JP2003292371A - 高剛性低熱膨張セラミックス焼結体 - Google Patents

高剛性低熱膨張セラミックス焼結体

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JP2003292371A
JP2003292371A JP2002098890A JP2002098890A JP2003292371A JP 2003292371 A JP2003292371 A JP 2003292371A JP 2002098890 A JP2002098890 A JP 2002098890A JP 2002098890 A JP2002098890 A JP 2002098890A JP 2003292371 A JP2003292371 A JP 2003292371A
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Fumiaki Takahashi
史明 高橋
Tetsuo Nose
哲郎 野瀬
Masashi Nakabayashi
正史 中林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、軽量かつ高い寸法精度の精
密機械部材を実現するため、比剛性が高いとともに十分
な強度を有する低熱膨張材料を提供することにある。 【解決手段】 a(Li2O)・b(Al23)・c
(SiO2)で表され、a、bともに0.9〜1.1、
cは1.8〜2.2の値をとるとともにa+b+c=4
であるリチウムアルミノシリケート相と、窒化珪素相を
同時に含み、さらにFe、Coのうちから少なくとも一
元素を含むセラミックス焼結体であって、0〜50℃で
の熱膨張係数の絶対値が5.0×10-7/K以下、ヤン
グ率が180GPa以上かつ比剛性が60GPa/g/
cm3以上であり、さらに曲げ強度が270MPa以上
であることを特徴とする低熱膨張セラミックス焼結体で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い剛性を有する
低熱膨張セラミックス焼結体に関するものであり、特に
精密機械部品用材料として使用されるセラミックス焼結
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の精密加工技術におけるより高い加
工精度に対する要求が高まるにつれて、精密加工機を構
成する部材の材料についても、その寸法の安定性を保証
することが重要になってきている。このため機構部材の
材料には、従来になく高度な低熱膨張特性が求められる
ようになっている。また、生産性向上のために機構部材
が高速で駆動されるようになってきており、これを実現
するために比重が軽く、ヤング率が高い材料、つまり比
剛性の高い材料が求められるようになっている。また部
材の共振も加工精度に悪影響を与えることから、共振周
波数の高周波化が求められており、これを実現するため
に高ヤング率の材料が求められている。さらに、部材の
軽量化を目指した薄肉化に伴い、高い強度を有する材料
が求められるようになっている。
【0003】このような観点から従来技術を省みると、
低熱膨張材料としては、インバーやスーパーインバーに
代表される金属系低熱膨張材料、あるいは低熱膨張ガラ
ス、コーディエライト、スポジューメンあるいはチタン
酸アルミニウムなど、種々の低熱膨張セラミックスが存
在する。
【0004】スーパーインバーは室温での熱膨張係数が
1.0×10-7/Kと比較的低いが、比剛性が20GP
a/g/cm3未満と、一般的なセラミックス材料に比
較して著しく低いことが問題であった。すなわち、金属
系の低熱膨張材料は、比較的比重が高いと共にヤング率
が低いことから、ヤング率を比重で除した値である比剛
性に関して極めて不利であり、一般的に比剛性の点では
セラミックス材料が有利となる。このような材料とし
て、例えば特開昭50−132017号公報にあるよう
に、部分結晶化処理を行った低熱膨張ガラスが開示され
ている。部分結晶化処理を行ったセラミックス材料は、
互いに符号の異なる熱膨張係数を持つ結晶部分とガラス
部分が材料中に共存することで、材料全体として熱膨張
を相殺し、低熱膨張を実現している。これらの低熱膨張
ガラスは、熱膨張係数が室温でほぼ零であり、ヤング率
が90GPa、比剛性も36GPa/g/cm3程度
と、スーパーインバーを大きく上回る値を示す。一方、
コーディエライト、スポジューメンあるいはチタン酸ア
ルミニウムなどのいわゆる低熱膨張セラミックス焼結体
は、必ずしも高い比剛性を有してはいなかった。一方、
構造材料には使用中の破損を避けるために十分な強度が
必要となる。これは前述のとおり、生産性向上のための
部材の高速駆動では部材の小型化、薄肉化が必要とな
り、構造部材としての強度を保つためにより高強度の材
料が求められるからである。
【0005】低熱膨張特性と高ヤング率、高比剛性を満
足するため、例えば特開平11−255557号公報あ
るいは特開平11−236262号公報にはコージェラ
イト結晶相を主体とし、特開2000−281454号
公報、特開2000−219572号公報にはLiAl
SiO4を主成分として、高いヤング率と低い熱膨張係
数を持つ材料についての記載がある。さらに、特開20
01−58867号公報には、リチウムアルミノシリケ
ート、コーディエライト、アルミナスキータイトあるい
はチタン酸アルミニウムを母相とし、高剛性の第二相を
分散させた高剛性低熱膨張材料の記載がある。該公開公
報にある実施例表1の試料No19には熱膨張係数が−
0.1×10-6/℃かつヤング率が245GPaである
材料の記載がある。また、特開2000−281454
号公報には、LiAlSiO4を主成分とし、さらに窒
化珪素を第2相として高剛性化が図られている。しか
し、この組成系で緻密な焼結体を得ることは難しく、何
らかの焼結助剤が必要であることが明らかにされてい
る。しかるに該公報ではMgOなる焼結助剤を用いてい
るものの、得られた焼結体のヤング率は175GPa止
まりであった。
【0006】他方、高ヤング率、高比剛性の低熱膨張材
料は強度の観点からは十分な開発が行われてこなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記従来技術の問題点を解決し、軽量かつ
高い寸法精度の精密機械部材を実現するため、高比剛性
と共に高い強度を有する低熱膨張材料を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、セラミッ
クス焼結体中にリチウムアルミノシリケートと共に窒化
珪素粒子を同時に含ませ、さらにFeとCoのうちから
少なくともひとつの元素を含むことで上記課題を解決可
能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、a(Li2O)・b
(Al23)・c(SiO2)で表され、a、bともに
0.9〜1.1、cは1.8〜2.2の値をとるととも
にa+b+c=4であるリチウムアルミノシリケート相
と、窒化珪素相を同時に含み、さらにFe、Coのうち
から少なくとも一元素を含むセラミックス焼結体であっ
て、0〜50℃での熱膨張係数の絶対値が5.0×10
-7/K以下、ヤング率が180GPa以上かつ比剛性が
60GPa/g/cm3以上であり、さらに曲げ強度が
270MPa以上であることを特徴としたセラミックス
焼結体である。さらに、リチウムアルミノシリケート相
を28〜53質量%、窒化珪素を47〜72質量%、さ
らにFe、Coのうちから少なくともひとつをFe23
あるいはCo 34換算で0.05〜1.5質量%含むこ
とを特徴とするものである。
【0010】精密加工技術を最も必要とされる半導体製
造装置分野では、精密位置決めを極めて高い精度で実現
することが必須となっているが、部材の熱膨張はこれに
対する大きな障害の一つである。例えば、1×10-6
Kの熱膨張係数を持つ500mmの部材の温度が1℃変
化すると、部材の端面で500nmもの偏差が発生する
ことになる。このような影響を避けるため、部材の熱膨
張係数の絶対値ができるだけ小さいことが求められてお
り、望ましくは熱膨張係数の絶対値が5.0×10-7
K以下にすることが求められる。
【0011】部材のヤング率や曲げ強度は高いほど好ま
しく、また密度はできるだけ低いことが望ましいが、現
実的な値として前出の低熱膨張ガラス程度のヤング率9
0GPa、曲げ強度50MPa、比剛性36GPa/g
/cm3を大きく上回ることが必要となる。
【0012】本発明は、負の熱膨張係数をもつリチウム
アルミノシリケート相と高ヤング率を有する窒化珪素を
焼結体中に共存させることで低熱膨張性と高ヤング率、
高比剛性を実現し、さらに微量の添加元素としてFeと
Coのうちから少なくとも一元素を加えることで曲げ強
度を高めることで上記の課題を解決するものである。
【0013】リチウムアルミノシリケートは、室温付近
で大きな負の熱膨張係数を示すことから本発明のセラミ
ックス焼結体を構成する化合物のひとつとした。室温付
近で低熱膨張性を示す化合物としては、例えばβユーク
リプタイトやチタン酸アルミニウム、スポジューメン、
コーディエライトなどが挙げられる。この中でも、βユ
ークリプタイトは室温付近で大きな負の熱膨張係数を持
つことが知られている。a(Li2O)・b(Al
23)・c(SiO2)の組成においてa=b=1、c
=2とするとβユークリプタイト組成に相当する。a,
bおよびcの値はβユークリプタイト近傍の値をとるこ
とができ、a、bともに0.9〜1.1およびcは1.
8〜2.2の範囲でa+b+c=4となる値を選ぶこと
ができる。a,bおよびcがこの範囲を外れると、十分
な低熱膨張特性を持つリチウムアルミノシリケート相が
得られなくなり、この結果、所望の特性を持つ低熱膨張
セラミックス材料が得られなくなることから、a(Li
2O)・b(Al23)・c(SiO2)の組成において
a、bともに0.9〜1.1およびcは1.8〜2.2
の範囲でa+b+c=4とする必要がある。
【0014】本発明のセラミックス焼結体にて高比剛性
と高い強度を実現するために、リチウムアルミノシリケ
ート相以外に窒化珪素相とCo、Feのうちから少なく
とも一元素を同時に含むことが必須である。それぞれを
単独で含む場合は所望の特性を得ることはできない。本
発明においてCo、Feの焼結体中での詳細な存在形態
は明らかではないが、焼結体中の他の成分と複合酸化物
を形成するか、単独で酸化物を形成してリチウムアルミ
ノシリケート粒子や窒化珪素粒子の粒界に存在している
ものと推定される。本発明で規定するリチウムアルミノ
シリケートは低熱膨張であるものの、ヤング率が100
Gpa前後と低いことが欠点になっているが、窒化珪素
を焼結体中に含むことでヤング率は著しく改善され、ま
た、Co、Feのうちから少なくともひとつの元素を焼
結体中に含むことで焼結体の曲げ強度を向上させること
ができる。したがって、本発明が解決しようとする課題
に対して、リチウムアルミノシリケート相以外に窒化珪
素相とCo、Feのうちから少なくともひとつを同時に
含むことが必須である。
【0015】さらに、リチウムアルミノシリケート、窒
化珪素およびFe、Coの量を本発明の規定する値とす
ると、特によい結果が得られる。本発明でのセラミック
ス焼結体にはリチウムアルミノシリケート相が28〜5
3質量%、窒化珪素が47〜72質量%、さらにCo、
Feのうちから少なくともひとつの元素がFe23ある
いはCo34換算で0.05〜1.5質量%含まれてい
るが、これで本発明で目標とする熱膨張係数、比剛性お
よび、曲げ強度に関して十分に満足する特性を有した焼
結体を得ることができる。一方、リチウムアルミノシリ
ケート相が28質量%未満あるいは53質量%超である
と、焼結体の熱膨張係数の絶対値が5.0×10-7/K
を超えることから、この範囲を外れることは好ましくな
い。また窒化珪素が47質量%未満であるとヤング率と
比剛性の値が十分ではなく、窒化珪素が72質量%超で
あると焼結体の熱膨張係数の絶対値が5.0×10-7
Kを超えることから、この範囲を外れることは好ましく
ない。Fe、Coのうちから少なくとも一元素がFe2
3あるいはCo34換算で0.05質量%より少ない
場合は、ヤング率、比剛性および強度が十分ではなく、
また1.5質量%より多い場合も目標とする低熱膨張率
とヤング率、比剛性および強度を達成することが困難と
なる。
【0016】本発明によれば、a(Li2O)・b(A
23)・c(SiO2)で表され、a、bともに0.
9〜1.1、cは1.8〜2.2の範囲でa+b+c=
4となるリチウムアルミノシリケート相を主体とし、さ
らに窒化珪素相を所定量含み、またFe、Coのなかか
ら少なくともひとつの元素を所定量含む低熱膨張セラミ
ックス焼結体を構成することにより、強度が改善された
高比剛性低熱膨張材料を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックス焼結体は、
βユークリプタイトに近い組成をもつリチウムアルミノ
シリケート相を中心とした組成からなるものであって、
通常の粉末焼結にて形成されるが、緻密化をより効果的
に行うためには、ホットプレスや熱間静水圧焼結などの
焼成方法も用いられる。
【0018】上記のようなセラミックス焼結体を作製す
るには、まず例えば酸化リチウム、酸化アルミニウムと
二酸化珪素を所望の組成となるように秤量し、さらに窒
化珪素粉末及びFeやCoを含む化合物を所定量秤量
し、ボールミルなどで混合して混合粉を得る。ここで、
リチウム、アルミニウム、あるいは珪素の由来について
は特に限定されず、スポジューメン、ペタライト、炭酸
リチウムなどを組み合わせて利用することもでき、ま
た、リチウム、アルミニウム、珪素を含む公知の原料を
適宜選定することができる。 また、FeやCoを含む
化合物はFeやCoとO以外に焼成後に残存する元素を
含まないものであれば特にその形態を問わないが、酸化
物の形態がもっとも一般的であり、FeについてはFe
23やFe34、CoについてはCoO、Co23ある
いはCo34等が好適に使用できる。この場合いずれの
形態にせよ、焼結体内にCo、Feのうちから少なくと
もひとつをFe23あるいはCo34換算で0.05〜
1.5質量%含むことが必要である。
【0019】上記のようにして得られた混合粉を、一軸
成形プレス、静水圧プレスなど所望の手段で成形体とし
た後に焼成する。あるいは、ホットプレスのように、型
に粉末を充填加圧して焼成を行うこともできるが、その
他公知慣用の方法も可能であり、これらに限定されるも
のではない。
【0020】焼成の条件は、1000℃以上1420℃
以下、好ましくは1200℃以上1350℃以下の温度
とし、雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、具体的には
酸素濃度1000ppm以下、より望ましくは100p
pm以下の窒素雰囲気もしくはアルゴン雰囲気などであ
る。この温度範囲を外れると、リチウムアルミノシリケ
ート相が安定して生成されず、また高ヤング率および高
強度と低熱膨張特性を同時に得ることができなくなる。
緻密化をより効果的に行うためにホットプレスや熱間静
水圧プレスによる焼結も有効であり、その際の圧力は1
0MPa以上であると効果的で、その際の焼成温度、焼
成雰囲気は前述の通りである。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例示により限定されるもの
ではない。
【0022】(実施例1〜3、比較例1〜3)リチウム
アルミノシリケート相(以下LASと表記)が表1の組
成となるよう炭酸リチウム(平均粒子径2.2μm)、
酸化アルミニウム(平均粒子径0.6μm)、二酸化珪
素(平均粒子径0.8μm)をボールミルで混合し、粉
体を回収した後1200℃で大気中にて仮焼した。な
お、表中LAS組成のa、b、cは、a(Li2O)・
b(Al23)・c(SiO2)であらわしたリチウム
アルミノシリケートの組成である。これらの粉体を仮焼
後に回収した後、平均一次粒子径が3μmの窒化珪素粒
子と2.2μmの平均粒径を有する酸化第二鉄Fe23
を添加し、再びボールミルにて粉砕、混合し、組成が十
分に均一な混合粉を得た。それぞれの原料粉量は、LA
Sが41.9質量%、窒化珪素が57.3質量%、酸化
第二鉄(Fe23)が0.8質量%となるように秤量し
た。このようにして得られた混合粉を成形し、窒素雰囲
気中で1300℃にて焼成した。X線回折により分析し
たところ、得られた焼結体はβユークリプタイトの結晶
構造を持つ母相と窒化珪素からなっていることが確認さ
れた。
【0023】以上のようにして得られた焼結体の特性を
表1に示す。熱膨張係数は二重光路マイケルソン型レー
ザー干渉方式の熱膨張計にて測定し、ヤング率は超音波
パルス法より求めた。比剛性はヤング率を焼結体密度で
除した値であり、焼結体密度はアルキメデス法で求め
た。表中の曲げ強度はJIS R 1601にある四点
曲げ強度を示す。特性はすべて室温での値である。表1
の実施例から明らかなように、焼結体の組成を本発明の
範囲とすると、本発明の請求項1に記載の熱膨張係数、
曲げ強度、ヤング率および比剛性を満足することができ
る。一方、比較例1〜3では、LASの組成が本発明の
範囲となっていないことから、所望の特性をもつ焼結体
が得られていない。すなわち、比較例1では、緻密な焼
結体が得られず、特性が測定できなかった。また、比較
例2、3では、LASの組成が本発明の範囲となってい
ないために所望のヤング率および比剛性が得られず、さ
らに、比較例2では、ヤング率、比剛性が低い上に熱膨
張係数も所望の特性が得られていない。
【0024】
【表1】
【0025】(実施例4〜6、比較例4、5)炭酸リチ
ウム24.3質量%(平均粒子径2.2μm)、酸化ア
ルミニウム34.2質量%(平均粒子径0.6μm)、
二酸化珪素41.5質量%(平均粒子径0.8μm)を
ボールミルで混合し、粉体を回収した後1200℃で大
気中にて仮焼した。この組成はa(Li2O)・b(A
23)・c(SiO2)で表すと、a=0.971、
b=0.990、c=2.039となる。これに平均一
次粒子径が3μmの窒化珪素粒子と2.2μmの平均粒
径を有する酸化第二鉄Fe 23を1.0質量%添加し、
再びボールミルにて粉砕、混合し、組成が十分に均一な
混合粉を得た。このようにして得られた混合粉を成形
し、窒素雰囲気中にて1290℃の条件で焼成した。窒
化珪素粒子の配合量は、焼成後に表2の組成となるよう
に調整した。
【0026】以上のようにして得られた焼結体の特性を
表2に示す。表中の特性の測定方法は実施例1〜3およ
び比較例1〜3と同様にして求めた。表2の実施例から
明らかなように、焼結体の組成を本発明の範囲とする
と、本発明の請求項1に記載の熱膨張係数、曲げ強度、
ヤング率および比剛性を満足することができる。一方、
比較例4では、窒化珪素量が少ないために所望のヤング
率および比剛性が得られない。比較例5では、窒化珪素
量が多すぎるために熱膨張係数の絶対値が大きく低熱膨
張特性が得られない。
【0027】
【表2】
【0028】(実施例7〜13、比較例6〜9)炭酸リ
チウム24.3質量%(平均粒子径2.2μm)、酸化
アルミニウム34.2質量%(平均粒子径0.6μ
m)、二酸化珪素41.5質量%(平均粒子径0.8μ
m)をボールミルで混合し、粉体を回収した後1200
℃で大気中にて仮焼した。この組成はa(Li2O)・
b(Al23)・c(SiO2)で表すと、a=0.9
71、b=0.990、c=2.039となる。仮焼後
回収した粉体にLAS相と窒化珪素相の質量比が33:
67となるよう、平均一次粒子径が約3μmの窒化珪素
粒子を添加し、さらにFe23あるいはCo34(以下
金属酸化物と表記)をFeまたはCo源として表3にあ
げた組成となるよう添加して、再びボールミルにて粉
砕、混合し、組成が十分に均一な混合粉を得た。このよ
うにして得られた混合粉を成形し、窒素雰囲気中にて1
290℃の条件で焼成した。
【0029】以上のようにして得られた焼結体の特性を
表3に示す。表中の特性の測定方法は実施例1〜3およ
び比較例1〜3と同様にして求めた。表3の実施例から
明らかなように、焼結体の組成を本発明の範囲とする
と、本発明の請求項1に記載の熱膨張係数、曲げ強度、
ヤング率および比剛性を満足することができる。すなわ
ち、金属添加物の無い比較例6より、ヤング率、曲げ強
度ともに向上することが明らかである。
【0030】一方、FeあるいはCo添加量が少ない比
較例7、8では、ヤング率、曲げ強度ともに無添加の焼
結体である比較例6よりも向上しているものの、Feと
Coの添加の効果が十分ではない。比較例9では、金属
酸化物の添加量が多すぎるために無添加の場合に比較
し、ヤング率および曲げ強度ともに低い値となってい
る。以上の結果から明らかなように、Fe、CoをFe
23あるいはCo34換算で0.05〜1.5質量%添
加することによって、焼結体のヤング率と曲げ強度を大
きく改善することができる。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る低熱膨張セラミックス焼結体により、精密加工機械部
品用の部材として、軽量かつ強度が高く、温度変化に対
して高い寸法安定性を有する材料を実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中林 正史 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4G001 BA01 BA03 BA04 BA32 BB01 BB03 BB04 BB32 BC03 BC12 BC46 BC52 BC54 BC56 BD05 BD11 BD14 BD38 BE01 4G030 AA02 AA27 AA28 AA36 AA37 AA52 BA20 BA24 CA01 GA03 GA04 GA08 GA11 GA24 GA27

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a(Li2O)・b(Al23)・c
    (SiO2)で表され、a、bともに0.9〜1.1、
    cは1.8〜2.2の値をとるとともにa+b+c=4
    であるリチウムアルミノシリケート相と、窒化珪素相を
    同時に含み、さらにFe、Coのうちから少なくとも一
    元素を含むセラミックス焼結体であって、0〜50℃で
    の熱膨張係数の絶対値が5.0×10-7/K以下、ヤン
    グ率が180GPa以上かつ比剛性が60GPa/g/
    cm3以上であり、さらに曲げ強度が270MPa以上
    であることを特徴とする高剛性低熱膨張セラミックス焼
    結体。
  2. 【請求項2】 リチウムアルミノシリケート相を28〜
    53質量%、窒化珪素を47〜72質量%、さらにF
    e、Coのうちから少なくともひとつをFe23あるい
    はCo34換算で0.05〜1.5質量%含むことを特
    徴とする請求項1記載の高剛性低熱膨張セラミックス焼
    結体。
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Cited By (2)

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