JP2003299194A - 超高域再生用スピーカ - Google Patents

超高域再生用スピーカ

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JP2003299194A JP2003016510A JP2003016510A JP2003299194A JP 2003299194 A JP2003299194 A JP 2003299194A JP 2003016510 A JP2003016510 A JP 2003016510A JP 2003016510 A JP2003016510 A JP 2003016510A JP 2003299194 A JP2003299194 A JP 2003299194A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 100kHzに及ぶ超高域まで、安定した音
圧で出力する超高域再生用スピーカを提供する。 【解決手段】 本発明の超高域再生用スピーカは、圧電
セラミックと金属基板を接合した略円盤状の圧電セラミ
ック振動子と、前記圧電セラミック振動子に取り付けら
れたドーム型振動板と、前記圧電セラミック振動子の外
周部を固定し且つ前記ドーム型振動板の前面に開口部を
有するパネルと、を有し、前記ドーム型振動板のドーム
部の直径を前記圧電セラミック振動子の実効可動直径の
0.5〜0.8倍とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は100kHzに及ぶ
超高音の再生を行うスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、DVDオーディオ及びスーパオー
ディオCDのような高品位、超広帯域ソースを記録する
記録媒体が市場に広がってきた。これらのソースを再生
するために、約100kHzの超高音域まで再生が可能
なスピーカ(いわゆるツィータやスーパツィータ)が求
められてきている。DVDオーディオ及びスーパオーデ
ィオCDのような記録媒体並びにそれらの再生装置の低
価格化に伴い、単品コンポーネント又は小型ステレオの
要素として、超高域まで再生できる安価なスピーカが求
められている。特開2000−333295号公報に、
外周部がフレームに支持された円錐型振動板と、円錐型
振動板の頂部に連結されたモノモルフ型圧電セラミック
振動子と、を有する従来例1のスピーカが記載されてい
る(同公報の図5)。上記公報に、フレームと、フレー
ムに外周部が接着固定された円錐型振動板と、円錐型振
動板の内周部と接するドーム型振動板と、ドーム型振動
板の外周部に接着された圧電素子と、を有する従来例2
のスピーカが記載されている(同公報の図6)。上記公
報に、圧電セラミック振動子に振動板を取り付けた構造
を有する、従来例1及び2と比べて性能の改善された従
来例3の高音用スピーカが開示されている(同公報の図
1)。
【0003】図14〜図16を用いて従来例3の高音用
スピーカを説明する。図14は従来例3の高音用スピー
カの構造を示す図である。図14において21は圧電セ
ラミック振動子、22はフレーム、23はドーム型振動
板、24は孔、25は固定部材である。圧電セラミック
振動子21は、円環状のセラミック圧電素子であり、両
面に銀電極が設けられ、厚さ方向に分極されている。圧
電セラミック振動子21は、内周部において弾性体の固
定部材25を介してフレーム22に固定されている。圧
電セラミック振動子21は、径方向に伸縮し、全周にわ
たって均一に振動する。厚さ35μmのポリエーテルイ
ミドフィルムで形成された直径20mmのドーム型振動
板23は、圧電セラミック振動子21の外周部に接着固
定されている。ドーム型振動板23は、圧電セラミック
振動子21の径方向の振動を上下振動に変換する。上記
構造により、従来例3の高音用スピーカは、広い放射面
積と、高い音圧レベルと、円錐形状の振動板等を用いた
場合に比べて乱れが少ない音圧周波数特性と、を実現し
た。図16に従来例3の高音用スピーカの音圧周波数特
性(横軸が周波数で縦軸が音圧である。以下、同じ。)
を示す。従来例3の高音用スピーカは、20kHz以下
の周波数帯域を有する従来のソースを再生する上で、十
分な性能を発揮した。
【0004】
【特許文献1】特開2000−333295号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来例3の高音用スピ
ーカにおいては、円環状の圧電セラミック振動子21が
内周部で固定され、その対極である外周部に振動板23
が取り付けられている。図15(a)〜(c)は、内周
部を固定した円環状の圧電セラミック振動子の3つの振
動モードを示す図である。図15(a)〜(c)の上側
の図は振動している圧電セラミック振動子21の平面図
である。図15において、(a)は第1次(基本周波
数)モード、(b)は第2次節円モード、(c)は第3
次節円モードを示す。ハッチングをした部分はハッチン
グしていない部分と逆方向に変位していることを表して
いる(ハッチングをした部分とハッチングしていない部
分との境界が振動の節である。)。
【0006】図15(a)〜(c)の下側の図は圧電セ
ラミック振動子の変位の様子を表している(振動振幅を
縦軸で表示している。圧電セラミック振動子は、実際に
は径方向に振動する。)。図15に示すように、ドーム
型振動板23が接続される圧電セラミック振動子21の
外周部は、全ての振動モードにおいて腹となる。圧電セ
ラミック振動子21の振動は、外周部のみにおいてドー
ム型振動板23に伝達される。そのため、従来例3の高
音用スピーカは構造上共振を起こし易い。そのため、従
来例3の構造によれば、音圧周波数特性のピークディッ
プが非常に大きくなる。図16に示すように、従来例3
の高音用スピーカは、その音圧周波数特性において約2
7kHz近傍に大きなピークを有する。
【0007】円形の圧電セラミック振動子をそのまま用
いた高音用スピーカは、インピーダンスが非常に高い
故、フラットな音圧周波数特性が得られないばかりか、
音圧レベルも低い。従来例3のスピーカは、振動板面積
を大きくすることにより、大きな音圧レベルを得た。そ
のため、従来例3のスピーカの振動板は、直径が大きく
ならざるを得なかった。一般にスピーカは、振動板を大
きくすると、指向特性が劣化する。
【0008】DVDオーディオ又はスーパオーディオC
Dから再生されたソースの上側遮断周波数は約96kH
zである。従来例3の高音用スピーカは、このような高
品位、超広帯域ソースを性能的に十分に再生できなかっ
た。図16に示すように、従来例3の高音用スピーカ
は、20kHzを超える領域で大きなピークディップを
有し、約40kHz程度までしか十分な音圧が得られな
い。
【0009】従来例3の高音用スピーカに使用されてい
る圧電セラミック振動子21は、円環状の特殊な形状を
有する故、コストが非常に高かった。本発明は上記従来
の問題点を解決するもので、ピークディップが小さく且
つ上側遮断周波数が100kHzを超える優れた音圧周
波数特性と、高い音圧レベルと、優れた指向特性とを有
する安価な超高域再生用スピーカを提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は以下の構成を有する。本発明のひとつの観点に
よる超高域再生用スピーカは、圧電セラミックと金属基
板を接合した略円盤状の圧電セラミック振動子と、前記
圧電セラミック振動子に取り付けられたドーム型振動板
と、前記圧電セラミック振動子の外周部を固定し且つ前
記ドーム型振動板の前面に開口部を有するパネルと、を
有し、前記ドーム型振動板のドーム部の直径を前記圧電
セラミック振動子の実効可動直径の0.5〜0.8倍と
したことを特徴とする。
【0011】本発明は、ピークディップが小さく且つ上
側遮断周波数が100kHzを超える優れた音圧周波数
特性と、高い音圧レベルと、優れた指向特性とを有する
安価な超高域再生用スピーカを実現する。「ドーム部の
直径」は、ドーム型振動板のドーム部が圧電セラミック
振動子に接合された面の直径を意味する(ドーム部の曲
率の2倍の値ではない。)。ドーム部の直径の測定にお
いて、ドーム部の周辺の水平なつばの部分は含まれな
い。
【0012】本発明の他の観点による上記の超高域再生
用スピーカは、前記圧電セラミックの直径が、前記ドー
ム部の直径とほぼ同一であることを特徴とする。本発明
は、圧電セラミックが発生する振動の大部分をドーム型
振動板から放射する効率の良い超高域再生用スピーカを
実現する。
【0013】本発明の他の観点による上記の超高域再生
用スピーカは、前記開口部が前記ドーム部の直径とほぼ
同一であることを特徴とする。本発明は、更に良い音圧
周波数特性と、広い指向特性を有する超高域再生用スピ
ーカを実現する。
【0014】本発明の他の観点による上記の超高域再生
用スピーカは、前記圧電セラミック振動子に昇圧回路を
接続したことを特徴とする。本発明は、音圧の高い超高
域再生用スピーカを実現する。
【0015】本発明の他の観点による上記の超高域再生
用スピーカは、前記ドーム型振動板の第1次高域共振周
波数は前記圧電セラミック振動子の第2次高域共振周波
数よりも高くしたことを特徴とする。本発明は、上側遮
断周波数が更に高い超高域再生用スピーカを実現する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施をするため最
良の形態を具体的に示した実施の形態について図面とと
もに記載する。
【0017】《実施の形態1》図1〜12を用いて、本
発明の実施の形態1の超高域再生用スピーカを説明す
る。図1は実施の形態1の超高域再生用スピーカの構造
を示す。図1において、1は圧電セラミック振動子、2
は昇圧回路、3はドーム型振動板、4はフレームの前面
のパネルである。圧電セラミック振動子1は、厚さ方向
に分極した円形の圧電セラミック1aと円形の金属基板
1bとを同軸上に接合した構造を有する。圧電セラミッ
ク1aは直径15mm、厚み0.2mmである。圧電セ
ラミック1aは、非常に広範に使用されている汎用の円
形で小型の圧電セラミックである。金属基板1bは材質
が真鍮、直径20mm、厚み0.15mmである。金属
基板1bは圧電セラミック1aより大きな径を有する。
圧電セラミック振動子1は、金属板の片面に圧電セラミ
ック薄板を接着したモノモルフ型圧電セラミック振動子
である。
【0018】従来例3のスピーカにおいては、圧電セラ
ミック振動子21の径方向の振動が、厚さ35μmのポ
リエーテルイミドフィルムで形成されたドーム型振動板
23によって上下(圧電セラミック振動子21の厚さ方
向)の振動に変換された。本発明のスピーカにおいて
は、剛性を有する金属基板1bと圧電セラミック1aと
の間で発生するたわみにより、圧電セラミック振動子1
が厚さ方向に振動する。圧電セラミック振動子21から
柔軟なドーム型振動板23に振動を伝達して、振動方向
の変更を行う従来例3の構成と比べて、本発明の構成に
おいては、振動の伝達時のロスが少なく、高域周波数成
分の減衰も少ない。本発明の構成により、はるかに大き
なレベルで、高い上側遮断周波数の音圧を得ることが出
来た。
【0019】ドーム型振動板3は、圧電セラミック振動
子1の金属基板1bの面に、圧電セラミック振動子1と
ドーム型振動板3の端面とが同軸上に取り付けられてい
る。ドーム型振動板3は、0.05mmの厚さを有する
ポリエチレンテレフタレート(通称PET)のフィルム
で形成されている。ドーム型振動板3は、直径が13m
mで全高が3mmのドーム部を有する。ドーム部の周辺
に幅1mmの水平なつばが付いている。このつばが金属
基板1bに接着されている。
【0020】パネル4は図示しないフレームの前面に取
り付けられている。パネル4は実用的な剛性を有するポ
リスチロール樹脂で形成されている。パネル4は、圧電
セラミック振動子1の外周部(半径9.5mmから最外
周(半径10mm)までの環状部)を接着固定してい
る。圧電セラミック振動子1の実効可動直径は、約19
mmである。実効可動直径とは、圧電セラミック振動子
1が振動のできる最大外径をいう。圧電セラミック振動
子1において、圧電セラミック1aの直径は金属基板1
bの直径より小さい。金属基板1bの外周部がパネル4
に接着固定されている。パネル4は、ドーム型振動板3
の前面に直径13mmの開口部4aを有する。パネル4
は、開口部4aを中心とする浅い円錐部を有する。円錐
部は、開口部4aの外周部で最も厚さが薄くなる、図1
に示すように、パネル4の開口部4aからドーム型振動
板3のほとんどが露出している。これにより、本発明の
スピーカは広い指向性を実現している。
【0021】パネル4の開口部4aとドーム型振動板3
との直径は同一である。パネル4は、圧電セラミック振
動子1の外周部との上記の接着部分(圧電セラミック振
動子1の外周の環状部)を除いて、ドーム型振動板3及
び圧電セラミック振動子1のいずれとも接触していな
い。パネル4とドーム型振動板3及び圧電セラミック振
動子1との間には狭い隙間が設けられている。上記の構
造により、圧電セラミック振動子1の可動部分であって
且つドーム型振動板3より外周の部分が発する音波は、
スピーカの外の放射されなくなっている。
【0022】振動板3は、圧電セラミック振動子1の外
周部(パネル4と圧電セラミック振動子1との接続部)
に取り付けられておらず、ドーム部の直径は圧電セラミ
ック振動子1の実効可動直径よりも短い。圧電セラミッ
ク1aの直径が、ドーム部の直径とほぼ同一である。圧
電セラミック1aと金属基板1bとの間で発生するたわ
み(振動)の大部分は、振動板3に伝わる。振動板3と
接する圧電セラミック振動子1の部分(圧電セラミック
1aと金属基板1bとが接している部分とほぼ同一であ
る。)は、圧電セラミック振動子1の固定部(外周部)
と離れている故に、振動が抑制されにくい。
【0023】振動板3の直径は13mmと大変小さく、
ドーム部のみが且つのドーム部のほぼ全体がパネル4の
開口部4aから露出している故、実施の形態のスピーカ
は優れた指向特性を有する。パネル4の開口部4aは実
質的にドーム部のみを外部に露出している。パネル4
は、圧電セラミック振動子1の外周部(音圧周波数特性
が劣る部分である。)の前面を覆っており、そこからの
音を遮っている。これにより、実施の形態1のスピーカ
の音圧周波数特性を更に良くしている。ドーム型振動板
3のドーム部の直径(13mm)は、周辺が固定された
圧電セラミック振動子1の実効可動直径である19mm
の0.68倍である。これにより(詳細な説明は後
述)、従来例のスピーカで生じていたピークディップが
大きいという問題が解消され、優れた音圧周波数特性が
得られる。
【0024】昇圧回路2は昇圧コイル2a、コンデンサ
2b、抵抗2c、入力端子2d(ホット側)及び2e
(グランド側)からなる。抵抗2c及びコンデンサ2b
からなる直列体の一端は、入力端子2d(ホット側)に
接続されており、他端はオートトランス(1次側巻線と
2次側巻線とが分割して巻いていない。)である昇圧コ
イル2aの1次側端子に接続されている。昇圧コイル2
aのグラウンド端子は入力端子2e(グランド側)及び
圧電セラミック振動子1の金属基板1bに接続されてい
る。昇圧コイル2aの2次側端子は圧電セラミック1a
に接続されている。昇圧コイル2aは外径が10mmで
長さが10mmの小型フェライトコアボビンに、線径
0.12mmのエナメル銅線を巻いたものである。コン
デンサ2bに接続された1次側のコイル巻数は約40回
であり、圧電セラミック1aに接続された2次側のコイ
ル巻数は約240回である。昇圧コイル2aの昇圧比は
1:6である。昇圧回路2は入力駆動電圧を6倍に昇圧
し、昇圧した駆動電圧を圧電セラミック振動子1に印加
する。本発明のスピーカにおいては、昇圧回路2を有し
ていないスピーカと比較して、約16dB高い音圧レベ
ルが得られた。
【0025】実施の形態1のスピーカは、入力した圧電
セラミックの駆動電圧を昇圧コイル2aで高くして、従
来よりも高い音圧を実現している。コンデンサ2bは、
容量が0.68μFで耐圧が50Vの数mm角の大きさ
を有する小型のフィルムコンデンサである。昇圧回路2
の下側遮断周波数は約20kHzである。昇圧コイル2
aとコンデンサ2bとは共振回路を構成する。共振回路
の共振周波数が約22kHzになるように、コンデンサ
2bの容量を決定している。22kHz近傍の出力レベ
ルを上げることにより、昇圧回路2の帯域を低域方向に
伸ばしている。抵抗2cの抵抗値を変化させることによ
り、昇圧コイル2aとコンデンサ2bからなる共振回路
のQが変わる。20kHz近傍のスピーカの音圧周波数
特性がフラットになるように、抵抗2cの抵抗値を決定
している。実施の形態1においては、抵抗2cは、イン
ピーダンスが2.2Ωで定格容量が1Wの小型抵抗であ
る。
【0026】図2、図3を参照しながら詳しく説明す
る。図2(a)〜(d)は、外周部を固定された圧電セ
ラミック振動子1の種々の振動モードを示す図である。
図2(a)〜(d)の上側の図は振動している圧電セラ
ミック振動子1の平面図である。図2において、(a)
は第1次(基本周波数)モード、(b)は第2次節円モ
ード、(c)は第3次節円モード、(d)は第4次節円
モードを示す。ハッチングをした部分はハッチングして
いない部分と逆方向に変位していることを表している
(ハッチングをした部分とハッチングしていない部分と
の境界が振動の節である。)。図2(a)〜(d)の下
側の図は圧電セラミック振動子1の変位の様子を表して
いる(振動振幅を縦軸で表示している。圧電セラミック
振動子1は、その厚さ方向に振動する。)。
【0027】図2に示すように、外周部が固定された圧
電セラミック振動子1では、固定部の対極の部位である
中心部が振幅最大の腹となり、最も共振が強く起こる。
従来例3のスピーカにおいては、圧電セラミック振動子
21は内周部が固定された円板リングであった。このよ
うな構成においては、固定部の対極の部位である外周部
が振幅最大の腹となり、最も共振が強く起こる。従来例
3においては、圧電セラミック振動子21の外周部は、
全ての振動モードにおいて腹となる。従来例3において
は、圧電セラミック振動子21は、その外周部のみにお
いてドーム型振動板23と接続されている故、音圧周波
数特性のピークディップが非常に大きくなる。圧電セラ
ミック振動子1の外周部が固定されている本実施の形態
においては、ある直径の範囲(例えば圧電セラミック1
aの直径の範囲)内では振動モードが極端な共振特性を
もつことがなく、周波数特性のピークディップが小さく
なる。このことを実験により実証した。
【0028】図3を参照しながら実験結果を説明する。
図3は、最外周を固定した実施の形態1の外径20mm
の圧電セラミック振動子の音圧周波数特性を示すグラフ
である。音響理論において、振動加速度に振動板の放射
抵抗を掛けたものは音圧周波数特性になることが知られ
ている。図3に示した音圧周波数特性は、振動加速度周
波数特性を測定し、その測定結果に放射抵抗を掛けて得
た。図3において、A〜Dは、圧電セラミック振動子の
種々の部位における特性を示す。A(細実線)は中心点
の特性、B(点線)は直径が7mm(中心からの距離が
0.35mm)つまり外径の0.35倍の周上部位での
特性、C(太実線)は直径が13mmつまり外径の0.
65倍の周上部位での特性、D(破線)は直径が17m
mつまり外径の0.85倍の周上部位での特性である。
【0029】図3に示すように、Aの特性は最もピーク
ディップが激しく、Bの特性も程度は若干小さいものの
Aの特性と同様にピークディップが大きい。一方Dの特
性は、ピークディップの高さは少し低くなっているが、
全体的なレベルも低くなり、且つ周波数が高くなるとレ
ベルが減衰している。Cの特性が全体的に最もピークデ
ィップが少なく、高い周波数まで均一なレベルを有して
いる。図3では代表的な直径部位での特性を示した。実
験により、直径が10mm〜16mmの範囲(中心から
の距離が5mmから8mmの範囲)つまり圧電セラミッ
ク振動子の実効可動直径の0.5倍〜0.8倍の範囲内
では、Cの特性と同様に全体的にピークディップの少な
い特性の得られることが分かった。この範囲の部位では
AとDの中間的な特性が得られる。この部位の振動を振
動板3に伝達することにより、ピークディップが緩和さ
れる。
【0030】図4から図11及び表1に、ドーム型振動
板3のドーム外径Ddを圧電セラミック振動子の実効可
動直径Doの0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5
倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍にそれぞ
れ変化させた場合の、音圧周波数特性を示す。図4から
図11のデータを測定した際における、圧電セラミック
振動子とその実効可動直径、昇圧回路、パネルの構造、
ドーム型振動板の材質、パネルの材質は、図1で説明を
した内容と同じである。各々の場合のパネルの開口は、
ドーム型振動板の外径と同じとしている。ドーム型振動
板の曲率半径は全て9mmである。
【0031】図4から図6に示すように、ドーム型振動
板3の外径が小さい場合、すなわちドーム外径が圧電セ
ラミック振動子1の実効可動直径の0.2倍〜0.4倍
の場合は、音圧周波数特性のピークディップが大きい。
圧電セラミック振動子1の中心点は最も共振レベルが高
い故に、この近傍の部位ではピークディップが大きい。
全体的な音圧レベルがドーム外径が小さいほど低い。こ
れは振動板外径が小さいほど振動板面積が小さくなるか
らである。
【0032】図7から図10に示すように、ドーム型振
動板3の外径が圧電セラミック振動子1の実効可動直径
の0.5倍〜0.8倍の場合は、音圧周波数特性のピー
クディップが小さく、かつ全体的な音圧レベルは比較的
高い。図11に示すように、ドーム外径が圧電セラミッ
ク振動子の実効可動直径の0.9倍の場合には、ピーク
ディップが大きく、音圧レベルも低くなっている。ドー
ム外径が大きいにもかかわらず音圧レベルが低くなるの
は、圧電セラミック振動子の外周固定端の近傍の部位で
は、振動子の振幅が減衰されるからである。
【0033】表1はドーム型振動板3の形状と音圧周波
数特性の傾向をまとめたものである。表1において、D
dはドーム型振動板3の外径(直径)、hはドームの高
さ(但し、ドームの曲率半径は全て9mm)、Rはドー
ム型振動板3の外径の圧電セラミック振動子1の実効可
動直径(19mm)に対する比率、dは音圧周波数特性
の20kHz〜100kHzの偏差(1/8オクターブ
以下の鋭いピークディップは除く)、平均SPL(Soun
d Pressure Level。平均音圧レベル)は音圧周波数特性
の20kHz〜100kHzの平均音圧レベルをそれぞ
れ示す。
【0034】表1から、ドーム型振動板3の外径が圧電
セラミック振動子1の実効可動直径の0.5〜0.8倍
の範囲で音圧周波数特性の偏差(ピークディップの大き
さ)が小さいことが分かる(±5dBの範囲内)。平均
SPLは、ドーム外径が圧電振動子の実効可動直径の
0.5倍〜0.8倍の範囲において大きく、0.4倍以
下及び0.9倍以下の範囲においてに非常に小さくな
る。上記の実験結果より、ドーム型振動板3の外径を圧
電セラミック振動子1の実効可動直径の0.5〜0.8
倍の範囲内に設計することにより、優れた特性の超高域
再生用スピーカを実現できる。
【0035】
【表1】
【0036】本実施の形態では、ドーム型振動板3のド
ーム部直径を圧電セラミック振動子1の実効可動直径の
0.5〜0.8倍の範囲内の0.68倍としている。周
波数特性のピークディップの少ない部位の振動がドーム
型振動板3に伝達される。パネル開口部4a以外からは
不要な音が放射されないので、つまり周波数特性ピーク
ディップの多い部位からの音はパネル4によって遮蔽さ
れるので、優れた音圧周波数特性を得ることができる。
【0037】図12に本実施の形態の超高域再生用スピ
ーカの2.45V(1W/6Ω)入力時の音圧周波数特
性を示す。約20kHzから120kHzに及ぶ超高域
まで、ピークディップの少ない優れた音圧周波数特性
と、約84dB/mの高い出力音圧レベルが得られた。
従来の技術では、2.45V入力で75dB/m前後の
出力音圧レベルしか得られていなかった。圧電セラミッ
ク振動子1は、極めて広範に使用されている小型円形の
汎用モノモルフ型であるので、極めて安価である。本発
明のスピーカは超高域周波数再生用スピーカである故、
昇圧回路2が有する昇圧コイル2a、コンデンサ2bは
非常に小さく安価である。これらの部品を有する昇圧回
路2は非常に安価である。本発明により、安価な超高域
再生用スピーカを実現した。
【0038】《実施の形態2》図13を用いて、本発明
の実施の形態2の超高域再生用スピーカを説明する。実
施の形態2の超高域再生用スピーカは、図1で示した実
施の形態1の超高域再生用スピーカと同構造を有する。
その詳細な説明は省略する。実施の形態1では圧電セラ
ミック振動子1の第1次高域共振周波数は約7kHz、
第2次高域共振周波数は約25kHz、第3次高域共振
周波数は約50kHzであり、ドーム型振動板3の第1
次高域共振周波数は約20kHzであった。実施の形態
2においては、ドーム型振動板3の第1次高域共振周波
数を圧電セラミック振動子1の第2次高域共振周波数よ
りも高く設計している。ドーム型振動板3は、圧電セラ
ミック振動子1が効率良く発生した高周波数帯域の振動
(音波)を、少ない損失で放射する。実施の形態2の構
成により、実施の形態1のスピーカと比較して、更に超
高域まで伸びた優れた音圧周波数特性を有するスピーカ
を実現できた。以下これについて詳しく説明する。
【0039】音響振動学でよく知られているとおり、周
辺部を固定された円板の第1次(基本)モードの周波数
つまり第1次高域共振周波数をf1、第2次(第2次節
円モード)高域共振周波数をf2、第3次(第3次節円
モード)高域共振周波数をf3、第4次(第4次節円モ
ード)高域共振周波数をf4とすると、f2=3.9×
f1、f3=8.7×f1、f4=14.5×f1であ
る。f2/f1(=3.9)だけはf3/f2(=2.
2)、f4/f3(=1.7)よりもずっと大きく、f
1とf2の間の周波数帯域では共振効果が減少し放射効
率が低い。これらのことは図3からも明らかである。こ
れに対してf2以上の周波数帯域では高域共振周波数が
密集しているので、共振効果により放射効率が高い。そ
こで実施の形態2においては、ドーム型振動板3の第1
次高域共振周波数を圧電セラミック振動子1のf2以上
としている。この構成によれば、ドーム型振動板3の高
次分割振動による振動伝達損失が、圧電セラミック振動
子1の放射効率の高い周波数帯域において発生しない。
上記構成により、極めて超高域まで再生するスピーカを
実現できた。
【0040】図3によれば、実施の形態1の圧電セラミ
ック振動子1の各高域共振周波数の間隔(実測値)は上
記f1〜f4の間隔(理論値)と若干異なる。これは圧
電セラミック振動子1の周辺固定材料が樹脂なので、周
辺固定された振動子の理論的理想状態とは少し異なるた
めである。実施の形態2のスピーカにおいて、ドーム型
振動板3を厚み0.05mmのポリイミド含有樹脂フィ
ルムで形成し、ドーム部の高さを4mmにして、ドーム
型振動板3の第1次高域共振周波数を圧電セラミック振
動子1の第2次高域共振周波数(約25kH)よりも高
い値である30kHzに設計した。他の構成は実施の形
態と同一である。実施の形態2のスピーカの音圧周波数
特性を図13に示す。図12と図13を比較すると明ら
かなように、実施の形態1のスピーカにおいては再生帯
域の上限が約120kHzであったが(図12)、実施
の形態2のスピーカにおいては再生帯域の上限が約15
0kHzに伸びている(図13)。
【0041】上記の説明において、本発明のスピーカを
従来例3のスピーカと比較した。従来例1及び2と、本
発明のスピーカとを簡単に比較する。従来例1のスピー
カは、ドーム型振動板と比較して周波数特性の乱れが大
きい円錐型振動板を用いている。モノモルフ型圧電セラ
ミック振動子が円錐型振動板の頂部のみに接しており、
振動板と振動子の接触面積が少ない。それ故、セラミッ
ク振動子から円錐型振動板にエネルギーが良好に伝達さ
れにくい。大きな共振を有するセラミック振動子の中心
近傍のみの振動が振動板に伝達される。上記の理由によ
り、従来例1のスピーカは、音圧が低く、音圧周波数特
性のピークディップが大きい。従来例2のスピーカは、
円錐型振動板と、円錐型振動板の内周部と接するドーム
型振動板とを有する。円錐型振動板の振動とドーム型振
動板の振動とが相互に干渉する故、音圧周波数特性のピ
ークディップが大きい。圧電素子の振動が円錐型振動板
に伝わりにくく、音圧が低い。
【0042】本発明によれば、高い音圧レベルとピーク
ディップの少ない優れた音圧周波数特性をもち、優れた
指向特性を持ちながら超高音域まで再生ができ、かつ安
価な超高域再生用スピーカを実現できる。実施の形態1
及び2では圧電セラミック振動子1をモノモルフ型とし
たが、これをバイモルフ型としても良いことは言うまで
もない。バイモルフ型は圧電セラミック薄板が金属板の
両面に接合されているので、圧電セラミックが金属板の
片面だけに接合されたモノモルフ型に比べて駆動力が2
倍である。バイモルフ型の圧電セラミック振動子を用い
ることにより、特性を変化させることなく更に高出力の
スピーカを実現できる。
【0043】圧電セラミック1a及び金属基板1bは円
板形状でなくても良い。円形以外の形状の振動子を用い
た場合には、振動子の振動モードが円形の場合よりも分
散化され、振動レベルが低下する傾向になる。このこと
を考慮して、所望の特性が得られるように適宜設計する
ことができる。圧電セラミック振動子を円板形状にする
ことにより、広く流通している安価な市販汎用品を用い
ることができる。圧電セラミック振動子を円板形状にす
ることにより、最も安価なスピーカを実現できる。
【0044】実施の形態1及び2では圧電セラミック振
動子1を円板形状とし、パネルの内周部に固定した。圧
電セラミック振動子を円形ではなく多角形又は楕円等の
非円形形状としても設計可能である。この場合、圧電セ
ラミック振動子の実効可動直径はその非円形形状と同一
の面積をもつ円形の直径で表すことが出来る。実施の形
態1及び2では圧電セラミック振動子1の周辺部をパネ
ル4で固定した。ドーム型振動板の前面に開口部を有す
るパネルと別個の部材を用いて、圧電セラミック振動子
1の周辺部を固定しても良い。
【0045】実施の形態1及び2では圧電セラミック振
動子1(直径20mm)の周辺部の直径19mm〜20
mmの範囲の狭い環状部分を固定した。圧電セラミック
振動子1の周辺部の固定部を、もっと広い範囲にしても
良い。例えば圧電セラミック振動子1(直径20mm)
の周辺部の直径16mm〜20mmの範囲を固定した場
合には、実効可動直径は16mmとなる。この構成にお
いては、ドーム型振動板3のドーム部の直径を、16m
mの0.5〜0.8倍である直径8mm〜12.8mm
に設計する。
【0046】圧電セラミック振動子を固定する部材の剛
性が低い場合、例えば固定部材が肉厚が薄い樹脂のよう
な場合には、圧電セラミック振動子の周辺部は完全な固
定状態にはならない。この場合、圧電セラミック振動子
の実効可動直径は固定内周径よりも大きくなり、固定内
周径と圧電セラミック振動子の外径の中間的な値とな
る。固定する部材の剛性が高い場合、例えば固定部材が
金属又は肉厚が十分大きい樹脂の場合は、圧電セラミッ
ク振動子の実効可動直径は固定内周径とほぼ同じとみな
すことができる。圧電セラミック振動子を固定部材に固
定する接着剤の剛性が低い場合、例えば柔らかい接着剤
を厚く塗布して圧電セラミック振動子を固定した場合な
どにおいては、固定部材の剛性が高くても実効可動直径
は固定内周径よりも大きくなる。
【0047】実施の形態1及び2では昇圧コイル2aは
オートトランスであった。これに代えて、1次側巻線と
2次側巻線が別々に巻かれた通常のトランスを昇圧コイ
ルとして用いても良い。1次側巻線と2次側巻線とが別
々に巻かれたトランスと、1次側巻線と2次側巻線が共
用されている通称オートトランスとは、交流電気的な動
作は全く同じである。実施の形態1及び2では、抵抗2
cが昇圧回路2のコンデンサ2bと直列に接続されてい
る。抵抗2cは、下側遮断周波数近傍にある共振点のQ
を下げ、下側遮断周波数(約20kHz)近傍の音圧周
波数特性をフラットに調整している。所定の性能が得ら
れる場合には、抵抗2cはなくても良い。スピーカの平
均SPLが十分高い場合には、圧電セラミック振動子1
に接続されている昇圧回路2をなくしても良い。
【0048】実施の形態1及び2ではドーム型振動板3
の材質をポリエチレンテレフタレートまたはポリイミド
含有樹脂フィルムとした。これに限られるものではな
く、振動板の材質として任意の材料を用いることが出来
る。例えば金属チタン箔、紙、各種樹脂フィルムなどを
振動板として用いることが出来る。モノモルフ型又はバ
イモルフ型の圧電セラミック振動子は、一般的に、厚み
0.15mm〜0.25mmの金属基板を有する。ドー
ム型振動板には、一般的に、厚み0.05mm前後の樹
脂フィルム又は厚み0.025mm程度のチタン泊など
が、成型が容易であり且つ軽量である故、用いられる。
このような材質を用いたドーム型振動板は圧電セラミッ
ク振動子に比べて遙かに軽量である。ドーム型振動板の
材質に応じて、圧電セラミック振動子の振動特性が大き
く変化することはない。実施の形態1及び2では開口部
4aの直径をドーム型振動板3のドーム部の直径と同じ
にしたが、多少異なっても構わない。開口部4aの直径
をドーム部の直径以下とした場合は、ドーム部外側のつ
ば及び接着剤のはみ出しなどが表側から見えにくくなる
ので、外観的に高品位なスピーカを実現できる。またパ
ネル4の開口部前面をホーン状形状にすれば、指向性は
狭くなるが、音圧レベルをさらに高めることができる。
【0049】実施の形態1及び2ではドーム型振動板3
は圧電セラミック振動子1に対して偏心なく同軸上に配
置したが、両者の多少の偏心は差し支えない。両者の偏
心が大きい場合は、スピーカの音圧周波数特性ピークデ
ィップは分散化されるが、音圧レベルは低くなる傾向に
なる。このことを勘案して積極的に偏心をさせた設計を
することも可能である。実施の形態1及び2ではドーム
型振動板3の正面形状は円形であった。これに代えて、
楕円形状又は長円形などのドーム型振動板を用いること
も出来る。楕円形状又は長円形のドーム型振動板を用い
ると、スピーカの音圧周波数特性ピークディップは分散
化されるが、音圧レベルは低くなる傾向になる。このよ
うな場合、楕円又は長円形の長径と短径の平均値(又は
その面積と同一の面積を有する円の直径)を圧電セラミ
ック振動子1の実効可動直径の0.5〜0.8倍と設計
すれば良い。
【0050】実施の形態1及び2ではドーム型振動板3
の形状は球面型ドームであった。これに代えて、円錐型
又は砲弾型のドーム型振動板を使用しても良い。ドーム
型振動板3は圧電セラミック振動子1に比べて遙かに軽
量である故、ドーム型振動板3の形状を変えた場合、ス
ピーカの指向特性は変化するが、圧電セラミック振動子
1の振動特性(音圧周波数特性)はほとんど影響を受け
ない。本発明は上記説明した例に限定されるものでない
ことは、言うまでもない。発明をある程度の詳細さをも
って好適な形態について説明したが、この好適形態の現
開示内容は構成の細部において変化してしかるべきもの
であり、各要素の組合せや順序の変化は請求された発明
の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものであ
る。
【0051】
【発明の効果】本発明の超高域再生用スピーカでは、圧
電セラミック振動子の周辺部を固定するとともに、ドー
ム型振動板のドーム外径を圧電セラミック振動子の実効
可動直径の0.5〜0.8倍に構成したことにより、圧
電セラミック振動子のピークディップの少ない部位の振
動がドーム型振動板に伝達される。これにより優れた音
圧周波数特性を実現する。実質的にドーム型振動板のみ
を外部に露出するパネル開口部以外からは不要な音が放
射されないので、音圧周波数特性を更に良くし、且つ優
れた指向性を実現する。圧電セラミックの直径をドーム
部の直径とほぼ同一にすることにより、圧電セラミック
が発生する振動の大部分をドーム型振動板から放射する
効率の良い超高域再生用スピーカを実現する。セラミッ
ク振動子に昇圧回路を接続することにより、セラミック
振動子の駆動電圧を高くしている。これにより、小さな
直径のドーム型振動板を用いて高い音圧レベルをもつス
ピーカが得られる。小さな直径のドーム型振動板によ
り、広い指向性のスピーカが得られる。
【0052】ドーム型振動板の第1次高域共振周波数を
前記圧電セラミック振動子の第2次高域共振周波数より
も高くしたことにより、圧電セラミック振動子の放射効
率の高い周波数帯域でドーム型振動板の高次分割振動に
よる振動伝達損失がなく、極めて超高域まで再生するス
ピーカを実現できる。この構成により、上記のスピーカ
よりも一層超高域まで伸びた優れた特性の超高域再生用
スピーカを実現することができる。本発明のスピーカに
おいては、極めて広範に使用されている小型円形汎用モ
ノモルフ型の圧電セラミック振動子を用いることができ
る。本発明のスピーカの再生周波数は超高域なので、小
型で安価な部品を用いて昇圧回路を構成することが出来
る。本発明によれば、高い音圧レベルとピークディップ
の少ない優れた音圧周波数特性をもち、優れた指向特性
を有し、超高域の周波数まで再生ができる安価な超高域
再生用スピーカを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1及び2の超高域
再生用スピーカの構造図である。
【図2】図2は、本発明の周辺を固定した圧電セラミッ
ク振動子の振動モードを示す図である。
【図3】図3は、外周を固定した圧電セラミック振動子
の各部の音圧周波数特性を示すグラフである。
【図4】図4は、ドーム部の直径を圧電セラミック振動
子の実効可動直径の0.2倍にした場合のスピーカの音
圧周波数特性である。
【図5】図5は、ドーム部の直径を圧電セラミック振動
子の実効可動直径の0.3倍にした場合のスピーカの音
圧周波数特性である。
【図6】図6は、ドーム部の直径を圧電セラミック振動
子の実効可動直径の0.4倍にした場合のスピーカの音
圧周波数特性である。
【図7】図7は、ドーム部の直径を圧電セラミック振動
子の実効可動直径の0.5倍にした場合のスピーカの音
圧周波数特性である。
【図8】図8は、ドーム部の直径を圧電セラミック振動
子の実効可動直径の0.6倍にした場合のスピーカの音
圧周波数特性である。
【図9】図9は、ドーム部の直径を圧電セラミック振動
子の実効可動直径の0.7倍にした場合のスピーカの音
圧周波数特性である。
【図10】図10は、ドーム部の直径を圧電セラミック
振動子の実効可動直径の0.8倍にした場合のスピーカ
の音圧周波数特性である。
【図11】図11は、ドーム部の直径を圧電セラミック
振動子の実効可動直径の0.9倍にした場合のスピーカ
の音圧周波数特性である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1の超高域再
生用スピーカの音圧周波数特性図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2の超高域再
生用スピーカの音圧周波数特性図である。
【図14】図14は、従来例3の高域再生用スピーカの
構造図である。
【図15】図15は、従来例3の超高域再生用スピーカ
の圧電セラミック振動子の振動モードを説明する図であ
る。
【図16】図16は、従来例3の超高域再生用スピーカ
の音圧周波数特性図である。
【符号の説明】
1 圧電セラミック振動子 1a 圧電セラミック 1b 金属基板 2 昇圧回路 2a 昇圧コイル 2b コンデンサ 2c 抵抗 3 ドーム型振動板 4 パネル 4a 開口部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電セラミックと金属基板を接合した略
    円盤状の圧電セラミック振動子と、前記圧電セラミック
    振動子に取り付けられたドーム型振動板と、前記圧電セ
    ラミック振動子の外周部を固定し且つ前記ドーム型振動
    板の前面に開口部を有するパネルと、を有し、 前記ドーム型振動板のドーム部の直径を前記圧電セラミ
    ック振動子の実効可動直径の0.5〜0.8倍としたこ
    とを特徴とする超高域再生用スピーカ。
  2. 【請求項2】 前記圧電セラミックの直径が、前記ドー
    ム部の直径とほぼ同一であることを特徴とする請求項1
    に記載の超高域再生用スピーカ。
  3. 【請求項3】 前記開口部が前記ドーム部の直径とほぼ
    同一であることを特徴とする請求項1に記載の超高域再
    生用スピーカ。
  4. 【請求項4】 前記圧電セラミック振動子に昇圧回路を
    接続したことを特徴とする、請求項1に記載の超高域再
    生用スピーカ。
  5. 【請求項5】 前記ドーム型振動板の第1次高域共振周
    波数は前記圧電セラミック振動子の第2次高域共振周波
    数よりも高くしたことを特徴とする、請求項1に記載の
    超高域再生用スピーカ。
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WO2015102123A1 (ko) * 2013-12-31 2015-07-09 주식회사 이노칩테크놀로지 휴대용 압전 스피커 및 이를 구비하는 전자기기

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