JP2003287926A - トナーおよび製造方法 - Google Patents

トナーおよび製造方法

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JP2003287926A
JP2003287926A JP2002090744A JP2002090744A JP2003287926A JP 2003287926 A JP2003287926 A JP 2003287926A JP 2002090744 A JP2002090744 A JP 2002090744A JP 2002090744 A JP2002090744 A JP 2002090744A JP 2003287926 A JP2003287926 A JP 2003287926A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、低温定着性に優れると共に、特に
高温での耐オフセット性に優れ、また、定着強度に優
れ、凝集性の少ないトナー及びその製造方法の提供を課
題とする。 【解決手段】 本発明のトナーは、イソシアネート基を
2個以上含有する化合物と、該イソシアネート基と反応
する活性水素を有する官能基を2個以上含有する化合物
とのバルク重合により得られ、ウレタン結合あるいはウ
レア結合を主鎖に有し、ポリスチレンを基準としたとき
の数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000で
あって、酸価が5〜40mgKOH/gのポリマーを結
着樹脂として含有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷などにおける静電画像を熱定着により現像
するために使用するトナーおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】トナーとしては、通常、結着樹脂中に離
型剤、着色剤、荷電制御剤等を分散させた後、微粉砕手
段によりトナーサイズに粉砕、分級してトナー粒子とさ
れ、現像方式により一成分トナー粒子、またはトナー粒
子およびキャリア粒子からなる二成分トナーとされる。
【0003】最近、電子写真にあっては、一層の高速
化、低温定着化が求められ、トナー粒子を構成する結着
樹脂の低温溶融特性化が必須である。そのため、特開昭
63−174061号公報には、トナーにおける結着樹
脂として、少なくとも1個以上のイソシアネート基を有
する化合物とモノアルコールとの反応生成物および/ま
たは少なくとも2個以上のヒドロキシル基を有する化合
物とモノイソシアネートとの反応生成物を含有させるこ
とを開示し、その反応生成物は低融点を有する低分子化
合物であることを記載するが、その低融点により定着温
度を低下させる効果を有するものの、反面、耐オフセッ
ト性が低下し、また、トナーとしての耐久性が低下して
転写ローラー等へのフィルミングを生じやすく、さらに
保存性、耐ブロッキング性が悪化するという問題があ
る。
【0004】また、同様の技術を開示する特開昭63−
66564号公報には、水酸基もしくはアミノ基を少な
くとも1個有する化合物とモノイソシアネート化合物も
しくはポリイソシアネート化合物との反応生成物をバイ
ンダーとするトナーを開示し、その反応生成物が実質上
単一の分子量の化合物であり、その分子量が500以下
であり、融点が50〜150℃のものであることを開示
するが、上記と同様に低融点により定着温度を低下させ
る効果を有するものの、反面、上記の同様の問題を有す
る。
【0005】また、一層の高速化、低温定着化の要請に
対応するものとして、結着樹脂中に離型剤を分散させた
内部分散型、オイルレス定着用トナー粒子がある。例え
ば、特開平9−34170号公報には、バインダー樹
脂、着色剤及び滑剤とからなり、ウレタン樹脂をバイン
ダー樹脂として例示すると共にバインダー樹脂の重量平
均分子量が5万以上とし、また、滑剤の融点を特定のも
のとすることにより、低温定着性、耐オフセット性、耐
ブロッキング性に優れたトナーとできることを開示す
る。しかしながら、離型剤の添加による結着樹脂溶融時
の内部凝集力の低下にともない、定着用ローラへの付着
等のオフセット防止を図る必要があり、離型剤含有量を
多くせざるを得ないのが現状であり、トナーの耐久性低
下を招くだけでなく、離型剤の分散条件の最適化あるい
は粉砕条件の最適化等が困難となる問題があり、さらに
必要以上の離型剤を配合することにより、カラートナー
とした場合にあっては透明性が低下するという問題が生
じる。
【0006】また、オイルレス定着を実現するために
は、一般的には、(1)架橋成分を含有させて内部凝集
力を高める樹脂設計として、例えばHP体である架橋成
分とその他の分子量の異なる樹脂をブレンドして2山設
計;MP+HP、または3山設計;LP+MP+HP体
とするか、又は、(2)ワックス等の離型剤をトナー中
に含有させる等の方法が採られているが、(1)の方法
であると内部凝集力を高めることはできても、シャープ
メルト性が低下し、混色時の色再現性が悪化する、ま
た、高グロス画像が得られない、低温定着が困難となる
等の不具合が生じ、また、(2)の方法によると高温側
での離型性の改善及び低温側での粘度低下による流動性
改善による定着良好域の拡大を可能とするが、透明性の
低下やトナーの耐久性が低下するだけでなく、離型剤の
分散条件の最適化あるいは粉砕条件の最適化等の困難を
伴い、しかも、離型性向上のためには離型剤の増量が有
効ではあるが、透明性や粉砕性等の弊害も大きくなると
いう問題がある。
【0007】また、トナーバインダーとしてはスチレン
−アクリル共重合体が一般的に使用されており、例え
ば、特開平6−27731号公報にはその連続生産を目
的として重合反応を二軸押出反応機等の強力混合機中で
行なうことが記載されているが、未反応モノマーの残存
量が多くなり、その除去工程が必要となり、連続生産に
は問題がある。また、スチレン−アクリル共重合体同様
にトナーバインダーとして使用されるポリエステル樹脂
にしても、重合反応工程で反応を制御するためには例え
ば水等の成分を反応系外に取り出す必要があり、その連
続生産性には問題がある。
【0008】本出願人は、先に、特願2001−112
588号において、トナー用バインダーとして、特定の
数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000のポ
リウレタン樹脂やポリウレア樹脂を用いることにより、
その高い分子間凝集力により、上記(1)の方法によら
ないで線状高分子のみの構成で必要な内部凝集力が得ら
れ、実用的な定着温度領域で良好な定着特性(非オフセ
ット領域の確保)が得られること、また、(2)の方
法、すなわちワックス等を含有しないでも良好な定着特
性が得られ、ワックスを含有することによる弊害を無く
すことが可能であること、さらに、低温定着化を実現す
る観点から樹脂の溶融温度(Tm)を低下してもなお現
像器内での機械的なストレス或いは温度に対する耐性を
有し、トナーに要求される耐久性及び保存性が確保でき
ることを示した。
【0009】ポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂をトナ
ー用バインダーとして用いることにより良好な定着特性
が得られるのは、ウレタン結合あるいはウレア結合の強
力な分子間力(水素結合)由来の内部凝集力の高さに依
存しているが、その反面、トナーが定着ローラを通過し
て溶融する際に、トナー形状を球形に維持しようとする
働き、すなわち表面積をできるだけ小さくして表面エネ
ルギーの小さい状態となろうとする働きが生じるので、
紙への浸透性が低く、アンカー効果が小さく、また、定
着強度に関しても一定の課題があることが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温定着
性、耐オフセット性を維持しつつ、紙等の記録媒体への
定着強度を向上させると共に、粉砕性、凝集性等を改善
したトナー、およびその製造方法の提供を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のトナーは、イソ
シアネート基を2個以上含有する化合物と、該イソシア
ネート基と反応する活性水素を有する官能基を2個以上
含有する化合物(以下、多活性水素化合物という)との
バルク重合により得られ、ウレタン結合あるいはウレア
結合を主鎖に有し、ポリスチレンを基準としたときの数
平均分子量(Mn)が1,500〜20,000であっ
て、酸価が5〜40mgKOH/gのポリマーを結着樹
脂として含有することを特徴とする。
【0012】また、本発明のトナーは、イソシアネート
基を2個以上含有する化合物と、多活性水素化合物との
バルク重合により得られ、ウレタン結合あるいはウレア
結合を主鎖に有すると共に酸性基を側鎖に有し、ポリス
チレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,
500〜20,000であって、酸価が5〜40mgK
OH/gのポリマーを結着樹脂として含有することを特
徴とする。
【0013】上記の多活性水素化合物が、ジメチロール
アルカン酸であることを特徴とする。
【0014】上記の多活性水素化合物が、さらに、下記
式(1)
【0015】
【化2】
【0016】(式中、Rはエチレン基またはプロピレン
基であり、同一でも相違していてもよく、x、yはそれ
ぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜1
2である。)で示される化合物を含有するものであるこ
とを特徴とする。
【0017】上記のジメチロールアルカン酸を、多活性
水素化合物中、5〜40モル%含むものであることを特
徴とする。
【0018】上記のポリマーにおける重量平均分子量
(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.5〜20である
ことを特徴とする。
【0019】本発明のトナーの製造方法は、イソシアネ
ート基を2個以上含有する化合物と、多活性水素化合物
とを無溶剤下でバルク重合させ、ウレタン結合あるいは
ウレア結合を主鎖に有すると共に酸性基を側鎖に有し、
ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)
が1,500〜20,000であって、酸価が5〜40
mgKOH/gのポリマーとした後、着色剤を混練し、
粉砕することを特徴とする。
【0020】本発明のトナーの製造方法は、イソシアネ
ート基を2個以上含有する化合物と、多活性水素化合物
とを無溶剤下でバルク重合させ、ウレタン結合あるいは
ウレア結合を主鎖に有すると共に酸性基を側鎖に有し、
ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)
が1,500〜20,000であって、酸価が5〜40
mgKOH/gのポリマーとした後、着色剤を混練し、
粉砕し、さらに、熱気流中で処理してトナー粒子とされ
ることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】ウレタン結合やウレア結合を有す
る樹脂は、水酸基とイソシアネート基が反応した結果生
じるウレタン結合(−A−NHCOO−B−、式中Aは
ポリイソシアネート残基、Bは多活性水素化合物残
基)、またはアミノ基とイソシアネート基とが反応した
結果生じるウレア結合(−NHCONH−)を結合要素
として含有し、その分子間凝集エネルギーは8.74k
cal/molであり、メチン結合(−CH2 −)の
0.68kcal/mol、エーテル結合(−O−)の
1.0kcal/mol、ベンゼン結合の3.9kca
l/mol、エステル結合における2.9kcal/m
olに比して格段に大きく、高結晶性のためそのガラス
転移点が高い。しかしながら、ポリスチレンを基準とし
たときの数平均分子量(Mn)が1,500〜20,0
00の平均分子量のものは、そのフロー軟化点は140
℃以下とでき、低分子量化に伴う低温定着性に優れるも
のとできること、また、その軟化点の低下にもかかわら
ず、ガラス転移温度は50℃以上とでき、ガラス転移温
度の低下や強度低下の程度が小さく、トナーにおける結
着樹脂として着色剤の保持性、耐熱性等に優れる結着樹
脂とできる。
【0022】ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂
は、ポリイソシアネート類と多活性水素化合物とのバル
ク重合により得られる。ポリイソシアネート類として
は、脂肪族ジイソシアネート類であるエタンジイソシア
ネート、プロパンジイソシアネート、ブテンジイソシア
ネート、ブタンジイソシアネート、チオジエチルジイソ
シアネート、ペンタンジイソシアネート、βーメチルブ
タンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、
ω,ω′−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオ
ジプロピルジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネー
ト、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−
メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタンジイソシ
アネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシア
ネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネ
ート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4
−ブチレングリコール−ジプロピルエーテル−ω,ω′
−ジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ド
デカンジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネ
ート等が挙げられる。
【0023】また、環状基を有する脂肪族ジイソシアネ
ートとしてはω,ω′−1,3−ジメチルベンゼンジイ
ソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルベンゼンジ
イソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘ
キサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチル
シクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−
ジエチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,4
−ジメチルナフタリンジイソシアネート、ω,ω′−
1,5−ジメチルナフタリンジイソシアネート、3,5
−ジメルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−
2−プロピルイソシアネート、ω,ω′−n−プロピル
−ビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0024】芳香族ジイソシアネート類としては1,3
−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジ
イソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソ
シアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシア
ネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネー
ト、1,3−ジメチルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシア
ネート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシ
アネート、1−エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、1−イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシア
ネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプ
ロピルベンゼンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】ナフタリンジイソシアネート類としてはナ
フタリン−1,4−ジイソシアネート、ナフタリン−
1,5−ジイソシアネート、ナフタリン−2,6−ジイ
ソシアネート、ナフタリン−2,7−ジイソシアネー
ト、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネー
ト等が挙げられる。
【0026】ビフェニルジイソシアネート類としてはビ
フェニル−2,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフ
ェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメ
トキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2−
ニトロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙
げられる。
【0027】ジ−あるいはトリフェニルメタンジイソシ
アネート、およびジ−あるいはトリフェニルエタンジイ
ソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4′−
ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタ
ン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルジメチル
メタン−4,4′−ジイソシアネート、2,5,2′,
5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイ
ソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン
−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジメトキシ
フェニル−3,3′−ジイソシアネート、4,4′−ジ
エトキシフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネー
ト、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェ
ニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3−ジ
クロロジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシ
アネート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアネー
ト、α,β−ジフェニルエタン−2,4−ジイソシアネ
ート、3−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイ
ソシアネート、4−ニトロトリフェニルメタン−4,
4′−ジイソシアネート等、またはその誘導体が挙げら
れる。
【0028】トリイソシアネート類としては1−メチル
ベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,
5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネ
ート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、
ビフェニル−1,3,7−トリイソシアネート、ジフェ
ニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、3−
メチルジフェニルメタン−4,6,4′−トリイソシア
ネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイ
ソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアナト
カルバミン酸クロリド等、およびその誘導体等が例示さ
れる。
【0029】また、ポリイソシアネートとして下記式
【0030】
【化3】
【0031】(式中、R1 はメチレン基、エチレン基、
−C(CH3 2 −基から選ばれるアルキレン基を示
し、R2 及びR3 は炭素数4以下のアルキル基、アルコ
キシ基、ハロゲンから選ばれる基を示す。)で示される
ジイソシアネート類を使用すると、粉砕性に優れるポリ
マーとでき、トナーとする際の粉砕工程における生産性
を向上できる。上記式で示されるジイソシアネート類と
しては、具体的には、ジフェニルメタン−4,4′−ジ
イソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン
−4,4′−ジイソシアネート、2,2′,5,5′−
テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシア
ネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,
4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,
5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソ
シアネート、3,3′−ジクロロジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタ
ン−4,4′−ジイソシアネート等、またはその誘導体
が挙げられ、また、これらのポリイソシアネート類の混
合物を使用してもよい。
【0032】上記式で示されるポリイソシアネート類
は、その基本骨格として2つの芳香族環がアルキレン基
を介して結合した構造を有しており、本成分をハードセ
グメントとして使用することで、バインダーポリマーに
おける分子鎖のフレキシビィリティを小さくでき、リジ
ッドな構造となるため、粉砕性に優れるものと考えられ
る。
【0033】また、ポリイソシアネートとして脂環式ジ
イソシアネート化合物を使用すると、トナーとする際
に、耐光性に優れ、画像の長期保存に際して退色のない
ものとできる。脂環式ジイソシアネート化合物は環状脂
肪族炭化水素構造を有するため、光や熱による劣化が抑
えられるものと考えられる。また、得られるバインダー
ポリマーはリジッドな構造で粉砕性に優れるものであ
り、トナーとする際の粉砕、分級工程における生産性を
向上できる。
【0034】脂環式ジイソシアネート化合物は、環式脂
肪族炭化水素、または多環式脂肪族炭化水素に2個のイ
ソシアネート基が直接またはアルキレン基を介して結合
した構造を有し、例えば構造式
【0035】
【化4】
【0036】で示されるイソホロンジイソシアネート、
また、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイ
ソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキ
サンジイソシアネート、3,5−ジメルシクロヘキサン
−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネ
ートが例示される。
【0037】また、下記式
【0038】
【化5】
【0039】(式中、R1 は単結合、メチレン基、エチ
レン基、−C(CH3 2 −基から選ばれ、lおよびm
は1〜5の整数、nは0〜2の整数を示す。)で示され
る多環式脂肪族ジイソシアネートも好ましく、例えば下
記構造式
【0040】
【化6】
【0041】で示されるノルボルナンジイソシアネート
が例示される。
【0042】本発明にあっては、トナーを製造する際に
おける粉砕性、また、記録媒体への定着強度の観点か
ら、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート
(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジ
シクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート
(水素化MDI)、p−キシリレンジイソシアネート、
m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェ
ニレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレン
ジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソ
シアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ト
リフェニルメタントリイソシアネート、1,3−ビス
(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化XD
I)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等
の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を有するジイソシア
ネート類が好ましく、更にこれらのポリイソシアネート
類の混合物を使用するとよく、ウレタン結合やウレア結
合を有する樹脂における結晶性を適度に乱す、自由度が
少ないバルキーな成分、すなわち、芳香族、脂環式、分
枝状等、ウレタン結合、ウレア結合の整列性を乱す成分
とするのが好ましい。
【0043】次に、ポリイソシアネート類と反応させる
多活性水素化合物について説明する。多活性水素化合物
としては、酸性基を有する多活性水素化合物が例示さ
れ、例えば下記構造式(A)で示される2,2−ジメチ
ロールプロピオン酸、(B)で示される2,2−ジメチ
ロールブタン酸、(C)で示される2,2−ジメチロー
ル吉草酸等のジメチロールアルカン酸、また、(D)で
示される2,4−ジアミノ安息香酸、(E)で示される
3,4−ジアミノ安息香酸、(F)で示される3,6−
ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、(G)で示される
2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、(H)で示され
る2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、(I)で示さ
れる4,4′−ジアミノスチルベン−2,2′−ジスル
ホン酸、(J)で示される3,4−ジアミノブタンスル
ホン酸、(K)で示されるN−(2−アミノエチル)−
2−アミノエチルスルホン酸等が例示される。
【0044】
【化7】
【0045】等が例示される。
【0046】中でも、ジメチロールアルカン酸、特に、
2,2−ジメチロールブタン酸が好ましく、後述するポ
リオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物と
の相溶性に優れ、好ましい。
【0047】酸性基を有する多活性水素化合物は、その
分子中にイソシアネート基との反応可能な少なくとも2
個の水酸基またはアミノ基と、また、酸性基としてカル
ボキシル基またはスルホン酸基を有するが、通常のポリ
ウレタン反応またはポリウレア反応の条件下では、イソ
シアネート基と水酸基またはアミノ基との反応が先行
し、イソシアネート基とカルボキシル基やスルホン酸基
との反応は殆ど生じない。本発明におけるポリマーにあ
っては、酸価を有することから明らかなように、ポリウ
レタン樹脂やポリウレア樹脂における側鎖に、カルボキ
シル基またはスルホン酸基等の酸性基を導入されるもの
である。
【0048】そして、トナーの溶融に際して、酸性基を
介して紙繊維との結合性や空隙への浸透性に優れるもの
とでき、定着強度が向上するものと考えられる。また、
架橋ポリマーを含まないにも係わらず、また、離型剤成
分を含有させないにも係わらず、十分な非オフセット領
域を確保することができ、また、定着強度に優れる定着
良好領域を拡げることができる。さらに、酸性基を有す
る多活性水素化合物の配合量により、ウレタン樹脂にお
ける酸性基の含有量を容易に制御することができる。
【0049】また、多活性水素化合物として、酸性基を
有する多活性水素化合物と共に、トナーとして適した溶
融特性を付与することを目的として、上記式(1)で示
される化合物を併用するとよい。併用するに際しては、
酸性基を有する化合物の分子量としては、上記式(1)
で示される化合物の分子量より小さくするとよく、90
〜400、好ましくは120〜240とするとよい。
【0050】式(1)で示される化合物としては、例え
ばビスフェノールAのエチレンオキサイド2〜12モル
付加物(以下、EO付加物)、ビスフェノールAのプロ
ピレンオキサイド2〜12モル付加物(以下、PO付加
物)が例示され、これらを単独で、もしくは両者を混合
して使用できる。さらには、EO基あるいはPO基の繰
り返し単位数が異なる化合物を2種以上混合して用いて
もよい。両者を混合して用いる場合、その混合比率(モ
ル比)は、EO付加物/PO付加物=8:2〜1:9、
好ましくは8:2〜2:8、更に好ましくは7:3〜
4:6である。また、Rは同一でも、相違してもよく、
一方がエチレン基で他方がプロピレン基でもよい。ま
た、EO基、PO基はその繰り返し単位数により、バイ
ンダーポリマーとした際に物性が変化する。x+yの平
均値は2〜12、好ましくは2〜4であり、繰り返し単
位数がこれより大きいと、ガラス転移温度の低下や粉砕
性の悪化を招くので好ましくなく、小さすぎると強度低
下を来たし、折れ剥がれ強度が低下する。また、EO成
分の組成比を高めると定着強度(折れ剥がれ強度)を向
上させることができるが、ガラス転移温度の低下や粉砕
性の悪化を招き、反対に、PO成分の組成比を高めると
粉砕性は向上する一方、定着強度(折れ剥がれ強度)は
低下する。また、ポリオキシアルキレンビスフェノール
Aエーテル化合物における水酸基価は、100〜350
KOHmg/g、好ましくは200〜290KOHmg
/gである。ポリオキシアルキレンビスフェノールAエ
ーテル化合物は、ビスフェノールAを基本骨格とするこ
とで、ポリイソシアネートとの反応物であるバインダー
ポリマーとした際に、分子鎖のフレキシビィリティが小
さく、リジッドな構造となるものと考えられる。
【0051】酸性基を有する多活性水素化合物は、全多
活性水素化合物中、5〜40モル%、好ましくは10〜
30モル%含むとよく、これにより、トナーの製造時に
おける粉砕性や低温定着性、高温での耐オフセット性、
定着強度に優れ、また、要求される軟化点(Tm)やガ
ラス転移温度(Tg)等の調整が容易になる。
【0052】また、上述した多活性水素化合物によるト
ナーとしての性状を損なわない範囲で、他の多活性水素
化合物、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ
(カプロラクトンポリオール)、ポリ(ヘキサメチレン
カーボネート)、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフ
タレート等を添加してもよい。
【0053】ポリイソシアネート類と多活性水素化合物
の反応割合は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネ
ート基数に対する多活性水素化合物における活性水素基
数の割合{NCO/活性水素(当量比)}を0.5〜
1.0、好ましくは0.7〜1.0の範囲とし、温度3
0℃〜180℃、好ましくは30℃〜140℃で、大気
圧下、無溶剤下で、数分から数時間、バルク重合させる
とよい。触媒としては、例えばジブチルスズジクロライ
ド、ジメチルスズジクロライド、オクチル酸スズ、トリ
フェニルアンモニウムジクロライド、トリエチルアミ
ン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチ
レンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ジオクチル
スズジラウレート、ジオクチルスズジネオデカノエー
ト、ジブチルスズビス(メルカプト酸エステル)等が例
示される。ポリイソシアネート類と多活性水素化合物と
の反応は無溶剤下で行うことができ、溶液重合のごとく
溶剤を必要としなく、また、重縮合反応のごとく副生物
を生じないので効率のよい連続生産が可能である。
【0054】このようにして得られるトナーは、酸価が
5〜40mgKOH/g、好ましくは8〜35mgKO
H/g、更に好ましくは10〜30mgKOH/gのも
のである。酸価が5mgKOH/g未満であると、凝集
性は低いが紙への浸透性や定着強度の低いものとなり、
また、40mgKOH/gを超えると凝集性が高く、製
造工程において機内付着の増加、分級精度の低下といっ
た搬送の困難性が生じ、また、熱球形化処理する場合に
トナー同士の融着が生じ、所望の粒径のトナー粒子が得
られなくなるといった問題、また、その問題を避けるた
めには多量の外添剤を必要とするという問題がある。
【0055】本発明におけるポリマーおよびトナーは、
ポリスチレンを基準としたゲルパーミエーション(GP
C)測定での数平均分子量(Mn)が1,500〜2
0,000、好ましくは2,000〜15,000、更
に好ましくは3,000〜12,000のものである。
数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温
定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミン
グ性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るもの
であり、また、20,000より大きいと低温定着性に
劣るものとなり、結着樹脂として単独では使用できない
ものとなる。また、重量平均分子量(Mw)は3,00
0〜300,000、好ましくは5,000〜50,0
00、更に好ましくは8,000〜20,000であ
り、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.8〜1
0、更に好ましくは1.8〜8、最も好ましくは1.8
〜5である。
【0056】結着樹脂における分子量を制御するには、
ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対す
る多活性水素化合物における活性水素基数の割合(NC
O/活性水素)を小さくすれば低分子量化でき、また、
等量に近づけると高分子量化できるので、適宜、ポリイ
ソシアネートの反応モル数を制御することにより容易に
制御できる。なお、本発明の結着樹脂の物性に影響を与
えない範囲で鎖伸長剤を適宜使用してもよい。鎖伸長剤
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ビス−(β−ヒドロキ
シ)ベンゼン、トリメチロールプロパン等が挙げられ
る。
【0057】耐オフセット性と溶融特性を両立させるた
めに、通常は樹脂のMw/Mnを大きくする、つまりブ
ロードな分子量分布を有するように設計する手法がとら
れているが、Mw/Mnを大きくすると、シャープに溶
融しないため透明性が低下し、特にカラー画像の画質が
低下するという問題がある。これに対して、本発明にお
ける結着樹脂は、分子量分布を狭いものとすることによ
りシャープな溶融特性を示し、透明性に優れ、高画質の
カラー画像を得ることができるものである。
【0058】本発明のトナーにおける結着樹脂として
は、ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂を主成分と
し、結着樹脂中50重量%未満の範囲で、かつ、主成分
の性状を損なわない範囲で他の結着樹脂を含有してもよ
い。他の結着樹脂としては、結着樹脂を製造する際に共
存させてもよいが、製造後に混練してもよい。本発明の
結着樹脂を製造する際に共存させる場合には、ポリイソ
シアネート類との反応性基を含有しない樹脂が好まし
い。他の結着樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ
−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン
−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重
合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化
ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エス
テル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合
体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エス
テル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル
共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エ
ステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレ
ン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコ
ーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マ
レイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリ
コーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族
炭化水素樹脂等を単独又は混合して使用できる。
【0059】本発明のトナーは、フロー軟化点(Tm)
が80℃〜150℃、好ましくは90℃〜140℃、さ
らに好ましくは100℃〜130℃の範囲にある。フロ
ー軟化点(Tm)が80℃より低いと耐フィルミング性
に劣るものとなり、また、150℃より高いと低温定着
性に劣るものとなる。
【0060】また、ガラス転移温度(Tg)は45℃〜
100℃、好ましくは50℃〜80℃、さらに好ましく
は55℃〜75℃の範囲にある。ガラス転移温度(T
g)が45℃より低いと保存性に劣るものとなり、ま
た、100℃より高いとそれにともなってTmが上昇
し、低温定着性に劣るものとなる。
【0061】本発明における結着樹脂は、分子量を低下
させTmを下げる分子設計をした時のTgの低下幅を小
さくすることができ、低Tmと高Tgを両立させること
ができる。また、50%流出点における溶融粘度が3×
103 〜1.5×104 Pa・sとでき、オイルレス定
着用トナーとして適したものとできる。
【0062】本発明のトナーには、着色剤、荷電制御
剤、必要に応じて離型剤、分散剤、磁性粒子等を含有し
てもよい。
【0063】着色剤としては、以下に示すような、有機
ないし無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能であ
る。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四
三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭
などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミ
ウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロ
ー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフ
トールエローS、バンザーイエローG、バンザーイエロ
ー10G、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キ
ノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タート
ラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄
鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、
ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレン
ブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、イン
ダスレンブリリアントオレンジGKMなどがある。赤色系
顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫
化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソール
レッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カル
シウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、
エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレー
キ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料とし
ては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバ
イオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺
青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリ
アブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロ
シアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、
ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどが
ある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロ
ム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレー
キ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔
料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化
亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸
バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タル
ク、アルミナホワイトなどがある。また、塩基性、酸
性、分散、直接染料などの各種染料としては、ニグロシ
ン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロ
ー、ウルトラマリンブルーなどがある。
【0064】また、透光性カラートナーとして用いる場
合は、着色剤としては、以下に示すような、各種、各色
の顔料、染料が使用可能である。黄色顔料としては、C.
I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザ
エロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.1167
0(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、
C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエロ
ーA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハ
ンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエロー
L)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベ
ンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローG
R)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220
(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカン
ファストエローR)などがある。赤色顔料としては、C.
I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオ
レンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3G
L)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.117
25(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファスト
オレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、
C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラ
レッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315
(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310
(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネント
レッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、
C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パ
ーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファスト
レッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミ
ンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などが
ある。また、青色顔料としては、C.I.74100(無金属フ
タロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブ
ルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などが
ある。
【0065】これらの着色剤は、単独であるいは複数組
合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に
対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部使
用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの
定着性および透明性が低下し、一方、1重量部より少な
いと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
【0066】荷電制御剤としては、摩擦帯電により正ま
たは負の荷電を与え得るものであれば、特に限定されず
有機あるいは無機の各種のものを用いることができる。
【0067】正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシ
ンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級ア
ンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、
ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業
(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベント
ブラック3:Colr Index 26150)、フェットシュバルツHB
N(C.I.NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバル
ツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ社製)、ザ
ボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト社製)、さ
らにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン
酸キレート顔料などが挙げられる。中でも第4級アンモ
ニウム塩P−51が好ましい。
【0068】また、負荷電制御剤としては、例えば、オ
イルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックB
Y(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22
(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体
E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ
系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、
スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボ
ントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグ
ロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュ
バルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ社
製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、
アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社
製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E
−81が好ましい。
【0069】これらの荷電制御剤は、単独であるいは複
数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加
する荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対
して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.00
1〜3重量部である。
【0070】また、本発明のトナーは、ウレタン結合や
ウレア結合を有する樹脂はその分子量範囲により熱溶融
特性に優れ、また、定着温度領域での粘弾性特性により
離型剤を不要とするが、添加する場合には、結着樹脂1
00重量部に対して0〜3重量部程度である。
【0071】離型剤としては、具体的にはパラフィンワ
ックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変
性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワッ
クス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖〔CH3(CH2)11
たはCH3(CH2)12以上の脂肪族炭素鎖〕を有する長鎖カル
ボン酸、そのエステル脂肪酸金属塩、脂肪酸アシド、脂
肪酸ビスアシド等を例示し得る。異なる低軟化点化合物
を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワッ
クス(日本石油製)、パラフィンワックス(日本精蝋
製)、マイクロワックス(日本石油製)、マイクロクリ
スタリンワックス(日本精蝋製)、硬質パラフィンワッ
クス(日本精蝋製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハ
イワックス110P(三井石油化学製)、三井ハイワックス
220P(三井石油化学製)、三井ハイワックス660P(三井
石油化学製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学
製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学製)、三井
ハイワックス410P(三井石油化学製)、三井ハイワック
ス420P(三井石油化学製)、変性ワックスJC−1141(三
井石油化学製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学
製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学製)、変性
ワックスJC−1142(三井石油化学製)、変性ワックスJC
−5020(三井石油化学製)、密ロウ、カルナバワック
ス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸
金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パ
ルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0072】ポリオレフィン系ワックスとしては、例え
ば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あ
るいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン
等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例と
しては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE1
30、Hoechst Wax PE190(ヘキスト社製)、三井ハイワ
ックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス21
0M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三
井石油化学工業社製)、サンワックス131−P、サンワ
ックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業社
製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoec
hst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PE
D521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceri
dust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615
A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715 (ヘキス
ト社製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業社
製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P
(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレン
ワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビ
スコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P
(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピ
レンワックス、ビスコールTS−200(三洋化成工業社
製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが
例示される。これらの離型剤は、単独であるいは複数種
組合せて使用することができる。必要に応じて添加され
る離型剤としては、DSC吸熱曲線における吸熱メイン
ピーク値である軟化点(融点)が40〜130℃、好ま
しくは50〜120℃のものを使用するとよい。
【0073】本発明のトナーは、上記で得た組成物を、
混練・溶融した後、微粉砕手段により粉砕・分級して得
られるが、その流動性を向上させる為に、流動性向上剤
を外添してもよい。
【0074】流動性向上剤としては、有機系微粉末また
は無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系
樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテト
ラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末な
ど;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属
酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製
法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツ
プリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルな
どにより表面処理をほどこした処理シリカなどがあり、
これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0075】好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハ
ロゲン化合物の気相酸化法により生成された微粉体であ
り、いわゆる乾式法シリカ又はヒユームドシリカと称さ
れるもので、従来公知の技術によって製造されるもので
ある。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱
分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次
の様なものである。
【0076】SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl 又、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又
は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロ
ゲン化合物と共に用いる事によってシリカと他の金属酸
化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらも包含
する。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜
2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、
0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用
するのが良い。本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合
物の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体と
しては、例えば以下の様な商品名で市販されているもの
がある。日本アエロジル社製の「AEROSIL 130」、以
下、同 200、 300、 380、 TT600、MOX170、 MOX80、 C
OK84等が挙げられ、また、CABOT Co.社製の「Ca−O−S
iL M-5 」、以下、同 MS−7、MS−75、HS−5、EH−5
等が挙げられ、また、WACKER−CHEMIE GMBH社製の「Wac
ker HDK N 20 V15 」、以下、同 N20E、 T30、 T40、ダ
ウコーニングCo.社の「D−C Fine Silica」、Fransil
社の「Fransol」等が挙げられる。
【0077】さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相
酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処
理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シ
リカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定
された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシ
リカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法
としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有
機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付
与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合
物の上記気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機
ケイ素化合物で処理する。
【0078】その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサ
メチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルク
ロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジク
ロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチル
クロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジ
ルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロル
シラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロ
ルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロ
ルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチ
ルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレー
ト、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエ
トキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビ
ニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテト
ラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個の
シロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1
個宛のSiに結合した水酸基を有するジメチルポリシロ
キサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合
物で用いられる。
【0079】その処理シリカ微粉体の粒径としては0.
003〜0.1μm、0.005〜0.05μmの範囲
のものを使用することが好ましい。市販品としては、タ
ラノツクス−500(タルコ社)、AEROSIL R−972(日本
アエロジル社)などがある。
【0080】流動性向上剤の添加量としては、トナー母
粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好まし
くは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では
流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや
文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0081】本発明のトナーの製造方法は、上述のごと
く、基本的には次の各工程よりなる。 (1)原料の均一混合工程 結着樹脂と着色剤、荷電制御剤等の添加剤を、所定量、
ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))等の混合
機に投入し、均一混合する。 (2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程 均一に混合した後、二軸混練押出機(池貝化成(株)製
PCM−30)を使用して溶融混練し、結着樹脂中に各
添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては、他に
「TEM−37」(東芝機械(株))、「KRCニーダ
ー」((株)栗本鉄工所)等の連続式混練機や加熱・加
圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。 (3)粉砕工程 混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、ジェット粉砕機
「200AFG」(ホソカワミクロン(株))または
「IDS−2」(日本ニューマチック工業(株))を使
用し、ジェットエアーによる衝突粉砕により、微粉砕
し、平均粒子径1〜8μmのものとする。粉砕手段とし
ては他に、機械式粉砕機ターボミル(川崎重工
(株))、スーパーローター(日清エンジニアリング
(株))等が挙げられる。 (4) 分級工程 微粉を除去し、粒径分布のシャープ化を目的として、風
力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置「1
00ATP」(ホソカワミクロン(株))又は「DSX
−2」(日本ニューマチック工業(株))又は「エルボ
ージェット」(日鉄鉱業(株))等を使用して行なう。 (5) 熱風球形処理工程 分級粒子は、熱風球形化装置「サーフュージングシステ
ムSFS−3型」(日本ニューマチック工業(株))の
操作条件として、250〜350℃の入り口熱風温度、
単位面積当りの熱風流量0.6〜1.5m3 /min
(熱風断面積1.26×10-32 、熱処理ゾーンの長
さ約0.4m)、単位面積当りの原料投入量0.5〜
1.4Kg/hr、熱風との接触時間0.01〜1.0
秒の条件下でトナー粒子表面を熱気流処理することで、
球形トナー粒子を得ることができ、転写性、流動性、ク
リーニング性に優れるものとできる。なお、円形度は、
円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周
長)/(粒子投影図の輪郭長さ)で表されるもので、FP
IA-2000(Sysmex社製)を用い、1500個/分の測定速
度で測定することにより求めるものである。 (6) 外添処理工程 得られたトナー母粒子と流動化剤を、所定量ヘンシェル
ミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し均一混合
し、トナーとする。
【0082】このようにして得られるトナーの平均粒径
は、3〜10μm、好ましくは5〜8μmとするとよ
く、これにより高精細化を可能とする。また、熱風処理
等により円形度を0.93〜1.00、好ましくは0.
95〜0.99のものとすることにより、転写性、流動
性、クリーニング性に優れるものとできる。
【0083】また、本発明のトナーは、加熱ローラを使
用して定着されるが、一般に、トナーの定着性、耐オフ
セット性を制御する要因として、トナーにおける動的粘
弾性である貯蔵弾性率と損失弾性率が影響することが良
く知られている。貯蔵弾性率と損失弾性率は、一般的な
粘弾性を有する物質の振動実験において定義される粘弾
性特性であり、複素弾性率の実数部分を貯蔵弾性率
(G′)、虚数部分を損失弾性率(G″)といい、具体
的には貯蔵弾性率はトナーの弾性の度合を示す指標とさ
れ、また、損失弾性率は粘性の度合を示す指標とされて
いる。
【0084】本発明のトナーは、その粘弾性特性として
以下の特性を示すとき、より好ましい定着特性(非オフ
セット良好域が広がる)が得られることがわかった。す
なわち、トナーの軟化点以上の100℃→200℃の温
度領域における動的粘弾性として、まず、加熱により貯
蔵弾性率(G′)、損失弾性率(G″)共に低下する
が、貯蔵弾性率(G′)、損失弾性率(G″)が共に極
小値を示すに至り、さらに加熱されると一転して貯蔵弾
性率(G′)、損失弾性率(G″)共に増加する特性を
示す。貯蔵弾性率(G′)が極小値を示す温度として1
00℃〜160℃、好ましくは125℃〜160℃の間
とでき、その値としては1×102 dyne/cm2〜1×10
7 dyne/cm2、好ましくは1×103 dyne/cm2〜1×10
6 dyne/cm2とできる。また、損失弾性率(G″)が極小
値を示す温度として120℃〜190℃、好ましくは1
30℃〜180℃の間とでき、その値としては1×10
2 dyne/cm2〜1×107 dyne/cm2、好ましくは1×10
3 dyne/cm2〜1×106 dyne/cm2とでき、また、貯蔵弾
性率(G′)が極小値を示す温度が損失弾性率(G″)
が極小値を示す温度より低温側とすることができる。
【0085】そのため、本発明のトナーは、定着器内
(ニップ内)に進入した直後には、ローラ表面による加
熱により貯蔵弾性率(G′)、損失弾性率(G″)共に
徐々に低下し、紙の繊維間の空隙への浸透が促進される
が、定着器内(ニップ内)を通過しながらトナーがさら
に加熱されると、貯蔵弾性率(G′)と損失弾性率
(G″)の極小値を超えた段階から溶融トナーの弾性、
粘性が共に増加し、記録媒体へ浸透したトナー成分はよ
り強固に紙の繊維中に固定されるものと考えられる。ま
た、トナー画像は、トナー粒子が複数層積層した塊状を
成しているが、その最上層のトナー粒子は、加熱体との
接触に際しているにも係わらず、その弾性や粘性の増加
により加熱体に付着(オフセット)することなく記録媒
体に定着され、高温における耐オフセット性に優れるト
ナーとできるものと考えられる。
【0086】次に、本発明のトナーが適用される定着装
置を図1により説明する。図中、1は定着ローラ、2は
バックアップローラ、3は分離爪、4は紙等の記録媒体
である。
【0087】定着ローラ1は、単層タイプ、多層タイプ
のいずれでもよい。単層タイプにあっては、加熱手段を
内蔵した15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜20
mm、好ましくは0.5〜3mm厚のシリコンゴム層、
またはフッ素ゴム層を積層したものである。また、多層
タイプにあっては、加熱手段を内蔵した15〜50mm
径の芯金の周面に0.1〜20mm、好ましくは0.5
〜3mm厚の弾性層、0.05〜2mm、好ましくは
0.1〜1mm厚のコート層を順次積層したもので、弾
性層とコート層の組み合わせとしては例えば(1)シリ
コン樹脂からなる弾性層、フッ素樹脂からなるコート層
としたもの、(2)シリコンゴムからなる弾性層、フッ
素ゴムからなるコート層としたもの、(3)シリコンゴ
ムからなる弾性層、シリコンゴムとフッ素ゴムからなる
コート層としたもの等が挙げられる。そして、単層タイ
プにおけるゴム層、また、多層タイプにおける弾性層
は、JISA硬度で30度以下、好ましくは15度以下
のゴム硬度を有するものである。
【0088】また、バックアップローラ2は、単層タイ
プ、多層タイプのいずれでもよい。単層タイプにあって
は15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜20mm、
好ましくは0.5〜3mm厚のシリコンゴム層、または
フッ素ゴム層を積層したものである。また、多層タイプ
にあっては15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜2
0mm、好ましくは0.5〜3mm厚の弾性層、0.0
5〜2mm、好ましくは0.1〜1mm厚のコート層を
順次積層したもので、弾性層とコート層の組み合わせと
しては、例えば(1)シリコンスポンジからなる弾性
層、高離型性シリコンからなるコート層を順次積層した
もの、(2)シリコンゴムからなる弾性層、フッ素ゴム
からなるコート層を順次積層したもの、(3)シリコン
ゴムからなる弾性層、フッ素ゴムラテックス、フッ素樹
脂コートからなるコート層を順次積層したもの、(4)
シリコンスポンジゴムからなる弾性層、フッ素樹脂(P
FAチューブ)被覆層を順次積層したもの等が挙げられ
る。そして、単層タイプにおけるゴム層、また、多層タ
イプにおける弾性層は、JISA硬度で30度以下、好
ましくは15度以下のゴム硬度を有するものである。
【0089】定着ローラ1とバックアップローラ2との
加圧力(線圧)は、0.2〜2kgf/cm、好ましく
は0.3〜1kgf/cmであり、ニップ幅は1〜20
mm、好ましくは4〜10mmである。また、速度は適
宜設定されるが、ニップ通過時間が10〜150mse
c、好ましくは30〜100msecとなるように設定
される。なお、定着ローラ、またはバックアップローラ
の少なくとも一方がベルトであるベルト定着器としても
よい。
【0090】上述したように、本発明のトナーは、加熱
体との接触に際しているにも係わらず、その弾性や粘性
の増加により加熱体に付着(オフセット)することなく
記録媒体に定着され、高温における耐オフセット性に優
れるので、定着ローラ表面にはシリコンオイル等の離型
剤塗布を不要とすることができる。
【0091】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、明
細書や実施例で記載する各種評価手法は下記の通りであ
る。 (1) 分子量分布の測定 トナー5mgを5gのTHFに溶解し、樹脂成分以外の
THF不溶分およびコンタミ物質を除去するため、ポア
サイズ0.2μmのメンブランフィルターを通して、G
PC用サンプルを調製した。こうして調製したサンプル
を、GPCを用いて、下記条件にて測定する。 カラム : 昭和電工(株)製「Shodex(GPC)KF806M +KF802.5」 カラム温度 : 30℃ 溶媒 : THF(テトラヒドロフラン) 流速 : 1.0ml/min. 検出器 : UV検出器(検出波長254nm) 標準試料 : 単分散ポリスチレン標準試料(重量平均分子量580から 390万) (2) 酸価測定 トナーを予想される酸価に応じて秤量し、テトラヒドロ
フラン:エタノール(体積比)=3:1混合溶媒に溶
解、または溶解性の不十分なものについては可能溶解し
た。この試料を用いJIS K0070に準拠し、酸価
を測定した。 (3) ガラス転移点(Tg) トナー10mgをアルミニウム製セルにパッキングし、
(株)島津製作所製「自動示差走査熱量計 DSC−6
0A」を用いて、下記の条件で測定する。 測定温度:0〜200℃ 昇温速度:10℃/min. Tg:2度目の昇温時のDSC曲線より読み取る。
【0092】(4) 軟化点(Tm) トナー1.0gを加圧成形したペレット状のサンプルを
作製し、(株)島津製作所製「フローテスターCFT−
500D」を用いて下記条件にて測定する。
【0093】昇温速度:5℃/min. シリンダ圧力:2.0MPa ダイ穴径:1.0mm ダイ穴長:1.0mm Tm算出法: 1/2法 (5) 「粒径」は、「マルチサイザーIII 型」(ベックマ
ンコールター社製)を用い、100μmのアパチャーチ
ューブで粒径別相対重量分布を測定することにより求め
る。また、シリカ粒子等の外添剤の粒径は、電子顕微鏡
法によった。 (6) 定着試験 コニカ(株)製「カラーレーザープリンタ KL−20
10」を使用して画像形成した。但し、定着操作は、プ
リンタから熱ローラからなる定着器(定着ユニット)を
取り外し、外部駆動装置により独立して駆動可能とし、
定着ニップ時間を調整できるように改造した定着器を使
用した。また、紙上のトナー画像に接する側のローラ
(定着ローラ)の表面温度は100℃から200℃まで
制御できるように改造した。
【0094】また、定着ローラ表面にシリコーンオイル
を塗布する塗布手段は取り外し、また、印字されていな
いA4サイズ白紙を1,000枚通紙させ、さらに、定
着ローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、
ローラ表面からシリコーンオイルを除去した。また、以
後、定着性評価用画像を定着器に通過通紙する毎に定着
ローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、さ
らに綿布にて乾拭きし、定着ローラ表面にシリコーンオ
イルの無い状態を維持した。
【0095】定着ローラ表面からシリコーンオイルを除
去した定着器を使用して、定着性評価用画像をニップ幅
8mm、通過時間50msecの条件にて定着した。な
お、定着評価用画像は、紙(富士ゼロックスオフィスサ
プライ(株)製PPC用紙「P紙」)先端から10mm
の位置に20mm四方の領域に均一にトナーを付着させ
た所謂ベタ画像であり、トナー付着量は0.4mg/c
2 に調整した。
【0096】非オフセット領域 定着ローラの表面温度を段階的に変化させながら、未定
着の画像サンプルを通紙し、画像、またはその一部が通
紙時に定着ローラに転移した後、後続の紙に移行してい
るか否かを目視で判定した。紙への移行のあるものをオ
フセットあり、ないものをオフセットなしとし、オフセ
ットの生じない温度域を求めた。
【0097】定着強度良好域 上記の非オフセット領域を確認した後、定着サンプルの
定着像を消しゴム(ライオン事務機製 砂字消し「LI
ON 261−11」)を押圧荷重1Kgfで5回擦
り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X
−Rite model 404」により測定した。画
像濃度残存率70%以上の温度領域を定着強度良好域と
した。 (7) 凝集度 凝集度の測定には、ホソカワミクロン(株)製「パウダ
ーテスターPT−R型」を用い、振動台に250mes
h、150mesh、75meshのふるいを目開きの
狭い順に重なるようにセットし、このふるい上にトナー
を2gのせて振動を与えた後、各ふるい上に残ったトナ
ー重量を測定し、凝集度(%)を算出した。 (8) 動的粘弾性測定 レオメトリックサイエンティフィック社製「ARES粘
弾性測定システム」を使用して、下記の条件にて測定す
る。
【0098】使用治具: パラレルプレート(φ25m
m) 測定試料の調製: パラレルプレート間に測定試料とし
てトナー約1gを載せ、プレートを測定開始温度に加熱
した後、プレートからはみだした部分をトリミングして
プレートの直径に合わせた円柱状試料とした。プレート
間の高さ(Gap)は1mm以上2mm以下となるよう
に調整する。
【0099】測定周波数: 1 rad/sec (1
Hz=6.28rad/sec) 測定歪み: 測定開始温度において、歪み依存性(St
rain Sweep)モードで、測定試料に徐々に大
きな歪みを与え、与えた歪みに対し、貯蔵弾性率
(G′)および損失弾性率(G″)が線形である領域に
おける最大歪みを測定歪みとした。測定歪み0.7%。
【0100】測定モード:温度依存性モード(Temp
Ramp) 尚、設定した測定歪みが測定温度域で常
時維持されるように、Auto Strain、Aut
oTesionを作動状態に設定した状態で測定を行な
う。また、測定は、測定開始温度から5℃/min.の
速度で昇温させながら測定を行なう。
【0101】(実施例1)ジフェニルメタン−4,4′
−ジイソシアネート36.1重量部をイソシアネート成
分とした。
【0102】ポリオキシエチレンビスフェノールAエー
テル(日本油脂(株)製ユニオールDA−400:OH
基価273KOHmg/g)61.4重量部と2,2−
ジメチロールブタン酸2.5重量部とを120℃で加温
溶解させ、ポリオール成分とした。
【0103】上記で得たイソシアネート成分とポリオー
ル成分とを120℃での加温下にて混合攪拌し、速やか
に200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉
に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130
℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂
を得た。
【0104】得られたポリウレタン樹脂93.0重量
部、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
6.0重量部、荷電制御剤(オリエント化学(株)製
「BONTRON E−84」)1.0重量部とを、二
軸混練機を用いて混練し、冷却後、ハンマーミル、さら
にジェットミルで粉砕し、さらに気流式分級機により分
級し、分級後の体積平均粒径が8.5μmのトナー母粒
子を得た。このトナー母粒子100重量部に対して、疎
水性シリカ(粒径20nm)を1.0重量部添加し、ヘ
ンシェルミキサーにて攪拌混合し、青色トナーを得た。
【0105】得られたトナーの重量平均分子量(Mw)
は2.47×104 、数平均分子量(Mn)は0.83
×104 、Mw/Mn=3.0であり、また、Tgは7
3℃、Tmは120℃、酸価は9.2mgKOH/gで
あった。
【0106】得られたトナーは、非オフセット域110
℃〜180℃、定着強度良好域130℃〜180℃、凝
集度は2.3%であった。
【0107】(実施例2〜実施例5)イソシアネート成
分、ポリオール成分、顔料、荷電制御剤(CCA)とし
て、下記の表1に記載の量で使用し、また、実施例2に
おいては、実施例1においてポリウレタン樹脂とシアン
顔料、荷電制御剤とを混練する際に、日本ワックス
(株)製「精製カルナウバワックス」を表1の量で共に
混練した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
得られたトナー特性を下記表2に示す。なお、使用量の
単位は重量部である。
【0108】
【表1】
【0109】表1中、 MDI:ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネー
ト DA400:ポリオキシエチレンビスフェノールAエー
テル「日本油脂(株)製、ユニオールDA−400」 DMBA:2,2−ジメチロールブタン酸 DMPA:2,2−ジメチロールプロピオン酸 である。
【0110】
【表2】
【0111】* 酸価はmgKOH/g。
【0112】(実施例6)実施例1で作製したポリウレ
タン樹脂70重量部と、ポリエステル樹脂(テレフタル
酸とポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテルと
の重縮合物、Tm:115℃、酸価11mgKOH/
g)22重量部、シアン顔料(C.I.ピグメントブル
ー15:3)6.0重量部、荷電制御剤(オリエント化
学(株)製「BONTRON E−84」)1.0重量
部、精製カルナウバワックス(日本ワックス(株)製)
1.0重量部とを、二軸混練機を用いて混練し、冷却
後、ハンマーミル、さらにジェットミルで粉砕し、さら
に気流式分級機により分級し、分級後の体積平均粒径が
8.5μmのトナー母粒子を得た。このトナー母粒子1
00重量部に対して、疎水性シリカ(粒径20nm)を
1.0重量部添加し、ヘンシェルミキサーにて攪拌混合
し、青色トナーを得た。
【0113】こうして得られたトナーの重量平均分子量
(Mw)は3.62×104 、数平均分子量(Mn)は
0.72×104 、Mw/Mn=4.8であり、また、
Tgは68℃、Tmは117℃、酸価は11.9mgK
OH/gであった。
【0114】得られたトナーは、非オフセット域120
℃〜190℃、定着強度良好域150℃〜190℃、凝
集度は7.2%であった。
【0115】(実施例7)実施例1で作製したポリウレ
タン樹脂80重量部と、スチレン−アクリル樹脂(スチ
レン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合樹
脂、Tm:110℃、酸価8.2mgKOH/g)10
重量部、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:
3)6.0重量部、荷電制御剤(オリエント化学(株)
製「BONTRON E−84」)1.0重量部、精製
カルナウバワックス(日本ワックス(株)製)3.0重
量部とを、二軸混練機を用いて混練し、冷却後、ハンマ
ーミル、さらにジェットミルで粉砕し、さらに気流式分
級機により分級し、分級後の体積平均粒径が8.7μm
のトナー母粒子を得た。このトナー母粒子100重量部
に対して、疎水性シリカ(粒径20nm)を1.0重量
部添加し、ヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、青色ト
ナーを得た。
【0116】こうして得られたトナーの重量平均分子量
(Mw)は3.21×104 、数平均分子量(Mn)は
0.75×104 、Mw/Mn=4.3であり、また、
Tgは64℃、Tmは116℃、酸価は17.5mgK
OH/gであった。
【0117】得られたトナーは、非オフセット域110
℃〜190℃、定着強度良好域130℃〜190℃、凝
集度は11%であった。
【0118】(実施例8)実施例1で作製したポリウレ
タン樹脂91.0重量部、シアン顔料(C.I.ピグメ
ントブルー15:3)6.0重量部、荷電制御剤(オリ
エント化学(株)製「BONTRON E−84」)
1.0重量部とを、二軸混練機を用いて混練し、冷却
後、ハンマーミル、さらにジェットミルで粉砕し、さら
に気流式分級機により分級し、トナー母粒子を得た。
【0119】得られたトナー母粒子を、熱風球形化装置
「サーフュージングシステムSFS−3型」(日本ニュ
ーマチック工業(株))の操作条件として、340℃の
入り口熱風温度、熱風との接触時間0.05秒、熱風流
速15m/s、単位面積当りの原料投入量1.0Kg/
hrの条件下でトナー粒子表面を熱気流処理し、円形度
が0.98、体積平均粒径が8.2μmの球形トナー母
粒子を得た。
【0120】この球形トナー母粒子100重量部に対し
て、疎水性シリカ(粒径20nm)を1.0重量部添加
し、ヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、青色トナーを
得た。
【0121】得られたトナーは、非オフセット域120
℃〜190℃、定着強度良好域140℃〜190℃凝集
度1.5%であった。
【0122】(比較例1)ジフェニルメタン−4,4′
−ジイソシアネート35.6重量部をイソシアネート成
分とした。
【0123】ポリオキシエチレンビスフェノールAエー
テル(日本油脂(株)製ユニオールDA−400:OH
基価273KOHmg/g)64.4重量部をポリオー
ル成分とした。
【0124】イソシアネート成分とポリオール成分とを
120℃での加温下にて混合攪拌し、速やかに200m
m×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、
120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間
保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂を得た。
【0125】得られたポリウレタン樹脂92.0重量
部、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
6.0重量部、荷電制御剤(オリエント化学(株)製
「BONTRON E−84」)1.0重量部、精製カ
ルナウバワックス(日本ワックス(株)製)1.0重量
部とを、二軸混練機を用いて混練し、冷却後、ハンマー
ミル、さらにジェットミルで粉砕し、さらに気流式分級
機により分級し、分級後の体積平均粒径が8.3μmの
トナー母粒子を得た。このトナー母粒子100重量部に
対して、疎水性シリカ(粒径20nm)を1.0重量部
添加し、ヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、青色トナ
ーを得た。
【0126】得られたトナーの重量平均分子量(Mw)
は2.21×104 、数平均分子量(Mn)は0.86
×104 、Mw/Mn=2.6であり、酸価は0.3m
gKOH/g、Tgは62℃、Tmは118℃であっ
た。
【0127】また、得られたトナーは、非オフセット域
120℃〜190℃、凝集度4.9%であったが、定着
強度良好域170℃〜190℃と不充分なものであっ
た。
【0128】(比較例2)ジフェニルメタン−4,4′
−ジイソシアネート39.7重量部をイソシアネート成
分とした。
【0129】ポリオキシエチレンビスフェノールAエー
テル(日本油脂(株)製ユニオールDA−400:OH
基価273KOHmg/g)46.6重量部と2,2−
ジメチロールブタン酸13.7重量部とを120℃で加
温溶解させポリオール成分とした。
【0130】上記で得たイソシアネート成分とポリオー
ル成分とを120℃での加温下にて混合攪拌し、速やか
に200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉
に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130
℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂
を得た。
【0131】得られたポリウレタン樹脂93.0重量
部、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
6.0重量部、荷電制御剤(オリエント化学(株)製
「BONTRON E−84」)1.0重量部とを、二
軸混練機を用いて混練し、冷却後、ハンマーミル、さら
にジェットミルで粉砕し、さらに気流式分級機により分
級し、分級後の体積平均粒径が8.5μmのトナー母粒
子を得た。このトナー母粒子100重量部に対して、疎
水性シリカ(粒径20nm)を1.0重量部添加し、ヘ
ンシェルミキサーにて攪拌混合し、青色トナーを得た。
【0132】得られたトナーの重量平均分子量(Mw)
は1.53×104 、数平均分子量(Mn)は0.59
×104 、Mw/Mn=2.6であり、また、Tgは7
9℃、Tmは129℃、酸価は54.2mgKOH/g
であった。
【0133】得られたトナーは、非オフセット域130
℃〜200℃、定着強度良好域150℃〜200℃であ
ったが、凝集度は27%と非常に凝集しやすいものであ
った。
【0134】
【発明の効果】本発明のトナーは、低温定着性に優れる
と共に、特に高温での耐オフセット性に優れ、また、定
着強度に優れ、凝集性の少ないトナーである。また、本
発明のトナーの製造方法は、無溶剤下で行うことがで
き、溶液重合のごとく溶剤を必要としなく、また、重縮
合反応のごとく副生物を生じないので効率のよい連続生
産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明で使用する定着装置を説明する
ための図である。
【符号の説明】
1は定着ローラ、2はバックアップローラ、3は分離
爪、4は紙等の記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 幹人 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 児島 忠雄 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AB02 AB04 CA15 CA18 CA30 EA06 EA07 EA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソシアネート基を2個以上含有する化
    合物と、該イソシアネート基と反応する活性水素を有す
    る官能基を2個以上含有する化合物とのバルク重合によ
    り得られ、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有
    し、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(M
    n)が1,500〜20,000であって、酸価が5〜
    40mgKOH/gのポリマーを結着樹脂として含有す
    ることを特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 イソシアネート基を2個以上含有する化
    合物と、該イソシアネート基と反応する活性水素を有す
    る官能基を2個以上含有する化合物とのバルク重合によ
    り得られ、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有
    すると共に酸性基を側鎖に有し、ポリスチレンを基準と
    したときの数平均分子量(Mn)が1,500〜20,
    000であって、酸価が5〜40mgKOH/gのポリ
    マーを結着樹脂として含有することを特徴とするトナ
    ー。
  3. 【請求項3】 イソシアネート基と反応する活性水素を
    有する官能基を2個以上含有する化合物が、ジメチロー
    ルアルカン酸であることを特徴とする請求項1、または
    請求項2記載のトナー。
  4. 【請求項4】 イソシアネート基と反応する活性水素を
    有する官能基を2個以上含有する化合物が、さらに、下
    記式(1) 【化1】 (式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、同
    一でも相違していてもよく、x、yはそれぞれ1以上の
    整数であり、かつx+yの平均値は2〜12である。)
    で示される化合物を含有するものであることを特徴とす
    る請求項3記載のトナー。
  5. 【請求項5】 ジメチロールアルカン酸を、イソシアネ
    ート基と反応する活性水素を有する官能基を2個以上含
    有する化合物中、5〜40モル%含むものであることを
    特徴とする請求項4記載のトナー。
  6. 【請求項6】 ポリマーにおける重量平均分子量(M
    w)/数平均分子量(Mn)が1.5〜20であること
    を特徴とする請求項1〜請求項5いずれか1つ記載のト
    ナー。
  7. 【請求項7】 イソシアネート基を2個以上含有する化
    合物と、該イソシアネート基と反応する活性水素を有す
    る官能基を2個以上含有すると共に酸性基を有する化合
    物とを無溶剤下でバルク重合させ、ウレタン結合あるい
    はウレア結合を主鎖に有すると共に酸性基を側鎖に有
    し、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(M
    n)が1,500〜20,000であって、酸価が5〜
    40mgKOH/gのポリマーとした後、着色剤を混練
    し、粉砕することを特徴とするトナーの製造方法。
  8. 【請求項8】 イソシアネート基を2個以上含有する化
    合物と、該イソシアネート基と反応する活性水素を有す
    る官能基を2個以上含有すると共に酸性基を有する化合
    物とを無溶剤下でバルク重合させ、ウレタン結合あるい
    はウレア結合を主鎖に有すると共に酸性基を側鎖に有
    し、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(M
    n)が1,500〜20,000であって、酸価が5〜
    40mgKOH/gのポリマーとした後、着色剤を混練
    し、粉砕し、さらに、熱気流中で処理してトナー粒子と
    されることを特徴とするトナーの製造方法。
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