JP2001219453A - 筒状成形品の成形方法および射出成形用金型 - Google Patents

筒状成形品の成形方法および射出成形用金型

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JP2001219453A
JP2001219453A JP2000029106A JP2000029106A JP2001219453A JP 2001219453 A JP2001219453 A JP 2001219453A JP 2000029106 A JP2000029106 A JP 2000029106A JP 2000029106 A JP2000029106 A JP 2000029106A JP 2001219453 A JP2001219453 A JP 2001219453A
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mold
cavity
core
resin
cylindrical
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JP2000029106A
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English (en)
Inventor
Giichi Ito
義一 伊藤
Atsushi Wada
敦 和田
Kazutaka Shirahase
和孝 白波瀬
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】チーズやエルボのような中心軸がずれた複数の
口部を有し、この口部が均一な密度を持ち、そりや変
形、残留ひずみ等が少なく、収縮ムラのない高精度の寸
法を備え、外観の優れた筒状成形品の成形方法を提供す
る。 【解決手段】得ようとする複数の口部を有する筒状成形
品の、各口部に対応するキャビティ型の口部形成部の開
口端からそれぞれコア型を挿入し、キャビティ型とコア
型との間にキャビティの少なくとも一部を構成する筒状
キャビティ部を形成し、この筒状キャビティ部を含むキ
ャビティに樹脂を射出充填する樹脂充填工程と、充填さ
れた樹脂の固化までの間、複数のコア型の少なくとも一
部を、その中心軸が対応する前記筒状キャビティ部の中
心軸に対して平行状態を保ちながら筒状キャビティ部の
中心軸周りにキャビティ型内で公転させて充填樹脂を圧
縮する圧縮工程とを備える構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は筒状成形品、特に複
数の口部を備えた筒状成形品の成形方法およびこの成形
方法に用いる射出成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形用金型内に射出された溶
融樹脂が金型内で冷却固化する際に、成形品各部の温度
および密度分布が不均一になり、その結果、冷却後の成
形品収縮率が不均一になること、また、特に1点ゲート
によって溶融樹脂をキャビティに射出成形する場合、保
圧効果が成形品全体に均一に行き渡らないことなどによ
り、成形品の形状不良が生じていた。
【0003】そこで、このような問題を解決するため
に、多点ゲートもしくはディスクゲートにより樹脂を注
入する金型及び射出圧縮成形金型が知られている。
【0004】また、特開昭63−27226号公報に開
示されているように、成形品内側から圧縮する方法とし
て、圧力流体構造を利用した金型や、特開平5−154
896号公報に開示されているような射出ブロー金型が
提案されている。
【0005】すなわち、前者の特開昭63−27226
号公報記載の金型においては、作動液体の作用によって
固定型(キャビティ側面)をキャビティ内に膨出させ、
樹脂を径方向に圧縮し、軸方向に延伸させて管状または
筒状成形品を成形するようになっている。
【0006】一方、後者の特開平5−154896号公
報記載の金型においては、射出成形用金型によって貫通
孔を持つパリソンを成形し、次いで別の中空型にこのパ
リソンを装着して加熱ブローによって管状または筒状成
形品を成形するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな金型を使用する場合、それぞれ以下のような問題が
ある。
【0008】〔多点ゲート及びディスクゲートを使用し
た金型の場合〕 (1)収縮率のバランスをとることは、ある程度金型設
計内でできるが、収縮そのものを低減させることができ
ない。 (2)成形された成形品のゲートカットに手間取る(特
にディスクゲート)。
【0009】〔射出圧縮成形金型の場合〕 (1)円筒形状の成形品を成形しようとした場合、円周
全体を圧縮する機構が複雑となって困難であり、部分圧
縮構造にならざるを得ない。 (2)円筒端面を圧縮する場合は、型内離型(剥離)、
座屈の発生が懸念される。
【0010】〔特開昭63−27226号公報記載の金
型の場合〕 (1)金型内で油等の作動液体を使用するため、成形時
の金型自体の変形により液体漏れが発生しやすい。 (2)金型内の作動液体回路が複雑になり、故障の原因
となり易い。 (3)充填樹脂に対し、コア部はすべり接触となり、接
触する部分に傷などが発生し、成形品に外観不良を生じ
易い。 (4)すべり接触のため充填樹脂との間で接触抵抗等に
よる発熱で、充填樹脂の温度分布が不均一になり易い。 (5)特に厚みの大きい筒状成形品を成形する場合、大
きな力が必要となり不向きである。
【0011】〔特開平5−154896号公報記載の金
型の場合〕 (1)二段階成形となるため製造設備への投資が大き
く、また、製造スペースも大きくなる。 (2)二段階成形であるため、転写性に劣る。 (3)加熱ブローのため、成形品内面側の寸法精度が劣
る。 (4)パリソンを成形した後、ブロー成形するため、長
手方向の寸法が定まらず、ブロ−成形後に再度長手方向
の寸法を決める装置が必要となる。 (5)特に厚みの大きい筒状成形品を成形する場合、大
きな力が必要となり不向きである。
【0012】そこで、本発明の発明者らは、上記従来の
金型における叙上の問題点を解消し、均一な密度を持
ち、そりや変形、残留ひずみ等が少なく、収縮ムラのな
い高精度の寸法を備え、外観の優れた筒状成形品を得る
ことができるように、図11に示すような金型Zをすで
に提案している(特願平11−598号参照)。
【0013】この金型Zは、図16に示すように、キャ
ビティ型である固定型aと、コア型bとを有し、固定型
aとコア型bとの間に形成されたキャビティc内に樹脂
pを充填後、コア型bを成形される成形品の中心軸に対
して平行状態に保ちながら固定型a内で偏芯させるとと
もに、コア型bの内径より長いアームdを回転軸e周り
にモータ(図示せず)によって回転させ、このアームd
の回転によってコア型bの中心軸をキャビティ内で成形
される成形品の中心軸に対して平行状態に保ちながら偏
芯させた状態でコア型bをキャビティcの中心軸周りに
公転させるようになっている。そして、アームdの先端
に設けられたギヤfをコア型b内周面に設けられたギヤ
gに回転自在にかみ合わせることによってコア型bを充
填樹脂の内壁面に沿って転動できるようにしている。
【0014】しかし、この金型Zの場合、1つのコア型
bと固定型aとによってキャビティが形成されるととも
に、コア型全体が偏芯状態で公転するような構造になっ
ているので、チーズやエルボのような複数の口部を有
し、この口部の中心軸がずれているような成形品や部分
的な圧縮を必要とするような成形品を成形することがで
きない。
【0015】本発明は、従来の金型における叙上の問題
点に鑑みてなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、従来の金型における問題点を解消し、チーズやエ
ルボのような複数の口部を有し、この口部の中心軸がず
れているような成形品や部分的な圧縮を必要とするよう
な成形品であっても均一な密度を持ち、そりや変形、残
留ひずみ等が少なく、収縮ムラのない高精度の寸法を備
え、外観の優れたものとすることができる筒状成形品の
成形方法およびこの成形方法に用いる射出成形用金型を
提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に記載の発明にかかる筒状
成形品の成形方法(以下、「請求項1の成形方法」と記
す)は、得ようとする複数の口部を有する筒状成形品
の、各口部に対応するキャビティ型の口部形成部の開口
端からそれぞれコア型を挿入し、キャビティ型とコア型
との間にキャビティの少なくとも一部を構成する筒状キ
ャビティ部を形成し、この筒状キャビティ部を含むキャ
ビティに樹脂を射出充填する樹脂充填工程と、充填され
た樹脂の固化までの間、複数のコア型の少なくとも一部
を、その中心軸が対応する前記筒状キャビティ部の中心
軸に対して平行状態を保ちながら筒状キャビティ部の中
心軸周りにキャビティ型内で公転させて充填樹脂を圧縮
する圧縮工程とを備える構成とした。
【0017】本発明の請求項2に記載の発明にかかる筒
状成形品の成形方法(以下、「請求項2の成形方法」と
記す)は、請求項1の成形方法において、少なくとも1
つの口部形成部の中心軸が他の口部形成部の中心軸に対
してずれた位置にある構成とした。
【0018】本発明の請求項3に記載の発明にかかる筒
状成形品の成形方法(以下、「請求項3の成形方法」と
記す)は、請求項1または請求項2の成形方法におい
て、公転と同時にコア型の偏芯公転部分の少なくとも充
填樹脂接触面を充填樹脂に沿って転動させながら圧縮す
るようにした。
【0019】本発明の請求項4に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項4の金型」と記す)は、
得ようとする筒状成形品の複数の口部に対応する口部形
成部を有するキャビティ型と、このキャビティ型の各口
部形成部の端部からキャビティ型内に挿入されてキャビ
ティ型との間にキャビティの少なくとも一部を構成する
筒状キャビティ部を形成する複数のコア型とを備え、少
なくとも1つのコア型が、筒状キャビティ部の中心軸に
対してその中心軸を平行に保ちながらキャビティ型内で
偏芯かつ筒状キャビティ部の中心軸周りに公転可能な偏
芯公転部をその少なくとも一部に有している構成とし
た。
【0020】本発明の請求項5に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項5の金型」と記す)は、
請求項4の金型において、コア型の偏芯公転部は、その
少なくとも周壁が、公転時にキャビティ内に充填された
樹脂に沿って転動自在となる転動機構を備えている構成
とした。本発明の請求項6に記載の発明にかかる射出成
形用金型(以下、「請求項5の金型」と記す)は、請求
項4の金型において、コア型の偏芯公転部が、その中心
軸に平行な軸部と、ころがり軸受けを介して軸部に回転
自在に外嵌された筒状の転動部とを備えている構成とし
た。
【0021】本発明の請求項7に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項7の金型」と記す)は、
請求項4〜請求項6のいずれかの金型において、1つの
コア型の中心軸と、他のコア型の中心軸とがずれた位置
に設けられている構成とした。
【0022】本発明の請求項8に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項8の金型」と記す)は、
請求項4〜請求項7のいずれかの金型において、各コア
型の先端部同士がキャビティ型内で当接し、キャビティ
内で位置固定されるようにした。
【0023】本発明の筒状成形品の成形方法および射出
成形用金型を使用して成形する成形品の材質としては、
高密度ポリエチレン等の結晶化度が高く、収縮性の大き
い樹脂が好適であるが、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン
等の非結晶性樹脂も使用可能である。
【0024】コア型の材質としては、特に限定されない
が、少なくともコア型の型面を形成する部分が、熱伝導
率が高いアルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、
銅合金等で形成されていることが好ましく、軽量化の観
点からこれらのうち、アルミニウムあるいはアルミニウ
ム合金がより好ましい。
【0025】キャビティ型の材質としては、特に限定さ
れないが、例えば、炭素鋼やステンレス鋼が挙げられ
る。また、転写性をよくするために、充填樹脂に接する
部分は鏡面仕上げされていることが好ましい。
【0026】コア型の形状(径寸法)を適宜変える事に
より、使用する樹脂種類それぞれの収縮量に見合った圧
縮を行うようにしてもよい。
【0027】コア型の偏芯公転部の偏芯量は、筒状成形
品のサイズ、形状あるいは使用樹脂の種類によって成形
条件および収縮量が異なり、特に限定されないが、例え
ば、高密度ポリエチレンを用いて呼び径50の筒状成形
品を成形する場合、0.5〜6mm程度が好ましく、2
mm前後がより好ましい。コア型の偏芯公転部による圧
縮時の偏芯公転部と充填樹脂との接触は、延伸および圧
延を助長させることから点接触とすることが好ましい。
【0028】筒状成形品としては、特に限定されない
が、たとえば、図10に示すような軸芯が一致した異径
ソケットS1、図11に示すような軸芯がずれた異径ソ
ケットS2、図12に示すような同径の口部を有するエ
ルボE1や異径の口部を有するエルボE2が図13に示
すような同径の口部を有するチーズT1や異径の口部を
有するチーズT2、図14に示すような、Y字継手Y、
図15に示すような十字型継手C等が挙げられる。即
ち、本発明において、筒状とは、断面形状が真円状の筒
形だけでなく、卵形や楕円状をしているのものであって
も構わないものであり、表面に各種形状の凸部が突設さ
れていてもよい。
【0029】本発明の成形方法において、樹脂を金型に
充填する際に、キャビティ周壁面温度を樹脂の溶融温度
付近の温度もしくはそれ以上の温度に加熱しておくこ
と、充填工程終了後冷却固化工程前に、樹脂充填時の樹
脂流動による剪断応力および分子もしくは結晶配向を金
型内で緩和し、成形後の成形品の収縮を低減させるよう
にキャビティ周壁面の温度を暫く樹脂の溶融温度付近の
温度もしくはそれ以上の温度に保持する温度保持工程を
備えていることが好ましい。また、冷却工程において
は、樹脂の冷却工程を3段階から構成し、第1段階では
冷却速度を速く、第2段階では一旦、温度を一定とし、
暫くその温度を維持し、第3段階では再び冷却速度を速
くすることが好ましいが、特に、第2段階の開始温度を
結晶化開始温度付近とすると一層効果的である。
【0030】なお、冷却工程において、どのような冷却
速度パターンで冷却するかは、使用する結晶性樹脂や狙
う結晶化度によって異なる。使用する結晶性樹脂につい
ては、予め冷却速度と結晶化度の関係を把握する必要が
ある。冷却速度と結晶化度の関係を把握するには、種々
の冷却速度により固化した樹脂サンプルの結晶化度をD
SC等で測定し、冷却速度と結晶化度の関係を把握す
る。又、冷却速度を変更できるDSCやPvT測定装置
を使用すれば、冷却速度によって変化する結晶化開始温
度や結晶化温度域を把握することもできる。特に広範囲
な冷却速度設定が可能なDSCの場合は、実際に成形す
る冷却パターンで樹脂サンプルを冷却し、その温度履歴
を与えたサンプルで、結晶化度を測定することにより、
各種冷却パターンにおける結晶化度を把握することがで
きる。
【0031】ここで、結晶化開始温度、もしくは結晶化
温度域は、従来の冷却工程におけるDSCもしくはPv
T測定により得られる結果から判断する。即ち、DSC
使用の場合には、温度−熱量曲線から、その曲線がベー
スラインから大きくずれている温度域が結晶化温度域で
あり、その中の最大値が結晶化開始温度となる。又、P
vT測定の場合には、温度−比容積曲線において、比容
積の変化率が最も大きい温度域が結晶化温度域であり、
その中の最大値が結晶化開始温度となる。
【0032】キャビティ周壁面を樹脂の結晶化温度付近
の温度もしくはそれ以上の温度に加熱保持する手段とし
ては、特に限定されるものではなく、例えば、金型内に
電熱ヒータを設け、電熱ヒータに通電することにより高
温を保持するようにしてもよく、或いは、高周波振動や
近赤外線を使用した昇温手段等が採用できる。
【0033】或いは、金型にヒータを設ける代わりに、
金型に加熱媒体流通管を設け、金型温調器により電磁弁
を備えた管路を通じて金型の加熱媒体流通管に加熱オイ
ルを供給するようにしてもよい。
【0034】本発明の成形方法において、冷却速度を変
化させる手段としては、特に限定されないが、例えば、
次の4方法等が採用できる。 (1)冷媒の流量を変化さる方法。 (2)温度の異なる冷媒を切り換える。 (3)冷媒の通過位置を切り換える。 (4)冷媒による冷却とヒーターによる加熱を組み合わ
せて使用する方法。
【0035】上記(1)の冷媒の流量を変化さる方法と
しては、金型内の冷却管を流れる冷媒の流量を変化させ
ることにより冷却速度を変化させることができる。即
ち、冷媒の流量が多いほど熱輸送効率が上がり、冷却速
度が大きくなる。流量は冷媒の圧送装置を使用すること
により、例えば、0〜20リットル/分の広範囲で流量
を制御する。冷却工程中、手動もしくは制御装置からの
信号に従い、冷却管に設けた流量調節弁の開き量を制御
することにより予め設定したタイミングで、冷却速度を
変化させることができる。
【0036】上記(2)の温度の異なる冷媒を切り換え
る方法においては、金型温度調節装置(温調機)を複数
台使用し、温度の異なる冷媒を複数使用する。冷却速度
が金型と冷媒の温度差により変化することを利用し、冷
却速度を変化させる。この場合、温度差が大きいほど冷
却速度は速くなる。冷却工程中、手動もしくは制御装置
からの信号に従い、金型温度調節装置からの管路に設け
た電磁弁を適宜切り換えて、金型の冷媒流通管に供給
し、これら冷媒を切り換えることにより、予め設定した
タイミングで冷却速度を変化させることができる。
【0037】場合によっては、冷媒の種類、即ち、チラ
ー、水、油等を変えることにより、更に広範囲(例えば
5〜180℃)の温度設定が可能となる。この方法にお
いては、ギャビティ周壁面の温度を一定温度に保持する
(冷却速度=0)状態、更には、必要であれば冷媒の温
度範囲内で再加熱することも可能である。異なる種類の
冷媒のための複数の金型温度調節装置を使用し、各金型
温度調節装置からの管路に設けた電磁弁を適宜切り換え
て、金型の冷媒流通管に供給し、これら異なる種類の冷
媒を切り換えることにより金型の温度設定が可能とな
る。
【0038】上記(3)の冷媒の通過位置を切り換える
方法においては、キャビティに対する距離が異なるよう
に金型内に配置された冷却管に冷媒を選択的に流すこと
により、キャビティと冷媒との距離が伝熱効率に影響す
ることを利用して冷却速度を変えることができる。この
場合、キャビティと冷却管との距離が短いほど冷却速度
は速くなる。冷却工程中、手動もしくは制御装置からの
信号に従い、冷媒を流す流路を切り換えることにより、
予め設定したタイミングで、冷却速度を変化させること
ができる。
【0039】上記(4)の冷媒による冷却とヒーターに
よる加熱を組み合わせて使用する方法においては、金型
に冷媒を通す冷却管と加熱ヒーターを設け、冷媒による
冷却速度を加熱ヒーターによって調整することにより、
冷却速度を変化させることができる。
【0040】或いは、複数の金型温度調節装置を使用
し、一方の金型温度調節装置により冷媒を金型の冷媒流
通管に供給し、他方の金型温度調節装置により加熱媒体
を金型の加熱媒体流通管に供給するようにしてもよい。
【0041】冷却工程中、手動もしくは制御装置からの
信号に従い、加熱ヒーターをオン/オフさせることによ
り、予め設定したタイミングで、冷却速度を変化させる
ことができる。この方法においては、キャビティ周壁面
の温度を一定に保持する(冷却速度=0)状態、更に、
必要であれば冷媒の温度範囲内で再加熱することもでき
る。
【0042】上記の4方法をそれぞれ単独に使用しても
よく、これらを適宜組み合わせた方法によってもよく、
組み合わせた方法によれば、更に制御範囲、或いは制御
パターンを拡大することができる。尚、加熱ヒーターに
ついては、特に限定されないが、例えば、シーズヒータ
ー、高周波加熱、近赤外線や遠赤外線等の加熱手段等が
使用できる。
【0043】又、冷却速度の制御手段としては、キャビ
ティ周壁面、又はキャビティ周壁面に接触している樹脂
の温度、もしくは成形サイクル中の経過時間において判
断し、制御するようにしてもよい。
【0044】最も単純な制御手段としては、予め必要な
冷却速度について、上記の4つの冷却速度可変方法の設
定値を調べておき、成形サイクル中の経過時間(例え
ば、樹脂充填開始、冷却開始からの経過時間)におい
て、設定値を手動もしくはタイマー制御で切り換えてい
く方法によってもよい。この方法においては、事前に設
定値を導出しておけば、実際の成形においては、必ずし
もキャビティ周壁面温度もしくは樹脂温度を測定する必
要はない。但し、雰囲気温度や成形条件の変動等の外乱
により実際の冷却パターンと狙いのパターンが多少ずれ
る可能性があることに注意すべきである。
【0045】冷却速度をより正確に制御するには、金型
にはキャビティ周壁面、もしくはキャビティ周壁面に接
触している樹脂の温度を随時測定するセンサーを設置し
て冷却速度を制御する必要がある。センサーからの測定
データは制御部に送られ、測定間隔に対する温度勾配よ
り時々刻々の冷却速度を計算し、予め設定した冷却速度
となるように、冷却速度を制御する。
【0046】第2段階において、一定温度を保持する場
合には、冷却パターンとして設定された時間、設定温度
を保持するように制御するとよい。
【0047】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図によ
り説明する。図1および図2は、本発明にかかる筒状成
形品の成形方法の1つの実施の形態であるチーズの成形
方法を工程順にあらわしている。
【0048】この成形方法は、工程順に説明すると、以
下のようになる。 図1(a)に示すように、T字状に3つの口部形成
部を有するキャビティ型61内に、先端コア部62a
と、偏芯公転部62bとを備えたコア型12を、キャビ
ティ型61の各口部形成部61aに挿入し、先端コア部
62aの先端面を他のコア型12の先端コア部62aの先
端面に当接させてキャビティ63を形成する。なお、こ
の時、偏芯公転部62bは、その中心軸C1が、得よう
とするチーズの受口に対応する筒状キャビティ部63a
の中心軸C2に一致した状態になっている。
【0049】 金型のキャビティ周壁面温度を樹脂の
溶融温度より高くなるように制御した状態でキャビティ
63内に、たとえば高密度ポリエチレンのような樹脂を
溶融状態で充填樹脂Pとして射出充填する。この射出充
填はキャビティ63の容積に見合う量及び時間内で行わ
れる。 充填直後に、図1(b)に示すように、コア型12
の偏芯公転部62bをその中心軸C1が筒状キャビティ
部63aの中心軸C2に対して平行状態を保ちながら徐
々に偏芯させるとともに、中心軸C2周りに公転させ
て、筒状キャビティ部63a内の充填樹脂を全周にわた
って均一に圧縮を続ける。
【0050】 図2(a)に示すように、偏芯および
公転をさらに続け、筒状キャビティ部63a内の充填樹
脂の厚みが所定の厚みになるまで圧縮する。 圧縮終了後、樹脂がほぼ固化したら、図2(b)に
示すように、偏芯公転部62bをその中心軸C1が筒状
キャビティ部63aの中心軸C2に一致する位置まで戻
したのち、図2(c)に示すように金型を開放し、成形
品であるチーズTを取り出す。
【0051】なお、金型内での充填樹脂Pは、冷却工程
に入る前に、まず、暫く溶融温度付近の温度もしくはそ
れ以上の温度に一旦保持されたのち、冷却される。ま
た、冷却工程では、まず、樹脂の結晶化温度付近まで一
気に冷却したのち、一旦結晶化温度付近で温度保持し、
再び固化するまで冷却されるようになっている。
【0052】この成形方法は、以上のように、キャビテ
ィ型61に設けられた口部形成部61aにそれぞれコア
型62を挿入してキャビティ63を形成するとともに、
コア型63の受口に当たる部分に設けた偏芯公転部62
bをそれぞれ偏芯状態で公転させるようにしたので、筒
状キャビティ部63aの受口に当たる部分の充填樹脂が
キャビティ型61方向にそれぞれ全周にわたって内側か
ら均等に圧縮される。したがって、寸法精度が高く、均
一な密度を有し、そりや変形、残留ひずみなどか少な
く、収縮むらもなく高外観な受口を有するチーズTを成
形することができる。
【0053】しかも、樹脂充填時に金型温度を樹脂の溶
融温度より高い温度に保つようにしたので、充填時のウ
エルド発生が小さくなり、さらにこれに圧縮効果が加わ
ることによって、より外観が向上する。また、樹脂が高
温時に圧縮されるので型転写性もよく光沢のある外観が
得られる。
【0054】また、冷却工程において、一旦樹脂の結晶
化温度付近で一定温度に保つようにしたので、結晶化が
進み、強度的に優れた成形品とすることができる。さら
に、偏芯圧縮完了後は、偏芯公転コア型が初期の中心軸
上に戻るので、成形品内面との間に隙間が生じ、だきつ
きがなく離型性も上がる。
【0055】図3〜図6は、本発明にかかる射出成形用
金型の1つの実施の形態をあらわしている。
【0056】図3に示すように、この金型Aは、横置き
型のエルボ成形用のもので、キャビティ型1と、2つの
可動型2,2とを備えている。キャビティ型1は、図4
に示すように、パーティング面PLを挟んで2つ割りの
固定部11と可動部12とから構成されており、可動部
12を固定部11側に動かして固定部11と閉合するこ
とによってキャビティ型1が形成され、可動部12を固
定部11から離すことによってキャビティ型1が開放さ
れて成形品を取り出すことができるようになっている。
【0057】2つの可動型2,2は、それぞれ可動型本
体3と、コア型4とを備え、それぞれ矢印H方向あるい
は矢印J方向にスライド自在になっていて、キャビティ
型1と閉合されることによって、コア型4と、キャビテ
ィ型1との間に、略エルボ形状のキャビティ5を形成す
るようになっている。
【0058】可動型本体3は、ケーシング31と、回転
ケース32と、進退部材(押し引きアンギュラ)33お
よびスライドブロック(各型偏芯アンギュラ)34から
なるコア型偏芯機構とを備えている。回転ケース32
は、軸受け311により軸受けされ、ケーシング31内
で回転可能とされている。回転ケース32は、その周面
にギヤ321が設けられ、電動機35の回転駆動力が電
動機35の回転軸に設けられたギヤ351を介してギヤ
321に伝達されることによりケーシング31内で回転
するようになっている。
【0059】進退部材33は、図5に示すように、断面
略小判形をしており、回転ケース32内に固定型方向に
スライド自在に挿入されているとともに、その後端が油
圧シリンダ37のロッド先端に回転自在に支持されてい
て、回転ケース32の回転に伴って回転するとともに、
油圧シリンダ37のロッドの伸縮によって回転ケース3
2内をキャビティ型1方向に進退するようになってい
る。
【0060】また、進退部材33のキャビティ型1側の
面には、後述するスライドブロック34のアンギュラピ
ン342と同様の断面正方形をした摺動穴332が成形
品の中心軸に対して傾斜した状態で穿設されている。
【0061】一方、スライドブロック34は、ブロック
本体341と、ブロック本体341から進退部材33側
へ突出する断面正方形のアンギュラピン342とを備
え、ブロック本体341がベアリング36を介して後述
するコア型4の偏芯公転部42の基部426に回転自在
に一体化されている。
【0062】アンギュラピン342は、進退部材33の
摺動穴332に摺動自在に挿入されているとともに、成
形品の中心軸に対して摺動穴332と略同じ角度で傾斜
している。
【0063】すなわち、スライドブロック34は、油圧
シリンダ37の作動により進退部材33がキャビティ型
1方向に前進後退することによって、アンギュラピン3
42の先端が進退部材33の摺動穴332内に進退す
る。しかも、摺動穴332およびアンギュラピン342
が進退部材33の進退方向に対して傾斜して設けられて
いるので、アンギュラピン342の摺動穴332内への
進退によってスライドブロック34がその中心軸がキャ
ビティ5内の筒状キャビティ部51の中心軸に直交する
方向に回転ケース32内でスライドするようになってい
る。しかも、進退部材33が回転ケース32の回転に伴
って回転すると、アンギュラピン342を介してその回
転力がスライドブロック34にも伝達され、スライドブ
ロック34も進退部材33とともに回転するようになっ
ている。
【0064】コア型4は、図3および図6に示すよう
に、先端コア部41と、偏芯公転部42とを備えてい
る。先端コア部41は、キャビティ型1の内側に挿入さ
れて、他方のコア型4の先端コア部41とその一端面同
士が突き合わされるとともに、突合せ状態で成形しよう
とする筒状成形品であるエルボの曲がり部の内面形状に
沿う形状となるようになっている。
【0065】また、先端コア部41は、他端面に後述す
る偏芯公転部42の係止ボルト424の首部より大径で
頭部より小径の開口を備え、内部に係止ボルト424の
頭部が遊嵌される係止穴411が穿設されている。
【0066】偏芯公転部42は、円筒形をした転動部4
21と、この転動部421をころがり軸受け422を介
して回転自在かつ着脱自在に支持するとともに、一端面
が先端コア部41の他端面にスライド自在に当接する軸
部423と、軸部423の他端に一体化され、ケーシン
グ21にキャビティ5の口部形成部の中心軸に直交する
方向にスライド自在に支持された基部426と、軸部4
23の一端面に係止ボルト424がその頭部を先端コア
部41に設けられた凹穴411内に臨ませた状態で先端
コア部41と一体化されている。
【0067】すなわち、偏芯公転部42は、先端コア部
41に対して、係止ボルト424の首部の外径と凹穴4
11の開口の内径との差分だけキャビティ5の口部形成
部の中心軸に直交する方向にスライド自在になってい
る。基部426には、前述のように、ベアリング36を
介してスライドブロック34のブロック本体341が回
転自在に一体化されている。
【0068】したがって、偏芯公転部42は、スライド
ブロック34の回転及び偏芯が伝達されるようになって
いて、スライドブロック34の偏芯に伴って、偏芯公転
部42がキャビティ5内で偏芯状態になるとともに、こ
の偏芯状態を保ちつつ成形品の中心軸周りに公転するよ
うになっている。
【0069】なお、進退部材33やスライドブロック3
4の材質としては、特に限定されないが、少なくとも進
退部材33やスライドブロック34の接触部を形成する
部分が耐衝撃性や耐じん性などを持つ材料で形成されて
いることが好ましく、強度の関係からクロム−モリブデ
ン鋼(SMC鋼)や工具鋼(SKD鋼)がより好まし
い。また、耐磨耗性や低摩擦化などを考慮すれば、真空
焼入れやタフトライドなどの表面熱処理を施すことが更
に好ましい。
【0070】次に、上記金型Aを用いた成形品の成形方
法を図3、および、図7〜図9を用いて順を追って説明
する。
【0071】 図3に示すように、コア型4の偏芯公
転部42の中心軸がキャビティ5の筒状キャビティ部5
1の中心軸に一致した状態となるようにキャビティ型1
と可動型2とを閉合したのち、図示しない射出成形機の
射出スクリューによりキャビティ型1の固定部11に設
けられたスプル、ランナ及びゲートを経由して図7に示
すように、溶融状態の例えば高密度ポリエチレンのよう
な樹脂を充填樹脂Pとしてキャビティ5内に射出充填す
る。この射出充填はキャビティ5の容積に見合う量及び
時間内で行われる。
【0072】 射出充填完了と同時に両可動型2と
も、ギヤ321を介して回転ケース32を電動機(図示
せず)で予め設定した回転数で回転を開始させる。すな
わち、この回転ケース32の回転に伴って、進退部材3
3およびスライドブロック34が回転を開始する。この
時、スライドブロック34のブロック本体341とコア
型4の基部426とがベアリング36を介して接続され
ているとともに、偏芯公転部42の中心軸がキャビティ
5の筒状キャビティ部51の中心軸と一致した状態にあ
るので、偏芯公転部42は充填樹脂Pの摩擦抵抗力によ
って回転をしない。
【0073】 進退部材33およびスライドブロック
34の回転状態を保持しながら、図8に示すように、油
圧シリンダ37の作動により進退部材33をキャビティ
型1方向に前進させる。この進退部材33の前進により
スライドブロック34がキャビティ5の筒状キャビティ
部51の中心軸に直交する方向にスライドし、同時に、
偏芯公転部42もキャビティ5の中心軸に直交する方向
にスライドし、図8に示すように、スライドした寸法分
だけ充填樹脂Pを内側から筒状キャビティ部51の中心
軸に対して垂直方向の圧縮を加えるようになる。しか
も、進退部材33およびスライドブロック34が回転を
続けているので、このスライドとともに、偏芯公転部4
2が筒状キャビティ部51の中心軸を中心に公転を開始
し、転動部421の壁面によって充填樹脂Pに内面から
全周にわたって圧縮を加え続ける。なお、偏芯公転部4
2のスライドは、充填樹脂Pの圧縮状態に合わせて徐々
に行われる。また、この時、転動部421は、ころがり
軸受け422を介して軸部423に回転自在に支持され
ているので、公転に伴って充填樹脂Pの内面を圧縮しつ
つ樹脂の内面に沿って転動する。
【0074】 充填樹脂が固化するまで、あるいは、
金型Aを開く直前まで偏芯公転部42の公転および転動
を続ける。
【0075】 図9に示すように、油圧シリンダ37
の作動により、進退部材33を固定型方向から後退さ
せ、スライドブロック34を介して偏芯公転部42をそ
の中心軸が筒状キャビティ部51の中心軸に一致した状
態に戻すとともに、回転ケース32の回転を止め、可動
型2を可動してコア型4をキャビティ型1の内側から抜
き取るとともに、キャビティ型1の可動部12を可動さ
せてキャビティ型1を開き、成形品としてのエルボEを
取り出す。
【0076】上記金型Aは、以上のような構造を備えて
いるので、以下のような優れた効果を備えている。
【0077】(1)キャビティ5に充填された充填樹脂
が固化する前にコア型4の偏芯公転部42が偏芯状態を
保ちながら公転し、しかも、転動部421が充填樹脂内
面に沿ってスムーズに転動するので、キャビティ5の筒
状キャビティ部51の充填樹脂を内部から筒状キャビテ
ィ部51の垂直方向に均等に圧縮し、樹脂の収縮力を均
等に分散して、その形状を矯正すると共に密度を高める
ことができる。すなわち、均一な密度を持ち、そりや変
形、残留ひずみ等が少ないとともに、収縮ムラのなく高
寸法精度で、外観の優れた(金型転写性に優れた)受口
を有するエルボEを得ることができる。また、偏芯公転
部42の転動部421が充填樹脂の内面に沿ってスムー
ズに転動するので、充填樹脂にかかる剪断応力が軽減さ
れる。
【0078】(2)進退部材33をキャビティ型1方向
へ進退させるだけでコア型4の偏芯公転部42を偏芯で
きるようにしたので、金型A全体の構造をシンプルなも
のとすることができるとともに、キャビティ型1や可動
型2の側面部分にコア型4の偏芯用の機構が突出するこ
とがなく、設置スペースも小さなものですむ。 (3)コア型4の内部に遊星ギヤ機構なども設けていな
いので、シンプルな構成で、コア型4の小型化を図れ
る。すなわち、小さな成形品も精密に成形できるように
なる。
【0079】(4)進退部材33を進退させる油圧シリ
ンダ37と、コア型4部分等の圧縮構造部分とが完全に
隔絶されているので、油漏れなどによる成形品への影響
がないとともに、メンテナンスが容易である。 (5)油圧シリンダ37で進退部材33を制御するよう
にしたので、偏芯公転部42の偏芯量の調整が容易かつ
正確にできるとともに、圧縮動作中に充填樹脂の内部圧
力を検知して偏芯量を最適に制御できるので、偏芯公転
部42への負荷を軽減できる。また、偏芯公転部42へ
大きな負荷がかかった場合でも油圧回路の切替えによ
り、偏芯公転部42の戻しで速い対応が取れる。
【0080】(6)電動機35によって回転数が制御で
きるとともに、油圧シリンダ37によって偏芯量(すな
わち、圧縮度合い)を制御できるので、真円度の矯正が
できる。 (7)アンギュラ構造が角形状であるため、回転トルク
を大きくすることができ、かつ、スライド構造での摺動
なので滑らかに移動できる。
【0081】(8)2つの筒状キャビティ部51毎にコ
ア型4が挿入され、個々のコア型4毎に偏芯公転部42
を備えているので、コア型4毎に偏芯公転部42の偏芯
量を設定したり、偏芯のタイミングを同期させたり、非
同期にしたりすることができる。したがって、得られる
エルボEの2つの口部の圧縮度を変えたりすることがで
きるとともに、寸法精度を要求される口部側のみ圧縮す
ることも可能となる。
【0082】なお、本発明にかかる筒状成形品の成形方
法および射出成形用金型は、上記の実施の形態に限定さ
れない。上記の金型Aは、横置き型であったが、縦置き
型としても構わない。
【0083】上記の実施の形態では、金型Aは、アンギ
ュラピン342の断面形状が正方形であったが、断面楕
円状、断面六角形、スプライン状等少なくとも1つの長
軸と少なくとも1つの短軸とを備えた断面形状であれ
ば、どのような形状をしていても構わない。
【0084】
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0085】〔実施例1〕図3に示すような金型および
高密度ポリエチレン樹脂(樹脂温度160℃の時の粘度
で10000poise(メルトインデックス(MI)
=20)を用いて以下の条件で呼び径50ミリ(規格値
としては60.5±0.2mm)のエルボを製造した。
【0086】(キャビティ形状)内径60.2mm、外径
79.5mm、肉厚9.65mm (成形温度条件)220℃で樹脂をキャビティに充填し
たのち、200℃/minの冷却速度で120℃まで一
次冷却したのち、一旦1300℃で1min保持し、そ
の後再び200℃/minの冷却速度で50℃まで冷却
した。
【0087】(偏芯公転コア型の成形条件)偏芯幅4m
m、偏芯公転コア型の公転速度60rpm で成形した。
【0088】(成形品評価)成形した成形品は、成形
後、温度23℃の部屋で保管し、成形後1時間おいて、
寸法の測定を行った。真円度は、端部の内径を周方向に
8カ所測定し、その中の最大内径と最小内径の差を真円
度として求めた。
【0089】充填樹脂温度は220℃とし、充填完了
後、センサー測定温度が130℃になった時点で偏芯公
転コア型のスライドを開始した。その後冷却過程で、偏
芯量を調整し、成形品が50℃以下になるまで型内で冷
却し、離型した。その結果、成形品の外観の向上、ヒ
ケ、偏肉のない良好なエルボが得られた。また、圧縮し
た2つの受口の成形品内径最大値と最小値の差で求めた
真円度が一方の受口側で従来の1.2mmから0.2mmに
向上し、他方の受口側で従来の0.8mmから0.15mm
に向上した。
【0090】
【発明の効果】本発明にかかる筒状成形品の成形方法お
よび射出成形用金型は、以上のように構成されているの
で、チーズやエルボ等のように、軸のずれた複数の筒状
部を有する成形品であっても、所望の筒状部を均一な密
度を持ち、そりや変形、残留ひずみなど少なく、収縮ム
ラのない高精度の寸法、優れた外観とすることができ
る。また、偏芯公転部をそれぞれ非同期状態で制御でき
るので、各筒状部毎に偏芯量を設定したり、偏芯のタイ
ミングを調整することができ、それぞれの筒状部毎に精
度を向上させることができる。
【0091】特に、射出成形用金型においては、請求項
5および請求項6の金型のように、偏芯公転部の樹脂に
接する面を偏芯公転時に樹脂に沿って転動する構造とす
れば、偏芯公転時に樹脂に偏芯公転部との摩擦による剪
断応力が発生せず、より金型転写性に優れた成形品を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる成形品の成形方法1つの実施の
形態であるチーズの成形方法を工程順に説明する説明図
であって、同図(a)は樹脂射出充填直後の状態をあら
わす断面図、同図(b)は偏芯公転コア型を偏芯させた
状態の断面図である。
【図2】図1の後工程を説明する説明図であって、同図
(a)はさらに圧縮した状態をあらわす断面図、同図
(b)は型開き直前の状態をあらわす断面図、同図
(c)は型開き時の状態をあらわす断面図である。
【図3】本発明にかかる射出成形用金型の1つの実施の
形態であるエルボ用金型をあらわす横断面図である。
【図4】図3の金型の可動型本体部分の縦断面図であ
る。
【図5】図3の金型のX−X線断面図である。
【図6】図3の金型のコア型同士の当接状態を説明する
要部拡大断面図である。
【図7】本発明にかかる筒状成形品の成形方法の1つの
実施の形態であるエルボの成形方法の1工程にあらわす
図であって、そのキャビティ部に樹脂を充填直後の状態
をあらわす断面図である。
【図8】図7の後工程である圧縮工程をあらわす断面図
である。
【図9】図8の後工程である型開き前の状態をあらわす
断面図である。
【図10】本発明の筒状成形品の成形方法で得られる筒
状成形品の1例をあらわす図であって、同図(a)は軸
芯が一致した異径ソケットの斜視図、同図(b)はその
断面図である。
【図11】本発明の筒状成形品の成形方法で得られる筒
状成形品の1例をあらわす図であって、同図(a)は軸
芯がずれた異径ソケットの斜視図、同図(b)はその断
面図である。
【図12】本発明の筒状成形品の成形方法で得られる筒
状成形品の1例をあらわす図であって、同図(a)は口
部が同径のエルボの斜視図、同図(b)はその断面図、
同図(c)は口部が異径のエルボの断面図である。
【図13】本発明の筒状成形品の成形方法で得られる筒
状成形品の1例をあらわす図であって、同図(a)はチ
ーズの斜視図、同図(b)はその断面図、同図(c)は
口部の1つが小径になったチーズの断面図である。
【図14】本発明の筒状成形品の成形方法で得られる筒
状成形品の1例をあらわす図であって、同図(a)はY
型継手の斜視図、同図(b)はその断面図である。
【図15】本発明の筒状成形品の成形方法で得られる筒
状成形品の1例をあらわす図であって、同図(a)は十
字型継手の斜視図、同図(b)はその断面図である。
【図16】本発明の発明者らによって先に提案された射
出成形用金型の断面図である。
【符号の説明】
A 金型 1,61 キャビティ型 11 固定部 12 可動部 2 可動型 3 可動型本体 4,62 コア型 41,62a 先端コア部 42,62b 偏芯公転部 421 転動部 422 ころがり軸受け 423 軸部 5,63 キャビティ 51,63a 筒状キャビティ部 P 充填樹脂 C 十字型継手(筒状成形品) S1,S2 異径ソケット(筒状成形品) T,T1,T2 チーズ(筒状成形品) E,E1,E2 エルボ(筒状成形品)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AA05 AH11 AJ02 AM32 CA11 CB01 CK15 CK53 4F206 AA05 AH11 AJ02 AM32 JA03 JQ81

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】得ようとする複数の口部を有する筒状成形
    品の、各口部に対応するキャビティ型の口部形成部の開
    口端からそれぞれコア型を挿入し、キャビティ型とコア
    型との間にキャビティの少なくとも一部を構成する筒状
    キャビティ部を形成し、この筒状キャビティ部を含むキ
    ャビティに樹脂を射出充填する樹脂充填工程と、充填さ
    れた樹脂の固化までの間、複数のコア型の少なくとも一
    部を、その中心軸が対応する前記筒状キャビティ部の中
    心軸に対して平行状態を保ちながら筒状キャビティ部の
    中心軸周りにキャビティ型内で公転させて充填樹脂を圧
    縮する圧縮工程とを備える筒状成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】少なくとも1つのコア型が他のコア型の中
    心軸に対してずれた位置にある請求項1に記載の筒状成
    形品の成形方法。
  3. 【請求項3】公転と同時にコア型の偏芯公転部分の少な
    くとも充填樹脂接触面を充填樹脂に沿って転動させなが
    ら圧縮する請求項1または請求項2に記載の筒状成形品
    の成形方法。
  4. 【請求項4】得ようとする筒状成形品の複数の口部に対
    応する口部形成部を有するキャビティ型と、このキャビ
    ティ型の各口部形成部の端部からキャビティ型内に挿入
    されてキャビティ型との間にキャビティの少なくとも一
    部を構成する筒状キャビティ部を形成する複数のコア型
    とを備え、少なくとも1つのコア型が、筒状キャビティ
    部の中心軸に対してその中心軸を平行に保ちながらキャ
    ビティ型内で偏芯かつ筒状キャビティ部の中心軸周りに
    公転可能な偏芯公転部をその少なくとも一部に有してい
    る射出成形用金型。
  5. 【請求項5】コア型の偏芯公転部は、その少なくとも周
    壁が、公転時にキャビティ内に充填された樹脂に沿って
    転動自在となる転動機構を備えている請求項4に記載の
    射出成形用金型。
  6. 【請求項6】コア型の偏芯公転部が、その中心軸に平行
    な軸部と、ころがり軸受けを介して軸部に回転自在に外
    嵌された筒状の転動部とを備えている請求項4に記載の
    射出成形用金型。
  7. 【請求項7】1つのコア型の中心軸と、他のコア型の中
    心軸とがずれた位置に設けられている請求項4〜請求項
    6のいずれか1項に記載の射出成形用金型。
  8. 【請求項8】各コア型の先端部同士がキャビティ型内で
    当接し、キャビティ内で位置固定される請求項4〜請求
    項7のいずれか1項に記載の射出成形用金型。
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