JP2003285399A - アクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層フィルム及びそれの樹脂成形体への適用 - Google Patents
アクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層フィルム及びそれの樹脂成形体への適用Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アクリル系樹脂とABS樹脂のような含ブタ
ジエン樹脂との積層フィルムであって、予備成形後にカ
ールが生じない積層フィルムを提供し、さらにそのフィ
ルムで表面が加飾された樹脂成形体を製造する。 【解決手段】 アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層及
び、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とブタ
ジエンを必須の単量体とする含ブタジエン樹脂に無機フ
ィラーを含有する樹脂組成物であって、無機フィラーの
含量が1〜40重量%であり、アセトン不溶樹脂分が5
〜40重量%である第二の樹脂層が積層された積層フィ
ルムが提供される。この積層フィルムを熱成形により予
備賦形し、得られる予備賦形フィルムを金型に挿入し
て、その第二の樹脂層側に、ABS樹脂などの含ブタジ
エン樹脂を射出成形することにより、積層フィルムの第
二の樹脂層と射出される含ブタジエン樹脂とが貼合され
た樹脂成形体が製造できる。
ジエン樹脂との積層フィルムであって、予備成形後にカ
ールが生じない積層フィルムを提供し、さらにそのフィ
ルムで表面が加飾された樹脂成形体を製造する。 【解決手段】 アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層及
び、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とブタ
ジエンを必須の単量体とする含ブタジエン樹脂に無機フ
ィラーを含有する樹脂組成物であって、無機フィラーの
含量が1〜40重量%であり、アセトン不溶樹脂分が5
〜40重量%である第二の樹脂層が積層された積層フィ
ルムが提供される。この積層フィルムを熱成形により予
備賦形し、得られる予備賦形フィルムを金型に挿入し
て、その第二の樹脂層側に、ABS樹脂などの含ブタジ
エン樹脂を射出成形することにより、積層フィルムの第
二の樹脂層と射出される含ブタジエン樹脂とが貼合され
た樹脂成形体が製造できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂か
らなる層とABS樹脂のような含ブタジエン樹脂からな
る層とが積層された積層フィルム、ABS樹脂のような
含ブタジエン樹脂からなる基材の表面にその積層フィル
ムが貼合された樹脂成形体、及びその樹脂成形体の製造
方法に関するものである。
らなる層とABS樹脂のような含ブタジエン樹脂からな
る層とが積層された積層フィルム、ABS樹脂のような
含ブタジエン樹脂からなる基材の表面にその積層フィル
ムが貼合された樹脂成形体、及びその樹脂成形体の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、塗装によらずに成形品表面の意匠
性を向上させる技術として、加飾された樹脂フィルムを
用いてこれを射出成形用の金型内に挿入し、その片面に
熱可塑性樹脂を溶融射出して、射出成形品の片面に加飾
フィルムが一体貼合された状態で成形体を製造する、い
わゆる型内同時貼合法が注目されている。
性を向上させる技術として、加飾された樹脂フィルムを
用いてこれを射出成形用の金型内に挿入し、その片面に
熱可塑性樹脂を溶融射出して、射出成形品の片面に加飾
フィルムが一体貼合された状態で成形体を製造する、い
わゆる型内同時貼合法が注目されている。
【0003】例えば、特開平 10-291282号公報には、ポ
リメタクリル酸メチルからなる透明表面層と、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体中にアクリル酸アルキル系
の架橋ゴム粒子が分散した構造の支持層とを含む積層フ
ィルムが開示されており、この積層フィルムを熱成形し
た後、その支持層側にポリウレタンフォームをバック噴
霧することも記載されている。また、特開平 10-279766
号公報には、ゴム弾性層を含む多層構造アクリル系重合
体(アクリル系ゴム粒子)をアクリル樹脂中に分散させ
たフィルムが開示されており、このフィルムの片面にA
BS樹脂フィルムなどを裏打ちして、その裏打ちフィル
ム側にABS樹脂などを溶融射出することによって、表
面硬度を保ち、かつ深みのある透明感を有する成形体と
することも記載されている。アクリル系樹脂は、表面硬
度や表面光沢、耐候性などに優れることから、型内同時
貼合により表層を形成するフィルムとして好ましく用い
られる。
リメタクリル酸メチルからなる透明表面層と、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体中にアクリル酸アルキル系
の架橋ゴム粒子が分散した構造の支持層とを含む積層フ
ィルムが開示されており、この積層フィルムを熱成形し
た後、その支持層側にポリウレタンフォームをバック噴
霧することも記載されている。また、特開平 10-279766
号公報には、ゴム弾性層を含む多層構造アクリル系重合
体(アクリル系ゴム粒子)をアクリル樹脂中に分散させ
たフィルムが開示されており、このフィルムの片面にA
BS樹脂フィルムなどを裏打ちして、その裏打ちフィル
ム側にABS樹脂などを溶融射出することによって、表
面硬度を保ち、かつ深みのある透明感を有する成形体と
することも記載されている。アクリル系樹脂は、表面硬
度や表面光沢、耐候性などに優れることから、型内同時
貼合により表層を形成するフィルムとして好ましく用い
られる。
【0004】ところで、上記したような型内同時貼合法
を実施するにあたり、成形体が複雑な形状であったり、
深さのあるものであったりする場合には、フィルムを熱
成形によって予め賦形する必要がある。この場合、射出
成形金型内で賦形を行う、いわゆるインモールド成形法
を採用することもできるが、この方法は射出成形金型内
で賦形を行うための専用の装置を必要とすることから、
一般的な工法とは言いがたい。より一般的な方法とし
て、熱成形装置を用いてフィルムに予備賦形を施し、製
品の表皮形状に賦形されたフィルムを射出成形用の金型
に挿入して、その片面に熱可塑性樹脂を溶融射出する、
いわゆるインサート成形法がある。
を実施するにあたり、成形体が複雑な形状であったり、
深さのあるものであったりする場合には、フィルムを熱
成形によって予め賦形する必要がある。この場合、射出
成形金型内で賦形を行う、いわゆるインモールド成形法
を採用することもできるが、この方法は射出成形金型内
で賦形を行うための専用の装置を必要とすることから、
一般的な工法とは言いがたい。より一般的な方法とし
て、熱成形装置を用いてフィルムに予備賦形を施し、製
品の表皮形状に賦形されたフィルムを射出成形用の金型
に挿入して、その片面に熱可塑性樹脂を溶融射出する、
いわゆるインサート成形法がある。
【0005】かかるインサート成形法によって意匠性に
優れた成形体を製造する際、溶融射出されて成形体の基
材部分となる熱可塑性樹脂として、ABS樹脂が用いら
れることがある。一方で成形体は、耐傷付性、表面光沢
性、耐候性などに優れることが重要であり、さらに、こ
のような成形品を安価に製造することも重要である。そ
こで、ABS樹脂を基材とするインサート成形に用いる
フィルムとして、その表層をアクリル系樹脂フィルムで
構成し、予備賦形体を射出金型内へ移送する際の取り扱
いやすさや溶融射出されるABS樹脂とのなじみなどの
観点から、バッキング層をABS樹脂フィルムで構成し
た積層フィルムが好まれている。
優れた成形体を製造する際、溶融射出されて成形体の基
材部分となる熱可塑性樹脂として、ABS樹脂が用いら
れることがある。一方で成形体は、耐傷付性、表面光沢
性、耐候性などに優れることが重要であり、さらに、こ
のような成形品を安価に製造することも重要である。そ
こで、ABS樹脂を基材とするインサート成形に用いる
フィルムとして、その表層をアクリル系樹脂フィルムで
構成し、予備賦形体を射出金型内へ移送する際の取り扱
いやすさや溶融射出されるABS樹脂とのなじみなどの
観点から、バッキング層をABS樹脂フィルムで構成し
た積層フィルムが好まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなアクリル系樹脂フィルムとABS樹脂フィルムとで
構成される積層フィルムは、熱成形により予備賦形した
際、賦形後の予備成形体が時間の経過とともに変形し、
結果的に賦形した形状を保てなくなる、いわゆるカール
が発生してしまい、その後の金型への挿入が困難となる
ことがあり、また基材としてのABS樹脂を溶融射出し
た後の成形体外観に不具合を生じることがあった。
うなアクリル系樹脂フィルムとABS樹脂フィルムとで
構成される積層フィルムは、熱成形により予備賦形した
際、賦形後の予備成形体が時間の経過とともに変形し、
結果的に賦形した形状を保てなくなる、いわゆるカール
が発生してしまい、その後の金型への挿入が困難となる
ことがあり、また基材としてのABS樹脂を溶融射出し
た後の成形体外観に不具合を生じることがあった。
【0007】一方で、特開 2001-310427号公報には、ア
クリル系樹脂とポリプロピレンとの積層フィルムにおい
て同様のカールが発生する問題が指摘されており、この
公報では、アクリル系樹脂/ポリプロピレン積層フィル
ムにおけるカールの発生を抑えるために、ポリプロピレ
ンフィルム層に無機フィラーと熱可塑性エラストマーを
それぞれ特定量含有させることが提案されている。しか
しこの公報では、アクリル系樹脂/ABS樹脂積層フィ
ルムについては言及されていない。特に、ポリプロピレ
ンは、結晶性樹脂であるのに対して、ABS樹脂は非晶
性であり、両者の収縮挙動は大きく異なる。
クリル系樹脂とポリプロピレンとの積層フィルムにおい
て同様のカールが発生する問題が指摘されており、この
公報では、アクリル系樹脂/ポリプロピレン積層フィル
ムにおけるカールの発生を抑えるために、ポリプロピレ
ンフィルム層に無機フィラーと熱可塑性エラストマーを
それぞれ特定量含有させることが提案されている。しか
しこの公報では、アクリル系樹脂/ABS樹脂積層フィ
ルムについては言及されていない。特に、ポリプロピレ
ンは、結晶性樹脂であるのに対して、ABS樹脂は非晶
性であり、両者の収縮挙動は大きく異なる。
【0008】本発明は、アクリル系樹脂とABS樹脂の
ような非晶性の含ブタジエン樹脂との積層フィルムにお
ける熱賦形後の上記カール発生という問題を解消するた
めになされたものであり、その目的とするところは、ア
クリル系樹脂とABS樹脂のような含ブタジエン樹脂と
の積層フィルムであって、予備成形後にカールが生じな
い積層フィルムを提供することにある。本発明のもう一
つの目的は、この積層フィルムを熱賦形してから、その
含ブタジエン樹脂側に、ABS樹脂のような含ブタジエ
ン樹脂を射出することにより、射出樹脂層へのフィルム
の食い込みなどの外観不良がない状態で表面が加飾され
た樹脂成形体を製造することにある。
ような非晶性の含ブタジエン樹脂との積層フィルムにお
ける熱賦形後の上記カール発生という問題を解消するた
めになされたものであり、その目的とするところは、ア
クリル系樹脂とABS樹脂のような含ブタジエン樹脂と
の積層フィルムであって、予備成形後にカールが生じな
い積層フィルムを提供することにある。本発明のもう一
つの目的は、この積層フィルムを熱賦形してから、その
含ブタジエン樹脂側に、ABS樹脂のような含ブタジエ
ン樹脂を射出することにより、射出樹脂層へのフィルム
の食い込みなどの外観不良がない状態で表面が加飾され
た樹脂成形体を製造することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる目的
のもとで鋭意研究を行った結果、特定の組成からなる含
ブタジエン樹脂組成物をバッキング層として含む積層フ
ィルムとすることで、予備成形後におけるフィルムのカ
ールが防止でき、もって外観不良のない成形体が得られ
ることを見出した。この知見をもとに、さらに種々の検
討を加えて、本発明を完成するに至った。
のもとで鋭意研究を行った結果、特定の組成からなる含
ブタジエン樹脂組成物をバッキング層として含む積層フ
ィルムとすることで、予備成形後におけるフィルムのカ
ールが防止でき、もって外観不良のない成形体が得られ
ることを見出した。この知見をもとに、さらに種々の検
討を加えて、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、アクリル系樹脂からな
る第一の樹脂層及び、芳香族ビニル化合物とシアン化ビ
ニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする含ブタジ
エン樹脂に無機フィラーを含有する樹脂組成物であっ
て、無機フィラーの含量が1〜40重量%であり、アセ
トン不溶樹脂分が5〜40重量%である第二の樹脂層が
積層されているアクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層
フィルムを提供するものである。
る第一の樹脂層及び、芳香族ビニル化合物とシアン化ビ
ニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする含ブタジ
エン樹脂に無機フィラーを含有する樹脂組成物であっ
て、無機フィラーの含量が1〜40重量%であり、アセ
トン不溶樹脂分が5〜40重量%である第二の樹脂層が
積層されているアクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層
フィルムを提供するものである。
【0011】また本発明によれば、芳香族ビニル化合物
とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体と
する含ブタジエン樹脂からなる基材の表面に、上記積層
フィルムがその第二の樹脂層側で貼合されている樹脂成
形体も提供され、さらには、上記積層フィルムを熱成形
により予備賦形し、得られる予備賦形フィルムを金型に
挿入して、その第二の樹脂層側に、芳香族ビニル化合物
とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体と
する含ブタジエン樹脂を射出成形することによって、積
層フィルムの第二の樹脂層と射出される含ブタジエン樹
脂とが貼合された表面加飾樹脂成形体を製造する方法も
提供される。
とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体と
する含ブタジエン樹脂からなる基材の表面に、上記積層
フィルムがその第二の樹脂層側で貼合されている樹脂成
形体も提供され、さらには、上記積層フィルムを熱成形
により予備賦形し、得られる予備賦形フィルムを金型に
挿入して、その第二の樹脂層側に、芳香族ビニル化合物
とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体と
する含ブタジエン樹脂を射出成形することによって、積
層フィルムの第二の樹脂層と射出される含ブタジエン樹
脂とが貼合された表面加飾樹脂成形体を製造する方法も
提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の積層フィルムは、アクリ
ル系樹脂からなる第一の樹脂層と、無機フィラーを含有
する含ブタジエン樹脂組成物からなる第二の樹脂層とが
積層されたものである。アクリル樹脂は一般に、アクリ
ル酸又はメタクリル酸のエステルから誘導される重合体
又は共重合体を主成分とする樹脂である。これらの中
で、メタクリル酸エステル、とりわけメタクリル酸メチ
ルを主体とする重合体又は共重合体を、メタクリル樹脂
と呼ぶこともある。本明細書において、アクリル系樹脂
なる語は、このようなアクリル樹脂自体のほか、アクリ
ル樹脂を主体とする樹脂組成物をも含む意味として使用
する。例えば、アクリル樹脂とポリフッ化ビニリデンの
ようなフッ素系樹脂とを含有する樹脂組成物や、アクリ
ル樹脂とメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS
樹脂)とを含有する樹脂組成物なども、アクリル系樹脂
に包含される。
ル系樹脂からなる第一の樹脂層と、無機フィラーを含有
する含ブタジエン樹脂組成物からなる第二の樹脂層とが
積層されたものである。アクリル樹脂は一般に、アクリ
ル酸又はメタクリル酸のエステルから誘導される重合体
又は共重合体を主成分とする樹脂である。これらの中
で、メタクリル酸エステル、とりわけメタクリル酸メチ
ルを主体とする重合体又は共重合体を、メタクリル樹脂
と呼ぶこともある。本明細書において、アクリル系樹脂
なる語は、このようなアクリル樹脂自体のほか、アクリ
ル樹脂を主体とする樹脂組成物をも含む意味として使用
する。例えば、アクリル樹脂とポリフッ化ビニリデンの
ようなフッ素系樹脂とを含有する樹脂組成物や、アクリ
ル樹脂とメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS
樹脂)とを含有する樹脂組成物なども、アクリル系樹脂
に包含される。
【0013】アクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリ
ル酸、又はこれらのエステルから誘導される重合体を変
性して得られる、分子中に下式(I)で示される6員環
酸無水物単位を3〜30重量%程度含む樹脂であっても
よい。
ル酸、又はこれらのエステルから誘導される重合体を変
性して得られる、分子中に下式(I)で示される6員環
酸無水物単位を3〜30重量%程度含む樹脂であっても
よい。
【0014】
【0015】式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、水
素又はアルキルを表す。
素又はアルキルを表す。
【0016】上記式(I)で示される6員環酸無水物単
位は、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらのエステ
ルから誘導される重合体を、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物の存
在下、150〜350℃、好ましくは220〜320℃
の範囲で熱処理し、変性することによって、得ることが
できる。式(I)において、R1 及びR2 は同一でも相
異なってもよく、具体例としては、水素、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、
sec−ブチル、アミルなどが挙げられる。重合体中に式
(I)で示される6員環酸無水物単位を存在させる場
合、その含有量は、耐熱性を向上させることができる量
であって、しかも溶融粘度が高くならない、すなわち成
形加工に支障が生じるということがない程度の量である
のが望ましく、通常3〜30重量%程度、好ましくは5
〜25重量%である。
位は、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらのエステ
ルから誘導される重合体を、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物の存
在下、150〜350℃、好ましくは220〜320℃
の範囲で熱処理し、変性することによって、得ることが
できる。式(I)において、R1 及びR2 は同一でも相
異なってもよく、具体例としては、水素、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、
sec−ブチル、アミルなどが挙げられる。重合体中に式
(I)で示される6員環酸無水物単位を存在させる場
合、その含有量は、耐熱性を向上させることができる量
であって、しかも溶融粘度が高くならない、すなわち成
形加工に支障が生じるということがない程度の量である
のが望ましく、通常3〜30重量%程度、好ましくは5
〜25重量%である。
【0017】アクリル酸又はメタクリル酸のエステルと
しては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シク
ロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどが例示される。
これらの単独重合体はもとより、これらの2種以上を用
いた共重合体も、アクリル樹脂に包含される。アクリル
樹脂は、これらアクリル酸又はメタクリル酸のエステル
の1又は複数を主たる単量体とする重合体であるが、こ
れら以外の共重合性単量体を少量共重合させたものであ
っても構わない。
しては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シク
ロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどが例示される。
これらの単独重合体はもとより、これらの2種以上を用
いた共重合体も、アクリル樹脂に包含される。アクリル
樹脂は、これらアクリル酸又はメタクリル酸のエステル
の1又は複数を主たる単量体とする重合体であるが、こ
れら以外の共重合性単量体を少量共重合させたものであ
っても構わない。
【0018】本発明では、積層フィルムの一方の層を、
以上説明したようなアクリル系樹脂で構成する。好まし
いアクリル系樹脂として、アクリル樹脂とゴム粒子、特
にアクリル系ゴム粒子を含有するものを挙げることがで
きる。この場合のアクリル樹脂は、ガラス転移温度が6
0〜110℃であり、ゲルバーミェーションクロマトグ
ラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(ポ
リメタクリル酸メチル換算)が7万〜60万であるもの
が好ましい。このアクリル樹脂95〜50重量部、及び
ゴム粒子5〜50重量部を含有する樹脂組成物は、特に
好適なものの一つである。
以上説明したようなアクリル系樹脂で構成する。好まし
いアクリル系樹脂として、アクリル樹脂とゴム粒子、特
にアクリル系ゴム粒子を含有するものを挙げることがで
きる。この場合のアクリル樹脂は、ガラス転移温度が6
0〜110℃であり、ゲルバーミェーションクロマトグ
ラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(ポ
リメタクリル酸メチル換算)が7万〜60万であるもの
が好ましい。このアクリル樹脂95〜50重量部、及び
ゴム粒子5〜50重量部を含有する樹脂組成物は、特に
好適なものの一つである。
【0019】ここで、ガラス転移温度が60〜110℃
であるアクリル樹脂としては、メタクリル酸エステル、
特にメタクリル酸メチルの単独重合体又は、メタクリル
酸エステル、特にメタクリル酸メチルを主体とし、これ
とアクリル酸エステルとの共重合体であるのが好まし
い。メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとの共重
合体とする場合、好ましい共重合割合は、メタクリル酸
メチルが 50〜99.5重量%、さらには50〜99重
量%、そしてアクリル酸エステルが 50〜0.5重量
%、さらには50〜1重量%の範囲である。アクリル樹
脂のガラス転移温度を調節するには、メタクリル酸メチ
ルに共重合されるアクリル酸エステルの種類と量を調整
すればよい。すなわち、メタクリル酸メチルの単独重合
体のガラス転移温度は約106℃であるが、メタクリル
酸メチルとの共重合に用いるアクリル酸エステルの単独
重合体のガラス転移温度がそれより低ければ、そのアク
リル酸エステルを用いた共重合体のガラス転移温度は低
下するし、メタクリル酸メチルとの共重合に用いるアク
リル酸エステルの単独重合体のガラス転移温度がそれよ
り高ければ、そのアクリル酸エステルを用いた共重合体
のガラス転移温度は上昇する。
であるアクリル樹脂としては、メタクリル酸エステル、
特にメタクリル酸メチルの単独重合体又は、メタクリル
酸エステル、特にメタクリル酸メチルを主体とし、これ
とアクリル酸エステルとの共重合体であるのが好まし
い。メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとの共重
合体とする場合、好ましい共重合割合は、メタクリル酸
メチルが 50〜99.5重量%、さらには50〜99重
量%、そしてアクリル酸エステルが 50〜0.5重量
%、さらには50〜1重量%の範囲である。アクリル樹
脂のガラス転移温度を調節するには、メタクリル酸メチ
ルに共重合されるアクリル酸エステルの種類と量を調整
すればよい。すなわち、メタクリル酸メチルの単独重合
体のガラス転移温度は約106℃であるが、メタクリル
酸メチルとの共重合に用いるアクリル酸エステルの単独
重合体のガラス転移温度がそれより低ければ、そのアク
リル酸エステルを用いた共重合体のガラス転移温度は低
下するし、メタクリル酸メチルとの共重合に用いるアク
リル酸エステルの単独重合体のガラス転移温度がそれよ
り高ければ、そのアクリル酸エステルを用いた共重合体
のガラス転移温度は上昇する。
【0020】メタクリル酸メチルと共重合されるアクリ
ル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル
酸フェニルなどを挙げることができる。中でもアクリル
酸アルキルが好適であり、そのアルキル部分の炭素数は
1〜8程度であることができる。アルキル部分の炭素数
が多いアクリル酸アルキルほど、少量の使用で共重合体
のガラス転移温度を下げることができる。
ル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル
酸フェニルなどを挙げることができる。中でもアクリル
酸アルキルが好適であり、そのアルキル部分の炭素数は
1〜8程度であることができる。アルキル部分の炭素数
が多いアクリル酸アルキルほど、少量の使用で共重合体
のガラス転移温度を下げることができる。
【0021】アクリル樹脂にゴム粒子を含有させる場
合、このゴム粒子は、アクリル系のものであるのが好ま
しく、具体的には、ゴム弾性層を含むコアシェル構造の
アクリル系重合体を挙げることができる。ここで、ゴム
弾性層を含むコアシェル構造のアクリル系重合体として
は、内層がアルキル部分の炭素数4〜8のアクリル酸ア
ルキルと多官能単量体との共重合体からなるゴム弾性層
であり、外層がメタクリル酸メチルを主成分とする硬質
重合体である2層構造のアクリル系重合体や、最内層が
メタクリル酸メチルを主成分とする硬質重合体であり、
中間層がアルキル部分の炭素数4〜8のアクリル酸アル
キルと多官能単量体との共重合体からなるゴム弾性層で
あり、最外層がメタクリル酸メチルを主成分とする硬質
重合体である3層構造のアクリル系重合体などが挙げら
れる。
合、このゴム粒子は、アクリル系のものであるのが好ま
しく、具体的には、ゴム弾性層を含むコアシェル構造の
アクリル系重合体を挙げることができる。ここで、ゴム
弾性層を含むコアシェル構造のアクリル系重合体として
は、内層がアルキル部分の炭素数4〜8のアクリル酸ア
ルキルと多官能単量体との共重合体からなるゴム弾性層
であり、外層がメタクリル酸メチルを主成分とする硬質
重合体である2層構造のアクリル系重合体や、最内層が
メタクリル酸メチルを主成分とする硬質重合体であり、
中間層がアルキル部分の炭素数4〜8のアクリル酸アル
キルと多官能単量体との共重合体からなるゴム弾性層で
あり、最外層がメタクリル酸メチルを主成分とする硬質
重合体である3層構造のアクリル系重合体などが挙げら
れる。
【0022】このような多層構造のアクリル系ゴム粒子
は、例えば、特公昭 55-27576 号公報(= USP 3,793,4
02)などに記載の方法によって、製造することができ
る。特に上記した3層構造のものが好ましく、特公昭 5
5-27576 号公報の実施例3に記載のものは、好ましい組
成の一つである。
は、例えば、特公昭 55-27576 号公報(= USP 3,793,4
02)などに記載の方法によって、製造することができ
る。特に上記した3層構造のものが好ましく、特公昭 5
5-27576 号公報の実施例3に記載のものは、好ましい組
成の一つである。
【0023】上記アクリル系樹脂には、周知のヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオ
ウ系酸化防止剤、また紫外線吸収剤やヒンダードアミン
系光安定剤のような耐候剤、難燃剤、着色剤、顔料、染
料、無機系充填剤などの各種添加剤を配合してもよい。
紫外線吸収剤として一般には、ベンゾトリアゾール系や
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が、それぞれ単独で、
又は2種以上混合して用いることができるが、フィルム
からの揮発をなくし、また、着色層や接着層、バッキン
グ層などの下地が劣化するのを防止する観点から、高分
子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
このような高分子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤の例として、2,2′−メチレンビス〔4−(1,
1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕が挙げられ
る。紫外線吸収剤を配合する場合、特に積層フィルムの
最上層であって、バッキング層側に熱可塑性樹脂からな
る基材が貼合された成形体の状態でも最表面となる層に
対しては、0.1重量%(1,000ppm )以上配合する
のが好ましく、さらには 0.3重量%以上配合するのが
より好ましい。また、紫外線吸収剤の添加量は通常、2
重量%以下でよい。
ドフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオ
ウ系酸化防止剤、また紫外線吸収剤やヒンダードアミン
系光安定剤のような耐候剤、難燃剤、着色剤、顔料、染
料、無機系充填剤などの各種添加剤を配合してもよい。
紫外線吸収剤として一般には、ベンゾトリアゾール系や
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が、それぞれ単独で、
又は2種以上混合して用いることができるが、フィルム
からの揮発をなくし、また、着色層や接着層、バッキン
グ層などの下地が劣化するのを防止する観点から、高分
子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
このような高分子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤の例として、2,2′−メチレンビス〔4−(1,
1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕が挙げられ
る。紫外線吸収剤を配合する場合、特に積層フィルムの
最上層であって、バッキング層側に熱可塑性樹脂からな
る基材が貼合された成形体の状態でも最表面となる層に
対しては、0.1重量%(1,000ppm )以上配合する
のが好ましく、さらには 0.3重量%以上配合するのが
より好ましい。また、紫外線吸収剤の添加量は通常、2
重量%以下でよい。
【0024】本発明の積層フィルムにおいて、アクリル
系樹脂からなる層は、単層でも多層でもよい。単層とす
る場合の例としては、アクリル系樹脂からなる透明層又
はアクリル系樹脂からなる着色層を挙げることができ
る。多層とする場合の例としては、アクリル系樹脂から
なる透明層とアクリル系樹脂からなる着色層とを含む少
なくとも2層からなるものや、アクリル系樹脂からなる
透明層と、印刷面を有する印刷層と、アクリル系樹脂か
らなる着色層とをこの順序で含む少なくとも3層のもの
を挙げることができる。
系樹脂からなる層は、単層でも多層でもよい。単層とす
る場合の例としては、アクリル系樹脂からなる透明層又
はアクリル系樹脂からなる着色層を挙げることができ
る。多層とする場合の例としては、アクリル系樹脂から
なる透明層とアクリル系樹脂からなる着色層とを含む少
なくとも2層からなるものや、アクリル系樹脂からなる
透明層と、印刷面を有する印刷層と、アクリル系樹脂か
らなる着色層とをこの順序で含む少なくとも3層のもの
を挙げることができる。
【0025】このように、アクリル系樹脂からなる層が
着色層を含む場合、アクリル系樹脂には着色剤を含有さ
せることが必要になるが、このために用いられる着色剤
に特別な制限はなく、無機顔料及び有機顔料のいずれを
用いてもよい。例えば、カーボンブラック、酸化チタ
ン、カオリンクレー、亜鉛華、ベンガラ、パーマネント
レッド、モリブデンオレンジ、コバルトブルー、群青、
フタロシアニンブルー、マンガンバイオレットなどが挙
げられる。これらの顔料は、単独で使用してもよいし、
複数組み合わせて使用してもよい。また、メタリック調
又はパール調とするためには、アルミニウムフレークや
パール顔料を用いることができる。さらには、染料を含
有させることもできる。
着色層を含む場合、アクリル系樹脂には着色剤を含有さ
せることが必要になるが、このために用いられる着色剤
に特別な制限はなく、無機顔料及び有機顔料のいずれを
用いてもよい。例えば、カーボンブラック、酸化チタ
ン、カオリンクレー、亜鉛華、ベンガラ、パーマネント
レッド、モリブデンオレンジ、コバルトブルー、群青、
フタロシアニンブルー、マンガンバイオレットなどが挙
げられる。これらの顔料は、単独で使用してもよいし、
複数組み合わせて使用してもよい。また、メタリック調
又はパール調とするためには、アルミニウムフレークや
パール顔料を用いることができる。さらには、染料を含
有させることもできる。
【0026】アクリル系樹脂からなる層が印刷層を含む
場合も、その印刷層を設ける方法に特別な制限はなく、
公知の方法により形成すればよい。例えば、グラビア印
刷、スクリーン印刷、あるいはコンピューターグラフィ
ック技術を利用したインクジェットプリンターによる印
刷などが挙げられる。用いる印刷インキについても特別
な制限はなく、ウレタン系インキや酢酸ビニル/アクリ
ル系インキ、また水性インキなどを使用することができ
る。
場合も、その印刷層を設ける方法に特別な制限はなく、
公知の方法により形成すればよい。例えば、グラビア印
刷、スクリーン印刷、あるいはコンピューターグラフィ
ック技術を利用したインクジェットプリンターによる印
刷などが挙げられる。用いる印刷インキについても特別
な制限はなく、ウレタン系インキや酢酸ビニル/アクリ
ル系インキ、また水性インキなどを使用することができ
る。
【0027】アクリル系樹脂からなる層が、透明層及び
着色層を含む少なくとも2層である場合、また、透明
層、印刷層及び着色層を含む少なくとも3層である場合
には、通常、透明層が最上層となるように積層フィルム
が構成される。この場合、積層フィルムの含ブタジエン
樹脂からなる第二の樹脂層側に、基材となる含ブタジエ
ン樹脂を射出して成形体とした後に、意匠面となる透明
層側から、着色層の着色面や印刷面、さらには光輝材を
含有させた基材の表面を見たとき、アクリル系樹脂の特
徴である高い透明性により、深み感を持った表面を有す
る成形体が得られる。したがって、アクリル系樹脂から
なる第一の樹脂層は、透明層を最上層として含んでいる
ことが好ましい。
着色層を含む少なくとも2層である場合、また、透明
層、印刷層及び着色層を含む少なくとも3層である場合
には、通常、透明層が最上層となるように積層フィルム
が構成される。この場合、積層フィルムの含ブタジエン
樹脂からなる第二の樹脂層側に、基材となる含ブタジエ
ン樹脂を射出して成形体とした後に、意匠面となる透明
層側から、着色層の着色面や印刷面、さらには光輝材を
含有させた基材の表面を見たとき、アクリル系樹脂の特
徴である高い透明性により、深み感を持った表面を有す
る成形体が得られる。したがって、アクリル系樹脂から
なる第一の樹脂層は、透明層を最上層として含んでいる
ことが好ましい。
【0028】アクリル系樹脂からなる層は、アクリル系
樹脂をTダイ押出成形法やカレンダー成形法などの成形
方法によって製膜することができる。得られるフィルム
の厚み精度や表面平滑性の観点から、フィルムの両面を
ロールの表面に接触させて成形する押出成形法や、フィ
ルムの両面を金属ベルトの表面に接触させて成形する押
出成形法が好ましい。
樹脂をTダイ押出成形法やカレンダー成形法などの成形
方法によって製膜することができる。得られるフィルム
の厚み精度や表面平滑性の観点から、フィルムの両面を
ロールの表面に接触させて成形する押出成形法や、フィ
ルムの両面を金属ベルトの表面に接触させて成形する押
出成形法が好ましい。
【0029】得られるフィルム中に粒径100μm 以下
の異物が存在していても、フィルムの見栄えやフィルム
への印刷性が、かかる異物によって好ましくない影響を
受けることから、製膜にあたっては、かかる異物の混入
を防止するために、溶融されたアクリル系樹脂の通路に
金属製又は焼結セラミックス製などのスクリーンメッシ
ュを配置するのが好ましい。スクリーンメッシュとして
は、目詰まりしにくいという観点から、また目詰まりし
た場合においても目詰まり物を除去するために生産工程
を停止する頻度が少ないという観点から、例えば、ドイ
ツ国グノイス社製のロータリー型スクリーンチェンジャ
ーが好ましい。このようなロータリー型スクリーンチェ
ンジャーを用いることによって、粒径100μm 以下の
異物を実質上含まないフィルムを得ることができる。
の異物が存在していても、フィルムの見栄えやフィルム
への印刷性が、かかる異物によって好ましくない影響を
受けることから、製膜にあたっては、かかる異物の混入
を防止するために、溶融されたアクリル系樹脂の通路に
金属製又は焼結セラミックス製などのスクリーンメッシ
ュを配置するのが好ましい。スクリーンメッシュとして
は、目詰まりしにくいという観点から、また目詰まりし
た場合においても目詰まり物を除去するために生産工程
を停止する頻度が少ないという観点から、例えば、ドイ
ツ国グノイス社製のロータリー型スクリーンチェンジャ
ーが好ましい。このようなロータリー型スクリーンチェ
ンジャーを用いることによって、粒径100μm 以下の
異物を実質上含まないフィルムを得ることができる。
【0030】アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層の厚
みは、単層である場合はその厚さとして、また多層であ
る場合はそれらの合計厚さとして、通常30〜700μ
m 、好ましくは100〜500μm 、さらに好ましくは
200〜400μm である。厚みはマイクロメーターで
測定される。この樹脂層が透明層と着色層とを有する場
合、透明層の厚みは、通常10〜300μm 、好ましく
は30〜150μm であり、着色層の厚みは、通常20
〜400μm 、好ましくは70〜250μm である。
みは、単層である場合はその厚さとして、また多層であ
る場合はそれらの合計厚さとして、通常30〜700μ
m 、好ましくは100〜500μm 、さらに好ましくは
200〜400μm である。厚みはマイクロメーターで
測定される。この樹脂層が透明層と着色層とを有する場
合、透明層の厚みは、通常10〜300μm 、好ましく
は30〜150μm であり、着色層の厚みは、通常20
〜400μm 、好ましくは70〜250μm である。
【0031】アクリル系樹脂からなる層が二層以上で構
成される場合は、例えば、透明層と着色層とを同時に押
出して積層する多層押出法により製造してもよいし、別
々に製造された透明層と着色層とを貼合して製造しても
よい。また、一方の樹脂層をフィルム状に押出成形して
おき、他方の樹脂層を別途押出成形し、押出し直後の加
熱状態にあるその樹脂フィルムに先の樹脂フィルムを貼
合してもよく、貼合後直ちに両樹脂層をロール表面又は
ベルト表面に接触させることにより、2層以上からなる
積層体とすることができる。
成される場合は、例えば、透明層と着色層とを同時に押
出して積層する多層押出法により製造してもよいし、別
々に製造された透明層と着色層とを貼合して製造しても
よい。また、一方の樹脂層をフィルム状に押出成形して
おき、他方の樹脂層を別途押出成形し、押出し直後の加
熱状態にあるその樹脂フィルムに先の樹脂フィルムを貼
合してもよく、貼合後直ちに両樹脂層をロール表面又は
ベルト表面に接触させることにより、2層以上からなる
積層体とすることができる。
【0032】またこのように、アクリル系樹脂からなる
層を多層とする場合は、その少なくとも一つの層に、前
記したゴム粒子、特にアクリル系ゴム粒子を存在させる
のが好ましい。透明層と着色層を含む少なくとも2層で
アクリル系樹脂の層を構成する場合には、少なくとも着
色層にアクリル系ゴム粒子を含有させるのが有利であ
り、この場合、透明層にもアクリル系ゴム粒子を含有さ
せてもよい。メタクリル酸メチル主体の重合体にゴム粒
子が配合されたメタクリル樹脂は、耐衝撃グレードとし
て販売されている。
層を多層とする場合は、その少なくとも一つの層に、前
記したゴム粒子、特にアクリル系ゴム粒子を存在させる
のが好ましい。透明層と着色層を含む少なくとも2層で
アクリル系樹脂の層を構成する場合には、少なくとも着
色層にアクリル系ゴム粒子を含有させるのが有利であ
り、この場合、透明層にもアクリル系ゴム粒子を含有さ
せてもよい。メタクリル酸メチル主体の重合体にゴム粒
子が配合されたメタクリル樹脂は、耐衝撃グレードとし
て販売されている。
【0033】本発明では、以上のようなアクリル系樹脂
からなる第一の樹脂層に、含ブタジエン樹脂組成物から
なる第二の樹脂層を積層して積層フィルムとする。ここ
でいう含ブタジエン樹脂は、芳香族ビニル化合物とシア
ン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする樹
脂であり、典型的なものにABS樹脂がある。ABS
は、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの頭文字
であり、これらを含む形で重合して得られる樹脂がAB
S樹脂であるが、本明細書では、アクリロニトリルのほ
か、メタクリロニトリルなどを包含するシアン化ビニル
化合物を用いた場合、また、スチレンのほか、α−メチ
ルスチレンや核置換スチレンなどを包含する芳香族ビニ
ル化合物を用いた場合を含めて、含ブタジエン樹脂と総
称する。
からなる第一の樹脂層に、含ブタジエン樹脂組成物から
なる第二の樹脂層を積層して積層フィルムとする。ここ
でいう含ブタジエン樹脂は、芳香族ビニル化合物とシア
ン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする樹
脂であり、典型的なものにABS樹脂がある。ABS
は、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの頭文字
であり、これらを含む形で重合して得られる樹脂がAB
S樹脂であるが、本明細書では、アクリロニトリルのほ
か、メタクリロニトリルなどを包含するシアン化ビニル
化合物を用いた場合、また、スチレンのほか、α−メチ
ルスチレンや核置換スチレンなどを包含する芳香族ビニ
ル化合物を用いた場合を含めて、含ブタジエン樹脂と総
称する。
【0034】芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合
物及びブタジエンの重合順序や、複数の重合体を混合す
る場合の混合のしかたによって、各種の含ブタジエン樹
脂があり得る。例えば、ブタジエンを含む単量体の重
合で調製されたゴムに、芳香族ビニル化合物及びシアン
化ビニル化合物を含む単量体をグラフト重合して得られ
るグラフト重合体や、ブタジエンを含む単量体の重合
で調製されたゴムと、芳香族ビニル化合物及びシアン化
ビニル化合物を含む単量体の重合により得られる共重合
体との混合物や、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビ
ニル化合物を含む単量体を重合して得られる共重合体
と、上記の混合物とを溶融混合したものなどを挙げる
ことができる。そして本発明では、所定量の無機フィラ
ーを含有するとともに、ゴム相に相当するアセトン不溶
樹脂分が5〜40重量%の範囲にある含ブタジエン樹脂
組成物を用いる。
物及びブタジエンの重合順序や、複数の重合体を混合す
る場合の混合のしかたによって、各種の含ブタジエン樹
脂があり得る。例えば、ブタジエンを含む単量体の重
合で調製されたゴムに、芳香族ビニル化合物及びシアン
化ビニル化合物を含む単量体をグラフト重合して得られ
るグラフト重合体や、ブタジエンを含む単量体の重合
で調製されたゴムと、芳香族ビニル化合物及びシアン化
ビニル化合物を含む単量体の重合により得られる共重合
体との混合物や、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビ
ニル化合物を含む単量体を重合して得られる共重合体
と、上記の混合物とを溶融混合したものなどを挙げる
ことができる。そして本発明では、所定量の無機フィラ
ーを含有するとともに、ゴム相に相当するアセトン不溶
樹脂分が5〜40重量%の範囲にある含ブタジエン樹脂
組成物を用いる。
【0035】グラフト重合体の製造に使用され、あるい
は芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む
単量体の重合により得られる共重合体との混合に使用さ
れるゴムは、その単量体としてブタジエンを含むことが
必須であり、その他に芳香族ビニル化合物やシアン化ビ
ニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルカル
ボン酸化合物など、ブタジエンと共重合する他の単量体
を共重合することもできる。ブタジエンは、ゴムを構成
する単量体のうち70重量%以上を占めるようにするの
が好ましく、さらには80重量%以上となるようにする
のが一層好ましい。ゴムの例としては、ポリブタジエ
ン、ブタジエン−スチレン共重合ゴム、ブタジエン−ア
クリルロトリル共重合ゴムのようなジエン系共重合体、
また水添ジエン系重合体などが挙げられる。これらの中
でも、ポリブタジエンが望ましい。
は芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む
単量体の重合により得られる共重合体との混合に使用さ
れるゴムは、その単量体としてブタジエンを含むことが
必須であり、その他に芳香族ビニル化合物やシアン化ビ
ニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルカル
ボン酸化合物など、ブタジエンと共重合する他の単量体
を共重合することもできる。ブタジエンは、ゴムを構成
する単量体のうち70重量%以上を占めるようにするの
が好ましく、さらには80重量%以上となるようにする
のが一層好ましい。ゴムの例としては、ポリブタジエ
ン、ブタジエン−スチレン共重合ゴム、ブタジエン−ア
クリルロトリル共重合ゴムのようなジエン系共重合体、
また水添ジエン系重合体などが挙げられる。これらの中
でも、ポリブタジエンが望ましい。
【0036】グラフト重合体は、上記ゴムに芳香族ビニ
ル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラフト重合させ
ることにより得られるが、その際必要に応じて、(メ
タ)アクリル酸エステル、ビニルカルボン酸化合物、マ
レイミド系ビニル化合物などの共重合可能な他の単量体
を共にグラフト重合させることもできる。
ル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラフト重合させ
ることにより得られるが、その際必要に応じて、(メ
タ)アクリル酸エステル、ビニルカルボン酸化合物、マ
レイミド系ビニル化合物などの共重合可能な他の単量体
を共にグラフト重合させることもできる。
【0037】含ブタジエン樹脂は、上記のような、ゴム
に芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラ
フト重合させたグラフト重合体であってもよいし、芳香
族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む単量体
から得られる共重合体を上記したゴムに混合したもので
あってもよい。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化
ビニル化合物を含む単量体から得られる共重合体を、上
記したグラフト重合体と溶融混合することもできる。
に芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラ
フト重合させたグラフト重合体であってもよいし、芳香
族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む単量体
から得られる共重合体を上記したゴムに混合したもので
あってもよい。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化
ビニル化合物を含む単量体から得られる共重合体を、上
記したグラフト重合体と溶融混合することもできる。
【0038】含ブタジエン樹脂の組成は、ゴムに芳香族
ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラフト重合
させたグラフト重合体、芳香族ビニル化合物及びシアン
化ビニル化合物を含む単量体から得られる共重合体とゴ
ムとの混合物、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル
化合物を含む単量体から得られる共重合体と、上記した
グラフト重合体との混合物のいずれであっても、その中
のゴムは、5〜40重量%となるように調節するのが好
ましく、さらには10重量%以上、また35重量%以下
とするのがより好ましい。このゴムは前述のとおり、全
量がブタジエン由来であるのが好ましいが、一部が共重
合性単量体に置き換わっても構わない。同じく芳香族ビ
ニル化合物は、30〜80重量%となるように調節する
のが好ましく、さらには40重量%以上、また70重量
%以下とするのがより好ましい。同じくシアン化ビニル
化合物は、5〜80重量%となるように調節するのが好
ましく、さらには10重量%以上、また70重量%以下
とするのがより好ましい。
ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラフト重合
させたグラフト重合体、芳香族ビニル化合物及びシアン
化ビニル化合物を含む単量体から得られる共重合体とゴ
ムとの混合物、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル
化合物を含む単量体から得られる共重合体と、上記した
グラフト重合体との混合物のいずれであっても、その中
のゴムは、5〜40重量%となるように調節するのが好
ましく、さらには10重量%以上、また35重量%以下
とするのがより好ましい。このゴムは前述のとおり、全
量がブタジエン由来であるのが好ましいが、一部が共重
合性単量体に置き換わっても構わない。同じく芳香族ビ
ニル化合物は、30〜80重量%となるように調節する
のが好ましく、さらには40重量%以上、また70重量
%以下とするのがより好ましい。同じくシアン化ビニル
化合物は、5〜80重量%となるように調節するのが好
ましく、さらには10重量%以上、また70重量%以下
とするのがより好ましい。
【0039】ゴムにグラフト重合される、又はゴムと混
合される共重合体に用いられる単量体は、芳香族ビニル
化合物及びシアン化ビニル化合物を含むものであり、こ
れら2種の単量体を必須とするが、そのほかに共重合可
能な他の単量体を含んでいてもよい。必要に応じて用い
られる共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル
酸エステル、ビニルカルボン酸化合物、マレイミド系ビ
ニル化合物などを挙げることができる。
合される共重合体に用いられる単量体は、芳香族ビニル
化合物及びシアン化ビニル化合物を含むものであり、こ
れら2種の単量体を必須とするが、そのほかに共重合可
能な他の単量体を含んでいてもよい。必要に応じて用い
られる共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル
酸エステル、ビニルカルボン酸化合物、マレイミド系ビ
ニル化合物などを挙げることができる。
【0040】ゴムに任意に使用され、またグラフト重合
体、及び芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物の
共重合体に必須に使用される芳香族ビニル化合物として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロ
ロスチレン、α−ブロモスチレン、p−メチルスチレン
の如き核置換スチレンなどを挙げることができ、これら
のいずれか1種類を用いるか、又は2種類以上を混合し
て用いる。これらの中でも、スチレンやα−メチルスチ
レンが望ましい。特に、スチレンを単独で用いるか、又
はスチレンとα−メチルスチレンを併用したものが多
い。また、ゴム、グラフト重合体、及び芳香族ビニル化
合物/シアン化ビニル化合物の共重合体には、それぞれ
異なった芳香族ビニル化合物を用いてもよいし、同一の
芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
体、及び芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物の
共重合体に必須に使用される芳香族ビニル化合物として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロ
ロスチレン、α−ブロモスチレン、p−メチルスチレン
の如き核置換スチレンなどを挙げることができ、これら
のいずれか1種類を用いるか、又は2種類以上を混合し
て用いる。これらの中でも、スチレンやα−メチルスチ
レンが望ましい。特に、スチレンを単独で用いるか、又
はスチレンとα−メチルスチレンを併用したものが多
い。また、ゴム、グラフト重合体、及び芳香族ビニル化
合物/シアン化ビニル化合物の共重合体には、それぞれ
異なった芳香族ビニル化合物を用いてもよいし、同一の
芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
【0041】同様に、ゴムに任意に使用され、またグラ
フト重合体、及び芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル
化合物の共重合体に必須に使用されるシアン化ビニル化
合物としては、アクリロニトリルやメタクリロニトリル
などを挙げることができ、これらのいずれか1種類を用
いるか、又は2種類以上を混合して用いる。中でもアク
リロニトリルが好ましく用いられる。やはり、ゴム、グ
ラフト重合体、及び芳香族ビニル化合物/シアン化ビニ
ル化合物の共重合体に対して、それぞれ異なったシアン
化ビニル化合物を用いてもよいし、同一のシアン化ビニ
ル化合物を用いても構わない。
フト重合体、及び芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル
化合物の共重合体に必須に使用されるシアン化ビニル化
合物としては、アクリロニトリルやメタクリロニトリル
などを挙げることができ、これらのいずれか1種類を用
いるか、又は2種類以上を混合して用いる。中でもアク
リロニトリルが好ましく用いられる。やはり、ゴム、グ
ラフト重合体、及び芳香族ビニル化合物/シアン化ビニ
ル化合物の共重合体に対して、それぞれ異なったシアン
化ビニル化合物を用いてもよいし、同一のシアン化ビニ
ル化合物を用いても構わない。
【0042】ゴム、グラフト重合体、及び芳香族ビニル
化合物/シアン化ビニル化合物の共重合体にそれぞれ任
意に使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、
アクリル酸メチルをはじめとするアルキル部分の炭素数
が1〜12であるアクリル酸アルキル、メタクリル酸メ
チルをはじめとするアルキル部分の炭素数が1〜12で
あるメタクリル酸アルキルを挙げることができる。ゴ
ム、グラフト重合体、及び芳香族ビニル化合物/シアン
化ビニル化合物の共重合体に任意に使用されるビニルカ
ルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、無水マレイン酸などを挙げることができる。
化合物/シアン化ビニル化合物の共重合体にそれぞれ任
意に使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、
アクリル酸メチルをはじめとするアルキル部分の炭素数
が1〜12であるアクリル酸アルキル、メタクリル酸メ
チルをはじめとするアルキル部分の炭素数が1〜12で
あるメタクリル酸アルキルを挙げることができる。ゴ
ム、グラフト重合体、及び芳香族ビニル化合物/シアン
化ビニル化合物の共重合体に任意に使用されるビニルカ
ルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、無水マレイン酸などを挙げることができる。
【0043】さらに、グラフト重合体、及び芳香族ビニ
ル化合物/シアン化ビニル化合物の共重合体にそれぞれ
任意に使用されるマレイミド系ビニル化合物としては、
例えば、アルキル部分の炭素数が1〜4であるN−アル
キル置換マレイミド、N−フェニルマレイミド、核置換
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ドなどを挙げることができる。これらの中でも、N−フ
ェニルマレイミドが好ましい。N−置換マレイミドの単
位は、例えば、無水マレイン酸を共重合させたのちに、
アニリンなどのアミン類を用いてイミド化することによ
って、構成することもできる。
ル化合物/シアン化ビニル化合物の共重合体にそれぞれ
任意に使用されるマレイミド系ビニル化合物としては、
例えば、アルキル部分の炭素数が1〜4であるN−アル
キル置換マレイミド、N−フェニルマレイミド、核置換
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ドなどを挙げることができる。これらの中でも、N−フ
ェニルマレイミドが好ましい。N−置換マレイミドの単
位は、例えば、無水マレイン酸を共重合させたのちに、
アニリンなどのアミン類を用いてイミド化することによ
って、構成することもできる。
【0044】ゴムの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化
重合のいずれにても行える。後工程のグラフト重合を乳
化状態で行う場合には、溶液重合又は塊状重合によって
ゴムを製造した後に、必要なら乳化するか、もとから乳
化重合によって製造される。
重合のいずれにても行える。後工程のグラフト重合を乳
化状態で行う場合には、溶液重合又は塊状重合によって
ゴムを製造した後に、必要なら乳化するか、もとから乳
化重合によって製造される。
【0045】グラフト重合体は、上記で得られたゴム
に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び
必要に応じてその他の共重合可能な単量体をグラフト重
合させることにより得られる。グラフト重合は、溶液重
合、塊状重合、乳化重合のいずれにても行えるが、乳化
重合が望ましい。このグラフト重合の過程で、非グラフ
ト共重合体が副生することもあるが、これは、芳香族ビ
ニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む単量体から
製造される共重合体に含まれる。芳香族ビニル化合物及
びシアン化ビニル化合物を含む単量体からの共重合体を
別工程で製造する場合は、溶液重合、塊状重合、乳化重
合のいずれにても行うことができる。
に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び
必要に応じてその他の共重合可能な単量体をグラフト重
合させることにより得られる。グラフト重合は、溶液重
合、塊状重合、乳化重合のいずれにても行えるが、乳化
重合が望ましい。このグラフト重合の過程で、非グラフ
ト共重合体が副生することもあるが、これは、芳香族ビ
ニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む単量体から
製造される共重合体に含まれる。芳香族ビニル化合物及
びシアン化ビニル化合物を含む単量体からの共重合体を
別工程で製造する場合は、溶液重合、塊状重合、乳化重
合のいずれにても行うことができる。
【0046】含ブタジエン樹脂は、前記のグラフト重合
体を主成分とするか、又は前記の芳香族ビニル化合物及
びシアン化ビニル化合物を含む単量体から得られる共重
合体とゴムを主成分とするものであるが、必要に応じて
他の熱可塑性樹脂を配合することもでき、またその他
に、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸
収剤、着色剤、発泡剤、あるいは熱可塑性樹脂組成物に
おいて一般的に用いられるその他の配合剤や添加剤を配
合することも可能である。含ブタジエン樹脂に配合し得
る他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネー
ト、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルなどを挙げる
ことができる。
体を主成分とするか、又は前記の芳香族ビニル化合物及
びシアン化ビニル化合物を含む単量体から得られる共重
合体とゴムを主成分とするものであるが、必要に応じて
他の熱可塑性樹脂を配合することもでき、またその他
に、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸
収剤、着色剤、発泡剤、あるいは熱可塑性樹脂組成物に
おいて一般的に用いられるその他の配合剤や添加剤を配
合することも可能である。含ブタジエン樹脂に配合し得
る他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネー
ト、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルなどを挙げる
ことができる。
【0047】本発明の積層フィルムにおいて、第二の樹
脂層は、所定量の無機フィラーを含有するとともに、ア
セトン不溶樹脂分が5〜40重量%の範囲にある含ブタ
ジエン樹脂組成物で構成する。ここで、アセトン不溶樹
脂分は、この含ブタジエン樹脂をアセトンに溶解したと
きに不溶分として検出される成分であり、概ね含ブタジ
エン樹脂中のゴム含量に対応するが、ゴムに完全にグラ
フト結合している芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニ
ル化合物も含んで検出される。使用する芳香族ビニル化
合物とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量
体とする含ブタジエン樹脂の実態的な指標を表す数字で
あることから、本発明では、このアセトン不溶樹脂分の
量を採用する。なお、無機フィラーが配合された状態の
含ブタジエン樹脂組成物をアセトンに溶解すると、無機
フィラーもアセトンには溶けないが、アセトン不溶樹脂
分は、全アセトン不溶分から無機フィラーの量を差し引
いた値、すなわち、アセトン不溶樹脂分=全アセトン不
溶分−無機フィラー分に相当する値をいう。
脂層は、所定量の無機フィラーを含有するとともに、ア
セトン不溶樹脂分が5〜40重量%の範囲にある含ブタ
ジエン樹脂組成物で構成する。ここで、アセトン不溶樹
脂分は、この含ブタジエン樹脂をアセトンに溶解したと
きに不溶分として検出される成分であり、概ね含ブタジ
エン樹脂中のゴム含量に対応するが、ゴムに完全にグラ
フト結合している芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニ
ル化合物も含んで検出される。使用する芳香族ビニル化
合物とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量
体とする含ブタジエン樹脂の実態的な指標を表す数字で
あることから、本発明では、このアセトン不溶樹脂分の
量を採用する。なお、無機フィラーが配合された状態の
含ブタジエン樹脂組成物をアセトンに溶解すると、無機
フィラーもアセトンには溶けないが、アセトン不溶樹脂
分は、全アセトン不溶分から無機フィラーの量を差し引
いた値、すなわち、アセトン不溶樹脂分=全アセトン不
溶分−無機フィラー分に相当する値をいう。
【0048】この第二の樹脂層は、上記の含ブタジエン
樹脂及び無機フィラーを含有する樹脂組成物から構成さ
れている。無機フィラーを含有させることは、予備賦形
のために行う真空成形などの熱成形時又はその成形後、
積層フィルムがカールするのを防止するために有効であ
る。この第二の樹脂層は、積層フィルムにおけるバッキ
ング層として用いられる。
樹脂及び無機フィラーを含有する樹脂組成物から構成さ
れている。無機フィラーを含有させることは、予備賦形
のために行う真空成形などの熱成形時又はその成形後、
積層フィルムがカールするのを防止するために有効であ
る。この第二の樹脂層は、積層フィルムにおけるバッキ
ング層として用いられる。
【0049】第二の樹脂層に用いる無機フィラーとして
は、例えば、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、硫酸バ
リウム、珪酸カルシウム、クレー、炭酸マグネシウム、
アルミナ、シリカ、ガラス繊維強化剤などが挙げられ
る。これらの中でもタルクが好ましい。第二の樹脂層に
おける無機フィラーの含有量は、1〜40重量%の範囲
から選択されるが、好ましくは5重量%以上、さらには
10重量%以上であり、また好ましくは30重量%以下
である。無機フィラーの量が上記の範囲内にあると、真
空成形時や真空成形後のフィルムの収縮が抑制され、も
ってカールの発生が防止される。
は、例えば、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、硫酸バ
リウム、珪酸カルシウム、クレー、炭酸マグネシウム、
アルミナ、シリカ、ガラス繊維強化剤などが挙げられ
る。これらの中でもタルクが好ましい。第二の樹脂層に
おける無機フィラーの含有量は、1〜40重量%の範囲
から選択されるが、好ましくは5重量%以上、さらには
10重量%以上であり、また好ましくは30重量%以下
である。無機フィラーの量が上記の範囲内にあると、真
空成形時や真空成形後のフィルムの収縮が抑制され、も
ってカールの発生が防止される。
【0050】含ブタジエン樹脂と無機フィラーを含有す
る第二の樹脂層は、予めフィルムとして形成するが、そ
の製造方法は特に限定されず、例えば、公知の押出Tダ
イ加工法やカレンダー成形法などによって製造すること
ができる。また、第二の樹脂層の厚みにも特別な制限は
ないが、通常は10〜500μm の範囲にあるのが好ま
しい。
る第二の樹脂層は、予めフィルムとして形成するが、そ
の製造方法は特に限定されず、例えば、公知の押出Tダ
イ加工法やカレンダー成形法などによって製造すること
ができる。また、第二の樹脂層の厚みにも特別な制限は
ないが、通常は10〜500μm の範囲にあるのが好ま
しい。
【0051】本発明の積層フィルムは、上で説明した第
一の樹脂層と第二の樹脂層とを積層したものであるが、
両者の貼合方法は特に限定されず、例えば、別々に押出
成形された第一の樹脂層と第二の樹脂層とを貼合しても
よいし、また、一方の樹脂層をフィルム状に押出成形
し、押出成形された直後の加熱状態にある当該樹脂層に
他方の樹脂層を貼合してもよい。アクリル系樹脂と本発
明で規定する含ブタジエン樹脂は一般に熱融着するの
で、両層を熱融着により貼合するのが好ましいが、接着
剤の使用を妨げるものではない。
一の樹脂層と第二の樹脂層とを積層したものであるが、
両者の貼合方法は特に限定されず、例えば、別々に押出
成形された第一の樹脂層と第二の樹脂層とを貼合しても
よいし、また、一方の樹脂層をフィルム状に押出成形
し、押出成形された直後の加熱状態にある当該樹脂層に
他方の樹脂層を貼合してもよい。アクリル系樹脂と本発
明で規定する含ブタジエン樹脂は一般に熱融着するの
で、両層を熱融着により貼合するのが好ましいが、接着
剤の使用を妨げるものではない。
【0052】接着剤を用いる場合、その種類に特別な制
限はなく、一般に公知の接着剤、例えば、ポリエステル
系、ポリウレタン系、ポリアクリレート系など、フィル
ム用途向けのドライラミネート用接着剤を使用すること
ができる。接着剤は、第一の樹脂層、第二の樹脂層のい
ずれに塗布しても構わない。また、接着剤を用いる場合
は、含ブタジエン樹脂と無機フィラーを含有する第二の
樹脂層の接着剤が塗布される面に、予め75〜150W
・分/m2のコロナ放電密度でコロナ放電処理を施した
り、アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層と圧着する側
の第二の樹脂層の表面に、予め5〜50mg/m2の条件で
オゾンを吹き付けておくこともできる。
限はなく、一般に公知の接着剤、例えば、ポリエステル
系、ポリウレタン系、ポリアクリレート系など、フィル
ム用途向けのドライラミネート用接着剤を使用すること
ができる。接着剤は、第一の樹脂層、第二の樹脂層のい
ずれに塗布しても構わない。また、接着剤を用いる場合
は、含ブタジエン樹脂と無機フィラーを含有する第二の
樹脂層の接着剤が塗布される面に、予め75〜150W
・分/m2のコロナ放電密度でコロナ放電処理を施した
り、アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層と圧着する側
の第二の樹脂層の表面に、予め5〜50mg/m2の条件で
オゾンを吹き付けておくこともできる。
【0053】以上のようにして得られる、アクリル系樹
脂からなる第一の樹脂層及び、含ブタジエン樹脂と無機
フィラーを含有する第二の樹脂層との積層フィルムは、
第二の樹脂層側にABS樹脂をはじめとする含ブタジエ
ン樹脂を溶融射出して、この含ブタジエン樹脂を基材と
する成形体を製造するのに有利に用いられる。ここで基
材となる含ブタジエン樹脂は、芳香族ビニル化合物とシ
アン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする
ものであり、積層フィルムの第二の樹脂層を構成する含
ブタジエン樹脂として先に説明したものと同様のもので
あることができるが、基材となる含ブタジエン樹脂にお
いては、ゴム含量は60重量%程度まで許容される。ま
た、基材となる含ブタジエン樹脂は、前述した含ブタジ
エン樹脂に、エラストマーやフィラーのような各種改質
材が配合されていてもよい。これらは、熱可塑性樹脂の
成形の分野で公知の、射出成形法、押出成形法、ブロー
成形法などにより成形し得るものを意味する。もちろ
ん、積層フィルムにおける第二の樹脂層を構成する含ブ
タジエン樹脂と、基材を構成する含ブタジエン樹脂と
は、全く同一の組成であっても構わないし、異なる組成
であっても構わない。
脂からなる第一の樹脂層及び、含ブタジエン樹脂と無機
フィラーを含有する第二の樹脂層との積層フィルムは、
第二の樹脂層側にABS樹脂をはじめとする含ブタジエ
ン樹脂を溶融射出して、この含ブタジエン樹脂を基材と
する成形体を製造するのに有利に用いられる。ここで基
材となる含ブタジエン樹脂は、芳香族ビニル化合物とシ
アン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする
ものであり、積層フィルムの第二の樹脂層を構成する含
ブタジエン樹脂として先に説明したものと同様のもので
あることができるが、基材となる含ブタジエン樹脂にお
いては、ゴム含量は60重量%程度まで許容される。ま
た、基材となる含ブタジエン樹脂は、前述した含ブタジ
エン樹脂に、エラストマーやフィラーのような各種改質
材が配合されていてもよい。これらは、熱可塑性樹脂の
成形の分野で公知の、射出成形法、押出成形法、ブロー
成形法などにより成形し得るものを意味する。もちろ
ん、積層フィルムにおける第二の樹脂層を構成する含ブ
タジエン樹脂と、基材を構成する含ブタジエン樹脂と
は、全く同一の組成であっても構わないし、異なる組成
であっても構わない。
【0054】上記した含ブタジエン樹脂からなる基材の
表面に、先に説明した積層フィルムをその第二の樹脂層
側で積層することにより、樹脂成形体となる。かかる成
形体の製造方法としては、特に限定されるわけではない
が、まず積層フィルムを熱成形により予備成形し、得ら
れる予備賦形フィルムを金型に挿入した後、その第二の
樹脂層側に、基材となる含ブタジエン樹脂を射出成形す
ることによって、積層フィルムの第二の樹脂層と射出さ
れる含ブタジエン樹脂とを貼合させる方法が有利に採用
される。熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧
空成形などを挙げることができる。真空成形を採用する
場合について具体的に説明すると、射出成形用金型の形
状に適合するように積層フィルムを真空成形機で成形し
た後、この予備賦形された三次元形状のフィルムを射出
成形用金型の内面に、アクリル系樹脂からなる第一の樹
脂層が金型内面と接するように密着させ、金型の型締め
を行った後、基材となる含ブタジエン樹脂を金型キャビ
ティー内に溶融射出し、積層フィルムの第二の樹脂層と
基材である含ブタジエン樹脂とを貼合させることができ
る。
表面に、先に説明した積層フィルムをその第二の樹脂層
側で積層することにより、樹脂成形体となる。かかる成
形体の製造方法としては、特に限定されるわけではない
が、まず積層フィルムを熱成形により予備成形し、得ら
れる予備賦形フィルムを金型に挿入した後、その第二の
樹脂層側に、基材となる含ブタジエン樹脂を射出成形す
ることによって、積層フィルムの第二の樹脂層と射出さ
れる含ブタジエン樹脂とを貼合させる方法が有利に採用
される。熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧
空成形などを挙げることができる。真空成形を採用する
場合について具体的に説明すると、射出成形用金型の形
状に適合するように積層フィルムを真空成形機で成形し
た後、この予備賦形された三次元形状のフィルムを射出
成形用金型の内面に、アクリル系樹脂からなる第一の樹
脂層が金型内面と接するように密着させ、金型の型締め
を行った後、基材となる含ブタジエン樹脂を金型キャビ
ティー内に溶融射出し、積層フィルムの第二の樹脂層と
基材である含ブタジエン樹脂とを貼合させることができ
る。
【0055】また例えば、インモールド成形可能な金型
を取り付けた射出成形機を用いて、積層フィルムの送り
出し装置、加熱装置及び吸引装置(例えば真空ポンプ)
を備えた射出成形用金型の内面に、積層フィルムの第一
の樹脂層が金型内面と接するように密着させた後、基材
となる含ブタジエン樹脂を金型キャビティー内に溶融射
出する方法により、積層フィルムの第二の樹脂層と基材
の含ブタジエン樹脂の表面とを一体的に貼合することも
できる。このような、いわゆるインモールド成形法を採
用する場合であっても、アクリル系樹脂と無機フィラー
を含まない含ブタジエン樹脂との積層フィルムを用いる
場合には、表皮が原因で製品自体に反りを生じることが
あるが、本発明に従って、第二の樹脂層を構成する含ブ
タジエン樹脂に無機フィラーを含有させることにより、
このような反りを防止することができる。さらにまた、
溶融可塑化された含ブタジエン樹脂をダイスから押し出
すか、又は雌雄一対の金型で構成されるキャビティー内
に射出することによって基材を成形し、次いで、積層フ
ィルムを構成する第二の樹脂層の面が基材の面と接合す
るような位置関係において、基材の表面の少なくとも一
部と積層フィルムの第二の樹脂層とを一体的に貼合して
もよい。
を取り付けた射出成形機を用いて、積層フィルムの送り
出し装置、加熱装置及び吸引装置(例えば真空ポンプ)
を備えた射出成形用金型の内面に、積層フィルムの第一
の樹脂層が金型内面と接するように密着させた後、基材
となる含ブタジエン樹脂を金型キャビティー内に溶融射
出する方法により、積層フィルムの第二の樹脂層と基材
の含ブタジエン樹脂の表面とを一体的に貼合することも
できる。このような、いわゆるインモールド成形法を採
用する場合であっても、アクリル系樹脂と無機フィラー
を含まない含ブタジエン樹脂との積層フィルムを用いる
場合には、表皮が原因で製品自体に反りを生じることが
あるが、本発明に従って、第二の樹脂層を構成する含ブ
タジエン樹脂に無機フィラーを含有させることにより、
このような反りを防止することができる。さらにまた、
溶融可塑化された含ブタジエン樹脂をダイスから押し出
すか、又は雌雄一対の金型で構成されるキャビティー内
に射出することによって基材を成形し、次いで、積層フ
ィルムを構成する第二の樹脂層の面が基材の面と接合す
るような位置関係において、基材の表面の少なくとも一
部と積層フィルムの第二の樹脂層とを一体的に貼合して
もよい。
【0056】本発明の成形体は、その形状を特に限定す
るものではなく、例えば、自動車の内装部品や外装部品
のような形状であってもよいし、また、家庭電器部品の
ような形状であってもよい。さらには、看板のような形
状であってもよい。成形体の用途等に応じて、その形状
は適宜決めればよい。
るものではなく、例えば、自動車の内装部品や外装部品
のような形状であってもよいし、また、家庭電器部品の
ような形状であってもよい。さらには、看板のような形
状であってもよい。成形体の用途等に応じて、その形状
は適宜決めればよい。
【0057】本発明の積層フィルムにおいては、バッキ
ング層として、所定量の無機フィラーを含有する含ブタ
ジエン樹脂組成物を用いているため、同じ系統の含ブタ
ジエン樹脂からなる基材との密着性に優れており、長期
間にわたって基材表面の意匠性を保持することが可能と
なる。
ング層として、所定量の無機フィラーを含有する含ブタ
ジエン樹脂組成物を用いているため、同じ系統の含ブタ
ジエン樹脂からなる基材との密着性に優れており、長期
間にわたって基材表面の意匠性を保持することが可能と
なる。
【0058】また、本発明の成形体の表面(意匠面側)
は、アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層を有してお
り、特にその最上面を透明層とすれば、透明性及び表面
光沢性に優れたものとなる。そして、60°鏡面光沢度
として得られる値が、80%以上、さらには90%以上
である成形体を得ることが可能となる。ここで、60°
鏡面光沢度は、 JIS K 7105 に規定される方法で測定す
ることができ、その値が大きいほど意匠性に優れること
を意味する。
は、アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層を有してお
り、特にその最上面を透明層とすれば、透明性及び表面
光沢性に優れたものとなる。そして、60°鏡面光沢度
として得られる値が、80%以上、さらには90%以上
である成形体を得ることが可能となる。ここで、60°
鏡面光沢度は、 JIS K 7105 に規定される方法で測定す
ることができ、その値が大きいほど意匠性に優れること
を意味する。
【0059】さらに、塗装工程を必要とする従来の成形
体を本発明の積層成形体で代替する場合、成形体には、
外観が良好であることだけでなく、鉛筆硬度を指標とし
て表される耐傷付性が良好であることも要求されるが、
本発明の積層成形体については、アクリル系樹脂の種類
を選ぶことにより、鉛筆硬度がB以上、すなわちBより
硬い値を示すもの、またH以上のもの、さらには2H以
上のものを得ることが可能となる。このように本発明の
成形体は、表面の意匠性に優れるのみならず、表面の耐
傷付性能をも有する高品位外観のものとなる。
体を本発明の積層成形体で代替する場合、成形体には、
外観が良好であることだけでなく、鉛筆硬度を指標とし
て表される耐傷付性が良好であることも要求されるが、
本発明の積層成形体については、アクリル系樹脂の種類
を選ぶことにより、鉛筆硬度がB以上、すなわちBより
硬い値を示すもの、またH以上のもの、さらには2H以
上のものを得ることが可能となる。このように本発明の
成形体は、表面の意匠性に優れるのみならず、表面の耐
傷付性能をも有する高品位外観のものとなる。
【0060】本発明の成形体は、上に述べたような特性
を備えるものであるため、自動車の内・外装部品、家庭
電器部品、雑貨部品、看板などの用途に好適である。特
に、本発明の積層成形体を自動車の内・外装部品や家庭
電器部品などに使用する場合においては、意匠性を付与
するための塗装工程を必要としないことから、これらの
部品を安価に製造し得る。
を備えるものであるため、自動車の内・外装部品、家庭
電器部品、雑貨部品、看板などの用途に好適である。特
に、本発明の積層成形体を自動車の内・外装部品や家庭
電器部品などに使用する場合においては、意匠性を付与
するための塗装工程を必要としないことから、これらの
部品を安価に製造し得る。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらの例によって限定される
ものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び
部は、特記ないかぎり重量基準である。
く説明するが、本発明はこれらの例によって限定される
ものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び
部は、特記ないかぎり重量基準である。
【0062】実施例1
(A)透明層用のアクリル系樹脂
透明層用のアクリル系樹脂として、住友化学工業(株)
製で汎用グレードのメタクリル樹脂“スミペックス E
X”を用い、 これに、旭電化工業(株)製のベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤“アデカスタブ LA-31”(化学
名:2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−
テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェノール〕)を0.5% 添加して、ペ
レットとした。
製で汎用グレードのメタクリル樹脂“スミペックス E
X”を用い、 これに、旭電化工業(株)製のベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤“アデカスタブ LA-31”(化学
名:2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−
テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェノール〕)を0.5% 添加して、ペ
レットとした。
【0063】(B)着色層用のアクリル系樹脂
着色層用のアクリル系樹脂として、住友化学工業(株)
製で耐衝撃グレードのメタクリル樹脂“スミペックス H
T01X”を用い、それを97.99% 、東洋アルミニウム
(株)製で平均粒子径38μm のアルミニウム粉末を2
%、及びチタンイエロー染料を0.01% 溶融混練し、
シルバー色に着色したペレットとした。
製で耐衝撃グレードのメタクリル樹脂“スミペックス H
T01X”を用い、それを97.99% 、東洋アルミニウム
(株)製で平均粒子径38μm のアルミニウム粉末を2
%、及びチタンイエロー染料を0.01% 溶融混練し、
シルバー色に着色したペレットとした。
【0064】(C)透明アクリル樹脂/着色アクリル樹
脂二層フィルムの作製 上記(A)の透明層用ペレットと上記(B)の着色ペレ
ットとを、別々に設けられたそれぞれ設定温度260℃
の一軸押出機により溶融し、設定温度280℃のフィー
ドブロックにより各層を逐次積層した後、設定温度28
0℃のTダイから押し出した。さらに、ロール温度70
℃に設定された3本のポリシンクロールからなる成形ロ
ールを用い、そのうちの第一及び第二ロールが、押し出
された溶融樹脂に両面から接して挟み込む状態で樹脂を
冷却し、透明層/着色層の構成からなるアクリル系樹脂
フィルムを作製した。得られた積層フィルムにおける各
層の厚みは、透明層が100μm 、着色層が200μm
であった。
脂二層フィルムの作製 上記(A)の透明層用ペレットと上記(B)の着色ペレ
ットとを、別々に設けられたそれぞれ設定温度260℃
の一軸押出機により溶融し、設定温度280℃のフィー
ドブロックにより各層を逐次積層した後、設定温度28
0℃のTダイから押し出した。さらに、ロール温度70
℃に設定された3本のポリシンクロールからなる成形ロ
ールを用い、そのうちの第一及び第二ロールが、押し出
された溶融樹脂に両面から接して挟み込む状態で樹脂を
冷却し、透明層/着色層の構成からなるアクリル系樹脂
フィルムを作製した。得られた積層フィルムにおける各
層の厚みは、透明層が100μm 、着色層が200μm
であった。
【0065】(D)ABS樹脂フィルムの作製
日本エイアンドエル(株)から入手した、タルクが配合
されているABS樹脂“SXH-129”(220℃、10kg
荷重でのメルトフローレート5g/10分)をTダイフ
ィルム加工機に投入し、シリンダー設定温度260℃で
押し出して、厚み200μm のフィルムを作製した。こ
のABS樹脂の無機フィラー(タルク)の含量及びアセ
トン不溶樹脂分を以下の方法で測定したところ、タルク
含量は約19%、アセトン不溶樹脂分は約14%であっ
た。
されているABS樹脂“SXH-129”(220℃、10kg
荷重でのメルトフローレート5g/10分)をTダイフ
ィルム加工機に投入し、シリンダー設定温度260℃で
押し出して、厚み200μm のフィルムを作製した。こ
のABS樹脂の無機フィラー(タルク)の含量及びアセ
トン不溶樹脂分を以下の方法で測定したところ、タルク
含量は約19%、アセトン不溶樹脂分は約14%であっ
た。
【0066】〈無機フィラー含量の測定〉予め乾燥した
ABS樹脂を精秤し、有り姿の重量aを求める。これを
ルツボに入れ、緩やかに燃焼させて完全に灰化したの
ち、デシケーター内で室温に戻し、その後、ルツボ内の
残存物を精秤し、灰化物の重量bを求める。無機フィラ
ーの含量は、次式により求められる。 無機フィラー含量=(重量b÷重量a)×100(%)
ABS樹脂を精秤し、有り姿の重量aを求める。これを
ルツボに入れ、緩やかに燃焼させて完全に灰化したの
ち、デシケーター内で室温に戻し、その後、ルツボ内の
残存物を精秤し、灰化物の重量bを求める。無機フィラ
ーの含量は、次式により求められる。 無機フィラー含量=(重量b÷重量a)×100(%)
【0067】〈アセトン不溶樹脂分の測定〉予め乾燥し
たABS樹脂を約3gとって精秤し、有り姿の重量aを
求める。これを約60ccのアセトンに溶解する。このア
セトン溶液を遠心分離し、上澄み液を分離する。沈降し
た白濁液に清浄なアセトンを約60cc加えて攪拌し、再
度遠心分離して上澄み液を分離し、沈降した白濁液部分
のみを取り出す。この白濁液を80℃設定の真空乾燥機
にて一晩乾燥した後、精秤し、不溶分の重量cを求め
る。この不溶分には先の無機フィラーも含まれるので、
樹脂中のアセトン不溶樹脂分は、次式により求められ
る。 樹脂中のアセトン不溶樹脂分=(重量c÷重量a×100)
−(%表示の無機フィラー含量)(%)
たABS樹脂を約3gとって精秤し、有り姿の重量aを
求める。これを約60ccのアセトンに溶解する。このア
セトン溶液を遠心分離し、上澄み液を分離する。沈降し
た白濁液に清浄なアセトンを約60cc加えて攪拌し、再
度遠心分離して上澄み液を分離し、沈降した白濁液部分
のみを取り出す。この白濁液を80℃設定の真空乾燥機
にて一晩乾燥した後、精秤し、不溶分の重量cを求め
る。この不溶分には先の無機フィラーも含まれるので、
樹脂中のアセトン不溶樹脂分は、次式により求められ
る。 樹脂中のアセトン不溶樹脂分=(重量c÷重量a×100)
−(%表示の無機フィラー含量)(%)
【0068】(E)アクリル系樹脂フィルムとABS樹
脂フィルムの貼合 上記(C)で作製した二層アクリル系樹脂フィルムと、
上記(D)で作製したABS樹脂フィルムとを、二層ア
クリル系樹脂フィルムの着色層側で重ね合わせて、電気
ヒーターにて表面温度が100℃となるように加熱した
状態で、金属製ロールとシリコン製ロールに挟み込む方
法で貼合し、アクリル系樹脂/ABS樹脂の積層フィル
ムを作製した。
脂フィルムの貼合 上記(C)で作製した二層アクリル系樹脂フィルムと、
上記(D)で作製したABS樹脂フィルムとを、二層ア
クリル系樹脂フィルムの着色層側で重ね合わせて、電気
ヒーターにて表面温度が100℃となるように加熱した
状態で、金属製ロールとシリコン製ロールに挟み込む方
法で貼合し、アクリル系樹脂/ABS樹脂の積層フィル
ムを作製した。
【0069】(F)積層フィルムの予備成形
上で得られた透明層/着色層/ABS樹脂層からなる積
層フィルムを、真空成形機(布施真空(株)製の“CUPF
1015-PWB”)の加熱ゾーンに固定し、フィルム両面に配
置される遠赤外線ヒーターにより、フィルムの表面温度
が180℃になるまで加熱した。その後、金型を加熱フ
ィルムに接触させ、型とフィルムの間の空気を真空引き
することで積層フィルムを賦形した。この際、透明層側
から真空吸引し、ABS樹脂層側が凹面となるようにし
た。引き続き送風機により冷却した後、予備成形された
積層フィルム(予備成形体)を取り出した。得られた予
備成形体の製品形状は、図1に概略的な斜視図で示すと
おり、断面六角形で矩形凹状のものである。
層フィルムを、真空成形機(布施真空(株)製の“CUPF
1015-PWB”)の加熱ゾーンに固定し、フィルム両面に配
置される遠赤外線ヒーターにより、フィルムの表面温度
が180℃になるまで加熱した。その後、金型を加熱フ
ィルムに接触させ、型とフィルムの間の空気を真空引き
することで積層フィルムを賦形した。この際、透明層側
から真空吸引し、ABS樹脂層側が凹面となるようにし
た。引き続き送風機により冷却した後、予備成形された
積層フィルム(予備成形体)を取り出した。得られた予
備成形体の製品形状は、図1に概略的な斜視図で示すと
おり、断面六角形で矩形凹状のものである。
【0070】(G)カールの評価
真空成形により三次元形状に賦形した予備成形体を製品
形状に沿ってトリミングし、水平な場所に1週間放置し
た後、カール量を測定した。カール量は、図1に示す予
備成形体の開放面長辺中央部の両端A−A′間に対応す
る金型箇所の寸法(金型寸法=34mm)と、一週間放置
後の予備成形体における図1のA−A′間の寸法(放置
後寸法)から、〔金型寸法−放置後寸法〕により求め
た。測定結果を表1に示した。
形状に沿ってトリミングし、水平な場所に1週間放置し
た後、カール量を測定した。カール量は、図1に示す予
備成形体の開放面長辺中央部の両端A−A′間に対応す
る金型箇所の寸法(金型寸法=34mm)と、一週間放置
後の予備成形体における図1のA−A′間の寸法(放置
後寸法)から、〔金型寸法−放置後寸法〕により求め
た。測定結果を表1に示した。
【0071】(H)真空成形性の評価
上記(F)に記載の方法に従って真空成形を行うが、そ
の際にフィルムの加熱温度を140〜190℃の間で変
動させて実験を行った。そして、この間のいずれの温度
においても予備成形体の製品部分にシワや型転写不良が
発生しなかったものを「真空成形性○」とし、160〜
180℃の温度範囲でのみ予備成形体の製品部分にシワ
や型転写不良が発生しなかったものを「真空成形性△」
とし、いずれの温度でも製品部分にシワや型転写が発生
したものを「真空成形性×」として評価した。その結果
も、併せて表1に示した。
の際にフィルムの加熱温度を140〜190℃の間で変
動させて実験を行った。そして、この間のいずれの温度
においても予備成形体の製品部分にシワや型転写不良が
発生しなかったものを「真空成形性○」とし、160〜
180℃の温度範囲でのみ予備成形体の製品部分にシワ
や型転写不良が発生しなかったものを「真空成形性△」
とし、いずれの温度でも製品部分にシワや型転写が発生
したものを「真空成形性×」として評価した。その結果
も、併せて表1に示した。
【0072】比較例1
日本エイアンドエル(株)から入手した、タルクが配合
されていないABS樹脂“MTH-2”(220℃、10kg
荷重でのメルトフローレート12g/10分)を用いて
ABS樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様
にして積層フィルムを作製し、真空成形を行って、カー
ル量及び真空成形性を評価した。結果を表1に示した。
なお、ここで用いたABS樹脂の無機フィラー含量及び
アセトン不溶樹脂分を実施例1と同様の方法で測定した
ところ、無機フィラー含量は0%(なし)、アセトン不
溶樹脂分は約21%であった。
されていないABS樹脂“MTH-2”(220℃、10kg
荷重でのメルトフローレート12g/10分)を用いて
ABS樹脂フィルムを作製した以外は、実施例1と同様
にして積層フィルムを作製し、真空成形を行って、カー
ル量及び真空成形性を評価した。結果を表1に示した。
なお、ここで用いたABS樹脂の無機フィラー含量及び
アセトン不溶樹脂分を実施例1と同様の方法で測定した
ところ、無機フィラー含量は0%(なし)、アセトン不
溶樹脂分は約21%であった。
【0073】参考例1
実施例1の(C)で得られたアクリル二層フィルムのみ
を用いて真空成形を行い、カール量及び真空成形性を評
価した。結果を表1に示した。
を用いて真空成形を行い、カール量及び真空成形性を評
価した。結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 比較例1 参考例1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
積層フィルムの構成 透明層 透明層 透明層
着色層 着色層 着色層
ABS層 ABS層
───────────────────────────
ABS樹脂のアセトン不溶樹脂分 14% 21% −
ABS樹脂中のタルク 19% 0% −
───────────────────────────
カール量 0mm 12mm 0mm
真空成形性 ○ ○ ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0075】表1からわかるように、アクリル系樹脂の
みからなるフィルムを用いた参考例1ではカールが発生
しないが、アクリル系樹脂とタルク不含ABS樹脂の積
層フィルムを用いた比較例1ではカールが発生する。こ
れに対し、ABS樹脂層にタルクを含有させることで、
カールの発生を有効に防止することができ、また真空成
形性も良好に保たれる。
みからなるフィルムを用いた参考例1ではカールが発生
しないが、アクリル系樹脂とタルク不含ABS樹脂の積
層フィルムを用いた比較例1ではカールが発生する。こ
れに対し、ABS樹脂層にタルクを含有させることで、
カールの発生を有効に防止することができ、また真空成
形性も良好に保たれる。
【0076】実施例2
実施例1で作製した積層フィルム及び比較例1で作製し
た積層フィルムをそれぞれ用いて、射出成形体を製造し
た。すなわち、形状を合わせて作製された射出成形用金
型キャビティーの内面にこの積層フィルムを挿入し、金
型の型締めを行った後、この積層フィルムのABS樹脂
層側に別のABS樹脂を射出して、射出樹脂の表面に上
記の積層フィルムが一体貼合された成形体を作製した。
そして、得られた成形体を観察したところ、比較例1の
積層フィルムを用いて得た成形体では、積層フィルムの
一部が射出ABS樹脂の中に埋もれてしまい、成形体の
外観に不具合が生じていた。これに対し、実施例1の積
層フィルムを用いて得た成形体には、そのような不具合
がなく、表面の意匠性や耐傷付性に優れた高品位外観を
有する成形体が得られた。
た積層フィルムをそれぞれ用いて、射出成形体を製造し
た。すなわち、形状を合わせて作製された射出成形用金
型キャビティーの内面にこの積層フィルムを挿入し、金
型の型締めを行った後、この積層フィルムのABS樹脂
層側に別のABS樹脂を射出して、射出樹脂の表面に上
記の積層フィルムが一体貼合された成形体を作製した。
そして、得られた成形体を観察したところ、比較例1の
積層フィルムを用いて得た成形体では、積層フィルムの
一部が射出ABS樹脂の中に埋もれてしまい、成形体の
外観に不具合が生じていた。これに対し、実施例1の積
層フィルムを用いて得た成形体には、そのような不具合
がなく、表面の意匠性や耐傷付性に優れた高品位外観を
有する成形体が得られた。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、特定ゴム含量の含ブタ
ジエン樹脂(ABS樹脂)に特定量の無機フィラーを配
合してバッキング層としたことで、積層フィルムを予備
賦形したときのカールの発生が有効に防止される。そし
て、この積層フィルムを表面層として加飾された成形体
は、表面の意匠性及び表面性状の良好なものとなる。
ジエン樹脂(ABS樹脂)に特定量の無機フィラーを配
合してバッキング層としたことで、積層フィルムを予備
賦形したときのカールの発生が有効に防止される。そし
て、この積層フィルムを表面層として加飾された成形体
は、表面の意匠性及び表面性状の良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空成形機を用いて賦形した後の本発明に係る
積層フィルム(予備成形体)の製品形状を示す斜視図で
ある。
積層フィルム(予備成形体)の製品形状を示す斜視図で
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B29K 27:00 B29K 27:00
105:20 105:20
B29L 9:00 B29L 9:00
Fターム(参考) 4F100 AA01B AA01H AB10H AC10B
AC10H AK25A AK25C AK25H
AK74B AN02A AN02H AR00D
BA02 BA03 BA04 BA10A
BA10B BA10D CA07 CA23A
CA23B EH362 HB00A HB00C
JB11B JK14 JL04 JL10A
JL10C JN01A JN01C JN01D
YY00B YY00H
4F206 AA11 AA13 AA14 AA16 AA46
AD05 AD20 AG03 JA07 JB12
JF01 JF05 JL02
Claims (8)
- 【請求項1】アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層及
び、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とブタ
ジエンを必須の単量体とする含ブタジエン樹脂に無機フ
ィラーを含有する樹脂組成物であって、無機フィラーの
含量が1〜40重量%であり、アセトン不溶樹脂分が5
〜40重量%である第二の樹脂層が積層されていること
を特徴とする、アクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層
フィルム。 - 【請求項2】第一の樹脂層が、アクリル樹脂とアクリル
系ゴム粒子を含有する請求項1記載の積層フィルム。 - 【請求項3】第一の樹脂層が、アクリル系樹脂からなる
透明層であるか、アクリル系樹脂からなる着色層である
か、又はアクリル系樹脂からなる透明層とアクリル系樹
脂からなる着色層の積層体である請求項1又は2記載の
積層フィルム。 - 【請求項4】第一の樹脂層が、アクリル系樹脂からなる
透明層とアクリル系樹脂からなる着色層とを含む少なく
とも2層の積層体であり、かつ透明層が最上層を構成し
ている請求項3記載の積層フィルム。 - 【請求項5】含ブタジエン樹脂が、アクリロニトリルと
ブタジエンとスチレンを必須の単量体とするABS樹脂
である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。 - 【請求項6】無機フィラーがタルクである請求項1〜5
のいずれかに記載の積層フィルム。 - 【請求項7】芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合
物とブタジエンを必須の単量体とする含ブタジエン樹脂
からなる基材の表面に、請求項1〜6のいずれかに記載
の積層フィルムがその第二の樹脂層側で貼合されている
ことを特徴とする、樹脂成形体。 - 【請求項8】請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィ
ルムを熱成形により予備賦形し、得られる予備賦形フィ
ルムを金型に挿入して、その第二の樹脂層側に、芳香族
ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必
須の単量体とする含ブタジエン樹脂を射出成形すること
によって、積層フィルムの第二の樹脂層と射出される含
ブタジエン樹脂とを貼合させることを特徴とする、表面
加飾樹脂成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002088579A JP2003285399A (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | アクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層フィルム及びそれの樹脂成形体への適用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002088579A JP2003285399A (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | アクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層フィルム及びそれの樹脂成形体への適用 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003285399A true JP2003285399A (ja) | 2003-10-07 |
Family
ID=29234396
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002088579A Pending JP2003285399A (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | アクリル系樹脂/含ブタジエン樹脂積層フィルム及びそれの樹脂成形体への適用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003285399A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008044138A (ja) * | 2006-08-11 | 2008-02-28 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 積層フィルム |
JP2014148151A (ja) * | 2013-02-01 | 2014-08-21 | Art & Tech Kk | 複合着色シート |
-
2002
- 2002-03-27 JP JP2002088579A patent/JP2003285399A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008044138A (ja) * | 2006-08-11 | 2008-02-28 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 積層フィルム |
JP2014148151A (ja) * | 2013-02-01 | 2014-08-21 | Art & Tech Kk | 複合着色シート |
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---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
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