし、3mlのA液、4mlのB
液を流した後に、mRNAを3mlのC液(10mM
Tris−塩酸緩衝液(pH7.5)、1mM EDT
A−Na2、0.05% SDS)で溶出した。溶出液
をエタノール沈殿によって濃縮し、ドライアップした後
水に溶解し、−80℃で保存した。
【0081】(3) 1本鎖cDNAの合成 190ngのmRNAを65℃、10分間の熱処理を行
った後、ただちに氷上で3分間急冷した。このサンプル
をテンプレートにして、First−Strand c
DNA Synthesis Kit(ファルマシア)
を用いて1本鎖cDNAを合成した。合成したcDNA
は−20℃で保存した。
【0082】実施例5 RT−PCR法によるN−メチルトランスフェラーゼ遺
伝子のクローニング先に述べた方法で調製した1本鎖c
DNAをテンプレートにした以下の反応液を調製した。
この反応液をPeltier Thermal cyc
ler PTC−200(フナコシ)を用いて、95℃
/1分間の反応後、95℃/1分間、45℃/1分間、
72℃/2分間を30サイクル反応させる条件でPCR
を行い、反応生成物を得た。 テンプレートcDNA:3μl 10×buffer:5μl 2.5mM NTP:8μl NMT−1:1μl(50pmol) NotI−(dT)18:1μl(50pmol) H2O:31μl ExTaq(TAKARA):1μl 実施例6 プラスミドベクターへのサブクローニング 0.8% アガロースゲルを用いてTAE中で実施例5
で得た反応生成物の電気泳動を行い、得られた目的生成
物のバンドを切り取り、GENE CLEAN(フナコ
シ)を用いてゲルからDNAを回収した。回収したDN
AをpT7blueベクター(Novagen)にライ
ゲーションした後、大腸菌DH5αにトランスフォーメ
ーションした。X−galを用いてカラーセレクション
を行った後に、アンピシリンを含むLB培地で液体培養
を行い、アルカリ−SDS法によりプラスミドを抽出、
単離した。インサートの有無はアガロース電気泳動によ
って確認した。こうして、N−メチルトランスフェラー
ゼ遺伝子を含むDNA断片を、プラスミド中に単離し
た。
【0083】実施例7 塩基配列の決定 実施例6において単離したプラスミドを用いて下記の反
応液中でプライマーエクステンションを行った。反応条
件は96℃/1分間反応させた後、96℃/0.2分
間、50℃/0.1分間、60℃/4分間を25サイク
ル行った。反応液に対してエタノール沈殿を行い、得ら
れたDNA をTemplate suppressi
on reagentに溶解し、ABI−310ジェネ
ティックアナライザーを用いて分析した。目的DNAの
中央部分の配列を決定するためには、DNAをStyI
で処理して得られたDNAフラグメントをpUC19に
サブクローニングしたプラスミドを用いた。配列番号:
6及7にそれらのプライマー配列を示す。
【0084】プライマーエクステンション反応液の組成 プラスミドDNA (20ng): 2μl Premix:4μl Primer:1μl H2O:3μl 実施例8 5’RACE法によるN−メチルトランスフェラーゼm
RNAの5’上流域の単離 5’上流域の単離には、5’−Full RACE C
ore Set(TAKARA)を用いた。配列番号:
8〜17に使用したプライマーの配列を示す。
【0085】実施例4に記した方法で合成した1st
strand cDNAについて、hybrid RN
Aの分解、ライゲーション反応による1本鎖cDNAの
環化の後に、配列番号:8〜12、または配列番号:1
3〜17のプライマーを用いて、常法に基づいてPCR
反応を行い、反応生成物を得た。アクリルアミド電気泳
動により反応生成物のバンドを分離し、ゲルからDNA
を回収し、pT7blueベクターにサブクローニング
した。その後、実施例6と7と同様の方法でインサート
されたDNAの塩基配列を決定した。
【0086】実施例9 N−メチルトランスフェラーゼの大腸菌での発現 単離したN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子を発現ベ
クターpET23d(Novagen)に組み込み直す
ために以下の操作を行なった。
【0087】実施例6で得られた単離N−メチルトラン
スフェラーゼ遺伝子DNAが挿入されているpT7bl
ueベクターをテンプレートとして、配列番号:18及
び19に記載のプライマーを用いて以下の条件でPCR
を行い反応生成物を得た。則ち、反応条件は、95℃/
1.5分間の後、95℃/1分間、52℃/1分間、7
2℃/1分間を30サイクル行った。
【0088】これとは別に単離N−メチルトランスフェ
ラーゼ遺伝子DNA断片をNcoIとEcoRIで処理
して得られた断片をpET23dベクターに挿入した。
次に、このpET23dベクターのNcoIサイトに、
上記PCR産物をさらに挿入しN−メチルトランスフェ
ラーゼ発現プラスミドを構築した。このプラスミドを大
腸菌BL21(DE3)にトランスフォーメーションし
た。得られた大腸菌を37℃で2時間培養した後に、I
PTGを最終濃度0.3mMになるように加え、30℃
でさらに3時間培養を行った。培養終了後集菌し、3m
lの培養液の菌体に対し0.2mlの10mM Tri
s−塩酸緩衝液(pH7.5)、0.1M NaCl、
1mM EDTA−Na2中で1分間断続的に超音波破
砕を行った。これを14,000rpm、10分間の遠
心分離を行い、得られた上清を酵素液とした。
【0089】ここで得られたN−メチルトランスフェラ
ーゼ遺伝子を含むDNA断片のヌクレオチド配列は実施
例7及び8の配列決定から、配列番号:2の配列を有す
るものであり、対応するRNAヌクレオチド配列は配列
番号:3に示される。また、対応するN−メチルトラン
スフェラーゼのアミノ酸配列は配列番号:1に示され
る。
【0090】N−メチルトランスフェラーゼ活性測定の
ための反応液は、100mM Tris−塩酸緩衝液
(pH8.5)、0.2mM MgCl2、0.2mM
パラキサンチン、4μM[メチル-14C]S−アデノ
シルメチオニン(0.9kBq)に酵素液10μlを加
えたものとし、反応液の体積は100μlとした。27
℃で10分間の反応を行い、得られた14C−カフェイン
を1mlのクロロホルムを加えて抽出し、クロロホルム
層の放射活性を測定した。対照としては、反応液にパラ
キサンチンの代わりにキサントシンを加えたものまた
は、反応液からパラキサンチンを除いたものを用いた。
活性測定の結果、基質としてパラキサンチンを加えたと
きのみ1.56pmolのカフェインが生成したことが
判明した。
【0091】実施例10 (アンチセンス法によるカフェインの合成の抑制)アン
チセンスN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子を有する
組換えベクターを以下の方法により構築した。
【0092】実施例9で用いた単離N−メチルトランス
フェラーゼ遺伝子の全長を鋳型とし、配列番号20及び
21に記載の配列を有するプライマーを用いてPCRに
て増幅し、得られたDNA断片の末端をBKLキット
(TAKARA社製)で平滑末端化して平滑末端化PC
R増幅断片を得た。
【0093】また、ハイグロマイシン耐性遺伝子を連結
したpBIベクター(clontech社製)を制限酵
素XbaIとSacIで切断してβ−グルクロニダーゼ
遺伝子を除去し、得られら線状ベクターの末端を平滑末
端とした。
【0094】この平滑末端化線状ベクターを上記平滑末
端化PCR増幅断片とライゲーションキット(TAKA
RA社製)を用いて結合させ、得られらた反応生成物か
らpBI中のCaMV35Sプロモーターの下流に該遺
伝子が逆方向で機能し得る位置に挿入されている所望の
N−メチルトランスフェラーゼ遺伝子を有するベクター
をシーケンシングにより選択した。このようにして、ア
ンチセンスN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子が挿入
された所望の組換えベクターを得た。そしてこれを以下
の形質転換に用いた。
【0095】コーヒーの組織培養によるカフェイン生合
成の従来法については、これまでにもPlanta, 108, 339
(1972), Plant Cell Reports, 2, 109 (1983)などの多
くの報告がある。これらの従来法に従ってコーヒーの茎
頂ないし幼葉からカルスを誘導した。得られたカルスに
パーティクルガン法で上記で構築された組換えベクター
を導入した。あるいは、該カルスのプロトプラストを調
製して、このプロトプラストにエレクトロポレーション
法により組換えベクターを導入した。導入後、マーカー
耐性を示す細胞を選抜した。選択された細胞は明条件下
で培養し、形質転換細胞に対して実施例9に記載の方法
により酵素活性を測定した。その結果、アンチセンスN
−メチルトランスフェラーゼDANを導入した細胞にお
けるカフェインの生産は、アンチセンスN−メチルトラ
ンスフェラーゼDNAを導入していない通常細胞と比較
して有意に減少していることが判明した。
【0096】さらに、形質転換したコーヒー培養細胞を
再分化させ、幼植物体を得た。再分化の方法はZ.Pflanz
enphysiol. Bd., 81, 395 (1977)、Plant Cell, Tissue
andOrgan Culture, 8, 243 (1987)を含む文献に記載の
従来法に従って行った。幼植物体の葉を用いて実施例9
に記載の方法により酵素活性を測定した。その結果、ア
ンチセンスN−メチルトランスフェラーゼDNAを導入
した植物体のカフェイン生産は、アンチセンスN−メチ
ルトランスフェラーゼDNAを導入していない植物体と
有意に減少していることが判明した。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、工業用、食品用または
医療用酵素として利用できるN−メチルトランスフェラ
ーゼを効率よく生産する事が可能になる。
【0098】本発明によれば、カフェイン産生植物、植
物組織または植物細胞のカフェイン生合成代謝を改変し
てカフェイン代謝系の化合物を効率よく生産する事が可
能になる。
【0099】本発明によれば、カフェイン産生植物、植
物組織または植物細胞のカフェイン生合成代謝を改変し
てカフェイン代謝系の化合物群の生成比を改変すること
が可能になる。
【0100】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> MITSUI CHEMICALS, INC. <120>Gene Encoding Caffeine Synthesis System Associated Enzyme and Use t hereof <150>JP 146358/1999 <151>1999-05-26 <160> 20 <210> 1 <211> 356 <212> PRT <213> Camellia sinensis <400> 1 Phe Met Asn Arg Gly Glu Gly Glu Ser Ser Tyr Ala Gln Asn Ser Ser 5 10 15 Phe Thr Gln Gln Val Ala Ser Met Ala Gln Pro Ala Leu Glu Asn Ala 20 25 30 Val Glu Thr Leu Phe Ser Arg Asp Phe His Leu Gln Ala Leu Asn Ala 35 40 45 Ala Asp Leu Gly Cys Ala Ala Gly Pro Asn Thr Phe Ala Val Ile Ser 50 55 60 Thr Ile Lys Arg Met Met Glu Lys Lys Cys Arg Glu Leu Asn Cys Gln 65 70 75 80 Thr Leu Glu Leu Gln Val Tyr Leu Asn Asp Leu Phe Gly Asn Asp Phe 85 90 95 Asn Thr Leu Phe Lys Gly Leu Ser Ser Glu Val Ile Gly Asn Lys Cys 100 105 110 Glu Glu Val Pro Cys Tyr Val Met Gly Val Pro Gly Ser Phe His Gly 115 120 125 Arg Leu Phe Pro Arg Asn Ser Leu His Leu Val His Ser Ser Tyr Ser 130 135 140 Val His Trp Leu Thr Gln Ala Pro Lys Gly Leu Thr Ser Arg Glu Gly 145 150 155 160 Leu Ala Leu Asn Lys Gly Lys Ile Tyr Ile Ser Lys Thr Ser Pro Pro 165 170 175 Val Val Arg Glu Ala Tyr Leu Ser Gln Phe His Glu Asp Phe Thr Met 180 185 190 Phe Leu Asn Ala Arg Ser Gln Glu Val Val Pro Asn Gly Cys Met Val 195 200 205 Leu Ile Leu Arg Gly Arg Gln Cys Ser Asp Pro Ser Asp Met Gln Ser 210 215 220 Cys Phe Thr Trp Glu Leu Leu Ala Met Ala Ile Ala Glu Leu Val Ser 225 230 235 240 Gln Gly Leu Ile Asp Glu Asp Lys Leu Asp Thr Phe Asn Ile Pro Ser 245 250 255 Tyr Phe Ala Ser Leu Glu Glu Val Lys Asp Ile Val Glu Arg Asp Gly 260 265 270 Ser Phe Thr Ile Asp His Ile Glu Gly Phe Asp Leu Asp Ser Val Glu 275 280 285 Met Gln Glu Asn Asp Lys Trp Val Arg Gly Glu Lys Phe Thr Lys Val 290 295 300 Val Arg Ala Phe Thr Glu Pro Ile Ile Ser Asn Gln Phe Gly Pro Glu 305 310 315 320 Ile Met Asp Lys Leu Tyr Asp Lys Phe Thr His Ile Val Val Ser Asp 325 330 335 Leu Glu Ala Lys Leu Pro Lys Thr Thr Ser Ile Ile Leu Val Leu Ser 340 345 350 Lys Ile Asp Gly 355 <210> 2 <211> 1427 <212> DNA <213> Camellia sinensis <400> 2 tgatatcact gctgtggcag ctggcctctt tgctataaaa attacttttc tgacgaggca 60 tggagctagc tactgcgggg aaggtgaacg aagtgttgtt catgaacagg ggggaaggag 120 aaagtagtta tgcacaaaac tcttctttca cgcaacaagt ggcctcaatg gcacagccag 180 cgctagaaaa tgcagttgaa actctcttct ccagagattt ccaccttcaa gctcttaacg 240 cagcggactt gggttgtgca gcgggtccaa acacattcgc agtgatttct acgatcaaga 300 gaatgatgga aaagaaatgc agggaattga attgccaaac actggaactt caggtttact 360 tgaatgatct ttttggaaat gatttcaata ccctcttcaa aggcctgtcg tctgaggtta 420 ttggtaacaa atgtgaggaa gttccgtgtt atgtgatggg agtaccgggg tctttccatg 480 gccggctttt tcctcgtaac agcttacatt tagttcattc ctcttacagt gttcattggc 540 ttactcaggc accaaaagga ctcacaagca gagaaggctt ggcattaaac aaggggaaga 600 tttacatatc aaagacaagc cctcctgttg taagagaagc ctacttatct caatttcatg 660 aagatttcac aatgtttctc aatgctagat cccaagaggt ggttccaaat ggttgtatgg 720 tgttgatact tcgtggtagg caatgttctg atccttcaga catgcagagc tgctttactt 780 gggaactatt agctatggcc attgctgaat tggtttcaca gggattgata gatgaagata 840 aattagacac cttcaatata cccagctatt ttgcatcact tgaggaagtg aaagatatag 900 tggagaggga cggatcattc acaattgatc atatagaggg gtttgatctt gatagcgtag 960 aaatgcagga gaatgataaa tgggttagag gggaaaagtt taccaaggtt gtcagggcct 1020 tcacagagcc tataatttca aaccagtttg gacctgaaat catggacaaa ctatatgaca 1080 aattcactca cattgtagtt tcagatttgg aagcaaagct accgaagacc acaagtatca 1140 tcctagtgct ttccaagatt gatggatagt tttttagtgt tgtgaaataa actgttgtcc 1200 ctatcacata tatgccacta gagggttgtg ccaatgtatt gcacaagaag atttgagagg 1260 ggtcaaatat agaaagcatt ttgctcttgt gtggagagag aatgttttct tgatttaaat 1320 ctgtgatacc caaatcgtaa tgttgggaag aaatgagaag ttgaacatga aattttaaaa 1380 aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaatt cctgcggccg cgaattc 1427 <210> 3 <211> 1427 <212> RNA <213> Camellia sinensis <400> 3 ugauaucacu gcuguggcag cuggccucuu ugcuauaaaa auuacuuuuc ugacgaggca 60 uggagcuagc uacugcgggg aaggugaacg aaguguuguu caugaacagg ggggaaggag 120 aaaguaguua ugcacaaaac ucuucuuuca cgcaacaagu ggccucaaug gcacagccag 180 cgcuagaaaa ugcaguugaa acucucuucu ccagagauuu ccaccuucaa gcucuuaacg 240 cagcggacuu ggguugugca gcggguccaa acacauucgc agugauuucu acgaucaaga 300 gaaugaugga aaagaaaugc agggaauuga auugccaaac acuggaacuu cagguuuacu 360 ugaaugaucu uuuuggaaau gauuucaaua cccucuucaa aggccugucg ucugagguua 420 uugguaacaa augugaggaa guuccguguu augugauggg aguaccgggg ucuuuccaug 480 gccggcuuuu uccucguaac agcuuacauu uaguucauuc cucuuacagu guucauuggc 540 uuacucaggc accaaaagga cucacaagca gagaaggcuu ggcauuaaac aaggggaaga 600 uuuacauauc aaagacaagc ccuccuguug uaagagaagc cuacuuaucu caauuucaug 660 aagauuucac aauguuucuc aaugcuagau cccaagaggu gguuccaaau gguuguaugg 720 uguugauacu ucgugguagg caauguucug auccuucaga caugcagagc ugcuuuacuu 780 gggaacuauu agcuauggcc auugcugaau ugguuucaca gggauugaua gaugaagaua 840 aauuagacac cuucaauaua cccagcuauu uugcaucacu ugaggaagug aaagauauag 900 uggagaggga cggaucauuc acaauugauc auauagaggg guuugaucuu gauagcguag 960 aaaugcagga gaaugauaaa uggguuagag gggaaaaguu uaccaagguu gucagggccu 1020 ucacagagcc uauaauuuca aaccaguuug gaccugaaau cauggacaaa cuauaugaca 1080 aauucacuca cauuguaguu ucagauuugg aagcaaagcu accgaagacc acaaguauca 1140 uccuagugcu uuccaagauu gauggauagu uuuuuagugu ugugaaauaa acuguugucc 1200 cuaucacaua uaugccacua gaggguugug ccaauguauu gcacaagaag auuugagagg 1260 ggucaaauau agaaagcauu uugcucuugu guggagagag aauguuuucu ugauuuaaau 1320 cugugauacc caaaucguaa uguugggaag aaaugagaag uugaacauga aauuuuaaaa 1380 aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaauu ccugcggccg cgaauuc 1427 <210> 4 <211> 20 <212> PRT <213> Camellia sinensis <400> 4 Phe Met Asn Arg Gly Glu Xaa Glu Ser Ser Tyr Ala Gln Asn Ser Gln 5 10 15 Phe Thr Gln Val 20 <210> 5 <211> 19 <212> DNA <400> 5 ttYatgaaYM gIggIgaRg 19 <210> 6 <211> 19 <212> DNA <400> 6 caaaagggtc agtgctgca 19 <210> 7 <211> 17 <212> DNA <400> 7 atgaccatga ttacgcc 17 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <400> 8 gccggtacct ttctggggcc 20 <210> 9 <211> 22 <212> DNA <400> 9 ccgctgcgtt aagagcttga ag 22 <210> 10 <211> 21 <212> DNA <400> 10 gccaaacact ggaacttcag g 21 <210> 11 <211> 23 <212> DNA <400> 11 ccattgaggc cacttgttgc gtg 23 <210> 12 <211> 22 <212> DNA <400> 12 ggcctgtcgt ctgaggttat tg 22 <210> 13 <211> 22 <212> DNA <400> 13 cagcaatggc catagctaat ag 22 <210> 14 <211> 22 <212> DNA <400> 14 ccgctgcgtt aagagcttga ag 22 <210> 15 <211> 21 <212> DNA <400> 15 gccaaacact ggaacttcag g 21 <210> 16 <211> 23 <212> DNA <400> 16 ccattgaggc cacttgttgc gtg 23 <210> 17 <211> 22 <212> DNA <400> 17 ggcctgtcgt ctgaggttat tg 22 <210> 18 <211> 17 <212> DNA <400> 18 gccatggttt acgcgca 17 <210> 19 <211> 20 <212> DNA <400> 19 cggccatgga aagaccccgg 20 <210> 20 <211> 21 <212> DNA <400> 20 tgatatcact gctgtggcag c 21 <210> 21 <211> 21 <212> DNA <400> 21 aaaatttcat gttcaacttc t 21
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 9/10 9/10 C12P 17/18 B C12P 17/18 23/00 23/00 C12N 5/00 A //(C12N 1/21 C C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のヌクレオチド配列: (a)配列表の配列番号:1のアミノ酸配列を有し、7
    −メチルキサンチンN3メチルトランスフェラーゼ、テ
    オブロミンN1メチルトランスフェラーゼ及びパラキサ
    ンチンN3メチルトランスフェラーゼとしての酵素活性
    を有するポリペプチドであるN−メチルトランスフェラ
    ーゼをコードするヌクレオチド配列、(b)前記ヌクレ
    オチド配列(a)に、該ヌクレオチド配列(a)がコー
    ドするポリペプチドが前記酵素活性を維持し得る範囲内
    で、ヌクレオチドの置換、欠失または挿入を行って得ら
    れた変異ヌクレオチド配列のいずれかを有することを特
    徴とするDNA分子。
  2. 【請求項2】 前記ヌクレオチド配列(a)と前記変異
    ヌクレオチド配列(b)とがストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズし得るものである請求項1に記載のD
    NA分子。
  3. 【請求項3】 前記ヌクレオチド配列(a)が、配列表
    の配列番号:2のヌクレオチド配列からなる請求項1ま
    たは2に記載のDNA分子。
  4. 【請求項4】 以下のヌクレオチド配列: (a)配列表の配列番号:1のアミノ酸配列を有し、7
    −メチルキサンチンN3メチルトランスフェラーゼ、テ
    オブロミンN1メチルトランスフェラーゼ及びパラキサ
    ンチンN3メチルトランスフェラーゼとしての酵素活性
    を有するポリペプチドであるN−メチルトランスフェラ
    ーゼをコードするヌクレオチド配列、(b)前記ヌクレ
    オチド配列(a)に、該ヌクレオチド配列(a)がコー
    ドするポリペプチドが前記酵素活性を維持し得る範囲内
    で、ヌクレオチドの置換、欠失または挿入を行って得ら
    れた変異ヌクレオチド配列のいずれかを有することを特
    徴とするRNA分子。
  5. 【請求項5】 前記ヌクレオチド配列(a)と、前記変
    異ヌクレオチド配列(b)がストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズし得るものである請求項4に記載のR
    NA分子。
  6. 【請求項6】 前記配列(a)が、配列表の配列番号:
    3のヌクレオチド配列からなる請求項4または5に記載
    のRNA分子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載のDNA
    分子と、該DNA分子によりコードされた前記N−メチ
    ルトランスフェラーゼを植物細胞中で発現させるための
    構成と、を有することを特徴とする発現用ベクター。
  8. 【請求項8】 宿主細胞を請求項7に記載の発現用ベク
    ターで形質転換して得られたものであることを特徴とす
    る形質転換細胞。
  9. 【請求項9】 前記宿主細胞が微生物細胞である請求項
    8に記載の形質転換細胞。
  10. 【請求項10】 請求項8または9に記載の形質転換細
    胞を培養して、前記酵素活性を有するN−メチルトラン
    スフェラーゼの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜3のいずれかに記載のDN
    A分子の有するヌクレオチド配列の全部又は一部に相補
    的なヌクレオチド配列であって、前記酵素活性を有する
    植物細胞に導入されて発現した場合に、該植物細胞の該
    酵素活性を阻害し得ることを特徴とするDNA分子。
  12. 【請求項12】 請求項4〜6のいずれかに記載のRN
    A分子の有するヌクレオチド配列の全部又は一部に相補
    的なヌクレオチド配列であって、前記酵素活性を有する
    植物細胞に導入されて発現した場合に、該植物細胞の該
    酵素活性を阻害し得ることを特徴とするRNA分子。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6及び11〜12のいずれ
    かに記載のDNA分子またはRNA分子を含むベクタ
    ー。
  14. 【請求項14】 微生物および植物の少なくとも一方の
    細胞内で、7−メチルキサンチンN3メチルトランスフ
    ェラーゼ、テオブロミンN1メチルトランスフェラーゼ
    及びパラキサンチンN3メチルトランスフェラーゼの酵
    素活性を有するN−メチルトランスフェラーゼを発現さ
    せることができるか、もしくは該N−メチルトランスフ
    ェラーゼの発現を阻害する機能を有する請求項13に記
    載のベクター。
  15. 【請求項15】 請求項13または14に記載のベクタ
    ーで形質転換された微生物。
  16. 【請求項16】 請求項13または14に記載のベクタ
    ーで形質転換された植物細胞、植物組織または植物体。
  17. 【請求項17】 請求項13または14に記載のベクタ
    ーが、感染により導入された請求項16に記載の植物細
    胞、植物組織または植物体。
  18. 【請求項18】 請求項16または17に記載の植物細
    胞、植物組織または植物体を用いて植物二次代謝産物を
    製造する方法。
  19. 【請求項19】 請求項16または17に記載の植物細
    胞、植物組織または植物体を用いて植物二次代謝産物の
    組成を改変する方法。
  20. 【請求項20】 請求項16または17に記載の植物細
    胞または植物組織を培養するか、植物体を栽培して、植
    物二次代謝産物を製造する方法。
  21. 【請求項21】 請求項16または17に記載の植物細
    胞または植物組織を培養するか、植物体を栽培して、植
    物二次代謝産物の組成を改変する方法。
  22. 【請求項22】 植物二次代謝産物が、7−メチルキサ
    ンチン、パラキサンチン、テオブロミン及びカフェイン
    からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物で
    ある請求項18〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 【請求項23】 形質転換植物体が、ツバキ(Camelli
    a)属植物、コーヒー(Coffea)属植物、コラノキ(Col
    a)属植物、モチノキ(Ilex)属植物、ネエア(Neea)
    属植物、アオギリ(Firmiana)属植物、ポーリニア(Pa
    ullinia)属植物又はカカオノキ(Theobroma)属植物体
    である請求項18〜21のいずれかに記載の方法。
  24. 【請求項24】 7−メチルキサンチンN3メチルトラ
    ンスフェラーゼ、テオブロミンN1メチルトランスフェ
    ラーゼ及びパラキサンチンN3メチルトランスフェラー
    ゼとしての酵素活性を有するN−メチルトランスフェラ
    ーゼであって、(a)配列表の配列番号:1のアミノ酸
    配列、または(b)配列表の配列番号:1のアミノ酸配
    列に、該アミノ酸配列に、前記酵素活性を損なわない範
    囲内でのアミノ酸の置換、挿入または欠失を行って得ら
    れた変異アミノ酸配列を有することを特徴とするN−メ
    チルトランスフェラーゼ。
  25. 【請求項25】 前記アミノ酸配列(a)をコードする
    ヌクレオチド配列と、前記変異アミノ酸配列(b)をコ
    ードするヌクレオチド配列とがストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズし得るものである請求項25に記載
    のN−メチルトランスフェラーゼ。
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JP2021521866A (ja) * 2018-05-01 2021-08-30 トロピック バイオサイエンシーズ ユーケー リミテッド コーヒー豆中のカフェイン含有量を低減させるための組成物および方法

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