JP2003298236A - 多層配線板ならびにその製造方法および製造装置 - Google Patents

多層配線板ならびにその製造方法および製造装置

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JP2003298236A JP2002094536A JP2002094536A JP2003298236A JP 2003298236 A JP2003298236 A JP 2003298236A JP 2002094536 A JP2002094536 A JP 2002094536A JP 2002094536 A JP2002094536 A JP 2002094536A JP 2003298236 A JP2003298236 A JP 2003298236A
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憲一 山本
Munekazu Nishihara
宗和 西原
Takaaki Higashida
隆亮 東田
Takafumi Okuma
崇文 大熊
Daisuke Suetsugu
大輔 末次
Seiji Nakajima
誠二 中嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高密度な回路設計を可能にする多層配線
板を提供する。 【解決手段】 多層配線板20において、第1の配線パ
ターン3aおよび第2の配線パターン3cが表面に各々
形成された第1の絶縁層1および第2の絶縁層2を、第
1の配線パターン3aおよび第2の配線パターン3cが
隔間して対向するように配置し、第1の配線パターン3
aと第2の配線パターン3cとを電気的に接続するよう
に、第1の配線パターン3aおよび第2の配線パターン
3cの間にバンプ4を設け、第1の絶縁層1および第2
の絶縁層2の間に接着層5を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層配線板、例えば
携帯電話などの電子機器に適用され得る多層配線板なら
びにその製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば携帯電話などの電子機器の
薄型化または小型化、および高性能化を図るために、こ
れに内蔵される電子回路基板のより一層の高密度化が求
められている。このような要請に応えるべく、3層また
はそれ以上の配線パターンが絶縁層を挟んで配置された
多層配線板が電子回路基板として多く利用されている。
【0003】このような従来の多層配線板の一例とし
て、標準的な4層タイプの多層配線板およびその製造方
法を図面を参照して以下に説明する。
【0004】図5に示すように、従来の多層配線板60
では、4層の配線パターン61a〜61dが、3つの絶
縁層62a〜62cをそれぞれ間に挟んで配置される。
絶縁層62a〜62cは、いわゆるプリプレグを用いて
形成され、プリプレグには、ガラスクロスにエポキシ樹
脂を含浸させ、これを乾燥させて成るものが一般的に用
いられる。他方、配線パターン61a〜61dは、一般
的に銅から成る。多層配線板60には、多層配線板全体
を貫通するスルーホール63が設けられ、スルーホール
63の壁面は、一般的に銅めっき64により被覆され
る。銅めっき64は、配線パターン61a〜61dと必
要に応じて接続される(図5には、銅めっき64を、こ
れら配線パターン61a〜61dの全てと接続して示
す)。このようにスルーホール63の壁面を銅めっき6
4で被覆することにより、銅めっき64を介して各層の
配線パターン61a〜61dの導通が必要に応じて確保
される。
【0005】この従来の多層配線板60は、次のように
して製造される。まず、絶縁層62aを形成するための
材料としてプリプレグを用い(以下、絶縁層62aと同
じ参照符号にてプリプレグを示す)、このプリプレグ6
2aの両面に銅箔を張り付ける。その後、例えば、ドラ
イフィルムをマスクとして用いる一般的なエッチング法
により、銅箔をパターニングして銅から成る配線パター
ン61aおよび61bをプリプレグ62aの両面に形成
して両面板を得る。
【0006】他方、絶縁層62bおよび62cを形成す
るための材料として、同じくプリプレグ(以下、絶縁層
62bおよび62cと同じ参照符号にて示す)を用い、
これらプリプレグ62bおよび62cの片面にのみ銅箔
を各々張り付けた片面板を準備する。これら片面板にそ
れぞれ張り付けられた銅箔が外側表面に位置するように
して(換言すれば、両面板の配線パターン61aおよび
61bが片面板のプリプレグ62bおよび62cと接触
するようにして)、上記により得られた両面板を片面板
で挟んだ積層体(以下、前駆体と言う)を得る。
【0007】次いで、1対の互いに平行な平板を備える
熱圧着装置を用い、上記により得られた前駆体を平板間
に配置する。これら平板には、一般的には複数本のカー
トリッジヒーターが内蔵される。カートリッジヒーター
により平板を加熱して所定の温度とした状態で、一方の
平板を他方の平板に対して押圧して、所定の押圧力およ
び時間にて前駆体を機械的に熱圧着する。このような熱
圧着により、プリプレグ62a〜62cに含まれるエポ
キシ樹脂が熱硬化して、それぞれ絶縁層62a〜62c
となる。このとき、プリプレグ62a〜62cを構成し
ていたエポキシ樹脂は、各プリプレグ62a〜62c間
をつないで熱硬化するので、得られた絶縁層62a〜6
2cは互いに接着されており、この結果、前駆体が一体
化される。
【0008】このようにして一体化された前駆体の所定
の箇所に、例えばドリル、パンチングマシンまたはレー
ザーなどを用いてスルーホール63を形成する。その
後、前駆体の上下の外側表面に位置する銅箔(これは、
上記の片面板に予め各々設けたものである)を電極とし
て利用して、スルーホール63の壁面に銅めっき64を
電気的に施す。
【0009】この銅めっき64が、続く後工程にて用い
られるエッチング液と接触しないように、銅めっき64
で壁面が覆われたスルーホール63に、紫外線硬化性イ
ンクなどを充填し、これにより、いわゆる穴埋めを行
う。その後、例えば、ドライフィルムをマスクとして用
いる一般的なエッチング法により、前駆体の上下の外側
表面にある銅箔をパターニングして、銅から成る配線パ
ターン61cおよび61dをそれぞれ形成する。
【0010】その後、得られた前駆体を苛性カリウムな
どに浸漬して、スルーホール63に穴埋めされた紫外線
硬化性インクを除去する。これにより、図5に示すよう
な多層配線板60が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の多層配線板では、各層の配線パターンの導
通を確保するために、基板全体を貫通するスルーホール
を設け、この壁面にめっきを施す必要がある。このよう
なスルーホールは、層間の導通が必要でない配線パター
ンが存在していても、これに拘りなく基板全体を貫通す
ることとなるため、回路設計の自由度が制限され、多層
配線板の更なる高密度化を阻害していた。
【0012】また、従来の製造方法では、多層配線板の
前駆体を一体化するために、エポキシ樹脂の熱硬化を利
用しており、このような製造方法上、絶縁層として用い
ることができる材料に対する制約があった。絶縁層を形
成する材料には、殆どの場合、エポキシ樹脂を含浸させ
たプリプレグが用いられ、絶縁層に他の材料を用いるこ
とは実際的には困難であった。
【0013】更に、配線パターンの一部および/または
配線パターン間の導通の一部に不良が生じていても、多
層配線板を完成した後にしか品質検査を実施できないた
め、このような品質検査により不良が見つかった場合に
は、多層配線板全体が不良品として扱われることにな
る。このため、従来の多層配線板の製造方法ではロスコ
ストが大きいという難点もあった。
【0014】これら問題点のうちの1つを解消し、多層
配線板の高密度化を実現するために、近年では、上述の
ような従来の標準的な多層配線板において、配線パター
ン層間の導通を得るために基板全体を貫通するスルーホ
ールの壁面をめっきすることに代えて、あるいはこれに
加えて、IVH(Inner Via Hole)構造を利用したもの
も用いられて来ている。このような多層配線板は、一般
にビルドアップ基板として知られている。
【0015】より詳細には、ビルドアップ基板は、上述
のような標準的な多層配線板であって、スルーホールに
導電性ペーストを充填したものをコア層とし、このコア
層の片面または両面に、配線パターンの層と絶縁層とが
交互に積層されたビルドアップ層が設けられた構造を有
する。ここで、ビルドアップ基板の内部に埋め込まれ、
導電性ペーストが充填されたスルーホールがIVHであ
る。このようなビルドアップ基板によれば、導電性ペー
ストを介して配線パターンの所望の層間のみの導通が確
保され、図5を参照して上述した標準的な多層配線板よ
りも回路設計の自由度が向上する。しかしながら、この
ようなビルドアップ基板によっても、多層配線板の高密
度化を十分に達成することはできない。
【0016】また、ビルドアップ基板は、図5に示すよ
うな標準的な多層配線板を上述のようにして製造し、こ
れに設けられたスルーホールに導電性のペーストをスク
リーン印刷法により充填することによりコア層を得、そ
の後、このコア層の片面または両面にビルドアップ層を
設けることによって製造される。代表的には、ビルドア
ップ層は、上記により得られたコア層の片面または両面
に、エポキシ樹脂をコーティングした銅箔を、該銅箔が
外側表面に位置するようにして貼り付け、これを熱圧着
することによりエポキシ樹脂を熱硬化させてコア層に接
着し、その後、表面の銅箔をエッチング法によりパター
ニングして銅から成る配線パターンを形成する。このよ
うな手順を順次繰り返すことにより、ビルドアップ層が
積層形成される。このようなビルドアップ基板の製造方
法においても、エポキシ樹脂の熱硬化を利用しており、
このような製造方法上、絶縁層の材料としてエポキシ樹
脂しか用いることができず、絶縁層に対する材料選択の
自由度が制限されるという問題が存在していた。
【0017】これに加えて、ビルドアップ基板の品質検
査においても、少なくともコア層を一旦形成してから品
質検査を実施する必要があるため、ロスコストが大きい
という上述の難点も依然として解消されない。
【0018】本発明は、上記のような従来の課題を解決
すべくなされたものであり、本発明の目的は、より高密
度な回路設計を少なくとも可能にする多層配線板ならび
にその製造方法および製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの要旨によ
れば、第1の配線パターンが表面に形成された第1の絶
縁層と、第2の配線パターンが表面に形成された第2の
絶縁層とが、第1および第2の配線パターンが隔間して
互いに対向するように配置されており、第1の配線パタ
ーンと第2の配線パターンとを電気的に接続するよう
に、第1および第2の配線パターンの間にバンプが配設
され、また、第1および第2の絶縁層の間に接着層が配
設された多層配線板が提供される。
【0020】このような多層配線板によれば、従来の多
層配線板のように基板全体を貫通するスルーホールおよ
び/またはIVHを設けることなく、第1および第2の
絶縁層間に位置するバンプにより配線パターンの導通を
とることが可能である。このようなバンプを設ける位置
は任意に選択することができるので、配線パターンの所
望の箇所の導通を所望の位置でとることができる。
【0021】よって、本発明の多層配線板によれば、回
路設計の自由度を従来の多層配線板よりも向上させるこ
とができ、この結果、より高密度な回路設計が可能とな
る。よって、同程度の集積度の多層配線板を作製する場
合には、多層配線板のサイズを従来よりも小さくするこ
とが可能となる。更に、本発明の多層配線板によれば、
従来の多層配線板よりも短い経路で電気信号を伝達する
ような回路設計が可能となり、この結果、配線パターン
を通って伝達される電気信号への外乱による影響を低減
することもできる。
【0022】本発明の多層配線板において、第1の絶縁
層は、一般的には、第1の配線パターンが形成された表
面と反対側の表面に別の配線パターンを備えているが、
本発明は必ずしもこれに限定されず、該反対側の表面に
別の配線パターンを備えていなくてもよく、また、グラ
ウンドと呼ばれるような導電層が形成されていてもよ
い。このことは、第2の絶縁層についても同様である。
【0023】また、本発明の多層配線板において、接着
層は第1および第2の絶縁層間を接着するものである。
接着層は、好ましくはは第1および第2の絶縁層の間の
空間であって、第1および第2の配線パターンの間に位
置するバンプを除く部分を満たすが、本発明は必ずしも
これに限定されず、例えば、不可避的に混入する気泡を
含んでいてもよい。
【0024】更に、本発明の多層配線板において、接着
層を介して接着される絶縁層(より詳細には、配線パタ
ーンを備える絶縁層)は少なくとも2つあればよく、も
ちろん、3つまたはそれ以上の絶縁層を各々接着剤によ
り接着することができる。
【0025】尚、本発明において「バンプ」とは、配線
パターンの層間導通を図る目的で配線パターンの所定の
箇所上に設けられる突起物を言う。バンプには、いわゆ
るスタッドバンプ、ボールバンプ、マッシュルームバン
プが含まれ、スタッドバンプとすることが好ましい。バ
ンプの材料は導電性材料、より詳細には金属、例えば
金、アルミニウム、銅から成り得、好ましくは金から成
る。
【0026】また、本発明の多層配線板によれば、エポ
キシ樹脂の熱硬化を利用することなく、接着層により多
層配線板を一体化することができるので、絶縁層の材料
に対する制約が緩和され、種々の材料を用いることがで
き、材料選択の幅を従来の標準的な多層配線板およびビ
ルドアップ基板よりも広げることが可能となるという利
点もある。
【0027】より詳細には、本発明の多層配線板は、第
1および第2の絶縁層として、当該技術分野において既
知の可撓性を有する基板(可撓性基板)を用いる場合に
適する。具体的には、第1および第2の絶縁層には、例
えばポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフロロ
エチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノー
ル樹脂からなる群からそれぞれ独立して選択される材料
から成るものを用いることができる。
【0028】しかし、本発明はこれに限定されず、第1
および第2の絶縁層として、当該技術分野において既知
の硬質基板を用いることももちろん可能である。具体的
には、第1および第2の絶縁層には一般的なプリプレ
グ、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリテトラフロロエチレンまた
はアクリル樹脂などを、ガラスクロスもしくはアラミド
クロス(これらはいずれも織布および不織布の双方を含
む)または紙などに含浸させたものを用いることができ
る。
【0029】第1および第2の絶縁層の材料はそれぞれ
独立して選択され、これら絶縁層は同じ材料から成って
いても、異なる材料から成っていてもよい。また、多層
配線板が3つ以上の絶縁層を有する場合も同様である。
【0030】また、本発明の別の要旨によれば、第1の
絶縁層の表面に形成された第1の配線パターン上にバン
プを設け;第2の絶縁層の表面に形成された第2の配線
パターンを覆うように、第2の絶縁層上に接着剤を供給
した上で;第1および第2の配線パターンが互いに対向
するように、第1および第2の絶縁層を積層して多層配
線板の前駆体を得;多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下
にて押圧することによって、第1の絶縁層と第2の絶縁
層とを接着剤で接着しながら、第1の配線パターンと第
2の配線パターンとをバンプにより電気的に接続し、こ
れにより多層配線板を製造する方法が提供される。
【0031】このような本発明の多層配線板の製造方法
は、上述の本発明の多層配線板を得るために好適に用い
られ、本発明の多層配線板によって得られる効果と同様
の効果を奏し得る。
【0032】更に、本発明の多層配線板の製造方法にお
いて、少なくとも2つの絶縁層が接着されるが、特に、
3つまたはそれ以上の絶縁層を各々接着剤により接着す
る際には、加熱雰囲気下における押圧は、接着剤を介し
て全ての絶縁層を積層した後に実施してもよいが、いく
つかの絶縁層ごとに分けて実施して、多層配線板を段階
的に作製してもよい。
【0033】多層配線板を段階的に作製する場合、目的
の多層配線板の一部をひとまず作製し、この段階で配線
パターン間の導通が確保されているかどうかの品質検査
を実施することができる。例えば、2つの絶縁層を接着
した後に得られた積層体の品質検査をし、次いでこれに
新たな絶縁層を接着する毎に品質検査をすることが可能
である。配線パターンの一部および/または配線パター
ン間の導通の一部に不良が生じている場合には、従来の
製造方法では、多層配線板を完成した後にしか品質検査
を実施することができなかったが、本発明によれば多層
配線板を完成する前にその一部分について品質検査を実
施できるので、不良が存在していても多層配線板を完成
する前の段階で発見することができる。よって、多層配
線板全体が不良品となることを未然に防止でき、ロスコ
ストを従来よりも削減することが可能となる。
【0034】本発明の多層配線板の製造方法において用
いられる接着剤は、好ましくはペースト状または液状で
あり、例えばディスペンス法または印刷法などにより第
2の絶縁層上に供給(または塗布)され得る。本発明に
おいて、多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧す
ることにより、接着剤は第1の絶縁層と第2の絶縁層と
を接着する接着層となる。
【0035】接着剤には当該技術分野において既知の任
意の適切な接着剤を用いることができる。例えば、特に
限定されるものではないが、いわゆる蒸発乾燥型の接着
剤および/または熱硬化型の接着剤を用いることができ
る。
【0036】蒸発乾燥型の接着剤は、主剤である樹脂と
溶剤とを含み、樹脂が溶剤に溶けて成る。このような接
着剤を用いる場合、接着剤中の溶剤を一般的には加熱に
より蒸発させて、樹脂(主剤)濃度を相対的に高めて実
質的に樹脂のみとし、この樹脂により第1および第2の
絶縁層間が接着される。
【0037】具体的には、蒸発乾燥型の接着剤に含まれ
る樹脂(主剤)には、溶剤蒸発後に絶縁層を接着し得る
樹脂であれば特に限定されないが、例えばポリイミド系
樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリテトラフロロエチレン、アクリル樹脂ま
たはエポキシ樹脂などを用いることができる。また、溶
剤には、樹脂を溶解させることができ、樹脂に比べて十
分に高い蒸発速度を有するものであれば特に限定されな
いが、例えばノルマルメチルピロリドンまたはγブチロ
ラクトンなどを用いることができる。尚、このような蒸
発乾燥型の接着剤は、主剤である樹脂と溶剤に加えて他
の微量成分を含んでいてよく、これらの混合割合は当業
者であれば適切に選択できる。
【0038】このような蒸発乾燥型の接着剤を用いる場
合、本発明の製造方法における加熱雰囲気の温度は、接
着剤に含まれる実質的に全ての溶剤を蒸発させて除去で
きる程度の温度、例えば溶剤の沸点よりも約30〜80
℃高い温度、具体的には、沸点が約120℃の溶剤の場
合には約150〜200℃の温度とすることが好まし
い。
【0039】他方、熱硬化型の接着剤は主剤である熱硬
化性樹脂を含み、必要に応じて硬化剤および/または溶
剤を更に含み得る。硬化剤は、熱硬化性樹脂に分散した
状態とされ得る。このような接着剤を用いる場合、加熱
により熱硬化した樹脂により第1および第2の絶縁層間
が接着される。硬化剤を含む場合には、加熱により硬化
剤を溶融させ、熱硬化性樹脂の熱硬化を促進できる。
【0040】具体的には、熱硬化型の接着剤に含まれる
熱硬化性樹脂(主剤)には、熱硬化後に絶縁層を接着し
得る樹脂であれば特に限定されないが、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
テトラフロロエチレンアクリル樹脂またはエポキシ樹脂
などを用いることができる。また、硬化剤は、用いる熱
硬化性樹脂に応じて適切に選択され得るが、オルトフタ
ル酸無水物またはジシアンジアミドなどを用いることが
できる。尚、このような熱硬化型の接着剤もまた、主剤
である熱硬化性樹脂(ならびに必要に応じて硬化剤およ
び/または溶剤)に加えて他の微量成分を含んでいてよ
く、これらの混合割合は当業者であれば適切に選択でき
るであろう。
【0041】このような熱硬化型の接着剤を用いる場
合、本発明の製造方法における加熱雰囲気の温度は、硬
化剤を溶融させて熱硬化性樹脂の硬化を促進し得る程度
の温度、例えば、熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高く、
かつ、硬化剤の溶融温度よりも約20〜80℃高い温
度、具体的には溶融温度が約100℃の場合には約12
0〜180℃の温度とすることが好ましい。尚、硬化性
樹脂の硬化温度とは、市販の熱硬化性樹脂のメーカー公
称温度を言うものとする。
【0042】しかし、本発明はこれに限定されず、任意
の適切な接着剤を用いることができることに留意される
べきである。当業者であれば、用いる第1および第2の
絶縁層の材料等に応じて適切な接着剤を容易に選択する
ことが可能であろう。
【0043】また、本発明の多層配線板の製造方法にお
いては、多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧す
ることにより、第1の配線パターン上に設けられたバン
プが、バンプと第2の配線パターンとの間に存在する接
着剤(または接着層)を排除しつつ第2の配線パターン
に近づき、第2の配線パターンと接触する。このように
して、第1の配線パターンと第2の配線パターンとがバ
ンプにより電気的に接続される。接着剤(または接着
層)を排除しつつ第2の配線パターンに近づくために
は、バンプの先端が鋭角であることが好ましく、上述の
ようなバンプの種類のうちでも、スタッドバンプを用い
ることが好ましい。
【0044】この工程において、更なる押圧により第1
および第2の配線パターン間の隙間が狭められてバンプ
自身が変形し、バンプと第2の配線パターンとの間の接
触面積を増大させ、よってこれらの間の接続抵抗をより
小さくすることが好ましい。このような観点から、バン
プの材料には、上述のような導電性材料のうちでも、外
力によりある程度変形可能な材料、例えば金を用いるこ
とが好ましい。
【0045】本発明の多層配線板の製造方法において、
多層配線板の前駆体を押圧する押圧力は、用いるバンプ
の材料や、バンプと接触する配線パターンへの影響を考
慮して、当業者であれば適切に選択することができるで
あろう。
【0046】尚、本発明の多層配線板の製造方法におい
ては、接着すべき一方の絶縁層(より詳細にはその表面
に形成された配線パターン上)にバンプを形成し、他方
の絶縁層に(より詳細にはその表面に形成された配線パ
ターンを覆うように)接着剤を供給するものとしたが、
接着剤により絶縁層を接着し、バンプにより配線パター
ン間の導通をとるという目的を達成し得る限り、種々の
改変が成され得ることは当業者には容易に理解されよ
う。例えば、一方の絶縁層にバンプを形成すると共に接
着剤を供給し、他方の絶縁層にも接着剤を供給してもよ
く、あるいは、一方の絶縁層にバンプを形成すると共に
接着剤を供給し、他方の絶縁層には接着剤を供給しなく
てもよい。
【0047】また、本発明の別の要旨によれば、加熱雰
囲気を有するハウジングと;ハウジングの内部にて互い
に隔間して配置される1対のローラーであって、ローラ
ーの間の隙間を多層配線板の前駆体が通過して押圧され
る1対のローラーとを備える、多層配線板の製造装置
(本明細書において、ローラー式の熱圧着装置とも言
う)が提供される。
【0048】従来、多層配線板を熱圧着するためには1
対の平行平板を備える、平行平板式の熱圧着装置が利用
されている。このような熱圧着装置では、多層配線板の
前駆体を平板間に配置し、少なくとも一方の平板を上下
方向に動かして前駆体の絶縁層間を熱圧着して一体化さ
せ、その後、得られた前駆体を平板上から装置外部へ取
り出す必要がある。これに対して、本発明の多層配線板
の製造装置(またはローラー式の熱圧着装置)によれ
ば、ローラーを用いて前駆体を熱圧着しているので、前
駆体を連続的に搬送することができる。このため、1つ
の製品を製造するために必要な装置占有時間を従来より
も短縮することができ、よって、多層配線板の製造効率
を向上させ、結果として製造コストを低下させることが
できる。
【0049】図5を参照して上述したような従来の標準
的な多層配線板を製造するには、固体であるプリプレグ
を熱圧着して絶縁層間を接着するために高温高圧を要す
る。このような条件下でローラー式の熱圧着装置を用い
ると、多層配線板の前駆体に局所的押圧力が加わり、最
終的に得られる多層配線板が折れ曲がった状態となる
(または反る)ことがある。従って、ローラー式の熱圧
着装置を用いることは適さず、多層配線板の前駆体を一
様に押圧することができる、平行平板式の熱圧着装置を
用いる必要があった。
【0050】これに対して、本発明の多層配線板を製造
するためには、液状またはペースト状である接着剤を用
いて、絶縁層間を接着層により接着しているので、多層
配線板の前駆体に加えるべき圧力をより小さくでき、よ
って、ローラー式の熱圧着装置を用いても上記のような
折れ曲がりまたは反りを生じることがない。従って、本
発明の製造装置は、上述のような本発明の多層配線板の
製造方法の実施、より詳細には多層配線板の前駆体を加
熱雰囲気下にて押圧するために好適に利用され得る。し
かし、本発明の多層配線板の製造方法は、このような本
発明のローラー式の熱圧着装置のみならず、他の装置、
例えば従来の平行平板式の熱圧着装置と実質的に同様の
装置を用いても実施され得ることに留意されるべきであ
る。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明の1つの実施形態について
図面を参照しながら以下に詳述する。図1は、本実施形
態における多層配線板の概略断面図である。
【0052】図1に示すように、本実施形態の多層配線
板20においては、絶縁層1(第1の絶縁層)と絶縁層
2(第2の絶縁層)とが、これらの間に位置する接着層
5を挟んで配置される。絶縁層1の両表面には配線パタ
ーン3aおよび3bが形成され、絶縁層2の両表面には
配線パターン3cおよび3dが形成されている。絶縁層
1および2は、配線パターン3a(第1の配線パター
ン)および配線パターン3c(第2の配線パターン)が
隔間して対向するように配置される。この配線パターン
3aおよび3cは、これらの間に位置するスタッドバン
プ4を介して電気的に接続されている。
【0053】スタッドバンプ4は、上述のような導電性
材料、例えば金またはアルミニウムなどから成り得る。
尚、スタッドバンプに代えて、上述のような他の種類の
バンプを用いることもできることに留意されたい。
【0054】絶縁層1および2には、上述のような当該
技術分野において既知の任意の適切な可撓性基板または
硬質基板を用い得るが、例えばポリイミド基板のような
可撓性基板を用い得る。
【0055】配線パターン3a〜3dは、特に限定され
ないが、例えば、いずれも銅から成り得る。配線パター
ン3aと3bおよび配線パターン3cと3dは、それぞ
れ絶縁層1および2を貫通するスルーホールに充填され
た導電材料を介して部分的に接続されるものとして図示
するが(配線パターン3a〜3dと同じく、斜線を付し
て示す)、このような構造は本発明に必ずしも必要でな
いことに留意されるべきである。
【0056】接着層5は、後述する接着剤に由来するも
のであり、接着剤には上述のような蒸発乾燥型または熱
硬化型の接着剤を用い得る。具体的には、接着層5の材
料としては、例えば実質的にポリイミド系樹脂から成る
材料が挙げられる。
【0057】次に、このような多層配線板20の製造方
法について詳述する。図2および図3は、多層配線板2
0の製造方法を説明するための概略工程図である。
【0058】まず、図2(a)に示すような、厚さ約1
2〜125μm、例えば約25μmのポリイミドフィル
ムなどの絶縁層1の両表面に、高さ約5〜36μm、例
えば約18μmの配線パターン3aおよび3bが形成さ
れた両面基板を準備する。このような両面基板は当該技
術分野において既知であるが、例えば、ドリル、パンチ
ングマシンまたはレーザーなどを用いてポリイミドフィ
ルム(絶縁層)1の所定の箇所に、直径約150〜30
0μm、例えば約250μmのスルーホールを形成し、
次いでこのスルーホールに導電性ペースト(例えば銀ペ
ースト)をスクリーン印刷法などにより充填し、得られ
た基板の両表面に銅箔を、例えば熱圧着により張り付
け、その後、エッチング法などにより銅箔をパターンニ
ングして配線パターン3aおよび3bを形成することに
より得ることができる。
【0059】次に、この両面基板の配線パターン3aの
所定の箇所上に、スタッドバンプ4’(変形前のスタッ
ドバンプ)を形成する。このスタッドバンプ4’は、い
わゆるボールボンディング法により形成することができ
る。具体的には、例えば金またはアルミニウムなどから
成る金属細線(図示せず)を用い、その近傍に電極を配
置して、金属細線と電極との間に約2000V程度の高
電圧を印加することにより、放電を発生させて、金属細
線の先端を溶融させる。金属細線の先端には、溶融した
金属から成る球状部が形成される。金属細線に超音波を
印加しながら、金属細線の球状部を、スタッドバンプ
4’を形成すべき配線パターン3a上の所望の位置へと
加圧することによって、球状部を形成している金属を配
線パターン3aを構成している金属へと金属拡散させ
て、該球状部を配線パターン3aの所望の位置に接合で
きる。その後、金属細線を配線パターン3aから引き離
すことにより、略円錐形状のスタッドバンプ4’を形成
することができる。
【0060】スタッドバンプ4’の高さは、スタッドバ
ンプ4’の形成の際の球状部の加圧力を変化させること
によってある程度調節可能であり、配線パターン3aお
よび3cの間の目的の距離よりも大きい限り特に限定さ
れないが、約40〜100μm、例えば約80μmとし
得る。また、スタッドバンプ4’の配線パターン3aと
の接触部は、例えば略円形状であり得る。この場合、接
触部の直径は金属細線の直径に対応し、約30〜100
μmとし得、例えば直径約25μmの金から成るワイヤ
を金属細線として用いる場合には約70μmとし得る。
【0061】他方、図3(a)に示すような、ポリイミ
ドから成る絶縁層2の両表面に配線パターン3cおよび
3dが形成された別の両面基板を準備する。この両面基
板は、図2(a)に示すものと同様にして得られるので
詳細は省略する。
【0062】次いで、図3(a)に示す両面基板の上
に、より詳細には絶縁層2の上に配線パターン3cを覆
うようにして、ペースト状の接着剤5’をディスペンス
法および印刷法などにより塗布する。接着剤5’の塗布
厚さは、絶縁層1および2の間の目的の距離よりも大き
い限り特に限定されないが、約50〜200μm、例え
ば約100μmとし得る。
【0063】接着剤5’には上述のような蒸発乾燥型お
よび熱硬化型のいずれの接着剤を用いてもよいが、例え
ば、主剤であるポリイミド系樹脂が、溶剤であるノルマ
ルメチルピロリドンに約50重量%(全体基準)の割合
で溶けて成る蒸発乾燥型の接着剤を用い得る。
【0064】そして、以上のようにして得られた図3
(b)に示す基板と図2(b)に示す基板とを、スタッ
ドバンプ4’が設けられた配線パターン3aと接着剤
5’で覆われた配線パターン3cとが対向するようにし
て、互いに適切に位置合わせしつつ重ね合わせて、図3
(c)に示すような多層配線板の前駆体20’を得る。
このとき、接着剤5’の側部は周囲雰囲気に対して露出
している。
【0065】その後、多層配線板の前駆体20’を、図
4に示すローラー式熱圧着装置30に入れる。ローラー
式熱圧着装置30は、本発明の製造装置の1つの実施形
態におけるものであり、1対のローラー17aおよび1
7b、ヒーター12を備える送風機13がハウジング1
1の内部に設置されて構成されている。1対のローラー
17aおよび17bは互いに隔間して配置され、これら
の隔間距離は、例えばローラー17aおよび17bの少
なくとも一方をこれらの軸を含む面内で移動(例えば上
下動)させることにより、調節可能であることが好まし
い。ハウジング11は、ヒーター12を用いて加熱され
て送風機13から供給される熱風(例えば空気)をある
程度保持することができる。尚、ハウジング11は、加
熱雰囲気を有し得る限り、このような送風機13を内部
に備えていなくてもよい。ハウジング11は入口15お
よび出口16を有し、図中に点線矢印にて示す方向に回
転するコンベヤ19aおよび19bを備える。コンベヤ
19aおよび19bは、入口15から導入される多層配
線板の前駆体20’を搬送して1対のローラー17aお
よび17bの隙間に通し、出口16へと送り出すことが
できるように配置されるが、このようなコンベヤ19a
および19bは必ずしも本発明に必要ではないことに留
意されるべきである。また、コンベヤ19aおよび19
bに代えて、多層配線板の前駆体をローラー17aおよ
び17bの隙間を機械的に通して取り出すことが可能な
他の搬送手段を用いてもよい。
【0066】ローラー式の熱圧着装置30の内部の雰囲
気は、ヒーター12を備える送風機13を用いて熱風を
流す(熱風の流れを図中に実線矢印にて模式的に示す)
ことにより、接着剤5’のタイプおよび材料等を考慮し
た所定の温度、例えばポリイミド系樹脂(主剤)がノル
マルメチルピロリドン(溶剤)に溶けて成る蒸発乾燥型
の接着剤を用いる場合には約100〜150℃の温度に
予め維持され、加熱雰囲気となっている。
【0067】多層配線板の前駆体20’は、ローラー式
熱圧着装置30に入口15から入れられ、コンベヤ19
aにより機械的に搬送されて、1対のローラー17aお
よび17bの間の隙間に通される。該隙間の大きさは、
最終的に得られる多層配線板の厚さを決定するものであ
り、適切な大きさとなるようにローラー17aおよび1
7bが予め適切に配置されている。
【0068】ローラー17aおよび17bの隙間を通過
する際、多層配線板の前駆体20’に押圧力が加わり、
絶縁層1および2の間でペースト状の接着剤5’が押さ
れて、周囲雰囲気に対して露出している方向、即ち、横
方向に流れ、接着剤5’の厚さが減少する。このとき、
スタッドバンプ4’の先端が接着剤5’を排除しつつ配
線パターン3cに接近し、やがて、スタッドバンプ4’
の先端が配線パターン3cと接触する。
【0069】好ましくは、多層配線板の前駆体20’が
更なる押圧力を受け、スタッドバンプ4’が配線パター
ン3aおよび3cの間で押されて、スタッドバンプ4’
の先端から変形していく。スタッドバンプ4’と配線パ
ターン3cとの接触部は、スタッドバンプ4’の変形に
つれて、接触部の周囲に存在する接着剤5’を排除しつ
つ、スタッドバンプ4’の先端が接触した点を中心とし
て半径方向に広がっていくので、接触部の接続抵抗を十
分低くすることができる。この結果、スタッドバンプ
4’は、変形して図3(d)に示すスタッドバンプ4と
なり得る。
【0070】スタッドバンプ4は、任意の形状および大
きさを有し得るが、例えば略円錐台形状を有し、配線パ
ターン3aに接する接触部の直径は、例えば約40〜1
00μmであり、配線パターン3cに接する接触部の直
径は、例えば約20〜80μmであり得る。スタッドバ
ンプ4は、配線パターン3aと3cとの間の距離に対応
する高さを有し、例えば約20〜50μmの高さを有し
得る。
【0071】多層配線板の前駆体に印加される押圧力
は、当業者であれば適切に選択し得るが、スタッドバン
プ1個あたり約25〜100g、例えば約50gとされ
得る。
【0072】しかし、スタッドバンプ4’の変形(また
はスタッドバンプ4’に対する押圧)は本発明に必ずし
も必要でなく、スタッドバンプ4’が実質的に変形しな
くても、スタッドバンプ4’を介して配線パターン3a
および3cの間の導通がとれればよい。
【0073】これに加えて、ハウジング11の内部が加
熱雰囲気に保たれていることから、多層配線板の前駆体
20’が入口15からハウジング11に入って出口16
から取り出されるまでの間、例えば蒸発乾燥型の接着剤
を用いる場合には、接着剤5’の溶剤が蒸発して接着剤
5’から除去される。この結果、接着剤5’における主
剤、例えばポリイミド系樹脂の濃度が相対的に上昇し、
接着剤5’はやがて実質的に主剤のみから成る接着層5
となる。上述のように、多層配線板の前駆体20’が押
圧されることにより、絶縁層1および2とは所定の距離
に近付けられて配置され、この状態で主剤により接着さ
れる。
【0074】得られた接着層5は約20〜50μm、例
えば約35μmの厚さを有し得る。
【0075】以上のようにして、多層配線板の前駆体2
0’がローラー式熱圧着装置30に通されて、その出口
16から取り出され、図3(d)(および図1)に示す
本実施形態の多層配線板20が得られる。
【0076】このような本実施形態の多層配線板によれ
ば、スタッドバンプを介して配線パターン間を所望の位
置で導電接続できるので、従来の多層配線板に比べてよ
り高密度な回路形成が可能となり、多層配線板のサイズ
をより小さくすることができる。また、本発明の多層配
線板によれば、絶縁層の材料に対する制約を受けないの
で、絶縁層についての材料選択の幅を従来の多層配線板
よりも広げることができるという利点もある。更に、従
来の多層配線板に比べてより短い経路で電気信号を伝達
するような回路設計が可能であるので、外乱の影響を受
けにくい高品質な多層配線板が提供される。
【0077】また、図4に示すようなローラー式の熱圧
着装置を用いて多層配線板の前駆体を熱圧着しているの
で、従来の平行平板式の熱圧着装置を用いる場合に比べ
て製造効率を向上させ、この結果、多層配線板の製造コ
ストを低下させることができる。
【0078】以上、本発明の1つの実施形態について詳
述して来たが、本発明はこれに限定されず、種々の改変
が成され得ることは当業者には容易に理解されるであろ
う。
【0079】例えば、本実施形態においては絶縁層とし
て可撓性基板を用いることを例示しているが、上述のよ
うな当該技術分野において既知の硬質基板を用いてもよ
く、この場合にも同様の効果を奏し得る。
【0080】また、本実施形態においては蒸発乾燥型の
接着剤を用いる場合を主に説明したが、熱硬化型の接着
剤を用いて、用いる熱硬化性樹脂および硬化剤に応じた
適当な温度の加熱雰囲気下、例えばエポキシ樹脂を主剤
とし、これにオルトフタル酸無水物が硬化剤として分散
して成る熱硬化型の接着剤を用いる場合には、約150
〜200℃にて押圧するようにしてもよい。このような
加熱雰囲気下では、硬化剤が溶融して主剤(熱硬化性樹
脂)の熱硬化が促進され、熱硬化した樹脂により絶縁層
間が接着される。
【0081】また、本実施形態においては、2つの絶縁
層が接着層を介して接着された4層タイプの多層配線板
としたが、3つまたはそれ以上の絶縁層が接着層を介し
て接着された5層またはそれ以上の多層配線板としても
よい。更に、多層配線板に含まれる絶縁層の全てが接着
層で接続されている必要はなく、少なくとも一部に本実
施形態のような構造を含んでいればよい。特に、3層以
上の絶縁層を含む多層配線板を段階的に作製する場合に
は、多層配線板を完成する前にその一部について検査を
実施できるので、多層配線板のロスコストを従来よりも
削減することができるという更なる効果を奏し得る。
【0082】更に、本実施形態においては、図4に示す
ようなローラー式の熱圧着装置を用いて多層配線板を製
造することとしたが、例えば、従来の多層配線板の製造
に使用されるような、平行平板式の熱圧着装置を用いて
もよい。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、より高密度な回路設計
を可能にする多層配線板が提供される。本発明の多層配
線板は、従来の多層配線板よりも高密度な回路形成が可
能であり、よって、多層配線板の小型化が達成される。
また、本発明の多層配線板は、絶縁層の材料に対する制
約が緩和されるという利点もある。更に、本発明の多層
配線板によれば、より短い経路で電気信号を伝達するよ
うな回路設計が可能であり、外乱の影響を受けにくい高
品質な多層配線板を得ることができるという利点もあ
る。
【0084】また、本発明によれば、上記のような本発
明の多層配線板の製造方法が提供される。本発明の多層
配線板の製造方法によれば、特に、3層以上の絶縁層を
含む多層配線板を段階的に作製する場合には、多層配線
板を完成する前にその一部について検査を実施できるの
で、多層配線板全体が不良品となることを未然に防止で
き、ロスコストを従来よりも削減することが可能とな
る。
【0085】更に、本発明によれば上記のような本発明
の多層配線板の製造方法の実施に好適に利用される製造
装置もまた提供される。本発明の製造装置によれば、1
対のローラーを用いて多層配線板の前駆体を熱圧着して
いるので、従来の平行平板式の熱圧着装置を用いる場合
よりも製造効率を向上させることができ、よって、多層
配線板の製造コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態における多層配線板の
概略断面図。
【図2】本発明の1つの実施形態における多層配線板の
製造方法を模式的に説明する工程図。
【図3】本発明の1つの実施形態における多層配線板の
製造方法を模式的に説明する工程図。
【図4】本発明の1つの実施形態における多層配線板の
製造装置の概略断面図。
【図5】従来の多層配線板の概略断面図。
【符号の説明】
1、2 絶縁層 3a、3b、3c、3d 配線パターン 4 バンプ(スタッドバンプ) 4’ 変形前のバンプ(スタッドバンプ) 5 接着層 5’ 接着剤 11 ハウジング 12 ヒーター 13 送風機 15 入口 16 出口 17a、17b ローラー 19a、19b コンベヤ 20 多層配線板 20’ 多層配線板の前駆体 30 ローラー式熱圧着装置(製造装置)
フロントページの続き (72)発明者 東田 隆亮 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大熊 崇文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 末次 大輔 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中嶋 誠二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E346 AA02 AA12 AA32 AA43 CC09 CC10 CC12 CC13 CC14 DD02 EE12 EE44 FF24 GG08 GG22 GG28 HH05 HH22 HH25 HH33 HH40

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の配線パターンが表面に形成された
    第1の絶縁層と、 第2の配線パターンが表面に形成された第2の絶縁層で
    あって、第2の配線パターンが第1の配線パターンと隔
    間して対向するように配置された第2の絶縁層と、 第1の配線パターンと第2の配線パターンとを電気的に
    接続するように、第1および第2の配線パターンの間に
    配設されたバンプと、 第1および第2の絶縁層の間に配設された接着層とを含
    む、多層配線板。
  2. 【請求項2】 バンプがスタッドバンプである、請求項
    1に記載の多層配線板。
  3. 【請求項3】 第1および第2の絶縁層が可撓性を有す
    る、請求項1または2に記載の多層配線板。
  4. 【請求項4】 第1および第2の絶縁層が、ポリイミ
    ド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
    エチレンナフタレート、ポリテトラフロロエチレン、ア
    クリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からな
    る群からそれぞれ独立して選択される材料から成る、請
    求項1〜3のいずれかに記載の多層配線板。
  5. 【請求項5】 第1の絶縁層の表面に形成された第1の
    配線パターン上にバンプを設け、 第2の絶縁層の表面に形成された第2の配線パターンを
    覆うように、第2の絶縁層上に接着剤を供給した上で、 第1および第2の配線パターンが互いに対向するよう
    に、第1および第2の絶縁層を積層して、多層配線板の
    前駆体を得、 得られた多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧す
    ることによって、第1の絶縁層と第2の絶縁層とを接着
    剤で接着しながら、第1の配線パターンと第2の配線パ
    ターンとをバンプにより電気的に接続し、これにより多
    層配線板を製造することを含む、多層配線板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 バンプがスタッドバンプである、請求項
    5に記載の多層配線板の製造方法。
  7. 【請求項7】 接着剤が樹脂と溶剤とを含む、請求項5
    または6に記載の多層配線板の製造方法。
  8. 【請求項8】 接着剤が熱硬化性樹脂を含む、請求項5
    または6に記載の多層配線板の製造方法。
  9. 【請求項9】 加熱雰囲気を有するハウジングと、 ハウジングの内部にて互いに隔間して配置される1対の
    ローラーであって、ローラーの間の隙間を多層配線板の
    前駆体が通過して押圧される、1対のローラーとを備え
    る、多層配線板の製造装置。
  10. 【請求項10】 多層配線板の前駆体が、 第1の配線パターンが表面に形成され、第1の配線パタ
    ーンの上にバンプが設けられた第1の絶縁層と、 第2の配線パターンが表面に形成され、第2の配線パタ
    ーンを覆うように接着剤が供給された第2の絶縁層とを
    第1および第2の配線パターンが互いに対向するように
    積層して成る、請求項9に記載の製造装置。
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