JP2003290783A - リン酸除去剤及びその製造方法、並びにリン酸除去方法 - Google Patents

リン酸除去剤及びその製造方法、並びにリン酸除去方法

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JP2003290783A
JP2003290783A JP2002099308A JP2002099308A JP2003290783A JP 2003290783 A JP2003290783 A JP 2003290783A JP 2002099308 A JP2002099308 A JP 2002099308A JP 2002099308 A JP2002099308 A JP 2002099308A JP 2003290783 A JP2003290783 A JP 2003290783A
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calcium
acid removing
calcium silicate
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Kensuke Kanai
謙介 金井
Hiroaki Suzuki
裕明 鈴木
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウム化合物の添加や調整を必要とせ
ず、排水中の脱リンを、速やかに、簡易かつ低コストで
行うことができるリン酸除去剤及び当該リン酸除去剤を
効率よく、簡易な方法で製造することができるリン酸除
去剤の製造方法、並びに上記リン酸除去剤を用いて、排
水中のリンを有効に、また簡便に除去する方法を提供す
る。 【解決手段】 リン酸除去剤は、平均粒子径が2〜20
μmであるケイ酸カルシウム水和物含有粒子を含み、且
つカルシウム含量がCaOに換算して40〜70重量%で
あり、ケイ酸カルシウム水和物含有粒子が、バインダー
で互いに接合されてなるものである。かかるリン酸除去
剤を、リン酸イオンを含む排水と接触させて、排水中の
リン酸成分を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸除去剤及び
その製造方法、並びにリン酸除去方法に関し、特に生活
排水等のリン酸イオンを含む排水中から効率よくリン酸
を除去することのできるリン酸除去剤及びその製造方
法、並びにリン酸除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、窒素やリンの付加量の急速な増大
に起因したいわゆる富栄養化の現象が環境保全政策の視
点から問題となっている。かかる富栄養化が進行する
と、アオコや赤潮のような有害な植物プランクトンが大
量に発生し、湖水等が緑色又は褐色となり、しばしば水
産養殖に多大な被害を与え、生活用水でもその安全性が
懸念される。
【0003】人為的負荷源としては、乱開発によって流
出した土壌、森林や農地に過剰に散布された肥料や農
薬、家庭排水やし尿、工場廃水、畜産排水等がある。一
方、通常の排水処理(いわゆる二次処理まで)ではリン
はほとんど除去されず、し尿処理場や下水処理場からの
放流水も大きな負荷源となる。
【0004】したがって、最近では凝集沈殿等の三次処
理や生物処理を導入して、リンを高率に除去する処理場
が増えてきている。リンは元来自然中に1〜100pp
bのオーダーしか含まれておらず、わずかな濃度の変動
が藻類の成長を左右するため、このような高度処理をし
てもなお大きな負荷源となる。
【0005】従来、排水中からリンを除去する方法とし
ては、例えば、凝集剤添加法や電気分解法等に代表され
る凝集沈殿法、吸着法、及び晶析等に代表される接触脱
リン法等が知られている。
【0006】凝集沈殿法とは、河川水をポンプアップ
し、凝集沈殿装置に導入し、無機凝集剤を原水に添加
し、リンと化合して生成した不溶性沈殿物を分離する方
法である。しかし凝集剤を常時注入する必要があり、河
川流量に対応して適正な薬剤の注入率に制御することが
困難であり、凝集剤の注入設備や設備面積の大きい沈殿
槽が必要である。また、難処分性の凝集沈殿汚染物が大
量に発生する等の問題がある。
【0007】また、吸着法は、粒径が2mm程度の小粒
径活性アルミナ充填層に処理水を通水してリン酸を吸着
除去する技術であるが、活性アルミナが高コストという
難点があり、水酸化ジルコニウムによるリン吸着除去法
も知られているが、水酸化ジルコニウムが活性アルミナ
よりもさらに高価格であり現実的ではない。かかる吸着
法を用いた脱リンは、汚泥がほとんど発生せず、吸着剤
量を調整することによりリン除去の調節が可能で、使用
した吸着剤の再生もでき、リンの回収も可能である一
方、吸着剤のリン酸イオン吸着能がいずれも小さく、さ
らに処理槽のpH制御が必要である等の問題がある。
【0008】晶析法は、リン鉱石又は骨灰等のリン酸カ
ルシウム系の種結晶を充填させた充填槽に、Caイオンを
添加して、pH8〜9程度に調整した処理水を通水させ
ることによって、リン酸イオンをヒドロキシアパタイト
として充填材表面に晶析除去する技術である。しかし、
pH調整剤、水溶性カルシウム塩の添加等の煩雑な前処
理が必要であり、その制御の実施にも煩雑性を伴う等の
問題がある。
【0009】また、最近、特開平2000―13549
3号公報には、珪灰石を利用したリン酸除去方法が開示
されており、これは、排水中のリン酸イオンを珪灰石と
接触させることを特徴としているが、珪灰石中に含まれ
るカルシウム分の溶出が緩慢であるため、リン酸との反
応速度に問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたものであり、その目的は、カル
シウム化合物の添加や調整を必要とせず、排水中の脱リ
ンを、速やかに、簡易かつ低コストで行うことができる
リン酸除去剤を提供することにある。
【0011】また、本発明の他の目的は、上記本発明の
リン酸除去剤を効率よく、簡易な方法で製造することが
できるリン酸除去剤の製造方法を提供することにある。
【0012】さらに、本発明の他の目的は、上記本発明
のリン酸除去剤を用いて、排水中のリンを有効に、また
簡便に除去する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を進めた結果、一定の範囲の平均粒径を有するケイ酸カ
ルシウム水和物含有粒子を含み、カルシウム含有率が制
御された材料が、排水中のリン酸イオンを効率的に捕集
することを見出し、本発明に到達したものである。
【0014】本発明のリン酸除去剤は、平均粒子径が2
〜20μmであるケイ酸カルシウム水和物含有粒子を含
み、且つカルシウム含量がCaOに換算して40〜70重
量%であることを特徴とする。
【0015】好適には、前記リン酸除去剤において、更
に上記ケイ酸カルシウム水和物含有粒子に水酸化カルシ
ウムを含有することを特徴とする。
【0016】さらに好適には上記リン酸除去剤におい
て、上記ケイ酸カルシウム水和物含有粒子が、バインダ
ーで互いに接合されてなることを特徴とする。
【0017】また、好適には、前記リン酸除去剤におい
て、上記バインダーは、水硬性物質及び/又は気硬性物
質(strikethrough)であることを特徴とする。
【0018】本発明のリン酸除去剤の製造方法は、ケイ
酸カルシウム材100重量部に水100〜1000重量
部を添加し、温度40〜100℃で湿式粉砕下に水和反
応を行なわせて得られたスラリーを、造粒固化すること
を特徴とする。
【0019】好適には、本発明のリン酸除去剤の製造方
法は、ケイ酸カルシウム材に、水酸化カルシウム材を、
得られるリン酸除去剤中の水酸化カルシウムが40重量
%以下となるように添加し、当該ケイ酸カルシウム材と
水酸化カルシウム材との合計100重量部に水100〜
1000重量部を添加し、温度40〜100℃で湿式粉
砕することにより水和反応をおこなうことを特徴とす
る。
【0020】さらに好適には、前記リン酸除去剤の製造
方法において、更に、得られたスラリーに、バインダー
を添加して混合することを特徴とする。
【0021】本発明のリン酸除去方法は、上記本発明の
リン酸除去剤を、リン酸イオンを含む排水と接触させ
て、リン酸成分を除去することを特徴とする。
【0022】ここで、本発明におけるリン酸イオンを含
む排水とは、生活排水、産業排水、農業廃水、し尿、畜
産排水、肥料や農薬、流出土壌等のリン酸イオンを含有
するすべての排水を意味するものである。
【0023】
【発明の実施と形態】本発明を好適例を挙げて以下に詳
細に説明するが、これらに限定されるものではない。本
発明のリン酸除去剤は、平均粒子径が2〜20μmであ
るケイ酸カルシウム水和物含有粒子を含み、且つカルシ
ウム含量がCaOに換算して40〜70重量%となるもの
である。
【0024】水酸化カルシウムのような溶解度が高い物
質は、瞬間的なリン酸除去能力は高いけれども、希釈等
の問題で持続性がないが、本発明のケイ酸カルシウム水
和物含有粒子は、リン酸除去剤として用いた時に、カル
シウムの溶解速度が穏やかなのでリン酸除去能を維持す
ることが可能である。
【0025】ケイ酸カルシウム水和物含有粒子の平均粒
子径を小さくして、上記範囲とすることにより、また、
好適には2〜5μmとすることにより、比表面積が増加
し、処理水と効率よく接触してリン酸を除去できる。ま
た、平均粒子径が2μm未満の場合には、製造コストが
かかりすぎ、経済的ではない。ケイ酸カルシウム含有水
和物の形状は、特に限定されないが、取り扱いが容易な
ため、粒状であることが好ましい。
【0026】当該ケイ酸カルシウム含有水和物は、アル
カリ性で多孔質なケイ酸カルシウム水和物からなるか、
またはケイ酸カルシウム水和物を主成分として水酸化カ
ルシウムがケイ酸カルシウム水和物に取り込まれている
か、微粉砕された水酸化カルシウムとしてケイ酸カルシ
ウム水和物表面に存在するものである。上記ケイ酸カル
シウム水和物含有粒子は、排水中のリン酸がアルカリ存
在下で反応してリンが固定化され、アパタイト(不溶
性)になり縣濁物として除去可能になるための、アルカ
リ成分であるカルシウム供給源として有効に機能するも
のである。
【0027】また、ケイ酸カルシウム水和物だけでは、
リン酸除去剤中に含有されるカルシウム分の含量がCaO
に換算して40〜70重量%に満たない場合に、リン酸
除去剤中のCa含量を満たすために、ケイ酸カルシウム水
和物含有粒子を調製する際に、水酸化カルシウムが必要
に応じて添加される。かかる水酸化カルシウムは、リン
酸がアルカリ存在下でアパタイト(不溶性)になり縣濁
物として除去可能になるための、アルカリ成分であるカ
ルシウム供給源として、上記ケイ酸カルシウム水和物と
同様に、有効に機能するものである。
【0028】本発明のリン酸除去剤は、前記ケイ酸カル
シウム水和物含有粒子をバインダーにより、互いに接合
されてなるものである。バインダー材としては、各種ポ
ルトランドセメント、高炉セメントやフライアッシュセ
メント等の混合セメント、基材中の水酸化カルシウムの
刺激で水和硬化する高炉水砕スラグ等の水硬性物質、水
酸化カルシウム等の気硬性物質、またはポリ酢酸ビニ
ル、ポリアクリル酸、エポキシ樹脂等の不溶性で熱可塑
性樹脂等を使用することができる。これは、得られたリ
ン酸除去剤を水の浄化に用いるため、水溶性の有機物を
バインダーとして用いるのは不適であり、この点から水
に有機物が溶出しないセメント組成物が好適だからであ
る。
【0029】従って、ケイ酸カルシウム水和物粒子を製
造する際に用いられる、例えば各種のポルトランドセメ
ント、スラグ等のケイ酸カルシウム材中の未水和分を、
バインダーとして使用できる場合には、上記バインダー
材を特に添加して用いることを必要としない。
【0030】また、本発明のリン酸除去剤には、カルシ
ウム含量がCaOに換算して40〜70重量%含まれる。
かかる範囲のカルシウム含量を含むことにより、Ca/Si
比が高いケイ酸カルシウム水和物が生成し、その表面に
微粒の水酸化カルシウムが付着した形態となる。これに
より、Ca分が高いケイ酸カルシウム水和物となる。ケイ
酸カルシウム水和物は水酸化カルシウムと比べてCa分溶
解が穏やかであるのが本発明の特徴であるものの、穏や
か過ぎると除去能が悪くなる。
【0031】本発明の上記リン酸除去剤は、ポーラスな
性状であり、その形状は限定されないが、粒状のもので
あることが取り扱いが容易な点より好ましい。かかるリ
ン酸除去剤の大きさは、リン酸イオンを含む排水と上記
リン酸除去剤との接触に際する排水のリン酸イオン濃度
や排水の流通速度や流通量によって適宜決定される。
【0032】かかるリン酸除去剤は、リン酸除去剤中の
カルシウム分と排水中のリン酸分との反応を速やかに進
行させてリンを固定化し、排水中に存在するリン酸分と
ほぼ当量のカルシウムの溶出率を長期に一定に維持する
ことができるものであり、従って排水中のリン酸除去を
効率的に行わせることができる。
【0033】上記リン酸除去剤は、ケイ酸カルシウム材
100重量部に水100〜1000重量部を添加し、温
度40〜100℃で湿式粉砕下に水和反応を行なわせて
得られたスラリーを、造粒固化することにより製造でき
る。このようにして製造することにより、平均粒子径が
2〜20μm、好適には2〜5μmのケイ酸カルシウム
水和物含有粒子を効率よく製造することができる。
【0034】ここで、ケイ酸カルシウム水和物含有粒子
の平均粒子径とは、湿式粉砕下でおこなう水和反応終了
直後のスラリー中の粒子の平均粒子径を意味し、また、
このスラリーを乾燥させて粒子を固化形成させる場合に
は、一次粒子の凝集により二次粒子が形成されるので、
二次粒子を解砕し、分級して得られる粒子径制御後の粒
子の平均直径を意味する。かかる本発明における平均粒
子径は、メタノールを分散媒としたレーザー回折式の粒
度分布測定装置の測定手法により測定されたものであ
る。
【0035】ケイ酸カルシウム水和物含有粒子を得るた
めに用いられるケイ酸カルシウム材には、単独でケイ酸
カルシウム水和物を生成するものと、ケイ酸塩とカルシ
ウム塩との反応によりケイ酸カルシウム水和物を生成す
るものとが含まれる。これらには、公知のものを使用で
き、例えば各種のポルトランドセメント、高炉セメン
ト、高炉水砕スラグ等を使用することができる。
【0036】次いで、かかるケイ酸カルシウム材と水と
を混合して湿式粉砕すると同時に水和反応をおこなう。
かかる湿式粉砕方法には、公知の方法を用いることがで
き、例えば、振動ミル、媒体攪拌ミル等の粉砕装置に材
料を投入して、所定の平均粒子径及び比表面積を充足す
る粒子が形成されるまで湿式粉砕を行うと同時に、水和
反応をおこなう。
【0037】湿式粉砕における水の配合割合はケイ酸カ
ルシウム材100重量部に対して、水を100〜100
0重量部とする。100重量部未満の場合、スラリーの
流動性が損なわれ、取り扱いに支障をきたし、一方、1
000重量部を越えると、スラリーが希薄となりすぎ効
率が悪くなる。
【0038】特に、ケイ酸カルシウム水和物含有粒子の
粒子径は、主に湿式粉砕における粉砕温度と粉砕メディ
ア径に依存しているため、所望する平均粒子径が2〜2
0μm、好ましくは2〜5μmであるケイ酸カルシウム
水和物含有粒子を得るには、粉砕温度は40〜100
℃、好ましくは60〜80℃であって、その粉砕メディ
ア径は1〜12mm、好ましくは2〜4mmであること
が望ましい。
【0039】かかる粉砕時間と平均粒子径との関係を、
原料としてポルトランドセメントを用い、水/ポルトラ
ンドセメント比を4.0とし、粉砕機としてタワーミル
を用いて行った結果を図1及び表1にそれぞれ示す。
【0040】
【表1】
【0041】また更に、前記湿式粉砕時に、必要に応じ
て、水酸化カルシウム材を混合することも可能である。
水酸化カルシウム材としては、公知のものを使用するこ
とができ、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウ
ム、ドロマイトプラスタ等がある。
【0042】この場合、水酸化カルシウム材の配合割合
は、得られるリン酸除去剤中の水酸化カルシウムが40
重量%以下となるように添加することが、カルシウムの
溶出濃度を制御する面で好ましい。
【0043】また、前記湿式粉砕は、ケイ酸カルシウム
材と水酸化カルシウム材との合計100重量部に対して
水を100〜1000重量部添加して湿式粉砕する水和
反応をおこなうようにする。この範囲の水を配合するの
は、上記したケイ酸カルシウム材に水を添加する理由と
同様である。
【0044】水と接触することによりカルシウムイオン
の溶解が起きるケイ酸カルシウム材、及び必要に応じて
添加された水酸化カルシウム材の材料の湿式粉砕と水和
反応とを同時におこなうことで、ケイ酸カルシウム材
と、必要に応じて添加された水酸化カルシウム材とが反
応して、ケイ酸カルシウム水和物と微粒子水酸化カルシ
ウムとを生成する。ケイ酸カルシウム水和物含有粒子中
に含有されるカルシウム分は、排水中のリン酸分と反応
してヒドロキシアパタイト等の難溶性のカルシウム塩を
調製し、これにより排水中のリン酸を系外に除去するも
のである。
【0045】本発明においては、水和反応と粉砕処理と
を同時に行うため、粉砕ボール等の粉砕手段と水和反応
生成物との間の衝撃及び摩擦によって、水和反応生成物
の結晶成長が抑制されるので、単に原材料を粉砕した
り、原材料と水との反応によって得られる通常の粉末状
の水和物粒子と比較して、非常に微細なケイ酸カルシウ
ム水和物粒子、及び必要に応じて含有される水酸化カル
シウム水和物粒子を含むケイ酸カルシウム水和物含有粒
子を形成することができる。これは、原材料の水和反応
と同時に粉砕処理を行うため、原材料の粒子表面に形成
される、水和反応の律速因子となる水和物の膜を破壊
し、除去できると共に、形成される水和物結晶の成長を
抑制することができるからである。
【0046】次いで、得られたスラリーを造粒固化し
て、本発明のリン酸除去剤を得る。造粒方法としては、
転動、打錠、圧縮成型、押出し成型方法等の各種の公知
の方法が使用できる。
【0047】また、上記スラリーに、バインダー材を別
途添加することもできる。かかるバインダー材は、前記
ケイ酸カルシウム水和物含有粒子を互いに接合せしめ
て、本発明のリン酸除去剤、好適には粒状のリン酸除去
剤を形成する作用を有する。バインダー材としては、リ
ン酸除去が水の浄化を目的として行われるので、水溶性
の有機物をバインダーとして用いることは不適であり、
水に有機物が溶出しないものであれば、特に限定されな
いが、かかる点より、セメント組成物が好適に用いられ
る。前記セメント組成物としては、各種ポルトランドセ
メントまたは高炉セメント等の混合セメント等を用いる
ことができる。
【0048】このようにして得られたケイ酸カルシウム
水和物含有粒子を主成分とするリン酸除去剤を廃水中に
分散させたスラリーのpHは、除去剤粒子内部に水酸化
カルシウム粒子を付着乃至包含しているか否かにかかわ
らず、同重量濃度の消石灰スラリーと比較すると、消石
灰スラリーのpHが12.5付近である一方、本発明の
リン酸除去剤スラリーのpHが約11.5と、低pHにp
Hを維持することができ、これによりリン酸除去剤から
溶出する排水中のカルシウム溶出濃度を長期にわたり一
定濃度に維持できることとなる。
【0049】これは、かかるスラリーを酸で滴定した場
合のpHカーブを作成した場合には、消石灰スラリーで
は酸と瞬時に反応して等量点付近でpHが急激低下する
のに対し、上記本発明におけるスラリーの場合は、滴定
量がごく初期段階にもかかわらず強酸性のpHを示し、
徐々にアルカリ側へ移行していく傾向があることに起因
してあり、即ち、排水中と本発明のリン酸除去剤とのス
ラリー中のアルカリ成分であるカルシウムイオンの放出
が、通常の消石灰スラリーに比べて緩慢であることを意
味する。このように、余剰のカルシウム塩の溶出は、リ
ン酸除去効果の持続時間の長期化、排水の適正なpH維
持のためにも制御されることが重要である。
【0050】更に、本発明のリン酸除去方法は、リン酸
イオンを含む排水を上記本発明のリン酸除去剤と接触さ
せるものである。上記リン酸イオンを含む排水とリン酸
除去剤との接触方法としては、排水中に当該リン酸除去
剤を投入する方法や、排水をリン酸除去剤が充填された
カラムを通過させる方法等がある。
【0051】本発明のリン酸除去剤を用いて、排水中の
リン酸イオンを除去するための排水中のリン酸イオン濃
度は特に限定されないが、好適には、リン濃度で0.1
〜100mg/リットル範囲のリン酸イオン濃度を有す
る排水に適用される。
【0052】このような本発明のリン酸除去方法によ
り、リン酸除去剤中のカルシウム分と排水中のリン酸分
との反応が速やかに進行し、排水中に存在するリン酸分
とほぼ当量のカルシウムの溶出を長期にわたり一定に維
持することができ、従って、リン酸をアパタイトとして
有効に固定化することができる。
【0053】実施例 本発明を次の実施例、比較例及び試験例により説明す
る。 (実施例)高炉B種セメント1kgに熱水(80℃)を
3kg添加したスラリーをφ2mm高クロム球を媒体に
使用した媒体攪拌ミルで3時間粉砕水和した。粉砕後の
スラリー1kgに普通ポルトランドセメント0.2kg
を混合し、バット上に厚さ5mm程度に敷詰め3日間湿
空養生(20℃)した後、100℃で乾燥後、粉砕し、
3〜5mmの粒子径を有する破砕物であるリン酸除去剤
を得た。
【0054】(比較例)ケイ灰石(中国産βウォラストナ
イト 平均径3〜5mm)をリン酸除去剤とした。
【0055】(試験例)リン酸二ナトリウム・12水和
物を用いてリン濃度40mg/lの水溶液を調製し、模
擬排水とした。上記実施例及び比較例のリン酸除去剤1
0gをナイロンメッシュ(開口径1mm)の袋に入れ、上
記模擬排水10リットルが2リットル/分の流速で循環
経路に入れ、1、3、6、12、24、48、96、1
20時間後の残留リン濃度をJIS 0102に準拠して
分析測定した。その結果を表2及び図2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明のリン酸除去剤は、リン酸除去剤
中のカルシウム分と排水中のリン酸分との反応を速やか
に進行させ、排水中に存在するリン酸分とほぼ当量のカ
ルシウムの溶出率を長期に一定に維持することができる
ため、河川、湖泥等の排水中のリン酸を固定化する材料
として極めて有効である。
【0058】本発明のリン酸除去剤の製造方法は、上記
本発明のリン酸除去剤を効率よく、簡易な方法で製造す
ることができる。
【0059】本発明のリン酸除去方法は、上記本発明の
リン酸除去剤を用いているため、リン酸の固定化が速や
かに進行し、排水中のリン酸を効率よく、長期に渡って
除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ケイ酸カルシウム水和物含有粒子の平均粒子
径と、粉砕時間との関係を示す線図。
【図2】 リン酸除去剤を用いた排水中のリン酸濃度と
時間との関係を示す線図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が2〜20μmであるケイ酸カ
    ルシウム水和物含有粒子を含み、且つカルシウム含量が
    CaOに換算して40〜70重量%であることを特徴と
    するリン酸除去剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載のリン酸除去剤において、更
    に上記ケイ酸カルシウム水和物含有粒子に水酸化カルシ
    ウムを含有することを特徴とするリン酸除去剤。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のリン酸除去剤にお
    いて、上記ケイ酸カルシウム水和物含有粒子が、バイン
    ダーで互いに接合されてなることを特徴とするリン酸除
    去剤。
  4. 【請求項4】請求項3記載のリン酸除去剤において、上
    記バインダーは、水硬性物質及び/又は気硬性物質であ
    ることを特徴とするリン酸除去剤。
  5. 【請求項5】ケイ酸カルシウム材100重量部に水10
    0〜1000重量部を添加し、温度40〜100℃で湿
    式粉砕下に水和反応を行なわせて得られたスラリーを、
    造粒固化することを特徴とするリン酸除去剤の製造方
    法。
  6. 【請求項6】ケイ酸カルシウム材に、水酸化カルシウム
    材を、得られるリン酸除去剤中の水酸化カルシウムが4
    0重量%以下となるように添加し、当該ケイ酸カルシウ
    ム材と水酸化カルシウム材との合計100重量部に水1
    00〜1000重量部を添加し、温度40〜100℃で
    湿式粉砕することにより水和反応をおこなうことを特徴
    とするリン酸除去剤の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5または6記載のリン酸除去剤の製
    造方法において、更に、得られたスラリーに、バインダ
    ーを添加して混合することを特徴とするリン酸除去剤の
    製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜4いずれかの項記載のリン酸除
    去剤を、リン酸イオンを含む排水と接触させ、リン酸成
    分を除去することを特徴とするリン酸除去方法。
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