JP4175824B2 - 多層配線板ならびにその製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多層配線板、例えば携帯電話などの電子機器に適用され得る多層配線板ならびにその製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば携帯電話などの電子機器の薄型化または小型化、および高性能化を図るために、これに内蔵される電子回路基板のより一層の高密度化が求められている。このような要請に応えるべく、3層またはそれ以上の配線パターンが絶縁層を挟んで配置された多層配線板が電子回路基板として多く利用されている。
【0003】
このような従来の多層配線板の一例として、標準的な4層タイプの多層配線板およびその製造方法を図面を参照して以下に説明する。
【0004】
図5に示すように、従来の多層配線板60では、4層の配線パターン61a〜61dが、3つの絶縁層62a〜62cをそれぞれ間に挟んで配置される。絶縁層62a〜62cは、いわゆるプリプレグを用いて形成され、プリプレグには、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させ、これを乾燥させて成るものが一般的に用いられる。他方、配線パターン61a〜61dは、一般的に銅から成る。多層配線板60には、多層配線板全体を貫通するスルーホール63が設けられ、スルーホール63の壁面は、一般的に銅めっき64により被覆される。銅めっき64は、配線パターン61a〜61dと必要に応じて接続される(図5には、銅めっき64を、これら配線パターン61a〜61dの全てと接続して示す)。このようにスルーホール63の壁面を銅めっき64で被覆することにより、銅めっき64を介して各層の配線パターン61a〜61dの導通が必要に応じて確保される。
【0005】
この従来の多層配線板60は、次のようにして製造される。まず、絶縁層62aを形成するための材料としてプリプレグを用い(以下、絶縁層62aと同じ参照符号にてプリプレグを示す)、このプリプレグ62aの両面に銅箔を張り付ける。その後、例えば、ドライフィルムをマスクとして用いる一般的なエッチング法により、銅箔をパターニングして銅から成る配線パターン61aおよび61bをプリプレグ62aの両面に形成して両面板を得る。
【0006】
他方、絶縁層62bおよび62cを形成するための材料として、同じくプリプレグ(以下、絶縁層62bおよび62cと同じ参照符号にて示す)を用い、これらプリプレグ62bおよび62cの片面にのみ銅箔を各々張り付けた片面板を準備する。これら片面板にそれぞれ張り付けられた銅箔が外側表面に位置するようにして(換言すれば、両面板の配線パターン61aおよび61bが片面板のプリプレグ62bおよび62cと接触するようにして)、上記により得られた両面板を片面板で挟んだ積層体(以下、前駆体と言う)を得る。
【0007】
次いで、1対の互いに平行な平板を備える熱圧着装置を用い、上記により得られた前駆体を平板間に配置する。これら平板には、一般的には複数本のカートリッジヒーターが内蔵される。カートリッジヒーターにより平板を加熱して所定の温度とした状態で、一方の平板を他方の平板に対して押圧して、所定の押圧力および時間にて前駆体を機械的に熱圧着する。このような熱圧着により、プリプレグ62a〜62cに含まれるエポキシ樹脂が熱硬化して、それぞれ絶縁層62a〜62cとなる。このとき、プリプレグ62a〜62cを構成していたエポキシ樹脂は、各プリプレグ62a〜62c間をつないで熱硬化するので、得られた絶縁層62a〜62cは互いに接着されており、この結果、前駆体が一体化される。
【0008】
このようにして一体化された前駆体の所定の箇所に、例えばドリル、パンチングマシンまたはレーザーなどを用いてスルーホール63を形成する。その後、前駆体の上下の外側表面に位置する銅箔(これは、上記の片面板に予め各々設けたものである)を電極として利用して、スルーホール63の壁面に銅めっき64を電気的に施す。
【0009】
この銅めっき64が、続く後工程にて用いられるエッチング液と接触しないように、銅めっき64で壁面が覆われたスルーホール63に、紫外線硬化性インクなどを充填し、これにより、いわゆる穴埋めを行う。その後、例えば、ドライフィルムをマスクとして用いる一般的なエッチング法により、前駆体の上下の外側表面にある銅箔をパターニングして、銅から成る配線パターン61cおよび61dをそれぞれ形成する。
【0010】
その後、得られた前駆体を苛性カリウムなどに浸漬して、スルーホール63に穴埋めされた紫外線硬化性インクを除去する。これにより、図5に示すような多層配線板60が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の多層配線板では、各層の配線パターンの導通を確保するために、基板全体を貫通するスルーホールを設け、この壁面にめっきを施す必要がある。このようなスルーホールは、層間の導通が必要でない配線パターンが存在していても、これに拘りなく基板全体を貫通することとなるため、回路設計の自由度が制限され、多層配線板の更なる高密度化を阻害していた。
【0012】
また、従来の製造方法では、多層配線板の前駆体を一体化するために、エポキシ樹脂の熱硬化を利用しており、このような製造方法上、絶縁層として用いることができる材料に対する制約があった。絶縁層を形成する材料には、殆どの場合、エポキシ樹脂を含浸させたプリプレグが用いられ、絶縁層に他の材料を用いることは実際的には困難であった。
【0013】
更に、配線パターンの一部および/または配線パターン間の導通の一部に不良が生じていても、多層配線板を完成した後にしか品質検査を実施できないため、このような品質検査により不良が見つかった場合には、多層配線板全体が不良品として扱われることになる。このため、従来の多層配線板の製造方法ではロスコストが大きいという難点もあった。
【0014】
これら問題点のうちの1つを解消し、多層配線板の高密度化を実現するために、近年では、上述のような従来の標準的な多層配線板において、配線パターン層間の導通を得るために基板全体を貫通するスルーホールの壁面をめっきすることに代えて、あるいはこれに加えて、IVH(Inner Via Hole)構造を利用したものも用いられて来ている。このような多層配線板は、一般にビルドアップ基板として知られている。
【0015】
より詳細には、ビルドアップ基板は、上述のような標準的な多層配線板であって、スルーホールに導電性ペーストを充填したものをコア層とし、このコア層の片面または両面に、配線パターンの層と絶縁層とが交互に積層されたビルドアップ層が設けられた構造を有する。ここで、ビルドアップ基板の内部に埋め込まれ、導電性ペーストが充填されたスルーホールがIVHである。このようなビルドアップ基板によれば、導電性ペーストを介して配線パターンの所望の層間のみの導通が確保され、図5を参照して上述した標準的な多層配線板よりも回路設計の自由度が向上する。しかしながら、このようなビルドアップ基板によっても、多層配線板の高密度化を十分に達成することはできない。
【0016】
また、ビルドアップ基板は、図5に示すような標準的な多層配線板を上述のようにして製造し、これに設けられたスルーホールに導電性のペーストをスクリーン印刷法により充填することによりコア層を得、その後、このコア層の片面または両面にビルドアップ層を設けることによって製造される。代表的には、ビルドアップ層は、上記により得られたコア層の片面または両面に、エポキシ樹脂をコーティングした銅箔を、該銅箔が外側表面に位置するようにして貼り付け、これを熱圧着することによりエポキシ樹脂を熱硬化させてコア層に接着し、その後、表面の銅箔をエッチング法によりパターニングして銅から成る配線パターンを形成する。このような手順を順次繰り返すことにより、ビルドアップ層が積層形成される。このようなビルドアップ基板の製造方法においても、エポキシ樹脂の熱硬化を利用しており、このような製造方法上、絶縁層の材料としてエポキシ樹脂しか用いることができず、絶縁層に対する材料選択の自由度が制限されるという問題が存在していた。
【0017】
これに加えて、ビルドアップ基板の品質検査においても、少なくともコア層を一旦形成してから品質検査を実施する必要があるため、ロスコストが大きいという上述の難点も依然として解消されない。
【0018】
本発明は、上記のような従来の課題を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、より高密度な回路設計を少なくとも可能にする多層配線板ならびにその製造方法および製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの要旨によれば、第1の配線パターンが表面に形成された第1の絶縁層と、第2の配線パターンが表面に形成された第2の絶縁層とが、第1および第2の配線パターンが隔間して互いに対向するように配置されており、第1の配線パターンと第2の配線パターンとを電気的に接続するように、第1および第2の配線パターンの間にバンプが配設され、また、第1および第2の絶縁層の間に接着層が配設された多層配線板が提供される。
【0020】
このような多層配線板によれば、従来の多層配線板のように基板全体を貫通するスルーホールおよび/またはIVHを設けることなく、第1および第2の絶縁層間に位置するバンプにより配線パターンの導通をとることが可能である。このようなバンプを設ける位置は任意に選択することができるので、配線パターンの所望の箇所の導通を所望の位置でとることができる。
【0021】
よって、本発明の多層配線板によれば、回路設計の自由度を従来の多層配線板よりも向上させることができ、この結果、より高密度な回路設計が可能となる。よって、同程度の集積度の多層配線板を作製する場合には、多層配線板のサイズを従来よりも小さくすることが可能となる。更に、本発明の多層配線板によれば、従来の多層配線板よりも短い経路で電気信号を伝達するような回路設計が可能となり、この結果、配線パターンを通って伝達される電気信号への外乱による影響を低減することもできる。
【0022】
本発明の多層配線板において、第1の絶縁層は、一般的には、第1の配線パターンが形成された表面と反対側の表面に別の配線パターンを備えているが、本発明は必ずしもこれに限定されず、該反対側の表面に別の配線パターンを備えていなくてもよく、また、グラウンドと呼ばれるような導電層が形成されていてもよい。このことは、第2の絶縁層についても同様である。
【0023】
また、本発明の多層配線板において、接着層は第1および第2の絶縁層間を接着するものである。接着層は、好ましくは第1および第2の絶縁層の間の空間であって、第1および第2の配線パターンの間に位置するバンプを除く部分を満たすが、本発明は必ずしもこれに限定されず、例えば、不可避的に混入する気泡を含んでいてもよい。
【0024】
更に、本発明の多層配線板において、接着層を介して接着される絶縁層(より詳細には、配線パターンを備える絶縁層)は少なくとも2つあればよく、もちろん、3つまたはそれ以上の絶縁層を各々接着剤により接着することができる。
【0025】
尚、本発明において「バンプ」とは、配線パターンの層間導通を図る目的で配線パターンの所定の箇所上に設けられる突起物を言う。バンプには、いわゆるスタッドバンプ、ボールバンプ、マッシュルームバンプが含まれ、スタッドバンプとすることが好ましい。バンプの材料は導電性材料、より詳細には金属、例えば金、アルミニウム、銅から成り得、好ましくは金から成る。
【0026】
また、本発明の多層配線板によれば、エポキシ樹脂の熱硬化を利用することなく、接着層により多層配線板を一体化することができるので、絶縁層の材料に対する制約が緩和され、種々の材料を用いることができ、材料選択の幅を従来の標準的な多層配線板およびビルドアップ基板よりも広げることが可能となるという利点もある。
【0027】
より詳細には、本発明の多層配線板は、第1および第2の絶縁層として、当該技術分野において既知の可撓性を有する基板(可撓性基板)を用いる場合に適する。具体的には、第1および第2の絶縁層には、例えばポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフロロエチレン(またはポリテトラフルオロエチレン、以下も同様)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる群からそれぞれ独立して選択される材料から成るものを用いることができる。
【0028】
しかし、本発明はこれに限定されず、第1および第2の絶縁層として、当該技術分野において既知の硬質基板を用いることももちろん可能である。具体的には、第1および第2の絶縁層には一般的なプリプレグ、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフロロエチレンまたはアクリル樹脂などを、ガラスクロスもしくはアラミドクロス(これらはいずれも織布および不織布の双方を含む)または紙などに含浸させたものを用いることができる。
【0029】
第1および第2の絶縁層の材料はそれぞれ独立して選択され、これら絶縁層は同じ材料から成っていても、異なる材料から成っていてもよい。また、多層配線板が3つ以上の絶縁層を有する場合も同様である。
【0030】
また、本発明の別の要旨によれば、第1の絶縁層の表面に形成された第1の配線パターン上にバンプを設け;第2の絶縁層の表面に形成された第2の配線パターンを覆うように、第2の絶縁層上に接着剤を供給した上で;第1および第2の配線パターンが互いに対向するように、第1および第2の絶縁層を積層して多層配線板の前駆体を得;多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧することによって、第1の絶縁層と第2の絶縁層とを接着剤で接着しながら、第1の配線パターンと第2の配線パターンとをバンプにより電気的に接続し、これにより多層配線板を製造する方法が提供される。
【0031】
このような本発明の多層配線板の製造方法は、上述の本発明の多層配線板を得るために好適に用いられ、本発明の多層配線板によって得られる効果と同様の効果を奏し得る。
【0032】
更に、本発明の多層配線板の製造方法において、少なくとも2つの絶縁層が接着されるが、特に、3つまたはそれ以上の絶縁層を各々接着剤により接着する際には、加熱雰囲気下における押圧は、接着剤を介して全ての絶縁層を積層した後に実施してもよいが、いくつかの絶縁層ごとに分けて実施して、多層配線板を段階的に作製してもよい。
【0033】
多層配線板を段階的に作製する場合、目的の多層配線板の一部をひとまず作製し、この段階で配線パターン間の導通が確保されているかどうかの品質検査を実施することができる。例えば、2つの絶縁層を接着した後に得られた積層体の品質検査をし、次いでこれに新たな絶縁層を接着する毎に品質検査をすることが可能である。配線パターンの一部および/または配線パターン間の導通の一部に不良が生じている場合には、従来の製造方法では、多層配線板を完成した後にしか品質検査を実施することができなかったが、本発明によれば多層配線板を完成する前にその一部分について品質検査を実施できるので、不良が存在していても多層配線板を完成する前の段階で発見することができる。よって、多層配線板全体が不良品となることを未然に防止でき、ロスコストを従来よりも削減することが可能となる。
【0034】
本発明の多層配線板の製造方法において用いられる接着剤は、好ましくはペースト状または液状であり、例えばディスペンス法または印刷法などにより第2の絶縁層上に供給(または塗布)され得る。本発明において、多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧することにより、接着剤は第1の絶縁層と第2の絶縁層とを接着する接着層となる。
【0035】
接着剤には当該技術分野において既知の任意の適切な接着剤を用いることができる。例えば、特に限定されるものではないが、いわゆる蒸発乾燥型の接着剤および/または熱硬化型の接着剤を用いることができる。
【0036】
蒸発乾燥型の接着剤は、主剤である樹脂と溶剤とを含み、樹脂が溶剤に溶けて成る。このような接着剤を用いる場合、接着剤中の溶剤を一般的には加熱により蒸発させて、樹脂(主剤)濃度を相対的に高めて実質的に樹脂のみとし、この樹脂により第1および第2の絶縁層間が接着される。
【0037】
具体的には、蒸発乾燥型の接着剤に含まれる樹脂(主剤)には、溶剤蒸発後に絶縁層を接着し得る樹脂であれば特に限定されないが、例えばポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフロロエチレン、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などを用いることができる。また、溶剤には、樹脂を溶解させることができ、樹脂に比べて十分に高い蒸発速度を有するものであれば特に限定されないが、例えばノルマルメチルピロリドンまたはγ−ブチロラクトンなどを用いることができる。尚、このような蒸発乾燥型の接着剤は、主剤である樹脂と溶剤に加えて他の微量成分を含んでいてよく、これらの混合割合は当業者であれば適切に選択できる。
【0038】
このような蒸発乾燥型の接着剤を用いる場合、本発明の製造方法における加熱雰囲気の温度は、接着剤に含まれる実質的に全ての溶剤を蒸発させて除去できる程度の温度、例えば溶剤の沸点よりも約30〜80℃高い温度、具体的には、沸点が約120℃の溶剤の場合には約150〜200℃の温度とすることが好ましい。
【0039】
他方、熱硬化型の接着剤は主剤である熱硬化性樹脂を含み、必要に応じて硬化剤および/または溶剤を更に含み得る。硬化剤は、熱硬化性樹脂に分散した状態とされ得る。このような接着剤を用いる場合、加熱により熱硬化した樹脂により第1および第2の絶縁層間が接着される。硬化剤を含む場合には、加熱により硬化剤を溶融させ、熱硬化性樹脂の熱硬化を促進できる。
【0040】
具体的には、熱硬化型の接着剤に含まれる熱硬化性樹脂(主剤)には、熱硬化後に絶縁層を接着し得る樹脂であれば特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフロロエチレン、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などを用いることができる。また、硬化剤は、用いる熱硬化性樹脂に応じて適切に選択され得るが、オルトフタル酸無水物またはジシアンジアミドなどを用いることができる。尚、このような熱硬化型の接着剤もまた、主剤である熱硬化性樹脂(ならびに必要に応じて硬化剤および/または溶剤)に加えて他の微量成分を含んでいてよく、これらの混合割合は当業者であれば適切に選択できるであろう。
【0041】
このような熱硬化型の接着剤を用いる場合、本発明の製造方法における加熱雰囲気の温度は、硬化剤を溶融させて熱硬化性樹脂の硬化を促進し得る程度の温度、例えば、熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高く、かつ、硬化剤の溶融温度よりも約20〜80℃高い温度、具体的には溶融温度が約100℃の場合には約120〜180℃の温度とすることが好ましい。尚、硬化性樹脂の硬化温度とは、市販の熱硬化性樹脂のメーカー公称温度を言うものとする。
【0042】
しかし、本発明はこれに限定されず、任意の適切な接着剤を用いることができることに留意されるべきである。当業者であれば、用いる第1および第2の絶縁層の材料等に応じて適切な接着剤を容易に選択することが可能であろう。
【0043】
また、本発明の多層配線板の製造方法においては、多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧することにより、第1の配線パターン上に設けられたバンプが、バンプと第2の配線パターンとの間に存在する接着剤(または接着層)を排除しつつ第2の配線パターンに近づき、第2の配線パターンと接触する。このようにして、第1の配線パターンと第2の配線パターンとがバンプにより電気的に接続される。接着剤(または接着層)を排除しつつ第2の配線パターンに近づくためには、バンプの先端が鋭角であることが好ましく、上述のようなバンプの種類のうちでも、スタッドバンプを用いることが好ましい。
【0044】
この工程において、更なる押圧により第1および第2の配線パターン間の隙間が狭められてバンプ自身が変形し、バンプと第2の配線パターンとの間の接触面積を増大させ、よってこれらの間の接続抵抗をより小さくすることが好ましい。このような観点から、バンプの材料には、上述のような導電性材料のうちでも、外力によりある程度変形可能な材料、例えば金を用いることが好ましい。
【0045】
本発明の多層配線板の製造方法において、多層配線板の前駆体を押圧する押圧力は、用いるバンプの材料や、バンプと接触する配線パターンへの影響を考慮して、当業者であれば適切に選択することができるであろう。
【0046】
尚、本発明の多層配線板の製造方法においては、接着すべき一方の絶縁層(より詳細にはその表面に形成された配線パターン上)にバンプを形成し、他方の絶縁層に(より詳細にはその表面に形成された配線パターンを覆うように)接着剤を供給するものとしたが、接着剤により絶縁層を接着し、バンプにより配線パターン間の導通をとるという目的を達成し得る限り、種々の改変が成され得ることは当業者には容易に理解されよう。例えば、一方の絶縁層にバンプを形成すると共に接着剤を供給し、他方の絶縁層にも接着剤を供給してもよく、あるいは、一方の絶縁層にバンプを形成すると共に接着剤を供給し、他方の絶縁層には接着剤を供給しなくてもよい。
【0047】
また、本発明の別の要旨によれば、加熱雰囲気を有するハウジングと;ハウジングの内部にて互いに隔間して配置される1対のローラーであって、ローラーの間の隙間を多層配線板の前駆体が通過して押圧される1対のローラーとを備える、多層配線板の製造装置(本明細書において、ローラー式の熱圧着装置とも言う)が提供される。
【0048】
従来、多層配線板を熱圧着するためには1対の平行平板を備える、平行平板式の熱圧着装置が利用されている。このような熱圧着装置では、多層配線板の前駆体を平板間に配置し、少なくとも一方の平板を上下方向に動かして前駆体の絶縁層間を熱圧着して一体化させ、その後、得られた前駆体を平板上から装置外部へ取り出す必要がある。これに対して、本発明の多層配線板の製造装置(またはローラー式の熱圧着装置)によれば、ローラーを用いて前駆体を熱圧着しているので、前駆体を連続的に搬送することができる。このため、1つの製品を製造するために必要な装置占有時間を従来よりも短縮することができ、よって、多層配線板の製造効率を向上させ、結果として製造コストを低下させることができる。
【0049】
図5を参照して上述したような従来の標準的な多層配線板を製造するには、固体であるプリプレグを熱圧着して絶縁層間を接着するために高温高圧を要する。このような条件下でローラー式の熱圧着装置を用いると、多層配線板の前駆体に局所的押圧力が加わり、最終的に得られる多層配線板が折れ曲がった状態となる(または反る)ことがある。従って、ローラー式の熱圧着装置を用いることは適さず、多層配線板の前駆体を一様に押圧することができる、平行平板式の熱圧着装置を用いる必要があった。
【0050】
これに対して、本発明の多層配線板を製造するためには、液状またはペースト状である接着剤を用いて、絶縁層間を接着層により接着しているので、多層配線板の前駆体に加えるべき圧力をより小さくでき、よって、ローラー式の熱圧着装置を用いても上記のような折れ曲がりまたは反りを生じることがない。従って、本発明の製造装置は、上述のような本発明の多層配線板の製造方法の実施、より詳細には多層配線板の前駆体を加熱雰囲気下にて押圧するために好適に利用され得る。しかし、本発明の多層配線板の製造方法は、このような本発明のローラー式の熱圧着装置のみならず、他の装置、例えば従来の平行平板式の熱圧着装置と実質的に同様の装置を用いても実施され得ることに留意されるべきである。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの実施形態について図面を参照しながら以下に詳述する。図1は、本実施形態における多層配線板の概略断面図である。
【0052】
図1に示すように、本実施形態の多層配線板20においては、絶縁層1(第1の絶縁層)と絶縁層2(第2の絶縁層)とが、これらの間に位置する接着層5を挟んで配置される。絶縁層1の両表面には配線パターン3aおよび3bが形成され、絶縁層2の両表面には配線パターン3cおよび3dが形成されている。絶縁層1および2は、配線パターン3a(第1の配線パターン)および配線パターン3c(第2の配線パターン)が隔間して対向するように配置される。この配線パターン3aおよび3cは、これらの間に位置するスタッドバンプ4を介して電気的に接続されている。
【0053】
スタッドバンプ4は、上述のような導電性材料、例えば金またはアルミニウムなどから成り得る。尚、スタッドバンプに代えて、上述のような他の種類のバンプを用いることもできることに留意されたい。
【0054】
絶縁層1および2には、上述のような当該技術分野において既知の任意の適切な可撓性基板または硬質基板を用い得るが、例えばポリイミド基板のような可撓性基板を用い得る。
【0055】
配線パターン3a〜3dは、特に限定されないが、例えば、いずれも銅から成り得る。配線パターン3aと3bおよび配線パターン3cと3dは、それぞれ絶縁層1および2を貫通するスルーホールに充填された導電材料を介して部分的に接続されるものとして図示するが(配線パターン3a〜3dと同じく、斜線を付して示す)、このような構造は本発明に必ずしも必要でないことに留意されるべきである。
【0056】
接着層5は、後述する接着剤に由来するものであり、接着剤には上述のような蒸発乾燥型または熱硬化型の接着剤を用い得る。具体的には、接着層5の材料としては、例えば実質的にポリイミド系樹脂から成る材料が挙げられる。
【0057】
次に、このような多層配線板20の製造方法について詳述する。図2および図3は、多層配線板20の製造方法を説明するための概略工程図である。
【0058】
まず、図2(a)に示すような、厚さ約12〜125μm、例えば約25μmのポリイミドフィルムなどの絶縁層1の両表面に、高さ約5〜36μm、例えば約18μmの配線パターン3aおよび3bが形成された両面基板を準備する。このような両面基板は当該技術分野において既知であるが、例えば、ドリル、パンチングマシンまたはレーザーなどを用いてポリイミドフィルム(絶縁層)1の所定の箇所に、直径約150〜300μm、例えば約250μmのスルーホールを形成し、次いでこのスルーホールに導電性ペースト(例えば銀ペースト)をスクリーン印刷法などにより充填し、得られた基板の両表面に銅箔を、例えば熱圧着により張り付け、その後、エッチング法などにより銅箔をパターンニングして配線パターン3aおよび3bを形成することにより得ることができる。
【0059】
次に、この両面基板の配線パターン3aの所定の箇所上に、スタッドバンプ4’(変形前のスタッドバンプ)を形成する。このスタッドバンプ4’は、いわゆるボールボンディング法により形成することができる。具体的には、例えば金またはアルミニウムなどから成る金属細線(図示せず)を用い、その近傍に電極を配置して、金属細線と電極との間に約2000V程度の高電圧を印加することにより、放電を発生させて、金属細線の先端を溶融させる。金属細線の先端には、溶融した金属から成る球状部が形成される。金属細線に超音波を印加しながら、金属細線の球状部を、スタッドバンプ4’を形成すべき配線パターン3a上の所望の位置へと加圧することによって、球状部を形成している金属を配線パターン3aを構成している金属へと金属拡散させて、該球状部を配線パターン3aの所望の位置に接合できる。その後、金属細線を配線パターン3aから引き離すことにより、略円錐形状のスタッドバンプ4’を形成することができる。
【0060】
スタッドバンプ4’の高さは、スタッドバンプ4’の形成の際の球状部の加圧力を変化させることによってある程度調節可能であり、配線パターン3aおよび3cの間の目的の距離よりも大きい限り特に限定されないが、約40〜100μm、例えば約80μmとし得る。また、スタッドバンプ4’の配線パターン3aとの接触部は、例えば略円形状であり得る。この場合、接触部の直径は金属細線の直径に対応し、約30〜100μmとし得、例えば直径約25μmの金から成るワイヤを金属細線として用いる場合には約70μmとし得る。
【0061】
他方、図3(a)に示すような、ポリイミドから成る絶縁層2の両表面に配線パターン3cおよび3dが形成された別の両面基板を準備する。この両面基板は、図2(a)に示すものと同様にして得られるので詳細は省略する。
【0062】
次いで、図3(a)に示す両面基板の上に、より詳細には絶縁層2の上に配線パターン3cを覆うようにして、ペースト状の接着剤5’をディスペンス法および印刷法などにより塗布する。接着剤5’の塗布厚さは、絶縁層1および2の間の目的の距離よりも大きい限り特に限定されないが、約50〜200μm、例えば約100μmとし得る。
【0063】
接着剤5’には上述のような蒸発乾燥型および熱硬化型のいずれの接着剤を用いてもよいが、例えば、主剤であるポリイミド系樹脂が、溶剤であるノルマルメチルピロリドンに約50重量%(全体基準)の割合で溶けて成る蒸発乾燥型の接着剤を用い得る。
【0064】
そして、以上のようにして得られた図3(b)に示す基板と図2(b)に示す基板とを、スタッドバンプ4’が設けられた配線パターン3aと接着剤5’で覆われた配線パターン3cとが対向するようにして、互いに適切に位置合わせしつつ重ね合わせて、図3(c)に示すような多層配線板の前駆体20’を得る。このとき、接着剤5’の側部は周囲雰囲気に対して露出している。
【0065】
その後、多層配線板の前駆体20’を、図4に示すローラー式熱圧着装置30に入れる。ローラー式熱圧着装置30は、本発明の製造装置の1つの実施形態におけるものであり、1対のローラー17aおよび17b、ヒーター12を備える送風機13がハウジング11の内部に設置されて構成されている。1対のローラー17aおよび17bは互いに隔間して配置され、これらの隔間距離は、例えばローラー17aおよび17bの少なくとも一方をこれらの軸を含む面内で移動(例えば上下動)させることにより、調節可能であることが好ましい。ハウジング11は、ヒーター12を用いて加熱されて送風機13から供給される熱風(例えば空気)をある程度保持することができる。尚、ハウジング11は、加熱雰囲気を有し得る限り、このような送風機13を内部に備えていなくてもよい。ハウジング11は入口15および出口16を有し、図中に点線矢印にて示す方向に回転するコンベヤ19aおよび19bを備える。コンベヤ19aおよび19bは、入口15から導入される多層配線板の前駆体20’を搬送して1対のローラー17aおよび17bの隙間に通し、出口16へと送り出すことができるように配置されるが、このようなコンベヤ19aおよび19bは必ずしも本発明に必要ではないことに留意されるべきである。また、コンベヤ19aおよび19bに代えて、多層配線板の前駆体をローラー17aおよび17bの隙間を機械的に通して取り出すことが可能な他の搬送手段を用いてもよい。
【0066】
ローラー式の熱圧着装置30の内部の雰囲気は、ヒーター12を備える送風機13を用いて熱風を流す(熱風の流れを図中に実線矢印にて模式的に示す)ことにより、接着剤5’のタイプおよび材料等を考慮した所定の温度、例えばポリイミド系樹脂(主剤)がノルマルメチルピロリドン(溶剤)に溶けて成る蒸発乾燥型の接着剤を用いる場合には約100〜150℃の温度に予め維持され、加熱雰囲気となっている。
【0067】
多層配線板の前駆体20’は、ローラー式熱圧着装置30に入口15から入れられ、コンベヤ19aにより機械的に搬送されて、1対のローラー17aおよび17bの間の隙間に通される。該隙間の大きさは、最終的に得られる多層配線板の厚さを決定するものであり、適切な大きさとなるようにローラー17aおよび17bが予め適切に配置されている。
【0068】
ローラー17aおよび17bの隙間を通過する際、多層配線板の前駆体20’に押圧力が加わり、絶縁層1および2の間でペースト状の接着剤5’が押されて、周囲雰囲気に対して露出している方向、即ち、横方向に流れ、接着剤5’の厚さが減少する。このとき、スタッドバンプ4’の先端が接着剤5’を排除しつつ配線パターン3cに接近し、やがて、スタッドバンプ4’の先端が配線パターン3cと接触する。
【0069】
好ましくは、多層配線板の前駆体20’が更なる押圧力を受け、スタッドバンプ4’が配線パターン3aおよび3cの間で押されて、スタッドバンプ4’の先端から変形していく。スタッドバンプ4’と配線パターン3cとの接触部は、スタッドバンプ4’の変形につれて、接触部の周囲に存在する接着剤5’を排除しつつ、スタッドバンプ4’の先端が接触した点を中心として半径方向に広がっていくので、接触部の接続抵抗を十分低くすることができる。この結果、スタッドバンプ4’は、変形して図3(d)に示すスタッドバンプ4となり得る。
【0070】
スタッドバンプ4は、任意の形状および大きさを有し得るが、例えば略円錐台形状を有し、配線パターン3aに接する接触部の直径は、例えば約40〜100μmであり、配線パターン3cに接する接触部の直径は、例えば約20〜80μmであり得る。スタッドバンプ4は、配線パターン3aと3cとの間の距離に対応する高さを有し、例えば約20〜50μmの高さを有し得る。
【0071】
多層配線板の前駆体に印加される押圧力は、当業者であれば適切に選択し得るが、スタッドバンプ1個あたり約25〜100g、例えば約50gとされ得る。
【0072】
しかし、スタッドバンプ4’の変形(またはスタッドバンプ4’に対する押圧)は本発明に必ずしも必要でなく、スタッドバンプ4’が実質的に変形しなくても、スタッドバンプ4’を介して配線パターン3aおよび3cの間の導通がとれればよい。
【0073】
これに加えて、ハウジング11の内部が加熱雰囲気に保たれていることから、多層配線板の前駆体20’が入口15からハウジング11に入って出口16から取り出されるまでの間、例えば蒸発乾燥型の接着剤を用いる場合には、接着剤5’の溶剤が蒸発して接着剤5’から除去される。この結果、接着剤5’における主剤、例えばポリイミド系樹脂の濃度が相対的に上昇し、接着剤5’はやがて実質的に主剤のみから成る接着層5となる。上述のように、多層配線板の前駆体20’が押圧されることにより、絶縁層1および2とは所定の距離に近付けられて配置され、この状態で主剤により接着される。
【0074】
得られた接着層5は約20〜50μm、例えば約35μmの厚さを有し得る。
【0075】
以上のようにして、多層配線板の前駆体20’がローラー式熱圧着装置30に通されて、その出口16から取り出され、図3(d)(および図1)に示す本実施形態の多層配線板20が得られる。
【0076】
このような本実施形態の多層配線板によれば、スタッドバンプを介して配線パターン間を所望の位置で導電接続できるので、従来の多層配線板に比べてより高密度な回路形成が可能となり、多層配線板のサイズをより小さくすることができる。また、本発明の多層配線板によれば、絶縁層の材料に対する制約を受けないので、絶縁層についての材料選択の幅を従来の多層配線板よりも広げることができるという利点もある。更に、従来の多層配線板に比べてより短い経路で電気信号を伝達するような回路設計が可能であるので、外乱の影響を受けにくい高品質な多層配線板が提供される。
【0077】
また、図4に示すようなローラー式の熱圧着装置を用いて多層配線板の前駆体を熱圧着しているので、従来の平行平板式の熱圧着装置を用いる場合に比べて製造効率を向上させ、この結果、多層配線板の製造コストを低下させることができる。
【0078】
以上、本発明の1つの実施形態について詳述して来たが、本発明はこれに限定されず、種々の改変が成され得ることは当業者には容易に理解されるであろう。
【0079】
例えば、本実施形態においては絶縁層として可撓性基板を用いることを例示しているが、上述のような当該技術分野において既知の硬質基板を用いてもよく、この場合にも同様の効果を奏し得る。
【0080】
また、本実施形態においては蒸発乾燥型の接着剤を用いる場合を主に説明したが、熱硬化型の接着剤を用いて、用いる熱硬化性樹脂および硬化剤に応じた適当な温度の加熱雰囲気下、例えばエポキシ樹脂を主剤とし、これにオルトフタル酸無水物が硬化剤として分散して成る熱硬化型の接着剤を用いる場合には、約150〜200℃にて押圧するようにしてもよい。このような加熱雰囲気下では、硬化剤が溶融して主剤(熱硬化性樹脂)の熱硬化が促進され、熱硬化した樹脂により絶縁層間が接着される。
【0081】
また、本実施形態においては、2つの絶縁層が接着層を介して接着された4層タイプの多層配線板としたが、3つまたはそれ以上の絶縁層が接着層を介して接着された5層またはそれ以上の多層配線板としてもよい。更に、多層配線板に含まれる絶縁層の全てが接着層で接続されている必要はなく、少なくとも一部に本実施形態のような構造を含んでいればよい。特に、3層以上の絶縁層を含む多層配線板を段階的に作製する場合には、多層配線板を完成する前にその一部について検査を実施できるので、多層配線板のロスコストを従来よりも削減することができるという更なる効果を奏し得る。
【0082】
更に、本実施形態においては、図4に示すようなローラー式の熱圧着装置を用いて多層配線板を製造することとしたが、例えば、従来の多層配線板の製造に使用されるような、平行平板式の熱圧着装置を用いてもよい。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、より高密度な回路設計を可能にする多層配線板が提供される。本発明の多層配線板は、従来の多層配線板よりも高密度な回路形成が可能であり、よって、多層配線板の小型化が達成される。また、本発明の多層配線板は、絶縁層の材料に対する制約が緩和されるという利点もある。更に、本発明の多層配線板によれば、より短い経路で電気信号を伝達するような回路設計が可能であり、外乱の影響を受けにくい高品質な多層配線板を得ることができるという利点もある。
【0084】
また、本発明によれば、上記のような本発明の多層配線板の製造方法が提供される。本発明の多層配線板の製造方法によれば、特に、3層以上の絶縁層を含む多層配線板を段階的に作製する場合には、多層配線板を完成する前にその一部について検査を実施できるので、多層配線板全体が不良品となることを未然に防止でき、ロスコストを従来よりも削減することが可能となる。
【0085】
更に、本発明によれば上記のような本発明の多層配線板の製造方法の実施に好適に利用される製造装置もまた提供される。本発明の製造装置によれば、1対のローラーを用いて多層配線板の前駆体を熱圧着しているので、従来の平行平板式の熱圧着装置を用いる場合よりも製造効率を向上させることができ、よって、多層配線板の製造コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態における多層配線板の概略断面図。
【図2】本発明の1つの実施形態における多層配線板の製造方法を模式的に説明する工程図。
【図3】本発明の1つの実施形態における多層配線板の製造方法を模式的に説明する工程図。
【図4】本発明の1つの実施形態における多層配線板の製造装置の概略断面図。
【図5】従来の多層配線板の概略断面図。
【符号の説明】
1、2 絶縁層
3a、3b、3c、3d 配線パターン
4 バンプ(スタッドバンプ)
4’ 変形前のバンプ(スタッドバンプ)
5 接着層
5’ 接着剤
11 ハウジング
12 ヒーター
13 送風機
15 入口
16 出口
17a、17b ローラー
19a、19b コンベヤ
20 多層配線板
20’ 多層配線板の前駆体
30 ローラー式熱圧着装置(製造装置)
Claims (3)
- 樹脂から成る可撓性の第1の絶縁層の表面に形成された第1の配線パターン上にバンプを設け、
樹脂から成る可撓性の第2の絶縁層の表面に形成された第2の配線パターンを覆うように、第2の絶縁層上に樹脂および溶剤を含んで成る接着剤を供給した上で、
第1および第2の配線パターンが互いに対向するように、第1および第2の絶縁層を積層して、多層配線板の前駆体を得、
得られた多層配線板の前駆体を溶剤が蒸発する加熱雰囲気に保たれたハウジング内にて1対のローラーの隙間に通過させて押圧することによって、第1の絶縁層と第2の絶縁層とを接着剤で接着しながら、第1の配線パターンと第2の配線パターンとをバンプにより電気的に接続し、これにより多層配線板を製造する
ことを含む、多層配線板の製造方法。 - バンプがスタッドバンプである、請求項1に記載の多層配線板の製造方法。
- 加熱雰囲気を有するハウジングと、
ハウジングの内部にて互いに隔間して配置される1対のローラーと
を備え、
第1の配線パターンが表面に形成され、第1の配線パターンの上にバンプが設けられた、樹脂から成る可撓性の第1の絶縁層と、第2の配線パターンが表面に形成され、樹脂および溶剤を含んで成る接着剤が第2の配線パターンを覆うように供給された、樹脂から成る可撓性の第2の絶縁層とを、第1および第2の配線パターンが互いに対向するように積層して成る多層配線板の前駆体を、溶剤が蒸発する加熱雰囲気に保たれたハウジング内にて、1対のローラーの隙間に通過させて押圧することによって、第1の絶縁層と第2の絶縁層とを接着剤で接着しながら、第1の配線パターンと第2の配線パターンとをバンプにより電気的に接続し、これにより多層配線板を製造する
ように構成されている、多層配線板の製造装置。
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