JP2011223023A - 透明導電性酸化物膜付き基体およびその製造方法 - Google Patents

透明導電性酸化物膜付き基体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗、高透明で、太陽光の全波長域で良好な光散乱性能を有し、特に、搬送型のCVD装置に用いた場合であってもC光源ヘイズ率のばらつきが十分に小さい、透明導電性酸化物膜付き基体およびその製造方法ならびに該基板を用いた光電変換素子の提供。
【解決手段】複数の山部12と複数の平坦部13とで構成され、該山部12および該平坦部13の表面がミクロの多数の凸部を連続して有している透明導電性酸化物膜が基体上に設けられた透明導電性酸化物膜付き基体であって、分光ヘイズ率が400〜800nmの波長全域にわたって10〜95%であり、該分光ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が50%以下であり、基体全面についてC光源ヘイズ率をヘイズメータで測定した際、該C光源ヘイズ率が30〜90%であり、該C光源ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が20%以下である透明導電性酸化物膜付き基体。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性酸化物膜付き基板およびその製造方法ならびに該膜付き基板を用いた光電変換素子(特に、太陽電池)に関する。
光電変換素子である薄膜系太陽電池には、発電層の種類により、アモルファスシリコン(a−Si)系、多結晶シリコン系などがあるが、これらの薄膜シリコン系太陽電池には、その入射光側電極として透明導電性酸化物膜が使用されている。この透明導電性酸化物膜は、光電変換効率を高めるために低抵抗・高透明であり、かつ、光散乱性能が大きいことが要求されている。
特許文献1には、「透光性基板上に、フッ素を酸化錫に対し0.01〜4mol%含み、電導電子密度が5×1019〜4×1020cm-3であるフッ素ドープ酸化錫膜を非酸化性雰囲気に曝露してなる第1透明電極、a−Si光電変換層、第2導電膜を順次積層してなる太陽電池。」が記載されており、低抵抗で高透過率を有し、かつ水素プラズマや水素イオンなどの水素活性種に対して高耐久性を有する高品位のフッ素ドープの透明導電膜が提案されている。
また、特許文献2には、「支配的なピーク・ピーク値が100nm以上の凹凸組織面と約250nmから約1000nmの間の厚さを持ち、特定の波長範囲の光を透過する第1の電気接触と、この第1の電気接触の上記凹凸組織面を覆う半導体基体とを含む光検知器。」が記載されており、入射光の吸収率を上げることが可能な、凹凸組織面を有する透光性電気接触が提案されている。
一方、近年盛んに研究が行われている薄膜多結晶シリコンや薄膜微結晶シリコンを用いた薄膜結晶質シリコン太陽電池は、アモルファスシリコン太陽電池に比べて長波長領域の電池感度が高いことが知られており、その透明導電膜には、より長波長域での高い透明性と光散乱性が求められている。
長波長での光散乱を高めるためには、透明導電膜の表面凹凸構造をより大きくするのが有効であることが知られている。しかしながら、膜厚を厚くすれば結晶粒径も増大し、表面凹凸を大きくすることができるが、フッ素ドープSnO2膜のような透明導電膜は自由電子による長波長域での光吸収があるため、膜を厚くすると光吸収が増え、透過率が低下してしまう。この結果、表面凹凸を大きくすることにより長波長側の光散乱が増大しても、長波長の光吸収も増加するため全体として太陽電池の光電変換効率は増加しないことから、分光ヘイズ率の高い透明導電膜を用いた光電変換率の高効率化は困難であった。
上記以外にも光電変換層と接する透明導電膜の表面凹凸をコントロールすることで、光散乱効果を増大する技術は知られている(例えば、特許文献3〜7等参照。)。
このうち、特許文献3よび4には、通常の電子ビーム蒸層法、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、スプレー法によって形成されたインジウム・錫酸化物、SnO2に代表される透明電極膜は、表面凹凸の高低差が約20〜100nm、凸部と凸部の間隔が約50〜200nmであり、光電変換層との界面での光散乱効果が不十分であると記載されており、これに対して、透明電極膜の表面を化学的にエッチング処理を行い、高低差約100〜500nm、凸部と凸部の間隔約200〜1000nmの凹凸面とすることで、界面での光散乱効果を増加させ、光電変換率を上昇できることが記載されている。しかしながら、この方式は透明電極膜を形成した後、化学的にエッチング処理を行い、エッチング液を除去するために基板を十分に洗浄、乾燥させてから、光電変換層を形成する必要があるため、工程が複雑になり、量産性に低いといった問題点があった。
また、特許文献7には、「基板上に順次積層された透明電極と、一導電型層、結晶質シリコン系光電変換層および逆導電型層を含む光電変換ユニットと、光反射性金属電極とを具備したシリコン系薄膜光電変換装置において、前記透明電極は表面凹凸構造を有し、前記凹凸の高低差が10〜100nmであり、前記凹凸のピッチが前記凹凸の高低差より大きくかつその25倍以下であることを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置。」が記載されており、これにより、開放端電圧の低下や生産歩留まりの低下を招くことなく、光閉じ込め効果による光電変換特性が改著されることが記載されている。しかしながら、この工程における表面凹凸を実現する手段は、特許文献3および4の場合と同様、化学的なエッチングであることから、工程が複雑になり量産性に問題点があった。
一方、特許文献5には、「透光性基板上に、透明電極、光電変換部及び裏面電極を順に積層した光起電力装置において、上記透明電極は、上記透光性基板側から平均粒径の大きい第1層と平均粒径の小さい第2層とを積層した構成であることを特徴とする光起電力装置。」が記載されている。これは、平均粒径の大きい第1層で長波長側の光を、平均粒径の小さい第2層で短波長光を屈折散乱させ、より多くの光を光電変換層で吸収させようとするものである。しかしながら、実施例に記載された電極構造では、第1層および第2層ともに透明導電膜であるため自由電子の吸収が避けられないという問題点があった。すなわち、入射光は基板表面の全領域にわたって少なくとも1.0μmの第1層膜を通過し、さらに少なくとも0.2μmの第2層膜を通過するため、全体として少なくとも1.2μmの膜による吸収が生じ、光電変換層に到達するまでの光の減衰は避けられないとう問題点があり、有意な光電変換効率向上は認められないことがわかった。
また、特許文献6にも、「基板上に順次形成された、透明電極と、シリコン系薄膜光電変換ユニットと、光反射性金属電極を含む裏面電極とを具備したシリコン系薄膜光電変換装置において、前記透明電極は基板側から第1および第2の透明導電膜を積層した2層構造をなし、前記第1透明導電膜は表面の凹凸の平均高低差が100〜1000nmであり、前記第2透明導電膜は平均膜厚が50〜500nmであり表面の凹凸の平均高低差が第1透明導電膜のそれよりも小さいことを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置。」が記載されており、これにより、第1の透明導電膜の表面凹凸が激しい場合でも、第2の透明導電膜の表面凹凸をなだらかにすればスパイク状の突起部をなくすことができ、光電変換ユニットにおける接合間の短絡を低減でき、光電変換装置の性能のバラツキを低減できることが記載されている。しかしながら、この透明電極を用いた場合であっても、特許文献5において記載した問題点と同様、吸収のある2層の透明導電膜(連続膜)を通過するため、導電膜によって吸収される分だけ光電変換層へ入射する光量が減少し、光電変換効率が向上しないという問題点があることがわかった。
そこで、上述した種々の問題点を解決すべく、本発明者は、「複数の山部と複数の平坦部とで構成され、該山部および該平坦部の表面がミクロの多数の凸部を連続して有している透明導電性酸化物膜が基体上に設けられた透明導電性酸化物膜付き基体、および、該膜付き基体上に、光電変換層を介して、裏面電極を有する光電変換素子。」を提案している(特許文献8参照。)。
特公平7−105166号公報 特公平6−12840号公報 特開昭61−288314号公報 特開昭61−288473号公報 特開平3−125481号公報 特開2000−252500号公報 特開2000−232234号公報 国際公開第03/036657A1号パンフレット
しかしながら、上記特許文献8に記載の透明導電性酸化物膜付き基体は、分光ヘイズ率が400〜800nmの波長全域にわたって10〜95%であり、該分光ヘイズ率の最大値と最小値の差(最大値−最小値)が50%以下と良好なものであるが、C光源ヘイズ率の最大値と最小値の差(最大値−最小値)[以下、単に「C光源ヘイズ率のばらつき」ともいう。]、特に、搬送型のCVD(例えば、ベルトコンベア炉を用いたCVD)装置で量産的に製造した場合に得られる30cm角程度の大きさの基体におけるC光源ヘイズ率のばらつきが大きく(例えば、40%程度)なる傾向があることが分かった。
そこで、低抵抗かつ高透明で、太陽光の全波長域(300nm〜3μm)で良好な光散乱性能を有し、量産性に優れた透明導電性酸化物膜付き基体において、
本発明は、特に30cm×30cmの大型の基体に対してもC光源ヘイズ率のばらつきが十分に小さい透明導電性酸化物膜付き基体を提供し、また、該透明導電性酸化物膜付き基体を生産性よく製造する方法を提供し、さらに、該透明導電性酸化物膜付き基体を、光電変換素子、特に、薄膜シリコン系太陽電池の基板として適用することにより、光電変換率の効率が改善された光電変換素子を提供する、ことを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、複数の山部と複数の平坦部とで構成され、該山部および該平坦部の表面がミクロの多数の凸部を連続して有してなる特定の透明導電性酸化物膜付き基体が、低抵抗かつ高透明で、太陽光の全波長域で良好な光散乱性能を有し、量産性に優れ、特に、搬送型のCVD装置に用いて製造した30cm×30cmの大型の基体に対してもC光源ヘイズ率のばらつきが十分に小さくなることを見出し、本発明を達成するに至った。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)に示す透明導電性酸化物膜付き基体、(11)〜(14)に示す透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法ならびに(15)および(16)に示す光電変換素子を提供するものである。
(1)複数の山部と複数の平坦部とで構成され、該山部および該平坦部の表面がミクロの多数の凸部を連続して有している透明導電性酸化物膜が基体上に設けられた透明導電性酸化物膜付き基体であって、
分光ヘイズ率が400〜800nmの波長全域にわたって10〜95%であり、該分光ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が50%以下であり、基体全面についてC光源ヘイズ率をヘイズメータで測定した際、該C光源ヘイズ率が30〜90%であり、該C光源ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が20%以下である透明導電性酸化物膜付き基体。
(2)上記透明導電性酸化物膜が、第1の酸化物からなる不連続な小山部と、その上に形成される第2の酸化物からなる連続層であって該連続層の表面にミクロの多数の凸部を連続して有する連続層とからなり、
隣接する該小山部間の頂点と頂点の距離(以下、単に「小山部間のピッチ」ともいう。)が、直線上に0.7〜1.2μmである上記(1)に記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
(3)シート抵抗が、8〜20Ω/□であり、浸液法による550nmにおける透過率が、80〜90%である上記(1)または(2)に記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
上記山部の高さが、0.2〜2.0μmであり、隣接する該山部間の頂点と頂点の距離(以下、単に「山部間のピッチ」ともいう。)が、直線上に0.7〜1.2μmであることが好ましい。
(4)上記凸部の底面径が、0.1〜0.3μmであり、高さ/底面径の比が、0.7〜1.2である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
(5)上記小山部の底面径が、0.2〜2.0μmである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の透明導電性酸化物付き基体。
上記第1の酸化物が、透明であることが好ましい。
(6)上記第1の酸化物が、TiO2、SnO2およびフッ素を含有するSnO2からなる群より選択される少なくとも1種からなり、フッ素を含有する場合のフッ素の含有割合が、SnO2に対して0.01mol%以下である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
上記第2の酸化物が、透明であることが好ましい。
上記第2の酸化物が、導電性を有していることが好ましい。
(7)上記第2の酸化物が、SnO2、ZnOおよびIn23からなる群より選択される少なくとも1種を含む透明導電性酸化物である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
(8)上記第2の酸化物が、フッ素を含有するSnO2からなり、フッ素をSnO2に対して0.01〜4mol%含有し、導電電子密度が、5×1019〜4×1020cm-3である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
(9)上記小山部と上記連続層との間に、上記第1の酸化物および上記第2の酸化物とは組成が異なる酸化物からなる酸化物層を形成してなる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
(10)上記第1の酸化物がSnO2、上記異なる酸化物がSiO2、上記第2の酸化物がフッ素を含有するSnO2である上記(9)に記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
(11)透明基体上に、第1の酸化物からなる不連続な小山部を常圧CVD法により形成し、その上に第2の酸化物からなる連続層を形成する上記(1)〜(10)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法であって、
上記透明基体の少なくとも表面が、上記第1の酸化物と異なる材料からなり、
上記常圧CVD法が、キャリアガスと上記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.02〜0.30体積%として、1〜20nmの質量膜厚の核を形成する第1CVD工程と、キャリアガスと上記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.3〜3.0体積%として、100〜1000nmの質量膜厚の小山部を形成する第2CVD工程とを具備する透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
(12)上記小山部を、四塩化錫、水および塩化水素を用いた常圧CVD法により形成する上記(11)に記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
(13)上記小山部および該小山部が形成されていない上記透明基体上に、上記第2の酸化物からなる連続層を常圧CVD法により形成する上記(11)または(12)に記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
(14)上記小山部と上記連続層との間に、上記異なる酸化物からなる酸化物層を常圧CVD法により形成する上記(11)〜(13)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
(15)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体上に、光電変換層を介して、裏面電極を有する光電変換素子。
(16)上記光電変換層が、p、i、n層をこの順に形成してなる上記(15)に記載の光電変換素子。
上記裏面電極が、Agを95原子%以上含有する金属膜であることが好ましい。
上記金属膜が、PdまたはAuを該金属膜中に0.3〜5原子%含有することが好ましい。
上記光電変換層と上記裏面電極との間に、接触改善層を有するのが好ましい。
上記接触改善層の比抵抗が、1×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。
上記接触改善層の吸収係数が、波長領域500〜800nmにおいて、5×103cm-1以下であることが好ましい。
上記接触改善層が、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、該接触改善層中の全金属成分の90原子%以上がZnであることが好ましい。
上記接触改善層が、ガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)を、Znとの総和に対して0.3〜10原子%含有することが好ましい。
上記接触改善層が、二酸化炭素を0.3〜20体積%含有する不活性ガス中でスパッタ法にて成膜されることが好ましい。
上記スパッタ法による成膜が、ターゲットを基体に対して30〜90°傾けて行われることが好ましい。
以下に説明するように、本発明によれば、低抵抗かつ高透明で、太陽光の全波長域で良好な光散乱性能を有し、量産性に優れ、特に、搬送型のCVD装置に用いて製造した30cm×30cmの大型の基体に対してもC光源ヘイズ率のばらつきが十分に小さい透明導電性酸化物膜付き基体とすることにより、光電変換素子用基板、特に、薄膜シリコン系太陽電池用基板として用いた場合に、光電変換率の効率のよい透明導電性酸化物膜付き基体、およびその製造方法ならびに該基板を用いた光電変換素子(特に、太陽電池)を提供することができる。
図1は、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体の形状および構成を示す一部切欠き断面図である。 図2は、図1に示す山部12の拡大図である。 図3は、搬送型常圧CVD装置の一部を示す概略図である。 図4は、本発明の太陽電池の好適な実施態様の一例を示す一部切欠き断面図である。 図5は、接触改善層を有する本発明の太陽電池の好適な実施態様の一例を示す一部切欠き断面図である。 図6は、実施例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体(サイズ:300mm×300mm)表面の写真である。 図7は、実施例1で得られた透明導電性酸化物膜表面[代表的な部分(ヘイズ率78%)]の凹凸形状を示す電子顕微鏡写真である。 図8は、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体(サイズ:300mm×300mm)表面の写真である。 図9のAおよびBは、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜表面[それぞれ図8における高ヘイズ率(65%)部および低ヘイズ率(20%)部]の凹凸形状を示す電子顕微鏡写真である。 図10は、実施例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体300mmの幅方向に、50mm間隔で5点、電子顕微鏡写真で表面状態を観察して山部間のピッチ(Pa)を測定した結果を表すグラフである。 図11は、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体300mmの幅方向に、50mm間隔で5点、電子顕微鏡写真で表面状態を観察して山部間のピッチ(Pa)を測定した結果を表すグラフである。 図12は、実施例1および比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体のC光源ヘイズ率測定における、10mm間隔の各測定点(縦方向に10mm間隔で測定する操作の横方向の測定範囲)におけるC光源ヘイズ率(%)との関係を表すグラフである。 図13は、太陽電池用基板の切り出し位置を示す説明図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の態様に係る透明導電性酸化物膜付き基体(以下、単に「本発明の透明導電性酸化物膜付き基体」ともいう。)は、複数の山部と複数の平坦部とで構成され、該山部および該平坦部の表面がミクロの多数の凸部を連続して有している透明導電性酸化物膜が基体上に設けられた透明導電性酸化物膜付き基体であって、
分光ヘイズ率が400〜800nmの波長全域にわたって10〜95%であり、該分光ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が50%以下であり、基体全面についてC光源ヘイズ率をヘイズメータで測定した際、該C光源ヘイズ率が30〜90%であり、該C光源ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が20%以下である透明導電性酸化物膜付き基体である。
以下に、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体の形状および構成を、図1および図2を用いて詳細に説明するが、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体およびその製造方法ならびに光電変換素子は、これらの図面に限定されない。
図1は、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体の形状および構成を示す一部切欠き断面図であり、図2は、図1に示す山部12の拡大図である。
図1に示すように、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体10は、ガラス基板11上に、不連続な複数の山部12によるマクロな凹凸(テクスチャ)と、この山部間をうめる複数の平坦部13とを有しており、該山部12および該平坦部13の外表面は、ミクロの多数の凹凸(テクスチャ)を有する構造となっている。以下、このような2つの凹凸を有する構造を、ダブルテクスチャ構造という。
また、本発明においては、図1に示すように、透明導電性酸化物膜14は、第1の酸化物からなる不連続な小山部15と、その上に形成される第2の酸化物からなる連続層であって該連続層の表面にミクロの多数の凸部を連続して有する連続層16とからなるのが好ましく、小山部間のピッチPcは、基体上の直線30cm以上の範囲において、直線上に0.7〜1.2μmであることが好ましく、0.9〜1.1μmであることがより好ましい。なお、第2の酸化物からなる連続層16は、小山部15上および小山部15が形成されていない部分のガラス基板11上に連続的に形成されている。
本発明においては、上記山部の高さHa(平坦部上のミクロの凸部の頂部からの高さ)は、0.2〜2.0μmであることが好ましく、0.3〜1.0μmであることがより好ましく、0.4〜0.7μmであることがさらに好ましい。
また、隣接する上記山部間の平坦部の距離(以下、単に「山部間の間隔」ともいう。)Waは、直線上に0〜1.5μmであることが好ましく、0〜1.0μmであることがより好ましく、0.1〜0.4μm(いずれの山部も不連続である)であることがさらに好ましい。本発明においては、複数の山部は不連続である部分と連続している部分があってよく、山部間の間隔Waが0〜1.5μmであるということは、平坦部がないところがあってもよいということである。
さらに、上記山部間のピッチPaは、小山部間のピッチPcと同様の値となり、基体上の直線30cm以上の範囲において、直線上に0.7〜1.2μmであることが好ましく、0.9〜1.1μmであることがより好ましい。
本発明においては、上記小山部の高さHcは、0.2〜2.0μmであることが好ましく、0.2〜1.0μmであることがより好ましく、0.4〜0.7μmであることがさらに好ましい。
また、隣接する上記小山部間の平坦部の距離(以下、単に「小山部間の間隔」ともいう。)Wcは、直線上に0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。
また、上記小山部の底面径Dcは、0.2〜2.0μmであることが好ましく、0.2〜1.0μmあることがより好ましい。
本発明においては、山部12および平坦部13の表面、すなわち、第2の酸化物からなる連続層16の表面は、図2に示されるように、ミクロの多数の凸部17を有している。
上記凸部の高さHbは、0.05〜0.2μmであることが好ましく、0.1〜0.2μmであることがより好ましい。
また、隣接する上記凸部間の頂点と頂点の距離(以下、単に「凸部間のピッチPb」ともいう。)は、直線上に0.1〜0.3μmであることが好ましく、0.1〜0.2μmであることがより好ましい。
さらに、上記凸部の底面径Dbは、0.1〜0.3μmであることが好ましく、0.15〜0.3μmであることがより好ましく、凸部の高さHb/底面径Dbの比は、0.7〜1.2であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましい。
また、図2において、上記小山部15上の連続層16の厚さHd(ミクロの凸部を含む)は、0.5〜1.0μmであることが好ましく、0.5〜0.7μmであることがより好ましい。同様に、上記ガラス基板11上の連続層16の厚さHe(ミクロの凸部を含む)は0.5〜1.0μmであることが好ましく、0.5〜0.7μmであることがより好ましい。
本発明においては、上記山部12および上記平坦部13の外表面を、このような山部による凹凸(マクロな凹凸)よりも小さな凹凸(ミクロな凹凸)とすることにより、短波長の光を強く散乱することができ、全体として広い領域の光を有効に散乱することが可能になる。すなわち、大きな凹凸である山部により長波長の光を散乱し、小さな凹凸表面より短波長の光を散乱することができるため、全体として高い光散乱性を達成することができる。
本発明の透明導電性酸化物膜付き基体におけるこのような表面性状は、例えば、以下に示す方法により確認することができる。
(1)表面形状の解析:膜表面の凸部を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、得られる顕微鏡写真より、凸部の底面径を測定することができる。また、膜表面の凹凸形状をSEM、原子間力顕微鏡(AFM)により観察し、得られる顕微鏡写真より、膜表面の凹凸形および凸部の高さを解析することができる。
(2)表面被覆率の測定:第1の酸化物からなる小山部の基体上への被覆率をSEM写真から測定し、基体上を小山部が占める面積を、基体の当該被覆面全体の面積で割った値を表面被覆率として評価することができる。
また、質量膜厚とは、基板上の一定面積中にある不連続の金属酸化物に対し、蛍光X線装置でその金属酸化物の金属量に比例する検出量を調べ、別途用意してある基板上に連続し、膜厚の既知の同種の金属酸化物における蛍光X線装置の検出量と比較して、不連続な酸化物の体積が連続になったと仮定して得られた膜厚を示す。
また、このような形状および構成を有する本発明の透明導電性酸化物膜付き基体は、基体全体において、以下に示す特性を有している。
すなわち、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体は、分光ヘイズ率が400〜800nmの波長全域にわたって10〜95%、好ましくは20〜90%であり、該分光ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が50%以下、好ましくは30%以下であり、基体全面についてC光源ヘイズ率をヘイズメータで測定した際の該C光源ヘイズ率が30〜90%、好ましくは40〜80%、より好ましくは40〜70%であり、該C光源ヘイズ率のばらつきが20%以下、好ましくは10%以下である。
また、分光ヘイズ率は、400〜600nmの波長領域において40〜90%であることが好ましく、特に、600〜800nmの波長領域において40〜80%であることが好ましい。
ここで、「分光ヘイズ率」とは、透過光における散乱成分の割合を示すものである。ヘイズ率は波長に依存し、ヘイズ率をHz(λ)、全透過率をTtotal(λ)、透過光の直進成分をTdirect(λ)、透過光の散乱成分をTdiffuse(λ)とすると、下記式に示す関係が成り立つ。
・Ttotal(λ)=Tdirect(λ)+Tdiffuse(λ)
・Hz(λ)=Tdiffuse(λ)/Ttotal(λ)×100[%]
「C光源ヘイズ率」とは、C光源で測定したヘイズ率のことを示し、本発明においては、以下に示す「C光源ヘイズ率のばらつき」を求める際に10mmの間隔で測定したC光源ヘイズ率を表す。
また、「C光源ヘイズ率のばらつき」とは、上述したように、C光源ヘイズ率の最大値と最小値の差のことであって、本発明においては、透明導電性酸化物膜付き基体の基体全面(少なくとも0.09m2の領域(例えば、30cm角の基体全面))においてC光源ヘイズ率を測定した際の該C光源ヘイズ率の最大値と最小値との差のことである。
また、本発明において、「基体全面においてC光源ヘイズ率を測定」とは、C光源ヘイズ率を基板の縦方向と横方向のそれぞれに10mm間隔(基体端部から15mm以内を除く)でヘイズメータ(C光源ヘイズ率計)で測定することである。
以下に、上述した本発明の透明導電性酸化物膜付き基体の形状および構成ならびに特性を満たす基体(透明基体)、第1の酸化物および第2の酸化物について詳述する。
<基体(透明基体)>
本発明の透明導電性酸化物膜付き基体に用いられる基体は、必ずしも平面で板状である必要はなく、曲面でも異型状でもよい。
このような基体としては、少なくともその表面が後述する第1の酸化物と異なる材料であることが好ましく、具体的には、ガラス基板、セラミックス基板、プラスチック基板、金属基板等や、これらの基板表面に酸化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化チタン膜などのアルカリバリヤ層を施したもの等が挙げられる。これらのうち、透光性に優れた透明の基体であることが好ましく、ガラス基板もしくはアルカリバリア層を施したガラス基板であることが強度および耐熱性の点から好ましい。
また、このような基体は、350〜800nmの波長領域において高い透過率、例えば80%以上の透過率を有することが好ましく、十分絶縁性で、かつ化学的、物理的耐久性が高いことが望ましい。
上記ガラス基板としては、具体的には、例えば、無色透明なソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス基板、無アルカリガラス基板、その他の各種ガラスからなる透明ガラス板を用いることができる。
また、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体を太陽電池用基板に用いる場合においては、ガラス基板の厚さは0.2〜6.0mmであることが、強度および透過率の点から好ましい。
なお、ソーダライムシリケートガラス等のナトリウムを含有するガラスからなるガラス基板または低アルカリ含有ガラスからなるガラス基板の場合には、ガラスからその上面に形成される透明電導膜へのアルカリ成分の拡散を最小限にするために、上述したアルカリバリヤ層を施したガラス基板を用いることが好ましい。
また、ガラス基板の表面に、ガラス基板の表面と、その上に設けられる層との屈折率の差異を軽減するための層をさらに有していてもよい。
<第1の酸化物>
本発明の透明導電性酸化物膜付き基体の透明導電性酸化物膜を構成する第1の酸化物は、可視光域で高透明な酸化物であれば特に限定されず、その具体例としては、TiO2、SnO2、In23、ZnO、CdO、CdIn24、CdSnO3、MgIn24、CdGa24、GaInO3、InGaZnO4、Cd2Sb27、Cd2GeO4、CuAlO2、CuGaO2、SrCu22、Al23等が挙げられる。これらのうち、TiO2、SnO2およびフッ素を含有するSnO2からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明においては、小山部を形成するこのような第1の酸化物の屈折率は、波長400〜800nmにおいて、1.8〜2.2であることが好ましく、さらに、1.9〜2.1であることが好ましい。
なお、このような第1の酸化物からなる小山部は、上述したように、不連続な突起物であって連続膜ではないので、該突起物に覆われていない透明基体部分は、当然ながら小山部による入射光の吸収損はゼロであるため、光電変換層への入射光量を増やすことができる。
これらの小山部は、ヘイズ率を高める(光の散乱度を上げる)部分であり、自由電子による吸収を抑えて、高透明にするために、電気導電性はないのが好ましい。したがって、上記第1の酸化物としてSnO2を用いた場合は、SnO2のみからなるか、フッ素を含有する場合でもフッ素は、SnO2に対して0.01mol%以下の含有量であることが好ましく、0.005mol%以下の含有量であることがより好ましい。
<第2の酸化物>
本発明の透明導電性酸化物膜付き基体の透明導電性酸化物膜を構成する第2の酸化物は、可視光域で透明であり、さらに導電性を有している透明導電性酸化物であることが必要であり、その具体例としては、SnO2、ZnO、In23等が挙げられ、2種以上を併用してもよく、さらに、導電性発現のためのドーパントを含有していることが好ましい。
これらのうち、SnO2はドーパントとしてフッ素またはアンチモンをSnO2に対して0.01〜4mol%含有することが好ましい。ZnOはドーパントとしてホウ素、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種をZnOに対して0.02〜5mol%含有することが好ましい。In23はドーパントとしてSnをIn23に対して0.02〜4mol%含有することが好ましい。なお、これらのドーパントを用いたドーピングは、ハロゲン化水素によるものであってもよい。このようなハロゲン化水素としては、具体的には、例えば、HF、HBr等が挙げられる。
本発明においては、連続層を形成するこのような第2の酸化物の屈折率は、波長400〜800nmにおいて、1.8〜2.2であることが好ましく、さらに、1.9〜2.1であることが好ましい。
また、上記第2の酸化物としてフッ素を含有するSnO2を用いることにより、導電電子密度が向上する。太陽電池に用いる基体としては、導電電子密度は、5×1019〜4×1020cm-3であることが好ましく、1×1020〜2×1020cm-3であることがより好ましい。導電電子密度がこの範囲であれば、第2の酸化物からなる連続層の光吸収量が少なく、高透明で、かつ活性水素種に対して高い耐久性があるので、薄膜シリコン系太陽電池を形成する際に一般に用いられる水素プラズマ照射によっても、透明性は損なわれないため好ましい。
上述した第1の酸化物と第2の酸化物とは、同じ酸化物を用いてもよく、本発明においては、いずれもSnO2を用いることが好ましい。また、第1の酸化物および第2の酸化物層の屈折率は、同等程度であることが好ましく、具体的には、1.8〜2.2であることが好ましい。第1の酸化物と第2の酸化物の屈折率がともにこの範囲であると、第1の酸化物と第2の酸化物との界面における光の反射が制御され、透過率が低下しないことから好ましい。
また、本発明においては、上述した第1の酸化物からなる小山部と、上述した第2の酸化物からなる連続層との間に、該第1の酸化物および該第2の酸化物とは組成が異なる酸化物からなる酸化物層(以下、単に「異なる酸化物層」ともいう。)を有していることが好ましい。
このような異なる酸化物層を有していることにより、後述する本発明の第2の態様に係る透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)においても述べるように、第2の酸化物からなる連続層の表面にミクロの多数の凸部が形成されやすく、山部と平坦部とを有する構造を容易に形成することができる。
また、このような異なる酸化物層を有する多層構造の透明導電性酸化物膜においては、各層の界面での反射を軽減し、後述する光電変換層への入射光量を最大にする必要がある。すなわち、ガラス基板、第1の酸化物からなる小山部、異なる酸化物層、第2の酸化物からなる連続層の各界面での光反射をできるだけ低減することが望ましい。そのためには、第1の酸化物、異なる酸化物および第2の酸化物の屈折率ができるだけ近いこと、または屈折率が離れている場合は、異なる酸化物層ができるだけ薄いことが望ましい。
このような異なる酸化物としては、具体的には、例えば、Si、Sn、Al、ZrおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の原子の酸化物が挙げられ、これらのうち、Siの酸化物を主成分とすることが好ましい。また、上記異なる酸化物は、高い透光性を有する必要があるため、非結晶性であるSiO2であることがより好ましい。
なお、異なる酸化物層の膜厚は2〜40nmであることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましい。
本発明の透明導電性酸化物膜付き基体は、上述したように、複数の山部とその間をうめる複数の平坦部とで構成され、該山部および外平坦部の表面がミクロの多数の凸部を連続して有するものであるが、基板上から山部の頂上(ミクロの凸部を含む)までの高さは0.8〜3.0μmであることが好ましく、0.8〜1.0μmであることがより好ましい。また、膜全体のシート抵抗が8〜20Ω/□であることが好ましく、8〜12Ω/□であることがより好ましく、550nmにおける透過率(透明性)は、後に実施例で詳述する浸液法で測定した場合、80〜90%であることが好ましく、85〜90%であることがより好ましい。
また、上記構成からなる本発明の透明導電性酸化物膜付き基体を、後述する本発明の第3の態様に係る光電変換素子(以下、単に「本発明の光電変換素子」ともいう。)の透明電極に用いると、基体を経て入射された光は、透明電極により屈折、散乱されて光電変換部に入射し、光電変換部中を長い距離にわたって通過する。その結果、多くの光が光電変換部にて吸収され、光電変換効率が向上する効果を奏するものとなる。特に、太陽電池に用いた場合には、開放電圧および曲線因子を低下させずに短絡電流を高く維持することが可能となるため、光電変換効率が向上するものとなる。
本発明の第2の態様に係る透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法は、透明基体上に、第1の酸化物からなる不連続な小山部を常圧CVD法により形成し、その上に第2の酸化物からなる連続層を形成することで上述した第1の態様に係る透明導電性酸化物膜付き基体を製造する方法であって、
上記透明基体の少なくとも表面が、上記第1の酸化物と異なる材料からなり、
上記常圧CVD法が、キャリアガスと上記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.02〜0.30体積%として、1〜20nmの質量膜厚の核を形成する第1CVD工程と、キャリアガスと上記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.3〜3.0体積%として、100〜1000nmの質量膜厚の小山部を形成する第2CVD工程とを具備する透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法である。
なお、透明基体、第1の酸化物および第2の酸化物とは、上述した第1の態様に係る基体と同様である。
ここで、第1CVD工程は、キャリアガス(例えば、窒素、アルゴン等)と上記第1の酸化物を形成する原料ガス(例えば、四塩化錫、四塩化チタン、有機チタン、水、塩化水素等)との合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.02〜0.30体積%、好ましくは0.02〜0.15体積%として、1〜20nm、好ましくは1〜10nmの質量膜厚の核(小山部核)を形成する工程である。
また、第2CVD工程は、上記第1CVD工程終了後、キャリアガスと上記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.3〜3.0体積%、好ましくは0.3〜1.0体積%として、100〜1000nm、好ましくは100〜300nmの質量膜厚の小山部を形成する工程である。
小山部を形成する常圧CVD法が、上述した第1CVD工程およぴ第2CVD工程を具備することにより、容易に小山部間のピッチを直線上に0.7〜1.2μm程度とすることができる。
図3に搬送型常圧CVD装置の一部を表す概略図を示す。この搬送型の常圧CVD装置は原料ガス供給部分と排気部分がガラス進行方向で前後方向にあり、上述した第1CVD工程により小山部の核を形成する際に、排気孔下部に発生する乱流による影響を最小限に抑えることが可能になったためと考えられる。このことは、後述する実施例にも示すように、第2CVD工程に相当する条件のみで小山部を形成すると、形成された小山部間のピッチが、直線上に0.1〜2.0μmと広がってしまうことからも確認することができる。
また、小山部間のピッチが、直線上に0.7〜1.2μm程度となることにより、第2の酸化物からなる連続層形成後において、C光源ヘイズ率を30〜90%とし、該C光源ヘイズ率のばらつきが20%以下とすることが容易になるため好ましい。
以下に、本発明の製造方法における、常圧CVD法を用いた小山部の形成の好適な1例を示すが、本発明の製造方法はこれに限定されない。
まず、ソーダライムガラス基板をベルトコンベア炉において500℃に加熱し、このガラス基板上に、5mol%のシランガスを含有した窒素ガス4L/分と、酸素ガス20L/分とを同時に吹き付けシリカ膜を作製する。
次に、このシリカ膜付きガラス基板を同様のベルトコンベア炉において540℃に加熱し、キャリアガスとして窒素ガスを用い、第1の酸化物を形成する原料ガスとして四塩化錫、メタノール、水および塩化水素を用い、該キャリアガスと該原料ガスとの合計ガス量に対する四塩化錫の濃度を0.1体積%として、5nmの質量膜厚の核をシリカ膜上に形成した後、該合計ガス量における四塩化錫の濃度を0.9体積%として、100nmの質量膜厚の小山部を形成する。
本発明の製造方法においては、この常圧CVD法によって形成する小山部のガラス基板上における表面被覆率は、10〜70%であることが好ましい。
また、上記表面被覆率は、上記塩化水素ガスおよび上記水の量を制御することで調節できる。具体的には、常圧CVD法(特に、第1CVD工程)における小山部核の形成時において、塩化水素ガスを加える割合を増加させることが好ましい。塩化水素を加える割合は、塩化水素と四塩化錫のモル比(以下、単に「HCl/SnCl4」という。)で表され、HCl/SnCl4が1.0〜4.0であることが好ましい。HCl/SnCl4がこの範囲であると、小山部核が形成され易く、上記表面被覆率を制御することができる。特に、HCl/SnCl4が2.0〜3.0であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、第2の酸化物からなる連続層は、上記小山部上および該小山部が形成されていない透明基体上に、常圧CVD法、電子ビーム蒸層法、真空蒸着法、スパッタ法またはスプレー法を用いて形成することができるが、該連続層の表面に形成されるミクロの多数の凹凸がエッチング工程を要せず形成可能であるため、常圧CVD法を用いることが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、上記小山部および該小山部が形成されていない透明基体と第2の酸化物からなる連続層との間に、上述した異なる酸化物層を常圧CVD法により形成することが、山部および平坦部を確実に有する透明導電性酸化物膜に容易に製造することができるため好ましい。
以下に、上述した異なる酸化物層および第2の酸化物からなる連続層の形成の好適な1例として、常圧CVD法を用いた例を示すが、本発明の製造方法はこれに限定されない。
上記異なる酸化物層として、SiO2からなる層を用いる場合、SiO2からなる層を、常圧CVD法を用いて、第1の酸化物からなる不連続な小山部上および該小山部のない平坦なガラス基板上に形成させる。
具体的には、まず、上記小山部が形成されたガラス基板をベルトコンベア炉において520℃に加熱し、このガラス基板上に、5mol%のシランガスを含んだ窒素ガス4L/分と、酸素ガス3L/分とを同時に吹き付け、常圧CVD法により、上記異なる酸化物層であるSiO2からなる層を形成する。
次に、このガラス基板を同様のベルトコンベア炉において540℃に加熱し、四塩化錫、水、フッ化水素、メタノールを同時に吹き付け、常圧CVD法を用いることで、上記第2の酸化物からなる連続層であるフッ素ドープSnO2透明導電性酸化物膜を形成する。
本発明の第3の態様に係る光電変換素子は、上述した本発明の第1の態様に係る透明導電性酸化物膜付き基体上に、光電変換層を介して、裏面電極を有する光電変換素子である。
以下に、本発明の光電変換素子(以下、太陽電池として説明する。)の好適な実施態様の一例を、図4を用いて詳細に説明するが、本発明の太陽電池は、これに限定されない。
図4は、本発明の太陽電池の好適な実施態様の一例を示す一部切欠き断面図である。
図4に示されるように、本発明の太陽電池20は、ガラス基板21上に、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体に用いられる透明導電性酸化物膜22と、光電変換層26と、裏面電極層27とを有している。この構成は、比較的低コストで製造可能な光電変換装置の1つである。かかる太陽電池20は、光28がガラス基板21側から入射し、主としてi層24内で吸収されるように設計されている。起電力は透明電導性酸化物膜22と裏面電極27の2つの電極間で発生し、導線29を通して太陽電池から電気が取り出される。
以下に、太陽電池20の各構成について詳述する。
本発明の太陽電池においては、光電変換層26は、一般的な太陽電池に使用することができる光電変換層であれば使用可能である。図4に示される光電変換層26の構造は、p層23、i層24およびn層25をこの順に形成された3層からなるシングル構造となっている。
p層の材料としては、例えば、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC:H)等が挙げられ、i層の材料としては、例えば、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)、結晶シリコン(c−Si)、微結晶シリコン(μc−Si)、水素化アモルファスシリコンゲルマニウム(a−SiGe:H)等が挙げられる。また、n層材料としては、例えば、素化アモルファスシリコン(a−Si:H)、微結晶シリコン(μc−Si)等が挙げられる。
これらのうち、p層としてa−SiC:H層、i層としてa−Si:H層、n層としてa−Si:H層がこの順に形成された3層(以下、a−Siのp−i−n層)からなるシングル構造が好ましい。
また、他の例としては、a−Siのp−i−n層上に、さらに別のp−i−n層が形成されたタンデム構造の起電層が好適に例示される。具体的には、a−Siのp−i−n層上に形成される層が、p層としてa−Si:H層、i層として微結晶Si層、n層としてa−Si:H層がこの順に形成された3層、または、p層としてa−Si:H層、i層としてa−SiGe:H層、n層としてa−Si:H層がこの順に形成された3層であるタンデム構造の起電層が挙げられる。
タンデム構造の起電層を光電変換層に用いることにより、短波長のみならず長波長側の光の光電変換も可能となるため、本発明の透明導電性酸化物膜付き基体に上記タンデム構造の起電層を用いれば、光電変換効率はより向上する。
このような光電変換層の膜厚は、形成される起電層の種類により異なるが、例えば、後述するプラズマCVD法により形成されるp層またはn層の膜厚は、5〜15nmであることが好ましく、i層の膜厚は、100〜400nmであることが好ましい。また、タンデム構造における微結晶Si層の膜厚は、500〜3000nmであることが好ましい。
また、本発明の太陽電池においては、上記裏面電極層27の電極材料は一般的な太陽電池に使用することができる裏面電極層の電極材料であれば使用可能であり、その具体例としては、AgまたはAg合金、AlまたはAl合金、パラジウム、クロムなどが好適に例示され、結晶性のAgを95原子%以上含有する金属膜を用いることが好ましい。結晶性のAgを裏面電極の金属膜に用いることにより、上記光電変換層を透過してきた光を反射させ、再び反射光を光電変換層に戻すことが可能となることから、光電変換効率の向上効果につながるため好ましい。
上記金属膜は、Pdおよび/またはAuを成分として含有してもよい。上記金属膜におけるPdおよびAuの含有量は、Agとの総和に対して、それぞれ0.3〜5原子%であることが好ましく、0.3〜3原子%であることがより好ましい。
また、上記裏面電極層がAgのみからなる層である場合、不純物量の合計は1原子%以下であることが好ましい。
このような裏面電極層の膜厚は、100〜1000nmであることが好ましい。特に、裏面電極層がAgであるときの膜厚は150〜250nmであることが好ましい。裏面電極層の膜厚がこの範囲であれば、該裏面電極層のシート抵抗が低くなり、太陽電池の曲線因子を高く維持することができることから、光電変換率が向上するため好ましく、また、光電変換層を透過した光を該裏面電極層において反射することができ、太陽電池の短絡電流を高く維持することができることから、光電変換率が向上するため好ましい。また、特に、裏面電極層の膜厚が300nm以下であれば、後述するCVD法による裏面電極層形成工程において、該裏面電極層の形成時間が短く済み、生産性が向上するため好ましい。
本発明の太陽電池は、図4に示す上記裏面電極層27と、光電変換層26との間に接触改善層を有していてもよい。
以下に、接触改善層を有する本発明の太陽電池の好適な実施態様の一例を、図5を用いて詳細に説明するが、本発明の太陽電池は、これに限定されない。
図5は、接触改善層を有する本発明の太陽電池の好適な実施態様の一例を示す一部切欠き断面図である。
図5に示されるように、本発明の太陽電池40は、ガラス基板44、透明導電性酸化物膜45、光電変換層42、接触改善層41および裏面電極43を有している。
この接触改善層41は、上記光電変換層42と裏面電極43との間にあり、光電変換層42と裏面電極43との接触性を改善するために用いられる。
また、接触改善層41は、比抵抗および吸収係数が小さいことが好ましい。具体的には、比抵抗が1×10-2Ω・cm以下であることが好ましく、5×10-3Ω・cm以下であることがより好ましい。上記接触改善層41の比抵抗がこの範囲であれば、光電変換層42で光電変換された起電力を低減させることなく裏面電極43へ通すことが可能となる。
また、吸収係数は、波長領域500〜800nmにおいて、5×103cm-1以下であることが好ましく、2×103cm-1以下であることがより好ましい。上記接触改善層41の吸収係数がこの範囲であれば、光電変換層42を透過した光を吸収することなく裏面電極43へ透過させ、さらに裏面電極43において反射した光を再び光電変換層42に透過させることが可能となる。
上記接触改善層41の材料としては、ZnOを主成分とし、該接触改善層中の全金属成分の90原子%以上がZnであることが好ましく、ZnOを主成分とする層に、GaまたはAlを含有させていることがより好ましい。GaやAlを含有させることにより、導電電子密度が上がり、ZnOに対してドーパントとして働くことにより、接触改善層41全体の電気伝導度の向上といった効果を有する。
また、GaまたはAlを含有させる場合の含有量は、Znとの総和に対して0.3〜10原子%であることが好ましく、より好ましくは、0.3〜5原子%である。この範囲であると、電気伝導度の過剰な向上による接触改善層41の吸収係数の増大を防ぐことができる。
さらに、上記接触改善層がGaやAlを含有するZnO層である場合は、不純物を含んでいてもよく、不純物量の合計は1原子%以下であることが好ましい。
このような接触改善層の膜厚は5〜200nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nmである。特に、接触改善層がGaをドーピングさせた酸化亜鉛(以下、GZO)層であるときは、その膜厚は50〜150nmであることが好ましい。
このような本発明の太陽電池を製造する製造方法としては、上述した本発明の第1の態様に係る透明導電性酸化物膜付き基体上に、上記光電変換層をプラズマCVD法により形成する光電変換層形成工程と、該光電変換層形成工程後に、上記裏面電極層を形成する裏面電極層形成工程とを具備する製造方法が挙げられる。
上記光電変換層形成工程におけるプラズマCVD法は、一般的な太陽電池において光電変換層を形成する条件で行うことができ、例えば、a−Siのp−i−n層を、後述する実施例に示す条件で行うことができる。
また、上記光電変換層を形成する方法としては、RFプラズマCVD法、VHFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、ホットワイヤーセル法、触媒気相化学堆積法(Cat−CVD法)、光CVD法、ECRプラズマCVD法などを用いてもよい。
上記裏面電極層形成工程は、上記光電変換層上に、上記裏面電極層を形成する工程であって、スパッタ法を用いて形成することが好ましい。なお、裏面電極層を形成する前に、上記光電変換層上に上記接触改善層をスパッタ法を用いて形成することが好ましい。
スパッタ法による上記接触改善層の形成は、具体的には、プラズマCVD法により形成した上記光電変換層の上に、GZOをターゲットに用い、不活性ガス雰囲気でスパッタすることにより形成することができる。
また、上記接触改善層を形成する方法は、スパッタ法以外の物理蒸着法や化学蒸着法を用いてもよいが、より低温基板温度で良好な導電膜特性が得られるスパッタ法を用いることが好ましい。後述する実施例では直流スパッタ法を用いているが、これを高周波スパッタリング法で行ってもよい。
同様に、スパッタ法を用いた上記裏面電極層の形成は、上記接触改善層(接触改善層が無い場合は、光電変換層)上に、Agを95原子%以上含有する金属(以下、単に「Ag系金属」という。)をターゲットに用いて、不活性ガス雰囲気下でスパッタすることにより形成することができる。
上記接触改善層は、例えば、以下に示すように形成することができる。
まず、接触改善層を形成するGZOターゲットを直流マグネトロンスパッタ装置のカソードに取り付ける。さらに、光電変換層が形成された透明導電性酸化物膜付き基体を基板ホルダーに取り付ける。次いで、成膜室内を真空に排気後、スパッタガスとして、アルゴンガスを導入する。スパッタガスには、アルゴンガスの他に、He、Ne、Krなどの不活性ガスを用いることができるが、放電が安定で、価格が安価であるアルゴンガスが好ましい。また、二酸化炭素を0.3〜20体積%含有する不活性ガスであることがより好ましく、さらに好ましくは、0.3〜10体積%である。二酸化炭素を含有させることにより、Gaドープによる導電性の過剰な向上による吸収係数の増大を防ぐことができる。
スパッタ中の圧力としては、0.1〜1.5Paが適当である。また、残留ガス圧は1.0×10-5〜2.5×10-3Paが好ましい。基板温度としては、太陽電池特性の観点から室温〜200℃、特に100〜150℃であることが適当である。
また、上記スパッタによる成膜が、GZOターゲットを基体に対して30〜90°傾けてスパッタを行うことが、低抵抗と低吸収を両立できることから好ましい。
裏面電極層の形成は、接触改善層同様、まず、裏面電極層を形成するAg系金属ターゲットを直流マグネトロンスパッタ装置のカソードに取り付ける。さらに、上述のようにして接触改善層が形成された基体を基板ホルダーに取り付ける。次いで、成膜室内を真空に排気後、スパッタガスとして、アルゴンガスを導入する。スパッタガスには、アルゴンガスの他に、He、Ne、Krなどの不活性ガスを用いることができるが、放電が安定で、価格が安価であるアルゴンガスが好ましい。
スパッタ中の圧力も接触改善層のスパッタと同様で、0.1〜1.5Paが適当である。また、残留ガス圧は1.0×10-5〜2.5×10-3Paが好ましい。スパッタ時の基体の温度としては、基板と膜との密着性の観点から室温〜200℃、特に100〜150℃で行うことが適当である。スパッタ時に基体を加熱することにより、裏面電極であるAgの結晶性の向上、反射率の向上、および基板全体の低抵抗化が図られるため好ましい。
また、裏面電極層として、Pdおよび/またはAuを含有するAg層を形成するときは、Pdおよび/またはAuをそれぞれ別々のターゲットとして用いて形成してもよく、また、あらかじめ所望の組成のPdおよび/またはAuを含有するAg合金を作成して、それをターゲットとして用いてもよい。
以下に、実施例を用いて本発明の透明導電性酸化物膜付き基体および太陽電池について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1として、図3に示す搬送型常圧CVD装置を用い、以下に示す、ダブルテクスチャ構造を有する透明導電性酸化物膜付き基体を製造した。
<アルカリバリア層の形成>
まず、300mm×300mm×1.1mm厚のソーダライムガラス基板をベルトコンべア炉(ベルト速度1m/分)で500℃に加熱し、5体積%のシランガスを含む窒素ガス4L/分と酸素ガス20L/分を同時に吹き付けシリカ膜を作製した。
<第1の酸化物の形成>
次に、このアルカリバリア層付きガラス基板を同様のベルトコンベア炉において520℃に加熱し、四塩化錫、水、塩化水素ガスを同時にガラス基板に吹き付け10nmの質量膜厚の酸化錫核を形成した。
この際、四塩化錫は、あらかじめ30℃に加熱し、窒素ガスを0.46L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。同様に、水は、あらかじめ15℃に加熱し、窒素ガスを6L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。また、塩化水素ガスは、四塩化錫および水の移送と同時に0.06L/分でガラス基板に吹き付けた。なお、窒素ガスならびに四塩化錫、水および塩化水素ガスの合計ガス量に対して、四塩化錫の濃度を0.1体積%とした。
酸化錫核を形成した後、四塩化錫と水を同時にガラス基板に吹き付け、質量膜厚100nmの第1の酸化物であるSnO2を形成した。
この際、四塩化錫は、あらかじめ45℃に加熱し、窒素ガスを1.2L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。同様に、水は、あらかじめ70℃に加熱し、窒素ガスを3L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。なお、窒素ガスならびに四塩化錫および水の合計ガス量に対して、四塩化錫の濃度を0.9体積%とした。
第1の酸化物の形成後、SEMにより膜表面の凹凸形状を観察したところ、第1の酸化物であるSnO2は連続膜ではなく、マクロな凹凸からなる小山部を形成していることがわかった。基板を真上から観察したSEM像を画像処理して計算したところ、小山部を形成するSnO2によるガラス基板表面の被覆率は40%、SnO2からなる小山部の高さHcは0.6〜0.8μm、SnO2による小山部の底面径Dcが0.8〜1.0μm、隣接する小山部間の間隔Wcが0.1〜1.0μm、隣接する小山部間のピッチPcが0.7〜1.2μmだった。また、後述する測定方法により、第1の酸化物からなる小山部のシート抵抗は20MΩ/□以上、浸液法による550nmにおける透過率は88%と求められ、分光ヘイズ率は400〜600nmの波長領域において40〜65%、600〜800nmの波長領域において50〜65%と求められた。また、後述する測定方法により、300mm×300mm基体内のC光源ヘイズ率は50〜60%、C光源ヘイズ率のばらつきは10%と求められた。
<異なる酸化物層の形成>
次に、得られた第1の酸化物よりなる小山部が形成されたガラス基板を同様のベルトコンベア炉において520℃に加熱し、該小山部上および該小山部が形成されていないソーダライムガラス基板上に、常圧CVD法を用いて、異なる酸化物層として非結晶のSiO2膜を形成した。SiO2膜の形成条件は、5体積%のシランガスを含む窒素ガス量を0.6L/分、酸素ガス量を3L/分で行った。
<第2の酸化物層の形成>
さらに、この異なる酸化物層が形成されたガラス基板を同様のベルトコンベア炉において540℃に加熱し、四塩化錫、水、HFガス、メタノールを同時に吹き付けて、第2の酸化物層であるフッ素ドープSnO2膜を形成した。
この際、四塩化錫およびメタノールは、あらかじめ45℃に加熱し、窒素ガスを12L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。また、100℃に加熱した水を90g/分で、HFガスを1L/分でガラス基板に吹き付けた。さらに、メタノールは、あらかじめ30℃に加熱し、窒素ガス0.1L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。
第2の酸化物層の形成後、膜表面の凹凸形状をSEM、AFMにより観察した。SEM観察によると、第2の酸化物層であるフッ素ドープSnO2膜は連続層となっており、フッ素ドープSnO2膜によるガラス基板表面の被覆率は100%だった。SEM、AFM観察によると、山部の高さHaは0.4〜0.6μm、隣接する山部間の間隔Waは0〜0.5μm、隣接する山部間のピッチPaは0.7〜1.2μm、基板上から山部の頂点(ミクロの凸部を含む)までの高さは1.0〜1.4μmであった。また、フッ素ドープSnO2膜の表面は、ミクロの多数の凹凸を有しており、その凸部の高さHbは0.1〜0.2μm、凸部間のピッチPbは0.1〜0.2μm、凸部の底面径Dbは0.2〜0.3μmであり、凸部の高さHb/底面径Dbは0.7であった。さらに、後述する測定方法により、シート抵抗は11Ω/□、浸液法による550nmにおける透過率は89%と求められ、分光ヘイズ率は400〜600nmの波長領域において85〜70%、600〜800nmの波長領域において70〜40%と求められ、分光ヘイズ率の最大値と最小値との差は45%であった。また、後述する測定方法により、300mm×300mm基体内のC光源ヘイズ率は65〜79%、C光源ヘイズ率のばらつきは14%と求められた。
また、第2の酸化物層であるフッ素ドープSnO2膜中のフッ素含有量と導電電子密度を定量するために、あらかじめシリカコートしたガラス基板上に四塩化錫、水、HFガス、メタノールを吹き付けてフッ素ドープSnO2膜を形成した。基板温度、ガス流量は本例における第2の酸化物層の作成条件と同一条件で行った。得られたフッ素ドープSnO2膜を亜鉛を含む塩酸中で溶解した後、ガスクロマトグラフィーにより定量分析したところ、フッ素含有量はSnO2に対して0.05mol%であった。また、導電電子密度をホール効果(van der Pauw法)による測定により求めたところ、1.5×1020cm-3であった。なお、フッ素ドープSnO2膜の膜厚は、触針式膜厚計で測定したところ0.6μmであった。
上記第2の酸化物層の製膜後の基体表面の写真を図6に示し、上記第2の酸化物層の製膜後の膜表面の電子顕微鏡写真を図7に示す。図6は、実施例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体(サイズ:300mm×300mm)表面の写真であり、図7は、実施例1で得られた透明導電性酸化物膜表面[代表的な部分(ヘイズ率78%)]の凹凸形状を示す電子顕微鏡写真である。これにより、実施例1で用いる透明導電性酸化物膜付き基体は、ダブルテクスチャ構造を有していることがわかった。
得られた透明導電性酸化物膜付き基体のシート抵抗、透過率、分光ヘイズ率、C光源ヘイズ率の測定方法を以下に述べる。
シート抵抗は、4端子法で測定した。導電性酸化物膜付き基体を約3cm角に切り出し、対向する2辺に、長さ3cmの一対の電極を電極間距離が3cmとなるように、該導電性酸化物膜の上に平行に取り付けた。次に、テスターで電極間の抵抗を測り、シート抵抗とした。
透過率は、導電性酸化物基板表面の凹凸の大きさの違いによる測定誤差を最小にするために、浸液法を用いて行った。浸液法とは、導電性酸化物膜付き基体の膜表面に、ジヨードメタンを数滴滴下して、透明石英ガラスで溶液を挟み込んで透過率を測定する方法である。ジヨードメタンによる吸収は、主に400nm以下であることから、400〜800nmの範囲では、ジヨードメタンと石英ガラスによる吸収はほとんどない。この透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製U3400)に内面球径150mmφの積分球(日立製作所製:150−0901)を装着して行った。
分光ヘイズ率は、JIS K 7136:2000(ISO 14782:1999)に準じて、分光光度計(U3400、日立製作所製)を用いて測定した。測定波長範囲は400〜800nmとした。まず光入射面をガラス面として、正透過法で透過率を測定した。このときの各波長における透過率をTd(λ)とする。次に内面球径150mmφの積分球を装着し、サンプルの膜面を積分球に密着させて、積分球透過率を測定した。このときの各波長における透過率をTt(λ)とする。以上の測定結果から、分光ヘイズ率Hz(λ)を以下の式により算出した。
Hz(λ)=(Tt(λ)−Td(λ))×100/Tt(λ)[%]
C光源ヘイズ率は、基体(300mm×300mm)の縦方向と横方向のそれぞれに10mm間隔(基体端部から15mm以内を除く)でC光源ヘイズ率計(TC−H III、東京電色社製)で測定し、C光源ヘイズ率のばらつきは、得られたC光源ヘイズ率の測定値の最大値と最小値の差から求めた。
(比較例1)
比較例1として、図3に示す搬送型常圧CVD装置を用い、以下に示す、ダブルテクスチャ構造を有する透明導電性酸化物膜付き基体を製造した。
<アルカリバリア層の形成>
まず、300mm×300mm×1.1mm厚のソーダライムガラス基板をベルトコンベア炉(ベルト速度1m/分)で500℃に加熱し、5体積%のシランガスを含む窒素ガス4L/分と酸素ガス20L/分を同時に吹き付けシリカ膜を作製した。
<第1の酸化物の形成>
次に、このアルカリバリア層付きガラス基板を同様のベルトコンベア炉において540℃に加熱し、四塩化錫、水、塩化水素ガスを同時にガラス基板に吹き付け100nmの質量膜厚の第1の酸化物であるSnO2を形成した。
この際、四塩化錫およびメタノールは、あらかじめ45℃に加熱し、窒素ガスを2L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。また、100℃に加熱した水を15g/分で、塩化水素ガスを0.5L/分でガラス基板に吹き付けた。なお、窒素ガスならびに四塩化錫、水および塩化水素ガスの合計ガス量に対して、四塩化錫の濃度を0.5体積%とした。
第1の酸化物の形成後、SEMにより膜表面の凹凸形状を観察したところ、第1の酸化物であるSnO2は連続膜ではなく、マクロな凹凸からなる小山部を形成していることがわかった。基板を真上から観察したSEM像を画像処理して計算したところ、小山部を形成するSnO2によるガラス基板表面の被覆率は60%、SnO2からなる小山部の高さHcは0.4〜0.6μm、SnO2による小山部の底面径Dcが0.5〜0.7μm、隣接する小山部間の間隔Wcが0.2〜0.5μm、隣接する小山部間のピッチPcが0.3〜1.2μmだった。また、上述した測定方法により、第1の酸化物からなる小山部のシート抵抗は20MΩ/□以上、浸液法による550nmにおける透過率は88%と求められた。
<異なる酸化物層の形成>
次に、得られた第1の酸化物よりなる小山部が形成されたガラス基板を同様のベルトコンベア炉において520℃に加熱し、該小山部上および該小山部が形成されていないソーダライムガラス基板上に、常圧CVD法を用いて、異なる酸化物層として非結晶のSiO2膜を形成した。SiO2膜の形成条件は、5体積%のシランガスを含む窒素ガス量を0.6L/分、酸素ガス量を3L/分で行った。
<第2の酸化物層の形成>
さらに、この異なる酸化物層が形成されたガラス基板を同様のベルトコンベア炉において540℃に加熱し、四塩化錫、水、HFガス、メタノールを同時に吹き付けて、第2の酸化物層であるフッ素ドープSnO2膜を形成した。
この際、四塩化錫は、あらかじめ45℃に加熱し、窒素ガスを12L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。また、100℃に加熱した水を90g/分で、HFガスを3L/分でガラス基板に吹き付けた。さらに、メタノールは、あらかじめ30℃に加熱し、窒素ガス0.1L/分バブリングして移送することでガラス基板上に吹き付けた。
第2の酸化物層の形成後、膜表面の凹凸形状をSEM、AFMにより観察した。SEM観察によると、第2の酸化物層であるフッ素ドープSnO2膜は連続層となっており、フッ素ドープSnO2膜によるガラス基板表面の被覆率は100%だった。SEM、AFM観察によると、山部の高さHaは0.1〜0.5μm、隣接する山部間の間隔Waは0〜0.4μm、隣接する山部間のピッチPaは0.3〜1.2μm、基板上から山部の頂点(ミクロの凸部を含む)までの高さは0.5〜1.0μmであった。また、フッ素ドープSnO2膜の表面は、ミクロの多数の凹凸を有しており、その凸部の高さHbは0.1〜0.2μm、凸部間のピッチPbは0.1〜0.2μm、凸部の底面径Dbは0.2〜0.3μmであり、凸部の高さHb/底面径Dbは0.73であった。さらに、上述した測定方法により、シート抵抗は10Ω/□、浸液法による550nmにおける透過率は87%と求められ、分光ヘイズ率は400〜600nmの波長領域において85〜35%、600〜800nmの波長領域において35〜15%と求められ、分光ヘイズ率の最大値と最小値との差は70%であった。また、上述した測定方法により、300mm×300mm基体内のC光源ヘイズ率は19〜73%、C光源ヘイズ率のばらつきは54%と求められた。
また、第2の酸化物層であるフッ素ドープSnO2膜中のフッ素含有量と導電電子密度を定量するために、あらかじめシリカコートしたガラス基板上に四塩化錫、水、HFガス、メタノールを吹き付けてフッ素ドープSnO2膜を形成した。基板温度、ガス流量は本例における第2の酸化物層の作成条件と同一条件で行った。得られたフッ素ドープSnO2膜を亜鉛を含む塩酸中で溶解した後、ガスクロマトグラフィーにより定量分析したところ、フッ素含有量はSnO2に対して0.05mol%であった。また、導電電子密度をホール効果(van der Pauw法)による測定により求めたところ、1.5×1020cm-3であった。なお、フッ素ドープSnO2膜の膜厚は、触針式膜厚計で測定したところ0.6μmであった。
上記第2の酸化物層の製膜後の基体表面の写真を図8に示し、上記第2の酸化物層の製膜後の膜表面の電子顕微鏡写真を図9に示す。図8は、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体(サイズ:300mm×300mm)表面の写真であり、図9のAおよびBは、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜表面[それぞれ図8における高ヘイズ率(65%)部および低ヘイズ率(20%)部]の凹凸形状を示す電子顕微鏡写真である。これにより、比較例1で用いる透明導電性酸化物膜付き基体も、ダブルテクスチャ構造を有していることがわかった。
実施例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体は、図6に示す写真からC光源ヘイズ率のばらつきが少なく、その表面の状態を図7の電子顕微鏡写真に示す。また、得られた基体300mmの幅方向に、50mm間隔で5点、電子顕微鏡写真で表面状態を観察して山部間のピッチ(Pa)を測定した結果を図10に示す。図10に示すように、山部間のピッチは5点とも0.7〜1.2μmに入り、良好な酸化物膜表面を有していることが分かった。
これに対し、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体は、図8に示す写真から分光ヘイズ率のばらつきが大きく、その表面の状態を図9の電子顕微鏡写真に示す。また、得られた基体300mmの幅方向に、50mm間隔で5点、電子顕微鏡写真で表面状態を観察して山部間のピッチ(Pa)を測定した結果を図11に示す。図11に示すように、山部間のピッチは0.7〜1.2μmに入るところもあるが、大きく外れるところもあり、酸化物膜表面の形状に均一性がないことが分かった。
また、実施例1および比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体のC光源ヘイズ率の測定における、10mm間隔の各測定点(縦方向に10mm間隔で測定する操作の横方向の測定範囲)におけるC光源ヘイズ率(%)との関係を表すグラフを図12に示すが、これにより、実施例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体のC光源ヘイズ率のばらつきが小さく、比較例1で得られた透明導電性酸化物膜付き基体のC光源ヘイズ率のばらつきが大きいことが分かった。
次に、太陽電池を以下に示す条件で製造した。
<光電変換層の形成>
実施例1および比較例1で得られた各透明導電性酸化物膜付き基体について、それぞれ図13(太陽電池用基板の切り出し位置を示す説明図)に示す範囲の位置から、40mm×40mmのサイズの基体を2〜3片切り出し、切り出した各基体の透明導電性酸化物膜上に、a−Si:H薄膜を用いてp−i−n接合を有する光電変換層をプラズマCVD装置(島津製作所製SLCM14)により積層した。p−i−n接合とは、p層、i層、n層がこの順で形成(接合)されたものである。本実験に用いたp層、i層、n層、および、p層とi層との間のバッファー層(p/iバッファー層)の製膜条件をそれぞれ下記表1〜4に示す。
<接触改善層、裏面電極層の形成>
次いで、上記光電変換層の上部に、接触改善層としてGZO層を直流マグネトロンスパッタ法により、約10nm形成した。上記スパッタは、Gaが亜鉛との総和に対し5原子%含有しているGZOターゲットを用い、室温下で行った。
また、上記スパッタは、真空装置をあらかじめ10-4Pa以下に排気した後、Arガスを75sccm、CO2ガスを1sccm導入して行ない、スパッタパワーを2.4W/cm2として行った。また、GZO層中のGa含有量は、上記GZOターゲットと同様、Gaと亜鉛との総和に対し5原子%であった。上記GZO層の性能は、比抵抗が5×10-3Ω・cm、500〜800nmにおいて吸収係数が1×103cm-1であった。
最後に、GZO層上に、裏面電極層として結晶性のAgを100原子%含有するAg膜を、Agターゲットを用いてArガス雰囲気下でスパッタ法(スパッタ中の圧力:4×10-1Pa、スパッタパワー:1.4W/cm2)により約200nmの膜厚で形成し、最終的に5mm×5mmの大きさの太陽電池(セル構造:SnO2/p(SiC)in/GZO/Ag)を、実施例1および比較例1で得られた各透明導電性酸化物膜付き基体から切り出した各基体ごとに作製した。太陽電池の各層の膜厚を下記表5に示す。
得られた各太陽電池に、ソーラーシミュレータで光を照射し、短絡電流、開放端電圧、曲線因子の測定結果から光電変換効率を求めた。なお、ソーラーシュミレータにはオプトリサーチ社製CE-24型ソーラーシュミレータを用い、IV測定時におけるソーラーシミュレータの照射光スペクトルをAM(エアマス)1.5、光強度を100mW/cm2とした。また、各太陽電池の電極には面積が0.25cm2のものを用い、40mm×40mmのサイズに切り出された各基体にそれぞれ4個ずつセルを作製して、各セルにおける測定値の平均値を各太陽電池の特性とした。
各太陽電池の開放電圧、短絡電流、曲線因子および光電変換効率を下記表6に示す。なお、下記表6中、実施例1で得られた各透明導電性酸化物膜付き基体から切り出した各基体を用いた太陽電池をそれぞれ実施例2および3と表し、比較例1で得られた各透明導電性酸化物膜付き基体から切り出した各基体を用いた太陽電池をそれぞれ比較例2〜4と表す。
上記表6に示す結果から、実施例2および3の太陽電池は、比較例2〜4の太陽電池と比べ、いずれも光電変換効率が高くなることが分かった。また、比較例2〜4の太陽電池では、短絡電流は実施例と同等レベルであったが、基体上の酸化物膜表面の形状に均一性がないため、開放電圧、曲線因子が低下し、C光源ヘイズ率の平均値が実施例と同程度の値であっても光電変換効率が低くなることが分かった。
10 透明透明導電性酸化物膜付き基体
11 ガラス基板
12 山部
13 平坦部
14 透明導電性酸化物膜
15 小山部
16 連続層
17 凸部
a 山部間の間隔
c 小山部間の間隔
a 山部の高さ
b 凸部の高さ
c 小山部の高さ
d、He 連続層の厚さ
b 凸部の底面径
c 小山部の底面径
a 山部間のピッチ
b 凸部間のピッチ
c 小山部間のピッチ
20 太陽電池
21 透明絶縁性基体
22 透明導電膜
23 p層
24 i層
25 n層
26 光電変換層
27 裏面電極
28 光
29 導線
40 太陽電池用基板
41 接触改善層
42 光電変換層
43 裏面電極
44 ガラス基板
45 透明導電性酸化物膜

Claims (16)

  1. 複数の山部と複数の平坦部とで構成され、該山部および該平坦部の表面がミクロの多数の凸部を連続して有している透明導電性酸化物膜が基体上に設けられた透明導電性酸化物膜付き基体であって、
    分光ヘイズ率が400〜800nmの波長全域にわたって10〜95%であり、該分光ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が50%以下であり、基体全面についてC光源ヘイズ率をヘイズメータで測定した際、該C光源ヘイズ率が30〜90%であり、該C光源ヘイズ率の最大値と最小値との差(最大値−最小値)が20%以下である透明導電性酸化物膜付き基体。
  2. 前記透明導電性酸化物膜が、第1の酸化物からなる不連続な小山部と、その上に形成される第2の酸化物からなる連続層であって該連続層の表面にミクロの多数の凸部を連続して有する連続層とからなり、
    隣接する該小山部間の頂点と頂点の距離が、直線上に0.7〜1.2μmである請求項1に記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  3. シート抵抗が、8〜20Ω/□であり、浸液法による550nmにおける透過率が、80〜90%である請求項1または2に記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  4. 前記凸部の底面径が、0.1〜0.3μmであり、高さ/底面径の比が、0.7〜1.2である請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  5. 前記小山部の底面径が、0.2〜2.0μmである請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性酸化物付き基体。
  6. 前記第1の酸化物が、TiO2、SnO2およびフッ素を含有するSnO2からなる群より選択される少なくとも1種からなり、フッ素を含有する場合のフッ素の含有割合が、SnO2に対して0.01mol%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  7. 前記第2の酸化物が、SnO2、ZnOおよびIn23からなる群より選択される少なくとも1種を含む透明導電性酸化物である請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  8. 前記第2の酸化物が、フッ素を含有するSnO2からなり、フッ素をSnO2に対して0.01〜4mol%含有し、導電電子密度が、5×1019〜4×1020cm-3である請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  9. 前記小山部と前記連続層との間に、前記第1の酸化物および前記第2の酸化物とは組成が異なる酸化物からなる酸化物層を形成してなる請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  10. 前記第1の酸化物がSnO2、前記異なる酸化物がSiO2、前記第2の酸化物がフッ素を含有するSnO2である請求項9に記載の透明導電性酸化物膜付き基体。
  11. 透明基体上に、第1の酸化物からなる不連続な小山部を常圧CVD法により形成し、その上に第2の酸化物からなる連続層を形成する請求項1〜10のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法であって、
    前記透明基体の少なくとも表面が、前記第1の酸化物と異なる材料からなり、
    前記常圧CVD法が、キャリアガスと前記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.02〜0.30体積%として、1〜20nmの質量膜厚の核を形成する第1CVD工程と、キャリアガスと前記第1の酸化物を形成する原料ガスとの合計ガス量に対する該第1の酸化物を形成する金属を含む原料ガスの濃度を0.3〜3.0体積%として、100〜1000nmの質量膜厚の小山部を形成する第2CVD工程とを具備する透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
  12. 前記小山部を、四塩化錫、水および塩化水素を用いた常圧CVD法により形成する請求項11に記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
  13. 前記小山部および該小山部が形成されていない前記透明基体上に、前記第2の酸化物からなる連続層を常圧CVD法により形成する請求項11または12に記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
  14. 前記小山部と前記連続層との間に、前記異なる酸化物からなる酸化物層を常圧CVD法により形成する請求項11〜13のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体の製造方法。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の透明導電性酸化物膜付き基体上に、光電変換層を介して、裏面電極を有する光電変換素子。
  16. 前記光電変換層が、p、i、n層をこの順に形成してなる請求項15に記載の光電変換素子。
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