JP2002171598A - 高音用スピーカ - Google Patents

高音用スピーカ

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JP2002171598A
JP2002171598A JP2000369734A JP2000369734A JP2002171598A JP 2002171598 A JP2002171598 A JP 2002171598A JP 2000369734 A JP2000369734 A JP 2000369734A JP 2000369734 A JP2000369734 A JP 2000369734A JP 2002171598 A JP2002171598 A JP 2002171598A
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Japan
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diaphragm
piezoelectric element
vibration
piezoelectric
sound
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JP2000369734A
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English (en)
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Shoji Tanaka
祥司 田中
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローコストながら、高い能率で超高域まで再
生ができ、ピークディップの少ない優れた音圧周波数特
性と優れた指向特性をもつ高音用スピーカを提供する。 【解決手段】 圧電素子1、これを支持するフレーム
2、及び平面形状が長径と短径を有し、音を放射する方
向に凸状の振動板3を備え、圧電素子1の表面の非中心
線上の位置に振動板3の少なくとも長径方向の周辺部の
両側端を取り付け、振動板の短径を圧電素子の可動部の
短径の40%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、100kHz付近
の超高音域まで再生する、高音用スピーカ(ツィータ、
スーパツィータ)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、DVDオーディオディスクやスー
パオーディオCDのような高品位、超広帯域の録音ソー
スに対応して、100kHzという超高音域までの再生
特性がスピーカに対して求められてきている。そしてコ
ンポーネントステレオ装置や小型ステレオ装置を問わ
ず、ローコストで超高音域まで再生のできる高音用スピ
ーカの実現が望まれている。高音用スピーカとして、振
動板を圧電素子で駆動するタイプのものが古くから考え
られている。ところが、一般的に圧電素子を用いた高音
用スピーカは、音圧周波数特性におけるピークの山と谷
との差であるピークディップ(以下、ピークディップと
いう)が大きい。それに加えて、従来の高音用スピーカ
は、超高音域まで十分な音圧レベルを得ることは容易で
はないことが知られている。
【0003】古くから一般的によく知られている圧電素
子を用いた第1の従来例の高音用スピーカについて、図
12の第1の従来例の高音用スピーカの断面図を参照し
つつ説明する。図12において、円形の圧電素子71
は、円形の薄い金属基板71aに圧電セラミック材料か
らできた薄い円盤状の圧電体71bを接着かつ電気的に
結合して形成されている。圧電素子71はその周辺部を
フレーム72に接合して支持されている。外周部に波形
に成形されたフランジ73aを有する円錐状のコーン形
振動板73は、そのフランジ73aの周辺部がフレーム
72に支持されるとともに、その円錐状のコーンの頂点
が圧電素子71の中心に取り付けられている。金属基板
71aと圧電体71bとの間に信号電圧を印加すると、
圧電素子71は同心円状の屈曲振動を生じ、この振動が
振動板73に伝達されて音が放射される。
【0004】このような構成の第1の従来例の高音用ス
ピーカでは、振動板73が圧電素子71の特定の点、し
かも中心点に取り付けられている。それ故、音圧対周波
数特性のピークディップが大きかった。このことは、後
述する本発明の説明において図示しているが、振動する
円板の中心は固有振動モードの極点に当たり、振幅の変
化が最も激しいからである。また、円錐状のコーン形振
動板73では、いわゆるコーンのネック部のスティフネ
スで決まる高域共振周波数(日本放送出版協会発行,中
島平太郎著「ハイファイスピーカ」52頁参照)以上で
は、圧電素子71の振動が伝達されにくくなる。その結
果、円錐状のコーン形振動板を有する第1の従来例の高
音用スピーカでは、100kHzまでの超高音域での再
生は困難であった。
【0005】そこで、圧電素子を駆動源とする高音用ス
ピーカの周波数特性のピークディップを改善するために
特開平9−215093号公報で提案された方法があ
る。この第2の従来例の高音用スピーカについて図11
を参照しつつ説明する。図11は、第2の従来例の高音
用スピーカの構成を示す斜視図である。。図11におい
て、円形の圧電素子61は、円形の薄い金属基板61a
に圧電セラミック材料で形成した前記金属基板61aの
外径より小さい径の薄い円盤状の圧電体61bを接着
し、かつ電気的に結合している。圧電素子61はその全
周辺部をフレーム62により支持されている。圧電素子
61の中心線上の取り付け部63aにおいて、隣接して
接合して圧電素子61に取り付けられた2個の半円筒状
曲面を有する振動板63は、それぞれの外辺部がフレー
ム62に取り付けられている。
【0006】このように構成することにより、圧電素子
61の内周部から外周部までの振動が振動板63に伝え
られる。つまり、圧電素子61の特定の位置の振動だけ
が伝わる欠点がないので、音圧周波数特性のピークディ
ップが低減される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した第
2の従来例の高音用スピーカでは、圧電素子61の中心
線上の取り付け部63aにおいて、振動板63が圧電素
子61に取り付けられている。このため、圧電素子61
の振動モードが振動板63により抑制されてしまい、振
動のレベルが低下してしまうという問題点があった。特
に、取り付け部63aは、2個の曲面の接合辺、つま
り、くさび状断面の頂点の陵になっているので形状的に
剛性が高く、圧電素子61の振動モードに対する抑制が
なおさら顕著である。振動の能率を向上しようとする
と、振動板63の材料として剛性の高いものを用いるこ
とができないので、超高音域までの振動の伝達が困難と
なる。したがって、100kHz付近までの超高音域で
の音の再生ができないという問題もあった。
【0008】また、振動板63が2個の曲面を有してい
るため、各々の曲面から放射される音波同士が干渉を起
こし、指向特性が劣化するといういう問題点もあった。
さらに、振動板63が2個の曲面から構成されているた
め、高音用スピーカの製造において、組立が煩雑になり
製造コストが高くなるという問題点もあった。
【0009】本発明は、製造が簡易となりローコスト
で、かつ高い振動のレベルで超高音域までの音の再生が
でき、ピークディップの少ない優れた音圧周波数特性と
優れた指向特性を有する高音用スピーカを提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の高音用スピーカ
は、金属基板に圧電体を結合して形成した圧電素子、前
記圧電素子の外周部を支持するフレーム、及び、前記圧
電素子に取り付けた平面形状が長径と短径を有し、かつ
音を放射する方向に凸状の振動板を備え、前記圧電素子
の表面の非中心線上の位置に、前記振動板の周辺部の長
径方向の少なくとも両端部を取り付けるとともに、前記
振動板の短径Ldと前記圧電素子の可動部の短径Lpと
が、Ld≧Lp×0.4 の関係を有することを特徴と
する。
【0011】その構成によれば、圧電素子の非中心線上
の位置に振動板を取り付けているため、圧電素子の振動
モードを抑制しない。したがって、剛性の高い材料で振
動板を形成することができ、超高音域までの音の再生が
可能となる。振動板の平面形状が長径と短径を有してい
るため、圧電素子との取り付け位置が特定の中心点や対
称軸上の点とならない。これにより、振動板に圧電素子
の各種の振動モードが実質的に均一に伝達される。さら
に、振動板の短径Ldと圧電素子の可動部の短径Lpと
が Ld≧Lp×0.4 の関係を有しているた
め、圧電素子の振動の振幅が振動板により実質的に抑制
されず、音圧レベルを高くできる。その結果、ピークデ
ィップの少ない優れた音圧周波数特性が得られる。
【0012】振動板が長径と短径を有しており音を放射
する方向に凸状であるため 優れた指向特性を有してい
る。振動板が単一曲面を有しているため一定の剛性を有
している。また振動板が1個であるため、放射する音の
干渉を生じない。さらに、単一面を有する振動板は、振
動板の成形が容易であるとともに、圧電素子に容易に取
り付けることができる。その結果、ローコストで、高い
能率で超高音域まで再生ができ、ピークディップの少な
い、優れた音圧周波数特性を有する高音用スピーカを作
ることができる。上記構成の高音用スピーカにおいて、
圧電素子は好ましくは円形である。これにより、市販の
汎用圧電素子を用いることができるとともに、振動板と
の取り付け部が圧電素子の振動モードである節円モード
の節と腹の両方を包含するような位置関係になる。その
結果、一層ローコストで、かつ音圧周波数特性の一層優
れた高音用スピーカを実現できる。
【0013】本発明の他の観点による高音スピーカは、
上記構成の高音用スピーカにおいて、圧電素子を複数個
配列し、前記複数個の圧電素子に対して1個の振動板を
取り付けたことを特徴とする。その構成によれば、圧電
素子を小型にして複数個配列することにより振動面積を
確保しつつ、横方向の幅を狭くすることができる。その
結果、圧電素子が小型であるため共振周波数が高くな
り、再生帯域が超高音域まで伸び、また縦横比を大きく
することで指向特性をさらに優れたものにできる。この
構成の高音用スピーカにおいて、共振周波数の異なる圧
電素子を配列することは好ましい。それにより、ピーク
ディップが分散されて、音圧周波数特性の一層優れた高
音用スピーカを実現できるからである。
【0014】本発明のさらに他の観点による高音用スピ
ーカは、上記いずれかの構成の高音用スピーカにおい
て、振動板の形状を、平面板をその長径を曲げずに短径
を逆V字形に曲げて形成した屋根形としたことを特徴と
する。その構成によれば、振動板の成形時に材料の内部
歪を伴う三次元方向の伸びが殆ど発生しないので、振動
板の製造が一層容易な高音用スピーカを実現できる。さ
らに、内部歪を伴う三次元方向の伸びが生ぜずに成形で
きるので、振動板の材質としても伸びが小さく剛性の高
い材料、例えばグラファイトフィルムやボロンフィルム
を用いることができる。このため、なお一層超高音域の
再生ができる高音用スピーカを実現できる。また、振動
板の短径方向の断面形状を略円弧としても良い。それに
より振動板の固有共振を低減できるため、ピークディッ
プが分散されて音圧周波数特性の一層優れた高音用スピ
ーカを実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高音用スピーカを
好適な実施例について添付の図面を参照しつつ説明す
る。
【0016】《実施例1》図1は、実施例1の高音用ス
ピーカの構成を示す図であり、図1の(a)は、振動板
の表面側から見た平面図、(b)は、断面図、(c)
は、圧電素子の裏面側から見た底面図である。図1の
(a)〜(c)において、圧電素子1は、円形の金属基
板1aの片面に金属基板1aの外径よりも小さい外径の
薄い円盤状の圧電体1bがそれぞれの中心を一致させて
接着して結合されている。つまり、圧電素子1はモノモ
ルフ型のものである。フレーム2の内周に設けた円形の
段部2aに、圧電素子1の外周部の金属基板1aが取り
付けられている。平面形状が楕円で正面方向に滑らかな
凸ドーム状に形成された振動板3は、その周辺部全周の
振動板取り付け部3aにおいて圧電素子1の表面に取り
付けられている。またフレーム2に設けられた庇部2b
は、圧電素子1の表面に取り付けられた振動板3よりも
外側の部分を覆っている。
【0017】次に、この実施例1の高音用スピーカの構
成部品の材質や寸法について具体的に説明する。金属基
板1aの材質は真鍮であり、直径は50mm、厚さは
0.2mmである。圧電体1bの材質はセラミックであ
り、直径は30mm、厚さは0.25mmである。フレ
ーム2の材質はスチロール樹脂であり、圧電素子1の直
径46mmより外側の全周を段部2aに挿入して取り付
け、ゴム系接着剤で固定している。振動板3の平面形状
は、長径が40mm、短径が24mmの楕円で、中央部
の高さが5mmで音の放射方向(正面方向)に凸状のド
ーム形状を有している。振動板3の材質は厚み0.05
mmのチタン箔である。この振動板3と圧電素子1とは
振動板取り付け部3aにおいてゴム系接着剤で取り付け
られている。
【0018】以下、このように構成された実施例1の高
音用スピーカの作用について図2〜図4を参照しつつ説
明する。図2は、音響振動学ではよく知られている周辺
が固定された円板の振動モードである、同心円状に振動
の節と腹が現れる振動モード(以下、節円モードとい
う)を示す図である。つまり、圧電素子1の可動部の振
動モードを示している。図2の各上側の図は平面から見
て円板が振動のある瞬間に凸状(白色部で示す)か凹状
(ハッチング部で示す)かを示しており、下側の図は円
板のその瞬間における中心を通る垂直断面上での振動の
状態を示している。図2の(a)は第1次節円モード
(基本周波数モード)、同(b)は第2次節円モード、
同(c)は第3次節円モード、同(d)は第4次節円モ
ードの振動をそれぞれ示している。
【0019】これらの各節円モードの振動周波数(共振
周波数)を各々f1、f2、f3、f4とすると、f2
=3.9×f1、f3=8.7×f1、f4=14.5×
f1の関係を有しており、次数が高くなるとさらに節円
が増えていき、その高次の節円モードの振動周波数は高
くなっていく。
【0020】図3は、図11で説明した従来の第2の高
音用スピーカの圧電素子61の可動部の振動モードと、
圧電素子61の表面上の振動板の取り付け部63aとの
位置関係を示す図である。図3に示すように、第2の従
来例の高音用スピーカは、すべての振動モードにおい
て、振動板の取り付け部63aが振動モードの節円と直
交しているので、節円モードの振動板の振動が抑制され
てしまう。簡単に言えば、円板の中心に梁を付けたため
に円板が拘束され、振動しにくくなっていたわけであ
る。
【0021】図4は、この実施例1の高音用スピーカの
圧電素子1の可動部の振動モードと振動板3の取り付け
部3aとの位置関係を示す図である。図4から明らかな
ように、振動板3の取り付け部3aは、各振動モードの
節円に対して直交することがなく、節円に沿うような位
置関係となっている。このため節円モードが抑制される
ことがない。また、振動板3の取り付け部3aは振動板
3の周辺部であり、図11で説明した従来の場合のよう
な剛性の高い陵部ではないので、なおさら節円モードが
抑制されることがない。その結果、圧電素子1への振動
板3の取り付けによって節円モードの振動の抑制が生じ
ることがないので、高い振動のレベルが得られる。
【0022】このように振動板3の取り付けにより圧電
素子1の節円モードが抑制されないため、振動板3の材
質には剛性の高いものを使用することができる。また、
この実施例の振動板は振動の伝達される部位がネック部
に集中している第1の従来例の高音用スピーカにおける
コーン型などの振動板とは違って、周辺部の広い部分か
ら振動が伝達がされるので、超高音域まで音の再生がで
きる。また、振動板3の取り付け部3aは、圧電素子1
の中心点からの半径距離が一定とならないような形で圧
電素子1の広い範囲に渡っており、取り付け位置が特定
の中心点や対称軸上の点とならない。このことにより、
振動板3には圧電素子1の各種振動モードが均一に伝達
され、ピークディップの少ない優れた音圧周波数特性が
得られる。
【0023】特に、圧電素子1の形状がこの実施例1の
ように円形の場合には、振動板3の取り付け部3aが各
次数の節円モードの節と腹の両方を包含するような位置
関係になる。このため、圧電素子1の各次数の振動モー
ドの共振周波数における音圧周波数特性のピークディッ
プが一層軽減される。また、円形の圧電素子は汎用品と
して大量に生産されているので、コスト的にも有利であ
る。また、振動板3は平面形状が横方向に幅の狭い形状
とできるので、水平方向の優れた指向特性が得られる。
さらに、振動板3は単一曲面の1個の振動板であるの
で、振動板3の成形が容易であるとともに、圧電素子1
に対する取り付けも容易である。
【0024】以上説明したように、本実施例1の高音用
スピーカによれば、ローコストながら、高い能率で超高
音域まで再生ができ、ピークディップの少ない優れた音
圧周波数特性と優れた指向特性を有する高音用スピーカ
を実現できる。
【0025】なお、本実施例1では、圧電素子1の外周
部をフレーム2に接着剤で接着して支持固定したが、弾
性体を挟んでフレーム2により支持しても良い。さらに
また、圧電素子1の全周をフレーム2に固定するのでは
なく一部分は自由にすること、かつフレーム2に接着し
て支持固定する部分、つまり貼りしろを非軸対称形にす
ること、など様々な支持方法が可能である。これらのよ
うに圧電素子を緩く支持すると、節円モードの共振のQ
が下がったり、節円モードが非軸対称形になるなどし
て、音圧周波数特性のピークディップが軽減される。
【0026】また、フレーム2により圧電素子1の中心
部を支持し、圧電素子1の周辺部は自由にしたような支
持方法も考えられる。この場合には、図2で説明した振
動モードと逆のモード、つまり中心部が振動の節になり
周辺部の振幅が大きくなるような振動モードになる。図
11で説明した第2の従来例の高音用スピーカでは、こ
のような場合においても振動モードが抑制されてしまう
のに対して、本実施例1の高音用スピーカでは振動モー
ドの抑制が起こらない。また、圧電素子1の中央部に弾
性体を貼り付けたり、圧電素子1の中央部を弾性体を介
してフレーム2で支持することも考えられる。このよう
にすると振動モードの共振のQが下がったり、中心が節
となる振動モードが励起されたりして、音圧周波数特性
のピークディップが軽減される。
【0027】また、本実施例1では、振動板3の平面形
状を楕円形としたが、長径と短径を有するその他種々の
形状とすることができる。例えば、小判形、方形などと
することができる。また、この実施例1では、振動板3
を圧電素子1の金属基板1aの側に取り付けているが、
振動板3の取り付け面を圧電体1bの側にすることも可
能である。この実施例1では圧電素子1はモノモルフ型
としたが、バイモルフ型としてもよい。また、この実施
例1では、振動板3の材質をチタンとしたが、言うまで
もなく様々な材質が可能である。例えば、その他金属、
樹脂、紙、グラファイト鱗片と樹脂とのコンポジットシ
ート、樹脂を含浸した布などの材料を用いても良い。
【0028】《実施例2》図5は、本発明の実施例2の
高音用スピーカ構成を示す図であり、(a)は振動板2
3の表面側から見た平面図、(b)は中心部の断面図、
(c)は圧電素子21の裏面側から見た平面図である。
図5の(a)〜(c)において、圧電素子21は、長方
形の金属基板21aの片面の中心に金属基板21aより
外形の小さい薄い略長方形の圧電体21bを接着して結
合されている。フレーム22には、圧電素子21の外形
に対応した段部22aが形成されており、圧電素子21
の外周部の長径側がその段部22aでフレーム22に接
着して取り付けられている。平面形状が小判形で音の放
射方向に凸のドーム状に成形された振動板23は、その
周辺部全周において圧電素子21の表面に接着して取り
付けられている。そしてフレーム22には、圧電素子2
1の表面に取り付けた振動板23よりも外側を覆う庇部
22bが設けられている。
【0029】次に、この実施例2の高音用スピーカの構
成部品の材質や寸法などについて具体的に説明する。圧
電素子21の金属基板21aの材質は錫メッキされた鉄
板であり、その矩形の長辺は45mm、短辺は35m
m、厚さは0.2mmである。略長方形の圧電体21b
の材質はセラミックであり、長辺は40mm、短辺は2
0mm、厚さは0.25mmである。フレーム22の材
質はスチロール樹脂であり、圧電素子21の長辺側の幅
32mmより外側の部分を、フレーム22の段部22a
にゴム系接着剤で接着して固定支持している。振動板2
3の平面形状は、長径が40mm、短径が20mmの小
判形であり、中央部には高さが4mmの凸状のドーム形
状が形成されている。振動板23の材質は、厚さ0.0
5mmのチタン箔である。この振動板23は、その外周
部において圧電素子21の表面にゴム系接着剤で取り付
けられている。
【0030】このように構成された本発明の実施例2の
高音用スピーカの基本的な作用、効果は、前述した実施
例1の高音用スピーカと同様である。それに加えて、こ
の実施例2の高音用スピーカは、圧電素子21の長辺側
はフレーム22に固定されているが、短辺側は自由であ
る非軸対称クランプとなっているので、種々の振動モー
ドが発生する。例えば、縦と横の両方向に振動モードの
節が生じるいわゆる割れモードや、縦か横のいずれか片
方向だけに節が生じる平行モードなどが発生する。その
結果、それぞれの振動モードの共振周波数のピークが発
生するためピークディップを一層低減できる。図1の実
施例1の円板の圧電素子1の振動と同様に、この実施例
2の長方形の圧電素子21の振動においても、その中心
を拘束するのが最も振動を阻害することになる。この実
施例2の高音用スピーカにおいては、圧電素子21の中
心から離れた位置に振動板23の取り付け部があるた
め、圧電素子21の振動が阻害されることがない。
【0031】さらに、この実施例2の高音用スピーカに
おいては、圧電素子21の短径側が固定されずに自由に
なっているので共振周波数が低くなり、再生帯域を低い
周波数まで伸ばすことができる。なお、この実施例2で
は、圧電素子21の平面形状を略長方形、振動板23の
平面形状を小判形としたが、言うなでもなくその他の形
状の組み合わせも可能である。
【0032】《実施例3》図6は、本発明の実施例3の
高音用スピーカの構成を示す図であり、(a)は振動板
の表面側から見た平面図、(b)は(a)の中央部の断
面図、(c)は圧電素子の裏面側から見た平面図であ
る。図7は、実施例3の高音スピーカの振動板の斜視図
である。図6において、小型の円形の圧電素子31は、
円形の金属基板31aの片面の中央部に金属基板31a
の外径より小さい外径の薄い円盤状の圧電体31bが接
着剤で結合されている。そしてこの圧電素子31が長方
形のフレーム32に設けられた段部32aに挿入して縦
方向に2個配列されている。このような構成とすること
で、横幅を狭くしながら、圧電素子の振動面積を確保し
ている。各々の圧電素子31は電気的に並列に接続され
ている。フレーム32に設けられた段部32aには、各
々の圧電素子31の外周部の3/4程度が接着されて取
り付けられている。
【0033】図6及び図7に示すように、平面形状が長
方形で、その短辺方向の断面が半円弧状に成形された振
動板33は、その周辺の長辺に当たる両端部だけが、両
方の圧電素子31の表面に接着して取り付けられてい
る。またフレーム32には、振動板33の長辺部の周辺
部だけを覆う庇部32bが設けられている。
【0034】次に、この実施例3の高音用スピーカの構
成部品の材質や寸法などについて具体的に説明する。圧
電素子31の外径は27mmである。金属基板31aの
材質は錫メッキされた鉄板であり、直径は27mm、厚
さは0.2mmである。圧電体31bの材質はチタン酸
バリウムのセラミック板であり、直径は20mm、厚さ
は0.25mmである。フレーム32の材質はABS樹
脂であり、両方の圧電素子31の直径25mmより外側
の3/4周程度をフレーム32の段部32a(図6
(b))にゴム系接着剤で固定支持している。振動板3
3の平面形状は、長辺が42mm、短辺が20mmの長
方形で、垂直高さは4mmである。振動板33の材質
は、ポリイミドフィルムを2500℃前後の高温熱処理
して得られるグラファイトフィルムであり、厚さは0.
075mmである。このグラファイトフィルムは剛性を
表す材料中の振動伝播速度(音速)が約10000m/
s以上もあり、アルミニウムやチタンが約5000m/
sであることから分かるように、非常に剛性の高い高音
域の再生に適した材質である。そして振動板33の長辺
側の両端部は両方の圧電素子31の表面に、エポキシ系
接着剤で取り付けられている。
【0035】このように構成された本発明の実施例3の
高音用スピーカの基本的な作用、効果は、実施例1のも
のと同様である。この実施例3の高音用スピーカは、実
施例1のものの効果に加えて、下記の効果を有してい
る:圧電素子31を実施例1の圧電素子1に比べより小
型にし、縦方向に複数個配列することにより、実施例1
の圧電素子1と同様な振動面積を維持しながら圧電素子
の横幅を狭くすることができる。その結果、実施例1の
高音用スピーカより優れた指向特性を得ることができ
る。また、圧電素子が小型であるほど共振周波数が高く
なるので、さらに超高音域まで再生音域を伸ばすことが
できる。
【0036】この実施例3の高音用スピーカでは、平面
を短辺方向に曲げて形成した円弧状屋根形の振動板33
を用いている。実施例1に用いた図1のドーム形振動板
3と違って、この実施例3の屋根型の振動板33は、成
形時に材料の伸びがほとんど発生しないので、振動板の
成形、製造が容易である。平面のシートを常温で曲げて
成形することもできるので、プレス成形に適さない様々
な材質の使用が可能になる。このため、振動板の材質の
選択範囲が広くなり、音圧周波数特性の調整や音質の調
整の自由度が大きくなる。
【0037】上記理由から本実施例3の高音用スピーカ
においては、振動板33の材質として、材料の伸びが小
さく剛性が非常に高く、一般的には成形が困難とされて
いるグラファイトフィルムを用いることができた。その
結果、実施例1に比べ一層超高音域まで再生音域を伸ば
すことが可能となった。
【0038】図8は、この実施例3の高音用スピーカの
音圧周波数特性と、その振動板だけを図11に示す第2
の従来例の高音用スピーカの振動板63に置き換えて作
った比較例の音圧周波数特性と比較して示すグラフであ
る。図8において、実線Aは実施例3の高音用スピーカ
の音圧周波数特性を示し、点線Bは比較例の音圧周波数
特性を示す。この比較例の高音用スピーカでは、図11
に示した従来の高音用スピーカの隣接して並置接合され
た2個の半円筒状曲面の振動板63を用い、その外辺部
をフレーム32に取り付けるとともに、2個の半円筒状
曲面の間の接合部を圧電素子31の中心線上に取り付け
ている。比較例の振動板63の材質はアルミニウムであ
り、外形は長辺が48mm、短辺が25mmであり、厚
さ0.02mmである。
【0039】図8から明らかなように、この実施例3の
高音用スピーカは、振動板63を用いた比較例のものに
比べ100kHzを越える超高域まで、はるかに高い音
圧レベルが得られ、高い能率で再生できることが解か
る。また、ピークディップも少なく優れた音圧周波数特
性が得られている。さらに低域の再生帯域も広くなって
いる。また、本実施例3の高音用スピーカは、振動板3
3の横幅が小さいので水平指向特性も良好である。
【0040】図8の音圧周波数特性は、2.45Vの入
力電圧を印加した時の、スピーカから測定距離1m離れ
た点での特性に相当するが、圧電素子31のインピーダ
ンスは非常に高いので実用上はこれよりも能率を高くす
ることができる。例えば、本実施例3の高音用スピーカ
を、一般的な動電型スピーカと同様に最低インピーダン
スを数オームに揃えるようにしながら昇圧トランスを用
いて駆動した場合、約88dBの出力音圧レベルを得る
ことができた。つまり、能率の高いスピーカシステムに
もマッチングするスーパツィータを実現することができ
る。また本実施例3では、小型の円形圧電素子、つまり
広く流通している汎用品を用いることができるので、高
音用スピーカを極めてローコストで提供できる。
【0041】以上説明したようにこの実施例3の高音用
スピーカは、ローコストながら、高い能率で一層超高音
域まで再生ができ、ピークディップの少ない優れた音圧
周波数特性と優れた指向特性をもつ、高音用スピーカを
実現できる。ところで、この実施例3では、振動板33
の短辺、つまり取り付け部幅を20mm、圧電素子31
の可動部の径を25mmとしたが、取り付け部幅に相当
する振動板の短辺をもっと小さくしても構わない。しか
し、振動板の短辺が小さくなりすぎると圧電素子の中心
付近が拘束される傾向があるので、圧電素子の可動部の
径に対する振動板の短辺の比率をあまり小さくするのは
好ましくない。
【0042】振動板の平面投影面積を等しくなるように
保ちながら、振動板の短径を小さくしていくと、振動板
の短辺Ldと、圧電素子の可動部の直径Lpとの関係
で、LdがLpの0.4倍未満になると、本実施例3の
Ld:Lpが0.8である場合に比較し能率が3dB程
度低くなった。本発明の特徴の一つである高い能率を確
保するためには、LdがLpの0.4倍以上であること
が望ましい。この関係は、圧電素子や振動板がその他の
形状であっても同様であった。
【0043】なお、実施例3では、振動板33の短辺方
向の断面形状を略半円弧状としたが、言うまでもなくそ
の他の形状とすることも可能である。例えば、図9にそ
の一例を示すが、逆V字状に直線的に折り曲げたような
屋根形とすることもできる。ただし一般的には、断面形
状を略円弧とする方が、圧電素子の振動が振動板全体に
スムーズに伝達され、かつ振動板自体の固有共振が発生
しにくいので、音圧周波数特性のピークディップが軽減
される。また、実施例3では、振動板33を平面を短辺
方向に曲げて形成した湾曲した屋根形とし、圧電素子3
1に対してその周辺部の長辺方向の両側部だけを取り付
けたが、振動板を実施例1及び2で説明したようなドー
ム形状またはその他の形状としたり、短径方向の両側も
取り付けるようにしてもよい。ただ、短辺方向の両側部
だけを取り付けて長辺方向の両側部を取り付けない場合
は、圧電素子からの振動が振動板全体に伝達しにくくな
り、また振動板の取り付け強度が低下したりするので好
ましくない。
【0044】また、実施例3では、振動板33を、2個
の圧電素子31に対して対称に取り付けたが、偏心させ
て取り付けることも可能である。その場合は圧電素子に
対する振動板取り付け部の位置が非対称になるので、圧
電素子からの振動伝達が分散化され、音圧周波数特性の
ピークディップが軽減される傾向がある。振動板の短辺
方向に偏心させて取り付けた場合は、片方の取り付け部
の位置は圧電振動板の中心に近づく。しかしもう片方は
逆に遠ざかるので、前述したLdがLpの0.4倍以上
とする望ましい関係を同様に保てば良い。
【0045】なお、本実施例3では、圧電素子31を円
形としたが、その他の形状の圧電素子を配列してももち
ろん構わない。また、本実施例3では、圧電素子31を
2個配列したが、もっと多くを配列すれば優れた水平指
向特性を保ちながら、能率をさらに向上させることがで
きる。また配列する各々の圧電素子どうしの間隔に関し
ては、一般的には接近させた方が優れた音圧周波数特性
が得られる。しかし、振動板の材質に内部損失の大きな
ものを用いると振動板の圧電素子に取り付けられていな
い部位の振動モードが大きく乱れることがないので、そ
の間隔を離すことも可能である。
【0046】実施例3では、振動板33の材質を、ポリ
イミドフィルムを2500゜C前後の高温熱処理して得
られるグラファイトフィルムとした。この材質は熱処理
条件を変えることで様々な物性を得ることができる特徴
もある。例えば、熱処理温度を上げたり、加熱時間を長
くするとグラファイト結晶の間に発泡が生じ、剛性は低
くなるが内部損失は大きくなる。ポリイミドフィルムを
振動板の材料とすることにより、熱処理時間や加熱時間
を調整してグラファイトフィルムの物性を変え、それに
よって所望の音圧周波数特性や音質を得ることができ
る。
【0047】図6(b)に示すように、本実施例3で
は、フレーム32が振動板33の長辺方向の周辺部を覆
う構造にしたが、これは振動板33の取り付け部の接着
剤が見えないように外観に注意を払ったためであり、そ
の他の形態としても構わないことは言うまでもない。
【0048】《実施例4》図10は、本発明の実施例4
の高音用スピーカの圧電振動子の裏面側から見た平面図
である。実施例4の高音用スピーカは、実施例3のもの
と用いる圧電素子の構成のみが異なるものである。した
がって、実施例3と同一部分には同一参照符号を付して
重複する説明は省略する。図10において、圧電素子5
1は、円形の金属基板51aの片面に薄い円盤状の圧電
体51bが結合されている。もう1つの圧電素子31
は、実施例3のものと同一である。フレーム52には、
圧電素子31、51それぞれの外形に対応した段部52
a、52bが設けられており、それぞれの段部52a、
52bにおいて圧電素子31、51の外周部がフレーム
2にに取り付けられている。振動板33は、実施例3の
ものと同一である。
【0049】圧電素子31の仕様は、実施例3で説明し
たのと同一であり、外径は27mmである。一方、圧電
素子51の外径、つまり金属基板51aの材質は真鍮で
あり、外径は20mm、厚さ0.2mmである。そして
圧電体51bの材質はチタン酸バリウムのセラミックで
あり、直径は15mm、厚さは0.2mmである。圧電
素子31の基本共振周波数は4.6kHz、圧電素子5
1の基本共振周波数は6.6kHzである。
【0050】このように構成された本発明の実施例4の
高音用スピーカの基本的な作用、効果は、実施例3で説
明したのと同様である。本実施例4では、実施例3の効
果に加えて、共振周波数の異なる2個の圧電素子を配列
したことにより、ピークディップが分散化されて一層優
れた音圧周波数特性が得られる。その理由は次の通りで
ある。圧電素子31と圧電素子51の2次、3次、そし
てもっと高次の共振周波数についても、それぞれの基本
共振周波数に略比例した周波数比となる。その結果、圧
電素子が一種類だけの場合に比べて、同じ周波数帯域内
の共振周波数の数がおよそ2倍になるからピークディッ
プが分散される。
【0051】以上説明したように本実施例4の高音用ス
ピーカは、ローコストに製造できながら、高い能率で一
層超高域まで再生ができ、さらに一層ピークディップの
少ない優れた音圧周波数特性と優れた指向特性をもつ、
高音用スピーカを実現できる。
【0052】なお、本実施例4では、圧電素子の直径を
変えて共振周波数を異ならせたが、その他様々な方法で
共振周波数を異ならせることができる。例えば、直径が
同じでも基板の材質や厚みを変える、あるいは同じ仕様
の圧電素子を用いながら両者の外周を支持固定する部分
の直径を変える、などの手段によっても共振周波数を変
えることができるからである。以上実施例1〜4で本発
明の高音用スピーカの構成について説明したが、本発明
は上述した実施例のみに限定されるものでない。例え
ば、振動板と圧電素子との組み合わせなどを変えて構成
することができるのは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】以上実施例で詳細に説明したように、本
発明の高音用スピーカは下記の諸効果を有している。す
なわち、正面形状が長径と短径を有し音を放射する方向
に凸状である振動板を備え、圧電素子の表面の非中心線
上の位置に前記振動板の少なくとも長径方向の周辺部の
両端を取り付けている。これにより、振動板の取り付け
部が圧電素子の振動モードに対して直交することがなく
なり、また振動板の取り付け部は振動板の周辺部である
ので、振動が抑制されることがなく、高い振動のレベル
が得られる。
【0054】本発明の高音用スピーカでは振動を抑制す
る方法をとっていないため、振動板の材質には剛性の高
いものを使用することができ、周辺部の広い範囲から振
動板に振動が伝達される。したがって、超高音域まで再
生ができる。振動板の取り付け部が圧電素子の広い範囲
にわたり、したがって取り付け位置が特定の点とはなら
ないので、振動板には圧電素子の各種振動モードが均一
に伝達されてピークディップの少ない優れた音圧周波数
特性が得られる。振動板は平面形状の横方向の幅を狭く
できるので、水平方向の優れた指向特性が得られる。振
動板は単一曲面の1個の振動板であるから、振動板の成
形が容易になるとともに、圧電素子に対する取り付けも
容易になる。このことにより、高音用スピーカの製造コ
ストを低減できる。その結果、ローコストながら、高い
能率で超高音域まで再生ができ、ピークディップの少な
い優れた音圧周波数特性と優れた指向特性をもつ高音用
スピーカを実現できる。
【0055】圧電素子を円形としたことにより、汎用品
の圧電素子を用いることができる。さらに、振動板の取
り付け部が節円モードの節と腹の両方を包含するように
位置関係になるため、音圧周波数特性のピークディップ
が軽減される。圧電素子を縦方向に複数個配列し、前記
複数個の圧電素子に対して1個の振動板を取り付けたこ
とにより、振動板の横幅を狭くすることができる。した
がって、さらに優れた指向特性を得ることができる。
【0056】圧電素子が小型であるほど共振周波数が高
くなるので、さらに超高域まで再生音域を伸ばすことが
できる。共振周波数の異なる圧電素子を配列することに
より、ピークディップが分散化され、音圧周波数特性の
一層優れた高音用スピーカを実現できる。振動板の形状
を、平面を短径方向に曲げて成形した屋根形とすること
により、振動板の成形時に材料の伸びがほとんど発生し
ないので、振動板の成形、製造が容易になる。あるいは
平面のシートを常温で曲げて成形することもできる。
【0057】振動板の短辺方向の断面形状を略半円弧状
とすることにより、圧電素子の振動が振動板全体にスム
ーズに伝達される。したがって、振動板自体の固有共振
が発生しにくいので、音圧周波数特性のピークディップ
が軽減される。振動板の材料を、高分子フィルムを高温
で熱処理して得られるグラファイトフィルムとすること
により、材料中の振動伝播速度つまり剛性が非常に高く
なる。その結果、一層超高域まで再生帯域が伸びた高音
用スピーカを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施例1の高音用スピーカの振
動板側から見た平面図、(b)図1(a)の中央部にお
ける断面図、(c)圧電素子側から見た平面図。
【図2】円板の振動モードを示す図。
【図3】直径方向に振動板を取り付けた時の圧電素子の
振動モードとの位置関係を示す図。
【図4】実施例1の振動板と圧電素子の振動モードとの
位置関係を示す図。
【図5】(a)本発明の実施例2の高音用スピーカの振
動板側から見た平面図、(b)図5の(a)の中央部に
おける断面図、(c)圧電素子側から見た平面図。
【図6】(a)本発明の実施例3の高音用スピーカの振
動板側から見た平面図、(b)図6の(a)の中央部に
おける断面図、(c)圧電素子側から見た平面図。
【図7】本発明の実施例3の高音用スピーカの振動板の
斜視図。
【図8】本発明の実施例3の高音用スピーカと試作した
比較例との音圧周波数特性グラフ。
【図9】本発明の実施例3の高音用スピーカの他の実施
形態の振動板の斜視図。
【図10】本発明の実施例4の高音用スピーカの圧電素
子側から見た平面図。
【図11】従来の高音用スピーカの斜視図。
【図12】従来の他の高音用スピーカの断面図。
【符号の説明】
1、11、21、31、51 圧電素子 1a、21a、31a、51a 金属基板 1b、21b、31b、51b 圧電体 2、22、32、52 フレーム 2a、22a、32a、52a、52b 段部 2b、22b、32b 庇部 3、23、33、43、53 振動板 3a 振動板取り付け部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基板に圧電体を結合して形成した圧
    電素子、 前記圧電素子の外周部を支持するフレーム、及び前記圧
    電素子に取り付けた平面形状が長径と短径を有し、かつ
    音を放射する方向に凸形の振動板を備え、 前記圧電素子の表面の非中心線上の位置に、前記振動板
    の周辺部の長径方向の少なくとも両端部を取り付けると
    ともに、 前記振動板の短径Ldと前記圧電素子の可動部の短径L
    pとが、 Ld≧Lp×0.4 の関係を有することを特徴とする高音用スピーカ。
  2. 【請求項2】 前記圧電素子の平面形状を円形としたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の高音用スピーカ。
  3. 【請求項3】 前記圧電素子を複数個配列し、前記複数
    個の圧電素子に対して1個の振動板を取り付けたことを
    特徴とする請求項1又は2に記載の高音用スピーカ。
  4. 【請求項4】 固有共振周波数の異なる圧電素子を配列
    したことを特徴とする請求項3に記載の高音用スピー
    カ。
  5. 【請求項5】 前記振動板の短径方向の断面形状が逆V
    字状の屋根形であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の高音用スピーカ。
  6. 【請求項6】 前記振動板の短径方向の断面形状が略半
    円弧形(蒲鉾の外皮の形)であることを特徴とする請求
    項1〜4に記載の高音用スピーカ。
  7. 【請求項7】 前記振動板の材料が、高分子フィルムを
    高温で熱処理して得られるグラファイトフィルムである
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高音
    用スピーカ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015170921A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 株式会社オーディオテクニカ コンデンサヘッドホンユニット
KR20200098307A (ko) * 2019-02-12 2020-08-20 국방과학연구소 곡면형 심벌 트랜스듀서

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