JP2001205680A - 成形品の成形方法および射出成形用金型 - Google Patents

成形品の成形方法および射出成形用金型

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JP2001205680A
JP2001205680A JP2000017247A JP2000017247A JP2001205680A JP 2001205680 A JP2001205680 A JP 2001205680A JP 2000017247 A JP2000017247 A JP 2000017247A JP 2000017247 A JP2000017247 A JP 2000017247A JP 2001205680 A JP2001205680 A JP 2001205680A
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mold
cavity
eccentric
resin
molding
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JP2000017247A
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English (en)
Inventor
Giichi Ito
義一 伊藤
Atsushi Wada
敦 和田
Kazutaka Shirahase
和孝 白波瀬
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一部に筒状部を有し、この筒状部のみが均一な
密度を持ち、そりや変形、残留ひずみ等が少なく、収縮
ムラのない高精度の寸法を備え、外観の優れた成形品を
得ることができる成形品の成形方法およびこの成形方法
に用いる射出成形用金型を提供することを目的としてい
る。 【解決手段】キャビティ型と偏芯公転コア型とで形成さ
れる筒状キャビティ部を一部に有するキャビティ内に溶
融状態の樹脂を充填したのち、充填された樹脂の固化ま
での間、偏芯公転コア型を、その中心軸が筒状キャビテ
ィ部の中心軸に対して平行状態を保ちながら筒状キャビ
ティ部の中心軸周りにキャビティ型内で公転させて筒状
キャビティ部の充填樹脂の一部をキャビティ型の型面方
向に圧縮する圧縮工程を備える構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形品の成形方法お
よびこの成形方法に用いる射出成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形用金型内に射出された溶
融樹脂が金型内で冷却固化する際に、成形品各部の温度
および密度分布が不均一になり、その結果、冷却後の成
形品収縮率が不均一になること、また、特に1点ゲート
によって溶融樹脂をキャビティに射出成形する場合、保
圧効果が成形品全体に均一に行き渡らないことなどによ
り、成形品の形状不良が生じていた。
【0003】そこで、このような問題を解決するため
に、多点ゲートもしくはディスクゲートにより樹脂を注
入する金型及び射出圧縮成形金型が知られている。ま
た、特開昭63−27226号公報に開示されているよ
うに、成形品内側から圧縮する方法として、圧力流体構
造を利用した金型や、特開平5−154896号公報に
開示されているような射出ブロー金型が提案されてい
る。
【0004】すなわち、前者の特開昭63−27226
号公報記載の金型においては、作動液体の作用によって
固定型(キャビティ側面)をキャビティ内に膨出させ、
樹脂を径方向に圧縮し、軸方向に延伸させて管状または
筒状成形品を成形するようになっている。一方、後者の
特開平5−154896号公報記載の金型においては、
射出成形用金型によって貫通孔を持つパリソンを成形
し、次いで別の中空型にこのパリソンを装着して加熱ブ
ローによって管状または筒状成形品を成形するようにな
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな金型を使用する場合、それぞれ以下のような問題が
ある。
【0006】〔多点ゲート及びディスクゲートを使用し
た金型の場合〕 (1)収縮率のバランスをとることは、ある程度金型設
計内でできるが、収縮そのものを低減させることができ
ない。 (2)成形された成形品のゲートカットに手間取る(特
にディスクゲート)。
【0007】〔射出圧縮成形金型の場合〕 (1)円筒形状の成形品を成形しようとした場合、円周
全体を圧縮する機構が複雑となって困難であり、部分圧
縮構造にならざるを得ない。 (2)円筒端面を圧縮する場合は、型内離型(剥離)、
座屈の発生が懸念される。
【0008】〔特開昭63−27226号公報記載の金
型の場合〕 (1)金型内で油等の作動液体を使用するため、成形時
の金型自体の変形により液体漏れが発生しやすい。 (2)金型内の作動液体回路が複雑になり、故障の原因
となり易い。 (3)充填樹脂に対し、コア部はすべり接触となり、接
触する部分に傷などが発生し、成形品に外観不良を生じ
易い。 (4)すべり接触のため充填樹脂との間で接触抵抗等に
よる発熱で、充填樹脂の温度分布が不均一になり易い。 (5)特に厚みの大きい筒状成形品を成形する場合、大
きな力が必要となり不向きである。
【0009】〔特開平5−154896号公報記載の金
型の場合〕 (1)二段階成形となるため製造設備への投資が大き
く、また、製造スペースも大きくなる。 (2)二段階成形であるため、転写性に劣る。 (3)加熱ブローのため、成形品内面側の寸法精度が劣
る。 (4)パリソンを成形した後、ブロー成形するため、長
手方向の寸法が定まらず、ブロ−成形後に再度長手方向
の寸法を決める装置が必要となる。 (5)特に厚みの大きい筒状成形品を成形する場合、大
きな力が必要となり不向きである。
【0010】また、筒状成形品だけではなく、一般の成
形品においても、一部に筒状部を備えた成形品もある。
このような一般の成形品の場合も、筒状部はえてしてそ
の真円度を要求されることが多い。たとえば、蓋やキャ
ップとの嵌合やボス部などでそのような精度が要求され
る場合がある。ところが、このような一部に筒状部を備
えた成形品を上記従来の成形方法で成形しようとする
と、金型の冷却が十分でない場合、保圧が十分にきいて
いない場合、変形によって真円度がでないことがある。
【0011】さらに、継手成形品においても受口部分の
みの精度が必要な場合があり、このようなとき射出成形
品全体の精度を向上させる手段を高じるよりも、その部
分のみの精度を満たす手段があればよいが、現状はその
ような手段が存在しない。
【0012】一方、本発明の発明者らは、キャビティ型
との間で筒状をしたキャビティを形成するコア型全体
を、キャビティ内に樹脂を充填後、この樹脂が固化する
直前まで、キャビティの中心軸に対して直交する方向に
偏芯させるとともに、この偏芯状態を保ちながら、コア
型をキャビティの中心軸周りに工程させることによっ
て、充填樹脂をキャビティ型の型面方向に圧縮し、均一
な密度を持ち、そりや変形、残留ひずみ等が少なく、収
縮ムラのない高精度の寸法を備え、外観の優れた筒状成
形品を得る成形方法をすでに提案している(特願平11
−598号参照)。
【0013】しかし、この成形方法の場合も、上記のよ
うに、コア型全体を偏芯公転させることによって筒状成
形品の全体を圧縮するため、上記のような一部に筒状部
を有するような成形品の成形を行うことができなかっ
た。
【0014】本発明は、このような事情に鑑みて、一部
に筒状部を有し、この筒状部のみが均一な密度を持ち、
そりや変形、残留ひずみ等が少なく、収縮ムラのない高
精度の寸法を備え、外観の優れた成形品を得ることがで
きる成形品の成形方法およびこの成形方法に用いる射出
成形用金型を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に記載の発明にかかる成形
品の成形方法(以下、「請求項1の成形方法」と記す)
は、キャビティ型と偏芯公転コア型とで形成される筒状
キャビティ部を一部に有するキャビティ内に溶融状態の
樹脂を充填したのち、充填された樹脂の固化までの間、
偏芯公転コア型を、その中心軸が筒状キャビティ部の中
心軸に対して平行状態を保ちながら筒状キャビティ部の
中心軸周りにキャビティ型内で公転させて筒状キャビテ
ィ部の充填樹脂の一部をキャビティ型の型面方向に圧縮
する圧縮工程を備える構成とした。
【0016】本発明の請求項2に記載の発明にかかる成
形品の成形方法(以下、「請求項2の成形方法」と記
す)は、請求項1の成形方法において、公転と同時に偏
芯公転コア型の少なくとも充填樹脂接触面を充填樹脂に
沿って転動させるようにした。
【0017】本発明の請求項3に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項4の金型」と記す)は、
キャビティ型と、このキャビティ型内に挿入され、キャ
ビティ型との間にキャビティの少なくとも一部を占める
筒状キャビティ部を形成する偏芯公転コア型とを備え、
この偏芯公転コア型が、キャビティ内で筒状キャビティ
部の中心軸に対してその中心軸の平衡状態を保ちながら
偏芯かつ筒状キャビティの中心軸周りに公転可能に形成
されている構成とした。
【0018】本発明の請求項4に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項5の金型」と記す)は、
請求項3の金型において、偏芯公転コア型が、その少な
くとも周壁が、公転時にキャビティ内に充填された樹脂
に沿って転動自在となる転動機構を備えている構成とし
た。
【0019】本発明の請求項5に記載の発明にかかる射
出成形用金型(以下、「請求項5の金型」と記す)は、
請求項3の金型において、偏芯公転コア型が、軸部と、
ころがり軸受けを介して軸部に回転自在に外嵌された筒
状の転動部とを備えている構成とした。
【0020】本発明の射出成形用金型を使用して成形す
る成形品の材質としては、高密度ポリエチレン等の結晶
化度が高く、収縮性の大きい樹脂が好適であるが、塩化
ビニル樹脂、ポリスチレン等の非結晶性樹脂も使用可能
である。
【0021】コア型の材質としては、特に限定されない
が、少なくともコア型の型面を形成する部分が、熱伝導
率が高いアルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、
銅合金等で形成されていることが好ましく、軽量化の観
点からこれらのうち、アルミニウムあるいはアルミニウ
ム合金がより好ましい。
【0022】キャビティ型の材質としては、特に限定さ
れないが、例えば、炭素鋼やステンレス鋼が挙げられ
る。また、転写性をよくするために、充填樹脂に接する
部分は鏡面仕上げされていることが好ましい。
【0023】偏芯公転コア型の形状(径寸法)を適宜変
える事により、使用する樹脂種類それぞれの収縮量に見
合った圧縮を行うようにしてもよい。
【0024】偏芯公転コア型の偏芯量は、成形品の筒状
部のサイズ、形状あるいは使用樹脂の種類によって成形
条件および収縮量が異なり、特に限定されないが、例え
ば、高密度ポリエチレンを用いて呼び径50の筒状成形
品を成形する場合、0.5〜6mm程度が好ましく、2
mm前後がより好ましい。偏芯公転コア型による圧縮時
の偏芯公転コア型と充填樹脂との接触は、延伸および圧
延を助長させることから点接触とすることが好ましい。
【0025】本発明の成形方法で得られる成形品として
は、特に限定されないが、たとえば、図10(a)〜
(c)に示すように、寸法精度が要求される受口Uを一
端に備えたゴム輪付き継手の継手本体J1〜J3、図1
0(d)に示すような寸法精度が要求される分岐管部を
有するサドル継手J4、図10(e)に示すような一端
に受口Uが設けられたソケット型の継手J5、図10
(f)に示すような一端に受口Uが設けられたレジュー
サ型の継手J6、図10(g)に示すような寸法精度が
要求される円筒形のボス状突起を一部に備えた成形品W
等が挙げられる。
【0026】なお、本発明において、筒状とは、断面形
状が真円状の筒形だけでなく、卵形や楕円状をしている
のものであっても構わないものであり、表面に各種形状
の凸部が突設されていてもよい。
【0027】本発明の成形方法において、樹脂を金型に
充填する際に、キャビティ周壁面温度を樹脂の溶融温度
付近の温度もしくはそれ以上の温度に加熱しておくこ
と、充填工程終了後冷却固化工程前に、樹脂充填時の樹
脂流動による剪断応力および分子もしくは結晶配向を金
型内で緩和し、成形後の成形品の収縮を低減させるよう
にキャビティ周壁面の温度を暫く樹脂の溶融温度付近の
温度もしくはそれ以上の温度に保持する温度保持工程を
備えていることが好ましい。また、冷却工程において
は、図11に示すように、樹脂の冷却工程を3段階から
構成し、第1段階では冷却速度を速く、第2段階では一
旦、温度を一定とし、暫くその温度を維持し、第3段階
では再び冷却速度を速くすることが好ましいが、特に、
第2段階の開始温度を結晶化開始温度付近とすると一層
効果的である。
【0028】なお、冷却工程において、どのような冷却
速度パターンで冷却するかは、使用する結晶性樹脂や狙
う結晶化度によって異なる。使用する結晶性樹脂につい
ては、予め冷却速度と結晶化度の関係を把握する必要が
ある。冷却速度と結晶化度の関係を把握するには、種々
の冷却速度により固化した樹脂サンプルの結晶化度をD
SC等で測定し、冷却速度と結晶化度の関係を把握す
る。又、冷却速度を変更できるDSCやPvT測定装置
を使用すれば、冷却速度によって変化する結晶化開始温
度や結晶化温度域を把握することもできる。特に広範囲
な冷却速度設定が可能なDSCの場合は、実際に成形す
る冷却パターンで樹脂サンプルを冷却し、その温度履歴
を与えたサンプルで、結晶化度を測定することにより、
各種冷却パターンにおける結晶化度を把握することがで
きる。
【0029】ここで、結晶化開始温度、もしくは結晶化
温度域は、従来の冷却工程におけるDSCもしくはPv
T測定により得られる結果から判断する。即ち、DSC
使用の場合には、温度−熱量曲線から、その曲線がベー
スラインから大きくずれている温度域が結晶化温度域で
あり、その中の最大値が結晶化開始温度となる。又、P
vT測定の場合には、温度−比容積曲線において、比容
積の変化率が最も大きい温度域が結晶化温度域であり、
その中の最大値が結晶化開始温度となる。
【0030】キャビティ周壁面を樹脂の結晶化温度付近
の温度もしくはそれ以上の温度に加熱保持する手段とし
ては、特に限定されるものではなく、例えば、金型内に
電熱ヒータを設け、電熱ヒータに通電することにより高
温を保持するようにしてもよく、或いは、高周波振動や
近赤外線を使用した昇温手段等が採用できる。
【0031】或いは、金型にヒータを設ける代わりに、
金型に加熱媒体流通管を設け、金型温調器により電磁弁
を備えた管路を通じて金型の加熱媒体流通管に加熱オイ
ルを供給するようにしてもよい。
【0032】本発明の成形方法において、冷却速度を変
化させる手段としては、特に限定されないが、例えば、
次の4方法等が採用できる。 (1)冷媒の流量を変化さる方法。 (2)温度の異なる冷媒を切り換える。 (3)冷媒の通過位置を切り換える。 (4)冷媒による冷却とヒーターによる加熱を組み合わ
せて使用する方法。
【0033】上記(1)の冷媒の流量を変化さる方法と
しては、金型内の冷却管を流れる冷媒の流量を変化させ
ることにより冷却速度を変化させることができる。即
ち、冷媒の流量が多いほど熱輸送効率が上がり、冷却速
度が大きくなる。流量は冷媒の圧送装置を使用すること
により、例えば、0〜20リットル/分の広範囲で流量
を制御する。冷却工程中、手動もしくは制御装置からの
信号に従い、冷却管に設けた流量調節弁の開き量を制御
することにより予め設定したタイミングで、冷却速度を
変化させることができる。
【0034】上記(2)の温度の異なる冷媒を切り換え
る方法においては、金型温度調節装置(温調機)を複数
台使用し、温度の異なる冷媒を複数使用する。冷却速度
が金型と冷媒の温度差により変化することを利用し、冷
却速度を変化させる。この場合、温度差が大きいほど冷
却速度は速くなる。冷却工程中、手動もしくは制御装置
からの信号に従い、金型温度調節装置からの管路に設け
た電磁弁を適宜切り換えて、金型の冷媒流通管に供給
し、これら冷媒を切り換えることにより、予め設定した
タイミングで冷却速度を変化させることができる。
【0035】場合によっては、冷媒の種類、即ち、チラ
ー、水、油等を変えることにより、更に広範囲(例えば
5〜180℃)の温度設定が可能となる。この方法にお
いては、ギャビティ周壁面の温度を一定温度に保持する
(冷却速度=0)状態、更には、必要であれば冷媒の温
度範囲内で再加熱することも可能である。異なる種類の
冷媒のための複数の金型温度調節装置を使用し、各金型
温度調節装置からの管路に設けた電磁弁を適宜切り換え
て、金型の冷媒流通管に供給し、これら異なる種類の冷
媒を切り換えることにより金型の温度設定が可能とな
る。
【0036】上記(3)の冷媒の通過位置を切り換える
方法においては、キャビティに対する距離が異なるよう
に金型内に配置された冷却管に冷媒を選択的に流すこと
により、キャビティと冷媒との距離が伝熱効率に影響す
ることを利用して冷却速度を変えることができる。この
場合、キャビティと冷却管との距離が短いほど冷却速度
は速くなる。冷却工程中、手動もしくは制御装置からの
信号に従い、冷媒を流す流路を切り換えることにより、
予め設定したタイミングで、冷却速度を変化させること
ができる。
【0037】上記(4)の冷媒による冷却とヒーターに
よる加熱を組み合わせて使用する方法においては、金型
に冷媒を通す冷却管と加熱ヒーターを設け、冷媒による
冷却速度を加熱ヒーターによって調整することにより、
冷却速度を変化させることができる。
【0038】或いは、複数の金型温度調節装置を使用
し、一方の金型温度調節装置により冷媒を金型の冷媒流
通管に供給し、他方の金型温度調節装置により加熱媒体
を金型の加熱媒体流通管に供給するようにしてもよい。
【0039】冷却工程中、手動もしくは制御装置からの
信号に従い、加熱ヒーターをオン/オフさせることによ
り、予め設定したタイミングで、冷却速度を変化させる
ことができる。この方法においては、キャビティ周壁面
の温度を一定に保持する(冷却速度=0)状態、更に、
必要であれば冷媒の温度範囲内で再加熱することもでき
る。
【0040】上記の4方法をそれぞれ単独に使用しても
よく、これらを適宜組み合わせた方法によってもよく、
組み合わせた方法によれば、更に制御範囲、或いは制御
パターンを拡大することができる。尚、加熱ヒーターに
ついては、特に限定されないが、例えば、シーズヒータ
ー、高周波加熱、近赤外線や遠赤外線等の加熱手段など
が使用できる。
【0041】又、冷却速度の制御手段としては、キャビ
ティ周壁面、又はキャビティ周壁面に接触している樹脂
の温度、もしくは成形サイクル中の経過時間において判
断し、制御するようにしてもよい。
【0042】最も単純な制御手段としては、予め必要な
冷却速度について、上記の4つの冷却速度可変方法の設
定値を調べておき、成形サイクル中の経過時間(例え
ば、樹脂充填開始、冷却開始からの経過時間)におい
て、設定値を手動もしくはタイマー制御で切り換えてい
く方法によってもよい。この方法においては、事前に設
定値を導出しておけば、実際の成形においては、必ずし
もキャビティ周壁面温度もしくは樹脂温度を測定する必
要はない。但し、雰囲気温度や成形条件の変動等の外乱
により実際の冷却パターンと狙いのパターンが多少ずれ
る可能性があることに注意すべきである。
【0043】冷却速度をより正確に制御するには、金型
にはキャビティ周壁面、もしくはキャビティ周壁面に接
触している樹脂の温度を随時測定するセンサーを設置し
て冷却速度を制御する必要がある。センサーからの測定
データは制御部に送られ、測定間隔に対する温度勾配よ
り時々刻々の冷却速度を計算し、予め設定した冷却速度
となるように、冷却速度を制御する。
【0044】第2段階において、一定温度を保持する場
合には、冷却パターンとして設定された時間、設定温度
を保持するように制御するとよい。
【0045】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図によ
り説明する。図1および図2は、本発明にかかる成形品
の成形方法の1つの実施の形態である一方に筒状部であ
る受口を備えたレジューサの成形方法を工程順にあらわ
している。
【0046】この成形方法は、工程順に説明すると、以
下のようになる。 (1)図1(a)に示すように、非偏芯コア型12が、
キャビティ形成部内に臨むように一体に設けられたキャ
ビティ型11内に非偏芯コア型12と逆側方向から偏芯
公転コア型14をキャビティ型11内に挿入し、キャビ
ティ13を形成する。なお、この時、偏芯公転コア型1
4は、その中心軸が、キャビティ13の受口形成部の中
心軸に一致した状態になっている。
【0047】(2)金型のキャビティ周壁面温度を樹脂
の溶融温度より高くなるように制御した状態でキャビテ
ィ13内に、たとえば高密度ポリエチレンのような樹脂
を溶融状態で充填樹脂Pとして射出充填する。この射出
充填はキャビティ13の容積に見合う量及び時間内で行
われる。 (3)充填直後に、図1(b)に示すように、偏芯公転
コア型14をその中心軸が受口形成部の中心軸、すなわ
ち、成形しようとする成形品の受口の中心軸に対して平
行状態を保ちながら徐々に偏芯させるとともに、成形し
ようとする成形品の受口の中心軸周りに公転させて、受
口形成部内の充填樹脂を全周にわたって均一に圧縮を続
ける。
【0048】(4)図2(a)に示すように、偏芯およ
び公転を続け、受口形成部の厚みが所定の厚みになるま
で圧縮する。 (5)受口形成部の厚みが所定の厚みになるとともに、
樹脂がほぼ固化したら、図2(b)に示すように、偏芯
公転コア型14をその中心軸が受口形成部の中心軸に位
置する位置まで戻したのち、金型を開放し、成形品であ
るレジューサ継手Rを取り出す。
【0049】なお、金型内での充填樹脂Pは、冷却工程
に入る前に、まず、暫く溶融温度付近の温度もしくはそ
れ以上の温度に一旦保持されたのち、冷却される。ま
た、冷却工程では、まず、樹脂の結晶化温度付近まで一
気に冷却したのち、一旦結晶化温度付近で温度保持し、
再び固化するまで冷却されるようになっている。
【0050】この成形方法は、以上のように、キャビテ
ィ型11との間でキャビティ13うちの高寸法精度が要
求される受口形成部を形成するコア型として偏芯公転コ
ア型14を用い、キャビティ13内に樹脂を充填後、こ
の偏芯公転コア型14を偏芯させるとともに、公転させ
るようにしたので、受口形成部内の充填樹脂がキャビテ
ィ型方向に均一に圧縮され、一部である受口部分が、高
い寸法精度が高く、均一な密度を持ち、そりや変形、残
留ひずみなどが少なく、収縮むらがなく高外観であるレ
ジューサ継手を得ることができる。
【0051】しかも、樹脂充填時に金型温度を樹脂の溶
融温度より高い温度に保つようにしたので、充填時のウ
エルド発生が小さくなり、さらにこれに圧縮効果が加わ
ることによって、より外観が向上する。また、樹脂が高
温時に圧縮されるので型転写性もよく光沢のある外観が
得られる。
【0052】また、冷却工程において、一旦樹脂の結晶
化温度付近で一定温度に保つようにしたので、結晶化が
進み、強度的に優れた成形品とすることができる。さら
に、偏芯圧縮完了後は、偏芯公転コア型が初期の中心軸
上に戻るので、成形品内面との間に隙間が生じ、だきつ
きがなく離型性も上がる。
【0053】図3〜図6は、本発明にかかる射出成形用
金型の1つの実施の形態をあらわしている。
【0054】図3および図4に示すように、この金型A
は、横置き型のもので、固定型2と、可動型3と、図5
に示すように、冷却ユニット4とを備えている。固定型
2は、その可動型3側の面中央にパーティング面から突
出するように非偏芯コア型5aが一体に設けられてい
る。可動型3は、可動型本体3aと、キャビティ型3b
と、偏芯公転コア型5bとを備えている。
【0055】可動型本体3aは、ケーシング31と、回
転ケース32と、進退部材33およびスライド部材34
からなる偏芯回転機構とを備えている。回転ケース32
は、軸受け35により軸受けされ、ケーシング31内で
回転可能とされているとともに、その周面にスプロケッ
トホイール321が設けられ、電動機323の回転駆動
力がチェーン322を介してスプロケットホイール32
1に伝達されることによりケーシング31内で回転する
ようになっている。進退部材33は、回転ケース32内
に設けられ、図6に示すように、断面略小判形をした本
体部331と、この本体部331の固定型側の面に設け
られた傾斜面332と、この傾斜面332の傾斜方向に
沿って穿設された断面略台形の嵌合突条333とを備え
ており、その後端部が図示していない油圧シリンダのロ
ッド先端に回転自在に支持され、回転ケース32の回転
に伴って回転するようになっている。なお、嵌合突条3
33の両側面のなす角度θは、特に限定されないが、1
5°程度が好ましい。
【0056】一方、スライド部材34は、進退部材33
側に進退部材33の傾斜面332に当接する傾斜面34
1を有し、この傾斜面341に嵌合突条333がスライ
ド自在に嵌合する断面略台形の嵌合溝(あり溝)342
が凹設されている。また、固定型2側の面に、後述する
偏芯公転コア型5bの軸ピン522をベアリング(図示
せず)を介して回転自在に支持する軸穴343が穿設さ
れている。キャビティ型3bは、円筒形のキャビティ部
を内部に備え、図示していないが、中心軸に沿って2つ
割りになっていて、型開き時に2つに分離するようにな
っている。
【0057】偏芯公転コア型5bは、図2に示すよう
に、キャビティ型3bとの間にキャビティKの一部を形
成する円柱状をした型本体51と、型本体51の他端に
一体に設けられた軸部52とを備えているとともに、金
型閉合時、キャビティ型3bのキャビティ部内に入り込
み、型本体51の一端面が非偏芯コア型5aに当接する
ようになっている。軸部52は、大径のスライド部52
1と、このスライド部521の可動型3側の面に突設さ
れた軸ピン522とを備え、前述のように、この軸ピン
522がベアリングを介してスライド部材34の軸穴3
43に回転自在に支持されている。
【0058】したがって、偏芯公転コア型5bは、スラ
イド部材34の回転及び偏芯が、スライド部材34の軸
穴343およびベアリングを介して軸部52に伝達され
るようになっていて、スライド部材34の偏芯に伴っ
て、キャビティ型3bのキャビティ部内で偏芯状態にな
るとともに、この偏芯状態を保ちつつ成形品の中心軸周
りに公転するようになっている。
【0059】なお、進退部材33やスライド部材34の
材質としては、特に限定されないが、少なくとも進退部
材33やスライド部材34の接触部を形成する部分が耐
衝撃性や耐じん性などを持つ材料で形成されていること
が好ましく、強度の関係からクロム−モリブデン鋼(S
MC鋼)や工具鋼(SKD鋼)がより好ましい。また、
耐磨耗性や低摩擦化などを考慮すれば、真空焼入れやタ
フトライドなどの表面熱処理を施すことが更に好まし
い。図3および図4中、21はスプル、22はランナ、
23は突き出しピンである。
【0060】この金型Aは、以上のようになっており、
以下のようにして成形品を成形することができる。 可動型3と固定型2とを閉じるとともに、偏芯公転
コア型5bの中心軸をキャビティ型3bのキャビティ部
の中心軸に一致させた状態にする。
【0061】 図示しない射出成形機の射出スクリュ
ーにより固定型2に設けられたスプル21、ランナ22
及びゲートを経由して、溶融状態を充填樹脂Pとしてキ
ャビティK内に射出充填する。この射出充填はキャビテ
ィKの容積に見合う量及び時間内で行われる。
【0062】 射出充填完了と同時に電動機323を
予め設定した回転数で回転を開始させ手回転ケース32
を回転させる。すなわち、この回転ケース32の回転に
伴って、進退部材33およびスライド部材34が回転を
開始する。この時、スライド部材34の軸穴343と偏
芯公転コア型5bの軸ピン522とがベアリングを介し
て接続されているとともに、偏芯公転コア型5bの中心
軸がキャビティ部の中心軸と一致した状態にあるので、
偏芯公転コア型5bは充填樹脂Pの摩擦抵抗力によって
回転をしない。
【0063】 進退部材33およびスライド部材34
の回転状態を保持しながら、図3に示すように、油圧シ
リンダの作動により進退部材33を固定型2方向に前進
させる。この進退部材33の前進によりスライド部材3
4がキャビティ部の中心軸に直交する方向にスライド
し、同時に、偏芯公転コア型5bもキャビティKの中心
軸に直交する方向にスライドし、スライドした寸法分だ
け充填樹脂Pを内側からキャビティKの中心軸に対して
垂直方向の圧縮を加えるようになる。しかも、進退部材
33およびスライド部材34が回転を続けているので、
このスライドとともに、偏芯公転コア型5bがキャビテ
ィ部の中心軸を中心に公転を開始し、型本体51の壁面
によって充填樹脂Pに内面から全周にわたって圧縮を加
え続ける。なお、偏芯公転コア型5bのスライドは、充
填樹脂Pの圧縮状態に合わせて徐々に行われる。
【0064】 充填樹脂が固化するまで、あるいは、
金型Aを開く直前まで偏芯公転コア型5bの公転および
転動を続ける。
【0065】 電動機323の駆動を停止し、油圧シ
リンダの作動により、進退部材33を固定型2方向から
後退させ、図4に示すように、スライド部材34を介し
て偏芯公転コア型5bをその中心軸がキャビティKの中
心軸、すなわち、成形品Wの圧縮部の中心軸に一致した
状態に戻したのち、金型Aを開き、成形品Wを取り出
す。
【0066】上記金型Aは、叙上の構造を備えているの
で、以下のような優れた効果を備えている。 (1)寸法精度が要求される部分に偏芯公転コア型5b
を設け、キャビティ5に充填された充填樹脂が固化する
前にこの偏芯公転コア型5bが偏芯状態を保ちながら公
転してキャビティ内の充填樹脂をうちが偏芯公転コア型
5bの型本体51の壁面で垂直方向に均等に圧縮し、樹
脂の収縮力を均等に分散して、その形状を矯正すると共
に密度を高めることができる。すなわち、一部に均一な
密度を持ち、そりや変形、残留ひずみ等が少ないととも
に、収縮ムラのなく高寸法精度で、外観の優れた(金型
転写性に優れた)筒状部を有する成形品を得ることがで
きる。
【0067】(2)進退部材33を固定型1方向へ進退
させるだけで偏芯公転コア型5bを偏芯できるようにし
たので、金型A全体の構造をシンプルなものとすること
ができるとともに、固定型1や可動型2の側面部分に偏
芯公転コア型5bの偏芯用の機構が突出することがな
く、設置スペースも小さなものですむ。 (3)偏芯公転コア型5bが、シンプルな構成で、偏芯
公転コア型5b4の小型化を図れる。すなわち、小さな
成形品も精密に成形できるようになる。
【0068】(4)進退部材33を進退させる油圧シリ
ンダと、偏芯公転コア型5bの圧縮構造部分とが完全に
隔絶されているので、油漏れなどによる成形品への影響
がないとともに、メンテナンスが容易である。
【0069】(5)油圧シリンダで進退部材33を制御
するようにしたので、偏芯公転コア型5bの偏芯量の調
整が容易かつ正確にできるとともに、圧縮動作中に充填
樹脂の内部圧力を検知して偏芯量を最適に制御できるの
で、偏芯公転コア型5bへの負荷を軽減できる。また、
偏芯公転コア型5bへ大きな負荷がかかった場合でも油
圧回路の切替えにより、偏芯公転コア型5bの戻しで速
い対応が取れる。
【0070】(6)電動機323によって回転数が制御
できるとともに、油圧シリンダによって偏芯量(すなわ
ち、圧縮度合い)を制御できるので、真円度の矯正がで
きる。 (7)進退部材33の傾斜面332に沿ってスライド部
材の傾斜面341をスライドさせ、この傾斜を利用して
スライド部材34をスライドさせる構造であるので、気
候が簡単でしかも滑らかにスライドさせることができ、
油圧シリンダも小さなものですむ。
【0071】図7および図8は本発明にかかる射出成形
用金型の他の実施の形態をあらわしている。図7に示す
ように、この金型Bは、閉合によりキャビティ型6を形
成する固定型6aと可動型6b、および、スライドコア
7とを備えている。
【0072】スライドコア7は、非偏芯コア型8と、偏
芯公転コア型9と、偏芯公転コア型9の駆動部70とを
備え、矢印方向にスライドするようになっている。駆動
部70は、ケーシング71と、回転ケース72と、進退
部材(押し引きアンギュラ)73およびスライドブロッ
ク(各型偏芯アンギュラ)74からなる偏芯機構とを備
えている。
【0073】回転ケース72は、軸受け711により軸
受けされ、ケーシング71内で回転可能とされている。
回転ケース72は、その周面にギヤ721が設けられ、
電動機722の回転駆動力が電動機722の回転軸に設
けられたギヤ723を介してギヤ721に伝達されるこ
とによりケーシング71内で回転するようになってい
る。
【0074】進退部材73は、図8に示すように、断面
略小判形をしており、回転ケース72内に固定型方向に
スライド自在に挿入されているとともに、その後端が油
圧シリンダ75のロッド先端に回転自在に支持されてい
て、回転ケース72の回転に伴って回転するとともに、
油圧シリンダ75のロッドの伸縮によって回転ケース7
2内をキャビティ型1方向に進退するようになってい
る。
【0075】また、進退部材73のキャビティ型6側の
面には、図8に示すように、後述するスライドブロック
74のアンギュラピン741と同様の断面正方形をした
摺動穴731が成形品の中心軸に対して傾斜した状態で
穿設されている。
【0076】一方、スライドブロック74は、ブロック
本体742と、ブロック本体742から進退部材73側
へ突出する断面正方形のアンギュラピン741とを備
え、ブロック本体742がベアリング743を介して後
述する偏芯公転コア型9のスライドスライド基部95に
回転自在に一体化されている。
【0077】アンギュラピン741は、進退部材73の
摺動穴731に摺動自在に挿入されているいるととも
に、成形品の中心軸に対して摺動穴731と略同じ角度
で傾斜している。
【0078】すなわち、スライドブロック74は、油圧
シリンダ75の作動により進退部材73がキャビティ型
6方向に前進後退することによって、アンギュラピン7
41の先端が進退部材73の摺動穴731内に進退す
る。しかも、摺動穴731およびアンギュラピン741
が進退部材73の進退方向に対して傾斜して設けられて
いるので、アンギュラピン741の摺動穴731内への
進退によってスライドブロック74がその中心軸がキャ
ビティ型のキャビティ部の中心軸に直交する方向に回転
ケース72内でスライドするようになっている。しか
も、進退部材73が回転ケース72の回転に伴って回転
すると、アンギュラピン741を介してその回転力がス
ライドブロック74にも伝達され、スライドブロック7
4も進退部材73とともに回転するようになっている。
【0079】非偏芯コア型8は、キャビティ型1の内側
に挿入されて先端面がキャビティ型6の壁面に当接し、
図示していないが、先端に設け設けられた突起がキャビ
ティ型に設けられた凹部に嵌合してキャビティ型6内で
固定されている。また、非偏芯コア型8は、他端面に後
述する偏芯公転コア型9の係止ボルト94の首部より大
径で頭部より小径の開口を備え、内部に係止ボルト94
の頭部が遊嵌される係止穴81が穿設されている。
【0080】偏芯公転コア型9は、円筒形をした転動部
91と、この転動部91をころがり軸受け92を介して
回転自在かつ着脱自在に支持するとともに、一端面が非
偏芯コア型8の他端面にスライド自在に当接する軸部9
3と、軸部93の他端に一体化され、ケーシング21に
キャビティ5の口部形成部の中心軸に直交する方向にス
ライド自在に支持されたスライド基部95と、軸部93
の一端面に係止ボルト94がその頭部を非偏芯コア型8
に設けられた凹穴81内に臨ませた状態で非偏芯コア型
8と一体化されている。
【0081】すなわち、偏芯公転コア型9は、非偏芯コ
ア型8に対して、係止ボルト94の首部の外径と凹穴8
1の開口の内径との差分だけキャビティKの中心軸に直
交する方向にスライド自在になっている。スライド基部
95には、前述のように、ベアリング743を介してス
ライドブロック74のブロック本体742が回転自在に
一体化されている。
【0082】したがって、偏芯公転コア型9は、スライ
ドブロック74の回転及び偏芯が伝達されるようになっ
ていて、スライドブロック74の偏芯に伴って、偏芯公
転コア型9がキャビティK内で偏芯状態になるととも
に、この偏芯状態を保ちつつ成形品の中心軸周りに公転
するようになっている。
【0083】なお、進退部材73やスライドブロック7
4の材質としては、特に限定されないが、少なくとも進
退部材73やスライドブロック74の接触部を形成する
部分が耐衝撃性や耐じん性などを持つ材料で形成されて
いることが好ましく、強度の関係からクロム−モリブデ
ン鋼(SMC鋼)や工具鋼(SKD鋼)がより好まし
い。また、耐磨耗性や低摩擦化などを考慮すれば、真空
焼入れやタフトライドなどの表面熱処理を施すことが更
に好ましい。
【0084】この金型Bは、以上のようになっており、
以下のようにして成形品を成形することができる。
【0085】 図に示すように、可動型6bと固定型
6aとを閉合し、キャビティ型6を形成するとともに、
このキャビティ型6方向にスライドコア7をスライドさ
せて、非偏芯コア型8および偏芯公転コア型9をキャビ
ティ型6のキャビティK内に挿入し、非偏芯コア型8の
先端に設けた突起をキャビティ型6の内壁面に設けられ
た凹部に嵌合させてキャビティ型6内で非偏芯コア型8
を固定状態にするとともに、偏芯公転コア型9の中心軸
がキャビティ部の中心軸に一致した状態となるようし、
筒状をしたキャビティKを形成する。
【0086】 図示しない射出成形機の射出スクリュ
ーにより固定型6aに設けられたスプル、ランナ及びゲ
ートを経由して溶融状態の樹脂を充填樹脂Pとしてキャ
ビティK内に射出充填する。この射出充填はキャビティ
Kの容積に見合う量及び時間内で行われる。
【0087】 射出充填完了と同時に電動機722を
駆動させて、回転ケース72を予め設定した回転数で回
転を開始させる。すなわち、この回転ケース72の回転
に伴って、進退部材73およびスライドブロック74が
回転を開始する。この時、スライドブロック74のブロ
ック本体341と偏芯公転コア型9のスライド基部95
とがベアリング743を介して接続されているととも
に、偏芯公転コア型9の中心軸がキャビティKの中心軸
と一致した状態にあるので、偏芯公転コア型9は充填樹
脂Pの摩擦抵抗力によって回転をしない。
【0088】 進退部材73およびスライドブロック
74の回転状態を保持しながら、油圧シリンダ75の作
動により進退部材73をキャビティ型6方向に前進させ
る。この進退部材73の前進によりスライドブロック7
4がキャビティ部の中心軸に直交する方向にスライド
し、同時に、偏芯公転コア型9もキャビティ部の中心軸
に直交する方向にスライドし、スライドした寸法分だけ
充填樹脂Pを内側からキャビティKの中心軸に対して垂
直方向の圧縮を加えるようになる。しかも、進退部材7
3およびスライドブロック74が回転を続けているの
で、このスライドとともに、偏芯公転コア型9がキャビ
ティKの中心軸を中心に公転を開始し、転動部91の壁
面によって充填樹脂の一部を内面から全周にわたって圧
縮を加え続ける。なお、偏芯公転コア型9のスライド
は、充填樹脂Pの圧縮状態に合わせて徐々に行われる。
また、この時、転動部91は、ころがり軸受け92を介
して軸部93に回転自在に支持されているので、公転に
伴って充填樹脂Pの内面を圧縮しつつ樹脂の内面に沿っ
て転動する。
【0089】 充填樹脂が固化するまで、あるいは、
金型Aを開く直前まで偏芯公転コア型9の公転および転
動を続ける。
【0090】 油圧シリンダ75の作動により、進退
部材73を固定型方向から後退させ、スライドブロック
74を介して偏芯公転コア型9をその中心軸がキャビテ
ィ部の中心軸に一致した状態に戻すとともに、回転ケー
ス72の回転を止め、スライドコア7をスライドさせて
キャビティ型6から抜き取るとともに、可動型6bを可
動してキャビティ型6を開放し成形品を取り出す。
【0091】この金型Bは、叙上の構造を備えているの
で、以下のような優れた効果を備えている。 (1)寸法精度が要求される部分に偏芯公転コア型9を
設け、キャビティKに充填された充填樹脂が固化する前
にこの偏芯公転コア型9が偏芯状態を保ちながら公転し
てキャビティ内の充填樹脂を内側から偏芯公転コア型9
の転動部91の壁面によって垂直方向に均等に圧縮し、
樹脂の収縮力を均等に分散して、その形状を矯正すると
共に密度を高めることができる。すなわち、一部に均一
な密度を持ち、そりや変形、残留ひずみ等が少ないとと
もに、収縮ムラのなく高寸法精度で、外観の優れた(金
型転写性に優れた)筒状部を有する成形品を得ることが
できる。
【0092】(2)公転に伴って転動部91が充填樹脂
内面に沿ってスムーズに転動するので、充填樹脂にかか
る剪断応力が軽減される。したがって、公転速度を上げ
ることができる。
【0093】(3)偏芯公転コア型の内部構造がシンプ
ルな構成であるので、コア型4の小型化を図れる。すな
わち、小さな成形品も精密に成形できるようになる。 (4)進退部材73を進退させる油圧シリンダ75と、
コア型4部分等の圧縮構造部分とが完全に隔絶されてい
るので、油漏れなどによる成形品への影響がないととも
に、メンテナンスが容易である。
【0094】(5)油圧シリンダ75で進退部材73を
制御するようにしたので、偏芯公転コア型9の偏芯量の
調整が容易かつ正確にできるとともに、圧縮動作中に充
填樹脂の内部圧力を検知して偏芯量を最適に制御できる
ので、偏芯公転コア型9への負荷を軽減できる。また、
偏芯公転コア型9へ大きな負荷がかかった場合でも油圧
回路の切替えにより、偏芯公転コア型9の戻しで速い対
応が取れる。
【0095】(6)電動機722によって回転数が制御
できるとともに、油圧シリンダ75によって偏芯量(す
なわち、圧縮度合い)を制御できるので、真円度の矯正
ができる。 (7)アンギュラ構造が角形状であるため、回転トルク
を大きくすることができ、かつ、スライド構造での摺動
なので滑らかに移動できる。
【0096】なお、本発明にかかる成形品の成形方法お
よび射出成形用金型は、上記の実施の形態に限定されな
い。上記の金型A,Bは、横置き型であったが、縦置き
型としても構わない。
【0097】また、上記の金型Bは、アンギュラピン7
41の断面形状が正方形であったが、断面楕円状、断面
六角形、スプライン状等少なくとも1つの長軸と少なく
とも1つの短軸とを備えた断面形状であれば、どのよう
な形状をしていても構わない。上記の金型Aは、嵌合溝
342および嵌合突条333が断面略台形であったが、
たとえば、キー溝状 略T溝状をしていても構わない
し、嵌合突条がスライド部材側に設けられ、嵌合溝が進
退部材側に設けられていても構わない。
【0098】
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0099】〔実施例1〕図3に示すような金型および
高密度ポリエチレン樹脂(樹脂温度160℃の時の粘度
で10000poise(メルトインデックス(MI)
=20)を用いて以下の条件で小径口側が圧縮成形され
た呼び径50ミリ(規格値としては60.5±0.2m
m)のレジューサ継手を製造した。
【0100】(キャビティ形状)小口径側が内径60.
2mm、外径79.5mm、大口径側が内径70.2mm、外
径99.5mmで肉厚9.65mm、長さ70mm (成形温度条件)図9に示すように、220℃で樹脂を
充填したのち、200℃/minの冷却速度で120℃
まで一次冷却したのち、一旦120℃で1min保持
し、その後再び200℃/minの冷却速度で30℃ま
で冷却した。
【0101】(偏芯公転コア型の成形条件)偏芯幅4m
m、偏芯公転コア型の公転速度60rpm で成形した。
【0102】(成形品評価)成形した成形品は、成形
後、温度23℃の部屋で保管し、成形後1時間おいて、
寸法の測定を行った。真円度は、端部の内径を周方向に
8カ所測定し、その中の最大内径と最小内径の差を真円
度として求めた。
【0103】充填樹脂温度は220℃とし、充填完了
後、センサー測定温度が130℃になった時点で偏芯公
転コア型のスライドを開始した。その後冷却過程で、偏
芯量を調整し、成形品が50℃以下になるまで型内で冷
却し、離型した。その結果、成形品の外観の向上、ヒ
ケ、偏肉のない良好な成形品形状が得られた。また、圧
縮した小口径側の成形品内径最大値と最小値の再で求め
た真円度が従来の1.5mmから0.8mmに向上した。
【0104】その結果、得られたエルボの口部の内径の
最大値と最小値の差で求めた真円度が従来の1.2mm
から0.24mmに向上した。又、偏芯量を変更して成
形した結果、偏芯量に対して±0.05mmの精度の内
径を備えた口部のエルボが得られた。
【0105】
【発明の効果】本発明にかかる成形品の成形方法および
射出成形用金型は、以上のように構成されているので、
一部に寸法精度等の精密性が要求される筒状部を有する
成形品も、精度よく製造することができる。すなわち、
たとえば、ボスなどの真円度の精度を上げることができ
る。特に、薄肉の深さの深いボスに関しては従来ショー
トショットになりやすかったが、この方法を用いると充
填時の肉厚を厚くすることができるので、ショートショ
ットにならず、生産性が向上する。したがって、ボスの
ような形状の場合も嵌合がよくなり、組み立て時に不具
合が発生する率が下がる。
【0106】また、継手のような筒状成形品において
も、必要な受口のみ圧縮することができるので、全体を
圧縮する構造よりも負荷を小さくすることができる。す
なわち、金型を小型化することができ、金型コストも低
減できる。射出成形用金型においては、以上のように構
成されているので、シンプルな機構でメンテナンスにも
優れ、機械的に正確に作動する均一な密度を持ち、そり
や変形、残留ひずみなど少なく、収縮ムラのない高精度
の寸法、優れた外観を備えた成形品を得ることができ
る。さらに、キャップや蓋などの嵌合部においても真円
度がよくなり、嵌合不良がなくなる。
【0107】また、射出成形用金型においては、請求項
4および請求項5の金型のように、偏芯公転コア型の樹
脂に接する面を偏芯公転時に樹脂に沿って転動する構造
とすれば、偏芯公転時に樹脂に偏芯公転コア型との摩擦
による剪断応力が発生せず、より金型転写性に優れた成
形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる成形品の成形方法1つの実施の
形態であるレジューサの成形方法を工程順に説明する説
明図であって、同図(a)は樹脂射出充填直後の状態を
あらわす断面図、同図(b)は偏芯公転コア型を偏芯さ
せた状態の断面図である。
【図2】図1の後工程を説明する説明図であって、同図
(a)はさらに圧縮した状態をあらわす断面図、同図
(b)は型開き直前の状態をあらわす断面図である。
【図3】本発明にかかる射出成形用金型の1つの実施の
形態をあらわし、その偏芯公転コア型による圧縮状態の
断面図である。
【図4】図3の金型の型開き直前の状態をあらわす断面
図である。
【図5】図3の金型の冷却ユニットを説明する説明図で
ある。
【図6】図3の金型の進退部材とスライド部材の斜視図
である。
【図7】本発明にかかる射出成形用金型の他の実施の形
態をあらわす断面図である。
【図8】図7の金型の進退部材とスライドブロック部分
の断面図である。
【図9】実施例の冷却工程における冷却温度条件をあら
わすグラフである。
【図10】本発明の成形品の成形方法で得られる成形品
の1例をあらわす図である。
【図11】本発明の成形品の成形方法の成形時の好まし
い樹脂温度制御条件をあらわすグラフである。
【符号の説明】
A,B 金型 K キャビティ R レジューサ(成形品) W 成形品 6,3b,11 キャビティ型 9,5b,14 偏芯公転コア型 8,5a,12 非偏芯コア型 91 転動部 92 ころがり軸受け 93 軸部
フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AA05 AG06 AG08 AH11 CA11 CB01 CK06 CK18 CK52 CK67 CK73 4F206 AA05 AG06 AG08 AH11 JA03 JA07 JL02 JM05 JN25 JQ81 JQ90

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティ型と偏芯公転コア型とで形成さ
    れる筒状キャビティ部を一部に有するキャビティ内に溶
    融状態の樹脂を充填したのち、充填された樹脂の固化ま
    での間、偏芯公転コア型を、その中心軸が筒状キャビテ
    ィ部の中心軸に対して平行状態を保ちながら筒状キャビ
    ティ部の中心軸周りにキャビティ型内で公転させて筒状
    キャビティ部の充填樹脂の一部をキャビティ型の型面方
    向に圧縮する圧縮工程を備える成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】公転と同時に偏芯公転コア型の少なくとも
    充填樹脂接触面を充填樹脂に沿って転動させる請求項1
    に記載の成形品の成形方法。
  3. 【請求項3】キャビティ型と、このキャビティ型内に挿
    入され、キャビティ型との間にキャビティの少なくとも
    一部を占める筒状キャビティ部を形成する偏芯公転コア
    型とを備え、この偏芯公転コア型が、キャビティ内で筒
    状キャビティ部の中心軸に対してその中心軸の平衡状態
    を保ちながら偏芯かつ筒状キャビティの中心軸周りに公
    転可能に形成されている射出成形用金型。
  4. 【請求項4】偏芯公転コア型が、その少なくとも周壁
    が、公転時にキャビティ内に充填された樹脂に沿って転
    動自在となる転動機構を備えている請求項3に記載の射
    出成形用金型。
  5. 【請求項5】偏芯公転コア型が、軸部と、ころがり軸受
    けを介して軸部に回転自在に外嵌された筒状の転動部と
    を備えている請求項3に記載の射出成形用金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014205312A (ja) * 2013-04-15 2014-10-30 パナソニック株式会社 樹脂成形方法および樹脂成形金型
JP2021505435A (ja) * 2017-12-06 2021-02-18 エス.アイ.ピー.エイ.ソシエタ’インダストリアリザッジオーネ プロゲッタジオーネ エ オートマジオーネ ソシエタ ペル アチオニ 射出圧縮成形デバイス

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