JP2001341189A - 繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品の製造法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品の製造法

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JP2001341189A
JP2001341189A JP2000160242A JP2000160242A JP2001341189A JP 2001341189 A JP2001341189 A JP 2001341189A JP 2000160242 A JP2000160242 A JP 2000160242A JP 2000160242 A JP2000160242 A JP 2000160242A JP 2001341189 A JP2001341189 A JP 2001341189A
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fiber
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sheet material
fiber reinforced
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Minoru Toyama
稔 登山
Takashi Niifuku
隆志 新福
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JNC Corp
JNC Petrochemical Corp
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Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】真空もしくは圧空による樹脂シート材のプラグ
アシスト成形において、繊維強化樹脂のもつ性能を十分
に引き出し、且つ表面平滑性に優れた高強度、高剛性を
有する厚肉の繊維強化樹脂成形品を安価に製造する技術
を提供する。 【解決手段】樹脂シート材の真空もしくは圧空プラグア
シスト成形による成形品の製造において、成形型12と
プラグ11とのクリアランスt(プラグと成形型が接し
た時の両者の最小隙間間隔)を該樹脂シートの厚みの
0.7〜5.0倍に設定し、該樹脂シート材として繊維
強化熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層からなる群か
ら選ばれた少なくとも一種の層からなりかつ少なくとも
一種の繊維強化熱可塑性樹脂層を含む繊維強化熱可塑性
樹脂複合シートまたは板を用いて成形品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は繊維強化熱可塑性樹
脂複合成形品の製造法に関する。詳しくは、真空成形も
しくは圧空成形により繊維強化熱可塑性樹脂複合板もし
くはシートから成形品を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂シートを用いる成形品の製
造には、加熱されたシートを冷却プレスなどにより賦形
を行う圧縮成形、真空または圧空の力を利用し賦形する
真空成形や圧空成形などによる方法が知られている。こ
れらの中でも、真空成形や圧空成形は賦形時の圧力が低
圧で済むため、成形時に用いられる型の強度が小さくて
すみ、製品一個当たりの製造コストが安価なことから、
小ロットの部品や大型の部品の製造に適している。しか
しながら、真空成形や圧空成形は成形用の材料の伸張を
利用して成形するため、材料に伸張性のない繊維強化熱
可塑性樹脂シートによる成形品の製造には不向きであ
り、高強度、高剛性、耐熱性を有した成形品の製造は困
難であった。このため、繊維強化熱可塑性樹脂シートの
見かけの伸張を補助するために、シートクランプ装置と
繊維強化熱可塑性樹脂シートをバネにより連結させるな
ど、繊維強化熱可塑性樹脂シートのクランプ方法を変え
る成形が試みられているが、これらの方法では、成形の
際に絞り込まれた余剰の樹脂が成形品の表面にしわとな
って発現してしまい、成形品表面の平滑性が乏しい成形
品しか得られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記従来技術の問題を解決することであ
り、真空もしくは圧空による樹脂シートのプラグアシス
ト成形において、繊維強化樹脂のもつ性能を十分に引き
出し、かつ表面平滑性に優れた高強度、高剛性を有する
肉厚の繊維強化樹脂成形品を安価に製造する技術を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発者らは上記課題を解
決するため鋭意検討した結果、真空成形または圧空成形
の際に用いられる成形型とプラグの突き当たって接触す
る位置、すなわち、成形型とプラグとのクリアランスを
制御することにより上記課題を解決することを見いだし
本発明に至った。
【0005】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品
の製造法は、樹脂シート材の真空もしくは圧空プラグア
シスト成形による成形品の製造において、成形型とプラ
グとのクリアランス{(プラグと成形型が接した時の両
者の隙間最小間隔)(図3参照)}を該樹脂シート材の
厚みの0.7〜5.0倍に設定し、該樹脂シート材とし
て繊維強化熱可塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層からな
る群から選ばれた少なくとも一種の層からなりかつ少な
くとも一種の繊維強化熱可塑性樹脂層を含む繊維強化熱
可塑性樹脂複合材を用いることを特徴とする。また、前
記複合材が連続繊維強化材を含むこと、前記成形型が雄
型であること、および前記クリアランスを繊維強化熱可
塑性樹脂複合材の厚みの0.7〜2.0倍であること
が、好ましい態様として示される。
【0006】
【発明の実施の形態】[繊維強化熱可塑性樹脂複合材]本
発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品の製造法に用い
る繊維強化熱可塑性樹脂複合材は、繊維強化熱可塑性樹
脂層ならびに熱可塑性樹脂層からなる群から選ばれた少
なくとも一種の層からなりかつ少なくとも一種の繊維強
化熱可塑性樹脂層を含む繊維強化熱可塑性樹脂複合板も
しくはシートである。本発明の製造法に用いる繊維強化
熱可塑性樹脂複合材としては、具体的につぎものが示さ
れる。繊維強化熱可塑性樹脂の単層シート材または二層
以上の積層材、あるいはこれらの繊維強化熱可塑性樹脂
シート材もしくは積層材と熱可塑性樹脂シート材とから
なる積層材である。(本発明においてシート材とは、フ
イルム、シート、板などの総称として用いる。) 並行連続繊維を含む繊維強化熱可塑性樹脂シート材を積
層して用いる場合は繊維方向が直行するように重ねるの
が好ましい。さらに該複合材の各シート材の繊維方向が
中心シート材に対して対称に並ぶように構成するのが好
ましい。繊維方向が直行に重なるのを(0°/90°)ま
たは(90°/0°)で示すと、複合材の構成は、たと
えばつぎのようなシート材の重なりで示される。 (0°/90°/90°/0°); (0°/90°/0°/0°/90°/0°); (0°/90°/0°/90°/0°); (90°/0°/90°/0°/90°): また、熱可塑性樹脂層(シート材){Pと表す}が含ま
れる場合は、複合材の構成は、たとえばつぎのようなシ
ート材の重なりで示される。 (P/0°/90°/P/90°/0°/P); (0°/90°/0°/P/P/0°/90°/0
°); (P/90°/0°/90°/0°/P/0°/90°
/0°/90°/P); (P/0°/90°/P/0°/90°/0°/P/9
0°/0°/P):
【0007】本発明の製造法に用いる繊維強化熱可塑性
樹脂複合材の構成は特に制限がなく、両面が繊維強化熱
可塑性樹脂層または熱可塑性樹脂層、片面が繊維強化熱
可塑性樹脂層または熱可塑性樹脂層であってもよい。繊
維強化熱可塑性樹脂層が最外層の場合には、更に熱可塑
性樹脂シートなどの表皮材を貼り合わせて用いたものが
好ましい。また、繊維強化熱可塑性樹脂層または熱可塑
性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、積層体として両層
を接着、融着もしくは圧着させる点から、同種の樹脂材
料が好ましい。異種材料の場合、特開昭58−1027
53、特公平8−13474や特開平8−15563な
どの手法を用いて連結させて用いてもかまわない。本発
明の製造法に用いる繊維強化熱可塑性樹脂複合材すなわ
ち繊維強化熱可塑性樹脂複合板またはシートを作製する
には、特に制限はなく、通常のプレス成形機を用いる。
その厚みには特に制限はないが、成形サイクルの観点か
ら10mm以下が好ましい。
【0008】ここで、本発明の製造法に用いる繊維強化
熱可塑性樹脂複合材の熱可塑性樹脂層および繊維強化樹
脂層について、その作製に用いる熱可塑性樹脂シート材
および繊維強化熱可塑性樹脂シート材について述べる。
【0009】[熱可塑性樹脂層]本発明の成形品製造法
に用いる繊維強化熱可塑性樹脂複合材を構成する熱可塑
性樹脂層は熱可塑性樹脂シート材の単層または複層から
なりその熱可塑性樹脂の種類は如何なる種類をも包含す
る。その熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−
ペンテン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン
−1−ブテン共重合体などのポリ−α−オレフィン樹脂
の1種または2種以上の混合ポリ−α−オレフィン樹
脂;ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリメ
チルメタクリレート(アクリル樹脂)、塩化ビニール樹
脂;アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体
(ABS樹脂);ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイ
ソフタレートなどポリエステル樹脂の1種またはこれら
2種以上混合ポリエステル樹脂;ポリアミド−6、ポリ
アミド−7、ポリアミド−66、ポリアミド−610、
ポリアミド−11、ポリアミド−12などのポリアミド
樹脂(ナイロン)1種または2種以上の混合ポリアミド
樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリウレタン樹脂;などを
あげることができる。さらに上記の2種以上の樹脂から
なる組成物および2種以上からなるポリマーアロイが示
される。。また、熱可塑性樹脂には、必要に応じて、酸
化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、樹脂状破壊防止
剤、帯電防止剤、潤滑剤、可塑剤、離型剤、難燃剤(耐
炎剤)、難燃助剤、結晶化促進剤(造核剤;結晶化
剤)、染料、顔料などの添加剤を1種以上配合すること
ができる。これらの添加剤は、熱可塑性樹脂に直接配合
してもよく、マスターバッチとしたものを用いてもよ
い。また、これらの熱可塑性樹脂に無機充填剤もしくは
有機充填剤を配合して用いることができる。無機充填剤
としては、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウムなど
が例示できる。
【0010】[繊維強化熱可塑性樹脂層]本発明の製造
法に用いる繊維強化熱可塑性樹脂複合材を構成する繊維
強化熱可塑性樹脂層は、特に制限はなく、熱可塑性樹脂
中に強化繊維が配合されたシート材の単層または複層で
あればよい。たとえば、熱可塑性樹脂中に一定の長さに
切断された強化繊維がランダムに配合されたシート材、
連続強化繊維がランダムに配合されたシート材の1枚、
または2枚以上の積層材が示される。補強効果の点か
ら、連続強化繊維が一方向に引き揃えられシート材で構
成されるのが好ましい。並行連続繊維強化熱可塑性樹脂
シート材の場合、1枚単独または複数積層で用いてもよ
いが、複数積層させる場合は連続強化繊維の方向が直交
するように積層するのが好ましいが、繊維強化熱可塑性
樹脂複合材の中心層に対しては前記のような配置が好ま
しい。
【0011】繊維強化熱可塑性樹脂シート材を形成する
熱可塑性樹脂は、繊維強化材を少なくとも相互に接着さ
せる性能を有する樹脂からなる。その熱可塑性樹脂は、
特に限定するものでなく、繊維強化材に含浸できるもの
であればよく、前述の熱可塑性樹脂など同様に例示でき
る。また、熱可塑性樹脂には、必要に応じて各種の添加
剤を1種以上配合することができて、前記同様に例示す
ことができる。
【0012】熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン(ポリ−
α−オレフィン)のように分子末端に反応性官能基また
は極性官能基をもたない場合には、強化用繊維特にガラ
ス繊維に対する界面接着性を付与するため、熱可塑性樹
脂を不飽和酸もしくは不飽和酸無水物の誘導体で変性す
る方策および/または不飽和酸もしくは不飽和酸無水物
で変性された樹脂を未変性樹脂に必要量配合する方策な
どを施すことが有用である。これらの中では、汎用性お
よび機械的強度などの観点から、結晶性ポリオレフィ
ン、特に結晶性ポリプロピレンが好ましく用いられる。
通常、上記の樹脂変性剤としては、例えばアクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸
などの脂肪族不飽和酸、無水マレイン酸、無水イタコン
酸などの脂肪族不飽和酸無水物があげられる。好ましく
はマレイン酸、無水マレイン酸(マレイン酸無水物)が
示される。本発明においては、このような樹脂変性剤を
用いる際に、必要に応じて有機過酸化物を組み合わせて
用いてもよい。有機過酸化物の例としては、例えば、
2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)
ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプ
ロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイドなどを挙げることができる。
【0013】繊維強化熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑
性樹脂としては、上記のような未変性樹脂および変性樹
脂を単独で用いてもよいし、これらのうち少なくとも2
種を組み合わせて樹脂組成物として用いてもよい。とは
いえ、繊維強化熱可塑性樹脂層における熱可塑性樹脂と
ガラス繊維などの繊維強化基材との強固な結合を実現す
るためには、十分な量の変性樹脂が存在する熱可塑性樹
脂を用いることが重要である。このような変性樹脂また
は変性樹脂組成物は、例えば、ベースの熱可塑性樹脂に
樹脂変性剤および有機過酸化物を添加し、ヘンシェルミ
キサー(商品名)などで混合した後、押出機に供給して溶
融混練し、つぎにこの溶融混練物を押出成形することに
より得ることができる。また、本発明の製造法に用いる
繊維強化熱可塑性樹脂複合材を製作するための繊維強化
熱可塑性樹脂シート材の熱可塑性樹脂は、そのMFR
(230℃、21.18N)が80g/10min以上
好ましくは100〜300g/10minである。MF
Rが50g/10min以下の場合、成形時、強化繊維
の移動が拘束されるため良好な成形品が得られない場合
がある。
【0014】[強化用繊維]繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト材に含有される強化用繊維は、繊維長が20mm以上
あることが好ましい。20mm未満の場合、成形時に、
繊維強化熱可塑性樹脂シート材も伸張し、成形品の部位
により強度や肉厚のバラツキが発生したりする場合があ
る。この強化用繊維は、フィラメントの集束体を開繊し
て用いる。通常連続繊維強化材いわゆるロービング状の
ものが好ましく用いられる。その他もヤーンやトウなど
を利用することができる。その材質からみれば、この強
化用繊維は無機繊維および有機繊維に大別される。無機
繊維としては、例えば、ガラス繊維、岩綿(ロックウー
ル)、石綿、石英繊維、金属繊維、ウィスカー(ホイス
カー)および炭素繊維であってもよい。それらの中で、
その性状および入手容易性などの点で通常ガラス繊維が
好ましく用いられる。ガラス繊維としては、硬質ガラス
が好ましく、特に無アルカリガラスであるEガラスが好
ましく用いられる。このガラス繊維は樹脂強化用として
市販されているガラスロービングであって、通常その平
均フィラメント径4〜30μm、フィラメント集束本数
400〜10000本およびTex番手300〜200
00のものであるが、好ましくは平均フィラメント径9
〜23μmのものである。必要に応じて、これらのガラ
スロービングを合糸して用いることもできる。また、こ
の無機繊維強化材は、例えば、シラン系カップリング
剤、チタネート系カップリング剤、ボロン系カップリン
グ剤、アルミネート系カップリング剤などの表面処理剤
で表面処理して用いてもよい。この無機繊維強化材に表
面処理が施されると、ポリプロピレンなどの疎水性樹脂
に対する親和性が高められ、開繊された長繊維強化材の
間にポリプロピレンなどの樹脂が含浸され易くなる。上
記の無機繊維強化材は、単独で用いてもよく、また2種
以上を組み合わせて用いてもよい。有機繊維としては通
常、アラミド繊維などが例示できる。
【0015】[繊維強化熱可塑性樹脂シート材の製造]
繊維強化熱可塑性樹脂シート材は、いかなる製造方法に
よるものでも使用できる。以下に、繊維強化熱可塑性樹
脂シート材の製造方法を例示する。ランダム繊維強化熱
可塑性樹脂シート材は、水中で熱可塑性樹脂粉末と一定
長さ以上の強化繊維を混合、分散させた後、抄紙法によ
り中間製品であるウェブを作製しさらに加熱、加圧、冷
却する方法などで製造する。一方向連続繊維強化熱可塑
性樹脂シート材は、シート材の長さ方向に略平行に配列
された連続繊維強化材の内部に上記の溶融状態の熱可塑
性樹脂を含浸させることにより製造する。連続繊維強化
材に樹脂を含浸させる際には、連続繊維強化材を平面上
に可能な限り均一に開繊し、その開繊された連続繊維強
化材に樹脂を均一に含浸させると、得られるシート材の
機械的強度を向上させることができる。連続繊維強化材
に樹脂を含浸させる方法は連続繊維強化材に樹脂を含浸
させ得る方法であれば如何なる方法であってもよい。例
えば、この含浸方法として特公昭63−37694号公
報、特公平4−41886号公報および特開昭61−2
29534号公報などに開示されている方法を挙げるこ
とができる。この種の一方向連続繊維強化熱可塑性樹脂
シート材は、例えば、ロービングなどの連続繊維強化材
を平面上に均一に開繊した後に、押出機内で溶融混練さ
れている樹脂をこの連続繊維強化材に均一に含浸させて
形成させることができる。繊維強化熱可塑性樹脂シート
材の肉厚は、2.0mm以下が好ましい。2.0mmよ
り厚い場合は、繊維強化熱可塑性樹脂シート材の生産性
が低下する場合がある。
【0016】繊維強化熱可塑性樹脂シート材中の強化用
繊維の含有量は、35〜75重量%、好ましくは40〜
70重量%である。この量で強化用繊維に樹脂が充分に
含浸される。強化用繊維が樹脂によって相互に一体的に
結合される。そして、強化用繊維の含有量が30重量%
以下であると、目的とする補強の効果が充分には発現し
ない場合がある。他方、強化用繊維の含有量が80重量
%以上に達すると、成形品の外観が悪化する場合があ
る。
【0017】[繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品の製造]
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品の製造法は、
既存の真空もしくは圧空によるプラグアシスト成形であ
るが本発明においてはその成形型12とプラグ11との
クリアランスtに特徴がある。(図1、図3参照)その
クリアランスとは、凸成形型とプラグとが突き当たって
接触した際(当接した際)のプラグの内側角と成形型の
裾角との間隔t、または凹成形型とプラグとの当接した
際のプラグの角と成形型の底縁との間隔を意味する。本
発明の製造法において、上述のクリアランスが繊維強化
熱可塑性樹脂複合材13の厚みに対し0.7〜5.0倍
好ましくは0.8〜3.0倍がよい。0.7倍未満の場
合、成形時に成形型とプラグとの間に挟まれる複合材の
移動が拘束され、良好な成形品が得られない場合があ
る。5.0倍を越える場合、絞り成形により生じた余剰
の樹脂がしわとなって成形品表面に発現する場合があ
る。
【0018】本発明の製造法に用いられる成形型は、雄
型でも雌型でも差し支えはないが、成形型が雄型の場
合、賦形前に凸成形型の突き上げにより、予め繊維強化
熱可塑性樹脂複合材を凸成形型の表面に沿わせることが
できる。また、成形型が雌型の場合、凹成形型の底面お
よび開口面へのアシストをプラグにより行う。本発明の
繊維強化熱可塑性樹脂複合成形品の製造法において、繊
維強化熱可塑性樹脂複合材のクランプ高さは、絞りの程
度を軽減させるため成形型とプラグとの当接面であるこ
とが好ましい。本発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合成形
品の製造において、繊維強化熱可塑性樹脂複合材のクラ
ンプ方法としては、強化繊維の見かけの伸張を補助する
ため、複合材のコーナー4点をバネ14により該複合材
13をクランプ枠15と連結させ(図2)、複合材全体
を予備加熱させる方法{図1(a)}や、成形時の伸張
性を持たせるために複合材の外縁に熱可塑性樹脂のみの
部分を設けてクランプする方法が好ましい。
【0019】本発明の製造法に用いられる成形型の材質
には特に制限はないが、耐久性とコストの面からアルミ
ニウム製が好ましい。本発明の成形品の製造法におい
て、成形品の内面に表面平滑性が求められる場合は凸成
形型として、成形品の外面に表面平滑性が求められる場
合は凹成形型を用いることが好ましい。また、真空成
形、圧空成形のいずれでもよいが好ましくは真空成形で
ある。本発明より得られる成形品の用途は特に限定され
ず、任意の用途に使用可能であり、特に、高強度、高剛
性、耐衝撃性、耐熱性が要求される用途に極めて有効で
ある。具体的用途例として浴槽、シートシェル、アンダ
ーカバー、ドアトリム、自動車天井材、工業部品ハウジ
ング、家電製品ハウジングなどを挙げることができる。
【0020】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施
例、および比較例において用いられている用語の定義お
よび測定方法は以下のとおりである。MFR(メルトフ
ローレート):JIS K7210に準じ測定した。 ガラス繊維含有率:JIS K7052に準じ測定し
た。 真空成形は、(株)布施真空製の真空圧空成形機を用い
た。
【0021】実施例1 無水マレイン酸変性ポリプロピレン{結晶融点Tm(D
SC測定)160℃;MFR(21.18N:230
℃)130g/10min}を溶融した270℃の溶融
樹脂槽に4000本のフィラメントを集束したガラスロ
−ビング10本を通し、該樹脂槽の出口に設けられた9
0mm×0.35mのダイスから引き出された溶融樹脂
の含浸されたガラスロ−ビングをニップロ−ルを通して
冷却固化させ一方向連続ガラス繊維強化ポリプロピレン
シート(以下強化PPシートという)を得た。この強化
PPシートのガラス含有率は60wt%であった。この
得られた強化PPシートを並べて繊維方向が(0°/9
0°/90°/0°)となるように4枚重ねとして47
0mm×390mmの強化層Cとした。その両面に熱可
塑性樹脂層Aとしてランダムポリプロピレン{Tm(D
SC測定)145℃;MFR(21.18N:230
℃)5g/10min}のシート(470×390×
2.5tmm)を重ね、100tプレス機(温度160
℃;圧力:0.5MPa)で熱プレス後、プレス冷却
(温度:23℃、圧力:0.5MPa)し、厚み6.2
mmの繊維強化熱可塑性樹脂複合材を得た。得られた繊
維強化熱可塑性樹脂複合材13のコーナー4点をバネ1
4によりクランプ枠15と連結させ(図2)、これをク
ランプ治具(17)に取り付け、(図1(a))に示すよ
うに、ヒーター16で複合材13の表面温度を190℃
に予熱後、プラグ11でアシストし真空圧0.1MPa
にて真空成形した(図1(b)(c))。成形型12は、
アルミ製雄型で裾の部分の形状が長さ230mm×幅1
50mm、短辺部75R、深さ100mm、側壁傾斜角
αが75度である。プラグ11は木製の枠を用い、成形
型12とのクリアランスtが5.0mmとなるように設
計した(図3)。得られた成形品の最小厚みは5.6m
m、最大厚みは7.9mmであった。
【0022】実施例2 プラグと成形型のクリアランスを20mmにした以外は
実施例1と同様にして成形品を得た。得られた成形品の
最小厚みは5.9mm、最大厚みは8.5mmであっ
た。
【0023】実施例3 強化PPシートを繊維方向が(0°/90°/0°/0
°/90°/0°)となるように6枚重ねとし(強化層
D)熱可塑性樹脂層を用いない以外は実施例1と同様に
して強化PPシートの積層からなる厚み1.8mmの繊
維強化熱可塑性樹脂層のみからなる繊維強化熱可塑性樹
脂複合材を得た。この複合材を用いてプラグと成形型の
クリアランスを2.0mmにした以外は実施例1と同様
にして成形品を得た。得られた成形品の最小厚みは1.
7mm、最大厚みは2.0mmであった。
【0024】比較例1 プラグと成形型のクリアランスを3.0mmにした以外
は実施例1と同様にして成形を行ったが、強化繊維が拘
束され良品は得られなかった。
【0025】比較例2 ランダムポリプロピレンシートの厚みを1.0mmした
こと以外は、実施例1と同様にして厚みは3.2mmの
繊維強化熱可塑性樹脂複合材を得た。得られた繊維強化
熱可塑性樹脂複合材を用いプラグと成形型のクリアラン
スを20mmにした以外は実施例1と同様にして成形品
を得た。得られた成形品の最小厚みは3.1mm、最大
厚みは25mmであった。
【0026】比較例3 プラグと成形型のクリアランスを10mmにした以外は
実施例3と同様にして成形品を得た。得られた成形品の
最小厚みは1.8mm、最大厚みは18mmであった。
【0027】以上の実施例1〜3、比較例1〜3の成形
法とその結果をまとめて表1に示す。
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合成形
品の製造法は、成形の際に強化繊維で補強された部位は
殆ど伸張しないため、成形品の各部位における肉厚や強
度の変動が少ないばかりでなく、成形品の表面にしわの
発現がなく、成形品表面の平滑な肉厚の成形品を得るこ
とができる。強度、剛性、衝撃性、耐熱性に優れた大型
成形品や小口ロットの成形品を安価に製造することが可
能で、実用性の高い技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラグアシスト成形の工程(a.加熱、b.予
張、c.成形)を示す図である。
【図2】繊維強化樹脂複合材をクランプ枠にセットした
図である。
【図3】プラグと成形型のクリアランスを示す図であ
る。
【符号の説明】
11.プラグ 12.成形型 13.繊維強化樹脂複合材 14.バネ 15.クランプ枠 16.ヒーター 17.クランプ α. 側壁傾斜角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F208 AB25 AC01 AR12 MA01 MA02 MB01 MC01 MG01 MG11 MJ14 MJ21 MK02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂シート材の真空もしくは圧空プラグ
    アシスト成形による成形品の製造において、成形型とプ
    ラグとのクリアランス(プラグと成形型が接した時の両
    者の隙間最小間隔)を該樹脂シート材の厚みの0.7〜
    5.0倍に設定し、該樹脂シート材として繊維強化熱可
    塑性樹脂層および熱可塑性樹脂層からなる群から選ばれ
    た少なくとも一種の層からなりかつ少なくとも一種の繊
    維強化熱可塑性樹脂層を含む繊維強化熱可塑性樹脂複合
    材を用いることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂複合
    成形品の製造法。
  2. 【請求項2】 前記複合材が連続繊維強化材を含むこと
    からなる請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 前記成形型が雄型である請求項1および
    2項のいずれか1項に記載の製造法。
  4. 【請求項4】 前記クリアランスを該複合材の厚みの
    0.7〜2.0倍である請求項1、2および3項のいず
    れか1項に記載の製造法。
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