JP2003286375A - 芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物を配合してなる粉体成形用樹脂組成物 - Google Patents
芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物を配合してなる粉体成形用樹脂組成物Info
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Abstract
改善され、高温での耐摩耗性を有する成形体の製造が可
能な粉体成形用樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (1)(a)ポリプロピレン樹脂20〜
80重量%、(b)オレフィン系熱可塑性エラストマー
80〜20重量%とからなるポリプロピレン樹脂組成物
30〜70重量部と、(2)(c)芳香族系ビニル化合
物単位含有量が20〜80重量%の芳香族系ビニル化合
物−共役ジエン共重合体の水素化物10〜90重量%と
(d)芳香族系ビニル化合物単位含有量が5重量%以上
20重量%未満の芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共
重合体の水素化物90〜10重量%とからなる芳香族系
ビニル化合物−共役ジエン共重合体水素化物組成物70
〜30重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重
量部である。)からなる。
Description
成物に関し、詳しくは、貯蔵時の耐ブロッキング性など
の粉体流動性にすぐれ、高温での耐摩耗性が改善された
成形体を与える粉体成形用樹脂組成物に関する。
ソールボックス、ドアトリム、グローブボックスなどの
内装部品の表皮材は、従来ほとんど軟質塩化ビニル樹脂
成形品が使用されてきたが、最近は、廃品の焼却時に塩
化水素を発生しない樹脂で、しかもリサイクル利用の容
易なオレフィン系樹脂材料による成形品が望まれるよう
になっている。
〜50重量%で特定範囲の数平均分子量を有するスチレ
ンとブタジエンのSBS型ブロック共重合体(S:ポリ
スチレンブロック、B:ポリブタジエンブロック)の水
素化物(SEBS)を含む組成物が、自動車の内装材の
表皮等の粉体成形材料として好適であることを見出し、
特許出願した(特開平5−279484号公報)。さら
に、上記の水素化物を用いた成形品の耐熱性を向上させ
るためにポリプロピレン樹脂(PP)を配合する方法
(特開平7−82433号公報)、さらにポリオレフィ
ンを配合する方法(特開2000−336219公報)
などを提案した。
に改良すべくオレフィン系熱可塑性エラストマーを併用
することにより、加工性が良好で、スラッシュ成形にお
ける脱型の際に成形品に折り皺が生じ難い粉体成形用樹
脂組成物を見出した(特願2001−399125)。
ィン系熱可塑性エラストマーを併用した粉体成形用樹脂
組成物は、PPとSEBSとの相溶性が改良されるもの
の、貯蔵時にブロッキングする問題が新たに生じ、また
この樹脂組成物を用いた粉体成形品は高温での耐摩耗性
が未だ充分ではなく、さらに改良が必要であった。従っ
て、本発明の目的は、貯蔵時の耐ブロッキング性などの
粉体特性が改善され、高温での耐摩耗性を有する成形体
の製造が可能な粉体成形用樹脂組成物を提供することで
ある。
ン量が最大でも50重量%程度のSEBSを配合してい
ることに原因があると考え、さらに検討を進めた結果、
結合スチレン量が10重量%のSEBSと、結合スチレ
ン量が70重量%のSEBSとを1対1(重量比)の割
合で混合し、これをポリプロピレン樹脂およびオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーと配合した樹脂組成物によっ
て、貯蔵時のブロッキング性およびその粉体成形品の高
温での耐摩耗性が改良されることを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
ば、(1)(a)ポリプロピレン樹脂20〜80重量
%、(b)オレフィン系熱可塑性エラストマー80〜2
0重量%とからなるポリプロピレン樹脂組成物30〜7
0重量部と、(2)(c)芳香族系ビニル化合物単位含
有量が20〜80重量%の芳香族系ビニル化合物−共役
ジエン共重合体の水素化物10〜90重量%と(d)芳
香族系ビニル化合物単位含有量が5重量%以上20重量
%未満の芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共重合体の
水素化物90〜10重量%とからなる芳香族系ビニル化
合物−共役ジエン共重合体水素化物組成物70〜30重
量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部であ
る。)とを含んでなる粉体成形用樹脂組成物が提供され
る。
本発明の粉体成形用樹脂組成物は、(1)ポリプロピレ
ン樹脂(a)とオレフィン系熱可塑性エラストマー
(b)とからなるポリプロピレン樹脂組成物と、(2)
芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物
(c)と(d)とからなる該水素化物組成物を重合体成
分として含んでなるものである。以下に各成分について
説明する。
(1)は、(a)ポリプロピレン樹脂20〜80重量
%、好ましくは30〜70重量%と、(b)オレフィン
系熱可塑性エラストマー80〜20重量%、好ましくは
70〜30重量%からなるものである。ポリプロピレン
樹脂が少なすぎると耐熱性が低下し、多すぎると脱型時
に折り皺が生じ易くなるので好ましくない。
芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共重合体の水素化物
組成物(2)の割合は、(1)が30〜70重量部、好
ましくは40〜60重量部、(2)が70〜30重量
部、好ましくは60〜40重量部(但し(1)と(2)
の合計は100重量部である。)である。ポリプロピレ
ン樹脂組成物(1)が少なすぎると溶融性が低下し、多
すぎると折れ皺が生じ易く、また成形品の耐傷付性が低
下するので好ましくない。
プロピレン単独重合体(結晶性)またはプロピレン50
重量%以上と炭素数2〜12の他のα−オレフィンとの
共重合体である。ここで、プロピレンと炭素数2〜12
のα−オレフィンとの共重合体には、ランダム共重合
体、交互共重合体ならびにリニアおよびラジアルのブロ
ック共重合体が含まれる。これらのポリプロピレン樹脂
は、通常、チーグラー・ナッタ系触媒などを用いて重合
することにより製造される。上記α−オレフィンとして
は、例えば、エチレン、ブテン−1、4−メチル−ペン
テン−1、オクテン−1などか挙げられる。ポリプロピ
レン樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと記
す。)は特に限定されないが、JlS K7210によ
るMFR(荷重2.16kg、測定温度230℃、単位
はg/10minである。)が5以上のものが好まし
く、MFRが20以上のものがより好ましい。ポリプロ
ピレン樹脂のMFRが小さすぎると、溶融性が悪くて成
形品にピンホールが発生し易くなる恐れがあるので好ま
しくない。
ラストマーは、ハードセグメントがポリエチレンやポリ
プロピレンなどのポリオレフィンから構成され、ソフト
セグメントがエチレン−プロピレン共重合ゴムなどのポ
リオレフィン系ゴムから構成された、通常TPOまたは
TPEと呼ばれるものである。例えば、EPR(エチレ
ン−プロピレン共重合ゴム)やEPDM(エチレン−プ
ロピレン−非共役ジエンモノマー三元共重合ゴム)とP
PやPP/PE(ポリエチレン)をブレンドしたもの、
上記のブレンドをPPやPP/PEの溶融下にEPDM
等を架橋させるいわゆる動的架橋によってPP等のマト
リックス相中にEPDM等を分散させたもの(エラスト
マーアロイ)、リアクター(Reactor)TPOと
称される、PPの重合に引き続きプロピレンとエチレン
を共重合させて得られるエチレン/プロピレン共重合体
(EPR)ブロック部分が多いプロピレン系ブロック共
重合体などが挙げられる。これらはいずれも市販品があ
り、入手可能である。なかでもプロピレン系ブロック共
重合体(リアクターTPO)が好ましく、トクヤマ
(株)製P.E.R.として市販されている。
クターTPO)のエチレン/プロピレン共重合体ブロッ
ク成分(EPR成分)とポリプロピレンブロック成分
(PP成分)の割合は、PP成分が1〜40重量%、好
ましくは5〜20重量%であり、EPR成分が60〜9
9重量%、好ましくは80〜95重量%である。また、
EPR成分はエチレンとプロピレンのランダム共重合体
からなり、通常、エチレンに基づく単量体単位の割合が
10〜40モル%、好ましくは15〜35モル%であ
る。さらに、プロピレン系ブロック共重合体の分子量
は、135℃、テトラリン溶媒中で測定した極限粘度と
して6〜30dl/gであり、好ましくは10〜20d
l/gである。プロピレン系ブロック共重合体の極限粘
度が6dl/g未満では、弾性変形後の回復性が損なわ
れ、30dl/gを超えると溶融時の流動性が低下し、
樹脂組成物の成形が著しく困難となる。
共役ジエン共重合体の水素化物としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族系ビニ
ル化合物の少なくとも1種と、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンの少なくと
も1種をランダムあるいはブロック共重合させて得られ
るランダム共重合体またはブロック共重合体の共役ジエ
ン単位を水素化して得られるものが挙げられる。なかで
も好ましいのは、水素化ブロック共重合体である。
−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブロック共重合体
としてはABA型のリニアおよびラジアルブロック共重
合体(Aはポリスチレンブロック、Bはポリブタジエン
ブロックまたはポリイソプレンブロック)が好ましいも
のとして挙げられる。上記の水素化されたブロック共重
合体は、SEBS、SEPS(S:ポリスチレン、E:
ポリエチレン、B:ポリブチレン、P:ポリプロピレ
ン)と通常呼ばれている。これらの水素化物は、通常、
重合体鎖中の不飽和二重結合の80モル%以上、好まし
くは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上が
水素化されたものである。
共役ジエン共重合体の水素化物として、それぞれ芳香族
ビニル化合物単位の含有量が、20〜80重量%、好ま
しくは25〜70重量%のもの(c)(以下では成分
(c)ということがある。)と、5重量%以上20重量
%未満、好ましくは10〜18重量%のもの(d)(以
下では成分(d)ということがある。)を混合使用(併
用)することにある。
役ジエン共重合体の水素化物組成物は、成分(c)と
(d)の割合が、成分(c)が10〜90重量%、好ま
しくは20〜80重量%、より好ましくは40〜60重
量%であり、成分(d)が90〜10重量%、好ましく
は80〜20重量%、より好ましくは60〜40重量%
である。成分(c)が少なすぎると粉体成形用樹脂組成
物の耐ブロッキング性が不充分であり、多すぎると成形
品の硬度が増大し、高温での耐摩耗性が低下する。
により各種添加剤を配合することができる。配合剤とし
ては、例えば、成形時の離型性向上および貯蔵時のブロ
ッキング防止のために、バリウムステアレート、カルシ
ウムステアレート、マグネシウムステアレート、亜鉛ス
テアレート、アルミニウムステアレートなどの金属石け
ん類、多価アルコールの脂肪酸エステル類を必要により
添加することができる。その他の添加剤として、公知の
各種安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、
難燃剤、顔料などを添加することができる。また、公知
の可塑剤もべたついたり、成形性を損なわない範囲で添
加することができる。
で、上記の重合体成分以外の重合体を併用することもで
きる。このような重合体としては、例えば、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ア
クリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、エチレン
−酢酸ビニル樹脂(EVA樹脂)、ノルボルネン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。
さらに、スチレンなどの芳香族ビニル化合物とエチレ
ン、プロピレンなどのα−オレフィンを特開平3−77
05号公報、特開平7−70223号公報や特開平10
−168112号公報などに記載の方法で共重合させて
得られる芳香族ビニル化合物−α−オレフィン共重合体
などが挙げられる。これらの他の重合体の使用量は、本
発明の樹脂組成物中40重量%以下、好ましくは30重
量%以下の範囲である。
知の方法で製造でき、製造方法は特に限定されない。ま
た、使用する各重合体成分の形態や形状なども特に制限
されない。製造方法としては、例えば、全重合体成分を
一括して混合機に投入して混合する方法、先ずポリプロ
ピレン樹脂組成物を、ロール、一軸あるいは二軸押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー等の通常の混合機を
用いて調製し、これと芳香族系ビニル化合物−共役ジエ
ン共重合体の水素化物とを上記と同様にして混合し、さ
らに残りの成分と混合して製造する方法などが挙げられ
る。
で使用される。該樹脂組成物を粉末にするには、ターボ
ミル、ローラミル、ボールミル、遠心力粉砕機、パルベ
ライザーなどの従来公知の粉砕機を用いて粉砕すること
により、粉体流動性に優れた粉末状樹脂組成物を調整す
ることができる。粉末の粒径は、通常、50〜500μ
m、好ましくは100〜300μmの範囲である。この
平均粒径が小さすぎると粉砕工程の効率が悪い上に貯蔵
時に凝集しやすく、逆に大きすぎると、成形品のキメが
荒くなり、厚さの薄い成形品の場合にはピンホールが発
生し易くなるので好ましくない。
脂組成物は、粉体スラッシュ成形、流動浸漬成形または
粉体回転成形などの種々の粉体成形方法に適用でき、特
にインストルメントパネル、ヘッドレスト、コンソール
ボックス、ドアトリム、アームレストなどの自動車内装
品の表層用の粉体成形材料として好適に使用することが
できる。
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、部数および%は特記のない限り重
量基準である。また、試験方法は下記のとおりである。
形用樹脂組成物100ccの落下時間(単位は秒)を嵩
比重測定装置を用いて測定した。落下時間が短い程、粉
体流動性は良好である。 (2)粉体成形性 温度260℃に加熱したニッケル製金型(内寸200m
m×300mm×2mm)に粉体成形用樹脂組成物を充
填し、10秒後に金型を反転させて余剰の該組成物を除
き、金型に付着している該樹脂組成物をさらに30秒間
保持してゲル化させた。次に、金型を60℃に冷却し、
ゲル化したシートを金型から剥し、以下の基準で評価し
た。 ○:シート厚にムラがなく、ピンホールがほとんどな
い。 △:シート厚にわずかにムラがあり、ピンホールがわず
かにある。 ×:シート厚にムラがあり、ピンホールがかなりある。
シート状成形品(厚さは約1mm)を折曲げ皺が残らな
いようにして金型から離型し、15×50mmの試験片
を切り取る。この試験片を120℃のオーブンに100
時間放置する。その後取り出した試験片を室温で1時間
放置し、表面のべとつきの程度を触手にて評価した。結
果の表示は以下のとおりである。 ○:表面がべたつかない。 ×:表面がべたつく。
を、それが往復移動可能なテーブル上に載置し、幅20
mmの鋼製摩擦子(金幅3号を4枚重ねて被覆したも
の)を試験片上にのせ、これに2.5kgfの荷重を掛
け、試験片の表面を60サイクル/分の速さで5往復さ
せ、その時の試験片の表面の白化度合いを観察した。結
果の表示は以下のとおりである。 ○:白化しない。 △:やや白化する。×:白化する。
(東芝機械(株)製TEM35B)により混練し、ペレ
ット化した後、ターボミルにて粉砕し、粉末状の各粉体
成形用樹脂組成物を得た。得られた各粉末状樹脂組成物
を用い、粉体流特性、粉体成形性を試験するとともに、
得られたシートを用いて耐熱性および高温時耐摩耗性を
評価した。結果を表1に示す。
上のSEBSと結合スチレン量が20%未満のSEBS
とを混合して配合した粉体成形用樹脂組成物(実施例1
〜3)は、粉体流動性等の粉体特性に優れ、さらに高温
(60℃)における耐摩耗性に優れていることが分か
る。これに対し、結合スチレン量が20%未満のSEB
Sを配合した場合(比較例1)および結合スチレン量が
20%以上のSEBSを配合した場合(比較例2)は、
いずれも高温における耐摩耗性が低下することが分か
る。
ッキング性等の粉体特性に優れ、耐熱性、高温時の耐摩
耗性などに優れた粉体成形品が得られる粉体成形用樹脂
組成物が提供される。
Claims (3)
- 【請求項1】 (1)(a)ポリプロピレン樹脂20〜
80重量%、(b)オレフィン系熱可塑性エラストマー
80〜20重量%とからなるポリプロピレン樹脂組成物
30〜70重量部と、(2)(c)芳香族系ビニル化合
物単位含有量が20〜80重量%の芳香族系ビニル化合
物−共役ジエン共重合体の水素化物10〜90重量%と
(d)芳香族系ビニル化合物単位含有量が5重量%以上
20重量%未満の芳香族系ビニル化合物−共役ジエン共
重合体の水素化物90〜10重量%とからなる芳香族系
ビニル化合物−共役ジエン共重合体水素化物組成物70
〜30重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重
量部である。)とを含んでなる粉体成形用樹脂組成物。 - 【請求項2】 オレフィン系熱可塑性エラストマーが、
プロピレン系ブロック共重合体である請求項1に記載の
粉体成形用樹脂組成物。 - 【請求項3】 芳香族系ビニル化合物と共役ジエンとの
共重合体の水素化物が、芳香族系ビニル化合物と共役ジ
エンとのブロック共重合体の水素化物である請求項1に
記載の粉体成形用樹脂組成物。
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2002
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