JP2003301470A - 2層分離型フーチングを用いた基礎免震構造およびその補修方法 - Google Patents

2層分離型フーチングを用いた基礎免震構造およびその補修方法

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JP2003301470A JP2002107309A JP2002107309A JP2003301470A JP 2003301470 A JP2003301470 A JP 2003301470A JP 2002107309 A JP2002107309 A JP 2002107309A JP 2002107309 A JP2002107309 A JP 2002107309A JP 2003301470 A JP2003301470 A JP 2003301470A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フーチング基礎構造を備えている基礎構造一
般に適用することができる2層分離型フーチングを用い
た基礎免震構造およびその構造の場合の補修工法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 基礎構造におけるフーチング30を、ベ
ースフーチング1と、これに支持されて地震時に分離可
能な上部フーチング10との2層にしたことを特徴とす
る。また、必要に応じ、ベースフーチング1に上部フー
チングの横移動を規制するサイドブロックを設ける。ま
た、上部フーチング10とベースフーチング1との間に
介在された上下のシートの境界面により分離境界面が形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁における橋脚
を免震支持することができる2層分離型フーチングを用
いた橋梁の基礎免震構造およびその補修工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、橋梁等の耐震設計においては、
兵庫県南部地震以来、関東地震や兵庫県南部地震規模の
レベル2地震動に対して、主に橋脚に塑性ヒンジを誘発
し、基礎構造は基礎の降伏(基礎本体部分の降伏、地盤
抵抗の塑性化等)に達しないよう橋脚の設計に用いる地
震力より10%大きな作用力に対して設計されている。
【0003】また、従来、図12(c)に示すよう
に、橋梁における橋脚11の下部に橋軸方向に寸法の長
い広幅フーチング55と、基礎54との間に、ゴム層と
鋼板とを交互に積層して構成した多数の積層ゴムブロッ
ク53あるいはデバイスを配置する形式の免震構造が採
用されていた。
【0004】さらに、特開2001−200508号
公報により公表されているように、柱状の橋脚下端部と
基礎と間に板状の弾性体を介在させる免震構造も知られ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の場合の基礎構
造は、補強鋼材量などが多くなり、建設コストが増大す
ると言う問題がある。前記の従来の場合には、積層ゴ
ムブロック53あるいはデバイスを使用するので、コス
トが高くなるという問題がある。また、広幅のフーチン
グ55を使用しているので、地震時等にフーチング55
がロッキング(回転)しにくいという問題がある。さら
に、このような構造の場合には、構造物の補修および積
層ゴムブロックの取り替えができないという課題があ
る。
【0006】前記の構造形式の場合は、基礎フーチン
グの上部に突起を設けたり、橋脚下端部を筒状に形成す
る等構造が複雑になると共に、橋脚と基礎フーチングと
の間に板状の弾性体を介在させる形式であり、基礎フー
チングそのものを2層にする形式ではないので、汎用性
がなく、建築物一般の他の基礎構造に適用できないとい
う問題がある。
【0007】また、台湾集集地震などでは、断層変位に
より、大きな被害が生じていることから、断層変位など
の強制変位にも、ある程度追従可能な基礎構造が要望さ
れる。
【0008】本発明者は、図14に示すように、従来、
直接基礎等の基礎において、地震時に、矢印Aで示すよ
うな水平力が作用した場合、2点鎖線で示すように、橋
脚11の下部のフーチング51の浮き上がりにより、下
部工(下部構造物)や上部工(上部構造物)の応答値が
低減される現象に着目し、このことから、種々研究した
結果、フーチング51を上下2層に分離することで、レ
ベル2地震時に分離された上部フーチングがロッキング
振動することで、上部フーチング下端で非線形挙動が生
じるようになり、橋脚等の上部工を免震化することがで
きること、また、フーチングを2層にすることで、フー
チングを有する基礎構造全般に適用可能なこと、さら
に、地震時の断層変位などの強制変位が生じた場合に
は、地震後にジャッキなどで、修復しやすい基礎構造に
なることを知見し、本発明を完成させた。
【0009】本発明は、橋脚のみならず、フーチング基
礎構造を備えている基礎構造一般に適用することができ
る2層分離型フーチングを用いた基礎免震構造およびそ
の構造の場合の補修工法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1に記載の2層分離型フーチングを用いた基
礎免震構造においては、基礎構造におけるフーチング
を、ベースフーチングと、これに支持されて地震時に分
離可能な上部フーチングとの2層にしたことを特徴とす
る。
【0011】また、請求項2に記載の発明においては、
請求項1に記載の2層分離型フーチングを用いた基礎免
震構造において、前記ベースフーチングに上部フーチン
グの横移動を規制するサイドブロックを設けたことを特
徴とする。
【0012】さらに、請求項3の発明においては、請求
項1または2に記載の2層分離型フーチングを用いた基
礎免震構造において、上部フーチングとベースフーチン
グとの間に介在された上下のシートの境界面により分離
境界面が形成されていることを特徴とする。
【0013】さらにまた、請求項4の発明においては、
請求項1〜3のいずれかに記載の2層分離型フーチング
を用いた基礎免震構造において、分離境界面を介して上
部フーチングとベースフーチングの上下2層に分離可能
に構成された2層分離型フーチングを用いた基礎免震構
造であって、前記ベースフーチングと上部フーチングと
の間にグラウトを充填するために、前記上部フーチング
がベースフーチングに対して昇降可能に支持されている
ことを特徴とする。
【0014】また、請求項5に記載の2層分離型フーチ
ングを用いた基礎免震構造の補修工法においては、分離
境界面を介して上部フーチングとベースフーチングの上
下2層に分離可能に構成された2層分離型フーチングを
用いた基礎免震構造を補修するに際し、前記上部フーチ
ングをリフトアップした後、前記ベースフーチングの上
面にグラウトを充填硬化して、前記硬化したグラウトの
上面により支持面を形成し、その後、前記支持面に上部
フーチングを載置することを特徴とする。
【0015】請求項1〜3の発明によると、フーチング
を、上部フーチングとベースフーチングとの2層構造と
した免震構造とすることができ、橋脚基礎以外のフーチ
ングを使用する構造の基礎免震構造とすることができ、
また、橋脚下部の基礎構造に採用した場合は、地震時の
挙動はロッキング(回転)によるものなので、地震後の
残留変形が生じない。また、地震時の応答が長周期領域
の橋梁では、本発明の免震構造を組み込んでも応答変位
は増加しない。また、本発明では、単にフーチングを分
離しただけの単純な構造であるので、損傷が生じた場合
でも補修が容易である。また、断層変位などの強制変形
に対しても、基礎の拘束条件が緩和されることにより、
構造系の強制変位に対する追従性(安全性)が向上す
る。また、本発明の構造は、従来のように、免震支承な
どのデバイスを用いないので、経済的で取替え不要な免
震構造である。
【0016】また、請求項4の発明によると、地震時等
の断層変位などの強制変位が生じた場合、2層に分けた
フーチング間をジャッキで位置調整したのちに、コンク
リート等のグラウトを充填硬化することで、比較的容易
に強制変形に対する修復を行うことができる。
【0017】さらに、請求項5の補修工法の発明による
と、上部フーチングをリフトアップした後、グラウトの
充填硬化による支持面を形成するだけであるので、比較
的簡単に、上部フーチングのレベル調整および傾斜調整
を行なうことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】<第1実施形態>次に、図1から
図8を参照しながら、本発明の第1実施形態を図によっ
て、詳細に説明する。
【0019】先ず、図1は本発明の2層分離型フーチン
グを用いた基礎免震構造をラーメン橋55の基礎に適用
した場合を示す一部縦断概略側面図、図2は、図1の一
部を拡大して示す一部縦断側面図、図3(a)は図2の
A−A線断面図、(b)はリフトアップ用スリーブおよ
び転倒防止用PC鋼棒の頭部の保護手段を設けた状態を
示す一部切欠縦断側面図、図4(a)は図2の一部を拡
大して示す図、図4(b)は転倒防止用PC鋼棒の頭部
付近における保護手段の他の形態を示す縦断側面図であ
る。
【0020】図2〜図4を参照して説明すると、鉄筋コ
ンクリート製等のベースフーチング1を備えていると共
に、前記ベースフーチング1と一体に、その周縁部に、
橋軸方向両側に鉄筋コンクリート製側壁2および橋軸直
角方向両側に鉄筋コンクリート製側壁3からなる周壁4
が設けられて、上部が開放されている箱型断面のベース
フーチング付基礎5が構成され、前記ベースフーチング
基礎5の内側における橋軸方向の両側壁2の下部には、
前記側壁2と一体に上部に向って拡開するように傾斜す
る傾斜面57を有するサイドブロック6が対向するよう
に設けられている。このサイドブロック6は、必要に応
じ設けるようにすればよく、サイドブロック6を省略し
ても良い。
【0021】前記サイドブロック6を設ける理由は、橋
脚11から上部フーチング10に負荷される上部工側の
自重と、上部フーチング10とベースフーチング1同士
の摩擦力の関係で、上部工の自重が軽い時には、地震時
に上部フーチング10が橋脚の上部を中心として回転す
るようにロッキング(回転)しないで、ベースフーチン
グ1の上面を所定の摩擦を超えた時にすべりだけになる
恐れがあり、この対策として、サイドブロック6を設け
ることにより、上部フーチング10の橋軸方向の横移動
を所定の間隙以上にすべり移動しないように規制し、積
極的にロッキングさせるように構成するために設けられ
ている。したがって、側壁2を上部フーチング10に近
接して設けることによって、前記サイドブロック6と同
様な作用をさせる場合には、前記サイドブロック6を省
略してもよい。
【0022】前記ベースフーチング1の上面は、この実
施形態では、平坦な上面とされ、その平坦な上面に、合
成樹脂あるいはゴム製シート等の下部シート7が敷設さ
れていると共に、前記下部シート7の上面に上部シート
8を積層して構成した分離(剥離)用シート9が敷設さ
れ、前記上部シート8の上面に現場打ちの鉄筋コンクリ
ート製等の上部フーチング10が設けられている。前記
ベースフーチング1と上部フーチング10とにより、上
下に分離可能なフーチング30が構成されている。前記
各下部シート7および上部シート8の材質は適宜の材質
でよいが、シート相互の境界面はフーチングの分離用境
界面となるので、積層した状態で、地震時に横方向に比
較的容易に分離移動可能な材質あるのが望ましい。
【0023】この実施形態では、上部フーチング10の
上部に、鉄筋コンクリート製橋脚11が一体に設けら
れ、前記橋脚11の上部に橋体56が一体に設けられ
て、鉄筋コンクリート製ラーメン橋55が構成されてい
る。
【0024】前記上部フーチング10の橋軸方向の下部
両端面は、前記ベースフーチング1の橋軸方向の側壁2
内面から内側に離れた位置になるように傾斜面58が形
成され、前記上部フーチング10側の橋軸方向の端部側
と、前記ベースフーチング基礎5側の内側面との間隙G
が、この実施形態では、一対のシート間により形成され
ている。そして、地震時等に、上部フーチング10に所
定の水平力が作用した時に、上部フーチング10がロッ
キング(回転)ができるように構成されている。
【0025】前記の上部フーチング用の分離用シート9
は、地震時において、ベースフーチング1が橋軸方向に
移動した場合、上部フーチング10も同様に橋軸方向に
移動しようとするが、上部フーチング10が所定の水平
力で、ベースフーチング1と、分離して上部フーチング
10が独立してロッキングできるように構成するため、
前記下部シート7と上部シート8は、その積層境界面が
分離しやすい材料であることが望ましい。
【0026】また、前記ベースフーチング1の橋軸直角
方向の両側部で橋軸方向の中間部には、前記上部フーチ
ング10のロッキングを許容すると共に、所定以上にベ
ースフーチング1と上部フーチング10が分離して、橋
脚11またはベースフーチング1が転倒しないように規
制する転倒防止装置18が設けられている。
【0027】この実施形態では、ベースフーチング1の
橋軸直角方向の両側部に、橋軸方向に間隔をおいて、下
部にアンカープレート59を装着した複数の転倒防止用
PC鋼棒12の下部が埋め込み固定され、前記転倒防止
用PC鋼棒12の中間部は、前記上部フーチング10に
埋め込み固定された縦管62内に間隙を設けて同心状に
配置され、転倒防止用PC鋼棒12の上端部の雄ねじ軸
部13には、上部フーチング10の上面から間隙Lを介
して、支圧板14およびナット15が螺合されて、前記
上部フーチング10が所定以上に、ロッキングして、転
倒するのを防止している。前記の転倒防止用PC鋼棒1
2と、縦管62との間隙(クリアランス)Sは、上部フ
ーチング10のロッキング時に、転倒防止用PC鋼棒1
2に過大な外力を作用させないために設けられ、また、
上部フーチング10の橋軸直角方向のロッキングに対し
ては、転倒防止用PC鋼棒12の上部に間隙(クリアラ
ンス)Lを設けて、必要以上にロッキングしないように
構成されている。
【0028】さらに、前記ベースフーチング1の橋軸直
角方向の両側部で、橋軸方向の両端部の4隅部には、上
部外周面に雄ねじ部16を備えている中空管体からなる
リフトアップ用スリーブ17が、図示を省略するがジベ
ル等により埋め込み固定され、前記ベースフーチング1
の上面から前記雄ねじ部16が露出するように構成さ
れ、前記リフトアップ用スリーブ体17を利用して、上
部フーチング10のレベルおよび傾斜調整(詳細は後記
する)を可能にしている。
【0029】前記上部フーチング10の橋軸方向の幅寸
法は、橋脚の高さ寸法にもよるが、レベル2の地震時
に、ベースフーチング1に対して、上部フーチング10
が剥離して、ロッキング振動が可能なように、適宜寸法
設定するとよい。このようにすることにより、レベル2
地震時には、上部フーチング10の下端で非線形挙動が
生じ、橋梁全体系としては、免震化される。
【0030】また、図3bに示すように、橋軸直角方向
の両側の前記転倒防止装置18の上部を防錆するため
に、断面溝形のキャップ状の保護コンクリート20から
なる防錆用保護キャップ21が複数の転倒防止装置18
を覆うように上部フーチング10に設置され、同様に、
前記各リフトアップ用スリーブ17の上部を防錆するた
めに、グリース等が雄ねじ部16塗布された後、断面溝
形のキャップ状の保護コンクリート20からなる防錆用
保護キャップ22が設置されている。
【0031】なお、前記の分離用シート9としては、前
記以外に金属製あるいは布製等他の適宜の面状(または
面板状)の部材を使用することができる。また、前記実
施形態では、ベースフーチング1と上部フーチング10
との間に、上部シート8と下部シート7の2層のシート
を介在させるようにしたが、ベースフーチング11と上
部フーチング10を剥離させるためのものであるので、
1層のシートを設けるようにしてもよい。
【0032】前記のように構成された2層分離型フーチ
ングを用いた基礎免震構造においては、レベル2地震時
には、上部フーチング10がロッキング振動すること
で、上部フーチング10の下端では、非線形挙動が生
じ、地震力を低減し、橋梁全体系としては、免震化され
る。
【0033】次に、地震時等に地盤23が沈下した場合
に、前記上部フーチング10のレベルおよび傾斜状態を
修復する場合について、図5〜図7を参照しながら説明
する。図5は、地震時等に地盤が断層変位して、本発明
のフーチング30および橋脚11が鉛直中心線Hに対し
て傾斜沈下した状態を示す縦断側面図、図6はリフトア
ップ用スリーブ17にジャッキ26のケーシング側を連
結して、上部フーチング10をリフトアップして、上部
フーチング10を水平にした状態を示す縦断側面図、図
7は、上部フーチング10を水平にリフトアップした状
態で、ベースフーチング1の上面にグラウト28を充填
硬化して、硬化したグラウトの水平な上面により支持面
29を形成した状態を示す縦断側面図である。
【0034】先ず、図5に示すように、地震時に基礎地
盤23が断層変位した場合、前記各リフトアップ用スリ
ーブ17を保護している防錆用保護キャップ22を取り
除き、図6に示すように、前記各リフトアップ用スリー
ブ17の内部に、前記分離用シート9に載置するよう
に、鋼棒製サドル24を挿入設置する。
【0035】次いで、各リフトアップ用スリーブ17の
上部の雄ねじ軸部16に、下部に押圧用可動ピストン2
5を備えている油圧ジャッキ26のケーシングに固定の
雌ねじ管体27を螺合連結し、油圧ジャッキにおけるピ
ストン杆25を短縮させた状態で、前記サドル26の上
面に載置する。その後、前記鋼製サドル26に反力をと
るようにして、沈下している側の各液圧ジャッキ26の
可動ピストン25を伸長し、相対的に沈下している側の
上部フーチング10を持ち上げる(リフトアップし)と
共に、各4隅の液圧ジャッキ26の伸縮量を調整して、
上部フーチング10全体を水平状態にする。
【0036】次いで、図7に示すように、ベースフーチ
ング1と上部フーチング10との周囲の間隙からグラウ
ト28を注入して、前記ベースフーチング1の上面(こ
の実施形態の場合は、剥離シート9の上面)に、上部フ
ーチング10の水平な下面に達するまでグラウト28を
充填し、硬化させ、前記硬化したグラウト28の水平な
上面により、水平な支持面29を形成する。
【0037】その後、各液圧ジャッキ26のピストン杆
25を短縮して、前記上部フーチング10を、前記硬化
したグラウト28の水平な支持面29に載置させる。な
お、前記サドル24はそのまま、残置してもよく、撤去
してもよい。前記サドル24を撤去する場合には、前記
サドル24の上端面に、雌ねじ孔を設けて、アイボルト
等の適宜の連結具を連結して、搬送撤去可能に構成して
もよい。
【0038】その後、前記転倒防止用PC鋼棒12と、
前記リフトアップ用スリーブ17の上端部防錆用に、前
記と同様に、防錆用保護キャップ21,22を設置し
て、修復作業を終了させる。
【0039】このように上部フーチング10のレベルお
よび傾斜修復された後では、上部フーチング10側(硬
化したグラウト28)の下面に、分離用シート9が介在
されているので、上部フーチング10とベースフーチン
グ1を剥離させることができ、地震時等に容易に剥離可
能な分離境界面を形成し、上部フーチング10のロッキ
ングを容易に行なわせることができる。
【0040】なお、前記サドル24の下面に当接される
部分の分離用シート9に開口部を設けて、前記上部フー
チング10をリフトアップする場合に、前記上下の分離
用シート9を上部フーチング10と共に、上昇移動でき
るように、前記分離用シート9における上部シート8を
上部フーチング10に接着剤等の適宜の手段により固定
し、また下部シート7を前記上部シート8または上部フ
ーチング10に保持させるようにしてもよい。このよう
にすると、分離用シート9における下部シート7の下方
側にグラウト28を打設することができる。なお、前記
のように修復した後に、再度断層変位した場合には、前
記と同様に再度上部フーチング10のレベルおよび傾斜
調整する。
【0041】<第2実施形態>次に本発明の第2実施形
態について、図8および図9を参照しながら説明する。
図8は、上部フーチング10の一部をプレキャスト製と
した形態を示す縦断側面図、図9(a)は第2実施形態
のプレキャスト製上部フーチング10を取り出して示す
平面図、図9(b)は(a)のC−C線断面図である。
【0042】この実施形態は、上部フーチング10の一
部をプレキャスト製とした形態で、ベースフーチング1
の上面と、前記ベースフーチング1の上面に載置された
プレキャスト製上部フーチング本体31の下部外面とに
より、分離境界面が形成されている2層分離型フーチン
グを用いた基礎免震構造を示す形態である。また、前記
実施形態の分離用シート9が省略されているが、その他
の構成は、前記実施形態と同様であるので、相違する部
分を主に説明し、同様な要素については、同一の符号を
付して説明を省略する。
【0043】図9に示すように、上部フーチング10を
構成する下面部および側面部が、一体型のプレキャスト
製上部フーチング本体31とされている。
【0044】前記プレキャスト製上部フーチング本体3
1は、鉄筋コンクリートの矩形状下面部フーチング32
と一体に、その周縁部に、橋軸方向両側の鉄筋コンクリ
ート製の側壁33および橋軸直角方向の側壁34からな
る矩形状周壁35が設けられて構成されて、上部が開放
されている箱型断面のプレキャスト製上部フーチング本
体31とされ、前記プレキャスト製上部フーチング本体
31の凹部36内には、上部フーチング本体31の橋軸
直角方向の両側部で、橋軸方向の中間部の下面部フーチ
ング32に、複数の縦管62の下部が埋め込み固定さ
れ、前記縦管62の上端部は、プレキャスト製上部フー
チング本体31の上端レベルに合致するように構成され
ている。前記縦管62の下部外周面には、適宜ずれ止め
ジベル等(図示を省略した)が固定されて、縦管62が
下面部フーチング32と一体に、かつ鉛直になるように
設置されている。
【0045】さらに、上部フーチング本体31の橋軸直
角方向の両側部で、橋軸方向の両端部の4隅部には、上
部外周面に雄ねじ部16を備えているリフトアップ用ス
リーブ17の下部にジベル等のずれ止め部材60が固定
され、前記リフトアップ用スリーブ17の下部が下面部
フーチング32に埋め込み固定されている。
【0046】なお、図示を省略するが、前記上部フーチ
ング本体31の凹部36内には、この内側に配筋された
後、打設されるコンクリート37との一体化を高めるた
めに、ジベル等のずれ止め部材が内向きに設けられる。
【0047】このように構成された上部フーチング本体
31が、ベースフーチング5内のベースフーチング1の
上面に載置されたのち、前記凹部36内に配筋され、場
所打ちのコンクリート37が一体に設けられて、上部フ
ーチング10が構成され、そのコンクリート37の上部
に鉄筋コンクリート製橋脚11の下部が一体に築造され
ている。この実施形態では、前記ベースフーチング1と
プレキャスト製上部フーチング本体31とその内部の鉄
筋コンクリート37との上部フーチング10とにより、
上下に分離可能なフーチング30が構成されている。そ
の他の構成は前記実施形態と同様である。
【0048】この実施形態のように、上部フーチング1
0の下部を箱型として、予め工場あるいは現場付近など
で築造しておくと、ベースフーチング1の上部に寸法精
度の高い上部フーチング10を築造することができ、ま
た、上部フーチング10の現場打ちコンクリート37の
部分を容易に打設することができ、ベースフーチング1
と上部フーチング10の側部の間隙Gも確実に設定する
ことができる。
【0049】<第3実施形態>図10および図11は、
本発明の第3実施形態を示すものであって、図10はプ
レキャスト製上部フーチング本体31の下部にフラット
ジャッキ39を配置した形態を示す縦断側面図、図11
は図10におけるプレキャスト製上部フーチングの下部
の一部を拡大して示す図である。
【0050】この実施形態は、プレキャスト製上部フー
チング本体31の下部の隅部4箇所に、例えばフラット
ジャッキ収納用凹部38を形成し、そのフラットジャッ
キ収納用凹部38に、フラットジャッキ39が配置さ
れ、前記プレキャスト製上部フーチング本体31の躯体
内に予め給液パイプ40が埋め込み固定され、その給液
パイプ40の出口とフラットジャッキ39の入口とは、
連結金具61により連結されて、フラットジャッキ39
に圧油または硬化性樹脂あるいはモルタル等の経時硬化
性材料を注入充填することができる。この実施形態のフ
ラットジャッキ39は、短縮した状態で、中央部の平行
な上下の各平板部41の周縁部に一体に連設された周側
部の中空環状膨出部40を備えている凹溝付円板状金属
製ジャッキ本体42と、上部凹溝43および下部凹溝4
4には、メッシュ(図示を省略)などにより耐圧補強さ
れた樹脂モルタル45が充填固化されている。なお、前
記フラットジャッキ39の上下に適宜高さ調整用の部材
を介在させるようにしてもよい。
【0051】この実施形態では、予め、プレキャスト製
上部フーチング本体31にフラットジャッキ39を収納
しているので、前記各実施形態のように、リフトアップ
用スリーブ17および鋼製サドル24および液圧ジャッ
キ26を設けなくても、上部フーチング10をリフトア
ップおよび傾斜調整することができる。
【0052】なお、前記フラットジャッキ39を、例え
ば、前記プレキャスト製上部フーチング本体31の凹部
38の天井面に固定するようにしてもよく、ベースフー
チング1の所定の位置に載置した後、プレキャスト製上
部フーチング本体31を載置するようにしてもよい。ま
た、給液パイプ40を下面部フーチング32に埋め込ん
で、側壁33(34)の内面に沿って上昇させて配管す
るようにしてもよい。その他の構成は、前記実施形態と
同様である。
【0053】<他の変形形態>前記実施形態では、基礎
地盤23に直接ベースフーチング1を設ける直接基礎形
式の形態について説明したが、本発明を実施する場合、
図13(a)に示すように、多数の基礎杭47上に、前
記各杭46の上部を埋め込むように、鉄筋コンクリート
製の箱型ベースフーチング基礎5を現場打ちで設け、そ
の箱型ベースフーチング基礎5に、分離用シート9を介
して現場打ちの上部フーチング10を築造するようにし
てもよく、あるいは前記箱型ベースフーチング基礎5
に、図示を省略するが、プレキャスト製の上部フーチン
グ本体31を載置するようにして、フーチング基礎を構
成するようにしてもよい。
【0054】また、図12(b)に示すように、ケーソ
ン48等の筒状構造物の上部に設けた頂版49をベース
フーチング1とすることもでき、前記頂版49からなる
ベースフーチング1の上部に、現場打ちの上部フーチン
グ10を構築してもよく、あるいは分離用シート9を介
在させて、上部フーチング10を構築するようにしても
よく、あるいはプレキャスト製上部フーチング本体31
を設置するようにしてもよい。ケーソン48の上部の筒
状壁部分を周壁4として、利用するようにしてもよい。
【0055】本発明を実施する場合、図13に示すよう
に、ベースフーチング1の上面を橋軸方向に波形の上面
50とし、また、前記ベースフーチング1の波形上面に
噛合うように、橋脚下端部の上部フーチング10の下面
を橋軸方向に波形の下面51として、上部フーチング1
0が橋軸方向に滑り移動するのを防止し、上部フーチン
グ10のロッキングが起こりやすいようにしてもよい。
【0056】また、本発明を実施する場合、図示を省略
するが、ベースフーチング1の凹部底部の上面全体を、
橋軸方向に曲率半径の大きい断面円弧状の凹部としても
よく、また上部フーチング10の下面全体を前記凹部に
嵌合するように、断面円弧状の凸部としてもよい。
【0057】本発明を実施形態する場合、上下のシート
7,8を比較的厚いゴム層とした場合は、上部フーチン
グ10の面積を大きくしても良いが、上部フーチング1
0を地震時にロッキングさせるには、上部フーチング1
0の橋軸方向の長さ寸法を小さくした方が、上部フーチ
ング10がロッキングしやすく、地震力を低減できる橋
脚11とフーチング30の免震構造とすることができ
る。
【0058】前記各実施形態において説明したように、
ベースフーチング1を直接基礎としてもよく、また、一
つの杭基礎、あるいは深礎杭基礎等の基礎に、ベースフ
ーチング1を設けるようにしてもよい。
【0059】また、前記実施形態においては、上部フー
チング10の橋軸直角方向のロッキングを防止するため
に、上部フーチング10の橋軸直角方向の両側部に、ロ
ッキングによる転倒防止用PC鋼棒12を備えた転倒防
止装置18を設けるようにしたが、本発明を実施する場
合、図示を省略するが、ベースフーチング1の上部に、
上部フーチング10の上面に間隙(クリアランス)を有
して対向する転倒防止用フランジを設けて、上部フーチ
ング10の橋軸直角方向の必要以上のロッキングを防止
し、必要以上のロッキングによる上部フーチング10を
含む橋脚11の転倒を防止するようにしてもよい。
【0060】前記実施形態では、主に地震時の断層変化
に対応するように説明したが、地震以外の地盤沈下で、
ベースフーチング1が変位(沈下)した場合にも、前記
と同様に、ジャッキ26で上部フーチング10を持ち上
げ、上下のフーチング10,1の空隙にグラウト28を
流し込み支持面29を形成することで、上部フーチング
10を正常な位置に戻すことができる。
【0061】前記実施形態では、上部フーチング10の
下面レベルより下方にグラウト28を充填硬化した後、
上部フーチング10を降下させるようにしたが、本発明
を実施する場合、上部フーチング10の下面レベルまで
グラウトを充填硬化するようにしてもよく、この場合
は、上部フーチング10とグラウトとの一時的な付着が
あるが、地震時の外力により、付着状態が解消されて、
非付着(分離可能な)状態にされる。
【0062】前記各実施形態のように、予めジャッキ2
6,39などを設置できる空間を上層の上部フーチング
10に設けることで、断層変位などの強制変位が生じた
場合に、ジャッキにより上部フーチング10を変位前の
位置に移動し、ベースフーチング1と上部フーチング1
0との空間にグラウト28を充填することで、修復する
ことが可能になる。
【0063】本発明を橋脚以外の建築物の下部あるい
は、建築物の柱下部の基礎免震構造に採用するようにし
てもよい。
【0064】本発明を実施する場合、前記分離用シート
9の構成として、上下の各シート7,8が、ゴム製シー
ト,合成樹脂製シートあるいは布製シートまたは金属製
シートまたはこれらの組み合わせられたシートにより構
成してもよい。
【0065】
【発明の効果】本発明によると、下記のような効果を奏
することができる。 フーチングを、上部フーチングとベースフーチングと
の2層構造とすることで、免震構造とすることができ、
また、全てのフーチングを備える基礎形式を対象とし
て、免震構造とすることが可能である。 本発明の2層分離型フーチングを用いた基礎免震構造
を、橋脚下部の基礎構造等に採用した場合は、地震時の
挙動はロッキング(回転)によるものなので、地震後の
残留変形が生じない。 地震時の応答が長周期領域の橋梁では、本発明の免震
構造を組み込んでも応答変位は増加しない。 本発明では、単にフーチングを分離しただけの単純な
構造であるので、損傷が生じた場合でも補修が容易であ
る。 断層変位などの強制変形に対しても、基礎の拘束条件
が緩和されることにより、構造系の強制変位に対する追
従性(安全性)が向上する。 断層変位などの強制変位が生じた場合、2層に分けた
フーチング間をジャッキで位置調整したのちに、コンク
リート等のグラウトを充填硬化することで、比較的容易
に強制変位に対する修復を行うことができる。 本発明の構造は、従来のように、免震支承などのデバ
イスを用いないので、経済的で維持管理の不要な免震構
造である。 本発明の補修工法によると、上部フーチングをリフト
アップした後、グラウトの充填硬化による支持面を形成
するだけであるので、比較的簡単に、上部フーチングの
レベル調整および傾斜調整を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すものであって、ラ
ーメン橋の基礎に適用した場合を示す一部縦断概略側面
図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す一部縦断側面図であ
る。
【図3】(a)は図2のA−A線断面図、(b)はリフ
トアップ用スリーブおよび転倒防止用PC鋼棒の頭部の
保護手段を設けた状態を示す一部切欠縦断側面図であ
る。
【図4】(a)は図2の一部を拡大して示す図、(b)
は転倒防止用PC鋼棒の頭部付近における保護手段の他
の形態を示す縦断側面図である。
【図5】地震時等に地盤が断層変化して、本発明のフー
チングおよび橋脚が傾斜沈下した状態を示す縦断側面図
である。
【図6】リフトアップ用スリーブにジャッキを連結し
て、上部フーチングをリフトアップして、上部フーチン
グを水平にした状態を示す縦断側面図である。
【図7】図6の状態からベースフーチングの上面にグラ
ウトを充填硬化して、硬化したグラウトの水平な上面に
より支持面を形成した状態を示す縦断側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示すものであって、上
部フーチングの一部をプレキャスト製とした形態を示す
縦断側面図である。
【図9】(a)は第2実施形態のプレキャスト製上部フ
ーチングを取り出して示す平面図、(b)は(a)のC
−C線断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示すものであって、
プレキャスト製上部フーチングの下部にフラットジャッ
キを配置した形態を示す縦断側面図である。
【図11】図10におけるプレキャスト製上部フーチン
グの下部の一部を拡大して示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示すものであって、
(a)は杭基礎上にベースフーチングを設けた形態を示
す縦断側面図、(b)はケーソンの頂版をベースフーチ
ングとした形態を示す縦断側面図、(c)は従来の構造
を示す縦断側面図である。
【図13】上部フーチングの下面およびベースフーチン
グの上面を橋軸方向に波形にした形態を示す概略縦断側
面図である。
【図14】従来のラーメン橋を示す一部縦断概略側面図
である。
【符号の説明】
1 鉄筋コンクリート製ベースフーチング 2 側壁 3 側壁 4 周壁 5 ベースフーチング基礎 6 サイドブロック 7 下部シート 8 上部シート 9 分離(剥離)用シート 10 上部フーチング 11 橋脚 12 転倒防止用PC鋼棒 13 雄ねじ軸部 14 支圧板 15 ナット 16 雄ねじ部 17 リフトアップ用スリーブ(中空管体) 18 転倒防止装置 20 保護コンクリート 21 防錆用保護キャップ 22 防錆用保護キャップ 23 基礎地盤 24 鋼棒製サドル 25 可動ピストン 26 油圧ジャッキ 27 雌ねじ管体 28 グラウト 29 支持面 30 分離可能なフーチング 31 プレキャスト製上部フーチング本体 32 下面部フーチング 33 側壁 34 側壁 35 周壁 36 凹部 37 鉄筋コンクリート 38 フラットジャッキ収納用凹部 39 フラットジャッキ 40 給液パイプ 41 平板部 42 凹溝付円板状金属製ジャッキ本体 43 上部凹溝 44 下部凹溝 45 樹脂モルタル 46 鋼管杭 47 基礎杭 48 ケーソン 49 頂版 50 波形の下面 51 波形の下面 52 従来のフーチング 53 積層ゴムブロック 54 基礎 55 ラーメン橋 56 橋体 57 傾斜面 58 傾斜面 59 アンカープレート 60 ずれ止め部材 61 連結金具 62 縦管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町 勉 東京都千代田区平河町2丁目1番1号 オ リエンタル建設株式会社内 Fターム(参考) 2D046 DA03 DA12 2D059 AA03 GG05 GG39

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎構造におけるフーチングを、ベース
    フーチングと、これに支持されて地震時に分離可能な上
    部フーチングとの2層にしたことを特徴とする2層分離
    型フーチングを用いた基礎免震構造。
  2. 【請求項2】 前記ベースフーチングに上部フーチング
    の横移動を規制するサイドブロックを設けたことを特徴
    とする請求項1に記載の2層分離型フーチングを用いた
    基礎免震構造。
  3. 【請求項3】 上部フーチングとベースフーチングとの
    間に介在された上下のシートの境界面により分離境界面
    が形成されていることを特徴とする請求項1または2に
    記載の2層分離型フーチングを用いた基礎免震構造。
  4. 【請求項4】 分離境界面を介して上部フーチングとベ
    ースフーチングの上下2層に分離可能に構成された2層
    分離型フーチングを用いた基礎免震構造であって、前記
    ベースフーチングと上部フーチングとの間にグラウトを
    充填するために、前記上部フーチングがベースフーチン
    グに対して昇降可能に支持されていることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の2層分離型フーチング
    を用いた基礎免震構造。
  5. 【請求項5】 分離境界面を介して上部フーチングとベ
    ースフーチングの上下2層に分離可能に構成された2層
    分離型フーチングを用いた基礎免震構造を補修するに際
    し、前記上部フーチングをリフトアップした後、前記ベ
    ースフーチングの上面にグラウトを充填硬化して、前記
    硬化したグラウトの上面により支持面を形成し、その
    後、前記支持面に上部フーチングを載置することを特徴
    とする2層分離型フーチングを用いた基礎免震構造の補
    修工法。
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