JP2003298083A - 光電変換装置およびその製造方法 - Google Patents

光電変換装置およびその製造方法

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JP2003298083A
JP2003298083A JP2002092963A JP2002092963A JP2003298083A JP 2003298083 A JP2003298083 A JP 2003298083A JP 2002092963 A JP2002092963 A JP 2002092963A JP 2002092963 A JP2002092963 A JP 2002092963A JP 2003298083 A JP2003298083 A JP 2003298083A
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conductive film
photoelectric conversion
film
thin film
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JP2002092963A
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Michio Kondo
道雄 近藤
Akihisa Matsuda
彰久 松田
Yasunari Seto
康徳 瀬戸
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来透明導電膜が主に担ってきた薄膜型光電変
換層への入射光量を増大させる機能と薄膜型光電変換層
における入射光の光路長を長くする機能とを裏面側透明
導電膜に補完させることにより、透明導電膜を薄くし、
薄膜型光電変換層への入射光量を増やす。また、このよ
うな特徴を備える光電変換装置を安価に提供する。さら
には、この光電変換装置の製造方法であって、薄膜型光
電変換層に損傷を与えて性能劣化させることのない、ガ
ラス基板上に透明導電膜から裏面反射膜まで積層する方
法を提供する。 【解決手段】ガラス基板上に透明導電膜、薄膜型光電変
換層、裏面側透明導電膜および裏面反射膜をこの順で積
層する方法であって、裏面側透明導電膜を成形した後、
その表面に粗面化処理を施す光電変換装置の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、太陽電池に代表
される光電変換装置、とくに非晶質シリコンまたは微結
晶質シリコンからなる薄膜型光電変換層を備える光電変
換装置に関する。さらには、この光電変換装置の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】非晶質シリコンまたは微結晶質シリコン
からなる薄膜型光電変換層を備える光電変換装置は、そ
の製造に必要なトータルエネルギーコストが小さく、太
陽電池の普及に大きく貢献すると期待されている。しか
し、その光電変換効率が低い点が問題であり、この点を
改善すべく、これまで種々の改善および発明がなされて
きた。薄膜型光電変換層を備える光電変換装置の一般的
な構成は、ガラス基板から順に、透明導電膜、薄膜型光
電変換層、裏面側透明導電膜および裏面反射膜が積層さ
れた構成である。この光電変換効率を改善するためのア
プローチは種々考えられ、また実行されてきたが、薄膜
型光電変換層に関する改善は開発し尽された感があるた
め、それ以外の構成部分についての改善が注目されてい
る。そして現在では、薄膜型光電変換層への入射光量を
増やすこと、ならびに薄膜型光電変換層における入射光
の光路長を長くすることによる改善が中心的に検討され
ている。
【0003】薄膜型光電変換層への入射光量を増やす手
段としては、ガラス基板の光入射側表面に多孔質膜を成
形する、あるいは透明導電膜の表面(薄膜型光電変換層
に接する面)に凹凸を成形し屈折率変化を緩やかにし
て、反射防止機能を発揮させることが挙げられる。ま
た、薄膜型光電変換層における入射光の光路長を長くす
る手段としては、前記同様に透明導電膜の表面に凹凸を
成形し、そこで入射光を散乱させることが挙げられる。
【0004】しかし、反射防止機能を発揮し、かつ、入
射光を散乱させる凹凸を透明導電膜の表面に成形するに
は、その厚さを1μm程度にする必要があった。これ
は、透明導電膜が酸化スズなどの結晶性の金属酸化物を
主成分とするものであって、その結晶成長により表面凹
凸が形成されるため、透明導電膜が薄ければ凹凸も小さ
くなり、前記反射防止機能および入射光の散乱させる機
能が発揮されなくなるからである。
【0005】透明導電膜を厚く成形することにより、上
記の機能が発揮され、さらにその表面抵抗値が小さくな
る。この点は、光電変換装置の薄膜電極として好まし
い。しかし、透明導電膜が厚くなれば、そこで吸収され
る光量が増えることになるため、薄膜型光電変換層への
入射光量が減少する問題が生じる。
【0006】この問題を解決するため、上記入射光を散
乱させる機能を、薄膜型光電変換層および/または裏面
側透明導電膜に補完させることにより、透明導電膜を薄
くする技術が開発されている。たとえば、特開平5−2
67699号公報には、ガラス基板側からp層−i層−
n層の順で積層されたアモルファスシリコンからなる光
電変換層において、i層の一部にシリカ膜を付着させ、
i層をウェットエッチングしてその表面を凹凸化した
後、そこにn層を成膜する技術が記載されている。ま
た、特開2000−196113公報には、ガラス基板
上に透明導電膜、薄膜型光電変換層および裏面側透明導
電膜(グリッド電極を含む)をこの順にそれぞれ表面平
滑に成形し、また大きな表面凹凸を有する裏面反射膜を
備える裏面側透明基体を別途作製した後、裏面側透明導
電膜上のグリッド電極と裏面反射膜とを接合する技術が
記載されている。
【0007】また、透明導電膜を薄くすることを目的と
したものではないが、特開平10−70293号公報に
は、透明導電膜または薄膜型光電変換層のn層における
光入射側と反対側の表面にエッチングなどを施し、そこ
で入射光または反射光を散乱させることにより、薄膜型
光電変換層における入射光の光路長を長くする技術が記
載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平5−
267699号公報に記載の技術では、薄膜型光電変換
層のi層をウェットエッチングするために、i層に不純
物が残って、光電変換自体が阻害されたり、一旦発生し
た電子および正孔が電極に移動する前に消失したりする
おそれがあった。また、i層を成膜した後、シリカ膜の
付着作業およびウェットエッチング作業を別工程で行
い、さらにn層の成膜を行わなければならないなど、そ
の製造工程が複雑で製造コストが上昇してしまう問題も
あった。
【0009】また、特開2000−196113公報に
記載の技術では、薄膜型光電変換層を備えるガラス基板
と裏面側透明基体とを個別に製造してそれらを接合する
ことから、裏面側透明導電膜(グリッド電極)と裏面反
射膜との間には空隙が形成されることになる。透明導電
膜は、通常は酸化スズ、酸化亜鉛もしくは酸化チタンな
どの金属酸化物からなるため、その屈折率はおよそ1.
8〜2.6程度である。一方、前記空隙の屈折率は、当
然に1.0である。そのため、裏面側透明導電膜から前
記空隙中に透過した光は、裏面反射膜で全反射され、再
度裏面側透明導電膜に到達するが、そのときの裏面側透
明導電膜への入射角はかなり大きく、また裏面側透明導
電膜の屈折率の高さも相まって、裏面側透明導電膜中に
再入射できる光量は限られ、相当量が再入射できずに減
衰してしまうと予想される。なお、この公報では、前記
空隙をPVBなどの透明樹脂で充たしてもよい旨の記載
があるが、その場合は、透明樹脂による光吸収が新たな
問題として発生する。さらに、この公報に記載の技術で
は、二つの構成部分を個別に製造し、その後接合するな
ど製造工程が複雑で製造コストが上昇する問題もあっ
た。
【0010】さらに、特開平10−70293号公報に
記載の技術では、薄膜型光電変換層のn層の表面(裏面
側透明電極と接する面)にエッチングなどを施すため、
上記特開平5−267699号公報と同様に光電変換効
率が低下する問題があった。とくに、n層はi層の数分
の一の厚さしかないため、n層を残しつつ、反射光が散
乱するほどの大きさの凹凸を成形することは極めて困難
なことであった。ちなみに、n層の大部分が削られた場
合は、i層で発生した電子が裏面側透明導電膜にうまく
移動できずに移動途中で消失して、光電変換装置の光電
変換効率が著しく低下する問題が生じる。また、n層の
表面をエッチングなどにより不規則に荒らすと、裏面側
透明導電膜の成形時における結晶成長速度が低下した
り、n層と裏面側透明導電膜との界面に空隙が形成さ
れ、裏面側透明導電膜に電子が移動できなくなったり、
薄膜型光電変換層と裏面側透明導電膜との付着力が低下
したりする問題も生じる。
【0011】この発明は、このような問題点に着目して
完成されたものである。その目的とするところは、従来
透明導電膜が主に担ってきた薄膜型光電変換層への入射
光量を増大させる機能と薄膜型光電変換層における入射
光の光路長を長くする機能とを裏面側透明導電膜に補完
させることにより、透明導電膜を薄くし、薄膜型光電変
換層への入射光量を増やすことにある。また、このよう
な特徴を備える光電変換装置を安価に提供することにあ
る。さらには、この光電変換装置の製造方法であって、
薄膜型光電変換層に損傷を与えて性能劣化させることの
ない、ガラス基板上に透明導電膜から裏面反射膜まで積
層する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の光電変換装置の製造方法
は、ガラス基板上に透明導電膜、薄膜型光電変換層、裏
面側透明導電膜および裏面反射膜をこの順で積層する方
法であって、裏面側透明導電膜を成形した後、その表面
に粗面化処理を施すものである。
【0013】請求項2に記載の発明の光電変換装置の製
造方法は、請求項1に記載の発明において、粗面化処理
がウェットエッチング法によるものである。
【0014】請求項3に記載の発明の光電変換装置の製
造方法は、請求項1または2に記載の発明において、粗
面化処理を施した後、その粗面上に裏面反射膜をスパッ
タリング法により成形するものである。
【0015】請求項4に記載の発明の光電変換装置は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により、
ガラス基板上に透明導電膜、薄膜型光電変換層、裏面側
透明導電膜および裏面反射膜をこの順で積層して一体化
したものであって、透明導電膜の平均厚さが500nm
以下のものである。
【0016】請求項5に記載の発明の光電変換装置は、
請求項4に記載の発明において、裏面側透明導電膜の裏
面反射膜に接する面における凹凸の平均振幅が100〜
1,000nmのものである。
【0017】請求項6に記載の発明の光電変換装置は、
請求項4または5に記載の発明において、裏面側透明導
電膜の平均厚さが100〜500nmのものである。
【0018】請求項7に記載の発明の光電変換装置は、
請求項4〜6のいずれか1項に記載の発明において、ガ
ラス基板側から光入射した場合に、透明導電膜のヘイズ
率が1.0%以下のものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、詳細に説明する。
【0020】この発明は、薄膜型光電変換層を備える光
電変換装置の製造方法であって、ガラス基板上に透明導
電膜、薄膜型光電変換層、裏面側透明導電膜および裏面
反射膜をこの順で一体に成形する製造工程において、裏
面側透明導電膜の裏面反射膜と接する面を粗面化処理す
ることを特徴とする。この製造方法によれば、従来の技
術において問題であった薄膜型光電変換層への損傷を防
ぐことができる。また、透明導電膜から薄膜型光電変換
層のn層までは、特別な表面処理を必要としないので、
その製造工程を簡素にでき、製造コストを抑えることが
できる。さらに、従来の技術のような薄膜型光電変換層
のi層またはn層を加工する場合と異なり、裏面側透明
導電膜の表面を加工するのであれば、薄膜電極としての
機能が損なわれない範囲で処理できるので、処理方法の
選択の幅が広く、かつ、その条件設定の許容範囲も広
い。また、ガラス基板上に裏面反射膜までが順次積層さ
れ、これらが一体化するので、各層の接合界面に空隙が
形成されることはなく、各層の接着力が低下したり、そ
の空隙で入射光が減衰したりすることもない。
【0021】粗面化処理としては、たとえばドライ/ウ
ェットエッチング法、ブラスト法またはレーザースクラ
イブ法などが挙げられる。これらの中でも、ウェットエ
ッチング法がとくに好ましい。エッチングの対象となる
金属酸化物、あるいはエッチング溶液の種類、濃度また
は温度、あるいはエッチング処理の時間などを適宜選択
することにより、裏面側透明導電膜の表面を所望の形状
に精度よく成形できるからである。また、ウェットエッ
チング法による前記諸条件の設定は、ブラスト法または
レーザースクライブ法における条件の設定よりも容易で
ある。なお、この発明の光電変換装置の製造方法では、
n層の全面を被覆する裏面側透明導電膜に対してエッチ
ング処理を行うことになるため、従来技術の問題点であ
った薄膜型光電変換層をエッチングした場合の不純物の
残留や物理的ダメージをほとんど無視できる。
【0022】裏面側透明導電膜の粗面化された表面の上
に裏面反射膜を成形する場合、その成形方法は、とくに
限定されるものではないが、スパッタリング法が好まし
い。スパッタリング法であれば、裏面反射膜が裏面側透
明導電膜の粗面化表面によく追随できるので、これらの
界面に空隙が形成され難く、上述の反射光の再入射が抑
制される問題が生じない。裏面反射膜の種類は、とくに
限定されるものではないが、スパッタリング法で容易に
成形でき、かつ、導電性の高いものが好ましい。たとえ
ば、銀が挙げられる。
【0023】この発明の光電変換装置の断面を模式的に
図1に示す。以下、図1を適宜引用しながら説明する。
【0024】ガラス基板1は、その種類または厚さなど
をとくに限定されるものではないが、この発明の目的に
適合するよう、透過率の高いものほど好ましい。したが
って、可視から近赤外までの吸収が小さいガラス、具体
的には着色成分である鉄、コバルト、ニッケル、バナジ
ウム、チタン、セレンおよびクロムなどを含まないガラ
ス組成であることが好ましい。また、ガラス基板に吸収
される光量はその厚さに比例することから、できるだけ
薄いものが好ましい。ただし、光電変換装置用ガラス基
板として一定の強度を確保する必要があり、一般家庭の
屋外に設置される太陽電池の場合、ソーダライムガラス
であれば、厚さは4mm必要である。
【0025】透明導電膜2は、結晶性の金属酸化物を主
成分とし、その平均厚さが500nm以下のものであ
る。結晶性金属酸化物としては、酸化スズ、酸化亜鉛、
酸化インジウムおよび酸化ジルコニウムなどが例示され
るが、これらの中でも酸化スズを主成分とするものが好
ましい。酸化スズは、可視光域ではほとんど吸収を示さ
ず、またフッ素を適量ドープすることにより、その抵抗
率を小さくできるなど光電変換装置の薄膜電極として好
ましい特性を備える。とくに、抵抗率を小さくできる点
は、薄い透明導電膜を使用するこの発明において重要な
意義を有する。なお、この発明において「主成分」と
は、慣用に従い、組成成分含有率が50重量%以上であ
ることをいう。
【0026】透明導電膜2は、結晶性の金属酸化物を主
成分とするものであるから、その薄膜成形がすなわち結
晶成長である。そのため、透明導電膜の表面には、結晶
成長に由来する凹凸が形成され、その凹凸の大きさは、
透明導電膜の厚さに比例する。この発明では、透明導電
膜の平均厚さが500nm以下と従来の光電変換装置の
それの半分以下であるため、透明導電膜の表面凹凸の大
きさもその厚さに比例して小さくなる。したがって、こ
の透明導電膜の表面凹凸の大きさは、ガラス基板側から
光入射した場合のヘイズ率で表すと、1.0%以下、さ
らには0.6%以下となる。ここで、透明導電膜の「平
均厚さ」とは、透明導電膜のある断面において、その断
面積に基づいて平均化した場合の厚さをいう。具体的に
は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率×50,
000程度、伏角5°で透明導電膜を備えるガラス基板
のある断面を撮影し、そのSEM写真について透明導電
膜の断面積と長さを測定して、断面積を長さで除して平
均厚さを算出する。
【0027】薄膜型光電変換層3は、透明導電膜側から
p層3p、i層3iおよびn層3nの順でプラズマCV
D法など公知の手段により積層される。
【0028】薄膜型光電変換層のn層3n上には、裏面
側透明導電膜4が形成される。裏面側透明導電膜は、透
明導電膜と同様に結晶性の金属酸化物を主成分とするも
のである。結晶性の金属酸化物としては、透明導電膜と
同じものでもよいが、酸化亜鉛が好ましい。酸化亜鉛を
主成分とする薄膜は、酸化スズを主成分とするものより
も硬度が高く、ブラスト法などによる粗面化処理によっ
ても、n層にまで損傷の及ぶおそれが小さいからであ
る。
【0029】裏面側透明導電膜4は、裏面反射膜に接す
る面おける凹凸の平均振幅が100〜1,000nmで
あることが好ましい。この平均振幅が100nm未満の
場合は、可視から近赤外までの波長域との差が大きくな
りすぎて、反射光を散乱させる機能が発揮されなくな
る。一方、その平均振幅が1,000nmを超えると、
裏面側透明導電膜が厚くなりすぎてしまうため、そこで
の反射光の吸収が無視できなくなる。ここで、「平均振
幅」とは、その界面の凹凸について交互に現れる極大値
および極小値間の幅を平均化した値をいう。具体的に
は、上記透明導電膜の平均厚さの測定と同様に各界面の
断面をSEMを用いて撮影し、その断面写真における界
面を一方向になぞって、そのときに交互に現れる極大値
および極小値間の幅を測定し、その測定値を単純平均化
して算出する。この平均振幅の測定および算出方法につ
いて、図2を用いて説明する。図2左側から裏面側透明
導電膜4の表面凹凸をなぞる場合、極大点を「〇」、極
小点を「△」とするとき、隣接する極大点と極小点の垂
直距離hが裏面側透明導電膜の表面凹凸の振幅であり、
この垂直距離hを単純平均化したものが平均振幅であ
る。なお、極大点でも極小点でもない点30は、平均振
幅に何ら影響を与えない。
【0030】また、裏面側透明導電膜4の平均厚さは、
100〜500nmであることが好ましい。平均厚さが
100nm未満の場合は、平均振幅を100nm以上に
することが困難になる。一方、500nmを超えると、
反射光の吸収量が無視できなくなる。なお、裏面側透明
導電膜の平均厚さの測定方法は、上記の透明導電膜のそ
れと同じでよい。
【0031】また、上記の平均振幅と平均厚さとの関係
について言及すれば、平均振幅が平均厚さより大きいこ
とが好ましい。この関係が保たれる場合、反射光の吸収
が小さく、かつ、反射光を有効に散乱させることができ
る。
【0032】ガラス基板上に透明導電膜、薄膜型光電変
換層、裏面側透明導電膜および裏面反射膜とを順次積層
する手段は、とくに限定されるものではなく、公知の手
段をそのまま利用することができる。透明導電膜および
裏面側透明導電膜の成形方法としては、スプレー法もし
くはCVD法などの熱分解法が好ましい。また、薄膜型
光電変換層の成膜には、還元雰囲気下でのプラズマCV
D法が好ましい。さらに、裏面反射膜の成形方法として
は、上述のようにスパッタリング法が好ましい。
【0033】ガラス基板上に透明導電膜を成形する手段
としては、フロート法によるガラス板の製造工程におい
て、熔融状態のガラスリボンを板状に成形するフロート
バス内で行うCVD法(以下、「オンラインCVD法」
と称する)が好ましい。オンラインCVD法によれば、
原料ガスの熱分解反応に必要なエネルギーをガラスリボ
ンから得られるので、透明導電膜の成形に必要なエネル
ギーコストを抑えられる。さらに、オンラインCVD法
では、ガラスリボンの表面温度が560〜830℃の範
囲で成膜が行われることから、その成膜速度は5,00
0〜20,000nm/minにも達する。オンラインCVD
法以外の熱分解法における成膜速度は通常500〜5,
000nm/minであるから、オンラインCVD法は、工業
的な大量生産に適した方法であると言える。また、オン
ラインCVD法であれば、ガラス表面に原料ガスを供給
するコータを複数設置することにより、透明導電膜2上
に種々の機能性薄膜を連続的に成形することができる。
【0034】酸化スズを主成分とする薄膜を透明導電膜
とする場合は、その導電性を向上させるために、アンチ
モンやフッ素を添加することが好ましい。CVD法によ
り透明導電膜を成形する場合には、原料ガス中にアンチ
モンまたはフッ素の化合物を添加することにより、これ
らを透明導電膜中に均一に存在させることができる。ア
ンチモンの化合物としては、三塩化アンチモンや五塩化
アンチモンなどが、フッ素の化合物としては、フッ化水
素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタンまた
はクロロジフルオロメタンなどが挙げられる。
【0035】以下、オンラインCVD法による実施の形
態について、さらに詳細に説明する。オンラインCVD
法で使用する装置では、図3に示すように、熔融炉(フ
ロート窯)11からフロートバス12内に流れ出し、熔
融スズ15上を帯状に移動するガラスリボン10の表面
から所定距離を隔て、所定個数のコータ16(図示した
形態では3つのコータ16a,16b,16c)がフロ
ートバス内に配置されている。これらのコータからは、
ジメチルスズジクロライドもしくはモノブチルスズトリ
クロライドなどのスズ原料と、酸素もしくは水蒸気など
の酸化原料とを含有するガス状の原料が供給され、ガラ
スリボン10上に透明導電膜が形成される。また、図示
しないが、さらに多くのコータを利用してもよく、透明
導電膜の上にさらに耐プラズマ性の高い酸化亜鉛からな
る透明導電膜を積層してもよい。成膜が行われた後、ガ
ラスリボン10は、ローラ17により引き上げられて、
徐冷炉13へと送り込まれる。なお、徐冷炉13で徐冷
されたガラスリボンは、図示を省略する切断装置によ
り、所定の大きさのガラス基板へと切断される。この光
電変換装置は、公知の手段を用いて太陽電池などに加工
できる。
【0036】
【実施例】以下、実施例を用いて、この発明をさらに具
体的に説明する。なお、従来の技術を基準としてこの発
明を説明するため、まず比較例1から説明する。
【0037】(比較例1)厚さ1.1mmでアルカリ成
分を含有しないガラス基板を600℃に加熱し、その表
面にジメチルスズジクロライド、酸素、水およびトリフ
ルオロ酢酸からなる原料ガスを吹き付け熱分解させるこ
とにより、膜厚300nmのフッ素をドープした酸化ス
ズを主成分とする透明導電膜を成形した。この透明導電
膜を備えるガラス基板を一度室温にまで徐冷した後、ガ
ラス基板側から光を入射して公知の手段により透明導電
膜のヘイズ率を測定したところ0.6%であった。つぎ
に、高周波型プラズマCVD法(RF−PECVD)を
用いて、この透明導電膜上にp層−i層−n層からなる
薄膜型光電変換層を成膜した。RF−PECVDでは、
原料ガスにモノシラン(SiH4)および水素(H2)をベースと
したものを使用した。この薄膜型光電変換層を備えるガ
ラス基板を一度室温にまで徐冷した後、DC−スパッタ
法を用いて、200℃に加熱しつつ、薄膜型光電変換層
の上に平均厚さ500nmの酸化亜鉛を主成分とする裏
面側透明導電膜を成形した。この裏面側透明導電膜を備
えたガラス基板を室温まで徐冷した後、DC−スパッタ
法を用いて、前記裏面側透明導電膜上に平均厚さ50n
mの酸化亜鉛を主成分とする薄膜を室温で成形し、さら
につづけて平均厚さ130nmの銀からなる裏面反射膜
を室温で積層成形した。なお、この平均厚さ50nmの
酸化亜鉛を主成分とする薄膜は、銀からなる裏面反射膜
の付着強度を高めるために設けられるものであり、反射
率を高める機能も発揮することから、裏面反射膜の一部
とみなすことができる。このようにして作製した光電変
換装置について、公知の手段により、開放電圧(Voc)、
短絡電流(Jsc)、形状因子(F.F.)および光電変換効率(ef
f)を測定した。この比較例1の測定結果を基準値(1.
0)として、下記「表1」に示す。
【0038】(実施例1)比較例1と同様にして、ガラ
ス基板上に薄膜型光電変換層まで成膜した。また、平均
厚さを1μmまで厚くした以外は比較例1と同様にし
て、裏面側透明導電膜を前記薄膜型光電変換層の上に成
形した。この裏面側透明導電膜を備えるガラス基板を濃
度0.5重量%の塩酸水溶液中に35秒間浸漬し、裏面
側透明導電膜の平均厚さが約500nmとなるまでその
表面をウェットエッチング処理した。このエッチング処
理面をSEMを用いて写真撮影し、その表面凹凸の平均
振幅を測定したところ、約400nmであった。その
後、比較例1と同様にして、平均厚さ50nmの酸化亜
鉛を主成分とする薄膜および平均厚さ130nmの銀か
らなる裏面反射膜を順次積層成形した。このようにして
作製した光電変換装置について、比較例1と同様にし
て、その特性を測定した。この測定結果について、比較
例1の測定値を基準とした規格値を下記「表1」に併せ
て示す。
【0039】(比較例2)比較例1において、薄膜型光
電変換層におけるn層を成膜することなく、i層の上に
裏面側透明導電膜を直接成膜した以外は同様にして、光
電変換装置を作製し、その特性を測定した。この測定結
果について、比較例1の測定値を基準とした規格値を下
記「表1」に併せて示す。
【0040】(比較例3)比較例1と同様にして、ガラ
ス基板上に薄膜型光電変換層のn層まで成膜した後、こ
のガラス基板を実施例1で使用したエッチング溶液中に
35秒間浸漬した。この溶液中からガラス基板を取り出
した後、n層の表面をSEMを用いて写真撮影した。こ
のSEM写真を見る限り、n層にエッチングされた形跡
はみられなかった。その後、このn層の上に、比較例1
と同様にして、裏面側透明導電膜および裏面反射膜を順
次積層成形した。このようにして作製した光電変換装置
について、比較例1と同様に手段により、その特性を測
定した。この測定結果について、比較例1の測定値を基
準とした規格値を下記「表1」に併せて示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
ることから、つぎのような効果を奏する。光電変換装置
の製造において、ガラス基板上に裏面側透明導電膜まで
を順次積層した後、その裏面反射膜と接する面を粗面化
処理するので、薄膜型光電変換層が損傷を受けることが
ない。また、この製造方法による光電変換装置であれ
ば、薄膜型光電変換層における入射光の光路長を長くす
る機能を、裏面側透明導電膜に補完させることができ
る。そのため、透明導電膜を薄くでき、より一層多くの
光を薄膜型光電変換層に導くことができる。これらの諸
機能が発揮されることにより、この発明の光電変換装置
は、従来のものより高い光電変換効率を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光電変換装置の断面を模式的に示し
た図である。
【図2】この発明における裏面側透明導電膜の表面凹凸
形状について説明する図である。
【図3】オンラインCVD法で使用する装置の簡略図で
ある。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 透明導電膜 3p 薄膜型光電変換層のp層 3i 薄膜型光電変換層のi層 3n 薄膜型光電変換層のn層 4 裏面側透明導電膜 5 裏面反射膜 11 熔融炉 12 フロートバス 13 徐冷炉 15 熔融スズ 16 コータ 17 ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 彰久 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人産業技術総合研究所つくばセンター内 (72)発明者 瀬戸 康徳 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 5F051 CB12 CB21 CB27 FA02 FA19 GA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板上に透明導電膜、薄膜型光電変
    換層、裏面側透明導電膜および裏面反射膜をこの順で積
    層する方法であって、 裏面側透明導電膜を成形した後、その表面に粗面化処理
    を施す光電変換装置の製造方法。
  2. 【請求項2】上記粗面化処理がウェットエッチング法に
    よるものである請求項1に記載の光電変換装置の製造方
    法。
  3. 【請求項3】上記粗面化処理を施した後、その粗面上に
    裏面反射膜をスパッタリング法により成形する請求項1
    または2に記載の光電変換装置の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造
    方法により、ガラス基板上に透明導電膜、薄膜型光電変
    換層、裏面側透明導電膜および裏面反射膜をこの順で積
    層して一体化したものであって、 透明導電膜の平均厚さが500nm以下である光電変換
    装置。
  5. 【請求項5】上記裏面側透明導電膜は、裏面反射膜に接
    する面における凹凸の平均振幅が100〜1,000n
    mである請求項4に記載の光電変換装置。
  6. 【請求項6】上記裏面側透明導電膜は、その平均厚さが
    100〜500nmである請求項4または5に記載の光
    電変換装置。
  7. 【請求項7】上記透明導電膜は、ガラス基板側から光入
    射した場合、そのヘイズ率が1.0%以下である請求項
    4〜6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
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