JP2003287309A - 冷凍機における板バネ - Google Patents

冷凍機における板バネ

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JP2003287309A
JP2003287309A JP2002089178A JP2002089178A JP2003287309A JP 2003287309 A JP2003287309 A JP 2003287309A JP 2002089178 A JP2002089178 A JP 2002089178A JP 2002089178 A JP2002089178 A JP 2002089178A JP 2003287309 A JP2003287309 A JP 2003287309A
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Japan
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leaf spring
refrigerator
maximum stress
cylinder
kgf
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JP2002089178A
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English (en)
Inventor
Yuichiro Suzuki
雄一郎 鈴木
Yoshitaka Ikuta
義貴 生田
Kenichi Kanao
憲一 金尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2309/00Gas cycle refrigeration machines
    • F25B2309/001Gas cycle refrigeration machines with a linear configuration or a linear motor

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スターリング冷凍機1などの板バネ12
の疲労破損の程度を定量化し、任意の耐久性を付与可能
で、最低1000時間ないしは4000時間以上の運転
時間を保証することができる冷凍機における板バネを提
供すること。 【解決手段】 板バネ12の材料(一般的にはステンレ
ス鋼)の疲労曲線および板バネ12の疲労破壊試験の結
果から、板バネ12が駆動部26におけるストロークを
受けたときの最大応力を所定レベルに抑えることに着目
し、リニアモーター15によりそのいずれか一方を駆動
するシリンダー17およびピストン8と、リニアモータ
ー15と共振系を構成する板バネ12と、を有する駆動
部26を往復運動させて冷媒の圧縮および膨張を行うこ
とにより冷凍を発生する冷凍機1における板バネ12で
あって、板バネ12が駆動部26から駆動力を受けたと
きの最大応力を50kgf/mm2以下にすることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷凍機における板バ
ネにかかるもので、とくにガス圧縮機を備えてコールド
ヘッドに冷凍を発生させるスターリング冷凍機やパルス
管冷凍機その他の冷凍機における板バネに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】スターリング冷凍機やパルス管冷凍機な
どは、赤外線素子、高温超電導デバイス、各種の測定
器、あるいは各種のガスなどの冷却のために使用される
が、その信頼性向上および長寿命化のためには、ヘリウ
ムガスなどの冷媒ガスの圧縮膨張室を形成するシリンダ
ーおよびピストンの間の摩耗(シール摩耗)を低減する
ことが必要である。
【0003】従来のスターリング冷凍機では、シリンダ
ーあるいはピストンを互いに摺動し合うように駆動する
ためのその駆動部にコイルバネを用いていたため、コイ
ルバネによる片持ちによってシリンダーおよびピストン
の間の片当たりを避けられず、そのシール部分での摩耗
を回避することが困難で、冷凍機自体の寿命を短くする
要因となっていた。
【0004】そこで、駆動部にコイルバネに代わって板
バネを採用することにより、シリンダーとピストンとの
間の接触を減らして摩耗による劣化を改善することがで
きる。ただし、冷凍機自体の長寿命化および信頼性の向
上のためには、板バネの駆動によるその破損までの耐久
性についての考察が要請されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、スターリング冷凍機
などの冷凍機の運転時間の長寿命化に対応することがで
きる冷凍機における板バネを提供することを課題とす
る。
【0006】また本発明は、冷凍機の性能劣化を抑制可
能な板バネを用いた場合に、その板バネの疲労破損の程
度を定量化して、任意の耐久性を付与可能な冷凍機にお
ける板バネを提供することを課題とする。
【0007】また本発明は、冷凍機の駆動部に板バネを
用いた場合に、その板バネの耐久性を保持可能な冷凍機
における板バネを提供することを課題とする。
【0008】また本発明は、最低1000時間ないしは
4000時間以上の運転時間を保証することができる冷
凍機における板バネを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、板バ
ネの材料(一般的にはステンレス鋼)の疲労曲線および
板バネの疲労破壊試験の結果から、板バネが駆動部にお
けるストロークを受けたときの最大応力を50kgf/
mm2以下にすることに着目したもので、第一の発明
は、永久磁石、磁気回路部材および電磁コイルを有する
リニアモーターと、このリニアモーターにより、そのい
ずれか一方を駆動するシリンダーおよびピストンと、こ
のリニアモーターと共振系を構成する板バネと、を有す
る駆動部を設け、この駆動部を往復運動させて冷媒の圧
縮および膨張を行うことにより冷凍を発生する冷凍機に
おける板バネであって、上記板バネが上記駆動部から駆
動力を受けたときの最大応力を50kgf/mm2以下
にすることを特徴とする冷凍機における板バネである。
【0010】第二の発明は、シリンダーと、このシリン
ダー内を往復動するとともに蓄冷材を収容したディスプ
レーサーと、このディスプレーサーを弾性的に支持する
板バネと、を有し、それぞれの位相をずらせた冷媒の供
給および上記ディスプレーサーの往復動にともなって逆
スターリングサイクルを実行し、冷凍を発生する冷凍機
における板バネであって、上記板バネが上記ディスプレ
ーサーの往復動にともなう駆動力を受けたときの最大応
力を50kgf/mm2以下にすることを特徴とする冷
凍機における板バネである。
【0011】上記最大応力は、好ましくは40kgf/
mm2以下、あるいは30kgf/mm2以下、さらに好
ましくは20kgf/mm2であることができる。
【0012】上記板バネには、その板厚方向に貫通し
て、対数螺旋曲線による曲線状スリットを複数本形成し
てあることができる。
【0013】上記板バネは、その外周部分においてこれ
を固定するとともに、その内周部分において上記シリン
ダーあるいは上記ピストンのいずれか一方にこれを固定
してあることができる。
【0014】本発明による冷凍機における板バネにおい
ては、板バネが駆動力によるストロークを受けたときの
最大応力を50kgf/mm2以下にするようにしたの
で、冷凍機の運転時間を最低でも1000時間を保証す
るとともに、最大応力をパラメーターとして板バネの耐
久性を設計することができる。
【0015】とくに第一の発明によれば、冷凍機のガス
圧縮機の駆動部に採用されている板バネの寿命を延ばす
ことができる。
【0016】とくに第二の発明によれば、冷凍機のコー
ルドヘッドにおけるディスプレーサーを支持する板バネ
の耐久性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施の形態による
板バネをスターリング冷凍機に組み込んだ場合を例に取
って図1ないし図15にもとづき説明する。図1は、ス
ターリング冷凍機1の断面図であって、スターリング冷
凍機1は、ガス圧縮機2と、コールドヘッド3と、を有
する。
【0018】ガス圧縮機2は、コールドヘッド3への冷
媒の圧縮供給作用および吸収膨張作用を行ってコールド
ヘッド3において冷凍を発生させるためのもので、圧縮
機ケース4と、図1中ほぼ王文字状に現れる固定部分と
しての中央のヘッダーユニット5と、このヘッダーユニ
ット5に組み付けている可動部分としての左右一対の可
動部ユニット6と、を有する。
【0019】ヘッダーユニット5は、図1中横および縦
方向に現れる中間ヘッダー7と、中間ヘッダー7に取り
付けた横方向の左右一対のピストン8と、を有する。左
右一対の可動部ユニット6はそれぞれ、ヨーク9および
磁性部材10からなる磁気回路部材11と、左右一対の
複数枚の円形状の板バネ12と、磁気回路部材11、円
環状の永久磁石13および円環状の電磁コイル14から
なるリニアモーター15と、電磁コイル14のボビン部
材16と、ボビン部材16に取り付けたシリンダー17
と、シリンダーヘッド18と、を有する。
【0020】圧縮機ケース4は、その内部にヘッダーユ
ニット5および可動部ユニット6をピストン8の軸方向
において対称的に収容している。
【0021】ヘッダーユニット5は、中間ヘッダー7が
上下縦方向に支持部19を有し、そのほぼ中央横方向に
左右一対のピストン8を取付けボルト20により取り付
けているとともに、ピストン8および支持部19の中央
部にヘリウムガスなどの冷媒のガス流路21を形成して
いる。
【0022】ピストン8は、シリンダーヘッド18に対
向しており、その外周面にピストンカバー22を設ける
とともに、シリンダー17、およびこのシリンダー17
に一体に取り付けてあるシリンダーヘッド18との間に
圧縮膨張室23を形成する。圧縮膨張室23は、ガス流
路21に連通する。シリンダー17は、ボビン部材16
とともに電磁コイル14と一体に移動可能である。
【0023】ヨーク9および磁性部材10は、リニアモ
ーター15における磁路を形成するための、たとえば鉄
製の部材であって、ヨーク9が板バネ12の外周部分お
よび永久磁石13を取り付けているとともに、磁性部材
10は永久磁石13との間に電磁コイル14を位置させ
ている。
【0024】シリンダー17は、その内部にピストン8
およびそのピストンカバー22を軸方向に相対的に移動
可能(往復摺動運動可能)に挿入し、固定状態のピスト
ン8に対してシリンダー17が軸方向に往復動可能であ
る。なお、ガス圧縮機2の駆動タイプとしては、ピスト
ン8を移動させるピストン駆動型、およびシリンダー1
7を移動させるシリンダー駆動型があるが、図示の例
は、シリンダー駆動型である。
【0025】板バネ12は、導電性および弾性を有する
金属材料(たとえばステンレス材)からこれを構成し、
その外周部分を取付けボルト24によりヨーク7に取り
付けてあるとともに、その内周部分を取付けボルト24
によりシリンダー17およびシリンダーヘッド18に取
り付けてある。
【0026】図2および図3は、板バネ12のパターン
例を示す平面図である。図2に示す板バネ12は、外周
側から中心方向に向かう複数本たとえば四本の曲線状ス
リット12Aを形成することにより、四本の弾性腕部1
2Bを形成してある。また、取付けボルト24により固
定するための外周側固定部12Cおよび内周側固定部1
2Dを有し、内周側固定部12Dの内側に中心孔12E
を形成してある。図3に示す板バネ12は、外周側から
中心方向に向かう複数本たとえば三本の曲線状スリット
12Aを形成することにより、三本の弾性腕部12Bを
形成してある。また、取付けボルト24により固定する
ための外周側固定部12Cおよび内周側固定部12Dを
有し、内周側固定部12Dの内側に中心孔12Eを形成
してある。曲線状スリット12Aのパターンは、対数螺
旋曲線によるものが望ましく、いずれの板バネ12も、
その弾性力によりシリンダー17および電磁コイル14
を軸方向において往復動可能に支持している。
【0027】リニアモーター15は、磁気回路部材1
1、永久磁石13および電磁コイル14からこれを構成
するもので、互いに対向するように永久磁石13および
電磁コイル14を配置してあり、板バネ12にハンダ付
けしたリード線25を介して、電磁コイル14に所定周
波数の交流電流を供給可能としている。リニアモーター
15とともに、板バネ12、ピストン8、およびシリン
ダー17により駆動部26を構成し、ピストン8および
シリンダー17の相対運動を発生させる。すなわち、電
磁コイル14に所定周波数の交流電流を流すことによ
り、およびリニアモーター15と共振系を形成している
板バネ12の弾性反発力により、永久磁石13および電
磁コイル14を相対的に軸方向に駆動することによって
ピストン8およびシリンダー17の相対運動を発生さ
せ、圧縮膨張室23内の冷媒の圧力を上下させ、ガス流
路21からガス供給管27を介してコールドヘッド3側
に冷媒の圧力変化を所定のタイミングで供給し、コール
ドヘッド3に冷凍を発生させる。
【0028】すなわち、コールドヘッド3は、シリンダ
ー28と、このシリンダー28内を往復動するとともに
蓄冷材29を収容したディスプレーサー30(ピスト
ン)と、このディスプレーサー30を弾性的に支持する
バネ材31と、を有し、それぞれの位相をずらせた冷媒
の供給(圧縮膨張)およびディスプレーサー30の往復
動にともなって逆スターリングサイクルを実行し、冷凍
を発生する。このバネ材31は、ディスプレーサー30
のシャフト32を弾性的に支持しており、コイルバネは
もとより、上述と同様の板バネ12を採用することがで
きる。すなわち、ディスプレーサー30の往復動にとも
なう駆動力を受けたときに、バネ材31が弾性変形する
ものである。さらにコールドヘッド3は、ガス圧縮機2
に設けたと同様のリニアモーター15を有してもよい。
【0029】こうした構成のスターリング冷凍機1にお
いて、上述のように、駆動部26におけるリニアモータ
ー15の作用により、板バネ12がシリンダー17をそ
の軸方向に駆動し、ピストン8との相対ポンプ作用によ
って、圧縮膨張室23内の冷媒ガスを圧縮および膨張さ
せ、ガス流路21およびガス供給管27を介してコール
ドヘッド3に供給し、冷凍を発生させる。
【0030】本発明は、この板バネ12が破断するまで
の時間ないしは繰返し回数を、板バネ12に発生する応
力(最大応力)をパラメーターとして定量的に把握し、
その設計の基準を確立しようとするものである。
【0031】まず、図4は、バネ材料の疲労曲線を示す
グラフであって、バネ材料のテストサンプルの50%
(すなわち100個のうちの50個)が故障するまでの
繰返し回数に対する応力の関係を示している。例示して
いるバネ材料は、ステンレス鋼(SUS301)、およ
びベリリウム銅(BeCu)である。ただし、ステンレ
ス鋼(SUS301)については、R.N.Wrigh
tによる、”The High Cycle Fati
gue Strengthof Commercial
Stainless Steel Strip”、M
aterials Science and Tech
nology、22 (1976)223−230の文
献を参照し、ベリリウム銅(BeCu)については、日
本ガイシ(株)のカタログを参照した。図中、繰返し回
数は、バネ材料に繰り返し外力を加えて内部に応力を発
生させる回数である。
【0032】本発明は、図4のグラフから、板バネ12
としての耐久性を、最大応力に対する破断までの繰返し
回数(時間に換算可能)で把握することに着目した。図
4のグラフからは、応力が小さいほど繰返し回数が多い
こと、すなわち、応力が小さいほど、耐久性ないし寿命
が長いことがわかる。ただし、図4のグラフでは、繰返
し回数が1.0E+08(10×108、以下同様)を
こえるデータがないため、図4に仮想線で示すように、
繰返し回数がより小さいように応力を得ることができる
ように、すなわち、安全方向にグラフの曲線を仮想的に
引いて、同グラフから読み取ると、ステンレス鋼では、
応力が30kgf/mm2以下で、またベリリウム銅で
は、18kgf/mm2以下で繰返し回数が1.0E+
08以上の繰り返し応力ではテストサンプルの50%が
疲労破壊を起こしてしまうと推測されるが、実際の板バ
ネ12に応用可能であるかは不明である。
【0033】ところで、図2および図3に示すような複
数本の曲線状スリット12Aを形成した板バネ12の応
力を実際に計測することは事実上不可能であり、有限要
素解析の手法を用い、かつこの解析に必要な諸条件を設
定して板バネ12の最大応力およびバネ定数などを計算
した。図5は、テストサンプルとして図2および図3の
板バネ12を採用し、その最大応力および図4から予想
繰返し回数および予想破断時間の関係を求めた表であ
る。図5の表は、図4にはデータとして表示されていな
いレベルまでの繰返し回数に対応する最大応力にもとづ
く予想繰返し回数および予想破断時間を表したものであ
って、本発明は、後述する試験により、実際に応用可能
な最大応力のレベルを求めようとするものである。図5
の表中のストロークは、板バネ12を試験機(図8にも
とづき後述)にセットして、板バネ12を駆動するスト
ロークである。また、表中の繰返し回数(50%)は、
たとえばテストサンプルNo.1では、最大応力が50
kgf/mm2のときに、図4のグラフから読み取った
ものであ、予想破断時間(50%)は、これを時間に換
算したものである。たとえばテストサンプルNo.1で
は、2.0E7÷(3600秒×50ヘルツ)=111
≒100時間となる。50ヘルツは、スターリング冷凍
機1(図1)における電磁コイル14にかける交流の周
波数である。
【0034】なお、有限要素解析のための必要条件とし
ては、板バネ12の材質(SUS301K)、板厚
(0.3mm)、曲線状スリット12Aの溝幅(0.4
mm)、曲線状スリット12Aの端部の円弧部の直径
(2mm)、さらには変位(たとえばストローク1m
m)などを設定し、その他の幾何学的非線形条件および
材料非線形条件を設定して実行した。
【0035】この有限要素解析の的確性を確認するため
に、バネ定数について、有限要素解析からの計算値と、
実測の平均値とを比較した。すなわち、図6は、板バネ
12(図2)に対する変位量と荷重との関係を示すグラ
フ、図7は、板バネ12(図3)に対する変位量と荷重
との関係を示すグラフであって、有限要素解析によって
得られた板バネ12の反力(計算値)と、実際に測定し
た反力の違いは、最大でも8.4%であり、この差は許
容範囲内にあるといえる。したがって、最大応力自体に
ついては、既述のように計測が事実上不可能ではある
が、最大応力についても、有限要素解析による計算が所
定の範囲で実測に沿っていると考えることができる。
【0036】図8は、板バネ12についての破断データ
を取るための試験機40の断面図であって、試験機40
は、スターリング冷凍機1(図1)における可動部ユニ
ット6と等価な機構を有している。すなわち、ヨーク9
に磁性部材10および永久磁石13を取り付けるととも
に、板バネ12および運転用板バネ41を図中左右に取
り付けて、リニアモーター15の運転することにより、
板バネ12に両振り運動を与え、板バネ12の一部が破
断するまでの時間を計測する。
【0037】図9は、試験機40により行った破断試験
の結果、板バネ12の破断の様子を示す平面図であっ
て、図示のように、曲線状スリット12Aにおけるその
外側端部、内側端部およびスリット湾曲部において破断
が発生した。
【0038】図10は、板バネ12(図2、図3)につ
いて各条件で運転したときの板バネ12の破断データを
示す表であって、定時間(1000時間)打ち切り条件
において板バネ12の一部が破断するまでの時間を示し
ている。表中「データ1〜データ8」および「データ1
〜データ6」は、試験機40(図8)にセットした二枚
の板バネ12における弾性腕部12Bの合計の数に相当
するものである。なお表中、「故障数」は、試験中に破
断した板バネ12の箇所の数である。
【0039】つぎに、図10の破断データをもとづき、
それぞれのテストサンプルについて、板バネ12の最大
応力に対する、信頼率99.5%での片側限界として故
障が発生するまでの時間すなわち、平均故障間隔時間
(MTBF:Mean Time Between F
ailure)を求める。板バネ12のいずれかの部分
が破断している場合(テストNo.1〜No.5)に
は、図11の式(1)を用いる。板バネ12のいずれの
部分も破断していない場合(テストNo.6)には、図
11の式(2)を用いる。なお、図11に示すMTBF
についての計算式(1)、(2)および(3)は、北川
賢二編著、「最新信頼性試験技術総合マニュアル」(技
研情報センター)によった。χ2(r,α)は、信頼度
を表す分布関数であり、χ2分布については、日本科学
技術連盟の「信頼性数値表」を用いた。
【0040】図12は、各テストサンプルについて上述
の各式(1)、(2)から演算した、最大応力に対する
MTBFおよびMTBFから換算した繰返し回数を示す
定時間打ち切り寿命試験データを示す表である。図13
は、図12のデータから、最大応力に対するMTBFを
破断までの繰返し回数の関係で示したグラフであって、
最大応力が増加するほど、破断までの繰返し回数すなわ
ち、板バネ12の寿命が短くなる傾向にあることがわか
る。
【0041】ここで、板バネ12の違いによる破断まで
の繰返し回数の違いについて考察するために、同じ最大
応力100kgf/mm2であって板バネ12の形状が
異なるテストNo.3および4についてその違いを調べ
る。テストNo.3およびNo.4について、MTBF
の差は、(1.725E+05)−(7.777E+0
4)=94730(回)である。この回数は、テストN
o.4の繰返し回数の55%であり、無視可能とはいえ
ない数値である。しかしながら、最大応力が変わった場
合の違いに対して考えると、たとえば、同じ板バネ12
であるテストNo.2とNo.3とは最大応力が75k
gf/mm2から100kgf/mm2と異なっており、
テストNo.2およびNo.3については、MTBFの
差は、(5.194E+07)−(7.777E+0
4)=5.186E+07(回)である。換言すれば、
テストNo.3およびNo.4という板バネ12の形状
の違いによるMTBFの差は、テストNo.2およびN
o.3という最大応力が異なる場合のMTBFの差の
0.18%にすぎない。したがって、最大応力の相違に
よるMTBFの変化に比べれば、板バネ12の形状は無
視してよいと考えられる。
【0042】なお、とくにテストNo.6の板バネ12
については、最大応力を40kgf/mm2で運転する
ことにより、信頼率99.5%で繰返し回数が2.03
8E+08(MTBF=1100時間)を得ることがで
きた。
【0043】つぎに図14は、それぞれのテストサンプ
ルNo.1〜No.6についての定数打ち切り寿命試験
データを示す表である。定数打ち切り寿命試験は、ある
テストサンプルが壊れた時点までの運転時間TからMT
BFを求めるもので、この場合のMTBFは、図11の
式(3)から求められる。今回の定数打ち切り寿命試験
は、それぞれのテストサンプルで破断箇所の設定数、た
とえば一個所が破断するまでの時間を得る実験である。
図14の総運転時間は、図10のデータ1〜8における
その最短時間を8倍あるいは6倍したもので、MTBF
(繰り返し回数)はこれを換算したものである。
【0044】図15は、図14のデータから、最大応力
に対するMTBFを破断までの繰返し回数の関係で示し
たグラフであって、図13の場合と同様に、最大応力が
増加するほど、破断までの繰返し回数すなわち、板バネ
12の寿命が短くなる傾向にある。なお、図12および
図13の定時間打ち切り寿命試験に対して、図14およ
び図15の定数打ち切り寿命試験では、板バネ12に破
断が発生しない場合には運転時間が増えるため、テスト
No.6における最大応力40kgf/mm2の条件に
おいて得られる繰返し回数のMTBFが増加している。
【0045】上述の定時間打ち切り寿命試験の結果(図
12および図13)から推測すると、板バネ12の材料
としてステンレス鋼(たとえばSUS301など)を使
用する場合には、MTBF50000時間(繰返し回数
としては、約1E+10)をクリアするには、有限要素
解析による最大応力値を20kgf/mm2以下に設定
することが必要である。また、定数打ち切り寿命試験の
結果(図14および図15)から推測すると、板バネ1
2に発生する最大応力値を30kgf/mm2以下に設
定することが必要である。ただし、通常運転に必要な4
000時間を確保するためには、最大応力値を40kg
f/mm2以下にすれば最低でも1100時間を確保可
能であり、継続試験の結果からは、この時間をさらに延
長して50000時間に近づけることも可能である。さ
らに運転時間として最低でも1000時間程度を確保す
るためには、最大応力値を50kgf/mm2以下にす
ればよいことがわかった。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、板バネに
発生する最大応力を50kgf/mm2以下とすること
により、板バネの寿命すなわちスターリング冷凍機など
の冷凍機の寿命を必要なレベルに確保してその信頼性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による板バネ12を組み込
んだスターリング冷凍機1の断面図である。
【図2】同、四本の曲線状スリット12Aを形成した板
バネ12のパターン例を示す平面図である。
【図3】同、三本の曲線状スリット12Aを形成した板
バネ12のパターン例を示す平面図である。
【図4】同、バネ材料の疲労曲線を示すグラフである。
【図5】同、テストサンプルとして図2および図3の板
バネ12を採用し、その最大応力および図4から予想繰
返し回数および予想破断時間の関係を求めた表である。
【図6】同、板バネ12(図2)に対する変位量と荷重
との関係を示すグラフである。
【図7】同、板バネ12(図3)に対する変位量と荷重
との関係を示すグラフである。
【図8】同、板バネ12についての破断データを取るた
めの試験機40の断面図である。
【図9】同、試験機40により行った破断試験の結果、
板バネ12の破断の様子を示す平面図である。
【図10】同、板バネ12(図2、図3)について各条
件で運転したときの板バネ12の破断データを示す表で
ある。
【図11】同、平均故障間隔時間(MTBF)を求める
ための式(1)、(2)および(3)を示す説明図であ
る。
【図12】同、各テストサンプルについて上述の各式
(1)、(2)から演算した、最大応力に対するMTB
FおよびMTBFから換算した繰返し回数を示す定時間
打ち切り寿命試験データを示す表である。
【図13】同、図12のデータから、最大応力に対する
MTBFを破断までの繰返し回数の関係で示したグラフ
である。
【図14】同、それぞれのテストサンプルNo.1〜N
o.6についての定数打ち切り寿命試験データを示す表
である。
【図15】同、図14のデータから、最大応力に対する
MTBFを破断までの繰返し回数の関係で示したグラフ
である。
【符号の説明】
1 スターリング冷凍機(冷凍機、図1) 2 ガス圧縮機 3 コールドヘッド 4 圧縮機ケース 5 ヘッダーユニット 6 可動部ユニット 7 中間ヘッダー 8 ピストン 9 ヨーク 10 磁性部材 11 磁気回路部材(ヨーク9、磁性部材10) 12 円形状の板バネ(図2、図3) 12A 板バネ12の曲線状スリット 12B 板バネ12の弾性腕部 12C 板バネ12の外周側固定部 12D 板バネ12の内周側固定部 12E 板バネ12の中心孔 13 円環状の永久磁石 14 電磁コイル 15 リニアモーター(磁気回路部材11、永久磁石1
3、電磁コイル14) 16 ボビン部材 17 シリンダー 18 シリンダーヘッド 19 支持部 20 取付けボルト 21 ガス流路 22 ピストンカバー 23 圧縮膨張室 24 取付けボルト 25 リード線 26 駆動部(ピストン8、板バネ12、リニアモータ
ー15、シリンダー17) 27 ガス供給管 28 シリンダー 29 蓄冷材 30 ディスプレーサー(ピストン) 31 バネ材 32 ディスプレーサー30のシャフト 40 試験機(図8) 41 運転用板バネ
フロントページの続き (72)発明者 金尾 憲一 神奈川県横須賀市夏島町19番地 住友重機 械工業株式会社横須賀製造所内 Fターム(参考) 3H076 AA03 AA40 BB26 BB43 BB45 CC06 CC28 CC46 CC99

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石、磁気回路部材および電磁コ
    イルを有するリニアモーターと、 このリニアモーターにより、そのいずれか一方を駆動す
    るシリンダーおよびピストンと、 このリニアモーターと共振系を構成する板バネと、を有
    する駆動部を設け、 この駆動部を往復運動させて冷媒の圧縮および膨張を行
    うことにより冷凍を発生する冷凍機における板バネであ
    って、 前記板バネが前記駆動部から駆動力を受けたときの最大
    応力を50kgf/mm2以下にすることを特徴とする
    冷凍機における板バネ。
  2. 【請求項2】 シリンダーと、 このシリンダー内を往復動するとともに蓄冷材を収容し
    たディスプレーサーと、 このディスプレーサーを弾性的に支持する板バネと、を
    有し、 それぞれの位相をずらせた冷媒の供給および前記ディス
    プレーサーの往復動にともなって逆スターリングサイク
    ルを実行し、冷凍を発生する冷凍機における板バネであ
    って、 前記板バネが前記ディスプレーサーの往復動にともなう
    駆動力を受けたときの最大応力を50kgf/mm2
    下にすることを特徴とする冷凍機における板バネ。
  3. 【請求項3】 前記最大応力は、 好ましくは40kgf/mm2以下、あるいは30kg
    f/mm2以下、 さらに好ましくは20kgf/mm2であることを特徴
    とする請求項1あるいは2記載の冷凍機における板バ
    ネ。
  4. 【請求項4】 前記板バネには、その板厚方向に貫通
    して、対数螺旋曲線による曲線状スリットを複数本形成
    してあることを特徴とする請求項1あるいは2記載の冷
    凍機における板バネ。
  5. 【請求項5】 前記板バネは、 その外周部分においてこれを固定するとともに、 その内周部分において前記シリンダーあるいは前記ピス
    トンのいずれか一方にこれを固定してあることを特徴と
    する請求項1あるいは2記載の冷凍機における板バネ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101892971A (zh) * 2010-08-06 2010-11-24 浙江大学 采用两种不同型线板弹簧支撑系统的线性压缩机

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CN101892971A (zh) * 2010-08-06 2010-11-24 浙江大学 采用两种不同型线板弹簧支撑系统的线性压缩机

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