JP2003293326A - 繊維強化プラスチック製複合パネル - Google Patents

繊維強化プラスチック製複合パネル

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JP2003293326A
JP2003293326A JP2002096918A JP2002096918A JP2003293326A JP 2003293326 A JP2003293326 A JP 2003293326A JP 2002096918 A JP2002096918 A JP 2002096918A JP 2002096918 A JP2002096918 A JP 2002096918A JP 2003293326 A JP2003293326 A JP 2003293326A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大きな面荷重にも耐えられ、軽量で取扱性に優
れるとともに、防音性能および耐久性に優れた繊維強化
プラスチック製複合パネルを提供する。 【解決手段】繊維強化プラスチック製遮音パネル部と、
吸音部と、繊維強化プラスチック製有孔パネル部の少な
くとも三層構造からなる繊維強化プラスチック製複合パ
ネルであって、前記繊維強化プラスチック製遮音パネル
部が、相対する繊維強化プラスチック製スキン部材間に
芯材を内包するサンドイッチ構造体、または、繊維強化
プラスチック製単板の片側または両面に、縦横両方向ま
たはいずれか一方向に実質的に一体化された繊維強化プ
ラスチック製補強部材を有するスチフナ構造体とするこ
とによって可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道、道路および
建築や土木分野で使用され、大きな面荷重がかかる、防
音性能に優れた繊維強化プラスチック(以下、FRPと
いうことがある)製複合パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】騒音は公害の中でも苦情やトラブルが一
番多く、環境問題として騒音の防止対策は重要な社会的
問題となっている。
【0003】一般に、騒音を防止する防音材料には遮音
部材と吸音部材の2種類の部材があり、遮音部材は、空
気伝播音を反射して音のエネルギーの伝播を断ち切る役
割をするもので、遮音性能の指針である音響透過損失特
性は、基本的には質量則に従い、質量が大きものほど大
きくなる。例えば、鉄道や道路の平地、高架部分には、
周知のように沿線地域住民への騒音を緩和する目的で、
特開平8−144227号公報などで開示されているよ
うな主としてコンクリート製防音パネルまたは金属製の
防音パネルが設置されている。これら材質のものは重量
物であることから、質量則に従い、鉄道車輌や自動車か
ら発生する騒音の防止や騒音の拡散に所定の効果が得ら
れるものではあった。故に、軽量化を目的とし、軽量な
心材を内包した繊維強化プラスチック製(以下、FRP
と称することもある。)防音パネルが、特公平2−57
619号公報や特開平9−170292号公報に開示さ
れている。これら2件の公報の防音パネルは使用される
ところが住宅やビルの外壁であり、比較的騒音レベルが
低く、パネルの軽量化達成が容易である。
【0004】一方、吸音部材は音のエネルギーを熱エネ
ルギーに変換することによって、音圧を減衰させる役目
をするもので、単独では音を遮音する性能が低く、遮音
部材と併用するすることにより、遮音性能を良くするこ
とができるため、遮音性能を向上させんとする発明が、
特開2000−8331号公報に開示されている。遮音
部分はコンクリート製の遮音壁で、その背面に、FRP
製の吸音板を所定の間隔で離し、中間空気層を設けた構
造の防音パネルを提供せんとする発明であるが、新たに
設置する場合には防音壁本体がコンクリート製であるた
め、前述同様重機が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記コンクリート製や
金属製の防音パネルは、金属製の防音パネルの場合に
は、腐朽する等の耐久性に問題があり、コンクリート製
の防音パネルの場合には、最近問題となっている鉄筋の
錆びによる膨れ・亀裂によるコンクリート小片の剥落が
ある他、比重が大きく重量物であるが故にその運搬と取
付けには取付場所に重機類と専用の取付機械の搬入が必
須となり、特に設置場所が鉄道の高架橋の場合には、線
路側から防音パネル設置場所に専用の建設機械を接近さ
せることが難しいという問題や、たとえ接近し得たとし
てもその取付作業は高架下からの高所作業等が避けられ
ず、危険でもあった。
【0006】また、特公平2−57619号公報や特開
平9−170292号公報のFRP製防音パネルは、前
述したように住宅やビルの外壁に用いられるものであ
り、騒音源が離れており、パネルを取り付けるための小
梁が縦横かなりの細かなピッチで設けられており、機械
特性(強度・剛性)はそれほど必要がない。しかしなが
ら、鉄道や道路用の防音パネルに用いるには、騒音の発
生源が比較的近接しており、騒音レベルも高く、質量則
に基づく適正な重量を確保しつつ、小梁もないためパネ
ル自体で自立しながら、単位面積当たり300kg/m
2 〜400kg/m2 の風圧に耐える必要がある。建築
躯体への取付手段も加味し、最適設計をしないと軽量な
防音パネルが得られない。さらに、鉄道などの高架橋に
防音パネルを設置する場合は、電車などの走行時の躯体
の振動による共振を避けなければ、そのものが大きな騒
音発生源となることがある。さらに、近年、特に鉄道や
道路用に適用されている防音パネルは、隣接する住宅、
教育施設への防音対策が一層求められており、回折する
音をも小さくするため、防音パネルの高さもますます高
くなっている。しかしながら、既存の躯体や梁では、強
度面からくる重量制限があり、パネルの高さを大きくす
ることはできない。また、重量の点を考慮して軽量なア
クリル製の防音パネルも採用されているが、比較的短い
期間での紫外線劣化を起因とする強度低下によるの耐久
性に問題と、そのもの自体は確かに軽量であるが、強度
と剛性が小さいため、短い間隔で、支柱や横梁が必要で
あり、施工費全体としては必ずしも安価とは言えない問
題を有している。
【0007】また、特開2000−8331号公報のも
のは、一見遮音性能は優れているが、遮音パネル自体が
コンクリート製であり、上述した剥落は回避できない問
題を有している。
【0008】そこで本発明の課題は、大きな面荷重にも
耐えられ、軽量で取扱性に優れるとともに、防音性能お
よび耐久性に優れた繊維強化プラスチック製複合パネル
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る繊維強化プラスチック製(FRP)製
複合パネルは、繊維強化プラスチック製(FRP)製遮
音パネル部と、吸音部と、繊維強化プラスチック製(F
RP)製有孔パネル部の少なくとも三層構造からなるこ
とを特徴とするものである。
【0010】また、本発明のFRP製複合パネルは、次
の好ましい態様を有している。 (a) 繊維強化プラスチック製遮音パネル部が、相対する
繊維強化プラスチック製スキン部材間に芯材を内包する
サンドイッチ構造体、または、繊維強化プラスチック製
単板の片側または両面に、縦横両方向またはいずれか一
方向に実質的に一体化された繊維強化プラスチック製補
強部材を有するスチフナ構造体であって、単位巾当たり
の曲げ剛性が、(0.1〜10)×107kg・mmで
あり、かつ単位面積当たりの重量が、10〜60kg/
2 であること。 (b) 繊維強化プラスチック製スキン部材または繊維強化
プラスチック製単板または繊維強化プラスチック製補強
部材を形成する繊維強化プラスチック層の厚みの少なく
とも5〜20%が、炭素繊維を含む繊維強化プラスチッ
ク層であること。 (c) 繊維強化プラスチック製スキン部材を形成するマト
リックス樹脂が、難燃剤および制振剤の両方またはいず
れか一方を含む熱硬化性樹脂からなること。 (d) 繊維強化プラスチック製有孔パネルが、50〜90
%の開口率を有すること。(e) 吸音部が、多孔質材料か
らなること。
【0011】本発明のFRP製複合パネルは、このよう
な繊維強化プラスチック部材で主として形成されるの
で、基本的に錆の発生の問題がなく、耐食性にも優れて
いるので、耐久性の大幅な向上が可能となり、耐用年数
の大幅な延長が可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のFRP製複合パネ
ルについて、望ましい実施の形態を説明する。 本発明
に係るFRP製複合パネルは、上述した構成を有する
が、本発明で用いられるFRP製遮音パネル部とFRP
製有孔パネル部を構成する、いわゆるFRP製部分のマ
トリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂など
の熱硬化性樹脂が好適であり、これらの樹脂中に、層状
化合物(例えば、マイカ、二硫化モリブデン、窒化硼素
など)や針状化合物(例えば、ゾノトライト、チタン酸
カリ、炭素繊維など)、粒状および板状化合物(例え
ば、フェライト、タルク、クレーなど)等の制振剤を添
加することができる。制振剤を添加することによって、
無機物結晶同士あるいは無機物とマトリックスとの相互
運動による摩擦熱への変換がなされ、上記フィラーを充
填することによって弾性率と密度が増大し、振動物体の
運動エネルギーを消散させて、パネルの振動を軽減する
ことができる。
【0013】また、上記の樹脂中に、難燃剤(例えば、
水酸化アルミニウム、臭素、無機質粉等)を添加して、
難燃性を向上させることができる。フェノール樹脂は、
それ自体で難燃性に優れており、かつ安価であるため好
ましく使用される。 なお、上記の添加物は、取り付け
る箇所つまり、火災による延焼を防ぐところ、振動伝播
が著しいところ等の状況に合わせて、両方またはいずれ
か一方、適宜選択すれば良い。
【0014】本発明で用いられるFRP製遮音パネル部
とFRP製有孔パネル部を構成する、いわゆるFRP部
分の補強繊維としては、用途や使用条件に応じて、適宜
ガラスや炭素繊維などからなる無機繊維や、アラミド繊
維、ナイロン繊維あるいはポリエステル繊維などの有機
繊維などを用いることができる。また、用いられる繊維
の形態としては、例えば、繊維長が好ましくは1〜3m
mである短繊維からなるマットや、連続繊維からなるク
ロス、ストランドなどを好適に用いることができる。
【0015】ここで、軽量・高強度のFRPを得るため
には、補強繊維として炭素繊維が最も好ましいが、コス
トとのバランスを取るため、ガラス繊維/炭素繊維のハ
イブリッドのものも好ましく用いられ、その体積比率
は、1:0.05〜1:1が好ましい。また、炭素繊維
を入れることによって、振動減衰性が向上する利点があ
る。
【0016】さらに用いられる炭素繊維の種類は、炭素
繊維の高い強度・剛性の観点からは特に制限されない
が、より低コストを考えると、いわゆるラージ・トウの
炭素繊維を用いることが最も好ましい。例えば、炭素繊
維糸1本のフィラメント数が通常の10,000本未満
のものではなく、できれば10,000〜300,00
0本の範囲、より好ましくは50,000〜150,0
00本の範囲にあるトウ状の炭素繊維フィラメント糸を
使用する方が、樹脂の含浸性、補強繊維基材としての取
扱い性、さらには補強繊維基材の経済性において、より
優れるため、好ましい。
【0017】周知のように、前述マット基材は、前記ガ
ラス繊維や炭素繊維等のフィラメント糸を、約1〜3m
mの長さにカットし、PVAなどのバインダーで抄紙す
ることによって得られ、成形品の表面に配置することに
よって、平滑な面が得られる。また、経糸および緯糸か
らなるクロス基材は、上記フィラメント糸を織機に掛け
て製織することによって得られる。なお、マット基材
は、積層する連続繊維からなるクロス基材や一方向基材
間の層間剥離強度を増すため配置することもある。
【0018】また、前記FRP製スキン材は、マトリッ
クス樹脂よってあるいは補強繊維の形態によって、真
空、ブロー、射出、スタンピング、BMC、SMC、ト
ランスファー成形、およびRTM、プレス、引抜、ハン
ドレイアップ成形等の様々な成形方法を用いて容易に形
成することが可能である。
【0019】前者は、短繊維基材と熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂との組合せにおいて、良く用いられるもの
であり、短繊維故に、強度・剛性が若干低いという弱点
はあるが、成形サイクルは短く製造費が安価で、構造体
としての機能を有する構造ための後述するリブ等を容易
に形成できるためよく用いられる方法であり、プラスチ
ック単体よりも強度・剛性に優れる。後者は、長繊維基
材と熱硬化性樹脂との組合せにおいて、良く用いられる
ものであり、前述同様にリブを形成することは可能であ
る、特に、簡易RTMである真空注入含浸成形によれ
ば、体積含有率等を上げられ、強度、剛性の高いものが
比較的安価で製造できる利点がある。
【0020】上記基材は、必要に応じて、あるいは要求
される機械特性等に応じて、補強繊維の層を複数層に積
層して補強繊維基材を形成し、その補強繊維基材に樹脂
を含浸する。積層する補強繊維層には、一方向に引き揃
えた繊維層や織物層を適宜積層でき、その繊維配向方向
も、要求される強度の方向に応じて適宜選択することが
好ましい。
【0021】FRP製遮音パネル部は、例えば、繊維強
化プラスチック製スキン材の強化繊維として、ガラス繊
維織物と、炭素繊維の一方向織物を積層し、芯材に30
倍発泡硬質ポリウレタン発泡体を用いて、簡易RTMで
ある真空注入含浸成形法により、難燃性不飽和ポリエス
テル樹脂を含浸・硬化させることにより得ることができ
る。
【0022】また、FRP製有孔パネルは、ガラス繊維
からなるマット基材と、織物基材を交互に、樹脂を含浸
しながら積層、硬化させて得た板材に、機械加工により
穿孔することによって得ることができる。
【0023】一般に、遮音材の遮音性能は、音響透過損
失(TL)は、TL=10log10(1/τ)と定義され、デシベ
ル(dB)で表現される。透過率(τ)は、材料の表面
に入射した音のエネルギー(Ii)に対する透過エネルギ
ー(It)の比で表され、τ=(It/Ii)で定義され、材
料を透過した音だけが対象となる。通常遮音材の透過損
失は、基本的には質量則に従い、質量が大きいものほど
大きくなるが、鉄道や道路に使用される遮音パネルは、
125Hz〜4KHzの可聴帯域において10dB以上の透過損
失が必要とされている。つまり、90%の音のエネルギ
ーが遮断される材料であることが必要である。そのため
のFRP製遮音壁は、遮音部の重量が10kg/m2
上必要となり、これ以下では必要な透過損失が得られな
い。透過損失のみを考慮するならば、6mm以上の厚さ
のFRP単板のみでも可能であるが、防音壁として自立
しながら、単位面積当たり300kg/m2 〜400k
g/m2 の風圧に耐えるには、単位巾当たりの曲げ剛性
が、0.1×107kg・mm以上必要であり、FRP
の厚みを厚くする必要があるが、単純に厚みを厚くする
手法は、コストおよび軽量化を考えた場合好ましい設計
構造とは言えず、サンドイッチ構造体または背面にスチ
フナーがある構造体に形成するのが通常である。そうす
ることによって、必要な剛性を確保しつつ軽量なパネル
を得ることができる。 軽量で必要な機械特性を選るに
は、スキン材の厚みが1〜10mmで芯材をも含めた厚
みが15〜200mmの範囲にあることが好ましい。本
発明の一実施例によれば、スキン層の厚みが3mmで芯
材の厚みが50mmであるFRP製遮音パネルのホワイ
トノイズにおける透過損失は13dBであった。
【0024】なお、FRP製有孔パネルは、下述する多
孔質材料からなる吸音部の飛散を防止する役割を担うも
のであって、1〜3mmの厚みであればよく、開口部が
あることによって、材料表面での音を反射することな
く、吸音部で効率良く、音の入射エネルギーを減衰させ
るための一種のカバーであるので、ある程度の強度が必
要であるため、開口率が50〜90%の範囲にあればよ
い。ここで、FRP製有孔パネルにおける開口率とは、
穿孔または矩形状に切り取った部分の面積を、穿孔、切
り取りが無い面積で除した割合を表す。
【0025】また、吸音部に用いられる吸音材の吸音特
性は、一般に音の入射角度によって変化し、吸音材の吸
音率(α)は、材料の表面に入射した音のエネルギー
(Ii)に対する透過エネルギー(It)と材料内部で吸収
されるエネルギー(Ia)の和の比(α=(It+Ia)/Ii)
で定義される。吸音材は、その構造(厚み・空隙量等)
外観によって分類され、多孔質材料(綿状形態の鉱物繊
維からなるロックウールや石綿、ガラス繊維からなるグ
ラスウール、またそれらをパンチングしたフェルト状の
ものや、軟質ウレタンフォームであるスポンジ等)、板
状材料(合板、石綿セメント、石膏ボードなど)、また
それらの穴あき板材料からなるもので、多孔質材料は、
広い周波数帯域にわたって大きな吸音率を持つ材料であ
ることから、吸音材の主力になっている。ちなみにグラ
スウールを例にとって吸音率の変化を見ると、125Hz〜4
KHzの可聴帯域において13mmのもので5〜70%、
75mmのもので30〜90%の吸音率を持っており、
板状材料は厚さに関係なく約50%である。
【0026】前述したように吸音材は、音圧を減衰させ
る役目をするもので、単独では音を遮音する性能が低
く、遮音部材と併用するすることにより、遮音性能を良
くするものであって、通常は、無機ボードの背面やコン
クリート壁に貼り付けて使用される。従って、FRP製
遮音パネルとしては、騒音発生源側から観ると、有孔パ
ネル、吸音体、遮音体の順番が好ましい。両側に騒音発
生源がある場合は有孔パネル、吸音体、遮音体、吸音
体、有孔パネルの順になることは言うまでもない。ただ
し、有孔パネルは、吸音体が高密度に成形されたフェル
ト状、板状のものは、その自信形状保持およびある程度
の強度を有するため必ずしも必要ではない。本発明の一
実施例によれば、上記スキン層の厚みが3mmで芯材の
厚みが50mmであるFRP製遮音パネルに13mmの
グラスウールを貼付た状態で、ホワイトノイズにおける
透過損失を測定したところ18dBであった。
【0027】次に、上記本発明のFRP製複合パネルの
望ましい実施の形態を図面を参照して、さらに詳しく説
明する。
【0028】図1および2は、いずれも本発明の一実施
態様に係るFRP製複合パネルを例示している。すなわ
ち、図1は、本発明のFRP製複合パネルの一実施態様
を示す斜視図であり、図2は、本発明の別の実施態様を
示す斜視図である。
【0029】図1および図2において、FRP製複合パ
ネル1は、FRP製遮音パネル部2と、吸音部3と、F
RP製有孔パネル部4の三層構造で基本的に構成されて
いる。このようなFRP製複合パネルにおいて、基本的
に遮音性能の指標である音響透過損失は、質量則に従
い、質量が大きいものほど大きくなる。しかしながら、
FRP製複合パネル設置に際し、遮音壁としての構造体
の重量に制限があることが多く、遮音パネルをFRP製
とすると、軽量で取扱性が良いという長所を有するが、
質量則に基づく透過損失効果が小さいという短所を持っ
ている。
【0030】本発明で三層構造としたのは、FRP製有
孔パネル部方向から入射した音を、吸音部の多孔質材料
内の空気層のバネによる振動系によりエネルギーを吸収
させて、音圧レベルが小さくし、さらに外層の遮音パネ
ル部の質量則に基づく振動系によりさらに、音のエネル
ギーを小さくして、防音効果を高めるためである。
【0031】ここで、FRP製遮音パネル部2は、例え
ば、図1に示すような、相対するFRP製スキン部材5
間に芯材6を内包するサンドイッチ構造のもの、または
図2のような、FRP製単板7の片側に、FRP製補強
部材8を縦横両方向またはいずれか一方向に実質的に一
体化したスチフナ構造のものであっても良く、この形態
に限定するものではないが、単位巾当たりの曲げ剛性
が、(0.1〜10)×107kg・mmの範囲にある
ことが好ましい。その理由は、例えば、所定の間隔の支
柱に、遮音パネルを設置する場合、風圧などの負荷に対
する強度、剛性を確保するため必要であり、つまり曲げ
剛性がこの範囲より小さいと、バタツキ現象により振動
が大きくなり、かえって騒音発生源となるばかりか、共
振を起こしやすく、必要な強度も確保することが難しく
なる。一方、曲げ剛性がこの範囲より大きくなると、単
位重量も増大し、施工時重機が必要となり取扱性が損な
われることがある。また、単位面積当たりの重量は、1
0〜60kg/m2の範囲にあることが好ましい。単位
面積当たりの重量がこれより小さいと、上述した質量則
による遮音性能が著しく損なわれ、これより大きいと、
遮音効果は良くなるが、前述同様重くて取扱性が悪くな
る傾向を示す。
【0032】このようなFRP製遮音パネル部2のFR
P製スキン部材5またはFRP製単板7およびFRP製
補強部材8を形成するFRPは、FRP層の厚みの少な
くとも5〜20%が、炭素繊維を含むFRP層であるこ
とが好ましい。厚みがこの範囲にあると、所定の重量を
保持しつつ、パネルとしての強度、面内剛性をより高め
ることができるとともに、パネルの固有振周波数を高く
することができる利点がある。なお、前述の芯材6とし
ては、フォーム材や木材、無機質をバインダーで固めた
ものなど、パネルとしての機械特性、価格、軽量化など
要求される特性に応じて適宜選択できる。また、FRP
製補強部材8を、中空のスチフナ構造としたが、ソリッ
ド形態であっても良く、特に限定するものではない。
【0033】次に、吸音部3は、材料からの反射音を減
少させることを目的としており、例えば、ロックウー
ル、グラスウール、軟質ウレタンフォーム、フェルト、
不織布等の多孔質材料が良く、広い周波数帯域において
大きな吸音効果を呈する。その他、孔あき石膏ボード等
でも良く、またそれらを組み合わせたものでも良く、吸
音する周波数によって適宜選定することが好ましい。好
ましい厚みは、10〜80mmの範囲である。
【0034】また、FRP製有孔パネル部4は、開口部
9を有し、開口率が50〜90%である構造体であるこ
とが好ましい。FRP製有孔パネル部4は、例えば、格
子状、孔あき板などの形態のものである。これらのもの
は、前記多孔質材料からなる吸音部の飛散を防止する役
割を担いつつ、開口部9があることによって、音を反射
することなく、吸音部3で効率良く、音の入射エネルギ
ーを減衰させることができる。開口率が小さいと音の反
射が大きくなり、開口率が大きすぎると必要な強度が確
保できないことになる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のFRP製
複合パネルによれば、FRP製であるため、錆の発生も
なく耐久性に優れ、本発明のような少なくとも三層構造
とすることにより、軽量で取扱性が良くかつ、より防音
性能の優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施態様に係るFRP製
複合パネルの斜視図。
【図2】 図2は、本発明の別の実施態様を示す斜視図
である。
【符号の説明】
1 FRP製複合パネル 2 FRP製遮音パネル部 3 吸音部 4 FRP製有孔パネル部 5 FRP製スキン部材 6 芯材 7 FRP製単板 8 FRP製補強部材 9 開口部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック製遮音パネル部
    と、吸音部と、繊維強化プラスチック製有孔パネル部の
    少なくとも三層構造からなることを特徴とする繊維強化
    プラスチック製複合パネル。
  2. 【請求項2】 繊維強化プラスチック製遮音パネル部
    が、相対する繊維強化プラスチック製スキン部材間に芯
    材を内包するサンドイッチ構造体、または、繊維強化プ
    ラスチック製単板の片側または両面に、縦横両方向また
    はいずれか一方向に実質的に一体化された繊維強化プラ
    スチック製補強部材を有するスチフナ構造体であって、
    単位巾当たりの曲げ剛性が、(0.1〜10)×107
    kg・mmであり、かつ単位面積当たりの重量が、10
    〜60kg/m2 であることを特徴とする請求項1記載
    の繊維強化プラスチック製複合パネル。
  3. 【請求項3】 繊維強化プラスチック製スキン部材また
    は繊維強化プラスチック製単板または繊維強化プラスチ
    ック製補強部材を形成する繊維強化プラスチック層の厚
    みの少なくとも5〜20%が、炭素繊維を含む繊維強化
    プラスチック層であることを特徴とする請求項2記載の
    繊維強化プラスチック製複合パネル。
  4. 【請求項4】 繊維強化プラスチック製スキン部材を形
    成するマトリックス樹脂が、難燃剤および制振剤の両方
    またはいずれか一方を含む熱硬化性樹脂からなることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プ
    ラスチック製複合パネル。
  5. 【請求項5】 繊維強化プラスチック製有孔パネルが、
    50〜90%の開口率を有することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製複合
    パネル。
  6. 【請求項6】 吸音部が、多孔質材料からなることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラ
    スチック製複合パネル。
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