JP2003302401A - 高性能モノクローナル抗ハプテン抗体による迅速高感度測定法 - Google Patents

高性能モノクローナル抗ハプテン抗体による迅速高感度測定法

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JP2003302401A
JP2003302401A JP2002104305A JP2002104305A JP2003302401A JP 2003302401 A JP2003302401 A JP 2003302401A JP 2002104305 A JP2002104305 A JP 2002104305A JP 2002104305 A JP2002104305 A JP 2002104305A JP 2003302401 A JP2003302401 A JP 2003302401A
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Eiji Ishikawa
榮治 石川
Takuya Odawara
卓哉 小田原
Tadahiro Kajita
忠宏 梶田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、被検物質(修飾あるいは標識され
た被検物質を含む)とその特異結合物質(修飾あるいは
標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相上に
形成、固定した後、該複合体を固相から溶出する少なく
とも1の工程を含む工程により被検物質を測定する測定
法を迅速化、高感度化することを課題とする。 【解決手段】 上記の課題に記載の複合体をより正確に
しかもより完全に固相上に形成、固定またはトラップ
し、かつ固相上の複合体を固相の洗浄中もより完全に保
持し、かつ固相上の複合体をより迅速にしかもより完全
に固相から溶出できるようなモノクローナル抗ハプテン
抗体-ハプテン(ハプテン誘導体を含む)結合を少なく
とも1つ固相と複合体の間に介在させて、複合体を固相
上に形成、固定またはトラップするために要する時間お
よび複合体の固相からの溶出に要する時間を短縮して、
課題を解決する。この目的に適合するモノクローナル抗
ハプテン抗体、殊にモノクローナル抗ジニトロフェニル
基抗体を選別して課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ヒトの臨床検査、
獣医検査、食品衛生検査など多くの分野で利用される技
術に関する。詳しくは、被検物質をその特異結合物質と
固相を用いて測定する迅遠高感度測定法、さらに詳しく
は、被検物質とその特異結合物質の両者を含む複合体を
固相上に形成、固定あるいはトラップした後、該複合体
を固相から溶出する工程を少なくとも1つ含む工程によ
り被検物質を測定する新規な迅速高感度測定法、そのた
めの新規なモノクローナル抗体、そのための試薬あるい
は/および固相の少なくとも1を含むキット、そのため
の試薬、固相および自動化ソフトを含む測定システムに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒトの臨床検査をはじめとして、
獣医検査、食品検査など多くの分野で、被検物質に対す
る特異結合物質と固相を用いて実施する測定法が広く普
及している。例えば、抗原、抗体、DNA、生理作用物質
などの被検物質に対して、それぞれ抗体、抗原、被検DN
AとハイブリダイズするDNA断片、受容体などの特異結合
物質との複合体を固相上に形成させて、固相上の複合体
を測定する測定法が広く使われている。特異結合物質と
固相を使用する上記の測定法を高感度化する方法も開発
されている(E. Ishikawa, Ultrasensitive and Rapid
Enzyme Immunoassay, Laboratory Techniques in Bioch
emistry and Molecular Biology Vol.27, S. Pillai,
P.C. van der Vliet eds.,Elsevier, Amsterdam, pp.14
1-176, 1999)。つまり、被検物質と特異結合物質との
複合体を固相(第一固相)上に形成させた後、複合体を
第一固相から溶出して別の固相(第二固相)へ移しかえ
て、第二固相上の複合体を測定することにより被検物質
を測定する方法(以下非競合的転移測定法と記載)であ
る。しかし、非競合的転移測定法も種々の欠点をもって
いる。欠点の1つは複合体の溶出に長い時間を要するこ
とである。また、一般に、被検物質とその特異結合物質
との複合体を固相上に形成、固定した後、該複合体を固
相から溶出する工程を含む固相測定法においては、該溶
出に長い時間を要する。複合体の固相からの溶出を、10
分間以内あるいは1分間以内で完了するとする特許申請
(特開平6-82453)はあるが、被検物質の迅速高感度測定
のために、複合体を固相上により迅速により完全に形
成、固定またはトラップし、かつ固相上の複合体を洗浄
中もより完全に保持し、かつ溶出時間を短時間とし、か
つ被検物質の高感度測定のために溶出率を高水準に維持
した報告、特許(申請を含む)、実施例はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】被検物質(修飾あるい
は標識された被検物質を含む)とその特異結合物質(修
飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体
を固相上に形成、固定、あるいはトラップした後、該複
合体を固相から溶出する少なくとも1つの工程を含む工
程により被検物質を測定する測定法において、測定時間
を短縮して迅速高感度測定法を提供することが、本発明
の課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、被検物質と
その特異結合物質との複合体をより迅速に、しかもより
完全に固相上に形成、固定またはトラップし、かつ固相
上の複合体を洗浄中もより完全に保持し、かつ複合体を
より迅速に、しかもより完全に固相から溶出できるよう
なモノクローナル抗ハプテン抗体−ハプテン(ハプテン
誘導体を含む)結合を少なくとも1つ複合体と固相との
間に介在させて、複合体を固相上に形成、固定またはト
ラップするために要する時間および複合体の固相からの
溶出に要する時間を短縮する方法により、課題を解決す
ることに成功し、本発明を完成させた。すなわち本発明
は、 1. 以下の(1)、(2)および(3)に記載の性能を有する
モノクローナル抗ハプテン抗体またはそのフラグメン
ト。 (1)mLで表す反応液の体積の数値の20〜500倍の数
値に相当するcmで表す表面積をもつ固相にモノクロ
ーナル抗ハプテン抗体、そのフラグメントの少なくとも
1を不溶化し、反応液と2分間インキュベートした際、反
応液中に含まれるハプテン、ハプテン誘導体、それらの
少なくとも1と結合した物質または/およびそれらの少
なくとも1を含む複合体のトラップ量が、充分長くイン
キュベートしたときにトラップされる量の60%以上とな
るような性能。 (2)(1)に記載の固相にトラップされたハプテン、
ハプテン誘導体、それらの少なくとも1と結合した物質
または/およびそれらの少なくとも1を含む複合体が1回
の洗浄後に95%以上固相上に保持されるような性能。 (3)(1)に記載の固相にトラップされたハプテン、
ハプテン誘導体、それらの少なくとも1と結合した物質
または/およびそれらの少なくとも1を含む複合体が、
ハプテンまたは/およびハプテン誘導体を含む溶出液と
2分間インキュベートした際、60%以上溶出されるような
性能。 2. 以下の(4)、(5)および(6)に記載の性能を有する
モノクローナル抗体またはそのフラグメント。 (4)mLで表す反応液の体積の数値の20〜500倍の数
値に相当するcmで表す表面積をもつ固相にハプテ
ン、ハプテン誘導体の少なくとも1を不溶化し、反応液
と2分間インキュベートした際、反応液中に含まれるモ
ノクローナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それ
らの少なくとも1と結合した物質または/およびそれら
の少なくとも1を含む複合体のトラップ量が、充分長く
インキュベートしたときにトラップされる量の60%以上
となるような性能。 (5)(4)に記載の固相にトラップされたモノクロー
ナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それらの少な
くとも1と結合した物質または/およびそれらの少なく
とも1を含む複合体が1回の洗浄後に95%以上固相上に保
持されるような性能。 (6)(4)に記載の固相にトラップされたモノクロー
ナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それらの少な
くとも1と結合した物質または/およびそれらの少なく
とも1を含む複合体が、ハプテンまたは/およびハプテ
ン誘導体を含む溶出液と2分間インキュベートした際、6
0%以上溶出されるような性能。 3. 1〜10mMのハプテンまたは/およびハプテン誘導
体を含む溶出液を使用することを特徴とする前記1また
は2に記載のモノクローナル抗ハプテン抗体またはその
フラグメント。 4. ハプテンがニトロフェニル化合物である前記1〜
3のいずれか1に記載の抗体またはそのフラグメント。 5. ニトロフェニル化合物がジニトロフェニル化合物
である前記4に記載の抗体またはそのフラグメント。 6. ジニトロフェニル化合物が2,4-ジニトロフェニル
化合物である前記5に記載の抗体またはそのフラグメン
ト。 7. 2,4-ジニトロフェニル化合物が2,4-ジニトロフェ
ニルリジンである前記6に記載の抗体またはそのフラグ
メント。 8. 寄託番号FERM P-18712のハイブリドーマ細胞が
産生する抗体またはそのフラグメント。 9. 寄託番号FERM P-18712のハイブリドーマ細胞。 10. 前記1〜8のいずれか1に記載の抗体またはそ
のフラグメントとハプテンまたはハプテン誘導体との結
合を少なくとも1つ複合体と固相の間に介在させて実施
する以下に記載のA工程およびB工程を含む工程により
被検物質を測定する測定方法。 A工程:被検物質(修飾あるいは標識された被検物質を
含む)とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特
異結合物質を含む)の複合体を固相上に形成、固定また
はトラップする工程 B工程:A工程において固相上に形成、固定あるいはト
ラップした複合体を溶出する工程。 11. 複合体の固相からの溶出時間を10秒間以上3分
間以下とすることを特徴とする前記10に記載の測定
法。 12. 1〜10mMのハプテンまたは/およびハプテン誘
導体を含む溶出液を使用することを特徴とする前記10
また11に記載の測定方法。 13. 前記10〜12のいずれか1に記載の測定法の
ために使用しうる少なくとも1の試薬あるいは/および
固相を含むキット。 14. 前記10〜12のいずれか1に記載の測定を実
施するための試薬、固相、自動化ソフトを含むシステ
ム。 からなる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、被検物質(修飾あるいは標識された被
検物質を含む)とその特異結合物質(修飾あるいは標識
された特異結合物質を含む)の両者を含む複合体を固相
上に形成、固定、あるいはトラップした後、該複合体を
固相から溶出する少なくとも1つの工程を含む工程によ
り被検物質を測定する測定法に適用することができる。
【0006】本発明における被検物質は、特異結合物質
が存在しうる全ての物質である。その特異結合物質の種
類によって分類すると、被検物質は、抗原、抗体、レセ
プター、リガンド、レクチン、糖鎖化合物、RNA、DNA、
ハプテンなどが挙げられる。被検物質の機能から分類す
ると、ホルモン、イムノグロブリン、凝固因子、酵素、
薬剤などと呼ばれるものを含む。物質名では、血清アル
ブミン、マクログロブリン、フェリチン、α−フェトプ
ロテイン、CEA、前立腺特異抗原(PSA)、B型肝炎ウイル
ス表面抗原(HBsAg)、HIV-1P24などが被検物質の例とし
て挙げられる。これらの被検物質は、血液、唾液、尿、
鼻汁、涙液、糞便、組織抽出液、培養液などに含まれる
場合も多い。被検物質は、天然物、人工合成物、遺伝子
組換産物などのいずれでもよく、その由来、存在状態な
どにより限定されるものではないと同時に例示によって
も限定されない。
【0007】本発明における特異結合物質は、被検物質
と特異的に結合する物質をいう。抗原に対しては、抗
体、抗体に対しては抗原、ハプテンに対しては抗ハプテ
ン抗体、抗ハプテン抗体に対してはハプテン、DNAに対
してはハイブリダイズすることができるDNA、ビオチン
に対してはアビジンあるいはストレプトアビジン、アビ
ジンあるいはストレプトアビジンに対してはビオチンあ
るいはビオチン化タンパク、ホルモン受容体(例えばイ
ンスリン受容体)に対してはホルモン(例えばインスリ
ン)、ホルモン(例えばインスリン)に対してはホルモ
ン受容体(例えばインスリン受容体)、レクチンに対し
ては対応する糖鎖、糖鎖に対しては対応するレクチンな
どがそれぞれ特異結合物質の例として挙げられる。ま
た、特異結合物質は、特異的結合能を有するそれらのフ
ラグメントあるいはサブユニット、修飾あるいは標識さ
れた特異結合物質、修飾あるいは標識された特異的結合
能を有するそれらのフラグメントあるいはサブユニット
などをも含む。例えば、ビオチン化抗原、ビオチン化抗
体、ビオチン化Fab'、酵素標識抗原、酵素標識抗体、酵
素標識Fab'、ハプテン化抗原、ハプテン化抗体、ハプテ
ン化Fab'、ビオチン化レセプター、ビオチン化ホルモ
ン、ビオチン化ホルモン受容体、酵素標識ホルモンレセ
プターなどが例示されるが、これらに限定されるもので
はない。
【0008】本発明における固相は、従来の固相測定法
で使用されてきたものでも、あるいは新しいものでもよ
く、材質、形状、大きさなどによって限定されない。例
えば、種々の大きさのポリスチレン球、ナイロン球、ガ
ラス球、ポリスチレン試験管内面、ポリスチレンマイク
ロプレート、ラテックス粒子、各種磁性粒子などいずれ
でもよい。本発明において固相上に形成、固定あるいは
トラップされる、あるいは固相から溶出される被検物質
(修飾あるいは標識された被検物質を含む)とその特異
結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含
む)との複合体は、両者の特異結合により形成される。
複合体の形成方法は限定されないので、種々の方法ある
いは種々の反応順序で形成させることができる。つま
り、固相、特異結合物質、被検物質を種々の順序で順次
反応させてもよく、また、これらの一部あるいはすべて
を同時に反応させてもよい。また、複合体に含まれる両
者の分子数は、限定されるものではないが、それぞれ1
分子以上多くの場合数分子以下である。複合体に含まれ
る両者の分子数の比も限定されるものではないが、1以
上で10以下のことが多い。上記のように固相上に形成、
固定あるいはトラップされる、あるいは固相から溶出さ
れる複合体を構成する被検物質あるいは/および特異結
合物質は、必ずしも修飾あるいは標識される必要はな
い。例えば、物理的吸着により固相上に固定した特異結
合物質に被検物質と酵素標識特異結合物質を結合して固
相上に複合体を形成させ、該複合体を界面活性剤により
固相から溶出することができる。しかし、それらは、特
に特異結合物質は修飾あるいは標識されることが多い。
このように被検物質あるいは/およびその特異結合物質
を修飾あるいは標識する目的は2つである。その1は、
両者を含む複合体を固相上に固定あるいはトラップある
いは固相から溶出するためであり、他の1つは、両者を
含む複合体を測定するためである。上記のような両者を
含む複合体を固相上に固定あるいはトラップ、あるいは
固相から溶出することができる限り、あるいは迅速に高
感度で測定ができる限り、両者の修飾あるいは標識の方
法、そのために使用する物質の種類、両者の分子に導入
する分子数などに制限はない。両者を含む複合体を固相
上に固定あるいはトラップ、あるいは固相から溶出する
ために、例えば、ハプテン、抗ハプテン抗体、荷電物
質、DNA、チオール基を含む物質、チオピリジール基を
含む物質、リガンド、レセプター、レクチン、糖鎖ビオ
チン、アビジン、ストレプトアビジンなどが、修飾ある
いは標識に使用されるが、このように修飾あるいは標識
された物質を含む複合体は、それぞれ、抗ハプテン抗
体、ハプテン、荷電物質、DNA、チオピリジール基を含
む物質、チオール基を含む物質、レセプター、リガン
ド、糖鎖、レクチンなどを不溶化した固相上に、ハプテ
ン−抗ハプテン抗体結合、イオン結合、DNAハイブリッ
ド結合、ジスルフィド結合、リガンド−レセプター結
合、レクチン−糖鎖結合、ビオチン−アビジン結合、ビ
オチン−ストレプトアビジン結合などを介して固定ある
いはトラップされ、ハプテン、イオン、高温、還元剤、
リガンド、糖質、ビオチンなどにより固相から溶出され
る。これらの2以上の結合を固相と複合体の間に介在さ
せて、複合体を固相に固走あるいはトラップし、2以上
の物質あるいは/および方法を組み合わせて複合体を溶
出することもできる。ただし、ビオチン−アビジン結
合、ビオチン−ストレプトアビジンは複合体の溶出のた
めには使われることは殆どない。上記のような両者を含
む複合体の高感度測定法のために、例えば、酵素、ラジ
オアイソトープ、蛍光物質、発光物質、金属など、具体
的には、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、
β-D-ガラクトシダーゼ、I131、I125、フルオレ
セイン、エクオリン、アクリジニウム、ユーロピュー
ム、金コロイドが測定用修飾物質あるいは測定用標識物
質として使われる。上記のように、種々に修飾あるいは
標識され、両者の複合体が種々に形成、固定されるの
で、両者を含む複合体の構成は様々であるが、具体例と
して、次のような例を挙げることができる。2,4‐ジニ
トロフェニル化ビオチン化特異結合物質−被検物質−酵
素標識特異結合物質、2,4‐ジニトロフェニル化特異結
合物質−被検物質−酵素標識特異結合物質、2,4‐ジニ
トロフェニル化ビオチン化特異結合物質−酵素標識被検
物質などである。2,4‐ジニトロフェニル基、ビオチン
は、上記の荷電物質、DNA、チオール基などで、また酵
素は、上記のラジオアイソトープ、蛍光物質、発光物
質、金属などで、それぞれ置きかえることができる。
【0009】本発明における溶出液とは、上記のような
両者を含む複合体を固相から溶出するための溶液であ
る。溶液の組成は、該複合体が固相上に固定されている
状態により異なる。例えば、該複合体が固相上に固定さ
れている結合が物理的吸着の場合には、界面活性剤を含
む溶液、ハプテン−抗ハプテン抗体の結合の場合には、
ハプテンあるいはハプテン誘導体を含む溶液、イオン結
合の場合には、イオンを含む溶液、ジスルフィド結合の
場合には、還元剤を含む溶液、DNAハイブリッドの場合
には、温度の高い液などであるが、これらに限定されな
い。固相から溶出される両者を含む複合体は多くの場合
解離しないが一部あるいはすべて解離しても支障がない
場合もある。例えば、ハプテン化抗原−抗体−標識抗原
が溶出されて抗体−標識抗原となっても抗イムノグロブ
リン抗体不溶化固相にトラップすることができるので支
障はない。また、該複合体を固相から溶出して標識を測
定する場合には、標識の測定に支障がない限り、どのよ
うに解離してもよい。
【0010】本発明における固相の洗浄液は、従来の固
相測定法で使用されてきたものでも、新しいものでもよ
く、組成、pH、温度などによって限定されない。例え
ば、各種蛋白質、各種界面活性剤、各種動物血清、各種
糖質、各種脂質などを含む、あるいは含まない各種緩衝
液、あるいは水などのいずれでもよい。
【0011】本発明における固相の洗浄法は、従来の固
相測定法で実施されてきた方法でも、新しい方法でもよ
く、操作、方法、温度、時間などによって限定されな
い。例えば固相の全表面と洗浄液を撹拌、振とうなどに
より接触あるいは混合し、洗浄液を吸引あるいは固相が
ラテックス、磁性ビーズなどの場合には、遠心、磁気な
どにより固相から分離、吸引して除去する。本発明の目
的が測定時間を短縮して、超迅速超高感度測定法を提供
することであることから、固相の洗浄は可及的迅速に実
施することが好ましい。
【0012】本発明における上記のような両者を含む複
合体の溶出方法は、種々の方法で実施される。通常は、
溶出液と該複合体を固定している固相とを振とうあるい
は撹拌などにより接触あるいは混合させ、一定時間後に
両者を分離する。両者を分離する方法も公知の種々の方
法がある。単なる溶出液の吸引除去をはじめとして、遠
心力、磁気力、フィルターなどによる粒子固相の分離な
どである。従来の公知方法には限定されない。
【0013】被検物質とその特異結合物質との複合体を
固相上に形成、固定またはトラップした後、該複合体を
固相から溶出する工程を含む固相測定法を、より迅速に
より高感度で実施するためには、該複合体をより迅速
に、しかもより完全に固相上に形成、固定またはトラッ
プし、かつ固相洗浄中も該複合体を固相上により完全に
保持し、かつ該複合体を固相からより迅速にしかもより
完全に溶出する必要がある。該複合体が溶出過程で構成
要素に、一部あるいはすべて解離しても被検物質の測定
に支障ない場合もあるが、複合体を溶出する工程を含む
測定法を、より迅速に、しかもより高感度で実施するた
めには、多くの場合固相上に形成、固定した、被検物質
(修飾あるいは標識された被検物質を含む)とその特異
結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含
む)との複合体を固相から、より迅速にしかもより完全
に解離させることなく溶出することが必要である。
【0014】本発明においては以下に記載する3つの性
能を有する高性能モノクローナル抗ハプテン抗体とハプ
テンまたはハプテン誘導体との結合を少なくとも1つ複
合体と固相の間に介在させて、複合体をより迅速により
完全に固定、形成、またはトラップし、かつ固相洗浄中
も複合体をより完全に固相上に保持し、かつ複合体を固
相からより迅速により完全に溶出して、迅速高感度測定
法を提供する。
【0015】本発明において使用するモノクローナル抗
ハプテン抗体またはそのフラグメントの第一の性能を以
下に説明する。mLで表す反応液の体積の数値の20〜50
0倍の数値に相当するcmで表す表面積をもつ固相に
不溶化したモノクローナル抗ハプテン抗体または/およ
びそのフラグメントと反応液を2分間、1分間、0.5分間
など短時間インキュベートした際に、反応液中に含まれ
るハプテン、ハプテン誘導体、それらの少なくとも1を
結合した物質、それらの少なくとも1を含む複合体また
は/およびその一部のトラップされる量が、10分、20
分、60分と充分長くインキュベートしたときにトラップ
される量を100%としたときの60%以上、好ましくは70%以
上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上と
なるような性能である。ハプテンまたは/およびハプテ
ン誘導体を不溶化し、モノクローナル抗ハプテン抗体、
そのフラグメント、それらの少なくとも1と結合した物
質、または/およびそれらの少なくとも1を含む複合体
をトラップする場合もトラップ率は同様とする。例えば
反応液0.1mLのとき使用する固相の表面積は2〜50cm2
あり、例えば直径1μm、比重1.3の磁性ビーズの場合
は、0.1mLの反応液に対して0.04〜1mgを使う。インキュ
ベーション時間は、固相と反応液を接触しはじめてか
ら、反応液から固相を分離して、固相を洗浄液と接触し
はじめるまでの時間とする。複合体の固相へのトラップ
量を計測する際の条件は、被検物質を測定する際の条件
と同じかまたは同等とし、全ての操作は技術的に可能な
限り迅速に実施するものとする。モノクローナル抗ハプ
テン抗体、そのフラグメント、ハプテンおよびハプテン
誘導体を固相に不溶化する方法は、物理的吸着、共有結
合、ビオチン−アビジン(ストレプトアビジン)結合、
イオン結合、DNAハイブリッド結合、ジスルフィド結合
などの少なくとも1の結合を介在させる公知方法、新し
い方法、いずれでも良く、特に限定されない。
【0016】本発明において使用するモノクローナル抗
ハプテン抗体またはそのフラグメントの第二の性能を以
下に説明する。モノクローナル抗ハプテン抗体または/
およびそのフラグメントとハプテンまたは/およびハプ
テン誘導体との結合により固相上に固定またはトラップ
したハプテン、ハプテン誘導体、モノクローナル抗ハプ
テン抗体、そのフラグメント、それらの少なくとも1と
結合した物質または/およびそれらの少なくとも1を含
む複合体を固相の一回の洗浄後に固相上に95%以上、好
ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、最も好まし
くは98%以上保持しうる性能である。固相の洗浄中にそ
れらの固相上に保持される率を計測する際に使用する条
件は、被検物質の測定の際に使用する条件と同じかまた
は同等のものとし、洗浄の操作は技術的に可能な限り迅
速に実施するものとする。
【0017】本発明において使用するモノクローナル抗
ハプテン抗体またはそのフラグメントの第3の性能を以
下に説明する。モノクローナル抗ハプテン抗体または/
およびそのフラグメントとハプテンまたは/およびハプ
テン誘導体との少なくとも1の結合により固相上に固定
またはトラップしたハプテン、ハプテン誘導体、モノク
ローナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それらの
少なくとも1と結合した物質または/およびそれらの少
なくとも1を含む複合体の固相からのハプテンまたは/
およびハプテン誘導体を含む溶出液による溶出時間を2
分間、1分間、さらには0.5分間などとした際の溶出量が
溶出前の固相上のそれらの総量(100%とする)の60%以
上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も
好ましくは90%以上となるような性能を有するモノクロ
ーナル抗ハプテン抗体を使用する。溶出時間は、それら
が固定またはトラップされている固相と溶出液とを接触
しはじめてから溶出液を固相から分離し、洗浄液と固相
とを接触しはじめるまでの時間とする。溶出率を計測す
る際の条件は、被検物質を測定する際の条件と同じかま
たは同等の条件とする。溶出液に含まれるハプテンまた
はハプテン誘導体の濃度に制限はないが、1〜10mMの濃
度が好ましい。モノクローナル抗ハプテン抗体−ハプテ
ンの結合は、過剰のハプテンあるいはハプテン誘導体に
より切り離すことができるので、被検物質と特異結合物
質の複合体を固相上に形成、固定した後、該複合体を固
相から溶出する工程を含む測定法において、該複合体と
固相との間に介在させて、該複合体を固相上に固定する
ために使用する結合として好適である。なかでも、モノ
クローナル抗ジニトロフェニル基(以下DNPと記載)抗
体−ジニトロフェニル化合物の結合が好適である。以
下、具体例としてモノクローナル抗DNP抗体の取得と利
用について詳しく説明する。しかし、本発明はこの例示
に限定されるものではない。
【0018】(モノクローナル抗体の調製法)感作抗原
としては、DNP誘導体をリン酸緩衝液(PBS)等の適当な緩
衝液中に溶解あるいは懸濁したものが用いられる。抗原
液は通常抗原物質として50〜500μg/mL程度の濃度に調
製すればよい。抗原性を高めるため、キャリアータンパ
ク質としてアルブミンやキーホールリンペットヘモシア
ニン(KLH)等を選択することが好ましい。該抗原を免疫
感作させる動物としては、マウス、ラット、ウマ、ヤ
ギ、ウサギなどが例示される。好ましくはマウス、より
好ましくはBALB/Cマウスである。
【0019】このとき、被免疫動物の抗原への応答性を
高めるため、当該抗原溶液をアジュバントと混合して投
与することが出来る。本発明において用いられるアジュ
バントとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、
フロイント不完全アジュバント(FIA)、Ribi(MPL)、Ribi
(TDM)、Ribi(MPL+TDM)、百日咳ワクチン(Bordetella
pertussis vaccine)、ムラミルジペプチド(MDP)、アル
ミニウムアジュバント(ALUM)、及びこれらの組合せが例
示されるが、初回免疫時にFCA、追加免疫時にFIAやRibi
アジュバントを使用する組合せが特に好ましい。
【0020】免疫方法は、使用する抗原の種類やアジュ
バント混合の有無等により、注射部位、スケジュールな
どを適宜変化させることができるが、例えば、被免疫動
物としてマウスを用いる場合は、アジュバント混合坑原
液0.05〜1mL(抗原物質10〜200μg)を腹腔内、皮下、筋
肉内または(尾)静脈内に注射し、初回免疫から約4〜3
0日毎に1〜4回迫加免疫を行い、更に約1〜4週間後に最
終免疫を行う。該抗原溶液をアジュバントを使用せずに
投与する場合には、抗原量を多くして、腹腔内注射して
もよい。抗体価は追加免疫の約5〜6日後に採血して調べ
る。抗体価の測定は、後述の抗体価アッセイに準じ、通
常行われる方法で行う事ができる。最終免疫より約3〜5
日後、該免疫動物から脾細胞を分離して抗体産生細胞を
得る。
【0021】骨髄腫細胞としては、マウス、ラット、ヒ
ト等由来のものが使用される。例えばマウスミエローマ
P3X63-Ag8、P3X63-Ag8-U1、P3NS1-Ag4、SP2・O-Ag14、P3
X63-Ag8・653等が例示さるが、抗体産生細胞と骨髄腫細
胞とは同種動物、特に同系統の動物由来であることが好
ましい。骨髄腫は凍結保存するか、ウマ、ウサギまたは
ウシ胎児血清を添加した一般的な培地で継代培養して維
持することができる。細胞融合には対数増殖期の細胞を
用いるのが好ましい。
【0022】抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合させて
ハイブリドーマ細胞を形成させる方法としては、ポリエ
チレングリコール(PEG)を用いる方法、センダイウイル
スを用いる方法、電気融合装置を用いる方法等が例示さ
れる。例えばPEG法の場合、約30〜60%のPEG(平均分子
量1000〜6000)を含む適当な培地または緩衝液中に脾細
胞と骨髄種細胞を1〜10:1、好ましくは5〜10:1の混合
比で懸濁し、温度約25〜37℃、pH6〜8の条件下で、約30
秒〜3分問程度反応させればよい。反応終了後、PEG溶液
を除いて培地に再懸濁し、マイクロタイタープレート中
に播種して培養を続ける。
【0023】融合操作後の細胞を選択培地で培養して、
ハイブリドーマ細胞の選択を行う。選択培地は、親細胞
株が死滅し、融合細胞のみが増殖しえる培地であり、通
常ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培
地が使用される。ハイブリドーマ細胞の選択は、通常融
合操作の1〜7日後に、培地の一部、好ましくは約半量を
選択培地と交換することによって開始し、さらに2、3日
毎に同様の培地交換を繰り返しながら培養することによ
り行う。顕微鏡観察によりコロニーが生育しているウェ
ルを確認する。
【0024】生育しているハイブリドーマ細胞が所望の
抗体を産生しているかどうかを知るには、培養上清を採
取して抗体アッセイを行えばよい。抗体価は、例えば固
相化した抗原タンパク質に該上清を加えて反応させ、さ
らに蛍光物質、酵素、RI等で標識した二次抗体(抗グ
ロブリン、抗IgG、抗IgM抗体等)を反応させて測定する
ことができる。
【0025】さらに限界希釈法、軟寒天法、蛍光励起セ
ルソーターを用いた方法等により単一クローンを分離す
る。例えば限界希釈法の場合、ハイブリドーマ細胞のコ
ロニーを1細胞/ウェル前後となるように培地で段階希
釈し、培養することにより目的とするモノクローナル抗
体を産生するハイブリドーマ細胞クローンを単離するこ
とができる。
【0026】本発明が目的とする高性能のモノクローナ
ル抗DNP抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選別を行
なう。つまり、固相に不溶化した際にDNP化物質をより
迅速により完全にトラップしうる性能、このように固相
上にトラップされたDNP化物質を固相洗浄中もより完全
に保持する性能および固相上にトラップされたDNP化物
質がDNP誘導体により、より迅速により完全に溶出され
る性能をもつモノクローナル抗DNP抗体を産生するハイ
ブリドーマ細胞の選別を行う。
【0027】上記の性能を有するモノクローナル抗DNP
抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選別方法を例示す
るが、例示に限定されるものではない。例えば、DNP化B
SAを不溶化した固相とハイブリドーマ細胞の培養上清を
種々の時間反応させた後、蛍光物質、酵素、RI等で標識
した二次抗体(抗グロブリン、抗IgG、抗IgM抗体等)を
一定時間反応させて、固相に結合する標識がより迅速に
例えば固相と培養上清のインキュベーション時間を3分
間、2分間、1分間という短時間にしたときより多く増加
し、より迅速にプラトーに達するようなモノクローナル
抗DNP抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選別する。
固相としては、mLで表す反応液の体積の数値の20〜50
0倍の数値に相当するcmで表す表面積、例えば0.1mL
の反応液に対しては2〜50cm2の表面積をもつ固相を使用
することが好ましい。固相の中でも磁性ビーズが好まし
い。上記のように、培養上清、標識二次抗体を反応させ
た固相を充分、例えば3回洗浄して遊離の標識二次抗体
を除去した後、さらに洗浄回数をふやした際に固相に結
合した標識がより完全に好ましくは1回の洗浄の後も95
%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、
最も好ましくは98%以上保持されるようなモノクローナ
ル抗DNP抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選別す
る。上記のように、培養上清、標識二次抗体を反応させ
た固相を充分、例えば3回洗浄して遊離の標識二次抗体
を除去した後、DNP誘導体、例えば1〜10mM DNP-リジン
を含む溶出液と接触させて、より迅速に、2分間、1分
間、0.5分間という短時間で固相に結合していた標識が
より完全に、60%以上、好ましくは70%以上、より好ま
しくは80%以上、最も好ましくは90%以上減少するよう
なモノクローナル抗DNP抗体を産生するハイブリドーマ
細胞を選別する。
【0028】得られた抗体産生ハイブリドーマ細胞は、
約10%(V/V)ジメチルスルホキシド(DMSO)あるいはグリ
セリン等の凍結保護剤の共存下に凍結させて-70〜-196
℃で保存すると、約半年〜半永久的に保存可能である。
細胞は用時37℃前後の恒温槽中で急速に融解して使用す
る。凍結保護剤の細胞毒性が残存しないようによく洗浄
してから使用するのが望ましい。
【0029】上記の方法で得られる本発明のモノクロー
ナル抗体は、具体的には、例えばマウス由来かつIgGク
ラスのモノクローナル抗体であって、DNP-649、DNP-132
1、DNP-1402、DNP-1623、DNP-1753と命名されたもので
ある。
【0030】ハイブリドーマ細胞が産生する抗体のサブ
クラスを調べるためには、該ハイブリドーマ細胞を一般
的な条件で培養し、その培養上清中に分泌された抗体の
クラスを市販の抗体クラス・サブクラス判定用キットな
どを用いて分析することにより知ることができる。
【0031】モノクローナル抗体の取得は、その必要量
やハイブリドーマ細胞の性状等によってマウス腹水から
取得するか、細胞培養によるか適宜選択できる。マウス
腹腔内で増殖可能なハイブリドーマ細胞は腹水から数mg
/mLの高濃度で得ることができる。インビボで増殖でき
ないハイブリドーマ細胞は細胞培養の培養上清から取得
する。細胞培養によれば、抗体産生量はインビボより低
いが、腹腔内に含まれる免疫グロブリンや他の夾雑物質
の混入が少なく、精製が容易であるという利点がある。
【0032】マウス腹腔内から取得する場合、例えば、
予めプリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン)
等の免疫抑制作用を有する物質を投与したBALB/Cマウス
の腹腔内ヘハイブリドーマ細胞(約106個以上)を移植
し、約1〜3週間後に貯留した腹水を採取する。異種ハイ
ブリドーマ細胞(例えばマウスとラット)の場合には、
ヌードマウス、放射線処理マウスを使用することが好ま
しい。
【0033】一方、細胞培養上清から抗体を取得する場
合、例えば、細胞維持に用いられる静置培養法の他に、
高密度培養方法あるいはスピンナーフラスコ培養方法等
の培養法を用い、当該ハイブリドーマ細胞を培養し抗体
を含有する培養上清を得る。血清には、他の抗体やアル
ブミン等の夾雑物が含まれ、抗体精製に不便なことが多
いので培養液への添加は少なくすることが望ましい。
【0034】腹水、培養上清からのモノクローナル抗体
の精製は、免疫グロブリンの精製法として従来既知の硫
酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを用いた塩析による分
画法、ポリエチレングリコール分画法、エタノール分画
法、DEAEイオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾過法
等を応用することで、容易に達成される。
【0035】さらに、本発明の抗DNPモノクローナル抗
体が、マウスIgGである場合には、プロテインA結合担
体あるいは抗マウスイムノグロブリン結合担体を用いた
アフィニティークロマトグラフィー法により精製するこ
とが可能である。
【0036】(被検物質測定の態様)この抗体を利用す
る測定法の基本原理は、例えば抗DNP抗体不溶化固相表
面に、DNP基を有する特異結合物質、被検物質、標識特
異結合物質あるいは標識被検物質からなる複合体を形
成、固定した後、該複合体を固相から溶出し、溶出液中
の該複合体あるいは溶出液中から別の固相にトラップし
た該複合体を測定する工程を含む。
【0037】本発明において、DNP基を有する物質とはD
NP基が結合しており抗DNPモノクローナル抗体と反応し
うるものであれば特に限定されないが、たとえばDNP基
により修飾した免疫グロブリン、レセプター、タンパク
質、ペプチド、DNA等が挙げられる。
【0038】本発明による測定は、例えば以下のように
行なわれるが、本方法に限定されるものではない。
【0039】固相に固定した抗DNP抗体に、DNPとビオチ
ンにより修飾した抗被検物質抗体を反応させ、さらに被
検物質抗原、ついで標識抗被検物質抗体を反応させる。
DNP・ビオチン修飾抗被検物質抗体−被検物質−標識抗
被検物質抗体からなる免疫複合体をεN-2,4-DNP-L-
リジンにより固相から溶出する。溶出液中の複合体の標
識あるいは溶出液中から別のストレプトアビジン不溶化
固相上にトラップした免疫複合体の標識を測定すること
により、被検物質を測定する。また、他の方法として、
被検物質としてのハプテンは次に示す方法により測定す
ることも可能である。ここでは、ハプテンは被検物質と
してのハプテンをいう。固相に抗DNP抗体を固定し、抗D
NP抗体にDNPとビオチンにより修飾した抗ハプテン抗体
を反応させ、ハプテンおよび標識化ハプテンを競合させ
て反応させ、固相にトラップする。トラップしたDNP・
ビオチン修飾抗ハプテン抗体−標識化ハプテンからなる
免疫複合体をεN-2,4-DNP-L-リジンにより固相から溶
出する。溶出した該免疫複合体の標識物質を溶出した状
態かあるいは別のストレプトアビジン不溶化固相上にト
ラップして測定することにより、被検物質を測定する。
【0040】DNPとしては、2,4-DNP,2,5-DNP,2,6-DNP
が例示され、好適には2,4-DNPが用いられる。
【0041】DNP化特異結合物質を含む複合体を抗DNP抗
体不溶化固相から溶出するためにDNP誘導体が使用され
る。DNP誘導体として、DNP-グリシン、DNP-アラニン、D
NP-βアラニンなどDNP-アミノ酸、特にεN-2,4-DNP-L-
リジンが使用されるが、これらに限定されるものではな
い。これらのDNP誘導体は、多くの場合1mM〜10mMの溶液
で使用されるが、その濃度に制約はない。溶出温度は、
多くの場合室温〜37℃であるが、限定されるものではな
い。
【0042】
【実施例】以下に示す実施例は本発明を具体的に説明す
るものであるが、これによって本発明の範囲を制限する
ものではない。
【0043】
【実施例1】モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマの作製 (1)免疫原の調製 2,4-ジニトロフェニル化キーホールリンペットヘモシア
ニン(DNP-KLH)(株式会社エル・エス・エル製)をリン
酸緩衝生理食塩液pH7.0(PBS)でKLH当たりの濃度で1mg/m
Lに調製して免疫原とした。
【0044】(2)被免疫動物 5乃至8週令の近交系BALB/C系マウス雌を、動物飼育チェ
ンバー内(23+1℃、湿度70%)で、標準ペレットを使用し
て飼育し、任意に給水して飼育した。
【0045】(3)免疫方法 上記(2)で調製した抗原、すなわちDNP-KLHを100μg/
0.5mLとなる様にPBSで調製し、同量(0.5mL)のフロイン
ト不完全アジュバント(Freund's Incomplete adjuvant)
(PIERCE社製)を混合して乳化した。この乳化状の抗原
を、5週令の5匹の雌のBALB/Cマウスの腹腔に1匹あたり2
00μgを投与した。さらに3週間毎に、RIBIアジュバント
(Adjuvant MPL + TDH Emulsion)(RIBI Immuno Chem Res
earch,Inc製)で100μg/mLとなるように調製した上記抗
原をマウスあたり20μgずつ3回投与、マウスの抗体価を
測定した。抗体価の高いマウスはさらに3週間後にPBSで
100μg/mLに調製したDNP-KLHを、マウス尾静脈より注射
して最終免疫とした。
【0046】(4)細胞融合 最終免疫から3日後にBALB/Cマウスの摘脾を行い、EMEM
培養液中で脾細胞を浮遊させて、脾細胞の浮遊液を作製
した。ついで、脾細胞をEMEM培養液で4回洗浄した
後、細胞数を算定し、5.9×108個の脾細胞を得た。細胞
融合は、2-アミノ‐6‐オキシ-8‐アザプリン(8‐アザ
グアニン)[2‐amino-6-oxy-8-azapuine(8‐Azaguanin
e)]耐性のBALB/Cマウス骨髄腫由来培養細胞株(P3‐X63
‐Ag8・653、以下、「X63細胞」という。)を親細胞株と
して用いた。
【0047】X63細胞は、非働化した牛胎児血清(feta1
ca1f serum:FCS)を10%を含むRPMI-1640倍溶液(20
μg/mL,8‐azaguanine含有)で継代培養し、対数増殖
期のX63細胞を用いた。細胞融合の3日前より8‐azag
uanineを含有しない10%FCS含有RPMI-1640培養液でさら
に培養し、対数増殖期の細胞を用いた。X63細胞はRPMI-
1640培養液で3回洗浄した後、細胞数を算定し、7×107
個の生細胞を得た。
【0048】RPMI-1640培養液で、ポリエチレングリコ
ール4000が50w/v%濃度となるように溶解し、上記の脾
細胞とX63細胞の比が10:1となるように混合し、ケーラ
ー及びミルシュタイン共著:(Nature)第256巻、第495‐
497頁、1975年及びヨーロピアン ジャーナル オブ
イムノロジー(Eur.J.Immuno.第6巻、第511-519頁、197
6年)の方法に準じて細胞融合を行った。
【0049】その後、10%FCSを添加したRPMI-1640培養
液に、1×10-4Mのヒポキサンチン4×10-7Mのアミノプテ
リン及び1.6×10-5Mのチミジンを含有するHAT選択培地
に、脾細胞が2.0×106個/mLとなるように浮遊させた。
ついで、この細胞浮遊液の50μLを、96ウエルのマイク
ロテストプレートの各ウェルに分注した後、CO2無菌培
養器において温度37℃、湿度95%、8%のCO2雰囲気で培
養を行なった。培養開始後、1日目と2日目にHAT培地を
各ウェルに1滴ずつ、また培養開始後7日目と9日目にHAT
培地を、各ウェルに2滴ずつ添加してさらに培養を行っ
た。その後、HATを含まない培養液で育成させ、約10日
〜2週間後に、目的のDNPモノクローナル抗体を産生する
クローンをDNP-BSAを固相に吸着させたマイクロプレー
トを用いたエライザ法によるスクリーニングによって検
索した。
【0050】(5)スクリーニング 上記ハイブリドーマ細胞の培養上清を用いて、抗DNP-BS
A抗体価酵素免疫測定法及びε-N-2,4-ジニトロフェニル
-L-リジン(以下「DNP-リジン」と略す。)による解離
抗体価測定法により行った。すなわち、ハイブリドーマ
細胞系の培養上清をDNP-BSA固定化エライザプレートと
の反応と、DNP-リジン添加による免疫複合体解離能力に
より選択した。
【0051】抗原液として、2,4-ジニトロフェニル化ウ
シ血清アルブミン(DNP-BSA)(株式会杜エル・エス・エ
ル製)を1μg/mLの濃度に調製し、1ウェル当たり50μLず
つマイクロタイタープレートに添加し、一晩吸着させた
後、Tween-20を0.05%含むリン酸緩衝液(以下「洗浄
液」と略す。)で3回洗浄し、さらに0.05%BSAを含むリ
ン酸緩衝液でブロッキングし、DNP-BSA抗原固相化プレ
ートを調製した。
【0052】ホースラディッシュペルオキシダーゼ(以
下「HRP」と略す。)標識抗マウスイムノグロブリン抗
体(ヤギ由来)を添加した当該固相化プレートに、上記
で得られたハイブリドーマ細胞系の培養上清を添加し、
室温で30分間反応させた。この反応の後、洗浄液で3回
洗浄し、基質液(o-フェニレンジアミン2mg/mL及び4mM
H202を含む)を室温で5分間反応させた後、この反応を
2N硫酸で停止させ、主波長492nm、副波長690nmでエライ
ザプレートにて吸光度を測定した。
【0053】さらに、DNP-BSA抗原固相化プレート上に
形成された免疫複合体の解離能力を調べるために、下記
のスクリーニングを行った。すなわち、HRP標識抗マウ
スイムノグロブリン抗体(ヤギ由来)を添加した当該固
相化プレートに、上記で得られたハイブリドーマ細胞系
の培養上清を添加し、室温で30分間反応させた。この反
応の後、洗浄液で3回洗浄し、DNP-リジン溶液を添加
し、室温で5分間反応させた。この反応の後、洗浄液で3
回洗浄し、基質液(O-フェニレンジアミン2mg/mL及び4mM
H202を含む)を室温で5分間反応させた後、この反応を2
N硫酸で停止させ、主波長492nm、副波長690nmでエライ
ザプレートにて吸光度を測定した。
【0054】DNP-リシン添加による免疫複合体解離能力
の高い抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選別した。
さらに、本発明の目的により一層適合するモノクローナ
ル抗ハプテン抗体を、実施例2〜4で示す方法により選
別した。
【0055】(6)モノクローナル抗体産生ハイブリド
ーマ細胞系の樹立 上記(5)のスクリーニングにより得られたハイブリド
ーマ細胞を限界希釈法によりクローニングした。その結
果、DNP-BSA抗原固相化プレートに対する反応性が高
く、かつDNP-リジン添加による免疫複合体解離能力の高
い抗体を産生するハイブリドーマ細胞系クローンを8ク
ローンを選択した。このハイブリドーマのうち1クロー
ン(DNP-1753)を樹立株とし、寄託番号FERMP-18712号
として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
寄託した。
【0056】(7)マウスイムノグロブリンサブクラス
の同定 上記クローニングにより単一クローンとして得られたハ
イブリドーマ8クローンの産生するモノクローナル抗体
のマウスイムノグロブリンサブクラスをザイメッド(Zym
ed)社製モノアブタイピングキット(Mono Ab typing ki
t)を使用して同定した。
【0057】
【実施例2】この実施例では、免疫複合体の抗DNP抗体
不溶化磁性ビーズへの結合の時間経過を示す。 (材料と方法) ・抗DNPポリクローナル抗体 Seikagaku Corporation,T
okyo,Japan ・抗DNPモノクローナル抗体 DNP-1753 ・ブロッキング液 0.15M NaCl、2.5mM EDTA、2.5g/L ウシ血清アルブミ
ン、10g/Lシュークロース、1g/L NaN3を含む10mM リン
酸ナトリウム緩衝液、pH7.0 ・アルカリホスファターゼ(ALP)用洗浄液 0.15M NaCl、0.1% Tween 20、0.1%NaN3を含む20mMト
リス・HCl緩衝液、pH7.4 ・トリエタノラミン(TEA)緩衝液 0.1mM ZnCl2、1mM MgCl2、1g/L ウシ血清アルブミン、
0.05%NaN3を含む0.1Mトリエタノラミン・HCl緩衝液、p
H7.6 ・ALP Oriental Yeast Co., Ltd.,Tokyo,Japan ・モノクローナル抗HBs Ag(ヒトB型肝炎ウイルス表面
抗原)抗体-740および85,International Reagents Corp
oration,Kobe,Japan ・磁性ビーズ MG205、直径880nm、比重1.3、JSR Corporation,Tokyo,J
apan ビーズを球として計算した磁性ビーズ1mgの表面積は、
52.45cm2である。 ・ALP蛍光基質液 Attophos TM Test kit、JBL Scientific Inc.,San Luis
Obispo,CA ・マイクロプレート Fluoro NuncTM Module Plate、F16 Maxisorp Black、Nu
nc A/S,DK-4000 Roskilde,Denmark ・DNP-ビオチン-抗HBs Ag Fab'とALP-抗HBs Ag Fab' DNP化ビオチン化ウシ血清アルブミン-抗HBs Ag Fab'-74
0(DNP-ビオチン-抗HBs Ag Fab')とALP-抗HBs Ag Fab'
-85を(ALP-抗HBs Ag Fab')をマレイミド基とチオール基
の反応を使う公知の方法(E. Ishikawa, Ultrasensitiv
e and Rapid Enzyme Immunoassay, Laboratory Techniq
ues in Biochemistry and Molecular Biology Vol.27,
S. Pillai, P.C. van der Vliet eds., pp.177-302, 19
99)により調製した。 ・抗DNP IgG不溶化磁性ビーズ 磁性ビーズにモノクローナルおよびポリクローナル抗DN
PIgGをJSR Corporationの指示書にしたがって不溶化
し、ブロッキング液で洗浄した後、4℃で同液中に保存
した。 ・蛍光光度計 CytoFluorTM4000 Multiwell Fluorescent Plate Reade
r,PerSeptive Biosystems, Inc., Framingham,MA
【0058】・HBs Ag、DNP-ビオチン-抗HBs Ag Fab'
およびALP-抗HBs Ag Fab'の 溶解液および希釈液 TEA緩衝液 ・免疫複合体の形成 1pmolのDNP-ビオチン-抗HBsAg Fab'、0.48pmolのALP-抗
HBsAg Fab'、0.05IUのHBs Agを120μLのTEA緩衝液中37
℃で10分間インキュベートした。 ・免疫複合体の抗DNPIgG不溶化磁性ビーズへの結合 上記免疫複合体を含む120μLとTEA緩衝液で洗浄した抗D
NPIgG不溶化磁性ビーズ0.5mgとを室温で0.5分間、1分
間、2分間あるいは10分間(磁気分離時間の20秒間を含
む)インキュベートした後、磁気分離によりALP用洗浄液
0.4mLで3回洗浄した。 ・ALP活性の蛍光測定法 上記の洗浄した抗DNPIgG不溶化磁性ビーズにALP蛍光基
質液200μLを加え、37℃、30分間インキュベートした
後、磁性ビーズを磁気分離した上清全量の蛍光強度をマ
イクロプレート中で励起波長450nm、分析波長580nmによ
り測定した。
【0059】(結果)実施例2の結果を表1に示す。12
0μL中のDNP-ビオチン-抗HBsAg Fab'、HBsAgおよびALP-
抗HBsAg Fab'の三者からなる免疫複合体とモノクローナ
ル抗DNPIgG不溶化磁性ビーズ0.5mg、表面積26cm2とイン
キュベートした際にトラップされた免疫複合体の量は、
10分間でトラップされた量を100%としたとき、0.5分間
で81.0%、1分間で89.6%、2分間で96.2%であった。これ
は、市販のウサギポリクローナル抗DNPIgG不溶化磁性ビ
ーズへのトラップが0.5分間で62.2%、1分間で77.3%、2
分間で89.1%であったのと比べて高いトラップ率であっ
た。つまり、この結果は免疫複合体のトラップに関して
ポリクローナル抗DNPIgGより高性能のモノクローナル抗
DNPIgGを選別することができたことを示すものである。
【0060】
【実施例3】この実施例では、モノクローナル抗DNPIgG
不溶化磁性ビーズに結合した免疫複合体が洗浄中もよく
保持されることを示す。 (材料と方法)以下に記す材料と方法の他は、実施例2
のそれらと同じである。実施例2の方法により免疫複合
体を結合させた抗DNPIgG不溶化磁性ビーズを400μLのAL
P用洗浄液により3〜7回洗浄して磁性ビーズに結合したA
LP活性を測定した。
【0061】(結果)実施例3の結果を表2に示す。免
疫複合体を結合させたモノクローナル抗DNPIgG不溶化磁
性ビーズのALP活性は、3回洗浄した後のALP活性を100%
としたとき、5回洗浄したとき96.5%、7回洗浄したとき8
6.9%であり、これに対しポリクローナル抗DNPIgG不溶化
磁性ビーズのALP活性は、5回洗浄したとき92.4%、7回洗
浄したとき83.7%であった。つまり、ポリクローナル抗D
NPIgGと比べてより完全に免疫複合体を保持しうる高性
能のモノクローナル抗DNPIgGを選別することができるこ
とが示された。
【0062】
【実施例4】この実施例では、抗DNPIgG不溶化磁性ビー
ズに結合させた免疫複合体のDNP-リジンによる溶出の時
間経過を示す。 (材料と方法)以下に記す材料と方法の他は、実施例2
のそれらと同じである。 ・DNP-Lys液 3mM εN‐2,4-ジニトロフェニル‐L-リジンを含むTEA緩
衝液 ・免疫複合体の形成 12×75mmカルチャーチューブ2本のそれぞれに90μLの48
pmol/mL ALP-抗HBs AgFab'と90μLの100pmol/mL DNP-ビ
オチン-抗HBs Ag Fab'を加え混合した。一方に陽性検体
として900μLの5IU/mL HBs Agを加え、他方に陰性検体
として900μLのTEA緩衝液を加え、混合した。10分間室
温で静置し免疫複合体反応液を調製した。
【0063】・免疫複合体の抗DNPIgG不溶化磁性ビーズ
への結合 この間に別途12×75mmカルチャーチューブ2本を用意
し、これに900μLの1%抗DNPIgG不溶化磁性ビーズを分
注した。それぞれ磁気分離し、上清を吸引除去した。一
方のカルチャーチューブに1080μLの上記陽性免疫複合
体反応液を加え、他方に同量の陰性反応液を加えて混合
し10分間室温で静置した。ついで上清を除去した。次に
3.6mLのALP用洗浄液により2回洗浄した。さらに3.6mLの
ALP用洗浄液を加えて撹拌し、粒子を懸濁させ、この懸
濁液を400μLずつ7×50mm PSチューブ8本に分注した。
磁気分離し、上清を吸引除去した。
【0064】・免疫複合体の溶出 上記抗DNPIgG不溶化磁性ビーズを含む各チューブに100
μLの3mM DNP-Lys液を加え混合し、種々の時間静置した
後、20秒間磁気分離した。各チューブについて上清を吸
引除去し、0.4mLのALP用洗浄液で3回洗浄した。
【0065】・ALP活性の蛍光測定法 上記の洗浄した抗DNPIgG不溶化該磁性ビーズにALP蛍光
基質液200μLを加え、37℃、30分間インキュベートした
後、磁性ビーズを磁気分離した上清全量の蛍光強度をマ
イクロプレート中で励起波長450nm、分析波長580nmによ
り測定した。
【0066】(結果)実施例4の結果を表3に示す。抗
DNPモノクローナル抗体を使用した場合の免疫複合体の
溶出率は、3mM DNP−Lys添加後40秒間で89.8%、1
分間で91.0%、2分間では92.1%であった。一方、抗DN
Pポリクローナル抗体を使用した場合の溶出率は40秒間
で26.9%、1分間で31.2%、2分間では40.5%であった。つ
まり、ポリクローナル抗DNPIgGと比べて、より迅速に、
より完全に免疫複合体を溶出しうる高性能のモノクロー
ナル抗DNPIgGを選別できることが示された。
【0067】実施例1〜4により示された発明の効果 本発明による抗DNPモノクローナル抗体を使用すれば、
被検物質を含む免疫複合体をより迅速により完全に固相
上にトラップすることができ、かつ洗浄中もより完全に
固相上に保持することができ、かつより迅速に、より完
全に固相から溶出することができ、被検物質の測定をよ
り迅速により高感度で実施することができる。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(1)、(2)および(3)に記載の性能
    を有するモノクローナル抗ハプテン抗体またはそのフラ
    グメント。 (1)mLで表す反応液の体積の数値の20〜500倍の数
    値に相当するcmで表す表面積をもつ固相にモノクロ
    ーナル抗ハプテン抗体、そのフラグメントの少なくとも
    1を不溶化し、反応液と2分間インキュベートした際、反
    応液中に含まれるハプテン、ハプテン誘導体、それらの
    少なくとも1と結合した物質または/およびそれらの少
    なくとも1を含む複合体のトラップ量が、充分長くイン
    キュベートしたときにトラップされる量の60%以上とな
    るような性能。 (2)(1)に記載の固相にトラップされたハプテン、
    ハプテン誘導体、それらの少なくとも1と結合した物質
    または/およびそれらの少なくとも1を含む複合体が1回
    の洗浄後に95%以上固相上に保持されるような性能。 (3)(1)に記載の固相にトラップされたハプテン、
    ハプテン誘導体、それらの少なくとも1と結合した物質
    または/およびそれらの少なくとも1を含む複合体が、
    ハプテンまたは/およびハプテン誘導体を含む溶出液と
    2分間インキュベートした際、60%以上溶出されるような
    性能。
  2. 【請求項2】 以下の(4)、(5)および(6)に記載の性能
    を有するモノクローナル抗体またはそのフラグメント。 (4)mLで表す反応液の体積の数値の20〜500倍の数
    値に相当するcmで表す表面積をもつ固相にハプテ
    ン、ハプテン誘導体の少なくとも1を不溶化し、反応液
    と2分間インキュベートした際、反応液中に含まれるモ
    ノクローナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それ
    らの少なくとも1と結合した物質または/およびそれら
    の少なくとも1を含む複合体のトラップ量が、充分長く
    インキュベートしたときにトラップされる量の60%以上
    となるような性能。 (5)(4)に記載の固相にトラップされたモノクロー
    ナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それらの少な
    くとも1と結合した物質または/およびそれらの少なく
    とも1を含む複合体が1回の洗浄後に95%以上固相上に保
    持されるような性能。 (6)(4)に記載の固相にトラップされたモノクロー
    ナル抗ハプテン抗体、そのフラグメント、それらの少な
    くとも1と結合した物質または/およびそれらの少なく
    とも1を含む複合体が、ハプテンまたは/およびハプテ
    ン誘導体を含む溶出液と2分間インキュベートした際、6
    0%以上溶出されるような性能。
  3. 【請求項3】 1〜10mMのハプテンまたは/およびハプ
    テン誘導体を含む溶出液を使用することを特徴とする請
    求項1または2に記載のモノクローナル抗ハプテン抗体
    またはそのフラグメント。
  4. 【請求項4】 ハプテンがニトロフェニル化合物である
    請求項1〜3のいずれか1に記載の抗体またはそのフラ
    グメント。
  5. 【請求項5】 ニトロフェニル化合物がジニトロフェニ
    ル化合物である請求項4に記載の抗体またはそのフラグ
    メント。
  6. 【請求項6】 ジニトロフェニル化合物が2,4-ジニトロ
    フェニル化合物である請求項5に記載の抗体またはその
    フラグメント。
  7. 【請求項7】 2,4-ジニトロフェニル化合物が2,4-ジニ
    トロフェニルリジンである請求項6に記載の抗体または
    そのフラグメント。
  8. 【請求項8】 寄託番号FERM P-18712のハイブリドー
    マ細胞が産生する抗体またはそのフラグメント。
  9. 【請求項9】 寄託番号FERM P-18712のハイブリドー
    マ細胞。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれか1に記載の抗
    体またはそのフラグメントとハプテンまたはハプテン誘
    導体との結合を少なくとも1つ複合体と固相の間に介在
    させて実施する以下に記載のA工程およびB工程を含む
    工程により被検物質を測定する測定方法。 A工程:被検物質(修飾あるいは標識された被検物質を
    含む)とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特
    異結合物質を含む)の複合体を固相上に形成、固定また
    はトラップする工程 B工程:A工程において固相上に形成、固定あるいはト
    ラップした複合体を溶出する工程。
  11. 【請求項11】 複合体の固相からの溶出時間を10秒間
    以上3分間以下とすることを特徴とする請求項10に記
    載の測定法。
  12. 【請求項12】 1〜10mMのハプテンまたは/およびハ
    プテン誘導体を含む溶出液を使用することを特徴とする
    請求項10また11に記載の測定方法。
  13. 【請求項13】 請求項10〜12のいずれか1に記載
    の測定法のために使用しうる少なくとも1の試薬あるい
    は/および固相を含むキット。
  14. 【請求項14】 請求項10〜12のいずれか1に記載
    の測定を実施するための試薬、固相、自動化ソフトを含
    むシステム。
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