JP2003300219A - プラスチックミラー及びその製造方法 - Google Patents

プラスチックミラー及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003300219A
JP2003300219A JP2002105979A JP2002105979A JP2003300219A JP 2003300219 A JP2003300219 A JP 2003300219A JP 2002105979 A JP2002105979 A JP 2002105979A JP 2002105979 A JP2002105979 A JP 2002105979A JP 2003300219 A JP2003300219 A JP 2003300219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vapor deposition
base material
plastic
softening temperature
intermediate member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002105979A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Watabe
順 渡部
Yasuki Sugimoto
泰規 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2002105979A priority Critical patent/JP2003300219A/ja
Publication of JP2003300219A publication Critical patent/JP2003300219A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】大型であっても、鏡面精度が高く、反射率が高
いプラスチックミラーを、単純な工程、短い成形サイク
ルで能率的に製造できる方法を工夫すること。 【解決手段】予め作製された熱可塑性プラスチック基材
(基材)に、中間層となる第1のプラスチック部材(中
間部材)、表面層となる金属蒸着層が形成されている第
2のプラスチック部材(蒸着部材)を積層し、基材の、
軟化温度Tと中間層の軟化温度Tと表面層の軟化温
度Tの関係が、T>T、T>Tの関係にある
プラスチック部材を準備し、前記基材と中間部材と蒸着
部材を積層後、当該積層体を上記軟化温度T以上、上
記軟化温度Tと上記軟化温度Tよりも低い温度に加
熱し、中間部材だけを軟化させるとともに、前記型部材
を蒸着部材に接触させ、積層体を加圧することによっ
て、前記基材と中間部材と蒸着部材とを密着一体化させ
るとともに、前記型部材の転写面を蒸着部材に転写し、
次いで上記構成部材、すなわち、基材、中間部材、蒸着
部材が熱変形温度以下になったとき、一体化された積層
プラスチック部材を取り出すこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高精度な鏡面を有す
るプラスチックミラーの製造方法に関するものであり、
高強度、高精度なプラスチックミラーを低コストで製造
することができるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザープリンターや複写等の光
走査に用いられるポリゴンミラーやfθミラー、プロジ
ェクションテレビの光路折曲に用いられる大型ミラーに
は、軽量化、低コスト化、少量多品種への対応等の理由
によりプラスチックからなるものが多用されている。こ
のようなプラスチックミラーは、従来、高精度な金型鏡
面を射出成形、射出圧縮成形等によって転写した後、そ
の成形品の鏡面部に金属蒸着等によって、所定の金属反
射膜を形成することによって製造されていた。しかしこ
のような基材表面に金属蒸着するプラスチックミラーの
製造方法では、プラスチック成形とは別に蒸着装置が必
要となり設備費用が高くなる。また、バッチ処理によっ
て金属蒸着を行うが、特にプロジェクションテレビに用
いられる大型ミラーのような大面積に金属蒸着する場
合、1バッチ当たりの取り数が少なくなるため、その成
形品1個当たりのコストが非常に高くなる。更には、プ
ラスチック成形品の鏡面部に凹凸がある場合には均一な
金属反射膜を形成することができないという問題があ
る。
【0003】そのような問題の解決方法として特開平6
−38860号公報に記載されている「プラスチック鏡
及びその製造方法」がある。これは、金属蒸着によるも
のではなく、プラスチック成形品に界面活性剤を塗布し
た状態で、銀メッキ法にて、銀薄膜層を形成することに
よって反射膜を形成するものである。しかし、この場合
にはメッキ膜を保護するためにメッキ後にオーバーコー
トを施す必要があり、そのための塗装工程が増えるので
コストアップとなる。また、メッキの廃液処理が必要で
あるので、作業環境が悪化する等の問題がある。
【0004】また、特開平3−82513号公報、特開
平5−154933号公報に記載されている「光学反射
ミラー及びその製造方法」、特開平10−264201
号公報に記載されている「金属蒸着インサートフィルム
と金属蒸着インサート成形品の製造方法」では、金属蒸
着層が形成された転写用シートを金型内に配設し、金型
内に溶融樹脂を射出して、プラスチック成形品と転写用
シートを一体化することで、成形後の蒸着工程を不要に
し、低コスト化を実現している。しかし、この場合は、
通常の射出成形によるものであるため、高精度な成形品
を得ることはできない。特に、ミラー形状が肉厚、偏
肉、大面積のものに対しては、プラスチック成形時の温
度分布や圧力分布の影響を受けるので、高精度な成形品
は得られない。また、成形時に樹脂の流動をともなうた
め、フィルムに皺や亀裂が生じやすいといった問題もあ
る。
【0005】他方、特開平6−182783号公報に記
載されているプラスチックミラーの製造方法は、略最終
形状に加熱された母材及び金属反射膜が形成されたプラ
スチックフィルムを成形金型キャビティ内に挿入した
後、型締めし、母材のガラス転移温度以上に加熱し、キ
ャビティ内に樹脂内圧を発生させて鏡面を転写させ、次
いで冷却して熱変形温度以下になったところでキャビテ
ィから取り出すものである。成形品の精度を出すために
は、母材を構成樹脂のガラス転移温度以上まで加熱し
て、その後徐冷する工程が必要であるため、非常に成形
サイクルが長くなり、成形コストが高くなるという問題
がある。また、母材加熱時に金属反射膜が形成されたプ
ラスチックフィルムも同時に加熱溶融され、そこに形成
してあった金属反射膜に罅や亀裂が入るので、高い反射
率が維持されないという問題がある。
【0006】
【解決しようとする課題】そこでこの発明は、大型であ
っても鏡面精度が高く、反射率が高いプラスチックミラ
ーを、単純な工程、短い成形サイクルで能率的に製造で
きる方法を工夫することをその課題とするものである。
【0007】
【課題解決のために講じた手段】(請求項1に対応)上
記課題解決のために工夫した製造方法は、次の(イ)〜
(ホ)によるものである。 (イ)予め作製された熱可塑性プラスチック基材(基
材)に、中間層となる第1のプラスチック部材(中間部
材)、表面層となる金属蒸着層が形成されている第2の
プラスチック部材(蒸着部材)を積層し、上下両型部材
で加圧して、その鏡面を蒸着部材に転写するとともに、
これらを一体化するプラスチックミラーの製造方法であ
って、(ロ)基材の軟化温度Tと中間層の軟化温度T
と表面層の軟化温度Tが、T>T、T>T
の関係にあるプラスチック部材を用い、(ハ)前記基材
と中間部材と蒸着部材を積層後、当該積層体を、上記軟
化温度T以上で、上記軟化温度Tと上記軟化温度T
よりも低い温度に加熱し、(ニ)中間部材だけを軟化
させた状態で、前記型部材を蒸着部材に接触させ、積層
体を加圧することによって、前記基材と中間部材と蒸着
部材とを一体化させるとともに、前記型部材の転写面を
蒸着部材に転写し、(ホ)次いで上記構成部材、すなわ
ち、基材、中間部材、蒸着部材が熱変形温度以下になっ
たとき、一体化された積層プラスチック部材を取り出す
こと。
【0008】
【作用】型部材を蒸着部材に接触させ、基材、中間部
材、蒸着部材の積層体を加圧することによって、前記基
材と中間部材と蒸着部材とを一体化させるとともに、前
記型部材の転写面を蒸着部材に転写するから、加熱一体
化、および鏡面の転写加工が一工程で行われる。したが
って、成形加工工程は単純である。そして、鏡面転写時
の加熱によって、中間部材(中間層)が軟化温度以上に
加熱溶融され、軟化した中間部材によって基材の形状精
度誤差が自然に補正されるので、鏡面面積の大きさの如
何に関わらず、反射面が高精度の成形品が作製される。
また、前記積層体を中間部材の軟化温度T以上で、基
材の軟化温度Tと蒸着部材の軟化温度Tよりも低い
温度に加熱すること、つまり中間部材だけが軟化する温
度に加熱されることによって、基材と中間部材と表面層
を一体化するとともに、加熱温度で中間部材だけを軟化
させることで、基材、蒸着部材の熱歪みや内部応力によ
って形状誤差を生じることなしに、基材の表面形状誤差
(表面精度の誤差)が軟化した中間層で補正されるか
ら、その面精度が一層向上する。したがって、転写され
た鏡面精度が高い成形品を作製することができる
【0009】
【実施態様1】(請求項2に対応)実施態様1は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
蒸着部材上に形成された金属反射膜の表面に硬質の保護
層を形成していることである。
【作用】金属反射膜の表面が硬質の保護層で被覆されて
いるので、これによって金属反射膜の経時的劣化が防止
され、取り扱い時や型部材との密着時に金属反射膜に傷
が生じることが防止される。
【0010】
【実施態様2】(請求項3に対応)実施態様2は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
中間部材の構成部材として、軟化温度が基材及び蒸着部
材の軟化温度Tよりも低い、ホットメルト型接着材を
用いることである。
【作用】中間部材(9)が、その軟化温度が基材(8)
や蒸着部材(10)の軟化温度よりも低いホットメルト
用接着材であるから、接着機能のないプラスチック材で
ある場合に比して、基材(8)と蒸着部材(10)がよ
り強固に固着される。
【0011】
【実施態様3】(請求項4に対応)実施態様3は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
基材が予め射出成形によって略最終形状に作製されてい
るものであることである。
【作用】基材は予め射出成形によって略最終形状に成形
されているので、基材の成形精度が高く、中間製品とし
ての基材の内部応力、熱歪みが比較的容易に、かつ確実
に微小に抑制されている。そして、上記中間部材をその
軟化温度以上に加熱するとともに、前記型部材を蒸着部
材に接触させ、次いで積層体に加圧力を負荷することに
よって、前記基材と中間部材と蒸着部材とを密着一体化
させるとともに、前記型部材の転写面を蒸着部材に転写
するとき、上記基材のミラー側面は転写加工されること
なしに、プラスチックミラーが作製される。そして、金
型の鏡面が転写されるのは、軟化温度が基材の軟化温度
よりも低い中間部材と蒸着部材だけであるから、上記転
写加工時において基材に内部応力、熱歪みを生じること
はない。したがって、より高精度のプラスチックミラー
成形品を作製することができる。
【0012】
【実施態様4】(請求項5に対応)実施態様4は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
中間部材の厚さが、前記基材の面精度と、最終的に要求
される面精度との差分以上の厚みを有することである。
【作用】中間部材の厚さが、前記基材の面精度と、最終
的に要求される面精度との差分以上の厚みを有するか
ら、基材のミラー側面の表面粗さが中間部材によって完
全に補正され、基材のミラー側面の表面粗さが蒸着部材
のミラー面に現れることは確実に回避される。
【0013】
【実施態様5】(請求項6に対応)実施態様5は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
基材の材質としてガラス繊維、炭素繊維およびマイカ等
の強化材を充填した非晶性プラスチック複合材を用いる
ことである。
【作用】基材(8)としてガラス繊維、炭素繊維または
マイカ等の強化材を充填した非晶性プラスチック複合材
を用いることにより、高強度で薄肉、軽量のプラスチッ
ク成形品を作製できる。したがって、ミラーのように成
形品の内部品質が要求されず、他方、高精度な表面精度
が要求されるプラスチックミラーの作製に非常に有効で
ある。
【0014】
【実施態様6】(請求項7に対応)実施態様6は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
基材の中間部材との接触面を化学的あるいは物理的処理
によって所定の表面粗さの粗面にしていることである。
【作用】予め基材のミラー側の表面をエッチング等の化
学的もしくはブラスト等の物理的処理によって粗面にし
ておくことで、ガラス転移温度以上に加熱溶融された中
間部材が基材の表面の凹凸に入り込んでこれに機械的に
結合されるので、中間部材がより強固に基材の表面に固
着される。特に、基材としてガラス繊維入りの樹脂を使
用した場合(実施態様5)には、エッチングによりガラ
ス繊維が基材表面に露出し、この繊維が溶融された中間
部材内に食い込むので、上記固着はより強固である。
【0015】
【実施態様7】(請求項8に対応)実施態様7は、解決
手段1のプラスチックミラーの製造方法について、その
蒸着部材を真空吸引により、前記型部材の転写面に密着
させることである。
【作用】中間部材に重ねて加圧する前に、蒸着部材を上
型部材に真空吸引してその転写面に密着させることで、
加圧、接着時に蒸着部材が転写面形状に確実に沿って変
形するので、金属反射膜に皺や亀裂が発生することが回
避される。
【0016】
【実施態様8】(請求項9に対応)実施態様8は、上記
実施態様7のプラスチックミラーの製造方法について、
その転写面を備えた型部材が、多孔質部材で構成され、
前記孔より真空吸引して、蒸着部材を上記転写面に吸着
することである。
【0017】
【実施態様9】(請求項10に対応)実施態様9は、解
決手段1のプラスチックミラーの製造方法について、そ
の中間部材の加熱手段として赤外線加熱による加熱手段
を用いることである。
【作用】赤外線加熱手段で中間部材を加熱するので、積
層直前の段階で中間部材だけを、その全面を均等にかつ
効率的に加熱することができる。
【0018】
【実施態様10】(請求項11に対応)実施態様10
は、解決手段1のプラスチックミラーの製造方法につい
て、その基材の軟化温度T、中間部材の軟化温度
、蒸着部材の軟化温度Tが、T>T、T
の関係にあるとともに、蒸着部材の誘電率εと誘電
正接tanδがε×tanδ<0.01になるように、
中間部材の誘電率εと誘電正接tanδが0.01<ε
×tanδとなるような部材で構成し、中間部材の加熱
手段として高周波誘電加熱による非接触型の加熱手段を
用いることである。
【作用】中間部材を高周波誘電加熱手段で加熱するか
ら、中間部材だけが加熱され、またその内部から加熱さ
れるので、加熱が均一にかつ極めて効率的になされる。
したがって、中間部材の加熱を短時間で行うことがで
き、その加熱温度のコントロールを容易に、かつ高精度
で行うことができる。
【0019】
【実施態様11】(請求項12に対応)実施態様11
は、解決手段1のプラスチックミラーの製造方法につい
て、その中間部材の加熱手段として超音波加熱による加
熱手段を用いることである。
【作用】積層直前の段階で、超音波で中間部材を加熱す
るから、中間部材だけが加熱され、またその内部から加
熱されるので、加熱が均一にかつ極めて効率的にされ
る。したがって、中間部材の加熱を短時間で行うことが
でき、その加熱温度のコントロールも比較的簡単、容易
である。
【0020】
【実施の形態】以下本発明を実施例に基づいて説明す
る。図1に実施例1のプラスチック成形装置を概略的に
示している。プレス機1の上側ダイプレート2に転写面
3を備えた上型部材4が固定され、他方、下側ダイプレ
ート5上に下型部材6が固定されており、上記上型部材
4に、プラスチック部材を加熱するための手段としてヒ
ーター(電熱ヒーター)7が埋設されている。尚、転写
面は上型部材4に限らず、成形品の如何によっては、下
型部材6に形成される場合もある。また、加熱手段は、
転写面に近い中間部材を加熱するものであるから、接触
加熱であるこの例においては、転写面が形成されている
方の上型部材4に設けられている。加熱手段としては電
熱ヒーター7に限らず、水や油等の熱媒体による加熱手
段を用いることもできるが、これらの加熱手段の一般的
特性を勘案して、個々のプラスチック成形装置に最適な
ものを選択するのが望ましい。
【0021】プラスチック基材8は、予め略最終形状に
加工された厚さ10mmのポリカーボネイト樹脂からな
るプラスチック部材(基材)であり、基材供給装置(図
示なし)により順次下型部材6上に載置される。プラス
チック部材9は中間層となる第1のプラスチック部材
(中間部材)であり、この例では、メタクリレート樹脂
からなるプラスチックシートである。プラスチック部材
10は、表面にアルミ反射膜が形成されていて、プラス
チックミラー製品のミラー表面層となる第2のプラスチ
ック部材であり(蒸着部材)、この例では、ポリカーボ
ネイト樹脂シートにアルミ反射膜を蒸着形成しているも
のである。なお、反射膜を形成する金属素材としては、
アルミに限らずクロム、銀等を用いることもできる。
【0022】基材8及び蒸着部材10に用いるポリカー
ボネイト樹脂の軟化温度Tは150℃であり、中間
部材9に用いるメタクリレート樹脂の軟化温度Tは1
10℃であって、T>Tの関係にある。なお、基材
8、中間部材9の組み合わせは、上記樹脂材料に限られ
ず、軟化温度がT>Tの関係にあるものであれば、
軟化温度(ガラス転移温度と同じ)が中間部材9よりも
高い他の熱可塑性樹脂を組み合わせて用いることもでき
る。
【0023】上型部材4がヒーター7によって、120
℃(これは、蒸着部材10のプラスチック材の軟化温度
以下であり、中間部材の軟化温度T以上の温度で
ある)に加熱される。このとき、下型部材6上に基材8
が載置されて、中間部材9の下方に配置される(図1
(a))。次いで、転写面3を備えた上型部材4が蒸着
部材10に向かって下降し、蒸着部材10を吸着する。
このとき蒸着部材10は上型部材4の転写面3にほぼ沿
った形状に変形される(図1(b))。この状態で上型
部材4をさらに下降させて、基材8上の中間部材9に蒸
着部材10を重ね合わせる。なお、図2に示すようには
じめに中間部材9及び蒸着部材10を基材8に重ねて密
着させ、これを基材8の形状に沿うように変形させてお
いて、上型部材4を基材8に向けて下降させるようにし
てもよい。
【0024】基材8に中間部材9、蒸着部材10を重ね
合わせた状態で、上型部材4でこれらを加圧することに
より、蒸着部材10へ上型部材4の鏡面が転写されて、
最終的に鏡面転写がなされる(図1(c))。このと
き、中間部材9はその軟化温度以上に加熱されて溶融さ
れているため、接着材の機能を奏し、基材8と蒸着部材
10を一体化させることになる。一方、加熱温度は蒸着
部材10の軟化温度以下であるために蒸着部材10が溶
融することはなく、したがって、表面の金属反射膜に皺
や亀裂が発生することはないので、高い反射質を維持し
たままで基材と一体化される。
【0025】本発明において、基材8及び蒸着部材10
の軟化温度Tと中間部材10の軟化温度Tの関係が
>Tであればよいのであるが、TとTの温度
差が5℃以上あれば、確実に金属反射膜の皺や亀裂を抑
制することができる。この点からいえば、この実施例で
はTとTの差は大きいので全く問題はない。なお、
上記蒸着部材10上に形成された金属反射膜の表面には
例えばSiOからなる硬質の保護層が形成されてい
る。これによって金属反射膜の経時的劣化を防ぐととも
に、取り扱い時や型部材との密着時に金属反射膜に傷が
生じるのを防ぐことができる。他方、中間部材9とし
て、軟化温度が基材8や蒸着部材10の軟化温度よりも
低いホットメルト用接着材を用いることもできる。この
場合はより強固に基材8と蒸着部材10が固着されるこ
とになる。
【0026】基材8に中間部材9を介して蒸着部材10
を密着させ、蒸着部材10の表面に上記鏡面が転写され
た後、成形品を構成する全部材がその構成樹脂の熱変形
温度以下になるまで冷却されてから、プレス機1の上型
ダイプレート2を上昇させて蒸着部材8と上型部材4を
分離し、下型部材6から最終成形品11を取り出す(図
1(d))。その後、中間部材9及び蒸着部材10が一
体化された部分のみを切り抜く。基材8については、上
記の積層、転写加工に供される前の段階で、最終成形品
の形状に成形されていればよいのであるから、これを加
熱加圧加工等の機械加工で成形することもできるが、射
出成形で成形するのが、コスト低減の観点からは好まし
い。
【0027】また、成形品形状が偏肉、厚肉、大型であ
る場合には、成形時の樹脂の温度や圧力偏在のために高
精度のものを成形することはできないが、本発明によれ
ば、基材8と蒸着シート10を一体化するときに、中間
部材9が軟化温度T以上に加熱溶融して変形するた
め、基材の形状誤差分が中間部材9によって補正され
る。したがって、基材表面の面精度誤差蒸着部材の鏡面
に現れることはなく、鏡面の面精度が高い成形品が作製
される。
【0028】なお、この場合には中間部材9の厚さは、
基材8の面精度と、最終的に要求される面精度との差分
以上の厚みとする必要がある。本発明によれば最も肉厚
である基材8をガラス転移温度Tg(軟化温度と同じ)
以上に加熱するわけではなく、薄い中間部材9のみを軟
化温度T(ガラス転移温度と同じ)以上に加熱してい
るので、加熱冷却時間が非常に短く、成形サイクルが著
しく短縮される。
【0029】また、本発明における成形品は複数の樹脂
の積層体であり、基材表面が直接転写面3に接触するわ
けではないから、基材8としてはガラス繊維、炭素繊維
またはマイカ等の強化材を充填した非晶性プラスチック
複合材を用いることが可能であり、これにより高強度で
薄肉、軽量のプラスチック成形品を作製できる。したが
って、高精度な表面精度のプラスチックミラーを作製す
ることができる。
【0030】さらに、予め基材8の表面をエッチング等
の化学的もしくはブラスト等の物理的処理によって粗面
にしておくことで、ガラス転移温度以上に加熱溶融され
た中間部材9が基材8の表面の凹凸に入り込んで上記表
面に機械的に結合されるので、中間部材9がより強固に
固着される。この場合の凹凸の深さは50nm以上あれ
ば十分であり、最大でも中間部材9の層の厚さの50%
であるのが望ましい。因みに、深さが中間部材9の層の
厚さの50%以上になると基材の凹凸の影響が蒸着膜表
面に現れることがある。また、基材8としてガラス繊維
入りの樹脂を使用した場合には、エッチングによりガラ
ス繊維のみが基材8表面に露出し、その繊維が溶融され
た中間部材9内に食い込むので上記固着がより強固にな
る。
【0031】また、中間部材9に重ねて固着する前に、
蒸着部材10を上型部材4に真空吸引してその転写面3
に密着させることで、加圧、接着時に蒸着部材が転写面
形状に確実に沿って変形するので、金属反射膜に皺や亀
裂が発生するのを防ぐことができる。
【0032】本発明においては、蒸着部材10の軟化温
度Tが中間部材9の軟化温度Tよりも高いので、中
間部材9を軟化させるための加熱温度で蒸着部材10が
軟化、溶融するわけではないので、上型部材4が微細孔
による多孔質部材であって、その転写面3が多孔面であ
っても、そのような部材を用いることで、蒸着部材10
を転写面3の全面に均一に真空吸引することが可能であ
り、より確実に蒸着部材10を転写面3に沿った形状に
変形させて、転写面に密着させることができる。なお、
微細孔径を30μm以下にすることによって、鏡面の微
細孔の孔のために樹脂が微小に変形することはないの
で、この鏡面の微細孔の影響で蒸着部材の被転写鏡面の
反射質(反射特性)が損なわれることはない。
【0033】実施例2を図3、図4に基づいて説明す
る。ただし、実施例1と共通する点についての説明は省
略する。中間部材9と蒸着部材10の間に、中間部材9
を加熱するための赤外線ヒーター12が挿入されてお
り、当該赤外線ヒーター12によって、直接中間部材1
0をその軟化温度T以上に加熱する(図3(a))。
その後、赤外線ヒーター12を中間部材9と蒸着部材1
0間から外し(図3(b))、その後、実施例1の場合
と同様に、転写面3を備えた上型部材4を蒸着部材10
に向かって下降させて、蒸着部材10、中間部材9、基
材8を重ねて加圧して一体化させる。この場合、中間部
材9のみを直接加熱しているため、熱容量の大きい型部
材4,6は加熱されないから、加熱・冷却時間が短くて
済み、したがって、成形サイクルは短い。
【0034】中間部材9の加熱手段として接触型の加熱
手段を用いることも可能であるが、赤外線加熱等の非接
触型の加熱手段を用いることで、中間部材9を均一かつ
容易に加熱することができる。また、図3に示すように
赤外線ヒーター12の背面に反射板13を設けることに
より、中間部材9とは反対方向へ放射される赤外光を反
射板13で中間部材9の方へ反射するから、蒸着部材1
0が加熱されるのを防ぎつつ中間部材9のみを効率的に
加熱することができる。また、図4に示すように、中間
部材9を型部材の外で赤外線ヒーター12を用いて加熱
した後に、蒸着部材10と基材8との間に移動させるよ
うにすることもできる。
【0035】なお、赤外線ヒーター12としては、近赤
外、中赤外、遠赤外のいずれを使用することも可能であ
るが、プラスチックを加熱する場合には、中心波長が4
〜6μmの遠赤外を用いるのが望ましい。なぜなら、プ
ラスチック等の高分子化合物を赤外線加熱する場合、遠
赤外の振動数と高分子の分子運動の振動数が一致する場
合が多いために遠赤外線が良く吸収されて、効率的に中
間部材9が加熱されるからである。なお、金属は遠赤外
線をほとんど吸収しないので、赤外線照射によってまわ
りの部材や金型が加熱されて温度が上昇することはない
という利点もある。また、実施例2においては加熱手段
として赤外線ヒーターによる輻射過熱を用いているが、
温風を被加熱物にあててこれを加熱する方法を用いるこ
ともできる。
【0036】実施例3を図5に基づいて説明する。ただ
し、実施例1と共通する点の説明は省略する。上型部材
4と下型部材6に高周波発生装置14が接続してあり、
1MHz以上の高周波電流を印加するようになってい
る。この実施例3においては、実施例1と同様に、基材
8、蒸着部材10の軟化温度T(ガラス転移温度と同
じ)と中間部材9の軟化温度Tの関係がT>T
あるとともに、基材8、蒸着部材10は、その電気的特
性である誘電率εと誘電正接tanδがε×tanδ<
0.01になるような部材で、また、他方、中間部材9
は、0.01<ε×tanδ、好ましくは0.05、<
ε×tanδになるような部材で構成されている。この
ような部材としては、例えば基材8、蒸着部材10に、
ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイ
ミド樹脂等があり、中間部材9については、塩化ビニ
ル、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト、エチレン酸ビ
コポリマー等を用いることができる。
【0037】下型部材6上に基材8、中間部材9、蒸着
部材10を順次重ね合わせ、その後、上型ダイプレート
2を下降させて所定の圧力で加圧する。次いで高周波発
生装置14にて前記積層部材に高周波電流を印加させ
る。高周波電流を印加すると、プラスチック部材内部の
双曲子が激しく運動し、そのときの内部摩擦熱によって
プラスチック部材自身が発熱する。このときの発熱量は
部材固有の物性値である誘電率εと誘電正接tanδの
大きさに比例する。上記中間部材9の構成部材として
は、誘電率εと誘電正接tanδが0.01<ε×ta
nδの関係にあるもの、殊に、0.05<ε×tanδ
の関係にあるものを使用すれば、基材8や蒸着部材1
0、上型部材4、下型部材6を加熱することなしに、中
間部材9だけを選択的に加熱することができる。そし
て、熱容量の小さい中間部材9だけを集中的、効率的に
加熱し、また冷却時は中間部材9だけが冷却されること
になるから、加熱、冷却時間を非常に短くすることがで
きる。
【0038】なお、加熱方法として超音波加熱法を用い
ることもできる。この場合は型部材上に超音波発信源を
設け、その超音波の振動振幅が最も大きい位置に中間部
材9の位置に一致させ、中間部材9を選択的に微振動さ
せて発熱させる。この場合は高周波誘導加熱による場合
のように構成部材が電気的特性によって制約を受けるこ
とはないから、高周波誘電加熱による場合に比して、使
用材料の選択幅が広いという利点がある。
【0039】実施例1乃至実施例3は、中間部材9とし
てシート状のものを用いているが、中間部材はシート状
のものに限られず、バルク状のものを用いることもでき
る。その一例である実施例4を図6に示している。実施
例4においては、プレス機1の上側ダイプレート2に転
写面3を備えた上型部材4が固定されており、当該上型
部材4は多数の孔のあいた多孔質部材であって、真空吸
引によりポリカーボネイト樹脂からなるシート状の蒸着
部材10が上型部材の転写面に沿って変形して吸着され
ている。他方、下側ダイプレート5上には下型部材6が
固定されている。基材8は、予め略最終形状に加工され
た厚さ10mmのポリカーボネイト樹脂からなる基材で
あり、中間部材15は、メタクリレート樹脂からなるバ
ルク状のプラスチック部材である。
【0040】なお、上型部材の転写面3に真空吸着のた
めの通気孔を設ける場合は、当該通気孔が蒸着部材15
の鏡面精度に影響しないように、孔径30μm以下にす
ることが必要であるが、上型部材の転写面3から外れた
位置だけに通気孔を設ける場合は、通気孔の孔径が大き
くても蒸着部材15の鏡面精度への影響はないから、適
宜の孔径とすることができるが、蒸着部材15によって
当該通気孔が塞がれないように工夫することが望まし
い。
【0041】基材8上に中間部材15を載置して後、蒸
着部材10を吸着した上型部材4を下降させて、蒸着部
材10の裏面を中間部材15に接触させ、その後これを
加圧する(図6(a))。実施例1と同様、ヒーター7
で加熱された上型部材7によって、中間部材15がその
軟化温度以上に加熱され、加圧されて蒸着部材10と基
材8の重合面に沿って延展され、延展された中間部材1
5が蒸着部材10、基材8と全面的に密着し、中間部材
15を介して蒸着部材10と基材8が一体化される(図
6(b))。成形品を構成する全部材がその構成樹脂の
熱変形温度以下に冷却された後に、プレス機1の上型ダ
イプレート2を上昇させ、蒸着部材8と上型部材4を分
離して、下型部材6から最終成形品11を取り出す(図
6(c))。なお、実施例4における加熱方法として
は、実施例2、実施例3と同様に、赤外線加熱法や高周
波加熱法を用いることもできる。
【0042】以上の実施例1乃至実施例4は、ミラー反
射面(転写面)が1つである成形品にこの発明を適用し
た例であるが、図7に示すような両側にミラー反射面を
有する成形品や、図8に示したレーザー光学走査系に用
いられるポリゴンのような複数のミラー反射面を有する
成形品に適用することもできる。これらの複数のミラー
反射面を有する成形品については、各ミラー反射面を実
施例1ないし実施例4と同様にして成形すればよい。
【0043】この発明は予め製品形状に成形した基材の
鏡面側面に中間部材を介して蒸着部材を重ね合わせ、転
写面を備えた型部材で加圧し、加熱加熱軟化された中間
部材を基材と蒸着部材との重合面間で延展させ、中間部
材によって基材表面の誤差分を補正することによって、
基材表面の誤差に関わらず、蒸着部材の金属蒸着面に型
材の鏡面が高精度で転写されるようにするものである。
このことからすれば、この発明の実施例には当たらない
が、上記基材を透明プラスチック製とし、その鏡面側表
面に紫外線硬化性接着材を厚めに塗布し、その上に上記
型部材4に吸着させた蒸着部材を重ねて加圧して上記接
着剤を延展させ、基材裏面から紫外線を照射して上記紫
外線硬化性接着剤を硬化させることによって、上記実施
例と同様の構造のプラスチックミラーを成形することも
できる。しかし、この方法による場合は、加圧状態での
接着剤層を、蒸着部材の裏面全面に満遍なく介在させる
ように、その厚さをコントロールすることが容易でな
く、したがって、成形品の品質を所定の範囲で安定させ
ることが容易でない。
【0044】
【発明の効果】この発明の効果を各請求項に係る発明毎
に整理すれば、次のとおりである。 1.請求項1に係る発明の効果 基材と蒸着部材との間に介在する中間部材のみがその軟
化温度以上に加熱され、蒸着部材はその軟化温度には加
熱されないので、蒸着部材の金属反射膜に皺や亀裂が発
生することはなく、その鏡面の高い反射質が維持され
る。また、中間部材が溶融して基材形状を補正すること
で、高精度なミラー反射面を備えたプラスチックミラー
成形品を作製することができる。したがって、プラスチ
ックミラーの鏡面の形状精度は高い。
【0045】2.請求項2に係る発明の効果 蒸着部材上に形成された金属反射膜の表面には硬質の保
護層が形成されているので、金属反射膜の経時的劣化が
防ぐとともに、取り扱い時や型部材との密着時に金属反
射膜に傷が生じるのを防ぐことができる。また、蒸着部
材への転写加工時には、軟化温度が蒸着部材の軟化温度
よりも低い中間部材が軟化する程度の温度に加熱される
にすぎないので、当該加熱によって上記保護層が劣化、
損傷を受けることは無く、ミラー面の高い光学特性が長
期間保たれる。
【0046】3.請求項3に係る発明の効果 中間部材の構成部材として、軟化温度が基材や蒸着部材
の軟化温度よりも低いホットメルト用接着材を用いるこ
とで、より強固に基材と蒸着部材を接着固定することが
できる。
【0047】4.請求項4に係る発明の効果 射出成形後の工程(一体化工程)で中間層により形状誤
差が補正されるので基材の精度が必要ない。したがっ
て、特別な工夫なしに通常の射出成形で基材を作製すれ
ばよいので、他の成形手段による場合に比して加工コス
トを低減できる。
【0048】5.請求項5に係る発明の効果 中間部材の厚さを、基材の面精度と、最終的に要求され
る面精度との差分以上の厚みとすることで、中間部材に
よって基材表面の面精度を補正することが可能となり、
基材表面の精度誤差による蒸着部材の鏡面への影響はな
くなるので、高精度な成形品を作製することができる。
【0049】6.請求項6に係る発明の効果 基材としてガラス繊維、炭素繊維またはマイカ等の強化
材を充填した非晶性プラスチック複合材を用いることに
よって、高強度で薄肉、軽量のプラスチック成形品を作
製することができる。
【0050】7.請求項7に係る発明の効果 予め基材の表面をエッチング等の化学的もしくはブラス
ト等の物理的処理によって粗面にしているので、中間部
材が基材表面の凹凸に入り込みその機械的結合によって
強固に固着される。特に基材としてガラス繊維入りの樹
脂を使用した場合には、エッチングによりガラス繊維が
基材表面に露出し、その繊維が溶融された中間部材内に
食い込むので、より強固に固着される。
【0051】8.請求項8に係る発明の効果 蒸着部材を真空吸引して転写面に吸着させることで、一
体化時に蒸着部材が転写面形状に確実にならって変形す
るので、金属反射膜に皺や亀裂が発生するのを防ぐこと
ができる。
【0052】9.請求項9に係る発明の効果 上型部材として多孔質部材を用い、真空吸引すること
で、蒸着部材を転写面全面にわたって均一に真空吸着さ
せることが可能であり、より確実に蒸着部材を転写面形
状に変形させて両者を密着させることができる。
【0053】10.請求項10に係る発明の効果 赤外線加熱手段によって中間部材を軟化温度以上に加熱
した後に、これを蒸着部材と基材に積層一体化させるこ
とによって、型部材は加熱されないで、中間部材だけが
集中的に、かつ均一に加熱されるので、鏡面の転写成形
精度が高い。また、中間部材の加熱、冷却サイクルが短
いので、成形サイクルを短縮することができる。
【0054】11.請求項11に係る発明の効果 中間部材加熱手段として、高周波誘電加熱手段を用いる
ことで、蒸着部材、中間部材、基材を積層した状態で中
間部材を選択的に加熱することができるので、非常に熱
効率が良く、成形サイクルを短くすることができる。プ
ラスチック基材及び蒸着部材の誘電率εと誘電正接ta
nδがε×tanδ<0.01になるように、中間部材
の誘電率εと誘電正接tanδが0.01<ε×tan
δとすることで、より確実に中間部材のみを選択的に、
効率的に加熱することができる。
【0055】 12.請求項12に係る発明の効果 中間部材加熱手段として、超音波加熱手段を用いること
で、中間部材だけを容易に、効率的、集中的に加熱する
ことができる。また、中間部材の加熱が迅速になされる
ので、成形サイクルを短くすることができる。また、中
間部材のプラスチック材の素材の如何に関わらず超音波
で効率的に集中的に加熱できるので、蒸着部材、中間部
材、基材の構成材料の選択幅が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1のプラスチック成形工程を示す断面
図である。
【図2】は実施例1によるプラスチック成形の最終工程
を示す断面図である。
【図3】は実施例2のプラスチック成形装置の断面図で
ある。
【図4】は実施例2の変形例を示す断面図である。
【図5】は実施例3の断面図である。
【図6】は実施例4の断面図である。
【図7】は両側にミラー反射面を有する成形品の断面図
である。
【図8】は複数のミラー反射面を有する成形品の断面図
である。
【符号の説明】
1:プレス機 2:上側ダイプレート 3:転写面 4:上側部材 5:下側ダイプレート 6:下型部材 7:ヒーター 8:プラスチック基材 9:中間部材 10:蒸着部材 11:最終成形品 12:赤外線ヒーター 13:反射板 14:高周波発生装置 15:中間部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F204 AA15 AA19 AA21 AA28 AD03 AD05 AD16 AD35 AG03 AH33 AJ10 AK04 AM28 FA01 FB01 FB11 FB22 FG07 FN11 FN12 FN15 FQ16

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性プラスチック基材(以下「基
    材」)の軟化温度T、中間層となる第1のプラスチッ
    ク部材(以下「中間部材」)の軟化温度T、表面層と
    なるものであって金属蒸着面が形成されている第2のプ
    ラスチック部材(以下「蒸着部材」)の軟化温度T
    が、T>T、T>Tの関係にあるプラスチッ
    ク部材をそれぞれ用意し、 基材に中間部材と蒸着部材とを重ねた状態でこれを上下
    両型部材で加圧して、中間部材を介してこれらを一体化
    させ、蒸着部材の金属蒸着面に型部材の鏡面を転写させ
    る、プラスチックミラーの製造方法であって、 前記基材と中間部材と蒸着部材を積層後、当該積層体を
    上記軟化温度T以上で、上記軟化温度Tと上記軟化
    温度Tよりも低い温度に加熱して、中間部材だけを軟
    化させ、この状態で前記型部材を蒸着部材に接触させ、
    次いで積層体を加圧することによって、前記基材と中間
    部材と蒸着部材とを密着一体化させるとともに、前記型
    部材の転写面を蒸着部材に転写し、 次いで上記構成部材、すなわち、基材、中間部材、蒸着
    部材が熱変形温度以下になったとき、前記一体化された
    積層プラスチック部材を取り出すことを特徴とするプラ
    スチックミラーの製造方法。
  2. 【請求項2】前記蒸着部材が、その金属反射膜の表面に
    硬質の保護層を形成したものであることを特徴とする請
    求項1のプラスチックミラーの製造方法。
  3. 【請求項3】前記中間部材の構成部材として、軟化温度
    が基材及び蒸着部材の軟化温度Tよりも低いホットメ
    ルト型接着材を用いることを特徴とする請求項1のプラ
    スチックミラーの製造方法。
  4. 【請求項4】前記基材が予め射出成形によって略最終形
    状に作製されたものであることを特徴とする請求項1の
    プラスチックミラーの製造方法。
  5. 【請求項5】前記中間部材の厚さが、前記基材の面精度
    と、最終的に要求される面精度との差分以上の厚みを有
    することを特徴とする請求項1のプラスチックミラーの
    製造方法。
  6. 【請求項6】前記基材の材質として、ガラス繊維、炭素
    繊維およびマイカ等の強化材を充填した非晶性プラスチ
    ック複合材を用いることを特徴とする請求項1のプラス
    チックミラーの製造方法。
  7. 【請求項7】前記基材の中間部材との接触面が化学的あ
    るいは物理的処理によって所定の表面粗さの粗面である
    ことを特徴とする請求項1のプラスチックミラーの製造
    方法。
  8. 【請求項8】前記蒸着部材を真空吸引により、前記型部
    材の転写面に密着させることを特徴とする請求項1のプ
    ラスチックミラーの製造方法。
  9. 【請求項9】前記転写面を有する型部材が、多孔質部材
    で構成され、前記多孔より真空吸引して、蒸着部材を上
    記転写面に吸着することを特徴とする請求項8のプラス
    チックミラーの製造方法。
  10. 【請求項10】中間部材の加熱手段として赤外線加熱に
    よる非接触型の加熱手段を用いることを特徴とする請求
    項1のプラスチックミラーの製造方法。
  11. 【請求項11】前記基材の軟化温度T、中間部材の軟
    化温度T、蒸着部材の軟化温度Tが、T>T
    >Tの関係にあるとともに、蒸着部材の誘電率ε
    と誘電正接tanδがε×tanδ<0.01になるよ
    うに、中間部材の誘電率εと誘電正接tanδが0.0
    1<ε×tanδとなるような部材で構成し、中間部材
    の加熱手段として高周波誘電加熱による非接触型の加熱
    手段を用いることを特徴とする請求項1のプラスチック
    ミラーの製造方法。
  12. 【請求項12】中間部材の加熱手段として超音波加熱に
    よる加熱手段を用いることを特徴とする請求項1のプラ
    スチックミラーの製造方法。
  13. 【請求項13】基材の軟化温度T、中間部材の軟化温
    度T、蒸着部材の軟化温度TがT>T、T
    の関係にあるプラスチック部材で構成されていて、
    前記基材と蒸着部材との間に中間部材を介在させて積層
    されているプラスチックミラー。
  14. 【請求項14】上記蒸着部材の金属反射膜の表面に硬質
    の保護層を形成している、請求項13のプラスチックミ
    ラー。
  15. 【請求項15】上記基材の材質が、ガラス繊維、炭素繊
    維およびマイカ等の強化充填材を含む非晶性プラスチッ
    ク複合材である、請求項13のプラスチックミラー。
JP2002105979A 2002-04-09 2002-04-09 プラスチックミラー及びその製造方法 Pending JP2003300219A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002105979A JP2003300219A (ja) 2002-04-09 2002-04-09 プラスチックミラー及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002105979A JP2003300219A (ja) 2002-04-09 2002-04-09 プラスチックミラー及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003300219A true JP2003300219A (ja) 2003-10-21

Family

ID=29390436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002105979A Pending JP2003300219A (ja) 2002-04-09 2002-04-09 プラスチックミラー及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003300219A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545634A (ja) * 2010-10-28 2013-12-26 ドミニク クラスース, コンポジット材料の成型用装置
JPWO2014208468A1 (ja) * 2013-06-25 2017-02-23 昭和電工株式会社 光硬化性樹脂フィルムの製造装置および製造方法
CN113848598A (zh) * 2021-09-29 2021-12-28 青岛歌尔声学科技有限公司 贴膜方法和镜片组件

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545634A (ja) * 2010-10-28 2013-12-26 ドミニク クラスース, コンポジット材料の成型用装置
JPWO2014208468A1 (ja) * 2013-06-25 2017-02-23 昭和電工株式会社 光硬化性樹脂フィルムの製造装置および製造方法
CN113848598A (zh) * 2021-09-29 2021-12-28 青岛歌尔声学科技有限公司 贴膜方法和镜片组件

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6562466B2 (en) Process for transferring a coating onto a surface of a lens blank
TW200936523A (en) Processes for producing glass/resin composite
US20070152374A1 (en) Plastic laminate body, manufacturing method of the same, and rear projection type image display apparatus
WO1998030511A1 (fr) Procede de fabrication de verre feuillete
KR102046405B1 (ko) 소자 처리용 반도체-다이아몬드 웨이퍼의 부착 방법
TWI242082B (en) Manufacturing method of optical low-pass filtering lens
EP0266952B1 (en) Comolded polymer composites
JP2003300219A (ja) プラスチックミラー及びその製造方法
US20200243356A1 (en) Method for manufacturing mounting device and semiconductor device
JP2005161528A (ja) プラスチック積層体及びその製造方法
JP2004148638A (ja) プラスチック積層体及びその製造方法、並びに背面投影型画像表示装置
JP2006084910A (ja) 反射鏡及びその製造方法
JP2003236941A (ja) 複合プラスチック成形品の製造方法
JP2004286943A (ja) 樹脂反射鏡およびその製造方法
JP2001126851A (ja) 半導体ウエハーにおけるヒータ装置およびその製造方法
JP2004160900A (ja) 樹脂反射鏡の製造方法
US8273272B2 (en) Method for manufacturing lens used in camera module
JPH06182783A (ja) プラスチックミラーの製造方法およびその製造装置およびプラスチック成形品の製造方法
JPH0486100A (ja) 超音波探触子およびその製造方法
JP2003305809A (ja) プラスチック成形品及びその製造方法
JP2005111767A (ja) プラスチックフィルム積層体の製造方法及びプラスチックフィルム積層体
JPH0890665A (ja) 複合型光学素子の製造方法
JP2022016915A (ja) 薄板ミラー構造体およびその製造方法、ならびに望遠鏡
WO2009110185A1 (ja) 複合光学素子及びその製造方法
JP2006082463A (ja) 加飾フィルム、加飾フィルム成形品、複合積層体、反射鏡、加飾フィルム成形方法、及び、複合積層体製造方法