JP2003294905A - ハニカム構造体を用いた光学機能膜およびその製造方法 - Google Patents

ハニカム構造体を用いた光学機能膜およびその製造方法

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JP2003294905A
JP2003294905A JP2002096284A JP2002096284A JP2003294905A JP 2003294905 A JP2003294905 A JP 2003294905A JP 2002096284 A JP2002096284 A JP 2002096284A JP 2002096284 A JP2002096284 A JP 2002096284A JP 2003294905 A JP2003294905 A JP 2003294905A
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Hiroshi Iwanaga
宏 岩永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大量生産や設備コスト面で有利な液相法を用
いて、高機能かつ高品質な秩序構造をもった光学機能膜
を製造する方法を提供すること。 【解決手段】 疎水性ポリマーと両親媒性ポリマーを質
量比50:50〜99:1の割合で疎水性有機溶媒に溶
解した溶液を基板上に展開した後、該基板上に相対湿度
50〜95%の気体を一定の流速で送ることで、該有機
溶媒を蒸散させると同時に該溶液表面で水蒸気を凝結さ
せ、生じた微小水滴を蒸発させることによって孔径サイ
ズの変動係数が20%以下のハニカム構造体を製造し、
それを用いて光学機能膜を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己組織化現象を
利用して作製する、孔径サイズのそろったハニカム構造
体を用いた光学機能膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紫外線遮断効果、熱線反射効果、
反射防止効果、光拡散効果、調色効果等を有する光学機
能膜は、一般に気相法または液相法によって製造されて
いる。
【0003】気相法による光学的機能膜の製造法には、
真空蒸着法、スパッタリング法等の物理的方法と、CV
D法等の化学的方法がある。気相法は、高機能かつ高品
質の膜を得ることが可能であるが、高真空系での精密な
雰囲気の制御が必要となり、製造装置が複雑かつ大型化
するために、必然的に製造コストが高くなるという問題
がある。また、大面積化や複雑な構成の膜の製造は一般
に困難である。
【0004】液相法による光学的機能膜の製造法には、
スプレー法、塗布法等がある。スプレー法によるものは
塗液の利用効率が悪く、製膜条件の制御が困難である等
の問題がある。一方、浸漬法、スクリーン印刷法等によ
る塗布法を利用する光学機能膜の製造法は、製膜原料の
利用効率がよく、大量生産や設備コストでの有利さがあ
る。しかし、塗布法では塗布時の均一膜厚の確保が困難
であるばかりでなく、塗布溶媒製膜過程における体積収
縮を伴うため、気相法に比較して均質な膜を得にくく、
得られる光学薄膜の品質が劣るという問題があった。
【0005】近年、この塗布法の欠点を補い、優れた品
質の薄膜を得る手段として、粒子サイズの制御された無
機または有機超微粒子の分散液を塗布、乾燥過程を利用
して粒子を集積させて均質な微粒子薄膜を製造する方法
が、例えば特許第2828386号公報、特許第290
5712号公報、特開平7−43527号公報などに提
案されている。これらの方法は気相法に劣らぬ精度で均
質な膜を得られるが、あらかじめ単分散の超微粒子の分
散物を作製する必要があり、また、凝集防止・分散安定
性付与・異物混入防止等の対策をほどこすことが必須で
あり、先に述べた液相法の大量生産や設備コストの有利
さのメリットを享受するために、より簡単な製造装置で
製膜する方法の開発が望まれていた。
【0006】一方、近年、自己組織化現象を利用して、
秩序構造を有する膜を作製する技術が研究されてきてい
る。例えば、Thin Solid Films, 327-329 (1998) 854〜
856やChaos, 9-2 (1999) 308〜314には、空気中から凝
縮する液滴およびその溶媒界面に析出するポリマーが3
相境界域に自己集積することにより、ハニカム構造体を
作製できるという記載がある。この方法は、いわば先に
例示した微粒子として、空気中から凝縮する液滴および
その溶媒界面に析出するポリマーを利用している形とな
っているため、複雑な製造装置を必要としない。
【0007】しかし、これらの文献には具体的用途や、
その用途に応じた具体的な条件制御法については記載さ
れておらず、光学機能膜として活用するには、所望の孔
径にコントロール利用面積内で孔径の変動係数の限られ
た製膜方法を新たに研究・開発・規定する必要があっ
た。
【0008】また、類似の製法にて用途を示した例とし
て、特開2001−157574号公報が開示されてい
る。しかしポリマー種として生分解性ポリマーに限定し
ており、用途も細胞培養基材に関するものとされてお
り、ハニカム構造体の、隣接する球状細孔が連なってい
る構造を光学材料として積極的に活用する本発明とは全
く発想の異なるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大量
生産や設備コスト面で有利な液相法を用いて、高機能か
つ高品質な秩序構造をもった光学機能膜を製造する方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、疎水性ポリマーと両親媒性ポリマーを質量比5
0:50〜99:1の割合で疎水性有機溶媒に溶解した
溶液を基板上に展開した後、該基板上に相対湿度50〜
95%の気体を一定の流速で送ることで、該有機溶媒を
蒸散させると同時に該溶液表面で水蒸気を凝結させ、生
じた微小水滴を蒸発させることによって孔径サイズの変
動係数が20%以下のハニカム構造体を製造し、それを
用いて光学機能膜を製造する方法を提供するに至った。
このようにして製造した膜の空孔に、該膜と異なる物質
を形成または装填して別の光学機能膜を提供することも
可能である。
【0011】また本発明は、上記方法によって製造され
る光学機能膜も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の光学機能
膜およびその製造方法について詳細に説明する。なお、
本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値
を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0013】本発明に用いる疎水性ポリマーとしては、
種々のものを使用することが可能である。例えばビニル
重合ポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテ
ル、ポリビニルカルバゾール、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルアルコールなど)、ポリエステル(例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン
ナフタレートなど)、ポリラクトン、ポリアミドもしく
はポリイミド(例えばナイロンやポリアミド酸など)、
ポリアロマティックス、ポリエーテル(例えばポリエー
テルスルホンなど)、ポリシロキサン誘導体などが挙げ
られる。光学的物性、電気的物性や膜強度・弾性等の観
点から、必要に応じてホモポリマーとしてもよいし、コ
ポリマーやポリマーブレンドの形態をとってもよいが、
ホモポリマーか交互重合コポリマーが好ましい。
【0014】本発明に用いる両親媒性ポリマーとして
は、例えばポリアクリルアミドを主鎖骨格とし、疎水性
側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてカルボキシル
基を併せ持つ両親媒性ポリマーや、ポリエチレングリコ
ール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマーな
どが挙げられる。使用する疎水性ポリマーおよび両親媒
性の分子量としては、いずれも数平均分子量(Mn)で
1,000〜10,000,000であり、好ましくは
5,000〜1,000,000である。
【0015】本発明において、ハニカム構造とは、一定
形状、一定サイズの空孔が連続かつ規則的に配列してい
る構造をさす。この規則配列は単層の場合には2次元的
であり、複層の場合は3次元的にも規則性を有する。こ
の規則性は2次元的には1つの空孔の周囲を複数(例え
ば、6つ)の空孔が取り囲むように配置され、3次元的
には結晶構造の面心立方や6方晶のような構造を取っ
て、最密充填されることが多いが、製造条件によっては
これら以外の規則性を示すこともある。
【0016】本発明のハニカム構造体を作製するに当た
っては、ポリマー溶液上に微小な水滴粒子を形成させる
ことが必須であることから、使用する溶媒としては非水
溶性であることが必要である。例えば、クロロホルム、
塩化メチレン等のハロゲン系有機溶剤、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等の非
水溶性ケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、二
硫化炭素などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で
用いても、またはこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒
として使用してもかまわない。
【0017】これらの溶媒に溶解する疎水性ポリマーと
両親媒性ポリマー両者を合わせてのポリマー濃度は0.
01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜
5質量%である。ポリマー濃度が0.01質量%よりも
低いと、得られる膜の力学強度が不足したり、細孔のサ
イズや配列が乱れてしまう傾向がある。また、10質量
%以上のポリマー濃度では十分なハニカム構造体が得ら
れなくなる傾向がある。
【0018】疎水性ポリマーと両親媒性ポリマーの組成
比は99:1から50:50(質量比)である。両親媒
性ポリマー比が1質量%未満では均一なハニカム構造体
が得られなくなる傾向があり、また、該比が50質量%
を超えると膜の安定性、特に力学的な安定性が十分に得
られなくなる傾向がある。
【0019】本発明の製膜に用いる基板としては、ガラ
ス、金属、シリコンウエハー等の無機材料、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン、ポリフッ化
エチレン等の耐有機溶剤性に優れた有機材料、水、流動
パラフィン、液状ポリエーテル等の液体を用いることが
できる。
【0020】本発明の製膜の際に送る湿度と流速を制御
した気体には、空気の他、窒素ガス・アルゴンガスなど
の不活性ガスを用いることができるが、事前にフィルタ
ーを通過させるなどの除塵処置を施すことが望ましい。
雰囲気中の塵は水蒸気の凝結核となって製膜に影響を及
ぼすため、製造現場にも除塵設備等を設置することが好
ましい。
【0021】いかなる理論にも拘泥するものではない
が、本発明でハニカム構造体が形成される機構は次のよ
うに推定される。疎水性有機溶媒が蒸発する際に潜熱を
奪われ温度が下がった溶媒表面で水が凝結して微小液滴
となり、ポリマー溶液表面に付着する。ポリマー溶液中
の親水性部分の働きによって、水と疎水性有機溶媒の間
の表面張力が減少し、水微粒子が凝集して1つの塊に融
合するのを防止する。溶媒蒸発と周囲からの補填に基づ
く溶媒の流れにより液滴が移送・集積され、さらに横毛
管力により最密充填される。最後に水が飛んでポリマー
が規則正しくハニカム状に並んだ形として残る。
【0022】本発明の製膜を行う環境としては、相対湿
度が50〜95%の範囲にあることが好ましい。50%
未満では溶媒表面での水の凝結が不十分となる傾向があ
る。また、95%を超えると環境のコントロールが難し
く、均一な製膜を維持しにくくなる傾向がある。
【0023】本発明の製膜を行う環境として、相対湿度
のほかに風量が一定した定常風を当てることが重要であ
る。風速にして0.05m/s〜1m/sが好ましい。
0.05m/s未満では環境のコントロールが困難にな
る傾向がある。また、1m/sを上回る風速は溶媒表面
の乱れを引き起こし、均一な膜が得にくくなる傾向があ
る。
【0024】本発明の製膜を行う環境は、市販の定露点
湿度発生装置等を用いるなどして厳密に管理することが
望ましい。風量は送風装置等で一定に制御し、外気によ
る影響を防ぐために閉鎖された空間を用いることが望ま
しい。また、室内は気体が層流にて置換されるよう気体
の導入出路および製膜環境を設定しておくことが望まし
い。さらに製膜品質を管理するために温度・湿度・流量
等の計測器によるモニターを行うことが望ましい。孔径
および膜厚を高精度で制御するためには、これらのパラ
メータ(特に湿度、流量)を厳密に管理することが必須
である。
【0025】本発明の請求項で用いる「変動係数」は、
標準偏差を平均値で割った量を百分率で表すものと定義
する。孔径の変動係数については、実際上、走査型電子
顕微鏡による使用する膜面積域を無作為に抽出した50
点の孔径値に基づいた値とする。
【0026】本発明の製膜方法は、孔径が50nm〜1
00μmのハニカム構造体を作製するのに適している。
好ましい孔径は100nm〜50μmであり、さらに好
ましくは200nm〜20μmであり、最も好ましくは
500nm〜10μmである。
【0027】孔径が50nm未満の場合には孔がハニカ
ム状に配列しなくなり、またひとつひとつの孔径もまち
まちとなる傾向がある。また孔径が100μmを超える
場合には、孔の形状が真円から崩れてしまい等方的な膜
が得られなくなる傾向がある。
【0028】本発明の製造法でハニカム構造体の孔径を
小さくするためには、迅速乾燥を促すことが有効であ
る。例えば、使用溶媒として低沸点溶媒を使用したり、
支持体温度を上げたり、展開速度を早くして初期の展開
液厚を薄くすることなどが有効である。
【0029】本発明のハニカム構造体の厚みは、およそ
孔径サイズ〜200μmであるが、展開するポリマー濃
度を高めることにより、基板側に空孔のない肉厚の層を
設けることもできる。この場合、空孔のない肉厚の層の
厚みは0〜500μmで制御可能である。
【0030】本発明の孔径の変動係数は0〜20%であ
り、0〜5%がより好ましく、1%以下とすることがさ
らに好ましい。変動係数を0%にすることが最も望まし
いが、水蒸気の供給や、主として凝結熱・溶媒の気化熱
に起因する伝熱を厳密に制御することは技術的に困難で
ある。変動係数が20%を超えると、孔の配列が乱れた
り、均一な膜厚を保てなくなるために反射率・透過率に
不均一な部分が発生して光学機能膜としては致命的な欠
陥となる。
【0031】上記方法に従って得られた本発明の膜は、
初めから所望の基板上に製造することでそのまま使用し
てもよいし、エタノール等の適当な溶媒に浸してから製
造時の基板より剥離した後に所望の基板上に設置して使
用しても良い。剥離して使用する場合には、新たな基板
との密着性を上げる目的で材料および所望の基板の材質
に合ったエポキシ樹脂、シランカップリング剤等の接着
剤を使用してもよい。
【0032】上記方法にしたがって得られた光学機能膜
の空孔には、該膜と異なる物質を形成または充填して別
の光学機能膜にすることが可能である。例えば、赤外線
吸収性の粒子を充填することができる。また、光学機能
膜と異なる物質を形成または充填した後に該膜を除去し
てさらに別の光学機能膜にすることも可能である。
【0033】ここでいう「異なる物質」としては、ポリ
スチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネー
ト、紫外線硬化性エポキシ樹脂などの有機高分子化合
物、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロ
キサンなどの無機高分子化合物、SiO2、Al23
TiO2、ZrO2などの無機酸化物などを例示すること
ができる。ここでいう「異なる物質」は単一の物質でも
よいし、複数物質の複合体であってもよい。また、表面
にアルキルベンゼンスルホン酸塩やカルボキシル酸ポリ
マーを物理吸着させたり、カルボキシル酸を有する化合
物をグラフトさせるなどの化学修飾をほどこしてもよ
い。
【0034】また、これらの異なる物質を形成または充
填する方法としては、溶融状態もしくは該膜を溶解しな
い溶媒で調製した溶液、ラテックス、微粒子分散物を含
浸させる方法や、モノマーを含浸させた後、加熱または
光で重合させる方法、テトラエトキシシランや金属アル
コキサイドを適当な触媒と水を添加した液を含浸させた
後に加熱または光で脱水縮合させる方法(いわゆるゾル
−ゲル法)などを例示することができる。
【0035】さらに、異なる物質を形成または充填した
後に膜を除去する方法としては、異なる物質を溶解せず
膜のみを溶解しうる溶媒に浸漬する方法や異なる物質が
無機酸化物などの耐熱性がある場合には500℃以上に
加熱して膜を熱分解、除去する方法などを例示すること
ができる。
【0036】
【実施例】以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴
をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、
使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨
を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがっ
て、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解
釈されるべきものではない。
【0037】<実施例1> ハニカム構造体の作製
(1) 重量平均分子量約45,000のポリスチレンと、重量
平均分子量約50,000の両親媒性ポリマー(化合物
1)を質量比で10:1の割合で混合したクロロホルム
溶液(ポリマー濃度として0.2質量%)を、外気の影
響を受けない閉鎖空間にて直径90mmのガラスシャー
レ上に4mL展開し、相対湿度70%の恒湿空気を毎分
2Lの定常流量で吹き付け、クロロホルム溶媒を蒸発さ
せることによって、均一ハニカム構造体を得た。なお、
本実施例において恒湿空気は市販の除塵エアーフィルタ
(ろ過度0.3μm)を設置した日立工機(株)製コン
プレッサSC−820にヤマト科学(株)製湿度発生装
置を接続して供給した。また、吹き付け部の空気の流速
を実測したところ0.3m/sであった。
【0038】
【化1】
【0039】上記の膜の構造を、光学顕微鏡、走査型電
子顕微鏡で観察したところ、孔径1μmの細孔がヘキサ
ゴナル状に規則配列したハニカム構造体が確認できた。
細孔は膜の表面から裏面へ単一層を形成しており、上下
および細孔同士は貫通している構造であった。細孔はキ
ャストした周辺の一部を除き、ほぼ全面にわたって分布
しており、きれいな円形をしていた。孔径の分布は変動
係数で10%以下であった。規則性の評価のためにレー
ザーを用いた光散乱の高次回折光を観測したところ、1
0次以上の回折光が認められた。また、得られた膜は少
量のエタノールを浸漬することで基材から容易に剥離、
単離が可能であった。
【0040】<比較例1> ハニカム構造体の作製
(2) 製膜を開放空間で行う以外は実施例1と同じ方法でハニ
カム構造体を作製した。
【0041】<実施例2> ハニカム構造体の作製
(3) 使用したポリマーおよび溶媒の種類を表1に記載のもの
に変えた以外は実施例1と同じ方法でハニカム構造体を
作製した。
【0042】
【表1】
【0043】<比較例2> ハニカム構造体の作製
(4) 製膜を開放空間で行う以外は実施例2と同じ方法でハニ
カム構造体を作製した。
【0044】[評価]実施例1,2および比較例1,2
の膜の透過および反射特性は、自記分光光度計(日立製
U-3400)を用いて透過率および5°正反射率、積分球に
よる11°全反射率を測定して評価した。実施例1,2
のいずれの膜も、周辺部を除くほぼ全領域にわたって、
可視領域(波長400nm〜700nm)で透過率95
%以上、5°正反射率2%以下、11°全反射率反射率
2%以下であった。表面の直接反射光を削減するだけで
なく、観察する方向により、赤〜緑〜青と反射強度の相
対的に強い波長域が変化するオパール様の外観を示し
た。電子ディスプレイの反射防止膜のほか、装飾品や広
告板等の表面装飾膜として応用できる。一方、比較例
1,2はいずれの膜もほぼ全領域にわたって肉眼で確認
できる不連続な領域が確認され、また膜中心から周辺部
にかけて不均一に外観が異なっていた。
【0045】<実施例3> 微細孔ハニカム構造体の作
製 溶媒を塩化メチレンとし、かつ展開量1mLとし、さら
にシャーレを予め40℃に保温しておく以外は実施例1
と同じ方法でハニカム構造体を作製した。上記の膜の構
造を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、孔径110nmの細孔がヘキサゴナル状に規則配列
したハニカム構造を確認できた。孔径の分布は変動係数
で20%以下であることがわかった。
【0046】[評価]実施例3の膜の透過および反射特
性は、自記分光光度計(日立製U-3400)を用いて5°正
反射率、積分球による11°全反射率を測定して評価し
た。可視領域(波長400nm〜700nm)で透過率
98%以上、5°正反射率と11°全反射率ともに0.
5%以下であった。実施例1,2の膜のような観察する
方向により相対的に反射強度が強まるような現象は観察
されず、外観もオパール様ではなく均一な非光沢グレー
の膜であった。電子ディスプレー等の反射防止膜へ応用
できる。
【0047】<実施例4> テンプレート利用ハニカム
構造体の作製 テトラエトキシシラン(TEOS)26gをエタノール
22mLに溶解させた。この溶液に、TEOS 1mo
lに対して0.03molの硝酸および16molの水
を加え、室温で1.5時間放置し、加水分解を行った。
該反応液2mLを、実施例1の方法で作製したハニカム
構造体の上に均一展開し、室温で1時間放置した。さら
に、60℃の定温送風乾燥機で12時間放置した後、定
温送風乾燥機の温度を約10℃/分で上昇させ、100
℃で1週間放置した。
【0048】得られた膜をクロロホルムで3度浸漬洗浄
を繰り返してポリマーを溶解除去した。上記の膜を光学
顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施
例1のハニカム構造体をテンプレートとした反転構造の
SiO2からなる膜が得られることを確認した。粒子は
連結した孔をテンプレートとしているため、孔の連結部
分でSiO2の連結した層を形成していた。反転構造の
SiO2の粒径分布もほぼ元の膜を維持できていること
がわかった。
【0049】[評価]実施例4の膜の透過および反射特
性は、自記分光光度計(日立製U-3400)を用いて透過率
および5°正反射率、積分球による11°全反射率を測
定して評価した。可視領域(波長400nm〜700n
m)で透過率98%以上、5°正反射率2%以下、11
°全反射率反射率2%以下であった。表面の直接反射光
を削減するだけでなく、観察する方向により、赤〜緑〜
青と反射強度の相対的に強い波長域が変化する実施例1
と類似のオパール様の外観を示した。実施例1に比べて
透過率が高く、キズがつきにくい膜が得られた。
【0050】
【発明の効果】本発明により、大量生産や設備コスト面
で有利な液相法を用いて、高機能かつ高品質な秩序構造
をもった光学機能膜を提供することが可能となった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性ポリマーと両親媒性ポリマーを質
    量比50:50〜99:1の割合で疎水性有機溶媒に溶
    解した溶液を基板上に展開した後、該基板上に相対湿度
    50〜95%の気体を一定の流速で送ることで、該有機
    溶媒を蒸散させると同時に該溶液表面で水蒸気を凝結さ
    せ、生じた微小水滴を蒸発させることによって孔径サイ
    ズの変動係数が20%以下のハニカム構造体を製造し、
    それを用いて光学機能膜を製造する方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法により製造される
    膜の空孔に、該膜と異なる物質を形成または装填するこ
    とによって光学機能膜を製造する方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法により製
    造される光学機能膜。
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