JP2008054261A - 静電型トランスデューサ、容量性負荷の駆動回路、回路定数の設定方法、超音波スピーカ、表示装置、および指向性音響システム - Google Patents

静電型トランスデューサ、容量性負荷の駆動回路、回路定数の設定方法、超音波スピーカ、表示装置、および指向性音響システム Download PDF

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Abstract

【課題】駆動周波数帯域において平坦な出力電圧周波数特性を確保しながら、低損失での駆動が可能な静電型トランスデューサの駆動回路を提供する。
【解決手段】出力トランスTの2次側に駆動負荷として静電型トランスデューサ1(負荷静電容量)を並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスと負荷静電容量とによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサ1の搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。また、静電型トランスデューサ1の端子間電圧の周波数特性が、静電型トランスデューサ1の駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように各回路定数を設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電型トランスデューサに関するものであり、特に超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号によって変調した変調波を出力することによって、鋭い指向性を有する音を再生する静電型トランスデューサ、該静電型トランスデューサを使用した超音波スピーカ、該超音波スピーカを備える表示装置、および指向性音響システムに関し、さらには、容量性負荷の駆動回路に関する。
超音波スピーカは、超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号によって変調した変調波を出力することで、鋭い指向性を有する音を再生することができるというものである。超音波スピーカのトランスデューサ(トランスミッタ)には、一般的に圧電型のトランスデューサが用いられている。しかし、圧電型のトランスデューサは素子の鋭い共振特性を利用していることから、高い音圧が得られるが周波数帯域は非常に狭い。このため、圧電型のトランスデューサを用いた超音波スピーカでは再生可能な周波数帯域が狭く、ラウドスピーカと比較して再生音質が悪いという傾向がある。
これに対し、振動膜の電極と固定電極との間に静電力を作用させることによって振動膜を振動させ、音圧を発生させるタイプの静電型トランスデューサを用いた超音波スピーカ(図1に示す本発明の適用対象となる静電型トランスデューサの例を参照)がある。静電型トランスデューサは、広い周波数範囲にわたって平坦な出力音圧特性が得られるという特徴がある。このため、静電型トランスデューサを用いた超音波スピーカは、圧電型のものよりも再生音質を向上させることができるという特長がある。
静電型のトランスデューサでは、高音圧を発生させるために、振動膜電極と固定電極との間に数百V以上の高い電圧を印加する必要がある。このため、静電型トランスデューサを駆動する際には、出力トランスを介して昇圧を行うのが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
静電型トランスデューサは、キャパシタと同様の構成を有しているため、トランスデューサの電気的特性は静電容量成分が支配的である。このため、出力トランスを介して静電型トランスデューサを駆動すると、トランスのインダクタンス成分と、トランスデューサの静電容量成分によって共振回路系が形成される。この共振の影響により、トランスデューサの端子電圧(出力電圧)の周波数特性が大きく変動し、平坦な出力特性が得られないという問題が発生する。これは、超音波スピーカの再生音質劣化に繋がる。
共振周波数帯域を駆動周波数帯域から大きくずらすことができれば、周波数特性を平坦に近づけることはできるが、超音波スピーカの場合には、駆動周波数帯域が超音波帯域にあり、回路の共振周波数帯域を駆動周波数帯域から高域側へ大きくずらすためには、出力トランスの巻線インダクタンスを非常に小さくしなければならず、現実的ではない。
出力トランス及び静電型トランスデューサは、その構造上の制約から、そのインダクタンス値と静電容量値には現実的な範囲が存在する。すると、それらの組み合わせによって、駆動周波数帯域の比較的近傍に回路の共振周波数帯域が存在することになる。つまり、出力トランスを介在させると、超音波スピーカの出力周波数特性が大きく変動するという問題が発生する。
出力トランスの1次側、もしくは2次側に抵抗を接続することによって、出力電圧の周波数特性変化を平坦にすることはできるが、引き換えに抵抗で損失が発生する。これは、電力損失が小さいという静電型トランスデューサの特長を殺すことになるため、望ましい方法ではない。
また、従来技術の超音波トランスデューサとして、負荷である圧電素子の回路定数(インダクタンス成分とキャパシタンス成分)を利用してバタワース型フィルタを構成し、インピーダンス整合と平坦な出力周波数特性の確保とを同時に実現する構成が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。しかし、この従来技術の超音波トランスデューサの構成は圧電素子の駆動を前提としたものであり、静電型のトランスデューサの駆動に適用する場合には問題が発生する。
特許文献2に開示されているT型もしくはπ型のLCフィルタの構成によって、平坦な通過帯域特性を得るためには、比較的大きな抵抗成分が必要不可欠である。これに対し、圧電素子は負荷の電気的特性として比較的大きな抵抗成分を持っているため、特許文献2では負荷である圧電素子の(比較的大きな)抵抗成分をフィルタの一部として利用することによって、平坦な通過帯域特性を実現している。
一方、静電型のトランスデューサは、基本的にフイルムコンデンサと同様の構成である。このため、トランスデューサの電気的特性は静電容量成分が支配的であり、(圧電型と比べて)抵抗成分は非常に小さい。従って、特許文献2で開示されている回路構成手法を静電型トランスデューサに適用する場合、平坦な通過帯域特性を得るためには、比較的大きな抵抗値を有する外付けの抵抗を回路に追加しなければならず、この抵抗で無駄な電力損失が発生してしまう。しかし、この抵抗を追加しないと、LCフィルタは急峻な応答特性(共振曲線)を示すため、平坦な通過帯域特性が得られない。
特開平6−209499号公報 特開2001−86587号公報
上述したように、静電型のトランスデューサは、基本的にフイルムコンデンサと同様の構成である。このため、トランスデューサの電気的特性は静電容量成分が支配的であり、(圧電型と比べて)抵抗成分は非常に小さい。従って、特許文献2で開示されている回路構成手法を静電型トランスデューサに適用する場合、平坦な通過帯域特性を得るためには、比較的大きな抵抗値を有する外付けの抵抗を回路に追加しなければならず、この抵抗で無駄な電力損失が発生してしまう。しかし、抵抗を追加しないと、LCフィルタは急峻な応答特性(共振曲線)を示すため、平坦な通過帯域特性が得られないという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、静電型トランスデューサの駆動電力を低減し、さらには、静電型トランスデューサの駆動周波数帯域において平坦な出力電圧周波数特性を確保できる、静電型トランスデューサ、回路定数の設定方法、超音波スピーカ、該超音波スピーカを備える表示装置、および指向性音響システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、駆動周波数帯域において平坦な出力電圧周波数特性を確保しながら、低損失での駆動が可能な容量性負荷の駆動回路を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の静電型トランスデューサは、搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路の回路定数と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数とが設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、出力トランスTの2次側に駆動負荷として静電型トランスデューサ(負荷静電容量CL)を並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。
これにより、定格駆動時にはトランスTの2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、静電型トランスデューサの駆動電力を低減し、静電型トランスデューサを低損失で駆動できる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記静電型トランスデューサの負荷静電容量がCL(F)であり、静電型トランスデューサの定格搬送波周波数がfc(Hz)であるとき、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2(H)が、L2=1/(4π2fc2CL)に設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2の値を設定する際には、該自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように設定する。
これにより、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2の値を設定して、搬送波周波数による定格駆動時にトランスTの2次側を並列共振(反共振)状態にすることができる。このため、定格駆動時に所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、静電型トランスデューサの駆動電力を低減し、静電型トランスデューサを低損失で駆動できる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記静電型トランスデューサは駆動信号を印加するための端子を有しており、該端子間電圧の周波数特性が、前記静電型トランスデューサの駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように前記各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、静電型トランスデューサの負荷静電容量CLと出力トランスの電気的特性(回路定数)に合わせて、1次側結合静電容量C1と1次側外付抵抗Rの値とを適切に設定することによって、回路全体の通過帯域特性に静電型トランスデューサの駆動周波数を含むようにする。
これにより、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記出力トランスTの1次側回路及び駆動負荷を含む前記出力トランスTの2次側回路の等価回路において、結合静電容量C1、前記出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路の周波数特性における低域側−3dB減衰周波数をf1−とし、結合静電容量C1、前記出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路の周波数特性における高域側−3dB減衰周波数をf2+とし、相互インダクタンスM1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される共振回路の共振周波数をf0とするとき、(f1―・f2+)/f02=1となるように、上記各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、結合静電容量C1、出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、相互インダクタンスM1で形成される第一の共振回路(HPF)の周波数特性における低域側−3dB減衰周波数(カットオフ周波数)をf1―とし、結合静電容量C1、出力トランスの漏洩インダクタンスLL、負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路(LPF)の周波数特性における高域側−3dB減衰周波数(カットオフ周波数)をf2+とし、相互インダクタンスM1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される共振回路の共振周波数をf0とするとき、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定する。
これにより、第一の共振回路(HPF)の通過特性と第二の共振回路(LPF)の通過特性とがほぼ対称な形状となり、さらに高域通過(HPF)特性を示す共振系と低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって結合されるため、回路全体として並列共振周波数(反共振周波数)f0を中心に対称な帯域通過特性を実現することができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1、により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となるように前記各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、トランス1次側に形成される第一の共振回路(HPF)と、トランス2次側に形成される第二の共振回路(LPF)とを臨界結合状態とする。
これにより、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって臨界状態に結合されるため、双方の共振系は、急峻なピークの存在しない、なだらかな通過特性となり、回路全体として急峻なピークの存在しない帯域通過特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路は、前記第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように前記各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、高域通過(HPF)特性を示す第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、低域通過(LPF)特性を示す第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように各回路定数を設定する。
これにより、回路全体の通過帯域特性を調節することができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系の、それぞれの(共振周波数付近の)応答の鋭さを個別に調整しながら、双方をトランスによって結合させるため、回路全体の通過帯域の特性(低域と高域とのバランス)を任意に調節することができる。従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサの出力を調整しながら駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、再生帯域のバランス調整による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなるように上記各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、高域通過(HPF)特性を示す第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、低域通過(LPF)特性を示す第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなるようにする。すなわち、出力トランスTの2次側に外付けの抵抗を別途接続しない場合には、トランスの巻線仕様によっては上記HPFとLPFのクオリティ・ファクタが等しくならないケースが存在する。この場合には、√2(k・Q1)=1と√2(k・Q2)=1とを両方満足させることはできないため、どちらかの値が1となるように、1次側外付抵抗Rの値を設定する。なお、トランスの2次側に適切な外付抵抗を接続すれば、双方のクオリティ・ファクタを等しくすることができるため、完全なBPF特性を実現することが可能になる。
これにより、出力トランスTの2次側巻線に外付抵抗を接続しない場合でも、実用上問題がない程度に、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって臨界的に結合されるため、双方の共振系は、急峻なピークの存在しない、なだらかな通過特性となり、回路全体として急峻なピークの存在しない帯域通過(BPF)特性を実現することができる。
従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを前記出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となる条件とが共に満たされるように、各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定することにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とをほぼ対称な形状にする。また、トランス1次側に形成される共振回路(HPF)と、トランス2次側に形成される直列共振回路(LPF)とを臨界結合状態とすることにより、通過帯域特性を平坦にする。
これにより、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって臨界状態に結合されるため、双方の共振系の応答を揃え、かつ平坦にすることによって、回路全体として平坦な帯域通過(BPF)特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となる条件とが共に満たされるように、各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定することにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とをほぼ対称な形状にする。
また、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように前記各回路定数を設定することにより、通過帯域特性を調整する。
これにより、回路全体の通過帯域特性を調整する(平坦にする)ことができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系の応答と、低域通過(LPF)特性を示す共振系の応答とがほぼ対称な形状となり、さらに高域通過(HPF)特性を示す共振系と低域通過(LPF)特性を示す共振系の(共振周波数付近の)応答の鋭さを調整しながら、双方をトランスによって結合させるため、回路全体として並列共振周波数(反共振周波数)f0を中心に対称で、かつ高域と低域のバランスが整った(平坦な)帯域通過特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサを超音波スピーカに使用する場合には、再生帯域のバランス調整による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなる条件とが共に満たされるように、各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定することにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とをほぼ対称な形状とする。
また、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と略等しくなるようする。これは、トランスTの2次側に外付けの抵抗を別途接続しない場合には、トランスの巻線仕様によっては上記HPFとLPFのクオリティ・ファクタが等しくならないケースが存在する。この場合には、√2(k・Q1)=1と√2(k・Q2)=1とを両方満足させることはできないため、どちらかの値が1となるように、1次側外付抵抗Rの値を設定することにより、通過帯域特性を平坦にする。
これにより、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系の応答と、低域通過(LPF)特性を示す共振系の応答とがほぼ対称な形状となり、かつ高域通過(HPF)特性を示す共振系と低域通過(LPF)特性を示す共振系の(共振周波数付近の)応答にピークが存在しない状態で、双方がトランスによって臨界状態に結合されるため、回路全体として並列共振周波数(反共振周波数)f0を中心に対称で、かつ平坦な帯域通過(BPF)特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサを超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、可聴周波数帯域が、前記第一の共振回路と前記第二の共振回路とで形成される帯域通過フィルタの通過帯域に含まれないように、各回路定数が設定されてなることを特徴とする。
このような構成により、例えば、トランスTの結合係数(漏洩インダクタンスLL)の値を調整することにより、通過帯域の周波数幅の調整を行うようにする。そして、可聴周波数帯域が、通過帯域に含まれないようにする。
これにより、超指向性を有する超音波スピーカ(静電型トランスデューサ)などにおいて、再生時のノイズを低減するために、可聴周波数帯域を通過帯域から外すように、駆動回路の出力周波数特性を設定することができる。このため、超音波スピーカから可聴音が直接出力されるの(音漏れ)を低減することができる。つまり、音漏れによる再生音の指向性劣化を抑えることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記静電型トランスデューサは、複数の孔が形成された第一の面側の固定電極と、前記第一の面側の固定電極と対をなす複数の孔が形成された第二の面側の固定電極と、前記一対の固定電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とで構成されており、前記出力トランスTの2次側巻線にはセンタータップを備えており、前記出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、前記静電型トランスデューサの第一の面側の固定電極に、他方の端子は第二の面側の固定電極にそれぞれ接続され、前記出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧が、前記振動膜の導電層に印加されるように構成されていることを特徴とする。
このような構成により、例えば、図1に示すプッシュプル型の静電型トランスデューサにおいて、出力トランスTの2次側巻線の一方の端子を前面側固定電極に、他方の端子を背面側固定電極にそれぞれ接続し、出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧を振動膜の導電層に印加する。
これにより、プッシュプル型の静電型トランスデューサを広帯域に亘って安定的に駆動することができる。特に、静電型トランスデューサ回路を超音波スピーカとして使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記トランスTの1次側巻線に印加するためのパワーアンプとを備えることを特徴とする。
このような構成により、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波により変調し、この変調された信号をパワーアンプにより増幅し、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、出力トランスTの1次巻線側に印加する。
これにより、超音波スピーカにプッシュプル型の静電型トランスデューサを使用する場合に、広帯域に亘って超音波スピーカを安定的に駆動することができ、再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の容量性負荷の駆動回路は、出力トランスTで昇圧された駆動信号により、容量性負荷を駆動する容量性負荷の駆動回路であって、前記出力トランスTの2次側巻線に駆動負荷として容量性負荷を並列に接続し、かつ前記出力トランスTの1次側巻線には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続するとともに、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記容量性負荷の負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記容量性負荷の定格駆動周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む前記出力トランスTの1次側回路と、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む前記出力トランスの2次側回路の回路定数が設定されることを特徴とする。
このような構成により、出力トランスTの2次側に駆動負荷として容量性負荷、例えば、静電型トランスデューサや、圧電素子等の超音波トランスデューサの容量性負荷(負荷静電容量CL)を並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、容量性負荷の搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。
これにより、定格駆動時にはトランスTの2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、容量性負荷を駆動するパワーアンプに掛かる負荷が小さくなり、システム全体として非常に低損失で容量性負荷を駆動することができる。
また、本発明の容量性負荷の駆動回路は、前記駆動負荷の静電容量がCL(F)であり、前記容量性負荷の定格駆動周波数がfc(Hz)であるとき、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2(H)が、L2=1/(4π2fc2CL)に設定されていることを特徴とする。
このような構成により、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2の値を設定する際には、該自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が容量性負荷(静電型トランスデューサや圧電素子等の超音波トランスデューサ)の搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように設定する。
これにより、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2の値を設定して、搬送波周波数による定格駆動時にトランスTの2次側を並列共振(反共振)状態にすることができる。このため、定格駆動時に所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、パワーアンプに掛かる負荷が小さくなり、システム全体として非常に低損失で容量性負荷を駆動することができる。
また、本発明の容量性負荷の駆動回路は、前記容量性負荷は駆動信号を印加するための端子を有しており、該端子間電圧の周波数特性が、該容量性負荷の駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように前記各回路定数が設定されることを特徴とする。
このような構成により、容量性負荷(静電型トランスデューサや圧電素子等の超音波トランスデューサ)の負荷静電容量CLと出力トランスの電気的特性(回路定数)に合わせて、1次側結合静電容量C1と1次側外付抵抗Rの値とを適切に設定することによって、回路全体の通過帯域特性に容量性負荷の駆動周波数を含むようにする。
これにより、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の容量性負荷の駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、出力トランスTで昇圧された駆動信号により、容量性負荷を駆動する容量性負荷の駆動回路であって、前記出力トランスTの2次側巻線に前記容量性負荷を並列に接続し、かつ前記出力トランスTの1次側巻線には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続するように構成された容量性負荷の駆動回路における回路定数設定方法であって、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記容量性負荷の負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記容量性負荷の定格駆動周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、出力トランスTの2次側に駆動負荷として容量性負荷(静電容量CL)を並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する場合に、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、容量性負荷の搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。
これにより、定格駆動時にはトランスTの2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記駆動負荷である容量性負荷の静電容量がCL(F)であり、容量性負荷の定格駆動周波数がfc(Hz)であるとき、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2(H)を、L2=1/(4π2fc2CL)に設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2の値を設定する際には、該自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が容量性負荷の搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように設定する。
これにより、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2の値を設定して、搬送波周波数による定格駆動時にトランスTの2次側を並列共振(反共振)状態にすることができる。このため、定格駆動時に所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、パワーアンプに掛かる負荷が小さくなり、システム全体として非常に低損失で容量性負荷を駆動することができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記容量性負荷は駆動信号を印加するための端子を有しており、該端子間電圧の周波数特性が、前記容量性負荷の駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように前記各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、容量性負荷の静電容量CLと出力トランスの電気的特性(回路定数)に合わせて、1次側結合静電容量C1と1次側外付抵抗Rの値とを適切に設定することによって、回路全体の通過帯域特性に容量性負荷の駆動周波数を含むようにする。
これにより、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、出力トランスTの1次側回路及び駆動負荷を含む出力トランスTの2次側回路の等価回路において、結合静電容量C1、出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路の周波数特性における低域側−3dB減衰周波数をf1−とし、結合静電容量C1、出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路の周波数特性における高域側−3dB減衰周波数をf2+とし、相互インダクタンスM1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される共振回路の共振周波数をf0とするとき、(f1―・f2+)/f02=1となるように、上記各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、結合静電容量C1、出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、相互インダクタンスM1で形成される第一の共振回路(HPF)の周波数特性における低域側−3dB減衰周波数(カットオフ周波数)をf1―とし、結合静電容量C1、出力トランスの漏洩インダクタンスLL、負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路(LPF)の周波数特性における高域側−3dB減衰周波数(カットオフ周波数)をf2+とし、相互インダクタンスM1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される共振回路の共振周波数をf0とするとき、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定する。
これにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とがほぼ対称な形状となり、さらに高域通過(HPF)特性を示す共振系と低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって結合されるため、回路全体として並列共振周波数(反共振周波数)f0を中心に対称な帯域通過特性を実現することができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1、により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となるように前記各回路定数を設定する手順を含む、ことを特徴とする。
このような手順により、トランス1次側に形成される第一の共振回路(HPF)と、トランス2次側に形成される第二の共振回路(LPF)とを臨界結合状態とする。
これにより、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって臨界状態に結合されるため、双方の共振系は、急峻なピークの存在しない、なだらかな通過特性となり、回路全体として急峻なピークの存在しない帯域通過特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように前記各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、高域通過(HPF)特性を示す第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、低域通過(LPF)特性を示す第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように各回路定数を設定する。
これにより、回路全体の通過帯域特性を調節することができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系の、それぞれの(共振周波数付近の)応答の鋭さを個別に調整しながら、双方をトランスによって結合させるため、回路全体の通過帯域の特性(低域と高域とのバランス)を任意に調節することができる。従って、広帯域に亘って容量性負荷の出力を調整しながら駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、再生帯域のバランス調整による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなるように上記各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、高域通過(HPF)特性を示す第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、低域通過(LPF)特性を示す第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなるようにする。すなわち、出力トランスTの2次側に外付けの抵抗を別途接続しない場合には、トランスの巻線仕様によっては上記HPFとLPFのクオリティ・ファクタが等しくならないケースが存在する。この場合には、√2(k・Q1)=1と√2(k・Q2)=1とを両方満足させることはできないため、どちらかの値が1となるように、1次側外付抵抗Rの値を設定する。なお、トランスの2次側に適切な外付抵抗を接続すれば、双方のクオリティ・ファクタを等しくすることができるため、完全なBPF特性を実現することが可能になる。
これにより、出力トランスTの2次側巻線に外付抵抗を接続しない場合でも、実用上問題がない程度に、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって臨界的に結合されるため、双方の共振系は、急峻なピークの存在しない、なだらかな通過特性となり、回路全体として急峻なピークの存在しない帯域通過(BPF)特性を実現することができる。
従って、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを前記出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となる条件とが共に満たされるように、各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定することにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とをほぼ対称な形状にする。また、トランス1次側に形成される共振回路(HPF)と、トランス2次側に形成される直列共振回路(LPF)とを臨界結合状態とすることにより、通過帯域特性を平坦にする。
これにより、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって臨界状態に結合されるため、双方の共振系の応答を揃え、かつ平坦にすることによって、回路全体として平坦な帯域通過(BPF)特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となる条件とが共に満たされるように、各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定することにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とをほぼ対称な形状にする。また、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように前記各回路定数を設定することにより、通過帯域特性を調整する。
これにより、回路全体の通過帯域特性を調整する(平坦にする)ことができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系の応答と、低域通過(LPF)特性を示す共振系の応答とがほぼ対称な形状となり、さらに高域通過(HPF)特性を示す共振系と低域通過(LPF)特性を示す共振系の(共振周波数付近の)応答の鋭さを調整しながら、双方をトランスによって結合させるため、回路全体として並列共振周波数(反共振周波数)f0を中心に対称で、かつ高域と低域のバランスが整った(平坦な)帯域通過特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサを超音波スピーカに使用する場合には、再生帯域のバランス調整による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の回路定数の設定方法は、前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなる条件とが共に満たされるように、各回路定数を設定する手順を含むことを特徴とする。
このような手順により、(f1―・f2+)/f02=1となるように、各回路定数を設定することにより、HPFの通過特性とLPFの通過特性とをほぼ対称な形状とする。また、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と略等しくなるようする。これは、トランスTの2次側に外付けの抵抗を別途接続しない場合には、トランスの巻線仕様によっては上記HPFとLPFのクオリティ・ファクタが等しくならないケースが存在する。この場合には、√2(k・Q1)=1と√2(k・Q2)=1とを両方満足させることはできないため、どちらかの値が1となるように、1次側外付抵抗Rの値を設定することにより、通過帯域特性を平坦にする。
これにより、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系の応答と、低域通過(LPF)特性を示す共振系の応答とがほぼ対称な形状となり、かつ高域通過(HPF)特性を示す共振系と低域通過(LPF)特性を示す共振系の(共振周波数付近の)応答にピークが存在しない状態で、双方がトランスによって臨界状態に結合されるため、回路全体として並列共振周波数(反共振周波数)f0を中心に対称で、かつ平坦な帯域通過(BPF)特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って容量性負荷を安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサを超音波スピーカに使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される超音波トランスデューサを備えると共に、前記搬送波は超音波周波数帯の信号であり、前記静電型トランスデューサは、複数の孔が形成された第一の面側の固定電極と、前記第一の面側の固定電極と対をなす複数の孔が形成された第二の面側の固定電極と、前記一対の固定電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有しており、前記出力トランスTの2次側巻線にはセンタータップを備えており、前記出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、前記第一の面側の固定電極に、他方の端子は前記第二の面側の固定電極にそれぞれ接続され、前記出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧が、前記振動膜の導電層に印加されるように構成されていることを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型の静電型トランスデューサにおいて、出力トランスTの2次側巻線の一方の端子を前面側(第一の面側)固定電極に、他方の端子を背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ接続し、出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧を振動膜の導電層に印加する。また、出力トランスTを介して、位相が互いに180度反転した交流信号が前面側(第一の面側)固定電極と背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ印加される。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数を設定する。
これにより、プッシュプル型の静電型トランスデューサにおいて、定格駆動時にはトランスTの2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、静電型トランスデューサの駆動電力を低減し、静電型トランスデューサを低損失で駆動できる。
さらに、プッシュプル型の静電型トランスデューサの負荷静電容量CLと出力トランスの電気的特性(回路定数)に合わせて、1次側結合静電容量C1と1次側外付抵抗Rの値とを適切に設定することによって、回路全体の通過帯域特性にプッシュプル型の静電型トランスデューサの駆動周波数を含むようにできる。
また、本発明の超音波スピーカは、搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される静電型トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記出力トランスTの1次巻線側に印加するためのパワーアンプとを備えることを特徴とする。
このような構成により、超音波スピーカを構成する静電型トランスデューサ(負荷静電容量CL)の駆動回路において、この静電型トランスデューサを出力トランスTの2次側に並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。そして、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波により変調し、この変調された信号をパワーアンプにより増幅し、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、出力トランスTの1次巻線側に印加する。
これにより、超音波スピーカに本発明の静電型トランスデューサを使用することができ、超音波スピーカを低損失で安定的に駆動することができる。
また、超音波スピーカを構成する静電型トランスデューサとして、プッシュプル型の静電型トランスデューサを使用することができる。この場合は、出力トランスTの2次側巻線の一方の端子を前面側(第一の面側)固定電極に、他方の端子を背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ接続し、出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧を振動膜の導電層に印加する。また、出力トランスTを介して、位相が互いに180度反転した交流信号が前面側(第一の面側)固定電極と背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ印加される。これにより、プッシュプル型の静電型トランスデューサを超音波スピーカに使用することができる。
また、本発明の表示装置は、搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される静電型トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記出力トランスTの1次巻線側に印加するためのパワーアンプと備える超音波スピーカであって、音響ソースから供給される音声信号を再生し可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、映像を投影面に投影する投影光学系と、を有することを特徴とする。
このような構成により、表示装置に使用する超音波スピーカを静電型トランスデューサで構成し、この静電型トランスデューサ(負荷静電容量CL)を、出力トランスTの2次側に駆動負荷として並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。そして、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波により変調し、この変調された信号をパワーアンプにより増幅し、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、出力トランスTの1次巻線側に印加する。そして、この超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号を再生する。
これにより、表示装置において、平坦な出力電圧周波数特性を有し、低損失での駆動が可能な超音波スピーカを使用することができる。このため、音響信号を十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。また、音響信号の再生範囲の制御も容易に行えるようになる。
また、表示装置の超音波スピーカを構成する静電型トランスデューサとして、プッシュプル型の静電型トランスデューサを使用することができる。この場合は、出力トランスTの2次側巻線の一方の端子を前面側(第一の面側)固定電極に、他方の端子を背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ接続し、出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧を振動膜の導電層に印加する。また、出力トランスTを介して、位相が互いに180度反転した交流信号が前面側(第一の面側)固定電極と背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ印加される。これにより、プッシュプル型の静電型トランスデューサで構成された超音波スピーカを表示装置に使用することができる。
また、本発明の指向性音響システムは、搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される静電型トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記出力トランスTの1次巻線側に印加するためのパワーアンプとを備える超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号を再生し、スクリーン等の音波反射面近傍に仮想音源を形成する指向性音響システムであって、前記音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号を再生する超音波スピーカと、前記音響ソースから供給される音声信号のうち前記第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカと、を有することを特徴とする。
このような構成により、指向性音響システムに使用する超音波スピーカを静電型トランスデューサで構成し、この静電型トランスデューサ(負荷静電容量CL)を、出力トランスTの2次側に駆動負荷として並列に接続し、かつ出力トランスTの1次側には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続する。そして、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。そして、超音波周波数帯のキャリア波を可聴周波数帯の信号波により変調し、この変調された信号をパワーアンプにより増幅し、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、出力トランスTの1次巻線側に印加する。そして、この超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号のうち中高音域(第一の音域)の音声信号を再生する。また、音響ソースから供給される音声信号のうち低音域(第二の音域)の音声信号は低音再生用スピーカにより再生する。
これにより、指向性音響システムにおいて、平坦な出力電圧周波数特性を有し、低損失での駆動が可能な超音波スピーカを使用することができる。このため、中高音域の音響を十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。また、低音域の音響は、音響システムに備えられた低音再生用スピーカから直接出力されるので、低音域の補強ができ、より臨場感の高い音場環境を創生できる。
また、指向性音響システムの超音波スピーカを構成する静電型トランスデューサとして、プッシュプル型の静電型トランスデューサを使用することができ、この場合は、出力トランスTの2次側巻線の一方の端子を前面側(第一の面側)固定電極に、他方の端子を背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ接続し、出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧を振動膜の導電層に印加する。また、出力トランスTを介して、位相が互いに180度反転した交流信号が前面側(第一の面側)固定電極と背面側(第二の面側)固定電極にそれぞれ印加される。これにより、プッシュプル型の静電型トランスデューサを指向性音響システムの超音波スピーカに使用することができる。
[本発明の静電型トランスデューサの駆動回路の説明]
最初に、本発明による静電型トランスデューサ(容量性負荷)の駆動回路について説明する。
本発明における静電型トランスデューサ(容量性負荷)のポイントは主に次の3点である。
第1の点は、出力トランスを介して静電型トランスデューサに信号を印加するようにし、この出力トランスを介して信号の昇圧及びインピーダンス変換を行うようにしている。
これにより、高出力音圧を得ることができる。
第2の点は、静電型トランスデューサの搬送波周波数帯域に、出力トランスと負荷静電容量(静電型トランスデューサ)によって形成される共振回路の共振周波数帯域が一致するように、トランスの定数を設定(設計)している。これにより、搬送波周波数付近での負荷側のインピーダンスが高くなるため、アンプに掛かる負荷を軽減し、低損失化を図ることができる。
第3の点は、出力トランスの1次側に適切な値の抵抗とキャパシタを接続することによって、トランス2次側に接続される負荷静電容量と合わせて、トランス結合回路によるBPF特性(平坦な出力特性)を実現している。これにより、平坦な出力特性を得ることができる。
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の適用対象となる静電型トランスデューサの一例を示す図であり、特に超音波スピーカのトランスデューサとして使用するのに好適な構造になっている。図1(A)はトランスデューサの断面を示しており、導電層を有する振動膜12と、該振動膜12のそれぞれの面に対向して設けられた前面側(第一の面側)固定電極10A及び背面側(第二の面側)固定電極10Bからなる一対の固定電極とを有している(前面側固定電極10Aと背面側固定電極10Bの両方を指す場合は固定電極10と呼ぶ)。振動膜12は図1(A)に示すように電極を形成する導電層(振動膜電極)121を絶縁膜120で挟むように形成してもよいし、振動膜12の全体を導電性材料で形成するようにしてもよい。
また、振動膜12を挟持する前面側固定電極10Aには複数の貫通孔14Aが設けられており、かつ背面側固定電極10Bには前面側固定電極10Aに設けた各貫通孔14Aに対向する位置に同一形状の貫通孔14Bが設けられている(貫通孔14Aと貫通孔14Bの両方を指す場合は貫通孔14と呼ぶ)。前面側固定電極10Aと背面側固定電極10Bは、それぞれ支持部材11によって振動膜12から所定のギャップを隔てて支持されており、図1(A)に示すように振動膜12と固定電極とが一部空隙を介して対向するように支持部材11は形成されている。
図1(B)はトランスデューサの片側平面外観を示したものであり(固定電極10の一部を切り欠き振動膜12を露出させた状態)、上記複数の貫通孔14がハニカム状に配列されている。図1(C)は前記支持部材11が接合されている固定電極10の平面図であり、丁度トランスデューサの振動膜側から固定電極側を見た状態を示している。支持部材11は絶縁材で構成され、例えばプリント基板にレジスト印刷する要領で、固定電極表面(振動膜に対向する側)上に絶縁材をパターン印刷することによって形成することができる。
なお、直流電源16は、振動膜電極121に直流バイアス電圧を印加するための電源であり、交流信号18A、18Bは、振動膜12を駆動するために、前面側固定電極10Aと背面側固定電極10Bに印加される信号である。
図2は、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路の構成例を示す図である。図2に示す回路は、出力トランスTを介してパワーアンプ21からの出力を昇圧した後、静電型トランスデューサ1に印加するように構成されている。出力トランスTの1次側には巻線と直列に1次側外付抵抗Rと静電容量C1が接続される。出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、静電型トランスデューサ1の前面側固定電極10Aに、他方の端子は背面側固定電極10Bにそれぞれ接続されている。つまり、出力トランスTの2次側巻線と並列に、静電型トランスデューサ1が接続される。さらに、出力トランスTの2次側巻線にはセンタータップが設けられており、センタータップを基準にして直流バイアス電圧Eが、抵抗Rsを介して静電型トランスデューサ1の振動膜電極121に印加される。なお、抵抗Rsは本発明に直接関係するものではなく省略してもよい。
上記の構成により、静電型トランスデューサ1の前面側固定電極10Aと背面側固定電極10Bとには、センタータップを基準にして、振幅が等しく、位相が互いに反転した交流信号が印加される。このように、振動膜電極121に直流バイアス電圧Eを印加し、かつ前面側固定電極10Aと背面側固定電極10Bとには、互いに位相が反転した駆動信号(交流信号)を印加することによって、振動膜には静電吸引力及び静電反発力が同方向に同時に作用する。駆動信号(交流信号)の極性が反転する毎に、上記静電吸引力及び静電反発力の作用する方向が変化するために振動膜がプッシュプル駆動される。この結果、振動膜で発生した音波は前面側固定電極10Aと背面側固定電極10Bに設けられた貫通孔14(図1)を通じて外部へ放出される。このように、振動膜がプッシュプル駆動されることにより、図1に示す静電型超音波トランスデューサはプッシュプル(Push−Pull)型の静電型超音波トランスデューサと呼ばれている。
図3は、図2に示す静電型トランスデューサ1の部分を等価回路で書き換えた図である。静電型トランスデューサ1は、振動膜電極と両固定電極との間にそれぞれキャパシタが形成されているため、その等価回路は図3に示すように直列に接続された負荷静電容量CLA、CLBとして表現することができる。
次に、回路定数の設定方法と回路の動作について以下に詳しく説明する。
図4は、静電型トランスデューサの駆動回路の等価回路を示す図であり、出力トランスTの2次側部分の回路を1次側に換算して示した静電型トランスデューサ駆動回路の等価回路である。
ここで、Rは1次側外付抵抗、C1は1次側結合静電容量、R1は出力トランスTの1次側巻線抵抗、N1は出力トランスTの1次側巻線の巻数、N2は出力トランスTの2次側巻線の巻数、L1は出力トランスTの1次側自己インダクタンス、L2は出力トランスTの2次側自己インダクタンス、M1は1次側へ換算した出力トランスTの相互インダクタンス、LLは出力トランスTの漏洩インダクタンス(2次側巻線を短絡した際の1次側インダクタンス)、R21は1次側へ換算した出力トランスTの2次側巻線抵抗、RL1は1次側へ換算した負荷抵抗(静電型トランスデューサの抵抗成分)、CLは静電型トランスデューサの負荷合成静電容量(図3に示す負荷静電容量CLA、CLBの合成静電容量)、CL1はCLを1次側へ換算した際の静電型トランスデューサの負荷合成静電容量であり、
Figure 2008054261
である。
今、負荷である静電型トランスデューサの合成静電容量がCL(F)であり、定格搬送波周波数fc(Hz)で駆動する仕様になっているとする。このとき、まず出力トランスTの2次側巻線自己インダクタンスL2(H)が次式で決定される。
Figure 2008054261
このように構成することで、定常(定格)駆動時には、トランス2次側が並列共振(反共振)状態となり、トランス1次側(パワーアンプ側)から見た回路のインピーダンスが大きくなる。この結果、定格駆動時には所望の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランス1次側に流れる電流を抑えることができるため、パワーアンプに掛かる負荷が小さくなり、システム全体として低損失で駆動することができる。
例えば、静電型トランスデューサの合成静電容量CLが5nFで、定格搬送波周波数fcが50kHzであるとき、出力トランスTの2次側自己インダクタンスL2は、上式より約2mHとすることが望ましい。
次に出力トランスTの昇圧率(巻線仕様)を決定する。上記静電型トランスデューサの最大印加電圧(トランス2次側最大電圧)をV2、パワーアンプの最大出力電圧をV1とすると、トランスの昇圧率Aは、
Figure 2008054261
に設定され、必要な昇圧率Aと、上記2次側巻線自己インダクタンスL2とを同時に満足するように1次側巻線と2次側巻線の仕様(巻数等)とコアの仕様(材質、形状)を決定する。
出力トランスTの巻線及びコアの仕様が決定すると、トランスの漏洩インダクタンスも同時に求まる。漏洩インダクタンスは出力トランスTのコアの材質及び形状、巻線仕様によって左右される。
ここでは具体的な回路定数設定例について説明する際には、出力トランスTの仕様を、例えば、A=10、L1=20μH、L2=2mH、LL=0.4μH、R1=20mΩ、R2=0.8Ω、のように設定したとして、以降の説明を進めることにする。
漏洩インダクタンスが求まったら、次に結合静電容量C1を決定する。ここでは、C1とL1(=M1+LL)とによって形成される直列共振回路(HPF)の電圧通過特性と、CL1とLLとによって形成される直列共振回路(LPF)の電圧通過特性とが、M1とCL1とによって形成される並列共振回路の共振周波数f0を中心にしてほぼ対称な形状となるように、結合静電容量C1の値を設定する。
図5は、結合静電容量C1がない場合の回路全体の通過特性を示す図である。出力トランスTの漏洩インダクタンスLLと負荷静電容量CL1による共振の影響によって、200kHz付近に大きなピークが現れていることが分かる(R=1Ωの場合を参照)。1次側外付抵抗Rの値を大きくするにつれて応答はなだらかになっていくが、全体的に右肩上がりの特性を示しており、通過帯域が平坦になるような条件は存在しないことが分かる。
本発明では、トランス1次側に結合静電容量を追加することによって、トランス1次側に高域通過(HPF)特性を有する共振系を構成する。図5に示したようなトランス2次側の共振系(LPF)と、前記1次側共振系とをトランスによって結合することによって、全体として平坦な帯域通過(BPF)特性を実現させる。
ここでは、上記HPFにおいて電流値が3dB減衰する周波数のうち低域側の周波数がf1−、上記LPFにおいて電流値が3dB減衰する周波数のうち高域側の周波数がf2+であるとき、
Figure 2008054261
が成立するように、C1の値を設定する。
C1、LL、M1によって形成される直列共振回路(HPF)の共振周波数f1(Hz)は、
Figure 2008054261
C1、LL、CL1によって形成される直列共振回路(LPF)の共振周波数f2(Hz)は、
Figure 2008054261
で与えられる。
また、M1、LL、CL1によって形成される並列共振回路の共振周波数f0(Hz)は、
Figure 2008054261
で与えられる。
上記HPFとLPFのクオリティ・ファクタQ1、Q2はそれぞれ、
Figure 2008054261
であるから、上記HPFとLPFの半値幅B1、B2は、それぞれ、
Figure 2008054261
となる。上記HPFでの電流値が3dB減衰する低域側の周波数(−3dB低域側周波数)をf1−、高域側の周波数をf1+とすると、f1−、f1+との間には次の関係が成り立つ。
Figure 2008054261
この連立方程式を−3dB低域側周波数f1−について整理すると、次式が得られ、
Figure 2008054261
これを解くと、−3dB低域側周波数f1−は、
Figure 2008054261
となる。同様にして上記LPFでの電流値が3dB減衰する高域側周波数(−3dB高域側周波数)f2+は、
Figure 2008054261
となる。
上述したように、HPFの通過特性とLPFの通過特性とがほぼ対称な形状とするための条件は、「f1−・f2+/f02=1」であることから、HPFの通過特性とLPFの通過特性との対称性を表す式が次のように得られる。
Figure 2008054261
この式を満足するように、結合静電容量C1の値を設定する。
図6は、結合静電容量と、HPFとLPFの通過特性の対称性を示す図である。例えば、上記の数値仕様の出力トランスTを使用する場合、結合静電容量C1の値に応じて、f1−・f2+/f02=1は、図6のように変化する。よって、上記対称性の条件より、C1=12.7μFに設定すればよいことが分かる。
図7は、回路全体の通過特性を示す図であり、C1=12.7μFとしたときの、負荷の端子電圧の周波数特性(回路全体の通過特性)を示している。(なお、図7示すグラフではトランスの昇圧率は無視している。)図7おいて、1次側外付抵抗Rの値によって、極付近の応答特性が大きく異なってはいるが、図5と比較して、いずれの場合も回路の並列共振周波数f0=50kHz付近を中心にして左右対称な応答を示していることが分かる。
図7から分かるように、1次側外付抵抗Rの値によって通過帯域の特性(出力特性)は大きく異なる。静電型トランスデューサの回路全体として、通過特性は平坦である方が望ましいので、通過帯域が平坦になるように、1次側外付抵抗の値を適切に設定する必要がある。
本発明における回路は上述したように、トランス1次側に形成される共振回路(HPF)と、トランス2次側に形成される共振回路(LPF)とを、トランスによって結合している結合回路になっている。HPFとLPFとを結合しているため、回路全体としては帯域通過特性(BPF特性)を示すが、各共振回路の共振特性(共振の鋭さ、クオリティ・ファクタ)によって、通過帯域の特性(平坦度)は大きく変動する。
通過帯域が平坦になるのは、HPFとLPFとがそれぞれ臨界結合状態となった時であり、臨界結合状態においては、回路負荷のクオリティ・ファクタとトランス結合係数との積が1になる。
フィルタを臨界結合状態にするためには、HPF及びLPFが、それぞれの共振周波数付近において応答特性にピークを持たないようにすればよい。フィルタのクオリティ・ファクタが1/√2以下であるときフィルタの応答にはピークが存在しなくなるため、
Figure 2008054261
の値がそれぞれ1となる時、各フィルタの通過帯域の応答は平坦(ピークが存在しない)になる。
なお、本発明の実施例のように、トランスの2次側に外付けの抵抗を別途接続しない場合には、トランスの巻線仕様によっては上記HPFとLPFのクオリティ・ファクタが等しくならないケースが存在する。
この場合には、Q1L=1と、Q2L=1とを両方満足させることはできないため、どちらかの値が1となるように、1次側外付抵抗Rの値を設定する。
トランスの2次側に適切な外付抵抗を接続すれば、双方のクオリティ・ファクタを等しくすることができるため、完全なBPF特性を実現することが可能になる。
図8は、1次側外付抵抗と、HPFとLPFの通過特性の平坦度との関係を示す図である。例えば、上記の数値仕様(A=10、L1=20μH、L2=2mH、LL=0.4μH、R1=20mΩ、R2=0.8Ω)の出力トランスTを使用する場合、1次側外付抵抗Rの値に応じて、HPFの平坦度を示すパラメータQ1Lと、LPFの平坦度を示すパラメータQ2Lの値は図8のように変化する。(ただし、C1=12.7μFとする。
)よって、上記平坦度の条件より、R=1.72Ωに設定すればよいことが分かる。
なお、本実施例では、1次側外付抵抗Rに対してパワーアンプの出力インピーダンスは無視できるほど小さいとして、パワーアンプの出力インピーダンスを考慮せずに回路定数を設定しているが、パワーアンプの出力インピーダンスが無視できないほど大きな値を有する場合には、パワーアンプのインピーダンスも加味して回路定数を設定することが望ましい。
以上より、回路全体の通過帯域特性を平坦にする1次側外付抵抗Rの値と、結合静電容量C1の値とを適切に設定することができた。
図9は、C1=12.7μF、R=1.72Ωとしたときの、HPFとLPFの共振特性(回路電流周波数特性)、通過特性(フィルタ出力電圧周波数特性)を示す図である。
図10は、回路全体の最終的な入出力特性を示す図であり、2次側出力電圧(負荷端子電圧)と、1次側電流との周波数特性を示す図である。図10より、定格搬送波周波数である50kHzにおいて、トランス1次側に流れる電流(パワーアンプからの出力電流)が極小になっている。通過帯域の出力電圧特性は約20kHz〜100kHzまで平坦(48dBV=250V)であり、周波数特性にピークも見られず、理想的なBPFの特性を示していることが分かる。
ところで、指向性を有する超音波スピーカなどのように、再生時のノイズを低減するために、可聴周波数帯域を通過帯域から外すように、駆動回路の出力周波数特性を設定したい場合が存在する。
本発明においては、主にトランスの結合係数(漏洩インダクタンス)の値を調整(例えば、ギャップを調整)することによって、通過帯域の周波数幅の調整を行うことができる。トランス結合係数に応じて回路全体の通過特性が変化する一例を図11に示す。
図11は、トランス結合係数と通過帯域との関係を示す図であり、トランス結合係数が小さくなると、漏洩インダクタンスの値が大きくなるため、上述したHPF及びLPFのクオリティ・ファクタが大きくなってそれぞれのフィルタ(共振回路)の共振特性がより鋭くなる。
上述したHPFとLPFの共振周波数f1、f2の式から、漏洩インダクタンスLLの値が大きくなることによって、まずf2の値が小さくなる。つまり結合係数が大きい場合よりもLPFの共振周波数f2が低域側に移動する。LPFのクオリティ・ファクタQ2の値も大きくなるので、LPF側の通過特性が持ち上げられて、回路全体としては右肩上がりの通過特性を示すようになる。
結合係数が小さくなっても、平坦な通過特性を実現するために、HPF側の通過特性もLPFの通過特性と対称になるように、1次側結合静電容量C1の値を調整する(小さくする)。C1の値が小さくなるとHPF側の共振周波数f1の値が大きくなり、結合係数が大きい場合よりもHPFの共振周波数が高域側に移動する。
このように、結合係数を小さくする(それに合わせて周辺回路定数も調整する)につれて、HPF、LPFの共振周波数f1、f2がそれぞれ中心周波数(並列共振周波数f0)の方向へ移動し、回路全体の通過帯域幅が狭くなっていく。つまり、結合係数を調整することによって、通過帯域を所望の幅に調整することが可能になる。
上述した手順に従って、結合係数k=0.90の場合についても同様に回路定数を求めると、R=3.5Ω、C1=2.6μFとなる。既に述べたk=0.98の場合と比較してその通過帯域特性を図11に示している。
図11において、通過帯域中心周波数f0=50kHzは変わらずに、k=0.90の方がk=0.98の場合よりも通過帯域幅が狭くなっていることが分かる。超音波スピーカとして使用する目的においては、通過特性の観点では可聴周波数帯域の減衰特性が優れているk=0.90の場合の方が望ましいと言える。しかし、結合係数を小さくした際にも通過帯域の特性を平坦にするためには、1次側外付抵抗の値を大きくする必要があるため、結合係数を小さくすると抵抗での損失は逆に大きくなる。
また、図12は、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路を使用した超音波スピーカの構成例を示す図である。超音波スピーカは、キャリア波と呼ばれる超音波にオーディオ信号(可聴領域信号)でAM変調をかけ、これを空中に放出すると空気の非線形性により、空中で元のオーディオ信号が自己再生される、というものである。つまり音波は空気を媒体として伝送する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分とが顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはバラメトリックアレイ効果と呼ばれている。
図12に示す超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波信号源(オーディオ信号源)31と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源32と、変調器33と、パワーアンプ21を有しており、他の符号のものは図2において同じ符号で示されるものと同じである。
上記構成において、可聴周波数波信号源31より出力される可聴周波数信号(オーディオ信号)により、キャリア波信号源32から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器33により変調し、パワーアンプ21で増幅した変調信号を1次側外付抵抗R及び結合静電容量C1を介して、出力トランスTの1次側巻線の両端に印加する。これにより、出力トランスTの2次側巻線に接続された静電型トランスデューサ1を駆動する。
この結果、上記変調信号が静電型トランスデューサ1により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。すなわち、音波は空気を媒休として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分が顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波周波数帯)とに波形分離され、可聴波周波数帯の信号波(信号音)が再生される。
以上に述べたように、本発明では出力トランスのインダクタンスと負荷静電容量とによって形成される並列共振回路の共振周波数に、静電型トランスデューサの駆動周波数(搬送波周波数)が一致するように各回路定数が設定される。これにより、定格駆動時にはトランス2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランス1次側に流れる電流を抑えることができる。従って、駆動するパワーアンプに掛かる負荷が小さくなり、システム全体として非常に低損失で駆動することができる。
さらに、負荷静電容量と出力トランスの電気的特性(回路定数)に合わせて、1次側結合静電容量と1次側外付抵抗の値とを適切に設定することによって、回路全体の通過帯域特性を平坦にすることができる。つまり、高域通過(HPF)特性を示す共振系と、低域通過(LPF)特性を示す共振系とがトランスによって結合されるため、双方の共振系の応答を揃え、かつ平坦にすることによって、回路全体として平坦な帯域通過(BPF)特性を実現することができる。従って、広帯域に亘って静電型トランスデューサを安定的に駆動することができる。特に、本発明の静電型トランスデューサ回路を超音波スピーカとして使用する場合には、平坦な出力特性による再生音質の向上を図ることができる。
また、超音波スピーカは再生音が鋭い指向性を有するという特徴を持っているが、回路の通過帯域に可聴音帯域が含まれないように回路定数を設定することによって、超音波スピーカ(静電型トランスデューサ)から可聴音が直接出力されるの(音漏れ)をより防ぐことができる。つまり、音漏れによる再生音の指向性劣化を抑えることができるという効果も創出される。
なお、上述した実施の形態例では、プッシュプル(Push−Pull)型の静電型トランスデューサを例にとり説明したが、駆動対象となる負荷はプッシュプル型静電型トランスデューサに限定されず、容量性の負荷であれば何でもよい。例えば、振動膜の片面にだけ固定電極を配置し、振動膜を一方の側だけを吸引する構造のプル(Pull)型とよばれる静電型トランスデューサにも本発明の回路設計思想は同様に適用できるものである。さらに、本発明の回路設計思想は、圧電素子を使用した超音波トランスデューサにも適用できるものである。
図17は、プル(Pull)型の静電型トランスデューサの駆動回路の構成例を示す図である。図17(A)に示すプル(Pull)型の静電型トランスデューサ300は、振動体(振動膜)として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)等の誘電体311(絶縁体)を用いている。誘電体311に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極312がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極313が誘電体311の下面部に接触するように設けられている。この下電極313は、リード322が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板315に固定されている。
また、上電極312は、リード321が接続されており、このリード321は直流バイアス電源330に接続されている。この直流バイアス電源330により上電極312には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時印加され、上電極312が下電極313側に吸着されるようになっている。331は信号源である。
誘電体311および上電極312ならびにベース板315は、メタルリング316、317、および318、ならびにメッシュ319ともに、ケース301によってかしめられている。
下電極313の誘電体311側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝(凹凸部)が複数形成されている。この微小な溝は、下電極313と誘電体311との間の空隙となるので、上電極312および下電極313間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下電極313の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。プル(Pull)型の静電型トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、周波数特性が広帯域となっている。
図17(A)に示すプル型の静電型トランスデューサは容量性負荷であり、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路の設計思想を適用することができる。図17(B)は、プル型の静電型トランスデューサの回路構成を示す図であり、圧電型の超音波トランスデューサ300の等価静電容量をCpullとして示している。
図17(B)において、出力トランスTを介してパワーアンプ21からの出力を昇圧した後、プル型の静電型トランスデューサ(Cpull)300に印加するように構成されている。出力トランスTの1次側には巻線と直列に1次側外付抵抗Rと静電容量C1が接続される。出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、プル型の静電型トランスデューサ(Cpull)300の上側電極312に直流バイアス電源330を介して接続され、他方の端子は下側電極313にそれぞれ接続されている。
上記の構成により、静電型トランスデューサ1の上側電極312と下側電極313とには、直流バイアス電圧に重畳した交流信号が印加される。このように、上側電極312に直流バイアス電圧と交流信号を印加することにより、振動膜311の下側電極313に対する吸引力が変化することにより、振動膜311が振動し、振動膜から音波が放射される。
このように、出力トランスTの2次側に駆動負荷としてプル(Pull)型の静電型トランスデューサ(負荷静電容量Cpull)を接続し、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量Cpullとによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。これにより、定格駆動時にはトランスTの2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。
また、出力トランスTの1次側に適切な値の抵抗RとキャパシタC1を接続することによって、トランスTの2次側に接続される負荷静電容量Cpullと合わせて、トランス結合回路によるBPF特性(駆動周波数帯域において平坦な出力電圧周波数特性)を実現することができる。
図18は、圧電型超音波トランスデューサの駆動回路の構成例を示す図である。振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換を行う圧電型の超音波トランスデューサの構成例を示している。図18(A)は、バイモルフ型の超音波トランスデューサを示し、図18(B)は、ユニモルフ型の超音波トランスデューサを示している。
図18(A)に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサ401は、2枚の圧電素子(圧電セラミック)411および412と、コーン413と、ケース414と、リード415および416と、スクリーン417とから構成されている。圧電素子411および412は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード415とリード416が接続されている。なお、図18(B)に示すユニモルフ型の超音波トランスデューサ402では、圧電素子418の構成がバイモルフ型と異なるが、基本的には同じ動作原理のものである。
図18(A)および図18(B)に示す圧電型のトランスデューサは容量性負荷であり、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路の設計思想を適用することができる。図18(C)は、圧電型の超音波トランスデューサの回路構成を示す図であり、バイモルフ型の圧電型トランスデューサ401の等価静電容量をCbmとして示している。
図18(C)において、出力トランスTを介してパワーアンプ21からの出力を昇圧した後、圧電型トランスデューサ(Cbm)401に印加するように構成されている。出力トランスTの1次側には巻線と直列に1次側外付抵抗Rと静電容量C1が接続される。出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、圧電型トランスデューサ(Cbm)401の一方の圧電素子411に接続され、他方の端子は他方の圧電素子412にそれぞれ接続されている。
上記の構成により、圧電型トランスデューサ401の圧電素子411と圧電素子412には、交流信号が印加される。これにより、圧電素子411、412が振動することにより、音波が放射される。
このように、出力トランスTの2次側に駆動負荷として圧電型トランスデューサ(Cbm)を接続し、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量(Cbm)とによって形成される回路の共振周波数f0が、静電型トランスデューサの搬送波周波数(駆動周波数)fcと一致あるいは略一致するように、各回路定数とを設定する。これにより、定格駆動時にはトランスTの2次側が並列共振(反共振)状態となり、所定の出力電圧(負荷端子電圧)を確保しながら、トランスTの1次側に流れる電流を抑えることができる。
また、出力トランスTの1次側に適切な値の抵抗RとキャパシタC1を接続することによって、トランスTの2次側に接続される負荷静電容量Cbmと合わせて、トランス結合回路によるBPF特性(駆動周波数帯域において平坦な出力電圧周波数特性)を実現することができる。
[本発明による超音波スピーカを使用した表示装置についての説明]
次に、本発明の駆動回路を有する静電型超音波トランスデューサ(以下、単に「超音波トランスデューサ」ともいう)を使用した表示装置の例について説明する。
図13は、表示装置の一例として、プロジェクタを例に取ったものであり、その使用状態を示したものである。同図に示すように、プロジェクタ(表示装置)201は視聴者203の後方に設置され、視聴者203の前方に設置されたスクリーン202に映像を投影するとともに、プロジェクタ201に搭載されている超音波スピーカによりスクリーン202の投影面に仮想音源を形成し、音声を再生するようになっている。
プロジェクタ201の外観構成を図14に示す。プロジェクタ201は、映像をスクリーン等の投影面に投影する投影光学系を含むプロジェクタ本体220と、超音波周波数帯の音波を発振できる超音波トランスデューサ224A,224Bを含んで構成され、音響ソースから供給される音声信号から可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカとが一体的に構成されている。本実施形態では、ステレオ音声信号を再生するために、投影光学系を構成するプロジェクタレンズ231を挟んで左右に超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ224A,224Bがプロジェクタ本体に搭載されている。
さらに、プロジェクタ本体220の底面には低音再生用スピーカ223が設けられている。また、225は、プロジェクタ本体220の高さ調整を行うための高さ調節ねじ、226は、空冷フアン用の排気口である。
また、プロジェクタ201では、超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサとして静電型超音波トランスデューサを使用している。この静電型超音波トランスデューサは、駆動周波数帯域において平坦な出力電圧周波数特性を確保しながら、低損失での駆動が可能な駆動回路を備えており、広周波数帯域の音響信号(超音波周波数帯の音波)を高音圧で発振することができる。このため、キャリア波の周波数を変更することにより可聴周波数帯の再生信号の空間的な再生範囲を制御することにより、ステレオサラウンドシステムや5.1chサラウンドシステム等で得られるような音響効果を、従来必要であった大掛かりな音響システムを必要とすることなく実現でき、かつ持ち運びが容易なプロジェクタを実現することができる。
次に、プロジェクタ201の電気的構成を図15に示す。プロジェクタ201は、操作入力部210と、再生範囲設定部212、再生範囲制御処理部213、音声/映像信号再生部214、キャリア波発振源216、変調器218A,218B、パワーアンプ222A,222B及び静電型超音波トランスデューサ224A,224Bからなる超音波スピーカと、ハイパスフィルタ217A,217Bと、ローパスフィルタ219と、ミキサ221と、パワーアンプ222Cと、低音再生用スピーカ223と、プロジェクタ本体220とを有している。なお、静電型超音波トランスデューサ224A,224Bは本発明による静電型超音波トランスデューサである。
プロジェクタ本体220は、映像を生成する映像生成部232と、生成された映像を投影面に投影する投影光学系233とを有している。このように、プロジェクタ201は、超音波スピーカ及び低音再生用スピーカ223と、プロジェクタ本体220とが一体化されて構成されている。
操作入力部210は、テンキー、数字キー、電源のオン、オフをおこなうための電源キーを含む各種機能キーを有している。再生範囲設定部212は、ユーザが操作入力部210をキー操作することにより再生信号(信号音)の再生範囲を指定するデータを入力できるようになっており、該データが入力されると、再生信号の再生範囲を規定するキャリア波の周波数が設定され、保持されるようになっている。再生信号の再生範囲の設定は、超音波トランスデューサ224A,224Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離を指定することにより行われる。
また、再生範囲設定部212は、音声/映像信号再生部214より映像内容に応じて出力される制御信号によりキャリア波の周波数が設定できるようになっている。
また、再生範囲制御処理部213は、再生範囲設定部212の設定内容を参照し、設定された再生範囲となるようキャリア波発振源216により生成されるキャリア波の周波数を変更するようにキャリア波発振源216を制御する機能を有する。
例えば、再生範囲設定部212の内部情報として、キャリア波周波数が50kHzに対応する上記距離が設定されている場合、キャリア波発振源216に対して50kHzで発振するように制御する。
再生範囲制御処理部213は、再生範囲を規定する超音波トランスデューサ224A,224Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離とキャリア波の周波数との関係を示すテーブルが予め記憶されている記憶部を有している。このテーブルのデータは、キャリア波の周波数と上記再生信号の到達距離との関係を実際に計測することにより得られる。
再生範囲制御処理部213は、再生範囲設定部212の設定内容に基づいて、上記テーブルを参照して設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数となるようにキャリア波発振源216を制御する。
音声/映像信号再生部214は、例えば、映像媒体としてDVDを用いるDVDプレーヤーであり、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号は、ハイパスフィルタ217Aを介して変調器218Aに、Lチャンネルの音声信号はハイパスフィルタ217Bを介して変調器218Bに、映像信号はプロジェクタ本体220の映像生成部232にそれぞれ、出力されるようになっている。
また、音声/映像信号再生部214より出力されるRチャンネルの音声信号とLチャンネルの音声信号は、ミキサ221により合成され、ローパスフィルタ219を介してパワーアンプ222Cに入力されるようになっている。音声/映像信号再生部214は、音響ソースに相当する。
ハイパスフィルタ217A,217Bは、それぞれ、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における中高音域(第一の音域)の周波数成分のみを通過させる特性を有しており、またローパスフィルタは、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における低音域(第二の音域)の周波数成分のみを通過させる特性を有している。
したがって、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号は
、それぞれ超音波トランスデューサ224A、224Bにより再生され、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号は低音再生用スピーカ223により再生されることとなる。
なお、音声/映像信号再生部214はDVDプレーヤーに限らず、外部から入力されるビデオ信号を再生する再生装置であってもよい。また、音声/映像信号再生部214は、再生される映像のシーンに応じた音響効果を出すために再生音の再生範囲を動的に変更するように、再生範囲設定部212に再生範囲を指示する制御信号を出力する機能を有している。
キャリア波発振源216は、再生範囲設定部212より指示された超音波周波数帯の周波数のキャリア波を生成し、変調器218A,218Bに出力する機能を有している。
変調器218A,218Bは、キャリア波発振源216から供給されるキャリア波を音声/映像信号再生部214から出力される可聴周波数帯の音声信号でAM変調し、該変調信号を、それぞれパワーアンプ222A,222Bに出力する機能を有する。
超音波トランスデューサ224A,224Bは、それぞれ、変調器218A,218Bからパワーアンプ222A,222Bを介して出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射し、可聴周波数帯の信号音(再生信号)を再生する機能を有する。
映像生成部232は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイと、該ディスプレイを音声/映像信号再生部214から出力される映像信号に基づいて駆動する駆動回路等を有しており、音声/映像信号再生部214から出力される映像信号から得られる映像を生成する。
投影光学系233は、ディスプレイに表示された映像をプロジェクタ本体220の前方に設置されたスクリーン等の投影面に投影する機能を有している。
次に、上記構成からなるプロジェクタ201の動作について説明する。まず、ユーザのキー操作により操作入力部210から再生信号の再生範囲を指示するデータ(距離情報)が再生範囲設定部212に設定され、音声/映像信号再生部214に再生指示がなされる。
この結果、再生範囲設定部212には、再生範囲を規定する距離情報が設定され、再生範囲制御処理部213は、再生範囲設定部212に設定された距離情報を取り込み、内蔵する記憶部に記憶されているテーブルを参照し、上記設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数のキャリア波を生成するようにキャリア波発振源216を制御する。
この結果、キャリア波発振源216は、再生範囲設定部212に設定された距離情報に対応する周波数のキャリア波を生成し、変調器218A,218Bに出力する。
一方、音声/映像信号再生部214は、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号を、ハイパスフィルタ217Aを介して変調器218Aに、Lチャンネルの音声信号をハイパスフィルタ217Bを介して変調器218Bに、Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号をミキサ221に出力し、映像信号をプロジェクタ本体220の映像生成部232にそれぞれ、出力する。
したがって、ハイパスフィルタ217Aにより上記Rチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号が変調器218に入力され、ハイパスフィルタ217Bにより上記Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号が変調器218Bに入力される。
また、上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号はミキサ221により合成され、ローパスフィルタ219により上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号がパワーアンプ222Cに入力される。
映像生成部232では、入力された映像信号に基づいてディスプレイを駆動して映像を生成し、表示する。このディスプレイに表示された映像は、投影光学系233により、投影面、例えば、図13に示すスクリーン202に投影される。
他方、変調器218Aは、キャリア波発振源216から出力されるキャリア波をハイパスフィルタ217Aから出力される上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号でAM変調し、パワーアンプ222Aに出力する。
また、変調器218Bは、キャリア波発振源216から出力されるキャリア波をハイパスフィルタ217Bから出力される上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号でAM変調し、パワーアンプ222Bに出力する。
パワーアンプ222A,222Bにより増幅された変調信号は、それぞれ、超音波トランスデューサ224A,224Bの前面側固定電極(上電極)10Aと背面側固定電極(下電極)10B(図1参照)との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射され、超音波トランスデューサ224Aからは、上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生され、超音波トランスデューサ224Bからは、上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生される。
また、パワーアンプ222Cで増幅された上記Rチャンネル及びLチャンネルにおける低音域の音声信号は低音再生用スピーカ223により再生される。
前述したように、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播においては、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生する。
放射する超音波帯域の信号(キャリア波)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が超音波周波数帯のキャリア波と分離して自己復調する形で形成される。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ224から出力されるビーム状の再生信号は、投影光学系233により映像が投影される投影面(スクリーン)に向けて放射され、投影面で反射され拡散する。この場合に、再生範囲設定部212に設定されるキャリア波の周波数に応じて、超音波トランスデューサ224の音波放射面からその放射軸方向(法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、キャリア波のビーム幅(ビームの拡がり角)が異なるために、再生範囲は、変化する。
プロジェクタ201における超音波トランスデューサ224A,224Bを含んで構成される超音波スピーカによる再生信号の再生時の状態を図16に示す。プロジェクタ201において、キャリア波が音声信号により変調された変調信号により超音波トランスデューサが駆動される際に、再生範囲設定部212により設定されたキャリア周波数が低い場合は、超音波トランスデューサ224の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が長くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、比較的拡がらずに投影面(スクリーン)202に到達することとなり、この状態で投影面202において反射するので、再生範囲は、図16において点線の矢印で示す可聴範囲Aとなり、投影面202から比較的に遠くかつ狭い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
これに対して、再生範囲設定部212により設定されたキャリア周波数が上述した場合より高い場合は、超音波トランスデューサ224の音波放射面から放射される音波は、キャリア周波数が低い場合より絞られているが、超音波トランスデューサ224の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が短くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、投影面202に到達する前に拡がって投影面202に到達することとなり、この状態で投影面202において反射するので、再生範囲は、図16において実線の矢印で示す可聴範囲Bとなり、投影面202から比較的に近くかつ広い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
以上説明したように、本発明の表示装置(プロジェクタ等)では、本発明の駆動回路を有する超音波トランスデューサを使用しており、この超音波トランスデューサを、平坦な出力周波数特性を確保しながら、低損失で駆動することができる。このため音響信号を十分な音圧と広帯域特性を持って、スクリーン等の音波反射面近傍に形成される仮想音源から発せられるように再生できる。また、その再生範囲の制御も容易に行えるようになる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の静電型トランスデューサの駆動回路、静電型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、および表示装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の適用対象となる静電型トランスデューサの一例を示す図。 静電型トランスデューサの駆動回路の構成例を示す図。 静電型トランスデューサの部分を等価回路で書き換えた図。 静電型トランスデューサ駆動回路の等価回路を示す図。 結合静電容量C1がない場合の回路全体の通過特性を示す図。 結合静電容量と、HPFとLPFの通過特性の対称性を示す図。 回路全体の通過特性を示す図。 1次側外付抵抗と通過特性の平坦度との関係を示す図。 HPFとLPFの共振特性と通過特性を示す図。 2次側出力電圧と1次側電流との周波数特性を示す図。 トランス結合係数と通過帯域との関係を示す図。 本発明の駆動回路を使用した超音波スピーカの構成例を示す図。 本発明の実施形態に係るプロジェクタの使用状態を示す図。 図13に示したプロジェクタの外観構成を示す図。 図13に示したプロジェクタの電気的構成を示すブロック図。 超音波トランスデューサによる再生信号の再生状態の説明図。 プル型の静電型トランスデューサの回路構成例を示す図。 共振型の超音波トランスデューサの回路構成例を示す図。
符号の説明
1…静電型トランスデューサ、10…固定電極、10A…前面側固定電極10B…背面側固定電極、11…支持部材、12…振動膜、14、14A、14B…貫通孔、16…直流電源、18A、18B…交流信号、21…パワーアンプ、31…可聴周波数波信号源、32…キャリア波信号源、33…変調器、120…絶縁膜、121…振動膜電極、C1…結合静電容量、CLA、CLB…静電型トランスデューサの負荷静電容量、CL…静電型トランスデューサの合成静電容量、CL1…負荷静電容量、E…直流バイアス電圧、L1…1次側自己インダクタンス、L2…2次側自己インダクタンス、LL…漏洩インダクタンス、R…1次側外付抵抗、Rs…抵抗、T…出力トランス、201…プロジェクタ、202…スクリーン、203…視聴者、210…操作入力部、212…再生範囲設定部、213…再生範囲制御処理部、214…音声/映像信号再生部、216…キャリア波発振源、217A,217B…ハイパスフィルタ、218A,218B…変調器、219…ローパスフィルタ、220…プロジェクタ本体、221…ミキサ、222A,222B、222C…パワーアンプ、223…低音再生用スピーカ、224A,224B…静電型超音波トランスデューサ、231…プロジェクタレンズ、232…映像生成部、233…投影光学系、300…プル(Pull)型の静電型トランスデューサ、401、402…圧電型の超音波トランスデューサ

Claims (30)

  1. 搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、
    前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、
    前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、
    前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路の回路定数と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数とが設定されてなること
    を特徴とする静電型トランスデューサ。
  2. 前記静電型トランスデューサの負荷静電容量がCL(F)であり、静電型トランスデューサの定格搬送波周波数がfc(Hz)であるとき、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2(H)が、
    L2=1/(4π2fc2CL)に設定されてなること
    を特徴とする請求項1に記載の静電型トランスデューサ。
  3. 前記静電型トランスデューサは駆動信号を印加するための端子を有しており、該端子間電圧の周波数特性が、前記静電型トランスデューサの駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように前記各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電型トランスデューサ。
  4. 前記出力トランスTの1次側回路及び駆動負荷を含む前記出力トランスTの2次側回路の等価回路において、
    結合静電容量C1、前記出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路の周波数特性における低域側−3dB減衰周波数をf1−とし、
    結合静電容量C1、前記出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路の周波数特性における高域側−3dB減衰周波数をf2+とし、
    相互インダクタンスM1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される共振回路の共振周波数をf0とするとき、
    (f1―・f2+)/f02=1となるように、上記各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電型トランスデューサ。
  5. 前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1、により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となるように前記各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項4に記載の静電型トランスデューサ。
  6. 前記第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、
    前記第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、
    出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、
    k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように前記各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項5に記載の静電型トランスデューサ。
  7. √2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなるように上記各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項6に記載の静電型トランスデューサ。
  8. 前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、
    前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを前記出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となる条件と
    が共に満たされるように、各回路定数が設定されてなることを
    特徴とする請求項4に記載の静電型トランスデューサ。
  9. 前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、
    前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となる条件と
    が共に満たされるように、各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項4に記載の静電型トランスデューサ。
  10. 前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、
    前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなる条件と
    が共に満たされるように、各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項4に記載の静電型トランスデューサ。
  11. 可聴周波数帯域が、前記第一の共振回路と前記第二の共振回路とで形成される帯域通過フィルタの通過帯域に含まれないように、各回路定数が設定されてなること
    を特徴とする請求項4から10のいずれかに記載の静電型トランスデューサ。
  12. 前記静電型トランスデューサは、
    複数の孔が形成された第一の面側の固定電極と、
    前記第一の面側の固定電極と対をなす複数の孔が形成された第二の面側の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とで構成されており、
    前記出力トランスTの2次側巻線にはセンタータップを備えており、
    前記出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、前記静電型トランスデューサの第一の面側の固定電極に、他方の端子は第二の面側の固定電極にそれぞれ接続され、
    前記出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧が、前記振動膜の導電層に印加されるように構成されていること
    を特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の静電型トランスデューサ。
  13. 可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、
    超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、
    前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、
    前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記トランスTの1次側巻線に印加するためのパワーアンプと
    を備えることを特徴とする請求項12に記載の静電型トランスデューサ。
  14. 出力トランスTで昇圧された駆動信号により、容量性負荷を駆動する容量性負荷の駆動回路であって、
    前記出力トランスTの2次側巻線に駆動負荷として容量性負荷を並列に接続し、かつ前記出力トランスTの1次側巻線には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続するとともに、
    前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記容量性負荷の負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記容量性負荷の定格駆動周波数fcと一致あるいは略一致するように、
    前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む前記出力トランスTの1次側回路と、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む前記出力トランスの2次側回路の回路定数が設定されること
    を特徴とする容量性負荷の駆動回路。
  15. 前記駆動負荷の静電容量がCL(F)であり、前記容量性負荷の定格駆動周波数がfc(Hz)であるとき、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2(H)が、
    L2=1/(4π2fc2CL)に設定されていること
    を特徴とする請求項14に記載の容量性負荷の駆動回路。
  16. 前記容量性負荷は駆動信号を印加するための端子を有しており、該端子間電圧の周波数特性が、該容量性負荷の駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように前記各回路定数が設定されること
    を特徴とする請求項14または請求項15に記載の容量性負荷の駆動回路。
  17. 出力トランスTで昇圧された駆動信号により、容量性負荷を駆動する容量性負荷の駆動回路であって、前記出力トランスTの2次側巻線に前記容量性負荷を並列に接続し、かつ前記出力トランスTの1次側巻線には1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを直列に接続するように構成された容量性負荷の駆動回路における回路定数設定方法であって、
    前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記容量性負荷の負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記容量性負荷の定格駆動周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数を設定する手順を
    含むことを特徴とする回路定数の設定方法。
  18. 前記駆動負荷である容量性負荷の静電容量がCL(F)であり、容量性負荷の定格駆動周波数がfc(Hz)であるとき、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2(H)を、
    L2=1/(4π2fc2CL)に設定する手順を
    含むことを特徴とする請求項17に記載の回路定数の設定方法。
  19. 前記容量性負荷は駆動信号を印加するための端子を有しており、該端子間電圧の周波数特性が、前記容量性負荷の駆動周波数をその通過帯域に含む帯域通過フィルタの周波数特性となるように前記各回路定数を設定する手順を含む
    ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の回路定数の設定方法。
  20. 出力トランスTの1次側回路及び駆動負荷を含む出力トランスTの2次側回路の等価回路において、結合静電容量C1、出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路の周波数特性における低域側−3dB減衰周波数をf1−とし、結合静電容量C1、出力トランスTの漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路の周波数特性における高域側−3dB減衰周波数をf2+とし、相互インダクタンスM1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される共振回路の共振周波数をf0とするとき、
    (f1―・f2+)/f02=1となるように、上記各回路定数を設定する手順を含む
    ことを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の回路定数の設定方法。
  21. 前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1、により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となるように前記各回路定数を設定する手順を含む、
    ことを特徴とする請求項17から20のいずれかに記載の回路定数の設定方法。
  22. 前記第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、
    前記第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、
    出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、
    k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となるように前記各回路定数を設定する手順を含むこと
    を特徴とする請求項21に記載の回路定数の設定方法。
  23. √2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなるように上記各回路定数を設定する手順を含むこと
    を特徴とする請求項22に記載の回路定数の設定方法。
  24. 前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、
    前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路と、前記1次側外付抵抗R、結合静電容量C1、漏洩インダクタンスLL、及び負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路とを前記出力トランスTにより結合させる結合回路が、臨界結合状態となる条件と
    が共に満たされるように、各回路定数を設定する手順を含むこと
    を特徴とする請求項20に記載の回路定数の設定方法。
  25. 前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、
    前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、k・Q1、もしくはk・Q2が所定値となる条件と
    が共に満たされるように、各回路定数を設定する手順を含むこと
    を特徴とする請求項20に記載の回路定数の設定方法。
  26. 前記「(f1―・f2+)/f02=1」の条件と、
    前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記相互インダクタンスM1により形成される第一の共振回路のクオリティ・ファクタをQ1とし、前記1次側外付抵抗R、前記結合静電容量C1、前記漏洩インダクタンスLL、及び前記負荷静電容量CLにより形成される第二の共振回路のクオリティ・ファクタをQ2とし、前記出力トランスTの結合係数kを、k=(L1−LL)/L1とするとき、√2(k・Q1)及び√2(k・Q2)の値のうち少なくともいずれか一方の値が1と等しいかあるいは略等しくなる条件と
    が共に満たされるように、各回路定数を設定する手順を含むこと
    を特徴とする請求項20に記載の回路定数の設定方法。
  27. 搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される超音波トランスデューサを備えると共に、
    前記搬送波は超音波周波数帯の信号であり、
    前記静電型トランスデューサは、
    複数の孔が形成された第一の面側の固定電極と、
    前記第一の面側の固定電極と対をなす複数の孔が形成された第二の面側の固定電極と、
    前記一対の固定電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有しており、
    前記出力トランスTの2次側巻線にはセンタータップを備えており、
    前記出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、前記第一の面側の固定電極に、他方の端子は前記第二の面側の固定電極にそれぞれ接続され、
    前記出力トランスTの2次側巻線のセンタータップを基準にして直流バイアス電圧が、前記振動膜の導電層に印加されるように構成されていること
    を特徴とする静電型トランスデューサ。
  28. 搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される静電型トランスデューサと、
    可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、
    超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、
    前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、
    前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記出力トランスTの1次巻線側に印加するためのパワーアンプと
    を備えることを特徴とする超音波スピーカ。
  29. 搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される静電型トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記出力トランスTの1次巻線側に印加するためのパワーアンプと備える超音波スピーカであって、音響ソースから供給される音声信号を再生し可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、
    映像を投影面に投影する投影光学系と、
    を有することを特徴とする表示装置。
  30. 搬送波を可聴周波数帯の音響信号で変調した変調信号を昇圧し、該昇圧された駆動信号によって駆動される静電型トランスデューサであって、前記静電型トランスデューサを2次側巻線と並列に接続し、前記変調信号を昇圧する出力トランスTと、前記出力トランスTの1次側巻線に直列に接続された1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1とを有し、前記出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と前記静電型トランスデューサの負荷静電容量CLとによって形成される回路の共振周波数f0が、前記静電型トランスデューサの搬送波周波数fcと一致あるいは略一致するように、前記1次側外付抵抗Rと結合静電容量C1の直列回路を含む出力トランスTの1次側回路と、出力トランスTの2次側巻線の自己インダクタンスL2と負荷静電容量CLを含む出力トランスの2次側回路の回路定数が設定される静電型トランスデューサと、可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源と、前記キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調する変調器と、前記変調器により変調された信号を増幅すると共に、該増幅された信号を、1次側外付抵抗Rおよび結合静電容量C1を通して、前記出力トランスTの1次巻線側に印加するためのパワーアンプとを備える超音波スピーカにより、音響ソースから供給される音声信号を再生し、スクリーン等の音波反射面近傍に仮想音源を形成する指向性音響システムであって、
    前記音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号を再生する超音波スピーカと、
    前記音響ソースから供給される音声信号のうち前記第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカと、
    を有することを特徴とする指向性音響システム。
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