JP2003276085A - 筒状成形品 - Google Patents
筒状成形品Info
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- JP2003276085A JP2003276085A JP2002083593A JP2002083593A JP2003276085A JP 2003276085 A JP2003276085 A JP 2003276085A JP 2002083593 A JP2002083593 A JP 2002083593A JP 2002083593 A JP2002083593 A JP 2002083593A JP 2003276085 A JP2003276085 A JP 2003276085A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】切削加工等の加工を施すことなく、アンダーカ
ット部を有する端部と本体部とが一体成形され、しかも
後収縮が殆ど生じることのない寸法精度の高い筒状成形
品を提供する。 【解決手段】筒状の本体部と、アンダーカット部を有す
る端部とが一体成形された筒状成形品であって、当該端
部の後収縮が0.2%以内と小さくなっている。そし
て、この筒状成形品は、コア型2に樹脂パイプ5aが挿
入された後、当該コア型2がコア型偏芯公転機構4によ
り偏芯状態を保ちながら公転し、コア型2の周面が加工
部内面に沿ってスムーズに転動しながら、加工部の樹脂
を内部から外型3の成形面に向かって垂直に均等に圧縮
することで成形することができる。
ット部を有する端部と本体部とが一体成形され、しかも
後収縮が殆ど生じることのない寸法精度の高い筒状成形
品を提供する。 【解決手段】筒状の本体部と、アンダーカット部を有す
る端部とが一体成形された筒状成形品であって、当該端
部の後収縮が0.2%以内と小さくなっている。そし
て、この筒状成形品は、コア型2に樹脂パイプ5aが挿
入された後、当該コア型2がコア型偏芯公転機構4によ
り偏芯状態を保ちながら公転し、コア型2の周面が加工
部内面に沿ってスムーズに転動しながら、加工部の樹脂
を内部から外型3の成形面に向かって垂直に均等に圧縮
することで成形することができる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端部にアンダーカ
ット部を有する筒状成形品に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、端部にアンダーカット部を有する
配管材などの筒状成形品は、一般的に以下のような方法
で作製されている。 【0003】(1)筒状成形材料としての樹脂パイプ内
にコア型を挿入したのち、油圧でコア型の一部(シェ
ル)を外側に押し広げるように移動させてパイプを拡径
し受口を成形する所謂花びらコアを用いる方法(油圧に
よるシェル拡径方式) (2)特開平7−1580号公報、特開平7−1582
号公報等に開示されているように、筒状成形材料として
の樹脂パイプ内にコア型を挿入したのち、機械的にコア
型の一部(シェル)を外側に押し広げるように移動させ
てパイプを拡径し、受口を成形する所謂花びらコアを用
いる方法(機械的作用によるシェル拡径方式) 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法で作製された筒状成形品においては、アンダ
ーカット部を有する端部を一体成形できるものの、成形
時に生じる残留応力等の影響で、離型後において長期に
わたり成形品に寸法収縮(所謂、後収縮)が生じる。こ
のため、受口付き配管材などにおいては保管している間
に寸法が変化し、これによりパイプなどとの嵌合接合が
できなくなるという支障が生じる。 【0005】また、(3)射出成形によりアンダーカッ
ト部のない受口類似形状の成形品を成形したのち、この
受口類似成形品を切削することによりアンダーカット部
を形成して受口を得る方法、(4)厚肉のパイプまたは
円柱のロッドを押出成形した物を切削加工して受口形状
にする方法、などによっても端部にアンダーカット部を
有する筒状成形品を精度良く作製することができるもの
の、直管では端部の切削加工が難しく、通常は、まず切
削加工して得た継手を直管の端部に接着または融着する
方法を取らねばならず、二次加工費用がかさむ。 【0006】本発明は、このような事情に鑑みて、切削
加工等の加工を施すことなく、アンダーカット部を有す
る端部と本体部とが一体成形され、しかも後収縮が殆ど
生じることのない寸法精度の高い筒状成形品を提供する
ことを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1に係る発明の筒状成形品は、筒状の
本体部と、アンダーカット部を有する端部とが一体成形
された筒状成形品であって、上記端部の後収縮が0.2
%以内であることを特徴とするものである。 【0008】本発明の筒状成形品において、後収縮と
は、成形品の離型後に長期にわたり発生する成形品の寸
法収縮をいい、離型後の成形品を所定温度で冷却、加熱
を繰り返した際に見られる寸法収縮を含む。そして、こ
の後収縮が例えば射出成形により成形された成形品と比
較して小さくなっており、具体的には0.2%以内、特
に0.1%以内であることが好ましい。 【0009】本発明において、筒状とは、断面形状が真
円状の筒形だけでなく、卵形や楕円状をしているのもの
であっても構わないものであり、表面に各種形状の凸部
が突設されていてもよい。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。 【0011】図1は、本発明の筒状成形品を成形する成
形装置の1つの実施の形態をあらわしている。 【0012】図1に示すように、この成形装置1は、コ
ア型2と、外型3と、コア型偏芯公転機構4とを備え、
筒状成形品として図2(a)に示すようなシール用ゴム
輪(図示せず)が嵌合するリング状をしたゴム輪用凹溝
52がアンダーカット部として内面に設けられた受口5
1を成形部として有する片受口付き直管5を成形するこ
とができるようになっている。 【0013】コア型2は、図1に示すように、その外面
21が受口51内面の縦断面凹凸形状と略同じ縦断面凹
凸形状をした筒状をしていて、後で詳述するようにコア
型偏芯機構4の軸部本体452が一端から挿入され、軸
部本体452に外嵌されたベアリング6を介してコア型
2の中心軸周りに回転自在になっている。また、コア型
2は、その最大径が筒状成形材料である予め押出成形さ
れた樹脂パイプ5aの内径より少し小径に形成されてい
る。 【0014】外型3は、その軸に沿って分割された2つ
の分割型31、31と支持板32とを備え、成形部であ
る受口51の外周面に沿う内面形状をしているととも
に、その最小径が樹脂パイプ5aの外径と略同じになっ
ている。また、支持板32は、両分割型31、31を離
接自在に動くように支持しているとともに、中央に後述
する軸部本体452の挿通孔33が穿設されている。 【0015】また、外型3は、その成形面に沿ってヒー
タ34と冷媒が通る冷却管35を備えている。 【0016】図1に示すように、コア型偏芯公転機構4
は、ケーシング41と、回転ケース42と、進退部材
(押し引きアンギュラ)43およびスライドブロック
(偏芯アンギュラ)44と、コア型2を回転自在に支持
する軸部45とを備えている。回転ケース42は、軸受
け46により支持されてケーシング41内で回転自在な
っているとともに、スプロケット47が外嵌されてい
る。 【0017】そして、回転ケース42は、電動機48の
回転軸に設けられたギヤ481、チェーン49およびこ
のスプロケット47を介して電動機48の回転駆動力が
伝達されケーシング41内で回転するようになってい
る。 【0018】進退部材43は、断面略小判形をしてお
り、回転ケース42内にコア型方向にスライド自在に挿
入されているとともに、その後端が油圧シリンダ(図示
せず)のロッド先端に回転自在に支持されていて、回転
ケース42の回転に伴って回転するとともに、油圧シリ
ンダのロッドの伸縮によって回転ケース42内をコア型
2方向に進退するようになっている。 【0019】また、進退部材43は、コア型2側の面
に、断面矩形をして進退部材43のスライド軸に対して
傾斜するアンギュラピン431が突設されている。 【0020】一方、スライドブロック44は、コア型2
側の面に後述する軸部45に連結される連結ピン441
を有し、進退部材43側の面にアンギュラピン431と
同じ断面形状で同じ角度で傾斜するアンギュラ穴442
が穿設され、このアンギュラ穴442にアンギュラピン
431が摺動自在に挿入されている。 【0021】すなわち、スライドブロック44は、進退
部材43がコア型2方向に前進後退することによって、
アンギュラピン431がアンギュラ穴442内に進退す
る。しかも、アンギュラ穴442およびアンギュラピン
431が進退部材43の進退方向に対して傾斜して設け
られているので、アンギュラピン431のアンギュラ穴
442内への進退によってその中心軸をコア型2の中心
軸に直交する方向に回転ケース42内でスライドするよ
うになっている。また、進退部材43が回転ケース42
の回転に伴って回転すると、アンギュラピン431を介
してその回転力がスライドブロック44にも伝達され、
スライドブロック44も進退部材43とともに回転する
ようになっている。 【0022】軸部45は、基台部451と、軸部本体4
52とを備え、基台部451がその中心軸をスライドブ
ロック44の中心軸に一致させるようにして連結ピン4
41を介して固定されている。 【0023】軸部本体452は、支持板32に設けられ
た挿通孔33を介して外型3内部を臨んだ状態で、コア
型2内部に挿入され、コア型2がベアリング6を介して
着脱自在に支持されているとともに、軸部本体452周
りに回転自在になっている。 【0024】また、軸部本体452内には、コア型2を
加熱するヒータ453およびコア型2を冷却する冷却水
の冷却管454が設けられている。 【0025】なお、進退部材43やスライドブロック4
4の材質としては、特に限定されないが、少なくとも進
退部材43やスライドブロック44の接触部を形成する
部分が耐衝撃性や耐じん性などを持つ材料で形成されて
いることが好ましく、強度の関係からマルエージング
鋼、クロム−モリブデン鋼(SMC鋼)や工具鋼(SK
D鋼)がより好ましい。また、耐磨耗性や低摩擦化など
を考慮すれば、真空焼入れやタフトライドなどの表面熱
処理を施すことがさらに好ましい。 【0026】また、筒状成形材料の材質としては、高密
度ポリエチレン等の結晶化度が高く、収縮性の大きい樹
脂が好適であるが、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン等の
非結晶性樹脂も使用可能である。 【0027】コア型の材質としては、特に限定されない
が、少なくともコア型の型面を形成する部分が、熱伝導
率が高いアルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、
銅合金等で形成されていることが好ましく、軽量化の観
点からこれらのうち、アルミニウムあるいはアルミニウ
ム合金がより好ましい。 【0028】外型の材質としては、特に限定されない
が、例えば、炭素鋼やステンレス鋼が挙げられる。ま
た、転写性をよくするために、樹脂に接する部分は鏡面
仕上げされていることが好ましい。 【0029】コア型の形状は、その最大外径が筒状成形
材料内径より小さく設計されていればよいが、アンダー
カット部および平行部などに接触する部分の作製寸法
は、予め熱収縮を見込んだ寸法で設計することが好まし
い。 【0030】コア型の偏芯量は、成形品の成形部のサイ
ズ、形状あるいは使用樹脂の種類によって成形条件およ
び収縮量が異なり、コア型が偏芯公転運動した際にその
軌跡が成形部の内面形状に沿う寸法(製品寸法)で運動
するために必要な量に設計すればよく、特に限定されな
いが、例えば、高密度ポリエチレンを用いて呼び径50
の受口付き配管材を成形する場合、0.1〜20mm程
度が好ましい。 【0031】つぎに、図3及び図4によってこの成形装
置1を用いて本発明の筒状成形品を成形する手順につい
て説明する。 【0032】 図3(a)に示すように、外型3を2
つの分割型31、31が離れた状態にするとともに、コ
ア型2をその中心軸が支持板32の挿通孔33の中心軸
と一致した状態にしておく。 【0033】 ヒータ34、453によって外型3お
よびコア型2の成形面付近を樹脂パイプ5aの易変形温
度まで加熱しておく。 【0034】 例えばオイルバスで易変形温度以上に
加熱された樹脂パイプ5aの一端部である加工部55を
コア型2に外嵌する。 【0035】 図3(b)に示すように、2つの分割
型31、31を閉合して外型3によって加工部55を囲
繞するように組み立てて外型3の最小径部で樹脂パイプ
5aの外周面をクランプする。 【0036】 図3(c)に示すように、回転ケース
42を回転させながら、徐々に進退部材43をコア型2
側に進出させてコア型2を偏芯させながら、樹脂パイプ
5aを外型3の型面方向に圧縮する。 【0037】 図4(a)に示すように、回転ケース
42を回転させながら、コア型2をさらに偏芯量を増加
させて外型3との間で全周にわたって均一に圧縮して受
口51を成形する。 【0038】 冷却管35、454に冷却水を通して
外型3およびコア型2を冷却して樹脂を冷却固化させた
のち、図4(b)に示すように、コア型2を中立位置ま
で戻すとともに、図4(c)に示すように、外型3の両
分割型31、31をその最小径部が受口51の最大外径
部より受口51の中心軸より離れた位置にくるように分
離する。 【0039】 図4(c)に示すように、受口51が
形成された片受口付き直管5をコア型2の軸方向に抜き
取り離型する。ただし、離型に支障が無ければ、必ずし
もコア型2を中立位置に戻す必要はない。 【0040】なお、およびの工程は、順序が逆でも
構わない。 【0041】このようにコア型2が偏芯状態を保ちなが
ら公転し、当該コア型2の周面が加工部55内面に沿っ
てスムーズに転動しながら、加工部55の樹脂を内部か
ら外型3の成形面に向かって垂直に均等に圧縮すること
で、樹脂の収縮力を均等に分散でき、これによりその形
状を矯正すると共に密度を高めることができる。すなわ
ち、アンダーカット形状の受口を備えた成形部であって
も、均一な密度を持ち、そりや変形、残留ひずみ等が少
なく、後収縮が小さく収縮ムラのない高精度で外観の優
れた筒状成形品を容易に一体成形することができる。ま
た、深さの深いアンダーカット部や厚肉の異なる受口部
でも、容易に成形することができる。 【0042】ここで、上述のようにして筒状成形品を成
形する際において、での樹脂パイプ5aを加熱する工
程は、コア型2を加工部55内に挿入する前でも後でも
構わない。 【0043】コア型2を加工部55内に挿入する前に加
工部55を加熱する方法としては、オイルバスに樹脂パ
イプ5aの少なくとも加工部55を浸漬して加熱する方
法、遠赤外線ヒータ、シーズヒータなどのヒータによっ
て加熱する方法、ブロアーなどで熱風を供給して加熱す
る方法等が挙げられる。 【0044】また、コア型2を加工部55内に挿入した
後に加工部55を加熱する方法としては、コア型2およ
び外型3内に設けられたヒータで加熱する方法やコア型
2および外型3内に設けられた熱媒体流路に蒸気や加熱
オイル等の熱媒体を供給して加熱する方法等が挙げられ
る。 【0045】易変形状態とは、加工部55がコア型2の
偏芯公転により容易に変形する状態をいい、このときの
加熱温度は、樹脂パイプ5aを構成する材料の軟化点温
度以上であるのが好ましく、特に結晶化温度以上、融点
温度以下が好ましい。特に、加工部55を筒状成形品の
端部に見合う形状の厚肉に予備賦形しておくのが好まし
い。 【0046】また、の冷却工程では、速い冷却速度の
第1段階と、この第1段階の冷却速度より遅い冷却速度
の第2段階と、第2段階の冷却速度より速い冷却速度の
第3段階とから構成するのが効果的である。具体的態様
としては、図5の(a)〜(f)で示す態様が考えられ
る。即ち、図5の(a)(d)(e)に示すように、温
度の時間に対する勾配を曲線的に変化させる態様や、図
5の(b)(c)(f)に示すように、温度の時間に対
する勾配を直線的に変化させる態様や、これらを適宜組
み合わせて曲線的変化及び直線的変化を組み合わせた態
様が採用できる。 【0047】また、筒状成形材料を構成する材料がポリ
エチレン等の結晶性樹脂の場合、冷却工程を3段階から
構成し、第1段階では冷却速度を速く、第2段階では一
旦、温度を一定とし、暫くその温度を維持し、第3段階
では再び冷却速度を速くする[図5の(c)(f)参
照]ことが好ましいが、特に、第2段階の温度を結晶化
開始温度付近とすると一層効果的である。 【0048】なお、冷却工程において、どのような冷却
速度パターンで冷却するかは、使用する結晶性樹脂や狙
う結晶化度によって異なる。使用する結晶性樹脂につい
ては、予め冷却速度と結晶化度の関係を把握する必要が
ある。冷却速度と結晶化度の関係を把握するには、種々
の冷却速度により固化した樹脂サンプルの結晶化度をD
SC等で測定し、冷却速度と結晶化度の関係を把握す
る。また、冷却速度を変更できるDSCやPvT測定装
置を使用すれば、冷却速度によって変化する結晶化開始
温度や結晶化温度域を把握することもできる。特に広範
囲な冷却速度設定が可能なDSCの場合は、実際に成形
する冷却パターンで樹脂サンプルを冷却し、その温度履
歴を与えたサンプルで、結晶化度を測定することによ
り、各種冷却パターンにおける結晶化度を把握すること
ができる。 【0049】ここで、結晶化開始温度、もしくは結晶化
温度域は、冷却工程におけるDSCもしくはPvT測定
により得られる結果から判断する。即ち、DSC使用の
場合には、温度−熱量曲線から、その曲線がベースライ
ンから大きくずれている温度域が結晶化温度域であり、
その中の最大値が結晶化開始温度となる。また、PvT
測定の場合には、温度−比容積曲線において、比容積の
変化率が最も大きい温度域が結晶化温度域であり、その
中の最大値が結晶化開始温度となる。 【0050】本発明の製造方法において、冷却速度を変
化させる手段としては、特に限定されないが、例えば、 (1)冷媒の流量を変化させる方法。 (2)温度の異なる冷媒を切り換える。 (3)冷媒の通過位置を切り換える。 (4)冷媒による冷却とヒータによる加熱を組み合わせ
て使用する方法。 【0051】方法があり、これらの方法をそれぞれ単独
に使用してもよく、これらを適宜組み合わせた方法によ
ってもよく、組み合わせた方法によれば、さらに制御範
囲、あるいは制御パターンを拡大することができる。 【0052】また、冷却速度は、コア型および外型の成
形面または成形面に接触して加工部の樹脂温度、もしく
は成形サイクル中の経過時間において判断し、制御する
ようにしてもよい。 【0053】最も単純な制御手段としては、予め必要な
冷却速度について、上記の4つの冷却速度可変方法の設
定値を調べておき、成形サイクル中の経過時間(例え
ば、筒状成形材料挿入開始、冷却開始からの経過時間)
において、設定値を手動もしくはタイマー制御で切り換
えていく方法によってもよい。この方法においては、事
前に設定値を導出しておけば、実際の成形においては、
必ずしも成形面温度もしくは樹脂温度を測定する必要は
ない。但し、雰囲気温度や成形条件の変動等の外乱によ
り実際の冷却パターンと狙いのパターンが多少ずれる可
能性があることに注意すべきである。 【0054】冷却速度をより正確に制御するには、コア
型および外型の成形面、もしくは成形面に接触している
樹脂の温度を随時測定するセンサーを設置して冷却速度
を制御する必要がある。センサーからの測定データは制
御部に送られ、測定間隔に対する温度勾配より時々刻々
の冷却速度を計算し、予め設定した冷却速度となるよう
に、冷却速度を制御する。 【0055】第2段階において、一定温度を保持する場
合には、冷却パターンとして設定された時間、設定温度
を保持するように制御するとよい。 【0056】このような冷却制御を行うことで、成形時
間を短くできるとともに、しわなどの無い外観のさらに
よい成形品を得ることができる。 【0057】さらに、上述した冷却速度の制御と、以下
に説明する肉厚制御(コア型の偏芯量制御)とを図6に
示すように同時に行うのが好ましい。 【0058】図6において、上段は上述した図5(c)
に相当する冷却パターンを示し、下段はコア型の偏心パ
ターン、つまり樹脂パイプ5aの加工部55における肉
厚の変化を示している。 【0059】ここで、樹脂パイプ5aの加工部55を成
形装置1に挿入完了した時には、応力緩和が行われ温度
分布や圧力分布の平滑化されているので、成形工程で加
工部を瞬時に高圧下で圧縮することは、圧力向上や発熱
現象が起こり好ましくなく、加工部の樹脂が収縮する過
程に合わせてコア型2により外型3を通じて賦形してい
くのが理想的である。 【0060】従って、加工部の厚肉制御は図6に示すパ
ターンで行っている。 【0061】まず、樹脂の収縮分を考慮した肉厚の加工
部55を成形装置1に挿入し、その後、結晶収縮が生じ
ないで熱収縮のみが生じるゾーン1においては、熱収縮
分の厚みだけ肉厚が薄くなるようにコア型を偏心移動さ
せ、結晶収縮が起こるゾーン2においてはより大きな収
縮が起こるので、コア型2の偏心量を大きくしてこの分
肉厚を速く薄くし、ゾーン3では熱収縮分のみの変形に
なるので、コア型の偏心量を微小にして肉厚を目標寸法
まで徐々に薄くしていく。なお、上記ゾーン3では成形
品が固化するゾーンでもあるので、ゾーン2で過圧縮
(高圧下)状態として、PvT曲線の圧力シフトを利用
するようにしてもよい。 【0062】このような肉厚制御は、成形品の温度をセ
ンサーなどで逐次計測しておき、ある温度にくれば随時
切換える方式や、タイマー(時間)で予め設定して切換
える方式、さらには内部に取付けた圧力センサーにより
圧力値が一定となるように偏心量を調整する方式などを
とることができる。 【0063】このように冷却速度制御と肉厚制御とを並
行して行うことで、結晶化度を上げ、均一な結晶化度を
持った成形品を成形できるとともに、樹脂の収縮挙動に
合わせて成形品肉厚を変化させているので、離型時の成
形品寸法精度も向上し、その後の後収縮を防止する効果
をさらに得ることができる。 【0064】なお、本発明は、上記の実施の形態に限定
されない。たとえば、上記の実施の形態では、筒状成形
品が片受口直管5であったが、筒状成形品形状は、特に
限定されず、たとえば、図7(a)あるいは図7(b)
に示すような継手、図7(c)に示すような拡径部を複
数箇所備えた管、図7(d)に示すような一端が閉鎖さ
れたようなアンダーカット部を有する筒体などでも構わ
ないし、樹脂パイプの両側に成形装置を配置し、樹脂パ
イプの両端部に同時に成形部を形成するようにしても構
わない。また、本体部は直管だけでなく、受口付き曲管
の製造にも使用することができる。 【0065】 【実施例】筒状成形材料としての呼び径50mm(内径
48mm)の高密度ポリエチレン樹脂パイプ5aと、図
1に示すような成形装置1とを用意し、つぎの成形条件
でゴム輪凹溝52を内面に有する受口51を備えた図2
(a)に示すような片受口付き直管5を、厚肉部形成装
置7により予備賦型して成形した。なお、コア型2の偏
芯量の制御は、温度センサの値をフィードバックさせて
切り替えた。 【0066】 加熱温度:150℃ 加熱時間:10分 コア型偏芯公転時間:10分 コア型の偏芯量:13mm コア型の公転速度:25rpm これにより得られた受口付きパイプを加工後に温度23
℃の部屋で保管し、加工1時間後に図2(a)に示すA
(起点としての管端から10mm)、B(起点としての
管端から25mm)、C(起点としての管端から60m
m)、D(起点としての管端から100mm)の4箇所
で図2(b)に示す周方向の各6点でそれぞれ内径およ
び外径を測定し、その測定値の最大値と最小値との差を
真円度として求めた。 【0067】この結果、切削品には若干劣るものの、従
来の射出成形により受口部を成形し、受口部を直管部分
と融着した片受口付きポリエチレン樹脂パイプの場合と
同様に真円度が0.2mmであった。 【0068】これに対して、従来の花びらコアを用いて
成形した片受口付き硬質塩化ビニル樹脂パイプの場合、
真円度が0.8mmであった。 【0069】さらに、アンダーカット部であるゴム輪用
凹溝52部分を軸方向に切断し、その断面において溝の
深さを測定したところ、良好な寸法が得られた。また、
外観も捻じれやしわなどが無く良好で型痕もなく転写性
が良好で切削等の二次加工の必要がないものであった。 【0070】また、この直管5を40℃と−5℃の環境
下に24時間交互に2回繰り返しておいた後、常温に戻
した状態での寸法変動を測定した。このときに成形品内
部に余計な応力が残っていると後収縮が発生して寸法変
動が生じ、内径が小さくなるが、上記直管5では、後収
縮が略0.1%以内の変動内に収まり、平均径も小さく
ならないことがわかった。 【0071】 【発明の効果】本発明にかかる筒状成形品によれば、成
形後の後収縮が殆どないので、寸法の変化がなく長期に
亘って所定寸法を維持でき、良好な片受口付き直管や管
継ぎ手などを提供することができる。
ット部を有する筒状成形品に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、端部にアンダーカット部を有する
配管材などの筒状成形品は、一般的に以下のような方法
で作製されている。 【0003】(1)筒状成形材料としての樹脂パイプ内
にコア型を挿入したのち、油圧でコア型の一部(シェ
ル)を外側に押し広げるように移動させてパイプを拡径
し受口を成形する所謂花びらコアを用いる方法(油圧に
よるシェル拡径方式) (2)特開平7−1580号公報、特開平7−1582
号公報等に開示されているように、筒状成形材料として
の樹脂パイプ内にコア型を挿入したのち、機械的にコア
型の一部(シェル)を外側に押し広げるように移動させ
てパイプを拡径し、受口を成形する所謂花びらコアを用
いる方法(機械的作用によるシェル拡径方式) 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法で作製された筒状成形品においては、アンダ
ーカット部を有する端部を一体成形できるものの、成形
時に生じる残留応力等の影響で、離型後において長期に
わたり成形品に寸法収縮(所謂、後収縮)が生じる。こ
のため、受口付き配管材などにおいては保管している間
に寸法が変化し、これによりパイプなどとの嵌合接合が
できなくなるという支障が生じる。 【0005】また、(3)射出成形によりアンダーカッ
ト部のない受口類似形状の成形品を成形したのち、この
受口類似成形品を切削することによりアンダーカット部
を形成して受口を得る方法、(4)厚肉のパイプまたは
円柱のロッドを押出成形した物を切削加工して受口形状
にする方法、などによっても端部にアンダーカット部を
有する筒状成形品を精度良く作製することができるもの
の、直管では端部の切削加工が難しく、通常は、まず切
削加工して得た継手を直管の端部に接着または融着する
方法を取らねばならず、二次加工費用がかさむ。 【0006】本発明は、このような事情に鑑みて、切削
加工等の加工を施すことなく、アンダーカット部を有す
る端部と本体部とが一体成形され、しかも後収縮が殆ど
生じることのない寸法精度の高い筒状成形品を提供する
ことを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1に係る発明の筒状成形品は、筒状の
本体部と、アンダーカット部を有する端部とが一体成形
された筒状成形品であって、上記端部の後収縮が0.2
%以内であることを特徴とするものである。 【0008】本発明の筒状成形品において、後収縮と
は、成形品の離型後に長期にわたり発生する成形品の寸
法収縮をいい、離型後の成形品を所定温度で冷却、加熱
を繰り返した際に見られる寸法収縮を含む。そして、こ
の後収縮が例えば射出成形により成形された成形品と比
較して小さくなっており、具体的には0.2%以内、特
に0.1%以内であることが好ましい。 【0009】本発明において、筒状とは、断面形状が真
円状の筒形だけでなく、卵形や楕円状をしているのもの
であっても構わないものであり、表面に各種形状の凸部
が突設されていてもよい。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。 【0011】図1は、本発明の筒状成形品を成形する成
形装置の1つの実施の形態をあらわしている。 【0012】図1に示すように、この成形装置1は、コ
ア型2と、外型3と、コア型偏芯公転機構4とを備え、
筒状成形品として図2(a)に示すようなシール用ゴム
輪(図示せず)が嵌合するリング状をしたゴム輪用凹溝
52がアンダーカット部として内面に設けられた受口5
1を成形部として有する片受口付き直管5を成形するこ
とができるようになっている。 【0013】コア型2は、図1に示すように、その外面
21が受口51内面の縦断面凹凸形状と略同じ縦断面凹
凸形状をした筒状をしていて、後で詳述するようにコア
型偏芯機構4の軸部本体452が一端から挿入され、軸
部本体452に外嵌されたベアリング6を介してコア型
2の中心軸周りに回転自在になっている。また、コア型
2は、その最大径が筒状成形材料である予め押出成形さ
れた樹脂パイプ5aの内径より少し小径に形成されてい
る。 【0014】外型3は、その軸に沿って分割された2つ
の分割型31、31と支持板32とを備え、成形部であ
る受口51の外周面に沿う内面形状をしているととも
に、その最小径が樹脂パイプ5aの外径と略同じになっ
ている。また、支持板32は、両分割型31、31を離
接自在に動くように支持しているとともに、中央に後述
する軸部本体452の挿通孔33が穿設されている。 【0015】また、外型3は、その成形面に沿ってヒー
タ34と冷媒が通る冷却管35を備えている。 【0016】図1に示すように、コア型偏芯公転機構4
は、ケーシング41と、回転ケース42と、進退部材
(押し引きアンギュラ)43およびスライドブロック
(偏芯アンギュラ)44と、コア型2を回転自在に支持
する軸部45とを備えている。回転ケース42は、軸受
け46により支持されてケーシング41内で回転自在な
っているとともに、スプロケット47が外嵌されてい
る。 【0017】そして、回転ケース42は、電動機48の
回転軸に設けられたギヤ481、チェーン49およびこ
のスプロケット47を介して電動機48の回転駆動力が
伝達されケーシング41内で回転するようになってい
る。 【0018】進退部材43は、断面略小判形をしてお
り、回転ケース42内にコア型方向にスライド自在に挿
入されているとともに、その後端が油圧シリンダ(図示
せず)のロッド先端に回転自在に支持されていて、回転
ケース42の回転に伴って回転するとともに、油圧シリ
ンダのロッドの伸縮によって回転ケース42内をコア型
2方向に進退するようになっている。 【0019】また、進退部材43は、コア型2側の面
に、断面矩形をして進退部材43のスライド軸に対して
傾斜するアンギュラピン431が突設されている。 【0020】一方、スライドブロック44は、コア型2
側の面に後述する軸部45に連結される連結ピン441
を有し、進退部材43側の面にアンギュラピン431と
同じ断面形状で同じ角度で傾斜するアンギュラ穴442
が穿設され、このアンギュラ穴442にアンギュラピン
431が摺動自在に挿入されている。 【0021】すなわち、スライドブロック44は、進退
部材43がコア型2方向に前進後退することによって、
アンギュラピン431がアンギュラ穴442内に進退す
る。しかも、アンギュラ穴442およびアンギュラピン
431が進退部材43の進退方向に対して傾斜して設け
られているので、アンギュラピン431のアンギュラ穴
442内への進退によってその中心軸をコア型2の中心
軸に直交する方向に回転ケース42内でスライドするよ
うになっている。また、進退部材43が回転ケース42
の回転に伴って回転すると、アンギュラピン431を介
してその回転力がスライドブロック44にも伝達され、
スライドブロック44も進退部材43とともに回転する
ようになっている。 【0022】軸部45は、基台部451と、軸部本体4
52とを備え、基台部451がその中心軸をスライドブ
ロック44の中心軸に一致させるようにして連結ピン4
41を介して固定されている。 【0023】軸部本体452は、支持板32に設けられ
た挿通孔33を介して外型3内部を臨んだ状態で、コア
型2内部に挿入され、コア型2がベアリング6を介して
着脱自在に支持されているとともに、軸部本体452周
りに回転自在になっている。 【0024】また、軸部本体452内には、コア型2を
加熱するヒータ453およびコア型2を冷却する冷却水
の冷却管454が設けられている。 【0025】なお、進退部材43やスライドブロック4
4の材質としては、特に限定されないが、少なくとも進
退部材43やスライドブロック44の接触部を形成する
部分が耐衝撃性や耐じん性などを持つ材料で形成されて
いることが好ましく、強度の関係からマルエージング
鋼、クロム−モリブデン鋼(SMC鋼)や工具鋼(SK
D鋼)がより好ましい。また、耐磨耗性や低摩擦化など
を考慮すれば、真空焼入れやタフトライドなどの表面熱
処理を施すことがさらに好ましい。 【0026】また、筒状成形材料の材質としては、高密
度ポリエチレン等の結晶化度が高く、収縮性の大きい樹
脂が好適であるが、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン等の
非結晶性樹脂も使用可能である。 【0027】コア型の材質としては、特に限定されない
が、少なくともコア型の型面を形成する部分が、熱伝導
率が高いアルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、
銅合金等で形成されていることが好ましく、軽量化の観
点からこれらのうち、アルミニウムあるいはアルミニウ
ム合金がより好ましい。 【0028】外型の材質としては、特に限定されない
が、例えば、炭素鋼やステンレス鋼が挙げられる。ま
た、転写性をよくするために、樹脂に接する部分は鏡面
仕上げされていることが好ましい。 【0029】コア型の形状は、その最大外径が筒状成形
材料内径より小さく設計されていればよいが、アンダー
カット部および平行部などに接触する部分の作製寸法
は、予め熱収縮を見込んだ寸法で設計することが好まし
い。 【0030】コア型の偏芯量は、成形品の成形部のサイ
ズ、形状あるいは使用樹脂の種類によって成形条件およ
び収縮量が異なり、コア型が偏芯公転運動した際にその
軌跡が成形部の内面形状に沿う寸法(製品寸法)で運動
するために必要な量に設計すればよく、特に限定されな
いが、例えば、高密度ポリエチレンを用いて呼び径50
の受口付き配管材を成形する場合、0.1〜20mm程
度が好ましい。 【0031】つぎに、図3及び図4によってこの成形装
置1を用いて本発明の筒状成形品を成形する手順につい
て説明する。 【0032】 図3(a)に示すように、外型3を2
つの分割型31、31が離れた状態にするとともに、コ
ア型2をその中心軸が支持板32の挿通孔33の中心軸
と一致した状態にしておく。 【0033】 ヒータ34、453によって外型3お
よびコア型2の成形面付近を樹脂パイプ5aの易変形温
度まで加熱しておく。 【0034】 例えばオイルバスで易変形温度以上に
加熱された樹脂パイプ5aの一端部である加工部55を
コア型2に外嵌する。 【0035】 図3(b)に示すように、2つの分割
型31、31を閉合して外型3によって加工部55を囲
繞するように組み立てて外型3の最小径部で樹脂パイプ
5aの外周面をクランプする。 【0036】 図3(c)に示すように、回転ケース
42を回転させながら、徐々に進退部材43をコア型2
側に進出させてコア型2を偏芯させながら、樹脂パイプ
5aを外型3の型面方向に圧縮する。 【0037】 図4(a)に示すように、回転ケース
42を回転させながら、コア型2をさらに偏芯量を増加
させて外型3との間で全周にわたって均一に圧縮して受
口51を成形する。 【0038】 冷却管35、454に冷却水を通して
外型3およびコア型2を冷却して樹脂を冷却固化させた
のち、図4(b)に示すように、コア型2を中立位置ま
で戻すとともに、図4(c)に示すように、外型3の両
分割型31、31をその最小径部が受口51の最大外径
部より受口51の中心軸より離れた位置にくるように分
離する。 【0039】 図4(c)に示すように、受口51が
形成された片受口付き直管5をコア型2の軸方向に抜き
取り離型する。ただし、離型に支障が無ければ、必ずし
もコア型2を中立位置に戻す必要はない。 【0040】なお、およびの工程は、順序が逆でも
構わない。 【0041】このようにコア型2が偏芯状態を保ちなが
ら公転し、当該コア型2の周面が加工部55内面に沿っ
てスムーズに転動しながら、加工部55の樹脂を内部か
ら外型3の成形面に向かって垂直に均等に圧縮すること
で、樹脂の収縮力を均等に分散でき、これによりその形
状を矯正すると共に密度を高めることができる。すなわ
ち、アンダーカット形状の受口を備えた成形部であって
も、均一な密度を持ち、そりや変形、残留ひずみ等が少
なく、後収縮が小さく収縮ムラのない高精度で外観の優
れた筒状成形品を容易に一体成形することができる。ま
た、深さの深いアンダーカット部や厚肉の異なる受口部
でも、容易に成形することができる。 【0042】ここで、上述のようにして筒状成形品を成
形する際において、での樹脂パイプ5aを加熱する工
程は、コア型2を加工部55内に挿入する前でも後でも
構わない。 【0043】コア型2を加工部55内に挿入する前に加
工部55を加熱する方法としては、オイルバスに樹脂パ
イプ5aの少なくとも加工部55を浸漬して加熱する方
法、遠赤外線ヒータ、シーズヒータなどのヒータによっ
て加熱する方法、ブロアーなどで熱風を供給して加熱す
る方法等が挙げられる。 【0044】また、コア型2を加工部55内に挿入した
後に加工部55を加熱する方法としては、コア型2およ
び外型3内に設けられたヒータで加熱する方法やコア型
2および外型3内に設けられた熱媒体流路に蒸気や加熱
オイル等の熱媒体を供給して加熱する方法等が挙げられ
る。 【0045】易変形状態とは、加工部55がコア型2の
偏芯公転により容易に変形する状態をいい、このときの
加熱温度は、樹脂パイプ5aを構成する材料の軟化点温
度以上であるのが好ましく、特に結晶化温度以上、融点
温度以下が好ましい。特に、加工部55を筒状成形品の
端部に見合う形状の厚肉に予備賦形しておくのが好まし
い。 【0046】また、の冷却工程では、速い冷却速度の
第1段階と、この第1段階の冷却速度より遅い冷却速度
の第2段階と、第2段階の冷却速度より速い冷却速度の
第3段階とから構成するのが効果的である。具体的態様
としては、図5の(a)〜(f)で示す態様が考えられ
る。即ち、図5の(a)(d)(e)に示すように、温
度の時間に対する勾配を曲線的に変化させる態様や、図
5の(b)(c)(f)に示すように、温度の時間に対
する勾配を直線的に変化させる態様や、これらを適宜組
み合わせて曲線的変化及び直線的変化を組み合わせた態
様が採用できる。 【0047】また、筒状成形材料を構成する材料がポリ
エチレン等の結晶性樹脂の場合、冷却工程を3段階から
構成し、第1段階では冷却速度を速く、第2段階では一
旦、温度を一定とし、暫くその温度を維持し、第3段階
では再び冷却速度を速くする[図5の(c)(f)参
照]ことが好ましいが、特に、第2段階の温度を結晶化
開始温度付近とすると一層効果的である。 【0048】なお、冷却工程において、どのような冷却
速度パターンで冷却するかは、使用する結晶性樹脂や狙
う結晶化度によって異なる。使用する結晶性樹脂につい
ては、予め冷却速度と結晶化度の関係を把握する必要が
ある。冷却速度と結晶化度の関係を把握するには、種々
の冷却速度により固化した樹脂サンプルの結晶化度をD
SC等で測定し、冷却速度と結晶化度の関係を把握す
る。また、冷却速度を変更できるDSCやPvT測定装
置を使用すれば、冷却速度によって変化する結晶化開始
温度や結晶化温度域を把握することもできる。特に広範
囲な冷却速度設定が可能なDSCの場合は、実際に成形
する冷却パターンで樹脂サンプルを冷却し、その温度履
歴を与えたサンプルで、結晶化度を測定することによ
り、各種冷却パターンにおける結晶化度を把握すること
ができる。 【0049】ここで、結晶化開始温度、もしくは結晶化
温度域は、冷却工程におけるDSCもしくはPvT測定
により得られる結果から判断する。即ち、DSC使用の
場合には、温度−熱量曲線から、その曲線がベースライ
ンから大きくずれている温度域が結晶化温度域であり、
その中の最大値が結晶化開始温度となる。また、PvT
測定の場合には、温度−比容積曲線において、比容積の
変化率が最も大きい温度域が結晶化温度域であり、その
中の最大値が結晶化開始温度となる。 【0050】本発明の製造方法において、冷却速度を変
化させる手段としては、特に限定されないが、例えば、 (1)冷媒の流量を変化させる方法。 (2)温度の異なる冷媒を切り換える。 (3)冷媒の通過位置を切り換える。 (4)冷媒による冷却とヒータによる加熱を組み合わせ
て使用する方法。 【0051】方法があり、これらの方法をそれぞれ単独
に使用してもよく、これらを適宜組み合わせた方法によ
ってもよく、組み合わせた方法によれば、さらに制御範
囲、あるいは制御パターンを拡大することができる。 【0052】また、冷却速度は、コア型および外型の成
形面または成形面に接触して加工部の樹脂温度、もしく
は成形サイクル中の経過時間において判断し、制御する
ようにしてもよい。 【0053】最も単純な制御手段としては、予め必要な
冷却速度について、上記の4つの冷却速度可変方法の設
定値を調べておき、成形サイクル中の経過時間(例え
ば、筒状成形材料挿入開始、冷却開始からの経過時間)
において、設定値を手動もしくはタイマー制御で切り換
えていく方法によってもよい。この方法においては、事
前に設定値を導出しておけば、実際の成形においては、
必ずしも成形面温度もしくは樹脂温度を測定する必要は
ない。但し、雰囲気温度や成形条件の変動等の外乱によ
り実際の冷却パターンと狙いのパターンが多少ずれる可
能性があることに注意すべきである。 【0054】冷却速度をより正確に制御するには、コア
型および外型の成形面、もしくは成形面に接触している
樹脂の温度を随時測定するセンサーを設置して冷却速度
を制御する必要がある。センサーからの測定データは制
御部に送られ、測定間隔に対する温度勾配より時々刻々
の冷却速度を計算し、予め設定した冷却速度となるよう
に、冷却速度を制御する。 【0055】第2段階において、一定温度を保持する場
合には、冷却パターンとして設定された時間、設定温度
を保持するように制御するとよい。 【0056】このような冷却制御を行うことで、成形時
間を短くできるとともに、しわなどの無い外観のさらに
よい成形品を得ることができる。 【0057】さらに、上述した冷却速度の制御と、以下
に説明する肉厚制御(コア型の偏芯量制御)とを図6に
示すように同時に行うのが好ましい。 【0058】図6において、上段は上述した図5(c)
に相当する冷却パターンを示し、下段はコア型の偏心パ
ターン、つまり樹脂パイプ5aの加工部55における肉
厚の変化を示している。 【0059】ここで、樹脂パイプ5aの加工部55を成
形装置1に挿入完了した時には、応力緩和が行われ温度
分布や圧力分布の平滑化されているので、成形工程で加
工部を瞬時に高圧下で圧縮することは、圧力向上や発熱
現象が起こり好ましくなく、加工部の樹脂が収縮する過
程に合わせてコア型2により外型3を通じて賦形してい
くのが理想的である。 【0060】従って、加工部の厚肉制御は図6に示すパ
ターンで行っている。 【0061】まず、樹脂の収縮分を考慮した肉厚の加工
部55を成形装置1に挿入し、その後、結晶収縮が生じ
ないで熱収縮のみが生じるゾーン1においては、熱収縮
分の厚みだけ肉厚が薄くなるようにコア型を偏心移動さ
せ、結晶収縮が起こるゾーン2においてはより大きな収
縮が起こるので、コア型2の偏心量を大きくしてこの分
肉厚を速く薄くし、ゾーン3では熱収縮分のみの変形に
なるので、コア型の偏心量を微小にして肉厚を目標寸法
まで徐々に薄くしていく。なお、上記ゾーン3では成形
品が固化するゾーンでもあるので、ゾーン2で過圧縮
(高圧下)状態として、PvT曲線の圧力シフトを利用
するようにしてもよい。 【0062】このような肉厚制御は、成形品の温度をセ
ンサーなどで逐次計測しておき、ある温度にくれば随時
切換える方式や、タイマー(時間)で予め設定して切換
える方式、さらには内部に取付けた圧力センサーにより
圧力値が一定となるように偏心量を調整する方式などを
とることができる。 【0063】このように冷却速度制御と肉厚制御とを並
行して行うことで、結晶化度を上げ、均一な結晶化度を
持った成形品を成形できるとともに、樹脂の収縮挙動に
合わせて成形品肉厚を変化させているので、離型時の成
形品寸法精度も向上し、その後の後収縮を防止する効果
をさらに得ることができる。 【0064】なお、本発明は、上記の実施の形態に限定
されない。たとえば、上記の実施の形態では、筒状成形
品が片受口直管5であったが、筒状成形品形状は、特に
限定されず、たとえば、図7(a)あるいは図7(b)
に示すような継手、図7(c)に示すような拡径部を複
数箇所備えた管、図7(d)に示すような一端が閉鎖さ
れたようなアンダーカット部を有する筒体などでも構わ
ないし、樹脂パイプの両側に成形装置を配置し、樹脂パ
イプの両端部に同時に成形部を形成するようにしても構
わない。また、本体部は直管だけでなく、受口付き曲管
の製造にも使用することができる。 【0065】 【実施例】筒状成形材料としての呼び径50mm(内径
48mm)の高密度ポリエチレン樹脂パイプ5aと、図
1に示すような成形装置1とを用意し、つぎの成形条件
でゴム輪凹溝52を内面に有する受口51を備えた図2
(a)に示すような片受口付き直管5を、厚肉部形成装
置7により予備賦型して成形した。なお、コア型2の偏
芯量の制御は、温度センサの値をフィードバックさせて
切り替えた。 【0066】 加熱温度:150℃ 加熱時間:10分 コア型偏芯公転時間:10分 コア型の偏芯量:13mm コア型の公転速度:25rpm これにより得られた受口付きパイプを加工後に温度23
℃の部屋で保管し、加工1時間後に図2(a)に示すA
(起点としての管端から10mm)、B(起点としての
管端から25mm)、C(起点としての管端から60m
m)、D(起点としての管端から100mm)の4箇所
で図2(b)に示す周方向の各6点でそれぞれ内径およ
び外径を測定し、その測定値の最大値と最小値との差を
真円度として求めた。 【0067】この結果、切削品には若干劣るものの、従
来の射出成形により受口部を成形し、受口部を直管部分
と融着した片受口付きポリエチレン樹脂パイプの場合と
同様に真円度が0.2mmであった。 【0068】これに対して、従来の花びらコアを用いて
成形した片受口付き硬質塩化ビニル樹脂パイプの場合、
真円度が0.8mmであった。 【0069】さらに、アンダーカット部であるゴム輪用
凹溝52部分を軸方向に切断し、その断面において溝の
深さを測定したところ、良好な寸法が得られた。また、
外観も捻じれやしわなどが無く良好で型痕もなく転写性
が良好で切削等の二次加工の必要がないものであった。 【0070】また、この直管5を40℃と−5℃の環境
下に24時間交互に2回繰り返しておいた後、常温に戻
した状態での寸法変動を測定した。このときに成形品内
部に余計な応力が残っていると後収縮が発生して寸法変
動が生じ、内径が小さくなるが、上記直管5では、後収
縮が略0.1%以内の変動内に収まり、平均径も小さく
ならないことがわかった。 【0071】 【発明の効果】本発明にかかる筒状成形品によれば、成
形後の後収縮が殆どないので、寸法の変化がなく長期に
亘って所定寸法を維持でき、良好な片受口付き直管や管
継ぎ手などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筒状成形品を成形するための成形装置
の1つの実施の形態をあらわす断面図である。 【図2】図1の成形装置を用いて成形される片受口付き
直管(筒状成形品)の断面図である。 【図3】筒状成形品を成形する工程順に説明する説明図
である。 【図4】図3の工程の後工程を順に説明する説明図であ
る。 【図5】冷却パターンの各種態様を示す図である。 【図6】冷却制御及び厚肉制御のパターンを示す図であ
る。 【図7】本発明の筒状成形品の他の例をあらわす断面図
である。 【符号の説明】 1 成形装置 2 コア型 3 外型 4 コア型偏芯公転機構 5 片受口付き直管(筒状成形品) 5a 樹脂パイプ(筒状成形材料) 51 受口(成形部) 52 ゴム輪用凹溝(アンダーカット部) 55 加工部 551 端部 552 本体部
の1つの実施の形態をあらわす断面図である。 【図2】図1の成形装置を用いて成形される片受口付き
直管(筒状成形品)の断面図である。 【図3】筒状成形品を成形する工程順に説明する説明図
である。 【図4】図3の工程の後工程を順に説明する説明図であ
る。 【図5】冷却パターンの各種態様を示す図である。 【図6】冷却制御及び厚肉制御のパターンを示す図であ
る。 【図7】本発明の筒状成形品の他の例をあらわす断面図
である。 【符号の説明】 1 成形装置 2 コア型 3 外型 4 コア型偏芯公転機構 5 片受口付き直管(筒状成形品) 5a 樹脂パイプ(筒状成形材料) 51 受口(成形部) 52 ゴム輪用凹溝(アンダーカット部) 55 加工部 551 端部 552 本体部
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 筒状の本体部と、アンダーカット部を有
する端部とが一体成形された筒状成形品であって、上記
端部の後収縮が0.2%以内であることを特徴とする筒
状成形品。
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---|---|---|---|
JP2002083593A JP2003276085A (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | 筒状成形品 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2003276085A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114222602A (zh) * | 2019-08-13 | 2022-03-22 | 美敦力瓦斯科尔勒公司 | 导管改良装置 |
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2002
- 2002-03-25 JP JP2002083593A patent/JP2003276085A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114222602A (zh) * | 2019-08-13 | 2022-03-22 | 美敦力瓦斯科尔勒公司 | 导管改良装置 |
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