JP2003303787A - ニッケル合金スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

ニッケル合金スパッタリングターゲット及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体ウエハや電子回路等の基板に形成され
た配線や電極等の下地層又はパッド、特に銅又は銅合金
からなる下地層又はパッドの上にSn−Pb系ハンダバ
ンプを形成するに際し、該Sn−Pb系ハンダバンプと
の濡れ性が良好であると共に、該Sn−Pb系ハンダの
成分であるSnの拡散を抑制し、前記下地層との反応を
効果的に防止することのできるバリヤー層を形成する。 【解決手段】 Ni−Sn合金スパッタリングターゲッ
トであって、下地層又はパッドとSn−Pb系ハンダバ
ンプとの間におけるSn拡散を抑制することを特徴とす
るバリヤー層形成用ニッケル合金スパッタリングターゲ
ット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハや電
子回路等の基板に形成された配線や電極等の下地層又は
パッド、特に銅又は銅合金からなる下地層又はパッド
と、この上に形成されたSn−Pb系ハンダバンプとの
間の、該Sn−Pb系ハンダの成分であるSnの拡散を
抑制することのできるバリヤー層形成用ニッケル合金ス
パッタリングターゲット及び該ターゲットに最適な製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体ウエハや電子回路基板上
にアルミニウムや銅の電極やパッドが形成され、さらに
その上に導電性ハンダバンプ、金バンプ、ニッケルバン
プ等が形成されている。なかでもハンダバンプが実装の
容易さやリペア性が容易であることから、現在の主流な
材料となっている。しかし、銅等の電極下地層又はパッ
ドがSn−Pb系ハンダと反応し易いため、ハンダバン
プが形成された後、製造工程又は使用環境下の熱でハン
ダ中のSn拡散が生じ、下地層である銅等の電極下地層
又はパッドと反応して、電極層又はパッドの剥離あるい
は素子中へのハンダの拡散による特性劣化を起こすとい
う問題があった。
【0003】このようなことから、銅等の電極下地層又
はパッドとSn−Pb系ハンダバンプとの反応を防止で
きる中間のバリヤー層をスパッタリング法により形成す
るという提案がなされた。この中間のバリヤー層は、銅
等の電極下地層との接着性が良好であり、かつSn−P
b系ハンダバンプの濡れ性が良好であることが必要とさ
れる。このような材料として選ばれたのがニッケルであ
る。しかし、このニッケルは強磁性体であるためスパッ
タ効率が悪く、このスパッタ効率を上げるためにはニッ
ケルターゲットを極端に薄くしなければならず、このた
めターゲットの製造が複雑となり、製造コストも増大す
るという問題があった。
【0004】このため、Niターゲットの磁性を低下さ
せてスパッタ効率を上げるための材料としてNi−V合
金膜が提案された。しかし、このNi−V合金膜はSn
のバリヤー性が必ずしも十分ではなく、下地膜と反応し
て電気抵抗が増加するなどの問題があった。このよう
に、中間層となるハンダ濡れ性が良く、かつ効果的なバ
リヤー層を形成することのできるスパッタリングターゲ
ット材料が見出せないために、Sn−Pb系ハンダバン
プを使用する場合には、しばしば下地銅層との反応が起
きるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、半導体ウエ
ハや電子回路等の基板に形成された配線や電極等の下地
層又はパッド、特に銅又は銅合金からなる下地層又はパ
ッドの上にSn−Pb系ハンダバンプを形成するに際
し、該Sn−Pb系ハンダバンプとの濡れ性が良好であ
ると共に、該Sn−Pb系ハンダの成分であるSnの拡
散を抑制し、前記下地層との反応を効果的に防止するこ
とのできるバリヤー層を形成するためのニッケル合金ス
パッタリングターゲット及び該ターゲットに最適な製造
方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 1.Ni−Sn合金スパッタリングターゲットであっ
て、下地層又はパッドとSn−Pb系ハンダバンプとの
間におけるSn拡散を抑制することを特徴とするバリヤ
ー層形成用ニッケル合金スパッタリングターゲット 2.Sn10〜80wt%、残部Niからなる合金であ
ることを特徴とする上記1記載のニッケル合金スパッタ
リングターゲット 3.Sn15〜73wt%、残部Niからなる合金であ
ることを特徴とする上記1記載のニッケル合金スパッタ
リングターゲット 4.添加元素として、チタン、ジルコニウム、ハフニウ
ム、バナジウム、ボロン、ニオブ、タンタル、希土類か
ら選択した少なくとも1種類以上の元素を1〜10wt
%含有することを特徴とする上記2又は3記載のニッケ
ル合金スパッタリングターゲット 5.溶製又は粉末冶金によるターゲットであることを特
徴とする上記1〜4のそれぞれに記載のニッケル合金ス
パッタリングターゲット 6.アトマイズ粉の焼結体であることを特徴とする上記
1〜5のそれぞれに記載のニッケル合金スパッタリング
ターゲット 7.ターゲットの原料となるニッケル及び錫並びに添加
元素の純度が3N(99.9%)以上であることを特徴
とする上記5又は6に記載のニッケル合金スパッタリン
グターゲット 8.Niマトリックス中にNiSn、NiSn
はNiSnが分散している組織を備えていることを
特徴とする上記1〜7のそれぞれに記載のニッケル合金
スパッタリングターゲット 9.平均粒径が100μm以下である組織を備えている
ことを特徴とする上記1〜8のそれぞれに記載のニッケ
ル合金スパッタリングターゲット。に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】半導体ウエハや電子回路等の基板
に形成された配線や電極等の下地層又はパッド、特に銅
又は銅合金からなる下地層又はパッドの上に、Sn−P
b系ハンダバンプとの濡れ性が良好である、本発明のN
i−Sn合金スパッタリングターゲットを用いてバリヤ
ー層を形成する。このバリヤー層は1層のみである必要
はなく、他の材料との複合層であっても良い。本発明の
Ni−Sn合金スパッタリングターゲットを用いて形成
したバリヤー層の上に、さらにSn−Pb系ハンダバン
プが形成されるが、このハンダバンプの成分であるSn
の拡散を、このバリヤー層によって効果的に抑制し、下
地層である銅層との反応を効果的に防止することのでき
る。さらに、このNi−Sn合金バリヤー層は、上記の
通りSn−Pb系ハンダバンプとの濡れ性が良好である
という特徴を有する。上記Ni−Sn合金バリヤー層に
よるSnの拡散の抑止効果は、中間バリヤーであるNi
−Sn膜中において、すでにSnが飽和しているため、
Sn−Pb系ハンダバンプからのSn移動、拡散が防止
されるとためと考えられる。
【0008】Ni−Sn合金バリヤー層を形成するため
のニッケル合金スパッタリングターゲットの成分として
は、Sn10〜80wt%、残部Niからなる合金であ
ることが望ましい。Sn10wt%未満では、Niの持
つ強磁性体としての磁性が持続し、薄膜層を形成するた
めのスパッタ効率が低いからである。Ni−Sn合金中
におけるSnは、固溶体として又はNiマトリックス中
にNiSn、NiSn、NiSnのいずれか
1又は2以上の金属間化合物として存在するが、Sn8
0wt%を超えるとフリーのSnが増加するので、これ
が成膜中を拡散し、下地銅層との反応を引き起こす原因
となる可能性があるため、Sn80wt%以下とするの
が望ましい。好ましくは、Sn15〜73wt%、残部
Niからなる合金である。
【0009】本発明のNi−Sn合金は、さらに添加元
素としてチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウ
ム、ボロン、ニオブ、タンタル、希土類から選択した少
なくとも1種類以上の元素を1〜10wt%含有させる
ことができる。これによって、本発明のバリヤー膜によ
って、Sn−Pb系ハンダの成分であるSnの拡散をさ
らに効果的に抑制し、前記下地層との反応を防止するこ
とができる。したがって、バリヤー膜それ自体が通常の
膜厚よりも薄くすることが可能であり、生産効率を高
め、製造コストを下げることができる。
【0010】本発明のバリヤー層形成用ニッケル合金タ
ーゲットは、溶製法、すなわちNi−Sn合金を溶解
し、鋳造、鍛造、圧延等の工程を経て、ターゲットに形
成する。溶製ターゲット品は、合金中のSnが一部は、
固溶体として及びSn含有量が少ない場合は、ニッケル
マトリックス中にSnがNiSnの金属間化合物とし
て存在し、Sn含有量が増加するにしたがって、Ni
Sn、NiSn金属間化合物の量が増加する。そ
して、およそ73wt%を超えるとフリーのSnが増え
てくる。上記の通り、フリーのSnの増加は下地層であ
るCu層との反応が生じる虞があるので、Sn量を80
wt%以下、好ましくは73wt%以下とする。
【0011】また、本発明のバリヤー層形成用ニッケル
合金ターゲットは、粉末冶金によっても製造することが
できる。この場合、アトマイズ法などの微粉化プロセス
を用いて作製したニッケル合金粉を使用して焼結体ニッ
ケル合金ターゲットとすることが有効である。このよう
なニッケル合金アトマイズ粉を使用した場合は、均一性
に優れた焼結体が得られる。通常のニッケル粉、錫粉を
用いて焼結体ターゲットとするよりも品質の良いターゲ
ットが作製できる。焼結工程においては、例えばHP又
はHIPを用いてターゲットを製造する。このようなニ
ッケル合金スパッタリングターゲットは、組成や製造プ
ロセスによって、Snが固溶したNiやNiSn、N
Sn、NiSn等の金属間化合物が分散した
組織を備えている。結晶組織は、平均粒径が100μm
以下であることが望ましい。これによって、均一なバリ
ヤー膜を形成することができる。半導体又はその他の電
子部品への汚染を防止するため、ターゲットの原料とな
るニッケル及び錫並びに添加元素の純度が3N(99.
9%)以上、好ましくは5N以上であることが望まし
い。
【0012】
【実施例】次に、実施例に基づいて説明する。なお、こ
れらは本発明の理解を容易にするためのものであり、本
発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術
思想の範囲にある、他の実施例又は変形はいずれも本発
明の範囲に含まれる。
【0013】実施例1(溶製法) 原料として純度5N(99.999wt%)のNiブロ
ックと純度4N(99.99wt%)のSnショットを
使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波誘導炉
で、真空雰囲気にて15700gのNiを溶解した。そ
の中にSnを少量ずつ加えて、最終的に4300g(S
n含有量21.5wt%)を溶解した。溶湯温度140
0°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。このイン
ゴットを900°C〜1130°C未満で熱間鍛造・熱
間圧延した。これらから、機械加工にてφ80mm×厚
さ10mmのターゲットを作製した。
【0014】実施例2(溶製法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットと純度5NのZrブロックを使用した。水冷銅製
ルツボを備えた真空高周波誘導炉で、真空雰囲気にて1
5500gのNiと、200gのZrを溶解した。その
中にSnを少量ずつ加えて、最終的に4300g(Sn
含有量21.5wt%、Zr含有量1wt%)を溶解し
た。溶湯温度1400°Cで出湯して鋳造インゴットを
作製した。このインゴットを900°C〜1130°C
未満で熱間鍛造・熱間圧延した。これらから、機械加工
にてφ80mm×厚さ10mmのターゲットを作製し
た。
【0015】実施例3(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて15700gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に4300
g(Sn含有量21.5wt%)を溶解した。溶湯温度
1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。こ
のインゴットをブロック状に切断して、ガスアトマイズ
装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製した。ガスアトマ
イズ装置のルツボとして、高純度アルミナ製ルツボを使
用し、高周波加熱法にて溶解してからアルゴンガス(ゲ
ージ圧40〜50kgf/cm )で噴霧して300μ
m以下の球状合金粉を作製した。この合金から60μm
以下の粉末を篩別し、ホットプレスでグラファイトダイ
スを用い、1100°C、面圧250kgf/cm
焼結した。この焼結体から浸炭層を機械加工で除去して
φ80mm×厚さ5mmのターゲットを作製した。
【0016】実施例4(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて11800gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に8200
g(Sn含有量41.0wt%)を溶解した。溶湯温度
1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。こ
のインゴットをブロック状に切断して、ガスアトマイズ
装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製した。ガスアトマ
イズ装置のルツボとして、高純度アルミナ製ルツボを使
用し、高周波加熱法にて溶解してからアルゴンガス(ゲ
ージ圧40〜50kgf/cm )で噴霧して300μ
m以下の球状合金粉を作製した。この合金から60μm
以下の粉末を篩別し、ホットプレスでグラファイトダイ
スを用い、900°C、面圧250kgf/cmで焼
結した。この焼結体から浸炭層を機械加工で除去してφ
80mm×厚さ5mmのターゲットを作製した。
【0017】実施例5(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットと純度5NのHfブロックを使用した。水冷銅製
ルツボを備えた真空高周波誘導炉で、真空雰囲気にて1
1200gのNiと600gのHfを溶解した。その中
にSnを少量ずつ加えて、最終的に8200g(Sn含
有量41.0wt%、Hf含有量3.0wt%)を溶解
した。溶湯温度1500°Cで出湯して鋳造インゴット
を作製した。このインゴットをブロック状に切断して、
ガスアトマイズ装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製し
た。ガスアトマイズ装置のルツボとして、高純度マグネ
シア製ルツボを使用し、高周波加熱法にて溶解してから
アルゴンガス(ゲージ圧40〜50kgf/cm)で
噴霧して300μm以下の球状合金粉を作製した。この
合金から60μm以下の粉末を篩別し、ホットプレスで
グラファイトダイスを用い、900°C、面圧250k
gf/cmで焼結した。この焼結体から浸炭層を機械
加工で除去してφ80mm×厚さ5mmのターゲットを
作製した。
【0018】実施例6(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて8500gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に1150
0g(Sn含有量57.5wt%)を溶解した。溶湯温
度1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。
このインゴットをブロック状に切断して、ガスアトマイ
ズ装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製した。ガスアト
マイズ装置のルツボとして、高純度アルミナ製ルツボを
使用し、高周波加熱法にて溶解してからアルゴンガス
(ゲージ圧40〜50kgf/cm )で噴霧して30
0μm以下の球状合金粉を作製した。この合金から60
μm以下の粉末を篩別し、ホットプレスでグラファイト
ダイスを用い、1200°C、面圧310kgf/cm
で焼結した。この焼結体から浸炭層を機械加工で除去
してφ80mm×厚さ5mmのターゲットを作製した。
【0019】実施例7(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットと純度5NのNbブロックを使用した。水冷銅製
ルツボを備えた真空高周波誘導炉で、真空雰囲気にて7
700gのNiと800gのNbを溶解した。その中に
Snを少量ずつ加えて、最終的に11500g(Sn含
有量57.5wt%、Nb含有量4.0wt%)を溶解
した。溶湯温度1450°Cで出湯して鋳造インゴット
を作製した。このインゴットをブロック状に切断して、
ガスアトマイズ装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製し
た。ガスアトマイズ装置のルツボとして、高純度アルミ
ナ製ルツボを使用し、高周波加熱法にて溶解してからア
ルゴンガス(ゲージ圧40〜50kgf/cm )で噴
霧して300μm以下の球状合金粉を作製した。この合
金から60μm以下の粉末を篩別し、ホットプレスでグ
ラファイトダイスを用い、1200°C、面圧310k
gf/cmで焼結した。この焼結体から浸炭層を機械
加工で除去してφ80mm×厚さ5mmのターゲットを
作製した。
【0020】実施例8(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットと純度3NのNd(ネオジウム)チップを使用し
た。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波誘導炉で、真空
雰囲気にて8200gのNiと300gのNdを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に1150
0g(Sn含有量57.5wt%、Nd含有量1.5w
t%)を溶解した。溶湯温度1450°Cで出湯して鋳
造インゴットを作製した。このインゴットをブロック状
に切断して、ガスアトマイズ装置で溶解・噴霧して合金
粉末を作製した。ガスアトマイズ装置のルツボとして、
高純度アルミナ製ルツボを使用し、高周波加熱法にて溶
解してからアルゴンガス(ゲージ圧40〜50kgf/
cm )で噴霧して300μm以下の球状合金粉を作製
した。この合金から60μm以下の粉末を篩別し、ホッ
トプレスでグラファイトダイスを用い、1200°C、
面圧310kgf/cmで焼結した。この焼結体から
浸炭層を機械加工で除去してφ80mm×厚さ5mmの
ターゲットを作製した。
【0021】実施例9(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて5500gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に1145
00g(Sn含有量72.5wt%)を溶解した。溶湯
温度1350°Cで出湯して鋳造インゴットを作製し
た。このインゴットをブロック状に切断して、ガスアト
マイズ装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製した。ガス
アトマイズ装置のルツボとして、高純度アルミナ製ルツ
ボを使用し、高周波加熱法にて溶解してからアルゴンガ
ス(ゲージ圧40〜50kgf/cm )で噴霧して3
00μm以下の球状合金粉を作製した。この合金から6
0μm以下の粉末を篩別し、ホットプレスでグラファイ
トダイスを用い、780°C、面圧310kgf/cm
で焼結した。この焼結体から浸炭層を機械加工で除去
してφ80mm×厚さ5mmのターゲットを作製した。
【0022】実施例10(アトマイズ、粉末冶金法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットと純度5NのVブロックを使用した。水冷銅製ル
ツボを備えた真空高周波誘導炉で、真空雰囲気にて52
00gのNiと300gのVを溶解した。その中にSn
を少量ずつ加えて、最終的に14500g(Sn含有量
72.5wt%、V含有量1.5wt%)を溶解した。
溶湯温度1350°Cで出湯して鋳造インゴットを作製
した。このインゴットをブロック状に切断して、ガスア
トマイズ装置で溶解・噴霧して合金粉末を作製した。ガ
スアトマイズ装置のルツボとして、高純度アルミナ製ル
ツボを使用し、高周波加熱法にて溶解してからアルゴン
ガス(ゲージ圧40〜50kgf/cm )で噴霧して
300μm以下の球状合金粉を作製した。この合金から
60μm以下の粉末を篩別し、ホットプレスでグラファ
イトダイスを用い、780°C、面圧310kgf/c
で焼結した。この焼結体から浸炭層を機械加工で除
去してφ80mm×厚さ5mmのターゲットを作製し
た。
【0023】実施例11(メカニカルアロイング、粉末
冶金法) 原料として純度3NのNiパウダー(平均粒径200μ
m)と純度4NのSnパウダー(平均粒径20μm)を
使用した。アルゴンガス雰囲気でハイブリタイザー(奈
良機械製)にて、5500gのNiパウダーと1450
0gのSnパウダー(Sn含有量72.5wt%)を処
理して、Ni粒子表面にSn粒子を付着させた。この表
面改質したパウダーをアルゴン置換したロッドミルに
て、24時間メカニカルアロイングした。さらにホット
プレスでグラファイトダイスに充填して、780°C、
面圧300kgf/cmで焼結した。この焼結体から
浸炭層を機械加工で除去してφ80mm×厚さ5mmの
ターゲットを作製した。
【0024】比較例1(粉末冶金法) 原料として純度3NのNiパウダー(粒径40μm以
下)と純度4NのSnパウダー(粒径35μm以下)を
使用した。アルゴンガス雰囲気で置換したボールミル中
にて、800gのNiパウダーと200gのSnパウダ
ー(Sn含有量20.0wt%)を1時間処理して十分
混合した。この混合粉をホットプレスでグラファイトダ
イスを用い、210°C、面圧250kgf/cm
固化した。その後、真空雰囲気で1050°C×5時間
焼結した。これから、φ80mm×厚さ3mmのターゲ
ットを作製した。
【0025】比較例2(溶製法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて13000gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に7000
g(Sn含有量35.0wt%)を溶解した。溶湯温度
1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。こ
のインゴットを熱間鍛造・熱間圧延などの方法で塑性加
工しようと試みたが、割れてしまってターゲットを作製
することができなかった。
【0026】比較例3(溶製法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて11800gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に8200
g(Sn含有量41.0wt%)を溶解した。溶湯温度
1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。こ
のインゴットを熱間鍛造・熱間圧延などの方法で塑性加
工しようと試みたが、割れてしまってターゲットを作製
することができなかった。
【0027】比較例4(溶製法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて8500gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に1150
0g(Sn含有量57.5wt%)を溶解した。溶湯温
度1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。
このインゴットを熱間鍛造・熱間圧延などの方法で塑性
加工しようと試みたが、割れてしまってターゲットを作
製することができなかった。
【0028】比較例5(溶製法) 原料として純度5NのNiブロックと純度4NのSnシ
ョットを使用した。水冷銅製ルツボを備えた真空高周波
誘導炉で、真空雰囲気にて5500gのNiを溶解し
た。その中にSnを少量ずつ加えて、最終的に1450
0g(Sn含有量72.5wt%)を溶解した。溶湯温
度1400°Cで出湯して鋳造インゴットを作製した。
このインゴットを熱間鍛造・熱間圧延などの方法で塑性
加工しようと試みたが、割れてしまってターゲットを作
製することができなかった。
【0029】上記実施例1〜11及び比較例1〜5の製
造方法、原料組成、不純物濃度の分析結果等を一覧表
(表1)にして示す。なお、表1において、符号ATは
アトマイズ粉、符号MAはメカニカルアロイング粉を使
用した場合を示す。また、−の表示は、割れが発生しタ
ーゲットに作製できなかったために、不純物濃度の分析
しなかったことを示す。
【0030】
【表1】
【0031】(評価結果) (Sn−Pb(Sn:Pb=4:6)ハンダとの濡れ性
評価試験)Si基板上に1000ÅのTi膜をマグネト
ロンスパッタ成膜した後、実施例1〜11及び比較例1
のターゲット、並びにNi−7wt%Vターゲット(比
較例6とする)及びNi−30wt%Cuターゲット
(比較例7とする)を使用して、それぞれNi合金膜4
000Åをマグネトロンスパッタ成膜した。スパッタ成
膜開始時には、特に問題はなかった。このスパッタ膜上
に、直径0.60mmのSn−Pb(Sn:Pb=4:
6)ハンダボールを置いて、大気中で240°Cに加熱
し、ハンダボールの直径の広がりを測定した。その結果
を表2に示す。表2から明らかなように、本発明の実施
例1〜11では、加熱ハンダボールの平均直径が0.7
6〜1.36mmの範囲にあり、Sn−Pbハンダとの
濡れ性が良好であることが分かる。これに対し、比較例
6及び7については、ハンダ濡れ性は不良であった。な
お、比較例1は実施例と同等の良好なハンダ濡れ性を示
した。
【0032】
【表2】
【0033】(Snの拡散評価試験)図1に示すよう
に、Si基板上に6000ÅのCu膜をスパッタ成膜し
た後、実施例1、2、6、8と比較例1、6のターゲッ
トを使用して、それぞれNi合金膜5000Åをスパッ
タ成膜した。このスパッタ膜上に240°CでSn−P
b(Sn:Pb=4:6)ハンダ付けを行ってから、1
00°Cにて720時間保持した。その後、Si基板を
除去して、2次イオン質量分析器(SIMS)でCu膜
側から、深さ方向でのSnの強度を測定した。その結果
を図2に示す。図2から明らかなように、実施例1、
2、6、8はいずれもSnの拡散が少なく抑えられてい
るのが分かる。これに対して、比較例6はSnの拡散が
著しい。比較例1は、ハンダ濡れ性が良好であり、また
Snの拡散が抑えられているが、ターゲットにポアが多
く存在し、スパッタ成膜中のパーティクルが多いという
問題があった。このSnの拡散は、本実施例の全てに亘
って良好な結果を示した。
【0034】
【発明の効果】本発明の、バリヤー層を形成するための
ニッケル合金スパッタリングターゲット及び該ターゲッ
トに最適な製造方法は、半導体ウエハや電子回路等の基
板に形成された配線や電極等の下地層又はパッド、特に
銅又は銅合金からなる下地層又はパッドの上にSn−P
b系ハンダバンプを形成するに際して、該Sn−Pb系
ハンダバンプとの濡れ性が良好であり、かつ該Sn−P
b系ハンダの成分であるSnの拡散を抑制し、前記下地
層との反応を効果的に防止することができるという優れ
た効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si基板上にCuをスパッタ成膜した後、Ni
合金をスパッタ成膜し、さらにハンダ付けして、該ハン
ダの成分であるSnの拡散を調べるための概略説明図で
ある。
【図2】実施例及び比較例のターゲットを使用して成膜
した後の、Cuスパッタ成膜側からの深さ方向でのハン
ダ成分であるSnの強度を測定した結果を示す図であ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 BA25 BD02 DC04 DC09 4M104 AA01 BB04 BB05 BB14 DD37 DD40 FF13 FF17 HH05 HH08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni−Sn合金スパッタリングターゲッ
    トであって、下地層又はパッドとSn−Pb系ハンダバ
    ンプとの間におけるSn拡散を抑制することを特徴とす
    るバリヤー層形成用ニッケル合金スパッタリングターゲ
    ット。
  2. 【請求項2】 Sn10〜80wt%、残部Niからな
    る合金であることを特徴とする請求項1記載のニッケル
    合金スパッタリングターゲット。
  3. 【請求項3】 Sn15〜73wt%、残部Niからな
    る合金であることを特徴とする請求項1記載のニッケル
    合金スパッタリングターゲット。
  4. 【請求項4】 添加元素として、チタン、ジルコニウ
    ム、ハフニウム、ボロン、バナジウム、ニオブ、タンタ
    ル、希土類から選択した少なくとも1種類以上の元素を
    1〜10wt%含有することを特徴とする請求項2又は
    3記載のニッケル合金スパッタリングターゲット。
  5. 【請求項5】 溶製又は粉末冶金によるターゲットであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のそれぞれに記載のニ
    ッケル合金スパッタリングターゲット。
  6. 【請求項6】 アトマイズ粉の焼結体であることを特徴
    とする請求項1〜5のそれぞれに記載のニッケル合金ス
    パッタリングターゲット。
  7. 【請求項7】 ターゲットの原料となるニッケル及び錫
    並びに添加元素の純度が3N(99.9%)以上である
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載のニッケル合金
    スパッタリングターゲット。
  8. 【請求項8】 Niマトリックス中にNiSn、Ni
    Sn又はNi Snが分散している組織を備えて
    いることを特徴とする請求項1〜7のそれぞれに記載の
    ニッケル合金スパッタリングターゲット。
  9. 【請求項9】 平均粒径が100μm以下である組織を
    備えていることを特徴とする請求項1〜8のそれぞれに
    記載のニッケル合金スパッタリングターゲット。
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