JP2003277856A - 形状記憶合金および形状記憶合金の製造方法 - Google Patents

形状記憶合金および形状記憶合金の製造方法

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JP2003277856A
JP2003277856A JP2002081132A JP2002081132A JP2003277856A JP 2003277856 A JP2003277856 A JP 2003277856A JP 2002081132 A JP2002081132 A JP 2002081132A JP 2002081132 A JP2002081132 A JP 2002081132A JP 2003277856 A JP2003277856 A JP 2003277856A
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Ryuji Matsubara
隆二 松原
Hideyasu Honda
英靖 本田
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Cu系の形状記憶合金であって、同じ組成を持
つ形状記憶合金の変態点温度(Ms点)を熱処理のみで
広範囲に容易に制御することのできる合金を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 見かけの上のZn含有量を35.5〜5
0wt%とし、結晶組織がマルテンサイト変態可能なβ
相とその他の結晶相からなり、この結晶組織の変態温度
(Ms点)を熱処理温度の違いにより、任意に設定でき
ることを特徴とする形状記憶合金とし、前記その他の結
晶相は、α相及び/又はγ相であり、前記β相の面積比
率は、30〜99%であることを特徴とする形状記憶合
金とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形状記憶特性を有
するCu系合金に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、形状記憶特性を有する
銅合金としては、Cu−Zn、Cu−Zn−Al、Cu
−Al−Ni、Cu−Zn−Snなどが知られている。
これら銅系の形状記憶合金は、母相をβ相とし、このβ
相を冷却すると熱弾性型のマルテンサイト変態(M変
態)を生じる。その変態開始温度(Ms点)から変態終
了温度(Mf点)以下になると全てマルテンサイト相
(M相)に変わる。このM相は、変形しやすい相で、変
形したM相を加熱すると逆変態開始温度(As点)で逆
変態が始まり、逆変態終了温度(Af点)で全て母相に
戻る。この逆変態により生じた母相は変形前とまったく
同じ結晶方位であり、元の形状に戻ることになる。
【0003】従って、これらの合金に形状記憶特性を持
たせるためには、熱処理を施し、β単相で使用してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、形
状記憶特性の中でも重要な変態点温度(Ms点)は、成
分のわずかな違いで変化してしまう。これらの合金で
は、原料成分の溶解時に低融点金属が蒸発しやすく、成
分の精密な制御が困難なため、変態点温度(Ms点)の
制御が困難であった。例えば、機械的特性に優れ、製造
の容易とされており、記憶特性などが優れていることか
ら、実用化されているCu−Zn−Al系でも、変態点
は、Znが1wt%変化すると約50℃、Alが1wt
%変化すると約140℃変化する。したがって、目的と
する合金を得るためには、これらの成分を0.01%の
桁でコントロールする必要があった。
【0005】本発明は、同じ組成を持つ形状記憶合金の
変態点温度(Ms点)を広範囲に容易に制御することの
できる合金を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題に
基づきなされたものであって、見かけの上のZn含有量
を35.5〜50wt%とし、結晶組織は、マルテンサ
イト変態可能なβ相とその他の結晶相からなり、この結
晶組織の変態温度(Ms点)を熱処理温度の違いによ
り、任意に設定できることを特徴とする形状記憶合金と
する。
【0007】形状記憶特性はβ相のマルテンサイト変態
に基づき、その特性を最大限発揮するために、これまで
β単相で使用されてきた。しかし、β相の他にα相やγ
相を析出させても形状記憶特性を有することがわかっ
た。上記の見かけ上のZn含有量に設定することによ
り、β相だけでなく、温度範囲によっては、α相やγ相
が析出することができるので、これら銅合金は、温度に
よってα相、β相およびγ相の相比率が変化する。相比
率が変化すると同時に、各相の成分も変化する。例え
ば、Cu−Zn−Sn合金の場合、β相の成分であるC
u、Zn、Snの比率が変化すると、それに伴って変態
点温度が変化するが、さらに、熱処理温度が変化すると
β相の電子濃度が変化し、それに伴って変態点温度を変
化することができる。ここで、「電子濃度」という用語
は、1原子あたりの平均荷電子数を示し、AをCu含有
量[wt%]、BをZn含有量[wt%]、CをSn含
有量[wt%]としたとき、「(A/63.5+B/6
5.4×2+C/119×4)/(A/63.5+B/
65.4+C/119)」の意味で用いる。したがっ
て、本発明によれば、全く同じ成分の材料でも、熱処理
温度によって変態点温度を自由に制御することができ
る。
【0008】また、β相の面積比率を30〜99%とし
て、他の結晶相の析出による形状記憶特性の低下を抑制
した。
【0009】また、見かけ上のZn含有量を35.5〜
50wt%含む銅合金を準備する工程と、所望する形状
の成形体を成形する工程と、前記成形体に熱処理を施す
ことにより、変態温度(Ms点)を任意の温度に設定する
ことを特徴とする形状記憶合金の製造方方法とした。
【0010】上記したように、全く同じ成分の材料で
も、熱処理温度によって変態点温度を自由に制御するこ
とができるので、同じ形状のものでも使用状況によって
変態点温度を設定することができる。
【0011】前記熱処理は、700〜850℃に加熱
後、100℃以下まで300K/sec以上の冷却速度
で急冷することで、加熱温度によって変化する相比率の
状態、すなわち、所望する変態点温度を持った成形体と
することができる。
【0012】
【実施の形態】見かけの上のZn含有量を35.5〜5
0wt%にすることによりβ層のほかにα相やγ相を析
出させることが可能となり、熱処理温度によってβ相の
成分と電子濃度が変化し、変態点温度を制御できる。第
三元素として、Snを利用し、その含有量としては、0.
5〜20wt%とすることが望ましい。Snは、耐食性に
劣るβ相中に固溶して耐食性を向上させることができ、
変態点を変化させる電子濃度を変化させるために有効に
適用できる。このCu−Zn−Sn合金では、熱処理温
度を50℃変えると、変態点温度は約80℃変化する。
【0013】なお、「見かけの上のZn含有量」という
用語は、AをCu含有量[wt%]、BをZn含有量
[wt%]、tを添加した第三元素(たとえばSn)Z
n当量、Qをその第三元素の含有量[wt%]としたと
き、「{(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×10
0」の意味で用いる。
【0014】見かけ上のZn含有量が、35.5wt%よ
り小さいとβ相比率を30%以上とすることが困難とな
り、50wt%より大きいとβ相以外の結晶相の析出が
困難になる。
【0015】結晶組織としては、形状記憶特性を低下さ
せないために、β相を30〜99%含む黄銅とし、その
ほかの相としてα相、γ相とした。それらの相比率とし
ては、α相1〜70%、γ相0〜10%、α相を利用す
ると結晶粒微細化や軟らかいα相のために伸び、疲労強
度、耐SCC性が向上し、γ相を利用すると強度、耐摩耗
性、切削加工性の点でも望ましい。
【0016】また、変態点温度制御方法としては、上記
組成範囲の黄銅を700℃〜850℃に加熱後100℃
以下まで300K/sec以上の冷却速度で急冷するこ
とで行う。700℃より低いとβ相に形状記憶特性を付
与することができず、850℃より高いと部分的に液相
が発生する。また、この冷却速度より遅いと、加熱処理
により、狙った変態点を有する結晶組織を維持できなく
なる。
【0017】以下、実施例により更に詳細に説明する。
表1の材料組成にしめすように実施例1から4、実施例
5から7は、同一素材で熱処理温度を変えたときの変態
点の変化を示す。また、比較例1から3は、同じ熱処理
温度でβ単相とし、材料組成を変えた時の変態点の変化
を示す。同じ組成の場合熱処理温度を変化させること
で、相比率、β相の組成、電子濃度が変化して変態点が
プラスからマイナスに至るまで幅広い範囲で変化してい
る。比較例のように変態点を振るために材料組成を細か
く変化させることに比べ、制御し易いことがわかる。
【0018】
【表1】
【0019】図1は、表1の結果をグラフに示したもの
であるが、変態点温度と熱処理温度とは、相関があり、
変態点の温度制御は設定しやすい。
【0020】このように同一の組成で変態点を任意の温
度に設定できることで、同じ形状を持つが、用途が異な
り、そのため、変態点も異なるような部品を作る場合、
従来であると成形装置は一緒であるが、組成の調合から
製造しなくてはならなく、また、特殊用途の場合、多く
の在庫を抱えることができなかったが、本発明によれ
ば、変態点の調整は、熱処理のみで行えることから、汎
用性のある部品形状をある程度在庫として保管できるも
のである。
【0021】また、継ぎ手などとして利用する場合に
も、その使用環境によって変態点温度を変える必要があ
る場合でも、1つの組成を持つ材料で、熱処理だけで変
態点温度を変えることができるので、一つの部品に汎用
性を持たせることができる。また、継ぎ手などの締結部
品では、締結工程の温度管理をしやすくすることができ
る。
【0022】また、その他の用途としては、形状記憶合
金の用途として適用される種々の用途へ適用できる。例
えば、換気、風向制御、開閉バルブ、アクチュエータそ
の他開閉機構を有するようなもののダンパ部材や温度セ
ンサなどのセンサ類に適用できる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、同じ組成を持つ形状記
憶合金の変態点温度(Ms点)を熱処理のみで広範囲に
容易に制御することのできる合金を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱処理温度と変態点の関係を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 691 C22F 1/00 691B 692 692A 692B C22K 1:00 C22K 1:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】見かけの上のZn含有量を35.5〜50
    wt%とし、結晶組織がマルテンサイト変態可能なβ相
    とその他の結晶相からなり、この結晶組織の変態温度
    (Ms点)を熱処理温度の違いにより、任意に設定でき
    ることを特徴とするCu系形状記憶合金。
  2. 【請求項2】前記その他の結晶相は、α相及び/又はγ
    相であることを特徴とする請求項1記載のCu系形状記憶
    合金。
  3. 【請求項3】前記β相の面積比率は、30〜99%であ
    ることを特徴とする請求項1記載のCu系形状記憶合金。
  4. 【請求項4】見かけ上のZn含有量を35.5〜50w
    t%含む銅合金を準備する工程と、所望する形状の成形
    体を成形する工程と、前記成形体に熱処理を施すことに
    より、変態温度(Ms点)を任意の温度に設定することを
    特徴とするCu系形状記憶合金の製造方方法。
  5. 【請求項5】前記熱処理は、700〜850℃に加熱
    後、100℃以下にまで300K/sec以上の冷却速
    度で急冷することを特徴とする請求項4記載のCu系形状
    記憶合金の製造方法。
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