JP2003275275A - 蒸気発生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】排水構造を簡素化し得ると共に湯等の有効利用
を図って経済的にも省エネルギー的にも良好な蒸気発生
装置を提供する。 【解決手段】加熱手段を有する熱交換促進部材に液体噴
出部から湯もしくは水等からなる液体を供給することに
より蒸気を発生させる蒸気発生手段と、液体噴出部から
熱交換促進部材に供給される液体の量を蒸気発生手段に
より完全にもしくは大部分が蒸気として蒸発する量に調
整する調整手段と、を備えることを特徴とする。調整手
段は、例えば熱交換促進部材の加熱手段の熱量、熱交換
促進部材の液体接触部分の形状、送風により蒸気を所定
方向に吹き出す送風ファンの風量のうちの少なくとも一
つと併行して液体の量を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば一般家庭の
浴室等に設置されて浴室内に蒸気を発生させ得る蒸気発
生装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、浴室内に設置される蒸気発生装置
としては、例えば特許第２８７１３４０号公報あるいは
特許第２７７３０１４号公報に開示されている。前者
（特許第２８７１３４０号公報）に開示の蒸気発生装置
は、吹出口と空気吸込口を有する外装体の内部に、複数
の湯噴出口を有する湯噴出管と熱交換促進部材及びファ
ンをそれぞれ配置し、湯噴出管の湯噴出口から熱交換促
進部材に湯を放散することにより蒸気を発生させ、この
蒸気をファンの回転で吹出口から吹き出すようにしたも
のである。

【０００３】そして、この蒸気発生装置１０１は、一般
的に図７に示すように、温水循環回路を有さない給湯機
１０２の給湯口１０２ａに湯噴出管１０３を配管１０４
を介して接続することによって設置される。これによ
り、湯噴出管１０３から放散される湯が、ファン１０６
の作動で熱交換促進部材１０７の平行な各薄板１０７ａ
間を通過する空気を加温加湿して温度上昇させ、この空
気の温度上昇に伴い蒸気圧差を生じさせて、湯の一部を
蒸発させて蒸気とするようになっており、この蒸気によ
って浴室内が加温加湿される。

【０００４】また、後者（特許第２７７３０１４号公
報）に開示の蒸気発生装置は、吹出口と空気吸込口が開
口する外装体の内部に、複数の湯噴出口を有する湯噴出
管と熱交換促進部材及びファンをそれぞれ配置し、湯噴
出管の湯噴出口から熱交換促進部材に湯を放散すると共
に、熱交換促進部材の薄板を連結するパイプ状の連結部
材の内部に湯を供給することにより蒸気を発生させ、こ
の蒸気をファンの回転で吹出口から吹き出すようにした
ものである。

【０００５】そして、この蒸気発生装置１０１は、一般
的に図８に示すように、温水循環回路１０２ｂを有する
給湯暖房機１０２の給湯口１０２ａに湯噴出管１０３を
配管１０４を介して接続すると共に、給湯暖房機１０２
の温水循環回路１０２ｂの出口と入口に熱交換促進部材
１０７の連結部材１０７ｂの両端を配管１０８を介して
接続することによって設置される。

【０００６】これにより、湯噴出管１０３から熱交換促
進部材１０７に放散される湯と連結部材１０７ｂを流れ
る湯との熱によって、前者の蒸気発生装置１０１と同様
に蒸気を発生させて浴室内の加温加湿が行えると共に、
湯噴出管１０３から湯を放散させずに連結部材１０７ｂ
内に温水を循環供給してファン１０６を作動させること
で、浴室内を加湿させずに加温して暖房するようになっ
ている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の蒸気発生装置１０１においては、湯噴出管１０３から
熱交換促進部材１０７の薄板１０７ａ間に放散されて下
方に流下する温度が下がった湯を、熱交換促進部材１０
７の下部に配置したドレンパン１０９で受け、このドレ
ンパン１０９に設けた排湯口から排水管１１０を介し
て、例えば浴室の排水路に排水しているため、ドレンパ
ン１０９や排水管１１０等の排水構造が必要となり、蒸
気発生装置１０１の構成が複雑化し易いという問題点を
有すると共に、湯の大部分をそのまま外部に排水するこ
とから、湯（水）の有効利用を図ることが困難であり、
経済的にも省エネルギーの面においても好ましくないと
いう問題点を有している。

【０００８】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、その目的は、排水構造を簡素化し得ると共に
湯等の有効利用を図って経済的にも省エネルギー的にも
良好な蒸気発生装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項１に記載の発明は、加熱手段を
有する熱交換促進部材に液体噴出部から湯もしくは水等
からなる液体を供給することにより蒸気を発生させる蒸
気発生手段と、前記液体噴出部から熱交換促進部材に供
給される液体の量を蒸気発生手段により完全にもしくは
大部分が蒸気として蒸発する量に調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする。

【００１０】このように構成することにより、蒸気発生
手段の液体噴出部から熱交換促進部材に放散、噴霧ある
いは滴下等の適宜の手段によって供給される湯や水等の
液体は、熱交換促進部材と接触することによってその一
部が蒸気となりファン等の回転で吹出口から吹き出され
る。この時、液体噴出部から熱交換促進部材に供給され
る液体の量が、調整手段によって蒸気発生手段で完全に
もしくはその大部分が蒸気として蒸発する量に予め調整
されることから、例えば排水構造を省略あるいは簡略化
できると共に、液体のほとんどがそのまま外部に排水さ
れることがなくなり、液体の有効利用が図れる。

【００１１】そして、前記調整手段は、請求項２に記載
の発明のように、熱交換促進部材の前記加熱手段の熱
量、熱交換促進部材の液体接触部分の形状、送風により
蒸気を所定方向に吹き出す送風ファンの風量のうちの少
なくとも一つと併行して液体の量を調整することが好ま
しい。このように構成することにより、液体の量が調整
手段で調整されつつ、これと併行して例えば熱交換促進
部材の加熱手段の熱量等が調整されることから、放散等
される液体の例えば完全な蒸発状態が容易に得られる。

【００１２】また、前記蒸気発生手段は、請求項３に記
載の発明のように、熱交換促進部材の下部に該熱交換促
進部材に接触しつつ流下した液体を回収するドレンパン
を有すると共に、該ドレンパン内に回収された液体を蒸
発させる液体蒸発手段を有することが好ましく、この場
合、請求項４に記載の発明のように、前記液体蒸発手段
がドレンパンを加熱することにより内部の液体を蒸発さ
せるドレンパン加熱手段であることが好ましい。

【００１３】このように構成することにより、熱交換促
進部材の下部にドレンパンが配置されることから、調整
手段による液体の量の調整等でも蒸気として蒸発しなか
った液体をドレンパンに回収して該ドレンパンを介して
蒸発させることができ、熱交換促進部材に放散等される
液体を確実に蒸発できる。そしてこの時、ドレンパン内
に回収された液体は、ドレンパン加熱手段によるドレン
パン自体の加熱によって確実かつ容易に蒸発される。

【００１４】また、請求項５に記載の発明のように、ド
レンパンに、その検知信号よってドレンパンからの液体
のオーバーフローを防止する検知手段を設けることが好
ましい。このように構成することにより、ドレンパンに
回収された液体の量が検知手段で検知されると、例えば
ドレンパン加熱手段が作動して液体が蒸発されることか
ら、ドレンパンからの液体のオーバーフローが確実に防
止される。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図１〜図６は、本発明に係
わる蒸気発生装置の一実施例を示し、図１がその基本的
構成を示す概念図、図２がその蒸気発生手段の縦断面
図、図３が熱交換促進部材の斜視図、図４が蒸気発生手
段の浴室への設置状態を示す概略斜視図、図５が蒸気発
生装置の制御系のブロック図、図６がその動作の一例を
示すフローチャートである。

【００１６】図１において、蒸気発生装置１は、蒸気発
生手段２と、この蒸気発生手段２で使用する湯や水等の
液体Ｗの量を調整する調整手段３と、蒸気発生手段２で
使用した液体Ｗを回収して蒸発させる回収手段４と、こ
れらを制御する制御手段５と、前記蒸気発生手段２に所
定温度の湯Ｗ１を循環供給する加熱手段としての暖房手
段６等で構成されている。

【００１７】前記蒸気発生手段２は、熱交換促進部材７
と、この熱交換促進部材７に液体Ｗを放散、噴霧あるい
は滴下等の適宜の手段により供給する液体噴出部として
の、例えば液体噴出管８と、発生した蒸気等を所定方向
に送風するファン９等を有し、後述する如く液体噴出管
８から熱交換促進部材７上に放散等された液体Ｗによっ
て蒸気を発生させ、この蒸気を制御手段５の制御信号で
回転するファン９により、所定方向に送風（吹き出す）
ようになっている。

【００１８】そして、この蒸気発生手段２は、図２に示
すように、例えば金属板で箱型に形成された外装体１０
を有し、この外装体１０の傾斜した前面上部には空気吸
込口１１が形成されると共に、その下部には吹出口１２
が形成されている。また、外装体１０の内部には、空気
吸込口１１に対向して熱交換促進部材７が外装体１０の
前面と略平行に傾斜して配置されると共に、この熱交換
促進部材７の前面上端部に液体噴出管８が配置され、さ
らに熱交換促進部材７の後方側の下部にはファン９が配
置されている。なお、熱交換促進部材７の下部には、前
記回収手段４を構成するドレンパン１３が配置され、フ
ァン９の下部には吹出口１２方向に向けて吹出流路１４
が形成されている。

【００１９】また、蒸気発生手段２の前記熱交換促進部
材７は、図３に示すように、縦方向に所定間隔を有して
略平行に配置された多数枚の薄板１５と、この薄板１５
を横方向に連結する円形金属パイプからなる連結部材１
６と、この連結部材１６を支える左右一対の支持部材１
７等で構成されている。なお、薄板１５、連結部材１６
及び支持部材１７は、例えばステレンススチール、アル
ミニウム、銅等の熱伝導率の高い金属材で形成され、連
結部材１６は、１本のパイプを上部から下部に向け連続
して蛇行状に折り曲げ形成され、その両端の開口が例え
ば図３の右側に指向している。

【００２０】そして、この連結部材１６の例えば上部側
の開口は、図１に示すように、前記暖房手段６としての
給湯機の給湯口６ａに配管で接続され、下部側の開口は
給湯機の戻り口６ｂに配管で接続されている。なお、暖
房手段６は、温水循環回路２０、ポンプ２１、バーナ２
２及びリモコン２４が接続された制御回路２３等を有
し、その制御回路２３によってバーナ２２やポンプ２１
を制御することにより、制御回路２３で設定された所定
温度の湯Ｗ１を、熱交換促進部材７の連結部材１６内に
循環供給して該熱交換促進部材７を所定温度まで加熱す
るようになっている。

【００２１】また、蒸気発生手段２の液体噴出管８は、
前記連結部材１６と同様の材質からなる金属パイプによ
って形成され、その軸方向に沿った所定間隔位置には複
数の噴出口８ａ（図２参照）が下方に指向するように穿
設されている。そして、この液体噴出管８は、その噴出
口８ａから液体Ｗが熱交換促進部材７の前面上端部の薄
板１５上に放散等され得るように配置されている。

【００２２】前記ファン９は、例えばシロッコファン等
で構成され、図示しないファンモータが回転することに
より、図２の矢印イ方向に回転して、熱交換促進部材７
から発生する蒸気を矢印ハの如く吹出流路１４を介して
吹出口１２から外部に送風するようになっている。

【００２３】前記調整手段３は、図１に示すように、液
体供給源２６と、この液体供給源２６と前記液体噴出管
８の連結部８ｂとの間の配管２７途中に設けられた電磁
弁２８等を有し、電磁弁２８の開閉が制御手段５で制御
されることにより、所定量の液体Ｗを液体噴出管８に供
給するようになっている。なお、液体供給源２６として
は、液体Ｗとして湯Ｗ２を使用する場合は、前記暖房手
段６や該暖房手段６とは異なる他の給湯機等が使用さ
れ、液体Ｗとして水を使用する場合は、水道の蛇口（水
道配管）等が使用される。

【００２４】前記回収手段４は、熱交換促進部材７の下
部に配置された前記ドレンパン１３と、このドレンパン
１３を加熱するヒータ２９（ドレンパン加熱手段）と、
ドレンパン１３内の液体Ｗの水位（もしくは液体Ｗの有
無）を検知するセンサ３０（検知手段）等を有してい
る。そして、センサ３０の検知信号に基づいて、制御手
段５の制御信号でヒータ２９が作動することにより、ド
レンパン１３が加熱されてその内部に回収された液体Ｗ
が蒸発し、ドレンパン１３内に回収された液体Ｗのオー
バーフローが防止されるようになっている。

【００２５】前記制御手段５は、図１及び図５に示すよ
うに、マイコン等を有する制御回路３１と電源回路３２
及びリモコン３３等を備え、制御回路３１の入力側に
は、前記センサ３０及び蒸気発生手段２が設置される例
えば浴室４１内の室温を検知する室温センサ３４等のセ
ンサ群が接続されると共に、有線もしくは無線で操作可
能な前記リモコン３３が接続され、また、制御回路３１
の出力側には前記ファン９、電磁弁２８、ヒータ２９等
が接続されている。

【００２６】また、蒸気発生手段２の制御回路３１は、
暖房手段６の制御回路２３と、例えば双方向通信回線３
５によって電気的に接続されると共に、蒸気発生手段２
の電源回路３２が暖房手段６の電源回路３６から電力を
供給され得るよう接続されている。これにより、蒸気発
生手段２のリモコン３３で暖房手段６の電源のオン・オ
フ操作や各種の運転操作等が可能になると共に、暖房手
段６のリモコン２４でも蒸気発生手段２の電源のオン・
オフや各種の運転操作が可能になるように構成されてい
る。

【００２７】なお、蒸気発生手段２と暖房手段６の各制
御回路３１、２３の接続構造はこの例に限らず、それぞ
れ個別に配置して個別に操作することもできるし、図５
の二点鎖線で示すように、電源回路３２、３６のみを蒸
気発生手段２と暖房手段２とで共用する接続構造を採用
することもできる。

【００２８】そして、この蒸気発生手段２は、図４に示
すように、例えばユニットバスルーム等の浴室４１の洗
い場４６のカウンタ４７内部に設置される。この場合の
浴室４１は、壁パネル４８と天井パネル４９等によって
略箱状に形成され、内部の防水パン上にはバスタブ５０
が設置されると共に洗い場４６が設けられ、この洗い場
４６の壁パネル４８側に前記カウンタ４７が設けられ、
また天井パネル４９には浴室換気扇５１が設けられてい
る。

【００２９】また、図２に示すように、上面壁４７ａと
前面壁４７ｂからなるカウンタ４７の前面壁４７ｂは、
その上部に空気導入口５２が形成された状態で取付金具
５３等によって上面壁４７ａに取り付けられると共に、
その下部には蒸気発生手段２の前記吹出口１２に対応し
た吹出口５４が設けられている。この空気導入口５２か
ら矢印ニの如くカウンタ４７内部に導入された空気が、
蒸気発生手段２の空気吸込口１１から該手段２内に矢印
ロの如く吸い込まれ、またファン９によって送風された
蒸気が吹出口１２及び吹出口５４から矢印ハの如く洗い
場４６内に吹き出されるようになっている。

【００３０】なお、蒸気発生手段２のカウンタ４７への
配置構造はこの例に限定されず、前記取付金具５３等を
使用することなく、例えば上面壁４７ａと前面壁４７ｂ
が一体成形されたカウンタ４７の、前面壁４７ｂの所定
位置に空気導入口５２を形成し、この空気導入口５２後
方のカウンタ４７の内部に蒸気発生手段２を配置するこ
ともできるし、蒸気発生手段２を浴槽エプロン５７（図
４参照）の内部に配置する等、他の適宜の配置構造を採
用することができる。

【００３１】次に、この蒸気発生装置１の動作の一例を
図６のフローチャートに基づいて説明する。なお、この
フローチャートは前記制御回路３１のマイコン等に予め
記憶されたプログラムによって自動的に実行される。先
ず、プログラムが開始（Ｓ１０１）されると、前記リモ
コン３３に設けられた例えば暖房スイッチ等の蒸気発生
手段２を所定の状態で作動させ得る運転スイッチ（Ｓ
Ｗ）がオンしたか否かが判断（Ｓ１０２）されて、この
判断Ｓ１０２は「ＹＥＳ」になるまで繰り返される。

【００３２】そして、入浴者が蒸気発生手段２を作動さ
せて加温加湿状態で入浴しようとして例えば暖房ＳＷを
オンすると、判断Ｓ１０２で「ＹＥＳ」となり、調整手
段３から蒸気発生手段２の液体噴出管８に供給される液
体Ｗ（以下、湯Ｗ２とする）の量（給湯量）が設定（Ｓ
１０３）される。この給湯量の設定は、制御回路３１に
入力される例えば運転スイッチの種類（暖房、サウナ、
乾燥等）や設定温度信号に基づいて、制御回路３１が予
め記憶しているテーブル等によって行うものであり、こ
れにより液体噴出管８から放散等される湯Ｗ２が略完全
に蒸発される量に設定される。

【００３３】給湯量が設定されると、制御回路３１の制
御信号により暖房手段６を作動させて所定温度の湯Ｗ１
を連結部材１６内に所定時間Ｔ循環供給（Ｓ１０４）
し、その後、制御回路３１の制御信号により電磁弁２８
を開動作させて液体供給源２６から配管２７を介して液
体噴出管８に湯Ｗ２を供給（Ｓ１０５）する。この時の
湯Ｗ１の循環供給Ｓ１０４は、先ず暖房手段６を作動さ
せて、その制御回路２３により温水循環回路２０の湯を
所定温度の湯Ｗ１に設定すると共にポンプ２１を作動さ
せ、熱交換促進部材７の連結部材１６内に湯Ｗ１を循環
させることによって行い、これにより熱交換促進部材７
が加熱される。

【００３４】また、湯Ｗ２の供給Ｓ１０５は、制御回路
３１の制御信号により例えば電磁弁２８の開度（もしく
はパルスデューティ比等）を前記ステップＳ１０３で設
定した所定の供給量が得られるように設定することで行
われ、これにより、所定量の湯Ｗ２が液体噴出管８に供
給されてその噴出口８ａから下方に、すなわち熱交換促
進部材７の上部に放散等される。なお、ステップＳ１０
４における湯Ｗ１の供給とステップＳ１０５における湯
Ｗ２の供給タイミングあるいはステップＳ１０３におけ
る設定量は、蒸気発生に使用される液体Ｗの種類等によ
って異なり、例えば液体Ｗとして水が使用される場合
は、湯Ｗ２に比較して、湯Ｗ１の循環時間を長くしたり
水の供給量自体が少なく設定される。

【００３５】この湯循環供給Ｓ１０４と湯の供給Ｓ１０
５により、暖房手段６で加熱された例えば８０℃以上の
湯Ｗ１が、熱交換促進部材７の連結部材１６内に所定時
間供給されて、該連結部材１６の温度が所定温度まで上
昇させられると共に、熱交換促進部材７の連結部材１６
内に湯Ｗ１が循環することにより、連結部材１６及び薄
板１５の温度が上昇し、その温度によって液体噴出管８
から薄板１５上に放散等される湯Ｗ２の温度も上昇す
る。

【００３６】そして、これらの熱交換促進部材７や薄板
１５及び湯Ｗ２の温度上昇と、例えば前記所定時間Ｔ後
の制御回路３１の制御信号によるファン９の回転で、次
のようにして蒸気が発生する。すなわち、ファン９の回
転により、カウンタ４７の前面壁４７ｂの空気導入口５
２からカウンタ４７内部に導入された浴室４１内の空気
が、蒸気発生手段２の外装体１０の空気吸込口１１から
吸い込まれ、これが熱交換促進部材７の薄板１５間を通
過する。

【００３７】この各薄板１５間を通過する前記空気は、
温度上昇された薄板１５上に液体噴出管８から放散等さ
れ下方に流下する湯Ｗ２によって加湿されてその温度が
上昇し、この空気の温度上昇に伴い蒸気圧差が生じるこ
とで、放散等された湯Ｗ２が蒸発して蒸気が発生する。
この時、前記ステップＳ１０３で液体噴出管８から放散
等される湯Ｗ２の量が所定量に予め設定されていること
から、熱交換促進部材７上に放散等される湯Ｗ２がほと
んど蒸気となって蒸発し、熱交換促進部材７の下部のド
レンパン１３内に回収される湯Ｗ２はゼロか極めて微量
となる。

【００３８】このようにして蒸気が発生すると、制御回
路３１によりセンサ３０の検知信号が読み込まれて（Ｓ
１０６）、ドレンパン１３内の水位が所定水位か否かが
判断（Ｓ１０７）される。そして、この判断Ｓ１０７で
「ＹＥＳ」の場合、すなわち液体噴出管８から放散等さ
れた湯Ｗ２の一部が蒸発せずに熱交換促進部材７の薄板
１５に沿って流下してドレンパン１３内に所定量回収さ
れた場合は、前記ヒータ２９に作動信号を出力して該ヒ
ータ２９を所定時間作動（Ｓ１０８）させる。

【００３９】このヒータ２９の作動により、ドレンパン
１３自体が所定温度まで加熱されて、その内部の湯Ｗ２
が蒸発する。なお、ステップＳ１０６のセンサ３０によ
る検知は、水位に限らず湯Ｗ２（水）の有無を検知し
て、湯Ｗ２がある場合にヒータ２９を作動させることも
できる。この場合は、蒸発されない湯Ｗ２がドレンパン
１３内に回収された時点で即ヒータ２９が作動すること
から、少ない量の湯Ｗ２の蒸発で良く、極めて短時間に
蒸発できることになる。

【００４０】一方、判断Ｓ１０７で「ＮＯ」の場合、す
なわち液体噴出管８から放散等される湯Ｗ２が略完全に
蒸発してドレンパン１３内に所定量の湯Ｗ２が回収され
ない場合（もしくはステップＳ１０８が実行された場
合）は、前記運転スイッチがオフしたか否かが判断（Ｓ
１０９）される。この判断Ｓ１０９で「ＮＯ」の場合
は、ステップＳ１０６に戻って再び水位を検知し、その
検知結果に基づいてヒータ２９を作動させるステップＳ
１０６〜Ｓ１０９を実行する。つまり、液体噴出管８に
湯Ｗ２が供給されている間、すなわち液体噴出管８から
湯Ｗ２が放散等されている間は、ドレンパン１３内の湯
Ｗ２の量が逐次検知されて、必要に応じたヒータ２９の
作動で回収された湯Ｗ２が蒸発される。これによりドレ
ンパン１３からの湯Ｗ２のオーバーフローが確実に防止
されることになる。

【００４１】なお、前記ステップＳ１０５以降で蒸気が
発生すると、この蒸気は、回転しているファン９による
送風で、吹出流路１４から吹出口１２と吹出口５４を介
して浴室４１の洗い場４６内に吹き出されて、浴室４１
内が加湿された空気（蒸気）で暖房される。この浴室４
１の暖房（蒸気発生）時に、浴室４１内の温度が前記室
温センサ３４で検知され、この検知された室温を予め制
御回路３１に記憶してある基準温度と比較して、例えば
調整手段３の湯Ｗ２の温度調整、該手段３の電磁弁２８
や暖房手段６のポンプ２１等のオン・オフ制御によっ
て、浴室４１内の温度が所定温度に維持される。

【００４２】そして、入浴者が浴室４１から出ようとし
て運転スイッチをオフすると、判断Ｓ１０９で「ＹＥ
Ｓ」となり、停止処理（Ｓ１１０）を行い、その後一連
のプログラムを終了（Ｓ１１１）する。この時の停止処
理Ｓ１１０は、例えば、先ず電磁弁２８を閉状態とし
て、液体噴出管８への湯Ｗ２の供給を停止すると共にフ
ァン９の作動を停止させ、次に暖房手段６のポンプ２
１、バーナ２２等をオフして停止状態とすることによっ
て行う。

【００４３】このように、上記実施例の蒸気発生装置１
にあっては、調整手段３によって液体噴出管８から熱交
換促進部材７上に放散等される湯Ｗ２の量が、蒸気発生
手段２により完全にもしくは大部分が蒸発する量に予め
設定されるため、放散等される湯Ｗ２を回収して外部に
排水する従来のような排水構造を省略あるいは排水構造
を極めて簡略化することができ、蒸気発生装置１の構成
の簡略化と低価格化を図ることができると共に、蒸気発
生に使用される湯Ｗ２を従来のようにほとんどそのまま
外部に排水することなくなり、その量を必要最低限に設
定でき、湯Ｗ２が有効利用されて一般家庭等において水
道料金の低減化が図れる等、経済的にも省エネルギー的
にも良好な蒸気発生装置１が得られる。

【００４４】また、熱交換促進部材７の下部にドレンパ
ン１３を配置すると共に、このドレンパン１３を加熱す
るヒータ２９を配置しているため、例えば蒸気発生手段
２で完全に蒸発されずに熱交換促進部材７に沿って下方
に流化した湯Ｗ２をドレンパン１３で回収してヒータ２
９の作動で蒸発させることができ、湯Ｗ２の外部への漏
出等を確実に防止できる。特にドレンパン１３に水位を
検知するセンサ３０を配置しているため、このセンサ３
０の検知信号でドレンパン１３からの湯Ｗのオーバーフ
ローを確実に防止でき、湯Ｗ２の量に気を使うことなく
例えばリモコン３３の各種運転スイッチに対応した湯Ｗ
２の量に容易に調整できて、加湿する暖房、加湿しない
暖房等の所望の運転が可能になり、使い勝手に優れた蒸
気発生装置１を得ることができる。

【００４５】さらに、液体噴出管８に液体供給源２６と
配管２７及び電磁弁２８を接続し、電磁弁２８の例えば
開度やオン・オフ等を調整することで放散等される湯Ｗ
２の量を所定量に設定できるため、調整手段３の構成を
簡略化することができると共に、その制御も簡単に行う
ことができて、一層安価な蒸気発生装置１を提供するこ
とが可能になる。また、液体供給源２６として給湯機は
勿論のこと水道源等を使用することができるため、蒸気
発生用の液体Ｗの使用範囲の拡大が図れて、例えば家庭
状態等に応じた各種の設置状態にも容易に対応できる
等、汎用性に優れた蒸気発生装置１を得ることができ
る。

【００４６】またさらに、蒸気発生手段２や調整手段３
等を制御する制御回路３１と、蒸気発生手段２の連結部
材１６に湯Ｗ１を供給する暖房手段６の制御回路２３と
が双方向通信回線３５によって接続されているため、例
えば制御回路３１で暖房手段６を制御することができ
て、制御自体の重複を省いてその構成の簡略化を図り、
蒸気発生装置１を一層コスト安価に形成することができ
ると共に、例えば蒸気発生手段２の電源を暖房手段６か
ら配線すること等により、配線構造の簡素化を図ったり
蒸気発生装置１の使い勝手の一層の向上を図ることが可
能になる。

【００４７】なお、上記実施例においては、調整手段３
の電磁弁２８の制御のみによって湯Ｗ２の量を調整した
が、本発明はこれに限定されるものでもなく、例えば前
記調整手段３を、熱交換促進部材７の加熱手段の熱量、
熱交換促進部材７の面積・高さ、あるいはファン９によ
る風量等の少なくとも一つと併行して制御することもで
きる。すなわち、暖房手段６の熱量の増減制御と電磁弁
２８の開閉制御を同時に行うことで、液体噴出管８から
放散等される湯Ｗ２の量を完全に蒸発できる量に設定す
る。

【００４８】また、熱交換促進部材７の例えば薄板１５
の面積や高さ等を適宜に設定して、湯Ｗ２のこれらに対
する接触面積や接触時間を調整手段３の制御と併行して
制御することで、湯Ｗ２の量を所定に制御することもで
きるし、ファン９による風量の増減により蒸気の発生量
が変化することから、この風量と調整手段３による湯Ｗ
２の量とを併行して行うことで、湯Ｗ２の量を所定に制
御することもできる。

【００４９】また、上記実施例においては、熱交換促進
部材７の下部に回収手段４としてのドレンパン１３等を
配置したが、調整手段３による調整で放散等される湯Ｗ
２が完全に蒸発される場合は、ドレンパン１３等の回収
手段４を省略することもでき、この場合は、蒸気発生装
置１の構成が一層簡素化されることになる。さらに、上
記実施例においては、ドレンパン加熱手段としてヒータ
２９を用いたが、誘導加熱器等の加熱手段を採用するこ
ともできるし、調整手段３の電磁弁２８も配管２７内の
流量を調整し得る適宜の電磁弁を使用することができ
る。

【００５０】また、上記実施例における浴室４１の形態
や、蒸気発生手段２の外装体１０の形状、熱交換促進部
材７自体の形状や液体噴出管８の配置関係等は一例であ
って、例えば液体噴出部として複数のノズル形式を採用
し、これをその前面が略垂直に配置された熱交換促進部
材７の上部に所定距離隔てて配置したり、熱交換促進部
材７の形状を比較的幅の狭い横長や縦長に形成する等、
本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において
適宜に変更することができる。

【００５１】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１に記載の
発明によれば、液体噴出部から熱交換促進部材に供給さ
れて蒸気を発生させる湯や水等の液体の量が、調整手段
によって蒸気発生手段で完全にもしくはその大部分が蒸
気として蒸発する量に予め調整されるため、例えば排水
構造を省略あるいは簡略化することができる等、蒸気発
生装置の構成の簡略化を図ることができると共に、液体
をほとんどそのまま外部に排水することがなくなり、液
体の有効利用を図ることができて、経済的にも省エネル
ギー的にも良好な蒸気発生装置を得ることができる。

【００５２】また、請求項２に記載の発明によれば、請
求項１に記載の発明の効果に加え、液体の量が調整手段
で調整されつつ、これと併行して例えば熱交換促進部材
の加熱手段の熱量等が調整されるため、熱交換促進部材
上に放散等される液体の例えば完全な蒸発状態を容易に
得ることができる。

【００５３】また、請求項３に記載の発明によれば、請
求項１または２に記載の発明の効果に加え、熱交換促進
部材の下部にドレンパンが配置されるため、調整手段に
よる液体の量の調整等でも蒸気として蒸発しなかった液
体をドレンパンに回収して該ドレンパンを介して蒸発さ
せることができ、熱交換促進部材に放散等される液体を
確実に略完全に蒸発させることができる。

【００５４】また、請求項４に記載の発明によれば、請
求項３に記載の発明の効果に加え、ドレンパン加熱手段
でドレンパンを加熱することによりその内部の液体が蒸
発されるため、ドレンパン内に回収された液体を確実か
つ容易に蒸発させることができる。

【００５５】また、請求項５に記載の発明によれば、請
求項３または４に記載の発明の効果に加え、ドレンパン
に回収された液体の量が検知手段で検知され、この検知
手段の検知信号に基づいて例えばドレンパン加熱手段が
作動して液体が蒸発されるため、ドレンパンからの液体
のオーバーフローを確実に防止できる等の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる蒸気発生装置の一実施例の基本
的構成を示す概念図

【図２】同その蒸気発生手段の縦断面図

【図３】同その熱交換促進部材の斜視図

【図４】同蒸気発生手段の浴室への設置状態を示す斜視
図

【図５】同蒸気発生装置の制御系のブロック図

【図６】同その動作の一例を示すフローチャート

【図７】従来の蒸気発生装置の使用形態を示す概念図

【図８】従来の蒸気発生装置の他の使用形態を示す概念
図

【符号の説明】

１・・・・・・・・・蒸気発生装置 ２・・・・・・・・・蒸気発生手段 ３・・・・・・・・・調整手段 ４・・・・・・・・・回収手段 ５・・・・・・・・・制御手段 ６・・・・・・・・・暖房手段 ７・・・・・・・・・熱交換促進部材 ８・・・・・・・・・液体噴出管 ８ａ・・・・・・・・噴出口 ９・・・・・・・・・ファン １１・・・・・・・・空気吸込口 １２・・・・・・・・吹出口 １３・・・・・・・・ドレンパン １５・・・・・・・・薄板 １６・・・・・・・・連結部材 ２０・・・・・・・・湯循環回路 ２１・・・・・・・・ポンプ ２３・・・・・・・・制御回路 ２６・・・・・・・・液体供給源 ２７・・・・・・・・配管 ２８・・・・・・・・電磁弁 ２９・・・・・・・・ヒータ ３０・・・・・・・・センサ ３１・・・・・・・・制御回路 ３３・・・・・・・・リモコン ４１・・・・・・・・浴室 Ｗ・・・・・・・・・液体 Ｗ１、Ｗ２・・・・・湯

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 雅仁 静岡県浜松市西山町1370番地 ヤマハリビ ングテック株式会社内 Ｆターム(参考） 2D032 GA00 4C094 AA01 BA15 BA23 BA24 DD08 EE02 EE05 EE09 EE17 EE20 EE36 FF09 GG13 GG16

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】加熱手段を有する熱交換促進部材に液体噴
   出部から湯もしくは水等からなる液体を供給することに
   より蒸気を発生させる蒸気発生手段と、前記液体噴出部
   から熱交換促進部材に供給される液体の量を蒸気発生手
   段により完全にもしくは大部分が蒸気として蒸発する量
   に調整する調整手段と、を備えることを特徴とする蒸気
   発生装置。
2. 【請求項２】前記調整手段は、熱交換促進部材の前記加
   熱手段の熱量、熱交換促進部材の液体接触部分の形状、
   送風により蒸気を所定方向に吹き出す送風ファンの風量
   のうちの少なくとも一つと併行して液体の量を調整する
   ことを特徴とする請求項１に記載の蒸気発生装置。
3. 【請求項３】前記蒸気発生手段は、熱交換促進部材の下
   部に該熱交換促進部材に接触しつつ流下した液体を回収
   するドレンパンを有すると共に、該ドレンパン内に回収
   された液体を蒸発させる液体蒸発手段を有することを特
   徴とする請求項１または２に記載の蒸気発生装置。
4. 【請求項４】前記液体蒸発手段が、ドレンパンを加熱す
   ることにより内部の液体を蒸発させるドレンパン加熱手
   段であることを特徴とする請求項３に記載の蒸気発生装
   置。
5. 【請求項５】前記ドレンパンに、その検知信号によって
   ドレンパンからの液体のオーバーフローを防止する検知
   手段を設けたことを特徴とする請求項３または４に記載
   の蒸気発生装置。