JP2003276102A - 熱可塑性樹脂繊維積層シート - Google Patents
熱可塑性樹脂繊維積層シートInfo
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Abstract
ット状物を積層するような場合においても、ネット状物
の網目形状が崩れず、積層過程でネット状物を構成する
熱可塑性樹脂繊維が溶融することなく繊維形状を維持
し、軽量化とともに補強効果を同時に達成し得る熱可塑
性樹脂繊維積層シートを開発する。 【解決手段】網目間隔が1〜15mmである熱可塑性樹
脂繊維からなるネット状物の片面または両面に前記熱可
塑性樹脂繊維よりも融点の低い熱可塑性樹脂フィルムを
積層させる。
Description
層シートに関する。
無機系強化繊維で強化された樹脂成形体は代表的な繊維
強化複合材料として知られているが、このような無機系
繊維材料からなる補強材は樹脂成形体からの分離が極め
て困難であり、繊維強化複合材料をリサイクル使用する
ことが難しいという問題があった。
は、熱可塑性樹脂繊維からなる織物や編物を補強材とし
て使用されることが多くなってきたが、このような織物
や編物は一般に網目が細かく、その目付け量が大きいた
めに、かかる補強材を積層した樹脂成形体の軽量化が達
成できないという問題があった。
樹脂繊維からなる網目の大きいネット状物を補強材とし
て利用することが考えられ、このようなネット状物を熱
可塑性樹脂基材に積層する方法として、通常は、射出成
形や射出圧縮成形法によって熱可塑性樹脂からなる基材
を形成すると同時に基材表面にネット状物を積層する方
法が採用される。
置し、金型キャビティ空間に溶融樹脂を供給・充填して
ネット状物と樹脂成形体を貼合一体化させるものである
が、この場合には、ネット状物の網目が大きいために網
目に溶融樹脂が入り込み、更にはネット状物の表面上に
まで溶融樹脂が乗り上げて、ネット状物の形状が崩れた
り表面外観が損なわれ、また、溶融樹脂の熱がネット状
物に直接伝達されるためにネット状物を構成する熱可塑
性樹脂繊維が溶融して繊維形状を失い、熱可塑性樹脂繊
維による補強効果が損なわれるという問題が発生する。
本発明者らは、射出成形や射出圧縮成形法によって熱可
塑性樹脂からなる基材を形成すると同時に基材表面に熱
可塑性樹脂製のネット状物を積層するような場合におい
ても、ネット状物の網目形状が崩れず、しかも係る成形
過程でネット状物を構成する熱可塑性樹脂繊維が溶融す
ることなく繊維形状を維持し、軽量化とともに補強効果
を同時に達成し得る熱可塑性樹脂繊維積層シートを開発
すべく検討の結果、本発明に至った。
〜15mmである熱可塑性樹脂繊維からなるネット状物
の片面または両面に前記熱可塑性樹脂繊維よりも融点の
低い熱可塑性樹脂フィルムを積層させてなる熱可塑性樹
脂繊維積層シートを提供するものである。
積層シートについて説明する。
なるネット状物とは、熱可塑性樹脂繊維を通常の方法で
網目状例えば格子状に編みこんだものであるが、その軽
量化および補強材として使用した場合の補強効果を考え
ると、ネット状物の網目間隔が小さすぎると軽量化の点
で不十分となり、一方広すぎると補強効果が十分に得ら
れないため、これらの両方の効果をバランスよく満足さ
せるためには、網目間隔が1〜15mmの範囲であるこ
とが必要であり、特に2〜8mmの範囲であることが好
ましい。
性樹脂繊維とは、単繊維であってもよいし数本の単繊維
を集合した繊維束であってもよいが、ネット状物として
の補強効果を考えれば、前記熱可塑性樹脂繊維は繊維束
であることがより好ましい。前記単繊維の繊維の太さに
ついては、繊維を構成する熱可塑性樹脂の種類などによ
っても異なり、それぞれに応じて適宜選択されるが、一
般には1〜50デニール程度である。
場合であれば、1〜20デニール程度のものを使用する
ことが好ましく、ネット状物の軽量化を考えれば、更1
〜10デニール程度のものを使用することがより好まし
い。また、このような単繊維を集合した繊維束を用いる
場合、単繊維の収束本数(フィラメント数)が少なすぎ
ると繊維束自体の機械的強度が弱く、樹脂成形体にネッ
ト状物を積層した際の補強効果が十分に得られず、ま
た、フィラメント数が大きすぎると目付け量が増加して
しまうこと等を考えると、フィラメント数としては一般
的には10〜500本程度の範囲が好ましく、30〜2
00本程度の範囲が更に好ましい。
としては、後述する熱可塑性樹脂フィルムとの融着性が
あるものであれば何ら特定されず、例えば、ポリプロピ
レンやポリエチレン、プロピレン・エチレン共重合体な
どのオレフィン系樹脂、アクリロニトリルースチレンー
ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン、ナイロン
などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、スチレンーブタジエンブロック共重
合体などの一般的な熱可塑性樹脂やこれらの混合物、あ
るいはこれらを用いたポリマーアロイなどが例示され、
本発明においてはこれらを総称して熱可塑性樹脂とい
う。
れる各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
帯電防止剤、滑剤、分散剤、塩素補足剤、金属不活性
剤、難燃剤、顔料などがそれぞれの目的に応じて適宜添
加されていてもよい。
あるいは不飽和酸無水物等で変性されていてもよく、前
記不飽和酸および不飽和酸無水物としては、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ール酸、イタコン酸、無水イタコン酸、メサコン酸、シ
トラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アンゲリカ
酸などが例示される。
なるネット状物において、原料となる熱可塑性樹脂繊維
は、上記した熱可塑性樹脂を材料として通常の方法で製
造されるが、機械的強度を向上させるために繊維の長さ
方向に延伸した繊維であることが好ましく、その延伸倍
率は高ければ高いほど好ましいが、通常は2〜20倍程
度である。
ト状物にフィルムを熱融着させる場合や射出成形や射出
圧縮成形により繊維からなるネット状物を樹脂成形体に
貼合、一体化する場合には、該ネット状物を構成する熱
可塑性樹脂繊維の融点が高いほど繊維が溶融しにくく、
ネット状形状を保持するのに有利であることから、熱可
塑性樹脂繊維の融点は高いほど好ましく、例えばポリプ
ロピレン系樹脂繊維の場合にはその融点は165℃以上
であることが好ましい。
ては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリ
ロニトリルースチレンーブタジエンブロック共重合体、
ポリスチレン、ナイロンなどのポリアミド、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、スチレンーブ
タジエンブロック共重合体などの一般的な熱可塑性樹脂
からなるフィルムやこれらの混合物、あるいはこれらを
用いたポリマーアロイからなるフィルムが例示される。
前述した熱可塑性樹脂繊維からなるネット状物の片面ま
たは両面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなるもの
であり、上記ネット状物と熱可塑性樹脂フィルムのそれ
ぞれを構成する熱可塑性樹脂からみた組み合わせは任意
であるが、接着性、その他各種物性等の観点から、ある
いはリサイクル性の点から、同種ないしは類似の熱可塑
性樹脂から構成されていることが好ましい。特に、本発
明の熱可塑性樹脂繊維積層シートを熱可塑性樹脂成形体
に貼合する方法として一般的な方法である熱融着法や、
射出成形法や射出圧縮成形法などにより成形体を形成す
ると同時に上記積層シートを貼合する場合には、ネット
状物を構成する熱可塑性樹脂と、該ネット状物に貼合さ
れる熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂とは
互いに融着性のある同種ないしは類似の熱可塑性樹脂か
ら構成されていることが好ましい。
は、例えばネット状物がポリエチレン系樹脂繊維、ポリ
プロピレン系樹脂繊維あるいはこれらの混合繊維である
ような場合には、これら繊維と互いに融着性のある同種
ないしは類似のポリオレフィン系樹脂からなるフィルム
が好ましい。
トにおける上記熱可塑性樹脂繊維からなるネット状物と
熱可塑性樹脂フィルムの組み合わせにおいて、熱可塑性
樹脂フィルムの融点は、前記熱可塑性樹脂繊維よりも低
いことが重要である。熱可塑性樹脂フィルムの融点が熱
可塑性樹脂繊維よりも低いと、本発明の熱可塑性樹脂繊
維積層シートを樹脂成形体に熱融着させる場合に、ネッ
ト状物を構成する熱可塑性樹脂繊維を溶融させることな
く熱可塑性樹脂フィルムのみを溶融させることによっ
て、熱可塑性樹脂繊維積層シートと樹脂成形体とを強固
に接着することが可能となる。
ト状物を構成する熱可塑性樹脂繊維がポリプロピレン樹
脂からなる場合に、熱可塑性樹脂フィルムとして、それ
より融点の低いプロピレン・エチレンランダム共重合体
からなるフィルムを使用することが好ましい。
樹脂成形体との接着性を高めるために表面処理を施して
もよく、このような表面処理方法としては、コロナ放電
処理、プラズマ処理等が一般的に利用できる。
ートは、公知の方法に準じて任意の方法で製造すること
ができる。例えば、フィルムスタッキング法で製造する
場合には、熱可塑性樹脂を通常の方法でフィルム状と
し、熱可塑性樹脂繊維からなるネット状物の片面または
両面にこのフィルムを重ねた後、熱プレスなどにより加
熱し、フィルムとネット状物を融着一体化させ、冷却さ
せて熱可塑性樹脂繊維積層シートを製造する方法が挙げ
られる。また、押出成形の場合は、熱可塑性樹脂を押出
成形によりフィルム状に押出し、該フィルム上に可塑性
樹脂繊維からなるネット状物を供給して、熱ロールなど
により加熱して、押出したフィルムに連続的にネット状
物を融着一体化させる方法が挙げられる。
において、熱可塑性樹脂繊維からなるネット状物に貼合
される熱可塑性樹脂フィルムは、前記したようにネット
状物の片面または両面のいずれでもよく、それぞれの目
的に応じて適宜決定されるが、熱可塑性樹脂繊維積層シ
ートの軽量化やコストを考えればネット状物の片面のみ
に貼合するのが好ましい。
を、射出成形や射出圧縮成形により樹脂成形体に貼合す
る場合には、ネット状物の網目間隔が広いために軽量化
に効果的であるばかりでなく、網目間隔が広くとも網目
から溶融樹脂が漏れることなく、しかも、前記フィルム
がネット状物の保護材として働き、溶融樹脂の熱が直接
熱可塑性樹脂繊維に伝達しなくなってネット状物を構成
する熱可塑性樹脂繊維を溶融させることなく、ネット状
物の形状をそのまま維持しながら樹脂成形体に貼合する
ことができる。
ン系樹脂繊維、フィラメント数60、単繊維太さ3デニ
ール、融点約170℃)を格子状に編み、網目間隔の最
小値が2mmであるネット状物を得た。一方、プロピレ
ン・エチレンランダム共重合体(住友化学社製、S13
1、融点約130℃)を通常の方法でフィルム状にし、
前記ネット状物の片面に重ねて熱プレス成形により熱融
着させ、PP系樹脂繊維積層シートを得た。このPP系
樹脂繊維積層シートを金型間に供給して、PP系樹脂繊
維積層シートの裏側から溶融樹脂を供給し型締めして、
PP系樹脂繊維積層シートが貼合した樹脂成形体を得
た。得られた樹脂成形体は、ネット状物の網目から溶融
樹脂が漏れることもなくネット状物の形状が維持され、
しかも、ネット状物を構成するポリプロピレン系樹脂繊
維が溶けることなくネット状物が樹脂成形体に貼合され
ていた。
あるネット状物を直接金型間に供給して、PP系樹脂繊維
積層シートの裏側から溶融樹脂を供給し型締めして、PP
系樹脂繊維積層シートが貼合した樹脂成形体を得た。得
られた樹脂成形体は、ネット状物の網目から溶融樹脂が
漏れ、その形状が崩れてしまった。更に、ネット状物を
構成するポリプロピレン系樹脂も一部で溶融していた。
Claims (5)
- 【請求項1】網目間隔が1〜15mmである熱可塑性樹
脂繊維からなるネット状物の片面または両面に前記熱可
塑性樹脂繊維よりも融点の低い熱可塑性樹脂フィルムを
積層させてなる熱可塑性樹脂繊維積層シート。 - 【請求項2】熱可塑性樹脂繊維及び熱可塑性樹脂フィル
ムが同系のポリオレフィン系樹脂からなる請求項1記載
の熱可塑性樹脂繊維積層シート。 - 【請求項3】ポリオレフィン系樹脂がプロピレン系樹脂
である請求項1記載の熱可塑性樹脂繊維積層シート。 - 【請求項4】繊維を構成するプロピレン系樹脂の融点が
165℃以上である請求項3に記載の熱可塑性樹脂繊維
積層シート。 - 【請求項5】フィルムを構成するプロピレン系樹脂がプ
ロピレン・エチレンランダム共重合体である請求項3ま
たは4に記載の熱可塑性樹脂繊維積層シート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002082962A JP3985560B2 (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | 熱可塑性樹脂繊維積層シート |
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JP2003276102A true JP2003276102A (ja) | 2003-09-30 |
JP3985560B2 JP3985560B2 (ja) | 2007-10-03 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009143049A (ja) * | 2007-12-12 | 2009-07-02 | Victor Kogyo Kk | 熱可塑性樹脂成形品の製造方法 |
JP2012057018A (ja) * | 2010-09-08 | 2012-03-22 | Kri Inc | 繊維補強複合材料、その製造方法、複合材料成型体及び複合材料成型体の積層体 |
-
2002
- 2002-03-25 JP JP2002082962A patent/JP3985560B2/ja not_active Expired - Fee Related
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