JP2003275761A - 冷却水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

冷却水の処理方法及び処理装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 循環冷却水系のブロー水をRO膜装置で脱塩
処理して再利用すると共に、スライムコントロール剤と
しての遊離塩素をも供給することができる冷却水の処理
方法及び処理装置を提供する。 【解決手段】 冷却塔ブロー水をRO膜装置5で脱塩処
理し、透過水を冷却水系の補給水として再利用する。濃
縮水を電解処理装置6で電解処理し、濃縮水中に濃縮さ
れた塩化物イオンからスライムコントロール作用のある
遊離塩素を発生させ、電解処理水を冷却水系及び/又は
RO膜装置5の前段に戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷却水の処理方法及
び処理装置に係り、特に、循環冷却水系の冷却塔ブロー
水を回収して補給水として再利用するための処理方法及
び処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】循環冷却水系においては、
系内のスケール成分の濃縮によるスケール障害を防止す
るために、冷却塔から系内の水をブロー水として排出
し、このブロー水量に見合う水量の水を補給水として補
給している。このブロー水は、循環冷却水系の6〜8倍
の高濃縮運転により、硬度成分やシリカ等のスケール成
分が既に析出限界にまで濃縮された水である。このた
め、一般的には、これを回収して再利用することはなさ
れていなかったが、逆浸透(RO)膜分離装置(以下
「RO膜装置」と称す。)で脱塩処理して回収、再利用
する方法も提案されている。
【0003】また、本発明者らは、このブロー水をRO
膜装置で処理して再利用するに当たり、簡易な装置で安
価に安定かつ効率的に処理することができる水処理シス
テムとして、ブロー水に塩酸等を添加してpH3〜6に
調整した後脱炭酸処理し、次いで膜濾過処理し、その後
RO膜装置で脱塩処理する方法を提案した(特願200
1−127946)。
【0004】この方法であれば、ブロー水をpH3〜6
の弱酸性で脱炭酸処理することにより、水中の炭酸イオ
ン、重炭酸イオンを炭酸ガスとして効率的に除去するこ
とができ、後段のRO膜装置でのスケール障害の最も大
きな要因となる炭酸カルシウム等の炭酸塩スケールの析
出を有効に防止することが可能となる。また、膜濾過処
理により懸濁物質(SS)を除去することにより、RO
膜装置での目詰まりや閉塞を防止することができる。
【0005】ところで、循環冷却水系ではスケール障害
だけでなく、微生物によるスライム障害も考慮する必要
がある。即ち、循環冷却水系の高濃縮運転では、冷却水
の水質が悪化し、細菌、黴、藻類などの微生物群に、土
砂、塵埃などが混ざり合って形成されるスライムが発生
し易くなり、熱交換器における熱効率の低下や通水の悪
化を引き起こす。また、スライム付着部の下部におい
て、機器や配管の局部腐食を誘発する。
【0006】そこで、従来においては、このようなスラ
イムによる障害を防止するために、一般にスライムコン
トロール剤として塩素系薬剤や非塩素系の微生物忌避剤
を循環冷却水中に添加することが行われている。
【0007】従って、上記のようにRO膜装置により脱
塩処理したブロー水を再利用するに当っても、これらの
スライムコントロール剤の添加が必要とされていた。
【0008】一方、RO膜装置や膜濾過装置でもスライ
ム障害を防止するために、これらの装置の供給水や逆洗
水に塩素系殺菌剤や非塩素系の微生物忌避剤を添加する
ことが行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ブロー水をR
O膜装置で脱塩処理し、更にスライムコントロール剤を
添加して冷却水系に戻したり、RO膜装置や膜濾過装置
の供給水や逆洗水にスライムコントロール剤を添加する
ためには、脱塩処理システムに加えて、スライムコント
ロール剤添加のための薬品タンク、薬注ポンプ等の薬注
設備を必要とする上に、薬剤の搬入、薬剤の在庫管理等
の煩雑な作業が必要となる。
【0010】本発明は上記従来の問題点を解決し、循環
冷却水系のブロー水をRO膜装置で脱塩処理して再利用
すると共に、スライムコントロール剤としての遊離塩素
をも供給することができる冷却水の処理方法及び処理装
置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の冷却水の処理方
法は、冷却水系の冷却水の少なくとも一部を逆浸透膜分
離処理し、得られた濃縮水を電解処理して該冷却水系及
び/又は逆浸透膜分離処理の前段に返送することを特徴
とする。
【0012】本発明の冷却水の処理装置は、冷却水系の
冷却水の少なくとも一部を逆浸透膜分離処理する逆浸透
膜分離装置と、該逆浸透膜分離装置からの濃縮水を電解
処理する電解処理装置と、該電解処理水を該冷却水系及
び/又は該逆浸透膜分離装置の前段に返送するための返
送路とを備えることを特徴とする。
【0013】本発明の冷却水の処理方法の別の態様は、
冷却水系の冷却水の少なくとも一部を除濁装置により懸
濁物質除去処理した後、逆浸透膜分離処理し、該逆浸透
膜分離処理による濃縮水を電解処理して、該電解処理水
を該除濁装置の逆洗水として使用することを特徴とす
る。
【0014】本発明の冷却水の処理装置の別の態様は、
冷却水系の冷却水の少なくとも一部を懸濁物質除去処理
する除濁装置と、該除濁装置からの除濁水を逆浸透膜分
離処理する逆浸透膜分離装置と、該逆浸透膜分離装置か
らの濃縮水を電解処理する電解処理装置と、該電解処理
水で前記除濁装置を逆洗するための逆洗手段とを有する
ことを特徴とする。
【0015】循環冷却水系の補給水として用いられる水
道水や工業用水には、通常数mg−Cl/L〜10m
g−Cl/L程度の塩化物イオンが含まれている。
【0016】このため、循環冷却水系の冷却水には、6
〜8倍の高濃縮運転で、この補給水中の塩化物イオンが
濃縮されており、この冷却水を更にRO膜装置で脱塩処
理して得られる濃縮水(以下「RO濃縮水」と称す。)
では、更に塩化物イオンが濃縮されている。このため、
このRO濃縮水を電解処理することにより、RO濃縮水
中の塩化物イオンからスライムコントロール剤として有
効な遊離塩素を発生させることができる。従って、遊離
塩素を含む電解処理水を冷却水系やRO膜装置の前段に
戻したり、RO膜装置の前段に設けた除濁装置の逆洗水
に注入することにより、スライム障害を防止することが
できる。
【0017】即ち、電解処理装置では、陽極と陰極との
間に外部電源を用いて直流電圧を印加すると共に、両極
間にRO濃縮水を通水する。これにより、陽極の表面に
おいてRO濃縮水中の塩化物イオンが酸化され、次亜塩
素酸などの強い酸化力を有する塩素が生成する。生成し
た遊離塩素は、スライムの原因となる微生物を殺菌し、
あるいは増殖を抑制するので、循環冷却水系のスライム
発生を効果的に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
冷却水の処理方法及び処理装置の実施の形態を詳細に説
明する。
【0019】図1は本発明の冷却水の処理方法及び処理
装置の実施の形態を示す系統図である。図中、1はスト
レーナ、2は脱炭酸塔であり、入口にpH計2Aを備え
る。3は膜濾過装置、4は中間槽であり、pH計4Aと
レベルスイッチ4Bを備える。5はRO膜装置、6は電
解処理装置(例えば、電解次亜塩素酸ナトリウム発生装
置)である。V〜Vは開閉弁を示す。
【0020】冷却塔からのブロー水は、電解処理装置6
からの電解処理水の一部をスライムコントロール剤とし
て添加され、ストレーナ1で除塵された後、pH調整の
ためのHCl等の酸が添加され、その後脱炭酸塔2で脱
炭酸処理される。
【0021】ここでスライムコントロール剤としては、
必要あればさらに次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)
等の次亜塩素酸塩、塩素ガス、クロラミン、塩素化イソ
シアヌル酸塩などの塩素剤、ジブロモヒダントインなど
の臭素剤、DBNPA(ジブロモニトリロプロピオンア
ミド)、MIT(メチルイソチアゾロン)などの有機剤
を添加してもよい。
【0022】図1の装置によれば、電解処理装置6で発
生したスライムコントロール剤としての遊離塩素が循環
冷却水系にも添加されるため、このストレーナ1前段で
のスライムコントロール剤の添加は必ずしも必要とされ
ないが、処理系内のスライム障害を防止するためには、
遊離塩素濃度が0.5〜2mg/Lの範囲となるように
添加することが望ましい。
【0023】脱炭酸塔2の入口でのpH調整は、pHが
3〜6、好ましくはpHが4.5〜5.5の範囲となる
ように行う。このような酸性条件とすることにより、ブ
ロー水中のMアルカリ成分、即ち炭酸イオン(CO
2−)や重炭酸イオン(HCO )を炭酸ガスに変換
して脱炭酸塔2で効率的に除去し、後段のRO膜装置5
での炭酸成分に起因するスケール障害を有効に防止する
ことができると共に、RO膜装置5を透過する炭酸成分
を低減して処理水の水質を向上することができる。この
脱炭酸効率の面からはpHが低い方が望ましいが、過度
にpHが低いと、脱炭酸塔2の流出水のpHが下がり過
ぎ、RO膜装置5の前段においてpHを再調整する必要
が生じたり、腐食が生じるため、調整pHはpH3〜
6、好ましくは4〜6とする。
【0024】脱炭酸塔2の流出水は、ポンプPにより
懸濁物質除去手段としての膜濾過装置3に導入され、膜
濾過により、水中のSS(懸濁物質)が除去される。こ
の膜濾過装置3は、RO膜装置5の膜汚染の原因となる
水中の濁質やコロイダル成分を除去するためのものであ
り、MF(精密濾過)膜、UF(限界濾過)膜等、好ま
しくはUF膜を用いることができ、その膜型式にも特に
制限はなく、中空糸型、スパイラル型等の膜濾過装置を
採用することができる。また、濾過方式にも制限はな
く、内圧濾過、外圧濾過、クロスフロー濾過、全量濾過
のいずれの方式も適用可能である。
【0025】この膜濾過装置3の濃縮水は脱炭酸塔2に
返送され、透過水は必要に応じてpH調整剤、スケール
防止剤が添加された後、中間槽4に貯留される。
【0026】この膜濾過装置3では、膜の目詰りによる
膜性能の低下を防止するために定期的に逆洗を行う必要
がある。膜濾過時には、弁V,V,Vを開、弁V
,Vを閉として脱炭酸処理水を導入し、濃縮水及び
透過水を取り出すが、逆洗時には、弁V,V,V
を閉、弁V,Vを開として、電解処理水が添加され
た清水を膜濾過装置3の膜の透過側から逆流させ、逆洗
排水は必要に応じてpH調整した後系外へ排出する。な
お、この逆洗の間、ポンプPからの脱炭酸処理水は脱
炭酸塔2に返送する。
【0027】RO膜装置5の入口側でのpH調整は、シ
リカによるスケール障害を防止するために、pH3〜
6、好ましくは4〜6、さらに好ましくは4.5〜5.
5となるように行う。脱炭酸処理して得られる脱炭酸処
理水は、脱炭酸処理前に比較してpHが変動する。この
ため、この中間槽4の入口側では必要に応じてpH調整
剤として塩酸、硫酸、硝酸などの酸やNaOH、KOH
などのアルカリを添加する。RO膜装置5におけるスケ
ール障害防止の面からは、この調整pHは酸性にするこ
とが好ましいが、過度に調整pHが低いと機器や配管材
質の腐食の原因となるので、上記pH範囲とする必要が
ある。
【0028】スケール防止剤は、例えばホスホン酸系、
ポリリン酸系、ポリアクリル酸系、ポリアクリルアミド
系等のスケール防止剤を用いることができるが、有機系
のスケール防止剤はRO膜装置でのファウリングの原因
となることがあるため、ホスホン酸系、ポリリン酸系の
スケール防止剤が好適に用いられる。
【0029】通常の場合、循環冷却水には、既にスケー
ル防止剤が添加されていることから、このスケール防止
剤の添加は必ずしも必要とされないが、1〜20mg/
L程度の添加により、RO膜装置5内でのスケール生成
をより確実に防止することができ好ましい。なお、スケ
ール防止剤は、RO膜装置5の前段で添加されていれば
良く、RO膜装置5の入口部に限らず、脱炭酸塔2の入
口側又は出口側その他、その添加箇所には特に制限はな
い。
【0030】中間槽4内の水はポンプPによりRO膜
装置5に導入され、RO膜処理され、RO透過水は必要
に応じてpH調整された後、処理水として系外へ排出さ
れ、通常の場合、循環冷却水の補給水として返送され
る。
【0031】このRO膜装置5のRO膜の種類として
は、酸化剤に対し耐性のある酢酸セルロース系RO膜が
好ましく、脱塩率については85%以上、特に90%以
上のものが好ましい。脱塩率がこれよりも悪いと、脱イ
オン効率が悪く、良好な水質の処理水(透過水)を得る
ことができない。
【0032】RO膜装置5のRO濃縮水の必要量は、電
解処理装置6に送給されて電解処理される。
【0033】このRO濃縮水の塩化物イオン濃度は、ブ
ロー水の水質やRO膜装置5の脱塩性能等によっても異
なるが、一般的には、1000〜3000mg/L程度
である。従って、このような塩化物イオン濃度のRO濃
縮水を電解処理することにより、例えば、次亜塩素酸ナ
トリウム1900〜5700mg/L程度の遊離塩素含
有水を得ることができ、このような電解処理水は、スラ
イムコントロール剤として循環冷却水系に有効に利用す
ることができる。
【0034】電解処理装置6で用いる電極の材質には、
特に制限はないが、陽極としては、例えば、チタンなど
の耐食性の材料に白金、イリジウムなどの白金系元素の
単体及び/又はその酸化物を被覆した次亜塩素酸の生成
効率が良好な材質を好適に用いることができる。陰極と
しては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銀など
を用いることができるが、陰極と陽極を同一のタイプと
することもできる。また、電流の方向は特に固定する必
要はなく、電流の正負を定期的又は随意的に逆転させ、
陰極と陽極とを反転させながら電解を行うことができる
(極性変換)。この極性変換により、陰極に付着した炭
酸カルシウムなどのスケールを剥離しながら運転するこ
とができるため、電解効率の低下を防ぐことができる。
なお、この場合、両電極を同一のタイプのものとすれ
ば、一定の次亜塩素酸の発生効率が得られる。この場
合、用いる電極としては、例えば、チタンを基材とした
ものに白金やイリジウムなどを被覆したものなどが挙げ
られる。極性変換の頻度としては5〜100hr、好ま
しくは12〜24hr毎に行う。
【0035】本発明において、電解のために印加する直
流電圧に特に制限はないが、通常2〜20Vであり、好
ましくは3〜10V、3〜4Vであることがより好まし
い。印加する電圧が2V未満であると、遊離塩素の生成
効率が低下するおそれがある。印加する電圧が50Vを
超えると、人体に対して危険性が生ずるおそれがある。
本発明方法において、電解のために通電する電流値に特
に制限はないが、導入されるRO濃縮水1L/hrに対
して、0.5〜5Aであることが好ましい。
【0036】前述の如く、RO濃縮水は、十分に高い塩
化物イオン濃度を有し、従って、RO濃縮水には特に塩
化物イオンを補給することなく電解処理装置6で処理し
て十分量の遊離塩素濃度の電解処理水を得ることができ
るが、必要に応じてRO濃縮水に食塩(NaCl)等を
添加して塩化物イオン濃度を5,000〜20,000
mg/L程度にまで高めても良い。
【0037】また、電解処理に当って、RO濃縮水は特
にpH調整を行う必要はないが、生成した遊離塩素の気
中への飛散を防止するためには、pH7〜9程度に調整
しても良い。
【0038】電解処理装置6で得られる遊離塩素を含む
電解処理水は、スライムコントロール剤として循環冷却
水系に添加されるが、この電解処理水は、遊離塩素濃度
が高く、このような電解処理水を長い配管で移送するこ
とは、配管腐食等の面から好ましくない。従って、図1
に示す如く、電解処理水の取出配管をRO透過水の排出
配管に接続し、スライムコントロール剤としての必要量
の電解処理水を、RO透過水に混合して循環冷却水系に
返送するのが好ましい。
【0039】この場合、循環冷却水系への返送に当って
pH調整が必要であれば、RO透過水と混合した後pH
調整を行えば良い。
【0040】なお、ブロー水をRO膜装置で処理して得
られるRO濃縮水の全量を電解処理して循環冷却水系に
返送すると、RO膜装置で除去した塩類を再び循環冷却
水系に戻すことになり好ましくない。従って、一般的に
はブロー水をRO膜装置で処理して得られるRO濃縮水
の1/400〜1/100程度を電解処理し、例えば次
亜塩素酸ナトリウム1900〜5700mg/L程度の
遊離塩素含有水を得、これをRO透過水と共に循環冷却
水系に戻すことが好ましい。
【0041】従って、電解処理に供さない残余のRO濃
縮水は必要に応じてpH調整した後排水として系外へ排
出される。
【0042】図1に示す装置は本発明の実施の形態の一
例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図
示のものに限定されるものではない。
【0043】ブロー水への酸添加方法としては、被処理
水導入ラインやライン中に設けたラインミキサに直接或
いは、別途設けたpH調整槽に薬注ポンプ等により行う
方法などを挙げることができる。ここで使用される酸は
特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸などの
無機酸を好適に用いることができる。
【0044】酸添加後の脱炭酸処理手段としては、通常
の炭酸ガス除去手段を用いることができ、脱炭酸塔等の
他、脱気膜や曝気塔などを採用することができる。
【0045】pH調整手段としては、本実施例では脱炭
酸塔2の入口に酸添加手段を設け、脱炭酸塔2とRO膜
装置5との間にpH調整剤添加手段を設け、脱炭酸塔入
口側及びRO膜装置入口側のそれぞれで、各薬剤の添加
量を自動或いは手動によって調整することで実施してい
る。しかし、RO膜装置5の入口側のpH調整剤添加手
段を省略して、脱炭酸塔2の入口側での酸添加のみによ
り、脱炭酸塔2の入口側及びRO膜装置5の入口側のp
Hを共に上記pH範囲に収まるよう調整することも可能
である。
【0046】RO膜装置の前段のSS除去手段として
は、特に制限はなく、膜濾過装置の他、カートリッジフ
ィルタ等を用いることもできる。
【0047】このSS除去手段は、RO膜装置等の脱イ
オン処理手段の前段に設ければ良く、脱炭酸処理手段の
前でも後でも良い。図1に示す如く、脱炭酸処理手段で
ある脱炭酸塔と脱イオン処理手段であるRO膜装置との
間に設けた場合には、スケールの生成し易い循環冷却水
がそのまま流入することによる膜濾過装置等のSS除去
手段でのスケール障害の問題が解消されるという利点が
ある。
【0048】また、脱炭酸処理手段の前段にSS除去手
段を設けた場合には、膜濾過装置等のSS除去手段の逆
洗排水等として系外へ排出される水量分のpH調整剤を
節減することができると共に、pH調整前の水が導入さ
れるということから、SS除去手段の構成材料を耐酸性
のものにする必要がなくなる。
【0049】このSS除去手段は、被処理水中のSSが
少ない場合には、これを省略することができるが、通常
の場合、後段のRO膜装置の安定運転のために、これを
RO膜装置の前段側に設けてSSを除去するのが好まし
い。
【0050】なお、図1においては、冷却塔のブロー水
を原水として処理を行っているが、本発明で対象とする
被処理水はブロー水に限らず、本発明では循環冷却水系
の循環配管から循環冷却水の一部又は全部を引き抜いて
本発明に従って処理した後当該循環冷却水系に戻すよう
にしても良い。
【0051】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
【0052】実施例1 図1に示す装置により、水道水を補給水とする循環冷却
水系の冷却塔のブロー水(水質は表1に示す通り。)を
216L/hrの処理量で処理した。
【0053】各装置の仕様は次の通りであり、ブロー水
中の遊離塩素濃度が1mg/Lとなるように、ストレー
ナの前段で電解処理水の一部を添加し、更に脱炭酸塔の
入口において、HClを添加して脱炭酸塔入口での被処
理水をpH4.9±0.2に調整した。
【0054】また、RO膜処理する水には必要に応じて
NaOH等を添加してpH4.9±0.2に調整すると
共にスケール防止剤としてホスホン酸系スケール防止剤
を20mg/L添加した。
【0055】RO膜装置の透過水180L/hr及び濃
縮水36L/hrの水質は表1に示す通りであった。こ
のRO濃縮水の一部36L/hrは電解処理装置に送給
して電解処理し、残部は排水として系外へ排出した。
【0056】なお膜濾過装置は遊離塩素濃度が1.5m
g/Lになるように電解処理水を添加した清水で20分
に1回の頻度で逆洗浄を実施した。 ストレーナ :バケット型,80メッシュ 脱炭酸塔 :直径200mm,高さ2700mm 膜濾過装置 :0.2μmMF膜 RO膜装置 :4インチRO膜(脱塩率94%)1本 運転圧力=1.2〜1.5MPa 電解処理装置:クロリンエンジニアズ(株)製「電解次
亜塩素酸ナトリウム発生装置」 電圧=3.5V 電流=6.25A 陽極=Ti材(500mm×250mm、厚み3mm)
の表面にPtを担持したもの 陰極=SUS316(500mm×250mm、厚み3
mm) 極板間距離=5mm 容量=0.625m(500mm×250mm×5m
m)
【0057】
【表1】
【0058】RO透過水は循環冷却水系の補給水として
再利用可能な高水質処理水であった。
【0059】また、塩化物イオン濃度1000〜300
0mg/L、平均約1800mg/LのRO濃縮水を電
解処理装置で電解処理することにより、平均で約342
0mg/Lの次亜塩素酸ナトリウムを発生させることが
でき、この電解処理水は、循環冷却水系及び冷却水処理
装置内のスライムコントロール剤として有効に使用する
ことができた。
【0060】実施例2 実施例1において、RO濃縮水に食塩を加えて塩化物イ
オン濃度を約6000mg/Lに調整した後、電解処理
したこと以外は同様にしてブロー水の処理を行ったとこ
ろ、約11400mg/Lの次亜塩素酸ナトリウムを含
有する電解処理水を得ることができ、この電解処理水
は、循環冷却水系及び冷却水処理装置内のスライムコン
トロール剤として有効に使用することができた。
【0061】なお、実施例1,2において、電解処理装
置の極性変換を行わない場合には、数日の処理で電圧上
昇が生じたが、極性変換を行って、12hrに1回の頻
度で陽極と陰極とを交互に変換させたところ、電圧が安
定し、次亜塩素酸ナトリウム(遊離塩素)の発生も安定
することが確認された。
【0062】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の冷却水の処
理方法及び処理装置によれば、循環冷却水のブロー水を
RO膜装置で処理して補給水として再利用可能な処理水
を得ると共に、RO濃縮水を電解処理することにより遊
離塩素を発生させ、これをスライムコントロール剤とし
て循環冷却水系に有効利用することが可能となる。
【0063】このため、本発明によれば、冷却水の水回
収と共にスライムコントロール剤としての遊離塩素の供
給が可能となり、冷却水の有効利用を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷却水の処理方法及び処理装置の実施
の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 ストレーナ 2 脱炭酸塔 3 膜濾過装置 4 中間槽 5 RO膜装置 6 電解処理装置(電解次亜塩素酸ナトリウム発生装
置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/46 C02F 1/46 Z 9/00 502 9/00 502E 502F 502M 502Z 503 503A 504 504B 504D F28G 13/00 F28G 13/00 A Fターム(参考) 4D006 GA02 GA06 GA07 HA01 HA61 JA71 KA01 KA03 KA52 KA55 KA57 KA72 KB01 KB17 KD11 KD12 KD30 KE15R MA01 MA03 MC18 PA01 PB07 4D011 AA20 AB01 AC06 AD03 4D037 AA08 AB11 BA24 BB01 CA03 CA04 CA14 4D061 DA05 DB09 EA02 EB01 EB05 EB14 EB30 FA03 FA09 FA11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却水系の冷却水の少なくとも一部を逆
    浸透膜分離処理し、得られた濃縮水を電解処理して該冷
    却水系及び/又は逆浸透膜分離処理の前段に返送するこ
    とを特徴とする冷却水の処理方法。
  2. 【請求項2】 冷却水系の冷却水の少なくとも一部を除
    濁装置により懸濁物質除去処理した後、逆浸透膜分離処
    理し、得られた濃縮水を電解処理して、該電解処理水を
    該除濁装置の逆洗水として使用することを特徴とする冷
    却水の処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、冷却水をpH
    3〜6の条件下で脱炭酸処理した後、更にpH3〜6の
    条件下で前記逆浸透膜分離処理を行うことを特徴とする
    冷却水の処理方法。
  4. 【請求項4】 冷却水系の冷却水の少なくとも一部を逆
    浸透膜分離処理する逆浸透膜分離装置と、該逆浸透膜分
    離装置からの濃縮水を電解処理する電解処理装置と、該
    電解処理水を該冷却水系及び/又は逆浸透膜分離装置の
    前段に返送するための返送路とを備えることを特徴とす
    る冷却水の処理装置。
  5. 【請求項5】 冷却水系の冷却水の少なくとも一部を懸
    濁物質除去処理する除濁装置と、該除濁装置からの除濁
    水を逆浸透膜分離処理する逆浸透膜分離装置と、該逆浸
    透膜分離装置からの濃縮水を電解処理する電解処理装置
    と、該電解処理水で前記除濁装置を逆洗するための逆洗
    手段とを有することを特徴とする冷却水の処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5において、酸添加手段、
    脱炭酸処理手段、及び前記逆浸透膜分離装置が配設され
    ると共に、該脱炭酸処理手段及び該逆浸透膜分離装置に
    導入される水をpH3〜6に調整するためのpH調整手
    段を有することを特徴とする冷却水の処理装置。
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