JP2003301260A - 巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置 - Google Patents

巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置

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JP2003301260A JP2002110134A JP2002110134A JP2003301260A JP 2003301260 A JP2003301260 A JP 2003301260A JP 2002110134 A JP2002110134 A JP 2002110134A JP 2002110134 A JP2002110134 A JP 2002110134A JP 2003301260 A JP2003301260 A JP 2003301260A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】巻き取り式電子ビーム真空蒸着法において、プ
ラスチックフィルム等に酸化珪素等の絶縁性からなる蒸
発物質を蒸着する際、放出される2次電子の入射によ
り、プラスチックフィルム等に負の電荷が帯電し、巻き
取る直前に異常放電が発生し、蒸着膜の損傷・破壊を招
く問題を解決する方法を提供する。 【解決手段】プラスチックフィルム等2に蒸発物質7を
蒸着する際、2次電子の入射による負電荷の帯電を除去
する除電装置10を巻き取り装置6の直前に配置するこ
と、更に真空蒸着装置14内部の圧力を不活性ガス13
の供給によって常に一定に保持することにより、除電効
果を安定化し、帯電に起因する異常放電による蒸着膜の
損傷・破壊を招く問題を解決する方法を提供することに
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックフィ
ルム等単体では達成できない特性を付与する目的で絶縁
性金属酸化物等の蒸発物質をフィルム面に成膜する巻き
取り式電子ビーム真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックフィルム等単体では
達成できない特性を付与する為、金属、有機・無機化合
物等を各種の成膜技術によりフィルム面に成膜した各産
業用途向けの新素材が開発されている。各種の物質を成
膜する際、いろいろな方法があるが、本発明に関するよ
うな、金属や金属酸化物等を薄膜成膜する方法には、真
空蒸発源の区分により、真空蒸着法、イオンプレーティ
ング法、スパッタリング法等がある。特に、プラスチッ
クフィルム等の蒸着用の基材がウェブシートである場合
は、真空蒸着法による薄膜成膜法が広く利用されてい
る。
【0003】真空蒸着法においては、被蒸着体の形態か
ら、3つの方式があり、バッチ方式:成形品の蒸着方
式、巻き取り式半連続方式:ロール状のウェブシート
が対象で真空系の中で巻き出し・蒸着・巻き取り後、大
気系に再度戻し、蒸着製品を取り出す方式、巻き取り
式完全連続方式:ロール状のウェブシートが対象でアン
ワインダー(巻き出し装置)とリワインダー(巻き取り
装置)を大気系に配置し、蒸着ドラムや蒸発源を真空系
に配置してロール状のウェブシートに蒸発物質を蒸着す
る方式であって、一般的にair to air方式と呼ばれる完
全連続方式で生産性が高い特徴がある方式である。
【0004】ロール状のウェブシートに蒸発物質を蒸着
する場合は、特に巻き取り式半連続方式が普及してい
る。その巻き取り式真空蒸着装置の構成要素と作業工程
の概略、更に真空蒸着装置の内部構造について記述す
る。先ず、構成要素は、ロール状ウェブシート、蒸発
源、蒸発物質、蒸着ドラム、真空系統、アンワインダー
(巻き出し装置)、リワインダー(巻き取り装置)、ガ
イドロール等である。
【0005】次に作業工程の概略について記述する。先
ず前準備として真空蒸着装置の扉を開け、ロール状のプ
ラスチックフィルム等のウェブシートをアンワインダー
(巻き出し装置)にセットし、アンワインダーと蒸着ド
ラム間に配置されているガイドロールを介して、前記ウ
ェブシートを蒸着ドラムまで走行させ、更にリワインダ
ー(巻き取り装置)との間に配置されているガイドロー
ルを介して、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取
り、前記ウェブシートへの蒸発物質の蒸着準備が終了す
る。
【0006】次に、真空蒸着装置の扉を閉じて、真空ポ
ンプにより、真空蒸着装置内の真空吸引定圧室と隔壁に
より分割された真空蒸着室を所定の真空環境にする。ア
ンワインダーから前記ウェブシートを繰り出し、ガイド
ロールを介して走行させた前記ウェブシートに、蒸着ド
ラムの下部に配置されている蒸発源から蒸発物質を各種
の方法で加熱蒸発させて前記ウェブシートに蒸着させ
る。蒸着ドラムは冷却されているので前記ウェブシート
に蒸発物質を再結晶化させて固着させる。更に、リワイ
ンダー側のガイドロールを介して蒸着された前記ウェブ
シートはリワインダーに巻き取られる。
【0007】真空蒸着装置の内部構造は、真空吸引定圧
室と真空蒸着室に隔壁で分割されている。真空吸引定圧
室はアンワインダー、ガイドロール、張力制御装置、速
度制御装置、位置制御装置、蒸着ドラムの一部、リワイ
ンダー等が配置されている。真空蒸着室は蒸着ドラムの
一部と蒸発源とその加熱装置等が配置されている。真空
蒸着装置本体の周辺に付属して配置されている真空ポン
プにより、真空吸引定圧室は真空度が1×100MPa程
度、隔壁を介して設けた真空蒸着室は1×10 -2MPa
(SI単位)程度にセットされる。2つに室が隔壁で分
割されているので、真空吸引定圧室で前記ウェブシート
から発生したガスなどの不純物(ダスト)は、真空蒸着
室での蒸着時に悪い影響を与えることは少ない。また、
逆に真空蒸着室に配置されている蒸発源からの放射熱
は、真空吸引定圧室への影響は少ないので前記ウェブシ
ートへの熱の影響は少ない。
【0008】昨今、前記ウェブシートへの蒸発物質の蒸
着目的が、単なる金属光沢を付与する装飾目的やガスバ
リア性を有するアルミ箔の代替目的から、臭気を吸着す
るなど特殊な化学的性能、或いは光の反射防止など特殊
な物理的性能付与を目的とした前記ウェブシートへの薄
膜成膜が増加している。そのため基材となる前記ウェブ
シート自身や蒸発物質も用途、要求品質、成膜条件に適
合することが、品質の良い薄膜を得るための重要なファ
クターである。
【0009】例えば、真空蒸着法に適した前記ウェブシ
ートについて述べると、次のようなことが必要とされて
いる。蒸発物質との密着性を高めたり、蒸着面の平滑
性を向上させる為、真空の環境下で水分、残留溶剤、可
塑剤、未反応モノマー等のガスを極力放出しないこと、
蒸発物質との密着性を高める為、前記ウェブシート表
面は蒸発物質との相溶性を有すること、蒸発源からの
輻射熱と蒸発物質の凝縮熱により、前記ウェブシートが
熱収縮変形を起こさないようにする為、耐熱性を有する
こと。ロール状で連続的に蒸着加工するので、その間
におけるしわ、たるみ、硬度ムラ発生防止の為、前記ウ
ェブシートは厚みが均一であること、前記ウェブシート
のしわや巻きズレを防止する為にも前記ウェブシートは
適度な滑り性を有すること等が前記ウェブシートに求め
られている。
【0010】現在、これらの要求に比較的対応できるウ
ェブシートとしては、ポリエステルフィルム(ポリエチ
レンテレフタレート)やポリプロピレンフィルム等ポリ
オレフィン系の樹脂からなるプラスチックフィルムが使
用されている。
【0011】次に、蒸発源となる蒸発物質も従来は、主
にアルミ(Al)等の単体金属が使用されていたが、前
記ウェブシートにバリア性や、環境にやさしいエコロジ
ー性、食品包装されたままの状態で電子レンジを使用し
て調理できる利便性等を兼ね備えた性能を有することを
目的として、酸化珪素(SiO2)やアルミナ(Al2
3)等の絶縁性金属酸化物を使用する必要性が出てき
た。
【0012】真空蒸着法も、加熱方法により、間接抵
抗法、直接抵抗加熱法(ワイヤフィード法)、高周
波誘導加熱法、電子ビーム法(electoron beam、略
してEB法)の4つの方法があるが、蒸発物質が酸化珪
素やアルミナ等の絶縁性金属酸化物を使用する場合は、
電子ビーム法が最適である。
【0013】巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発
物質に直接、電子ビームを照射して加熱蒸発させる方法
で、特に蒸発物質が酸化珪素やアルミナ等の絶縁性金属
酸化物の真空蒸着法として注目されている。電子ビーム
は、蒸発物質表面を加熱する熱源で、蒸発物質表面上を
スキャンして、電子ビームがあたった部分でエネルギー
を変換し、蒸発物質を蒸発させる。電子ビームの最大の
特徴は、高融点の金属はもとより、酸化珪素やアルミナ
のような絶縁性金属酸化物を蒸着できることにある。
【0014】蒸発物質が金属単体のような導電体の場合
は、蒸着膜の密着性の向上を目的に行う、前記ウェブシ
ートのグロー放電プラズマ処理が帯電の除去にも効果が
あった。ところが、絶縁性を有する酸化珪素やアルミナ
のような蒸発物質の場合には、蒸発物質への電子ビーム
照射に伴なって、蒸発物質から放出される2次電子が多
量に発生し、前記ウェブシートに入射する為、グロー放
電プラズマ処理による帯電除去効果は完全でなく蒸着ド
ラムから前記ウェブシートを剥離する時、帯電による剥
離放電が発生し、蒸着膜が損傷・破壊されるという問題
が指摘されている。
【0015】これらの対策として、例えば特開平05−
86470号に示されているように、絶縁体フィルム表
面の極性を測定し、帯電極性と逆極性の電位を印加し
て、初期帯電を除去し、更に高周波グロー放電プラズマ
により、更なる帯電除去と負電位化処理を巻き出しロー
ルとコーティングドラムとの間で施し、絶縁体フィルム
表面を一様な負電位にすることにより絶縁性物質からな
る蒸発材料の蒸着時に入射してくる2次電子を、電気的
に反発して入射を減少させる方法により、2次電子によ
る絶縁体フィルムの帯電に起因するコーティングドラム
との剥離放電を抑止する方法がある。
【0016】また、特開平07−150355号に示さ
れているように、高分子フィルム等の基材に蒸着した
後、蒸着ドラムから剥離する部分に当該蒸着ドラムに接
するように接地された導電性を有する補助ロールにより
除電する方法等、前記ウェブシートの帯電に起因する問
題を解決するためにいろいろな解決方法が提案され前記
ウェブシートが蒸着ドラムから剥離する際の剥離放電は
抑止された。
【0017】しかしながら、これらの方法でも、蒸発物
質から放出された2次電子を前記ウェブシートから完全
に除去できず、前記ウェブシートに帯電したままの2次
電子の負の電荷が、リワインダーに巻き取られる直前に
巻き取り張力により、前記ウェブシートの表裏がスリッ
プ摩擦を起こし、そのエネルギーで異常放電し、前記ウ
ェブシートの表裏を溶融させ、前記ウェブシート同士が
溶着(ブロッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招く問
題が新たに指摘されている。
【0018】更に、真空蒸着装置の真空吸引定圧室内部
の圧力が変動すると、前記ウェブシートの帯電をグロー
放電プラズマ型の除電装置で除去する時、グロー放電プ
ラズマが安定して励起する圧力範囲外となり、除電効果
が不安定であることも指摘されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、巻き取
り式電子ビーム真空蒸着法による酸化珪素やアルミナ等
の絶縁性金属酸化物の蒸発物質を前記ウェブシートに蒸
着すると、前記ウェブシートが、絶縁性蒸発物質から放
出される2次電子の入射により、前記ウェブシートに負
の電荷が帯電する。これらは、特開平05−86470
号、特開平07−150355号等により解決方法が提
案され、前記ウェブシートが蒸着ドラムから剥離する際
の2次電子の帯電に起因する剥離放電による蒸着膜の損
傷・破壊を招く問題は解決された。
【0020】しかしながら、これらの方法でも、蒸発物
質から放出された2次電子を前記ウェブシートから完全
に除去できず、前記ウェブシートに帯電したままの2次
電子の負の電荷が、リワインダーに巻き取られる直前に
巻き取り張力により、前記ウェブシートの表裏がスリッ
プ摩擦を起こし、そのエネルギーで異常放電し、前記ウ
ェブシートの表裏を溶融させ、前記ウェブシート同士が
溶着(ブロッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招く問
題が新たに指摘されている。
【0021】更に、真空蒸着装置の真空吸引定圧室内部
の圧力が変動すると、前記ウェブシートの帯電をグロー
放電プラズマ型の除電装置で除去する時、グロー放電プ
ラズマが安定して励起する圧力範囲外となり、除電効果
が不安定であることも指摘されている。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決する為に成されたもので、本発明の請求項1
に係る発明は、アンワインダー(巻き出し装置)1から
連続的に送り出されるプラスチックフィルム等(ウェブ
シート)2を、真空吸引定圧室15内に設置された所定
走行ラインにて走行させてリワインダー(巻き取り装
置)6で巻き取ると共に、前記走行ラインの途中に配置
されている真空蒸着室16にて蒸着ドラム4上で、電子
ビーム20を照射して蒸散する絶縁性の物質からなる蒸
発物質7の蒸気を前記ウェブシート2に連続的に蒸着す
るように構成され、巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置
14において、蒸発物質7が放出する2次電子の入射に
起因する前記ウェブシート2の負電荷の帯電を除去する
除電装置10を、リワインダー(巻き取り装置)6の直
前に配置したことを特徴とする巻き取り式電子ビーム真
空蒸着装置である。
【0023】本発明の請求項2に係る発明は、請求項1
記載の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置14におい
て、前記定圧室15内部の圧力を不活性ガス13の供給
によって常に一定に保持することにより、前記ウェブシ
ート2の除電効果を安定化させることを特徴とする巻き
取り式電子ビーム真空蒸着装置である。
【0024】本発明の請求項3に係る発明は、請求項1
又は2記載の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置14に
おいて、直流電源10aを使用した陰極グロー放電プラ
ズマ型除電装置10により、前記ウェブシート2の負電
荷の帯電を除去することを特徴とする巻き取り式電子ビ
ーム真空蒸着装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の巻き取り式電子ビーム真
空蒸着装置の実施の形態を以下に詳細に説明する。
【0026】図1は本発明による巻き取り式電子ビーム
真空蒸着装置の全体概略図である。図1において、前記
真空蒸着装置14の扉を開け、ロール状のプラスチック
フィルムによるウェブシート2をアンワインダー(巻き
出し装置)1にセットし、アンワインダー1と蒸着ドラ
ム4間に配置されているアンワインダー側のガイドロー
ル3を介して、蒸着ドラム4まで走行させ、更にリワイ
ンダー(巻き取り装置)6との間に配置されているリワ
インダー側のガイドロール5を介して、リワインダー
(巻き取り装置)に巻き取り、前記ウェブシートの蒸着
準備を完了する。
【0027】次に、真空蒸着装置14の扉を閉じて、真
空吸引定圧室15の真空ポンプ接続口17と真空蒸着室
16の真空ポンプ接続口18とで接続されている真空ポ
ンプより、真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15と真
空蒸着室16を所定の真空環境にする。アンワインダー
1から前記ウェブシート2を繰り出し、ガイドロール3
を介して、蒸着ドラム4の下部に配置されている蒸発源
8から、蒸発物質7を電子ビーム20で加熱し、蒸発さ
せて前記ウェブシート2に蒸着する。蒸着ドラム4は冷
却されているので前記ウェブシート2に蒸発物質7を再
結晶化させ固着させる。更に、リワインダー側のガイド
ロール5を介して蒸着された前記ウェブシート2はリワ
インダー6に巻き取られる。
【0028】巻き取り式真空蒸着装置14の内部構造
は、隔壁9により真空吸引定圧室15と真空蒸着室16
に分割されている。真空吸引定圧室15はアンワインダ
ー1、ガイドロール3、蒸着ドラム4の一部、除電装置
10、リワインダー6の他、制御系として張力制御装
置、速度制御装置、位置制御装置等が配置されている。
真空蒸着室16は蒸着ドラムの一部と蒸発源8や電子ビ
ーム照射装置等が配置されている。真空蒸着装置14の
周辺に付属して配置されている真空ポンプにより、真空
吸引定圧室15は真空度が1×100MPa程度、真空蒸
着室16は1×10 -2MPa程度にセットされる。2つ
に室が隔壁9によって分割されているので、真空環境下
で前記ウェブシート2から発生したガスなどの不純物、
真空蒸着室16での蒸着時に悪い影響を与えることは少
ない。また、逆に真空蒸着室16に配置されている蒸発
源8からの放射熱は、真空吸引定圧室15への影響は少
ないので前記ウェブシート2への熱の影響は少ない。
【0029】巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発
物質7に直接、電子ビーム20を照射して加熱蒸発させ
る方法で特に、蒸発物質7が酸化珪素やアルミナ等の絶
縁性金属酸化物の真空蒸着には最適である。電子ビーム
20は、蒸発物質7表面を加熱する熱源で、蒸発物質7
表面上をスキャンして、電子ビーム20があたった部分
でエネルギーを変換し、蒸発物質7を蒸発させる。電子
ビーム20の最大の特徴は、高融点の金属はもとより、
酸化珪素やアルミナのような絶縁性金属酸化物からなる
蒸発物7を蒸着できることにある。
【0030】従来、蒸発物質7が金属単体のような導電
体の場合は、蒸着膜の密着性の向上を目的に行う、前記
ウェブシート2のグロー放電プラズマ処理が帯電の除去
にも効果があった。ところが、前記の絶縁性を有する酸
化珪素やアルミナのような蒸発物質7の場合には、蒸発
物質7への電子ビーム20照射に伴なって、蒸発物質7
から放出される2次電子の量が多く発生し、前記ウェブ
シート2に入射する為、グロー放電プラズマの前処理だ
けでは完全に帯電を除去できず、その解決方法がいろい
ろと提案され前記ウェブシート2が蒸着ドラムから剥離
する際の2次電子の帯電に起因する剥離放電による蒸着
膜の損傷・破壊を招く問題は解決された。
【0031】しかしながら、前記ウェブシート2に帯電
した2次電子の負の電荷の除去が完全でなく、リワイン
ダー6に巻き取られる直前に巻き取り張力により、前記
ウェブシート2の表裏がスリップ摩擦を起こし、そのエ
ネルギーで異常放電し、前記ウェブシート2の表裏を溶
融させ、前記ウェブシート2同士が溶着(ブロッキン
グ)して蒸着膜の損傷・破壊を招くという問題が新たに
発生した。
【0032】そこで、いろいろな解決方法を検討した結
果、前記ウェブシート2に残存する2次電子の負の電荷
を除去する除電装置10を、前記ウェブシート2を巻き
取るリワインダー6の直前に配置することが最適である
ことが判明した。
【0033】更に、巻き取り式真空蒸着装置14の真空
吸引定圧室15内部の圧力が変動すると、グロー放電プ
ラズマが安定して励起する圧力範囲外となり、除電効果
が不安定であることも指摘されている。
【0034】そこで巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置
14の周辺に、真空計11、アルゴンガス流量制御装置
12からなるアルゴンガス供給装置を配置して、アルゴ
ンガスの供給を適宜自動的に行い、真空蒸着装置14の
真空吸引定圧室15内部の圧力を常に一定に保持する
と、除電装置10による前記ウェブシート2の帯電を除
電する効果が安定することも判明した。
【0035】図2は、図1における前記ウェブシート2
が走行する電極が平行プレート型の陰極グロー放電プラ
ズマ型除電装置10の概略構成断面図である。
【0036】図2において、10aは直流電源、10b
は陰極、10cは接地対極をそれぞれ示している。ここ
で、陰極10b、接地対極10cは、図示のように平行
プレート型となっている。
【0037】
【実施例】上記発明の実施例を下記に図1と図2を用い
て説明する。
【0038】〈実施例1〉図1に示すような、真空蒸着
装置14の扉を開け、アンワインダー(巻き出し装置)
1にロール状の前記ウェブシート2をセットし、アンワ
インダー1と蒸着ドラム4間に配置されているアンワイ
ンダー側のガイドロール3を介して、蒸着ドラム4まで
走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)6との間
に配置されているリワインダー側のガイドロール5を介
して、リワインダー(巻き取り装置)6に巻き取り、前
記ウェブシート2の蒸着準備を完了する。
【0039】次に、蒸発物質7としては、酸化珪素(S
iO2)[アルミナ(Al23)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化カルシュウム(CaO)、酸化バリュウム
(BaO)等の酸化物も使用可能]を蒸発源8にセット
した。
【0040】次に、真空蒸着装置14の扉を閉じて、真
空吸引定圧室15の真空ポンプ接続口17と真空蒸着室
16の真空ポンプ接続口18とで接続されている真空ポ
ンプより、真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15を真
空度が1×100MPa程度、真空蒸着室16は1×1
-2MPa程度になるまで排気した。
【0041】次に、真空計11、アルゴンガス流量制御
装置12からなるアルゴンガス供給装置から、真空蒸着
装置14の真空吸引定圧室15内部にアルゴンガスの供
給を適宜自動的に行った。真空蒸着装置14の真空吸引
定圧室15内部の圧力を常に一定に保持したので、除電
装置10の除電効果も安定した。
【0042】次に、除電装置10の直流電源10Aを入
れ作動させ、グロー放電プラズマを除電装置10に発生
させた。
【0043】次に、アンワインダー1から前記ウェブシ
ート2を繰り出し、ガイドロール3を介して、走行さ
せ、蒸着ドラム4上で電子ビーム20を照射して酸化珪
素(SiO2)を前記ウェブシート2上に連続的に蒸着
した。更に、リワインダー側のガイドロール5を介して
蒸着された前記ウェブシート2は、安定したグロー放電
プラズマを発生している除電装置10を通過することに
より、蒸着の際に前記ウェブシート2に入射した2次電
子の負の電荷はグロー放電プラズマにより発生する陽イ
オンにより中和された。その結果、リワインダー6に巻
き取る直前に発生する帯電に起因する異常放電も起こら
ず、蒸着膜の損傷・破壊のない前記ウェブシート2をリ
ワインダー6に巻き取った。
【0044】〈比較例1〉比較例として、除電装置10
を作動させないで、その他は実施例1と同様の方法で蒸
着を行っ た結果、2次電子の負電荷は中和されず、リ
ワインダー6に巻き取られる直前に巻き取り張力に よ
り、前記ウェブシート2の表裏がスリップ摩擦を起こ
し、そのエネルギーで異常放電が発生し 、前記ウェブ
シート2の表裏を溶融させ、前記ウェブシート2同士が
溶着(ブロッキング)して 蒸着膜の損傷・破壊を招い
てしまった。
【0045】
【発明の効果】本発明により、プラスチックフィルム等
単体では達成できない特性を付与する目的で、巻き取り
式電子ビーム真空蒸着装置で絶縁性のある金属酸化物等
の蒸発物質を成膜する際、蒸発物質から放出される2次
電子がプラスチックフィルム等のウェブシートに負電荷
の帯電をもたらし、リワインダー(巻き取り装置)に巻
き取られる直前に異常放電を起こし、前記ウェブシート
の表裏を溶融させ、前記ウェブシート同士が溶着(ブロ
ッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招く問題を解決
し、均一で高品質な蒸着膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置の
全体構成図。
【図2】本発明における陰極グロー放電プラズマ型除電
装置の概略構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1・・・アンワインダー(巻き出し装置) 2・・・プラスチックフィルム等のウェブシート 3・・・アンワインダー側ガイドロール 4・・・蒸着ドラム 5・・・リワインダー側ガイドロール 6・・・リワインダー(巻き取り装置) 7・・・蒸発物質 8・・・蒸発源 9・・・真空吸引定圧室と真空蒸着室の隔壁 10・・・陰極グロー放電プラズマ型除電装置 10a・・・直流電源 10b・・・陰極 10c・・・接地対極 11・・・真空計 12・・・アルゴンガス流量制御装置 13・・・アルゴンガス供給口 14・・・真空蒸着装置 15・・・真空吸引定圧室 16・・・真空蒸着室 17・・・真空吸引定圧室用真空ポンプ接続口 18・・・真空蒸着室用真空ポンプ接続口 19・・・電子ビーム放射装置接続口 20・・・電子ビーム

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アンワインダーから連続的に送り出される
    プラスチックフィルム等ウェブシートを、真空吸引定圧
    室内に設置された所定走行ラインにて走行させてリワイ
    ンダーで巻き取ると共に、前記走行ラインの途中に配置
    されている真空蒸着室にて蒸着ドラム上で、電子ビーム
    を照射して蒸散する絶縁性の物質からなる蒸発物質の蒸
    気を前記ウェブシートに連続的に蒸着するように構成さ
    れた巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置において、蒸発
    物質が放出する2次電子の入射に起因する前記ウェブシ
    ートの負電荷の帯電を除去する除電装置を、リワインダ
    ーの直前に配置したことを特徴とする巻き取り式電子ビ
    ーム真空蒸着装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の巻き取り式電子ビーム真空
    蒸着装置において、前記真空吸引定圧室内部の圧力を不
    活性ガスの供給によって常に一定に保持することによ
    り、前記ウェブシートの除電効果を安定化させることを
    特徴とする巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の巻き取り式電子ビー
    ム真空蒸着装置において、直流電源を使用した陰極グロ
    ー放電プラズマ型除電装置により、前記ウェブシートの
    負電荷の帯電を除去することを特徴とする巻き取り式電
    子ビーム真空蒸着装置。
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