JP2003298151A - 分子デバイスの製造方法 - Google Patents

分子デバイスの製造方法

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JP2003298151A JP2002094211A JP2002094211A JP2003298151A JP 2003298151 A JP2003298151 A JP 2003298151A JP 2002094211 A JP2002094211 A JP 2002094211A JP 2002094211 A JP2002094211 A JP 2002094211A JP 2003298151 A JP2003298151 A JP 2003298151A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボトムアップ式の高分子密度デバイスの製造
方法を提供する。 【解決手段】 複数の結合性残基を分子内に有する分子
構造体と、増感剤とを用い、前記増感剤にエネルギーを
与えるエネルギー付与工程を含み、前記のエネルギーを
付与された増感剤から結合性残基へのエネルギー移動を
行うエネルギー移動過程、および前記のエネルギーを付
与された増感剤から結合性残基へ電子移動が行われる電
子付与過程のいずれか又は両方の過程を含み、前記のエ
ネルギー移動過程、または電子付与過程が、前記の結合
性残基の化学結合反応の駆動となり、殻構造を有する分
子構造体、および架橋剤を介して分子構造体間を連結し
た分子集合体を得る工程を含む、分子デバイスの製造方
法など。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結合性残基を周囲
に持つ分子構造体に光を照射し、光化学過程や光物理過
程を利用して、分子周囲、もしくは分子構造体同士を選
択的かつ効率的に連結させ、分子レベルで結合様式を制
御した分子集合体の製造方法に関する。本手法を適用す
ることで、各種三次元的高密度分子分子デバイスの作製
が容易となる。
【0002】
【従来の技術】現在のシリコン半導体素子は、超微細化
と高密度集積化により、コンピューターの能力を著しく
向上させた。シリコン半導体素子では、シリコンに微量
の不純物を混ぜてn型やp型の半導体としているが、超
微細加工が進むことによって、一つの素子に含まれる不
純物原子の数が極端に減少するために原理的にはもはや
半導体として動作することができない。その限界とされ
ている素子寸法は数10nmであり、現在のペースで超
微細加工技術が進むと数十年後にはその限界に達すると
予測される。化学増幅型フォトレジストを用いた光リソ
グラフィーによる微細加工技術においては、可視光から
紫外光、深紫外光照射に移行していきているが、70n
m程度の解像度が限界とされている。最近では、より照
射波長の短いX線、集束イオンビーム、電子線リソグラ
フィーなどの適用が検討されているものの、これらの照
射波長を用いるためには、新たなフォトレジスト、電子
線レジスト、光学系、マスクの開発や生産コストの低下
などが望まれているが、この技術・実用的な問題は現段
階では改善されていない。したがって、トップダウン概
念による技術は限界に達している。ボトムアップ概念に
基づく技術として、現在、走査プローブ顕微鏡を用いた
手法が注目を集めている。一つは、走査トンネル顕微鏡
(STM)を用いて原子や分子を任意の場所に配置、反
応させることで、ナノメートルの構造を作製できる。こ
の研究は、科学雑誌である、Y.Okawa and
M.Aono,Nature,409,683(200
1).に記載されている。また、原子間力顕微鏡(AF
M)の微小の針先にチオール分子の溶液を基板に描画す
ることで、ナノメートルでパターン化した自己組織化膜
の作製に成功している。この研究は、科学雑誌である、
R.D.Piner,J.Zhu,F.Xu,S.Ho
ngand C.A.Mirkin,Science,
283,661(1999).に記述されている。どち
らの技術も、ナノメートル領域の二次元構造体を作製す
るには秀逸な手法ではあるが、三次元構造体を構築する
ことは困難であり、また、生産コストという観点から見
ても実用的ではない。以上のデバイス作製手法は、いわ
ゆるトップダウン技術の概念に基づいており、より小さ
なサイズでの三次元的な分子デバイスの作製は困難であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、世界的にナノメ
ートル程度の寸法でも動作可能な新しい高密度分子分子
デバイスの開発が精力的に進められている。例えば、電
子1個でスイッチのオン・オフを制御する単電子素子
や、機能性有機分子を分子構造体として用いる分子デバ
イスなどが提案されている。これら新しい概念に基づい
た分子デバイスを実用化するためには、まだ多くの課題
を解決しなければならない。そのひとつの大きな問題と
して、個々の分子を如何に選択的に連結させることが挙
げられる。これは、ボトムアップ技術の大きな問題点で
あり、科学雑誌である日経サイエンス、2001年、1
2月号、37ページにおいても言及されている。したが
って、これまでに個々の分子素子の結合を制御する有効
な方法は見出されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、高密度分子分子デ
バイスを作製する際に必要とされる各々の分子構造体を
光照射などにより連結できることを見いだした。上記課
題の少なくともひとつ以上は、以下の発明により解決さ
れる。
【0005】(1)本願の第一の発明は、複数の結合性
残基を分子内に有する分子構造体と、増感剤とを用い、
前記増感剤にエネルギーを与えるエネルギー付与工程に
より、前記分子構造体の結合性残基を結合させ殻構造を
有する分子構造体を得る工程を含む、分子デバイスの製
造方法である。増感剤に与えられたエネルギーが、分子
構造体に伝播する。分子構造体に伝播したエネルギーが
結合性残基を結合させることに使われる。ここで、結合
性残基の数が複数とは2以上を意味し、分子構造体の構
造によって結合性残基の数は変化するが、通常は4つ以
上1000以下であり、8つ以上512以下が好まし
く、16以上255以下がさらに好ましい(以下同様で
ある)。このような工程で得られた分子構造体は、例え
ば、殻構造を持った機能性のナノパーティクルなどが挙
げられ、機能性ナノパーティクルからなる分子デバイス
は、様々なナノパーティクルの性質に応じた様々な機能
を有することとなる。 (2)本願の別の発明は、「複数の結合性残基を分子内
に有する分子構造体と、増感剤とを用い、前記増感剤に
エネルギーを与えるエネルギー付与工程を含み、前記の
エネルギーを付与された増感剤から結合性残基へのエネ
ルギー移動を行うエネルギー移動過程、および前記のエ
ネルギーを付与された増感剤から結合性残基へ電子移動
が行われる電子付与過程のいずれか又は両方の過程を含
み、前記のエネルギー移動過程、または電子付与過程
が、前記の結合性残基の化学結合反応の駆動となり、殻
構造を有する分子構造体を得る工程を含む、分子デバイ
スの製造方法」である。。このような工程で得られた分
子構造体は、例えば、殻構造を持った機能性のナノパー
ティクルなどが挙げられ、機能性ナノパーティクルから
なる分子デバイスは、様々なナノパーティクルの性質に
応じた様々な機能を有することとなる。 (3)本願の別の発明は、「複数の結合性残基を分子内
に有する分子構造体と、増感剤と、結合性残基を複数個
含む架橋剤とを用い、前記増感剤にエネルギーを与える
エネルギー付与工程により分子構造体の分子内にある結
合性残基と前記架橋剤とを架橋させ、三次元的に複数の
分子構造体が連結した分子集合体を得る工程を含む、分
子デバイスの製造方法」である。このような工程を経て
得られた分子集合体としては、例えば、ナノワイヤが挙
げられる。ナノワイヤの一例としては、分子構造体が規
則正しく配列したものが挙げられる。それぞれの分子構
造体は、光メモリ効果など様々な機能を有する分子素子
として機能する。そして、それら分子構造体が、直線
状、格子状、放射状など1次元的、2次元的または3次元
的に次々と連結することで様々な機能を有する分子集合
体(または分子デバイス)を製造することができる。分
子構造体のなかの結合性残基位置を制御することで分子
構造体が連結する位置を制御することができ、分子構造
体が連結しあい次々と拡大し分子集合体を形成する成長
の方向を制御することにつながる。そして、分子集合体
を構成する分子構造体同士の間隔も架橋剤の長さなどを
制御することにより制御できる。なお、架橋剤中に存在
する結合性残基の数としては、2以上であれば特に限定
されないが、2以上10以下が好ましく、2以上4以下
がさらに好ましい(以下、同様である。)。 (4)本願の別の発明は、「複数の結合性残基を分子内
に有する分子構造体と、増感剤と、結合性残基を複数個
含む架橋剤とを用い、前記増感剤にエネルギーを与える
エネルギー付与工程を含み、前記のエネルギーを付与さ
れた増感剤から前記分子構造体の結合性残基および架橋
剤の結合性残基のうちいずれかまたは両方へのエネルギ
ー移動、または電子移動を含む過程であるエネルギー移
動過程、または電子移動過程のいずれかまたは両方の過
程を含み、前記のエネルギー移動過程、または電子付与
過程により分子構造体の分子内にある結合性残基と前記
架橋剤とを架橋させ、三次元的に複数の分子構造体が前
記の架橋剤を介して連結した分子集合体を得る工程を含
む、分子デバイスの製造方法。」である。このような工
程を経て得られた分子集合体としては、例えば、ナノワ
イヤが挙げられる。ナノワイヤの一例としては、分子構
造体が規則正しく配列したものが挙げられる。 (5)本願の別の発明は、「前記エネルギー付与工程で
増感剤に与えられるエネルギーは、電子、イオン、及び
電磁波のいずれか、またはこれらの組み合わせによるエ
ネルギーである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の
分子デバイスの製造方法。」である。 (6)本願の別の発明は、「前記エネルギー付与工程で
増感剤に与えられるエネルギーは、紫外線、可視光線、
赤外線による光エネルギーである上記(1)〜(4)の
いずれかに記載の分子デバイスの製造方法」である。 (7)本願の別の発明は、「前記のエネルギー付与工程
で増感剤に与えられるエネルギーが、紫外線、可視光
線、赤外線による光エネルギーであり、エネルギー移動
過程によりエネルギーを付与された増感剤から結合性残
基へエネルギーが移動することを特徴とする上記(1)
〜(4)のいずれかに記載の分子デバイスの製造方
法。」である。 (8)本願の別の発明は、「前記のエネルギー付与工程
で増感剤に与えられるエネルギーが、紫外線、可視光
線、赤外線による光エネルギーであり、前記のエネルギ
ー移動過程のおけるエネルギー移動が三重項エネルギー
移動過程である上記(7)に記載の分子デバイスの製造
方法。」である。 (9)本願の別の発明は、「前記の結合性残基が、光結
合性残基である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の
分子デバイスの製造方法。」である。 (10)本願の別の発明は、「前記の結合性残基が二重
結合、および三重結合のいずれかまたは両方を少なくと
もひとつ以上有する結合性残基である上記(1)〜
(8)のいずれかに記載の分子デバイスの製造方法。」
である。 (11)本願の別の発明は、「前記の結合性残基が、桂
皮酸基、α-シアノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン
基、シンナミリデンアセテート基、p―フェニレンジア
クリレート基、アセチレン基、ジアセチレン基、ジフェ
ニルアセチレン基のいずれかである上記(1)〜(8)
のいずれかに記載の分子デバイスの製造方法。」であ
る。 (12)本願の別の発明は、「内部よりも周囲部分の原
子密度が高く、周囲部分に結合性残基を有する分子構造
体と、前記の分子構造体内部に包接もしくは、共有結
合、イオン結合、配位結合、金属結合や水素結合した光
増感剤分子とを用い、光照射により前記結合性残基を結
合させ、殻構造を有する分子構造体を得る殻形成工程を
含む、分子デバイスの製造方法。」である。 (13)本願の別の発明は、「前記の分子構造体は、骨
格構造を持つ骨格部分と、その骨格部分の外殻に設けら
れ、その骨格部分より原子密度が高く、複数の結合性残
基を有する末端部分とで構成され、前記の殻形成工程に
おいて、前記の光増感剤分子に光を照射することにより
分子構造体の末端部にある結合性残基を結合させること
を特徴とする上記(12)に記載の分子デバイスの製造
方法。」である。 (14)本願の別の発明は、「前記の末端部分に存在す
る複数の結合性残基を結合させることにより、殻構造を
とった分子構造体を得ることを特徴とする上記(12)
に記載の分子デバイスの製造方法。」である。 (15)本願の別の発明は、「更に架橋剤分子を含み、
前記の架橋工程において前記の結合性残基と架橋剤分子
とを架橋させ、複数の分子構造体を三次元的に架橋性分
子を介して連結することを特徴とする上記(12)に記
載の分子デバイスの製造方法。」である。 (16)本願の別の発明は、「前記の結合性残基が、光
結合性残基である上記(12)〜(15)のいずれかに
記載の分子デバイスの製造方法。」である。 (17)本願の別の発明は、「前記の結合性残基が二重
結合、および三重結合のいずれかまたは両方を少なくと
もひとつ以上有する結合性残基である上記(12)〜
(15)のいずれかに記載の分子デバイスの製造方
法。」である。 (18)本願の別の発明は、「前記の結合性残基が、桂
皮酸基、α-シアノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン
基、シンナミリデンアセテート基、p―フェニレンジア
クリレート基、アセチレン基、ジアセチレン基、ジフェ
ニルアセチレン基のいずれかである上記(12)〜(1
5)のいずれかに記載の分子デバイスの製造方法。」で
ある。 (19)本願の別の発明は、「前記の分子構造体が、デ
ンドリマーである上記(1)〜(18)のいずれかに記
載の分子デバイスの製造方法。」である。 (20)本願の別の発明は、「前記のデンドリマーが、
下記式(I)または下記式(II)で表される上記(1
9)に記載の分子デバイスの製造方法。」である。
【化3】
【化4】 なお、一般式(1)及び(2)中、nとしては、1〜1
0が挙げられ、2〜10が好ましく、3〜8が更に好ま
しい。また、一般式(2)におけるR(連結基)として
は、例えば、C1−C10アルキレン基や、C2−C10アル
ケニレン基が挙げられるが、デンドリマーに用いられる
連結基であれば、特に限定されるものではない。 (21)一般式(II)におけるRが、C1−C10アルキ
レン基またはC2−C10アルケニレン基である上記(2
0)に記載の分子デバイスの製造方法。 (22)一般式(I)、一般式(II)におけるnが、そ
れぞれ2〜10の数である上記(20)または上記(2
1)に記載の分子デバイスの製造方法。 (23)骨格構造を持つ骨格部分と、その骨格部分の外
殻に設けられ、その骨格部分より原子密度が高く、複数
の結合性残基を有する末端部分とで構成された分子構造
体と、分子構造体に包接された光増感剤分子を用い、前
記の光増感剤分子に光を照射し、スペクトル増感を利用
して分子構造体の末端部にある結合性残基を結合させる
ことにより得られる、殻構造を有する分子構造体。 (24)骨格構造を持つ骨格部分と、その骨格部分の外
殻に設けられ、その骨格部分より原子密度が高く、複数
の結合性残基を有する末端部分とで構成された分子構造
体と、分子構造体に包接された光増感剤分子と、架橋剤
分子を用い、前記の光増感剤分子に光を照射することに
より前記の結合性残基と架橋剤分子とを架橋させ、複数
の分子構造体を連結することにより得られる分子集合
体。 (25)上記(23)に記載の殻構造を有する分子構造
体、または上記(24)に記載の分子集合体を含む分子
デバイス。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の分子構造体、分子
集合体、および高密度分子分子デバイスの製造方法など
について詳述する。本発明の高密度分子分子デバイスの
製造方法は、例えば、内部よりも周囲部分の原子密度が
高く、周囲部分に結合性残基を有する分子構造体を用い
る。本発明の一態様によれば、分子構造体の周囲に存在
する結合性残基を分子構造体内であるいは分子構造体間
で架橋させることによって分子構造体または分子集合体
を製造する。本発明においては、分子構造体および増感
剤を含む溶液または固体に前記増感剤が吸収する波長の
光などのエネルギーを与える。溶液または固体中には、
結着樹脂(バインダー)やその他の副資材が含まれてい
てもよい。本発明においては、増感剤に光エネルギーを
吸収させ、増感剤が吸収したエネルギーをデンドリマー
などの分子構造体へ伝え、または、電子、イオンやラジ
カルが移動し、分子構造体に存在する結合性残基が結合
反応や架橋反応を起こすことなどを利用して、殻構造を
有する分子構造体や分子構造体が3次元的に連結した分
子集合体などを製造する。それぞれの分子構造体は、光
メモリ効果など様々な機能を有する分子素子として機能
することが好ましい。そして、それら分子構造体が、直
線状、格子状、放射状など1次元的、2次元的または3次
元的に次々と連結することで様々な機能を有する分子集
合体(または分子デバイス)を製造することができる。
分子構造体のなかの結合性残基位置を制御することで分
子構造体が連結する位置を制御することができ、分子構
造体が連結しあい次々と拡大し分子集合体を形成する成
長の方向を制御することにつながる。そして、分子集合
体を構成する分子構造体同士の間隔も架橋剤の長さなど
を制御することにより制御できる。
【0007】分子構造体としては、増感剤を包接するこ
とができる分子や、増感剤と共有結合、イオン結合、配
位結合、金属結合や水素結合した分子が好ましく、特に
光・電子機能性を有するデンドリマー(ハイパーブラン
チポリマー)が好ましいが、結合性残基を有する化合物
であれば特に限定されるものではない。デンドリマー分
子は、それ自身ナノメートル空間を有し、その空間に異
分子や異原子を包接可能という特徴がある。デンドリマ
ーの包接現象に関する詳細は学術誌である、J.Jan
sen,E.Berg,E.Meijer,Scien
ce,266,1226(1994);A.Coope
r,J.Londono,G.Wignall,J.M
cClain,E.Samulski,J.Lin,
A.Dobrynin,M.Rubinstein,
A.Burke,J.Frechet,J.DeSim
one,Nature,389,368(1997)に
記載されている。
【0008】分子構造体中の結合性残基(光架橋性残
基)としては、(a)ビニル基、アクリレート基やメタ
クリレート基のような不飽和二重結合を有する脂肪族系
残基、(b)桂皮酸基、α-シアノ桂皮酸基、クマリン
基、カルコン基、シンナミリデンアセテート基、p―フ
ェニレンジアクリレート基やジスチリルピラジン基とい
った不飽和二重結合を有する芳香族系残基、(c)アセ
チレン基やジアセチレン基のような不飽和三重結合を有
する脂肪族系残基、(d)ジフェニルアセチレン基、フ
ェニルアジド基やジピリジルジアセチレン基のような不
飽和三重結合を有する芳香族系残基が挙げられる。ま
た、これら誘導体でも構わない。(a)はラジカル重合
反応を示すために、光ラジカル重合開始剤を必要とす
る。一方、(b−d)の光架橋性残基は、〔2π−2
π〕光二量化反応のようなウッドワード・ホフマン則に
従った光付加反応を示すので、(a)の場合のような光
重合開始剤は不要である。これら感光性基に関する詳細
は、永松 元太郎、乾 英夫 共著、「感光性高分
子」、講談社サイエンティフィック、(1977)に記
載されている。
【0009】光により架橋体を作成する場合の照射する
光としてはX線、電子線、紫外線、可視光線または赤外
線(熱線)が用いられる。こららの中でも、紫外線もし
くは可視光線が特に好ましい。光源としては、超高圧水
銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセ
ノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、気体レーザー、
液体レーザー、固体レーザーなどが用いられる。また、
これらの光源から放出される光の表面プラズモン輻射な
どを用いても良い。結合性残基同士を結合(架橋)させ
たり、各分子構造体を連結するために、結合性残基を直
接励起し、分子内結合や分子間結合を誘起してもよい
し、架橋剤などを用いて架橋させることにより分子内架
橋および分子間架橋を形成してもよい。各分子構造体を
連結するために、結合性残基(光架橋性残基)を直接励
起し、光架橋反応を誘起しても構わないが、本発明の特
徴は、より効率的かつ選択的にナノメートル領域の分子
構造体内や分子構造体間を結合させるために、「スペク
トル増感」を利用する。このようにスペクトル増感を利
用することで、図1および図2に示したように、分子構
造体のナノパーティクルやナノワイヤの作製が容易にな
る。その際、前述したようにデンドリマー分子の分子内
に異分子や異原子を包接できる特徴を利用して、結合性
残基(光架橋性残基)をスペクトル増感できるような分
子、いわば増感剤を添加することが好ましい。増感剤の
詳細については、徳丸 克己、大河原 信 共著、「増
感剤」、講談社サイエンティフィック、(1987)に
記述されている。スペクトル増感の機構には、光電子移
動と光エネルギー移動とがあるが、この光エネルギー移
動は、さらに光励起状態の違いによって二種類にあり、
双極子―双極子相互作用に基づく一重項エネルギー移動
(フェルスター型)と電子交換相互作用に基づく三重項
エネルギー移動(デックスター型)に大別できる。光エ
ネルギー移動に関する詳細は、N.Turro,Mod
ern Molecular Photochemis
try,University Science Bo
oks(1991)に記載されている。光電子移動の移
動距離は0.4nm〜2.0nm程度であり、一重項、
三重項エネルギー移動の移動距離はそれぞれ1.0〜1
0nm、0.3〜1.0nm程度である。これらのスペ
クトル増感機構のうち、本発明は、ナノメートル領域で
スペクトル増感する三重項エネルギー移動を利用して、
光・電子機能性分子構造体を光連結することが好まし
い。
【0010】本明細書において架橋とは、2以上の分子
構造体を連結する橋渡しとなる連結方法のほかに、結合
性残基同士が結合する場合をも意味する。本発明におい
て、架橋剤分子は、分子構造体の結合性残基同士を連結
する分子を意味する。例えば、ブタジエン、ペンタジエ
ン、分子構造体の結合性残基の置換物などが挙げられ
る。架橋剤を用いることで、間隔を制御しつつ分子構造
体同士を連結し規則性のある分子集合体を得ることが可
能となる。
【0011】本発明の、分子デバイスの製造方法では、
例えば以下の殻構造を有する分子構造体、または分子集
合体が中間生成物として得られてもよい。殻構造を有す
る分子構造体(以下、「ナノパーティクル」ともい
う。)は、例えば、内部よりも周囲部分の原子密度が高
く、周囲部分に結合性残基を有する分子構造体の、結合
性残基を架橋させ殻とさせることにより製造される。す
なわち、分子構造体の周囲に存在する結合性残基部分同
士が結合しあい、殻のような状態になったものが、殻構
造を有する分子構造体である。特に、分子構造体の密度
が高くなく、分子構造体同士の分子間距離が大きい場合
は、ナノパーティクルが主に製造される。図1を用い
て、ナノパーティクルの一例を説明する。デンドリマー
などの分子構造体1(a)は、その周囲や、内部に増感
剤3を有している。そして、増感剤が光照射によるエネ
ルギーを吸収する。増感剤が吸収したエネルギーは、分
子構造体へと移行する10。すると、分子構造体1で
は、移行されたエネルギーにより、結合性残基同士が結
合(架橋)し、架橋反応部分9を形成する(図1b)。
このようにして、架橋反応部分が殻を形成し、ナノパー
ティクルを形成する。
【0012】本発明の分子集合体(以下、「ナノワイ
ヤ」ともいう。)は、例えば内部よりも周囲部分の原子
密度が高く、周囲部分に結合性残基を有する分子構造体
の結合性残基を架橋させ、隣接する分子構造体の結合性
残基を結合させることにより製造される。本発明の分子
構造体は、例えば分子内に複数の結合性残基を有してい
るので、架橋が進行すると、例えば、放射状に複数の分
子構造体が集合することとなる。特に、分子構造体の密
度が高く、分子構造体同士の分子間距離が小さい場合
は、ナノワイヤが主に製造される。図2を用いて、ナノ
ワイヤについて説明する。図2aにあるように結合性残
基を周囲部分に有する分子構造体1や増感剤3に光を照
射する。増感剤が光照射によるエネルギーを吸収する。
増感剤が吸収したエネルギーは、分子構造体へと移行す
る10。すると図2bにあるように、分子構造体1内の
架橋性残基と架橋剤5が架橋し、架橋反応部分9を形成
し、分子集合体7が得られる(図2b)。また、架橋剤を
加え架橋を進行させた場合は、分子構造体の結合性残基
と架橋剤とが架橋反応を起こし、分子構造体同士の距離
を制御した形で分子構造体が集合することにより分子集
合体を得ることもできる。
【0013】分子デバイスは、例えば、上記のナノパー
ティクルやナノワイヤを用いたものが挙げられる。分子
構造体は、様々な機能を有するが、この分子構造体の集
合様式を分子・ナノレベルで制御し分子デバイスを得る
ことができる。例えば、分子構造体のうち、結合性残基
の位置を制御し、架橋させることで、分子集合体の3次
元的な構造を制御することができる。
【0014】例えば、分子構造体は様々な機能を持つ
が、このような分子構造体同士を連結し、好ましい方向
へ架橋剤を介して次々と連結させることにより分子デバ
イスを得ることができる。この架橋部分は、機能性のあ
る分子構造体が電気信号などの情報を伝達する際の情報
伝達路となり得る。このようにすることで、あたかもニ
ューロンが他のニューロンに向けて軸索を伸ばしていく
かのように情報伝達システムとして機能する分子デバイ
スをえることができる。また、電極間において、この分
子デバイスの製造方法を適用させると、分子構造体が連
結し、情報を伝達することができる分子デバイスを得る
ことができる。この分子デバイスを用いれば、機能性を
有する分子素子(分子構造体)の連結からなる分子デバ
イスを用いた機能性製品を得ることができる。図3は、
そのような製造方法によって製造され得る分子デバイス
である単一電子トランジスタ(SET)の一例を表す概
図である。図3において、1は分子素子として機能しう
る分子構造体を表し、5は、架橋剤を表し、9は架橋反
応部分を表し、11は電極を表す。図3に示されるSE
Tは、以下のようにして製造した。まず、50nm程度
の間隔をもった電極11を用意した。この電極11の間
隔は、10nm〜1μm程度とすることができる。その
後、その電極間を連結するように、両極(正対照の位
置)に結合性残基を有するデンドリマー、増感剤及び架
橋剤を有する溶液を用意した。その後、デンドリマーを
有する溶液に光を照射した。すると、図3に示されるよ
うな分子デバイス(SET)を得ることができた。この
分子デバイスに電圧を印加したところ、電流−電圧特性
が階段状の現象(クーロンブロッケード現象)が観測さ
れた。これから、光照射によって連結した架橋剤が、ト
ンネル層として機能していることがわかった。
【0015】図4は、本発明の別の分子デバイスである
T字型オプトエレクトロニクス素子(TOED)の一例
を表す概念図である。以下にTOEDの製造方法の一例
を説明する。まず、雲母からなる基板を用意した。基板
は、金、銅、白金、又は雲母などの絶縁体であってもよ
い。次に、4種類の分子構造体A、B、CおよびD、増
感剤を含む溶液に基板を浸した。この際、溶液には、架
橋剤が含まれていても良い。分子構造体Aは、1位が、
分子構造体Bのある結合性残基と結合するような結合性
残基を有している。なお、10位が分子構造体Cのある
結合性残基と結合する結合性残基を有していてもよい。
(この場合、得られる分子デバイスは、TOEDではな
く、T字型オプトエレクトロニクスの連続体となる。)
また、分子構造体Bは、1位、5位、10位がそれぞ
れ、分子構造体C,D,Aのある結合性残基と結合する
ような結合性残基を有する。なお、15位に、分子構造
体Dのある結合性残基と結合するような結合性残基を有
していても良い。(この場合、得られる分子デバイス
は、TOEDではなく、T字型オプトエレクトロニクス
の連続体となる。) この溶液に光を照射したところ、基板上に分子デバイス
が形成された。分子デバイスのうち分子構造体Aに光信
号を入力したところ、約30psで、分子構造体Bから
出力が観測された。一方、分子構造体D部分を酸化した
ところ、分子構造体Aに光信号を入力しても分子構造体
B部分からの出力は得られなかった。
【0016】また、本発明の分子デバイスを用いて、例
えば、特開2001−44413号公報に記載された分
子集積回路を製造することができる。本発明の分子デバ
イスを用いた分子集積回路は、特開2001−4441
3号公報に記載された分子集積回路と同様にして、NAND
回路、NOR回路、インバーター回路、ランダムアクセス
メモリーセル、リードオンリーメモリーセルなどとして
利用することができる。本発明においては、光増感反応
を利用して、分子デバイスを構築することができるの
で、より正確かつ迅速に、分子デバイスを製造すること
ができる。
【0017】
【実施例】(実施例1−1)桂皮酸アミド残基を分子周
囲に有する第一世代ポリプロピレンイミンデンドリマー
(一般式(1)においてn=1)のジクロロメタン溶液
に、増感剤として4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベ
ンゾフェノンを各々混合し、過剰量のヘキサンに再沈殿
した。この沈殿物をジクロロメタンで透析し、再度、再
沈殿を行った。4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベン
ゾフェノンを包接した第一世代ポリプロピレンイミンデ
ンドリマーのジクロロメタン溶液に、出力が200Wの
水銀キセノンランプから波長が365nmの光を取り出
し、光照射した。この際、溶液の温度は、室温であっ
た。桂皮酸アミド残基は365nmの光を吸収しない
が、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
は365nm付近に吸収帯を持つ。紫外・可視吸収スペ
クトル測定から、デンドリマー中に包接した4,4’−
ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンの分子数は、第
一世代では0個であることがわかった。前記のように調
整したデンドリマーを含むジクロロメタン溶液に365
nmの光を充分に照射しても、紫外・可視吸収スペクト
ルに変化が見られなかった。
【0018】(実施例1−2)第三世代ポリプロピレン
イミンデンドリマー(一般式(1)においてn=3)を
用いた以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を
製造した。紫外・可視吸収スペクトル測定から、デンド
リマー中に包接した4,4’−ビス(ジメチルアミノ)
ベンゾフェノンの分子数は、第三世代では3個であるこ
とがわかった。
【0019】(実施例1−3)第五世代ポリプロピレン
イミンデンドリマー(一般式(1)においてn=5)を
用いた以外は、実施例1−1と同様にして分子集合体を
製造した。紫外・可視吸収スペクトル測定から、デンド
リマー中に包接した4,4’−ビス(ジメチルアミノ)
ベンゾフェノンの分子数は、第五世代では8個であるこ
とがわかった。
【0020】(実施例2−1)デンドリマーの桂皮酸ア
ミド単位とメタクリル酸メチルモノマー単位が1:10
になるように、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベン
ゾフェノンを包接した光架橋性デンドリマー分子(第三
世代ポリプロピレンイミンデンドリマー)をポリ(メタ
クリル酸メチル)に希釈分散した溶液を調整した。この
ように調整したポリ(メタクリル酸メチル)溶液をスピ
ンコート法によってガラス基板上に塗布した。溶液をガ
ラス基板に塗布した後、室温にて乾燥させデンドリマー
を含んだ固体を製造した。出力が200Wの水銀キセノ
ンランプから波長が365nmの光を取り出し、このガ
ラス基板に照射した。光照射にともなって、桂皮酸アミ
ド残基由来の280nm付近の吸収帯が減少した。光照
射後の吸収スペクトルを測定し、桂皮酸アミド残基のト
ランス体、シス体、光架橋体の存在比率を算出した。そ
の結果を表1に示す。
【0021】(実施例2−2)第五世代ポリプロピレン
イミンデンドリマーを用いた以外は、実施例2−1と同
様にして分子集合体を製造した。実施例2-1と同様に
して、光照射後の吸収スペクトルを測定し、桂皮酸アミ
ド残基のトランス体、シス体、光架橋体の存在比率を算
出した。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】 表1に示す結果により、光照射に伴って桂皮酸アミド残
基のトランス体生成比率は減少し、シス体と光架橋体生
成比率は増加したことがわかる。また、第三世代と第五
世代デンドリマーにおいて、桂皮酸アミドの光架橋体の
生成比率を比較すると、第三世代のデンドリマーの方が
第五世代よりも多いことがわかった。4,4’−ビス
(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンを包接したデンドリ
マーは、365nm光で3.0J/cm2という低露光
エネルギーで光架橋体を形成することができた。3.0
J/cm2という露光エネルギーは、桂皮酸アミド残基
を313nmの光で直接励起して光架橋体を製造する場
合に比べて低いエネルギーである。これは、増感剤が光
を吸収し、増感剤が吸収した光エネルギーによって結合
性残基が効果的に結合(架橋)したからであると考えら
れる。従って、本発明によれば、低エネルギーの照射光
を用いて高感度に単一分子構造体を光架橋することに成
功したといえる。
【0023】(実施例3)光照射後のデンドリマー/ポ
リ(メタクリル酸メチル)薄膜をスピン塗布溶媒である
ジクロロメタンに浸漬した。その結果、ガラス基板上か
ら膜が除去されていることが紫外・可視吸収スペクトル
測定から判断できた。このことから、デンドリマー希薄
溶液に光を照射した場合は、高分子が発生していないと
考えられる。これは、光照射によりデンドリマーの結合
性残基が結合し、主にナノパーティクルが生成したこと
によると考えられる。
【0024】(実施例4)光架橋性デンドリマーのみの
薄膜に365nmの光を充分照射して先と同様にジクロ
ロメタンに浸漬した。その結果、膜はガラス基板上に残
存した。このことからデンドリマーのみの薄膜に光を照
射した場合は、高分子化が進行したと考えられる。これ
は、光照射によりデンドリマー分子間に光架橋反応が進
行し、ナノワイヤが主に生成したことによると考えられ
る。
【発明の効果】本発明によれば、ナノパーティクルやナ
ノワイヤを効率的に製造できる。本発明によれば、ボト
ムアップ型の設計により分子デバイスを適切に製造でき
る。本発明のナノパーティクルやナノワイヤは、液晶材
料、機能性材料、電子機能性材料、触媒、ナノレベル電
子素子、ナノレベルFET、トナー原料、帯電制御剤、
電荷付与剤などプラスチックの副剤光、ドラッグデリバ
リーシステムなどとして利用可能である。本発明の、ナ
ノワイヤは、数nm〜数100nmレベルの周期性を利
用した、超高密度記憶材料、発光素子等で利用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の、ナノパーティクルの概念図であ
る。
【図2】 本発明の、ナノワイヤの概念図である。
【図3】 単一電子トランジスタ(SET)の一例を表
す概図である。
【図4】 T字型オプトエレクトロニクス素子(TOE
D)の一例を表す概念図である。
【符号の説明】
1 分子構造体 2 エネルギー 3 増感剤 5 架橋剤 7 分子集合体 9 架橋反応部分 10 エネルギー移動 11 電極

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の結合性残基を分子内に有する分子構
    造体と、増感剤とを用い、 前記増感剤にエネルギーを与えるエネルギー付与工程に
    より、前記分子構造体の結合性残基を結合させ殻構造を
    有する分子構造体を得る工程を含む、 分子デバイスの製造方法。
  2. 【請求項2】複数の結合性残基を分子内に有する分子構
    造体と、増感剤とを用い、 前記増感剤にエネルギーを与えるエネルギー付与工程を
    含み、 前記のエネルギーを付与された増感剤から結合性残基へ
    のエネルギー移動を行うエネルギー移動過程、および前
    記のエネルギーを付与された増感剤から結合性残基へ電
    子移動が行われる電子付与過程のいずれか又は両方の過
    程を含み、 前記のエネルギー移動過程、または電子付与過程が、前
    記の結合性残基の化学結合反応の駆動となり、殻構造を
    有する分子構造体を得る工程を含む、 分子デバイスの製造方法。
  3. 【請求項3】複数の結合性残基を分子内に有する分子構
    造体と、増感剤と、結合性残基を複数個含む架橋剤とを
    用い、 前記増感剤にエネルギーを与えるエネルギー付与工程に
    より分子構造体の分子内にある結合性残基と前記架橋剤
    とを架橋させ、三次元的に複数の分子構造体が連結した
    分子集合体を得る工程を含む、 分子デバイスの製造方法。
  4. 【請求項4】複数の結合性残基を分子内に有する分子構
    造体と、増感剤と、結合性残基を複数個含む架橋剤とを
    用い、 前記増感剤にエネルギーを与えるエネルギー付与工程を
    含み、 前記のエネルギーを付与された増感剤から前記分子構造
    体の結合性残基および架橋剤の結合性残基のうちいずれ
    かまたは両方へのエネルギー移動、または電子移動を含
    む過程であるエネルギー移動過程、または電子移動過程
    のいずれかまたは両方の過程を含み、 前記のエネルギー移動過程、または電子付与過程により
    分子構造体の分子内にある結合性残基と前記架橋剤とを
    架橋させ、三次元的に複数の分子構造体が前記の架橋剤
    を介して連結した分子集合体を得る工程を含む、 分子デバイスの製造方法。
  5. 【請求項5】前記エネルギー付与工程で増感剤に与えら
    れるエネルギーは、電子、イオン、及び電磁波のいずれ
    か、またはこれらの組み合わせによるエネルギーである
    請求項1〜4のいずれかに記載の分子デバイスの製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記エネルギー付与工程で増感剤に与えら
    れるエネルギーは、紫外線、可視光線、赤外線による光
    エネルギーである請求項1〜4のいずれかに記載の分子
    デバイスの製造方法。
  7. 【請求項7】前記のエネルギー付与工程で増感剤に与え
    られるエネルギーが、紫外線、可視光線、赤外線による
    光エネルギーであり、 エネルギー移動過程によりエネルギーを付与された増感
    剤から結合性残基へエネルギーが移動することを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の分子デバイスの製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記のエネルギー付与工程で増感剤に与え
    られるエネルギーが、紫外線、可視光線、赤外線による
    光エネルギーであり、 前記のエネルギー移動過程のおけるエネルギー移動が三
    重項エネルギー移動過程である請求項7に記載の分子デ
    バイスの製造方法。
  9. 【請求項9】前記の結合性残基が、光結合性残基である
    請求項1〜8のいずれかに記載の分子デバイスの製造方
    法。
  10. 【請求項10】前記の結合性残基が二重結合、および三
    重結合のいずれかまたは両方を少なくともひとつ以上有
    する結合性残基である請求項1〜8のいずれかに記載の
    分子デバイスの製造方法。
  11. 【請求項11】前記の結合性残基が、桂皮酸基、α-シ
    アノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン基、シンナミリデ
    ンアセテート基、p―フェニレンジアクリレート基、ア
    セチレン基、ジアセチレン基、ジフェニルアセチレン基
    のいずれかである請求項1〜8のいずれかに記載の分子
    デバイスの製造方法。
  12. 【請求項12】内部よりも周囲部分の原子密度が高く、
    周囲部分に結合性残基を有する分子構造体と、 前記の分子構造体内部に包接もしくは、共有結合、イオ
    ン結合、配位結合、金属結合や水素結合した光増感剤分
    子とを用い、 光照射により前記結合性残基を結合させ、殻構造を有す
    る分子構造体を得る殻形成工程を含む、 分子デバイスの製造方法。
  13. 【請求項13】前記の分子構造体は、骨格構造を持つ骨
    格部分と、その骨格部分の外殻に設けられ、その骨格部
    分より原子密度が高く、複数の結合性残基を有する末端
    部分とで構成され、 前記の殻形成工程において、前記の光増感剤分子に光を
    照射することにより分子構造体の末端部にある結合性残
    基を結合させることを特徴とする請求項12に記載の分
    子デバイスの製造方法。
  14. 【請求項14】前記の末端部分に存在する複数の結合性
    残基を結合させることにより、 殻構造をとった分子構造体を得ることを特徴とする請求
    項12に記載の分子デバイスの製造方法。
  15. 【請求項15】更に架橋剤分子を含み、 前記の結合性残基と架橋剤分子とを架橋させ、複数の分
    子構造体を三次元的に架橋性分子を介して連結すること
    を特徴とする請求項12に記載の分子デバイスの製造方
    法。
  16. 【請求項16】前記の結合性残基が、光結合性残基であ
    る請求項12〜15のいずれかに記載の分子デバイスの
    製造方法。
  17. 【請求項17】前記の結合性残基が二重結合、および三
    重結合のいずれかまたは両方を少なくともひとつ以上有
    する結合性残基である請求項12〜15のいずれかに記
    載の分子デバイスの製造方法。
  18. 【請求項18】前記の結合性残基が、桂皮酸基、α-シ
    アノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン基、シンナミリデ
    ンアセテート基、p―フェニレンジアクリレート基、ア
    セチレン基、ジアセチレン基、ジフェニルアセチレン基
    のいずれかである請求項12〜15のいずれかに記載の
    分子デバイスの製造方法。
  19. 【請求項19】前記の分子構造体が、デンドリマーであ
    る請求項1〜18のいずれかに記載の分子デバイスの製
    造方法。
  20. 【請求項20】前記のデンドリマーが、下記式(I)ま
    たは下記式(II)で表される請求項19に記載の分子デ
    バイスの製造方法。 【化1】 【化2】
  21. 【請求項21】一般式(II)におけるRが、C1−C10
    アルキレン基またはC2−C10アルケニレン基である請
    求項20に記載の分子デバイスの製造方法。
  22. 【請求項22】一般式(I)、一般式(II)におけるn
    が、それぞれ2〜10の数である請求項20または請求
    項21に記載の分子デバイスの製造方法。
  23. 【請求項23】骨格構造を持つ骨格部分と、その骨格部
    分の外殻に設けられ、その骨格部分より原子密度が高
    く、複数の結合性残基を有する末端部分とで構成された
    分子構造体と、分子構造体に包接された光増感剤分子を
    用い、 前記の光増感剤分子に光を照射し、スペクトル増感を利
    用して分子構造体の末端部にある結合性残基を結合させ
    ることにより得られる、殻構造を有する分子構造体。
  24. 【請求項24】骨格構造を持つ骨格部分と、その骨格部
    分の外殻に設けられ、その骨格部分より原子密度が高
    く、複数の結合性残基を有する末端部分とで構成された
    分子構造体と、分子構造体に包接された光増感剤分子
    と、架橋剤分子を用い、 前記の光増感剤分子に光を照射することにより前記の結
    合性残基と架橋剤分子とを架橋させ、複数の分子構造体
    を連結することにより得られる分子集合体。
  25. 【請求項25】請求項23に記載の殻構造を有する分子
    構造体、または請求項24に記載の分子集合体を含む分
    子デバイス。
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