JP3498143B2 - 分子デバイスの製造方法 - Google Patents

分子デバイスの製造方法

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JP3498143B2
JP3498143B2 JP2002091548A JP2002091548A JP3498143B2 JP 3498143 B2 JP3498143 B2 JP 3498143B2 JP 2002091548 A JP2002091548 A JP 2002091548A JP 2002091548 A JP2002091548 A JP 2002091548A JP 3498143 B2 JP3498143 B2 JP 3498143B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結合性残基を周囲
に持つ分子構造体に光を照射し、光化学過程や光物理過
程を利用して、分子周囲、もしくは分子構造体同士を選
択的かつ効率的に連結させ、分子レベルで結合様式を制
御した分子集合体の製造方法に関する。本手法を適用す
ることで、各種三次元的分子デバイスの作製が容易とな
る。
【0002】
【従来の技術】現在のシリコン半導体素子は、超微細化
と高密度集積化により、コンピューターの能力を著しく
向上させた。シリコン半導体素子では、シリコンに微量
の不純物を混ぜてn型やp型の半導体としているが、超
微細加工が進むことによって、一つの素子に含まれる不
純物原子の数が極端に減少するために、ある限界を過ぎ
ると原理的にはもはや半導体として動作することができ
なくなる。その限界とされている素子寸法は数10nm
であり、現在のペースで超微細加工技術が進むと数年後
にはその限界に達すると予測される。化学増幅型フォト
レジストを用いた光リソグラフィーによる微細加工技術
においては、可視光から紫外光、深紫外光照射に移行し
ていきているが、70nm程度の解像度が限界とされて
いる。最近では、より照射波長の短いX線、集束イオン
ビーム、電子線リソグラフィーなどの適用が検討されて
いるものの、これらの照射波長を用いるためには、新た
な感光性樹脂、光学系、マスクの開発や生産コストの低
下なども望まれており、この技術・実用的な問題は現段
階では解決されていない。上記のような従来のデバイス
作製手法は、いわゆるトップダウン技術の概念に基づい
ており、ナノメートルサイズでの三次元的な分子デバイ
スの作製は困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、世界的にナノメ
ートル程度の寸法でも動作可能な新しい分子デバイスの
開発が精力的に進められている。例えば、電子1個でス
イッチのオン・オフを制御する単電子素子や、機能性有
機分子を分子構造体として用いる分子デバイスなどが提
案されている。これら新しい概念に基づいた分子デバイ
スを実用化するためには、まだ多くの課題を解決しなけ
ればならない。そのひとつの大きな問題として、個々の
分子を如何に選択的に連結させることが挙げられる。こ
れは、ボトムアップ技術の大きな問題点であり、科学雑
誌である日経サイエンス、2001年、12月号、37
ページにおいても言及されている。したがって、これま
でに個々の分子素子の結合を制御する有効な方法は見出
されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、分子デバイスを作
製する際に必要とされる各々の分子構造体を光照射など
により連結できることを見いだした。上記課題の少なく
ともひとつ以上は、以下の発明により解決される。 (1)光結合性残基である結合性残基をその末端部位に
有する下記の一般式(A)で表されるデンドリマーに光
を照射する工程を含む、殻構造を有する分子構造体の製
造方法。 一般式(A)中、A〜Dは、それぞれ、桂皮酸基、α-シ
アノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン基、シンナミリデ
ンアセテート基、p―フェニレンジアクリレート基、ア
セチレン基、ジアセチレン基、ジフェニルアセチレン基
のいずれかである。例えば、デンドリマーなどは、内部
(いわゆるコア部分など)よりも、周囲部分(枝部な
ど)の原子密度が高い。この発明では、このように分子
の中心付近よりも分子の外側部分に多くの原子が存在す
る分子構造体のうち、その周囲部分(外側部分)に結合
性残基を有する分子構造体を用い、前記の結合性残基を
架橋(結合を含む)させ、分子デバイスを製造する。分
子構造体の結合性残基を架橋させることで、ナノパーテ
ィクルやナノワイヤを製造することができ、これらを用
いることで、機能性分子構造体や機能性分子集合体を高
密度に集合させた分子デバイスを製造することができ
る。なお、殻構造をとった分子構造体をナノパーティク
ルとも呼ぶ。ナノパーティクルは、殻の内部に空間を有
し、さまざまな物質を包含できる。 (2) 前記デンドリマーが、下記の一般式(I)、又
は一般式(II)で表される(1)に記載の殻構造を有
する分子構造体の製造方法。
【化3】
【化4】 (ただし、一般式(II)におけるRは、C1−C10アル
キレン基またはC2−C10アルケニレン基である。) (3)前記デンドリマーが前記一般式(I)、又は(I
I)で表されるデンドリマーであり(ただし、一般式
(II)におけるRは、C1−C10アルキレン基またはC2
−C10アルケニレン基である。)、当該デンドリマーを
含む溶液に光を照射する工程を含む、(1)に記載の殻
構造を有する分子構造体の製造方法。 (4)前記一般式(I)、又は一般式(II)(ただ
し、一般式(II)におけるRは、C1−C10アルキレン
基またはC2−C10アルケニレン基である。)におい
て、nが1〜5のいずれかである殻構造を有する(3)
に記載の殻構造を有する分子構造体の製造方法。 (5)前記デンドリマーを含む溶液が、前記一般式
(I)で表されるデンドリマーを桂皮酸アミド単位で
3.0×10-5モル濃度(mol/L)含むジクロロメ
タン溶液であり、前記デンドリマーを含む溶液に照射さ
れる光は、波長が313nmの光である(3)、又は
(4)に記載の殻構造を有する分子構造体の製造方法。 (6)(1)又は(2)に記載の殻構造を有する分子構
造体の製造方法であって、前記のデンドリマーを含む溶
液を基板に塗布する工程と、塗布液を乾燥させ固化させ
る工程と、固化した塗布液に光を照射する工程と、を含
む殻構造を有する分子構造体の製造方法。 (7)(6)に記載の殻構造を有する分子構造体の製造
方法であって、前記一般式(I)で表されるデンドリマ
ーの桂皮酸アミド単位とメタクリル酸メチルモノマー単
位が1:10になるように、結合性デンドリマー分子を
ポリメタクリル酸メチルに希釈分散した溶液を基板に塗
布する工程と、塗布液を乾燥させ固化させる工程と、固
化した塗布液に波長が313nmの光を照射する工程と
を含む、殻構造を有する分子構造体の製造方法。 (8)光結合性残基である結合性残基をその末端部位に
有する下記の一般式(A)で表されるデンドリマーを用
い、前記デンドリマーの末端部位にある結合性残基を光
照射により架橋させる工程により製造される殻構造を有
する分子構造体。 (一般式(A)中、A〜Dは、それぞれ、桂皮酸基、α
-シアノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン基、シンナミ
リデンアセテート基、p―フェニレンジアクリレート
基、アセチレン基、ジアセチレン基、ジフェニルアセチ
レン基のいずれかである。)
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の分子構造体、分子
集合体、および分子デバイスの製造方法などについて詳
述する。本発明の分子デバイスの製造方法は、例えば、
内部よりも周囲部分の原子密度が高く、周囲部分に結合
性残基を有する分子構造体を用いる。本発明の一態様に
よれば、分子構造体の周囲に存在する結合性残基を分子
構造体内であるいは分子構造体間で架橋させることによ
って分子構造体または分子集合体を製造する。
【0006】〔分子構造体〕ここで、分子構造体として
は、例えば、骨格構造を持つ骨格部分と、その骨格部分
の外殻(外側)に設けられ、その骨格部分より原子密度
が高く結合性残基を有する末端部分とで構成されるもの
(例えば、デンドリマー)が挙げられる。分子構造体と
は、残基部位や中心部位など機能の異なる複数の部位が
一分子内に存在する分子などを意味する。分子構造体と
しては、複数(2以上)の結合性残基を有するものが好
ましい。結合性残基としては、光結合性残基が好まし
い。分子構造体としては、デンドリマーが好ましく、デ
ンドリマーとしては、上記一般式(I)または上記一般
式(II)で表されるデンドリマーが好ましい。ここで、
一般式(I)、(II)においてnとしては、1〜10が
挙げられ、2〜10が好ましく、3〜8が更に好まし
い。また、一般式(II)におけるRとしては、C1−C
10アルキレン基や、C2−C10アルケニレン基が挙げら
れるが、デンドリマーに用いられる連結基であれば、特
に限定されるものではない。
【0007】結合性残基は、デンドリマーなどの分子構
造体の末端に存在する(末端部位)ことが好ましい。結
合性残基としては、(a)ビニル基、アクリレート基や
メタクリレート基のような不飽和二重結合を有する脂肪
族系残基、(b)桂皮酸基、α-シアノ桂皮酸基、クマ
リン基、カルコン基、シンナミリデンアセテート基、p
―フェニレンジアクリレート基やジスチリルピラジン基
といった不飽和二重結合を有する芳香族系残基、(c)
アセチレン基やジアセチレン基のような不飽和三重結合
を有する脂肪族系残基、(d)ジフェニルアセチレン
基、フェニルアジド基やジピリジルジアセチレン基のよ
うな不飽和三重結合を有する芳香族系残基、およびこれ
らの残基(官能基)からの誘導される基が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。(a)群の結合
性残基はラジカル重合反応を示すために、それらを結合
性残基として有する分子構造体を架橋する場合は、ラジ
カル重合開始剤が添加されることが好ましい。一方、
(b−d)群の結合性残基は、〔2π−2π〕光二量化
反応のようなウッドワード・ホフマン則に従った光付加
反応を示すので、重合開始剤は不要である。これら感光
性基に関する詳細は、永松元太郎、乾 英夫 共著、
「感光性高分子」、講談社サイエンティフィック、(1
977)に記載されている。
【0008】光により架橋体を作成する場合に照射する
光としてはX線、電子線、紫外線、可視光線または赤外
線(熱線)が用いられる。特に、紫外線もしくは可視光
線が好ましい。照射する光源としては、超高圧水銀ラン
プ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンラ
ンプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、気体レーザー、液体レ
ーザー、固体レーザーなどが用いられる。分子構造体内
の結合性残基同士を結合させたり、各分子構造体を連結
するために、結合性残基を直接励起し、分子内結合や分
子間結合を誘起してもよい。また、架橋剤などを用いる
ことにより分子内架橋および分子間架橋を形成してもよ
い。
【0009】〔架橋剤〕本明細書において「架橋」と
は、架橋剤を用いた2以上の分子構造体を結合のほか
に、架橋剤を用いずに同一分子構造体内、または分子構
造体間での結合性残基同士の結合をも意味する。本発明
において、架橋剤は、分子構造体の結合性残基同士を連
結する分子を意味する。架橋剤としては、例えば、ブタ
ジエン、ペンタジエン、分子構造体の結合性残基を有す
る炭化水素などが挙げられる。長さを制御した架橋剤を
用いることで、間隔を制御しつつ分子構造体同士を連結
し、規則性のある分子集合体を得られる。
【0010】本発明の、分子デバイスの製造方法では、
例えば以下の殻構造を有する分子構造体、または分子集
合体を用いても良い。殻構造を有する分子構造体(以
下、「ナノパーティクル」ともいう。)は、例えば、内
部よりも周囲部分の原子密度が高く、周囲部分に結合性
残基を有する分子構造体の、結合性残基を架橋させ殻を
形成させることにより製造される。すなわち、分子構造
体の周囲に存在する結合性残基部分同士が結合しあい、
殻のような状態になったものが、殻構造を有する分子構
造体である。特に、分子構造体の密度が高くなく、分子
構造体同士の分子間距離が大きい場合は、ナノパーティ
クルが主に製造される。参考のため、図1にナノパーテ
ィクルの概念図を示す。図1aは、分子構造体(デンド
リマー)1を表す。図1aに示される分子構造体に、光
を照射すると、分子構造体内の結合性残基6が、架橋
(結合)し、図1bの6で表されるような架橋部分とな
る。このようにして殻構造をもった分子構造体であるナ
ノパーティクル4が形成される。この架橋反応は、ジク
ロロメタンなどの溶媒中で行うことができるし、固相中
で行ってもよい。
【0011】複数の分子構造体が連結した分子集合体
(以下、「ナノワイヤ」ともいう。)は、例えば内部よ
りも周囲部分の原子密度が高く、周囲部分に結合性残基
を有する分子構造体の結合性残基を架橋させ、隣接する
分子構造体の結合性残基を結合させることにより製造さ
れる。本発明の分子構造体は、例えば分子内に複数の結
合性残基を有しているので、架橋が進行すると、例え
ば、放射状に複数の分子構造体が集合することとなる。
特に、分子構造体の密度が高く、分子構造体同士の分子
間距離が小さい場合は、ナノワイヤが主に製造される。
参考のため、図2にナノワイヤの概念図を示す。分子集
合体を製造する際の一例としては、図2aにあるように
結合性残基6を周囲部分に有する分子構造体1に光を照
射する。すると図2bにあるように、分子構造体1内の
架橋性残基と架橋剤3が架橋し、分子集合体5が得られ
る。また、架橋剤を加え架橋を進行させた場合は、分子
構造体の結合性残基と架橋剤とが架橋反応を起こす。こ
の際、架橋剤の長さを制御することで、分子構造体同士
の距離を制御した形で分子構造体が集合することにより
分子集合体を得ることもできる。
【0012】〔分子デバイス〕図3に本発明の分子デバ
イスの一例である ロッド状デンドリマーによる光導電
性ナノワイヤの概念図を示す。図3(a)は、ロッド状
のデンドリマー分子であり、その周囲に結合性残基が修
飾されている。このデンドリマーを含む溶液に光を照射
すると、デンドリマー内の結合性残基が連結し、図3
(b)に示されるような分子デバイスである光導電性ナ
ノワイヤを得ることができる。この光導電性ナノワイヤ
は、自由電子および正孔の生成率がほぼ等しく、真性半
導体のような挙動を起こす。すなわち、このような分子
デバイスを用いると、ナノレベルで形状等を制御した半
導体素子を得ることができる。なお、実際に得られた光
導電性ナノワイヤの電子移動度は、軸方向で約1cm2
/V、軸垂直方向で約0.001cm2/Vであった。
さらに、光導電性ナノワイヤの空洞にヨウ素をドープし
たところ、光導電性ナノワイヤの導電性は飛躍的に向上
した。
【0013】
【実施例】〔製造例1〕 桂皮酸アミド残基を末端に有
するデンドリマーの合成方法 触媒量のトリエチルアミンを含む第一世代のポリ(プロ
ピレンイミン)デンドリマー(図4でn=1)(1.0
g、3.2mmol、アルドリッチ社製)のジクロロメ
タン溶液に、トランス−桂皮酸クロライド(0.63
g、3.7mmol、アルドリッチ社製)の溶液を滴下
し、0℃で1時間、室温で40時間撹拌した。この反応
液をジクロロメタンで希釈し、イオン交換水、炭酸ナト
リウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、ジクロロメタンを
エバポレーターで除去した。粗生成物を透析と再沈殿を
三回繰り返し、減圧乾燥後、白色の固体を得た。
【0014】第三世代、第五世代のポリ(プロピレンイ
ミン)デンドリマー(図4でn=3、5)も前記手法と
同様に合成、精製した。
【0015】このようにして合成したデンドリマーの諸
物性を以下の表1及び表2に示す。
【表1】
【表2】
【0016】〔実施例1〕ナノパーティクルの製造 (実施例1−1)図4に示すような分子周囲に桂皮酸ア
ミド残基を有する第一世代ポリプロピレンイミンデンド
リマー(n=1)を用いて以下の実験を行った。デンド
リマーの桂皮酸アミド単位で3.0×10-5モル濃度
(mol/L)のジクロロメタン希薄溶液をそれぞれ調
整し、1.0cm角の石英セルに入れた。出力が200
Wの水銀キセノンランプから波長が313nmの光を取
り出し、先に調整した溶液に照射した。光照射にともな
って、桂皮酸アミド残基由来の280nm付近の吸収帯
が減少した。光照射後の吸収スペクトルを測定し、桂皮
酸アミド残基のトランス体、シス体、結合体の存在比率
を算出した。その結果を表3に示す。ここで結合体と
は、桂皮酸アミド残基同士が結合したものを意味する。
【0017】(実施例1−2)第三世代ポリプロピレン
イミンデンドリマー(図4のn=3)を用いた以外は、
実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果を表
3に示す。
【0018】(実施例1−3)第五世代ポリプロピレン
イミンデンドリマー(図4のn=5)を用いた以外は、
実施例1−1と同様にして実験を行った。その結果を表
3に示す。
【0019】
【表3】
【0020】表3より、本発明に係わる結合性デンドリ
マー分子は、希薄溶液中において露光エネルギー量の増
大に伴って、桂皮酸アミド残基のトランス体比が減少す
ることがわかった。一方で、シス体と結合体の比率が増
加することがわかった。特に、結合体の増加比は、デン
ドリマー分子の世代に強く依存しており、第五世代のデ
ンドリマーは効率的に結合体を形成することがわかっ
た。十分に光照射した溶液を用いて、ゲル浸透クロマト
グラフィー測定を行った結果、光照射前後で保持時間は
変わっていなかった。すなわち、光照射の前後でデンド
リマーの分子量が維持されていた。従って、この希薄溶
液濃度において、結合反応は分子間ではなくデンドリマ
ー一分子内で起こっており、希薄溶液中でナノパーティ
クルを作製できた。このナノパーティクルは、ポリプロ
ピレンイミンデンドリマーの桂皮酸残基が光励起され、
近接する桂皮酸残基が次々と二量化(分子内結合)した
ものと考えられる。ポリプロピレンイミンデンドリマー
の世代が大きいほど桂皮酸残基の密度が高くなるので、
桂皮酸残基同士が結合した結合体の割合も、デンドリマ
ーの世代に従って大きくなっている。
【0021】(比較例1)前記実施例1−1で用いた結
合性デンドリマーに代えて、桂皮酸アミドの希薄溶液を
調整し、実施例1と同様に光照射を行った。その結果を
表4に示す。
【0022】
【表4】
【0023】前記表3と表4を比較すると、桂皮酸アミ
ドの結合体の生成比率は結合性デンドリマーと大きく異
なり、桂皮酸アミドの結合体生成率は極めて少ないこと
がわかる。
【0024】〔実施例2〕 固層中でのナノパーティク
ルの製造 (実施例2−1)第一世代ポリプロピレンイミンデンド
リマー(n=1)を用いて以下の実験を行った。すなわ
ち、デンドリマーの桂皮酸アミド単位とメタクリル酸メ
チルモノマー単位が1:10になるように、結合性デン
ドリマー分子をポリ(メタクリル酸メチル)に希釈分散
した溶液を調整した。このように調整した各ジクロロメ
タン溶液をスピンコート法によってガラス基板上に塗布
した。溶液を乾燥させ固化させた後、出力が200Wの
水銀キセノンランプから波長が313nmの光を取り出
し、このガラス基板に照射した。光照射にともなって、
桂皮酸アミド残基由来の280nm付近の吸収帯が減少
した。光照射後の吸収スペクトルを測定し、桂皮酸アミ
ド残基のトランス体、シス体、結合体の存在比率を算出
した。その結果を表5に示す。
【0025】(実施例2−2)第三世代ポリプロピレン
イミンデンドリマー(図4のn=3)を用いた以外は、
実施例2−1と同様にして実験を行った。その結果を表
5に示す。
【0026】(実施例2−3)第五世代ポリプロピレン
イミンデンドリマー(図4のn=5)を用いた以外は、
実施例2−1と同様にして実験を行った。その結果を表
5に示す。
【0027】
【表5】
【0028】表5により、本発明に係わる結合性デンド
リマー分子は、前記実施例1の希薄溶液中の光化学反応
挙動と同様に、固体中においても、桂皮酸残基結合体の
増加比はデンドリマー分子の世代に強く依存しており、
第五世代のデンドリマーは効率的に光架橋体を形成する
ことがわかった。また、光照射後のデンドリマー/ポリ
(メタクリル酸メチル)薄膜をスピン塗布溶媒であるジ
クロロメタンに浸漬すると、ガラス基板上から膜が除去
されていることが紫外・可視吸収スペクトル測定から判
断できた。
【0029】〔比較例2〕前記実施例2で用いた結合性
デンドリマーに代えて、桂皮酸アミドをポリ(メタクリ
ル酸メチル)に希釈した薄膜を作製し、実施例2と同様
に光照射を行った。その結果を表6に示す。
【0030】
【表6】
【0031】前記表5と表6を比較すると、固体中おい
ても希薄溶液中の光化学挙動と同様に、桂皮酸アミドの
結合体の生成比率は結合性デンドリマーと大きく異な
り、桂皮酸アミドの結合体生成率は極めて少ないことが
わかる。
【0032】〔実施例3〕ポリプロピレンイミンデンド
リマー分子をポリ(メタクリル酸メチル)に希釈分散す
る変わりに、ポリプロピレンイミンデンドリマーのみを
用いた他は実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3
と同様にして実験を行った。ガラス基板をジクロロメタ
ンに浸漬しても、膜がガラス基板上に残存していた。こ
れは、本実施例においては、ポリプロピレンイミンデン
ドリマー分子が、ジクロロメタンに溶解しない高分子と
なったことによる。実施例2および実施例3から、デン
ドリマー/ポリ(メタクリル酸メチル)希釈膜ではデン
ドリマー一分子内で桂皮酸残基が分子内結合の中心であ
り、デンドリマーリッチな薄膜ではデンドリマー同士の
分子間結合が進行していることがわかる。また、固体中
においてもナノパーティクル、ナノワイヤの作製が可能
であることがわかった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ナノパーティクルやナ
ノワイヤを効率的に製造できる。本発明によれば、ボト
ムアップ型の設計により分子デバイスを適切に製造でき
る。本発明のナノパーティクルやナノワイヤは、液晶材
料、機能性材料、電子機能性材料、触媒、ナノレベル電
子素子、ナノレベルFET、トナー原料、帯電制御剤、
電荷付与剤などプラスチックの副剤光、ドラックデリバ
リーシステムなどとして利用可能である。本発明の、ナ
ノワイヤは、数nm〜数100nmレベルの周期性を利
用した、超高密度記憶材料、発光素子等で利用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、殻構造を持った分子構造体(ナノパ
ーティクル)の概念図である。
【図2】 図2は、分子集合体(ナノワイヤ)の概念図
である。
【図3】 図3は、ロッド状デンドリマーによる光導電
性ナノワイヤの概念図である。
【図4】 図4は、デンドリマーの一例を表す。
【符号の説明】
1 分子構造体 2 架橋部分 3 架橋剤 4 殻構造を持った分子構造体 5 分子集合体 6 結合性残基
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 B82B 1/00 - 3/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光結合性残基である結合性残基をその末端
    部位に有する下記の一般式(A)で表されるデンドリマ
    ーに光を照射する工程を含む、殻構造を有する分子構造
    体の製造方法。 一般式(A)中、A〜Dは、それぞれ、桂皮酸基、α-
    シアノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン基、シンナミリ
    デンアセテート基、p―フェニレンジアクリレート基、
    アセチレン基、ジアセチレン基、ジフェニルアセチレン
    基のいずれかである。
  2. 【請求項2】前記デンドリマーが、下記の一般式
    (I)、又は一般式(II)で表される請求項1に記載
    の殻構造を有する分子構造体の製造方法。 【化1】 【化2】 (ただし、一般式(II)におけるRは、C1−C10アル
    キレン基またはC2−C10アルケニレン基である。)
  3. 【請求項3】前記デンドリマーが前記一般式(I)、又
    は(II)で表されるデンドリマーであり(ただし、一
    般式(II)におけるRは、C1−C10アルキレン基また
    はC2−C10アルケニレン基である。)、当該デンドリ
    マーを含む溶液に光を照射する工程を含む、 請求項1に記載の殻構造を有する分子構造体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記一般式(I)、又は一般式(II)
    (ただし、一般式(II)におけるRは、C1−C10アル
    キレン基またはC2−C10アルケニレン基である。)に
    おいて、nが1〜5のいずれかである殻構造を有する請
    求項3に記載の殻構造を有する分子構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記デンドリマーを含む溶液が、前記一般
    式(I)で表されるデンドリマーを桂皮酸アミド単位で
    3.0×10-5モル濃度(mol/L)含むジクロロメ
    タン溶液であり、 前記デンドリマーを含む溶液に照射される光は、波長が
    313nmの光である請求項3、又は請求項4に記載の
    殻構造を有する分子構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1又は請求項2に記載の殻構造を有
    する分子構造体の製造方法であって、 前記のデンドリマーを含む溶液を基板に塗布する工程
    と、 塗布液を乾燥させ固化させる工程と、 固化した塗布液に光を照射する工程と、 を含む殻構造を有する分子構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の殻構造を有する分子構造
    体の製造方法であって、 前記一般式(I)で表されるデンドリマーの桂皮酸アミ
    ド単位とメタクリル酸メチルモノマー単位が1:10に
    なるように、結合性デンドリマー分子をポリメタクリル
    酸メチルに希釈分散した溶液を基板に塗布する工程と、 塗布液を乾燥させ固化させる工程と、 固化した塗布液に波長が313nmの光を照射する工程
    とを含む、 殻構造を有する分子構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】光結合性残基である結合性残基をその末端
    部位に有する下記の一般式(A)で表されるデンドリマ
    ーを用い、前記デンドリマーの末端部位にある結合性残
    基を光照射により架橋させる工程により製造される殻構
    造を有する分子構造体。 (一般式(A)中、A〜Dは、それぞれ、桂皮酸基、α
    -シアノ桂皮酸基、クマリン基、カルコン基、シンナミ
    リデンアセテート基、p―フェニレンジアクリレート
    基、アセチレン基、ジアセチレン基、ジフェニルアセチ
    レン基のいずれかである。)
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