JP2003271165A - 音場再生装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

音場再生装置、プログラム及び記録媒体

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JP2003271165A JP2002069094A JP2002069094A JP2003271165A JP 2003271165 A JP2003271165 A JP 2003271165A JP 2002069094 A JP2002069094 A JP 2002069094A JP 2002069094 A JP2002069094 A JP 2002069094A JP 2003271165 A JP2003271165 A JP 2003271165A
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清人 黒岩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 畳み込み演算量を減らしても原音場の再現性
に優れ、自然な残響特性を有する音響信号を生成するこ
とができる音場再生装置、その音響信号処理を行うため
のプログラム及びこのプログラムを記憶した記録媒体を
提供する。 【解決手段】 エフェクタは、最初から所定時間までの
第1インパルス応答データを畳み込み演算する畳み込み
演算部121と、該所定時間以降のインパルス応答の一
部に対応する第2インパルス応答データを畳み込み演算
する畳み込み演算部122と、音響信号S3bに基づき
残響音を生成する残響音生成部127とを備える。この
残響音生成部127は、音響信号S3bのフィードバッ
クループが形成され、該ループ内に第2インパルス応答
データの先頭部分の周波数特性と末尾部分の周波数特性
との差に対応する周波数減衰特性を有する周波数特性整
合フィルタ134と、音響信号S3bの位相を拡散させ
る拡散フィルタ135を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホールなどの音場
を再生する音響信号を生成する音場再生装置、この音響
信号を生成する音響信号処理を行うためのプログラム及
びこのプログラムを記憶した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ホールなどの原音場のインパルス応答を
実測または音響CADによる音響シミュレーションによ
って予め取得しておけば、このインパルス応答と音響信
号との畳み込み演算によって、その原音場の該音響信号
に対する応答(以下、「再生信号」という。)を計算す
ることができる。この技術は、様々なオーディオ再生装
置に適用され、各家庭でコンサートホールの音場を再現
したり、野外コンサートで所望の屋内ホールの音響効果
を再現するためなどに利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、インパルス
応答を全て畳み込み演算に使用する方式(全畳み込み方
式)は、原音場を忠実に再現できるという利点がある
が、畳み込み演算を行うFIRフィルタ(非巡回形フィ
ルタ)のタップ数がインパルス応答の長さに比例して多
くなってしまうため、回路規模が膨大になってしまうと
いう欠点がある。
【0004】一方、回路規模を小さくするために、イン
パルス応答の最初部分のみを畳み込み演算に使用して再
生信号の一部を生成し、再生信号の残りの部分はインパ
ルス応答とは無関係に生成する方式がある。しかし、こ
の方式は、再生信号の残りの部分を、CombフィルタやAL
L-PASSフィルタなどの組み合わせで生成しており、フィ
ルタ係数の調整が煩雑な問題があった。特に、最初の部
分とのつながりを自然にするためには、作業者が音を聞
きながらフィルタ係数を調整するといった手作業に近い
作業が必要になるという問題があった。
【0005】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであり、畳み込み演算量を減らしても原音場の再現
性に優れ、自然な残響特性を有する音響信号を生成する
ことができる音場再生装置、その音響信号処理を行うた
めのプログラム及びこのプログラムを記憶した記録媒体
を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、ある音場のインパルス応
答を用いて該音場を再生する音場再生装置において、再
生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応答
のうち一部の時間範囲の応答に対応するインパルス応答
データを畳み込み演算する畳み込み演算手段と、前記畳
み込み演算手段の出力信号に基づき残響音を生成する残
響音生成手段とを備え、前記残響音生成手段は、前記畳
み込み演算手段の出力信号のフィードバックループが形
成され、該ループ内に、該インパルス応答データの先頭
部分の周波数特性と末尾部分の周波数特性との差に対応
する減衰特性を有する周波数特性整合フィルタを有する
ことを特徴としている。この構成によれば、再生しよう
とする音響信号に対して、ある音場のインパルス応答の
一部の時間範囲の応答に対応するインパルス応答データ
を畳み込み演算するので、該インパルス応答の一部を再
現した音響信号を生成することができる。そして、残響
音生成手段は、この生成した音響信号に基づき残響音を
生成するので、一部の応答に対応するインパルス応答デ
ータだけで残響音を生成でき、畳み込み演算量を低減す
ることができる。このとき、残響音生成手段において
は、畳み込み演算手段により生成された音響信号がフィ
ードバックループ内で周波数特性整合フィルタを通過す
ることによって、一巡回前の音響信号の末尾部分の周波
数特性と一巡回後の音響信号の先頭部分の周波数特性を
揃えることができる。これにより、一巡回前の音響信号
と一巡回後の音響信号のつなぎ目の周波数特性差を低減
し、音響信号のつながりを自然にすることができる。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の音場再生装置において、前記残響音生成手段
は、該ループ内に、前記畳み込み演算手段の出力信号を
減衰させる減衰手段と、前記出力信号の先頭部分が、一
巡回前の該出力信号の末尾とつながるように、前記出力
信号を遅延させる遅延手段とをさらに有することを特徴
としている。この構成によれば、減衰手段によってルー
プ内の出力信号(音響信号)の減衰量を実際のインパル
ス応答の減衰量と同等にすることができ、遅延手段によ
って一巡回後の出力信号を遅延させることによって一巡
回前の出力信号の後ろにつなげることが可能となる。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
または2に記載の音場再生装置において、前記残響音生
成手段は、該ループ内に、前記畳み込み演算手段の出力
信号の位相を拡散させる拡散フィルタをさらに有するこ
とを特徴としている。この構成によれば、拡散フィルタ
によりループ内の出力信号に含まれる反射音の数を級数
的に増加させることができるので、実際の残響音と同等
の残響密度を再現することができる。
【0009】また、請求項4に記載の発明は、請求項2
に記載の音場再生装置において、前記減衰手段の減衰量
は、前記ある音場のインパルス応答の減衰量に対応する
値に設定されることを特徴としている。この構成によれ
ば、ループ内の出力信号の減衰量が実際のインパルス応
答の減衰量と同等になり、音場の再現性が高い出力信号
(音響信号)を得ることができる。
【0010】また、請求項5に記載の発明は、ある音場
のインパルス応答を用いて該音場を再生する音場再生装
置において、再生しようとする音響信号に対して、前記
インパルス応答のうち最初から所定時間までの応答に対
応する第1のインパルス応答データを畳み込み演算する
第1の畳み込み演算手段と、再生しようとする音響信号
に対して、前記インパルス応答のうち前記所定時間以降
の一部の応答に対応する第2のインパルス応答データを
畳み込み演算する第2の畳み込み演算手段と、前記第1
の畳み込み演算手段の出力信号と、前記第2の畳み込み
演算手段の出力信号をつなげる第1の合成手段と、前記
第2の畳み込み演算手段の出力信号に基づき残響音を生
成する残響音生成手段と、前記合成手段の出力信号と、
前記残響音生成手段の出力信号とをつなげる第2の合成
手段とを備え、前記残響音生成手段は、前記第2の畳み
込み演算手段の出力信号のフィードバックループが形成
され、該ループ内に、該第2のインパルス応答データの
先頭部分の周波数特性と末尾部分の周波数特性との差に
対応する減衰特性を有する周波数特性整合フィルタを有
することを特徴としている。この構成によれば、残響音
生成手段においては、フィードバックループ内の第2の
畳み込み演算手段により生成された音響信号が周波数特
性整合フィルタを通過することによって、一巡回前の音
響信号の末尾部分の周波数特性と一巡回後の音響信号の
先頭部分の周波数特性を揃えることができる。これによ
り、一巡回前の音響信号と一巡回後の音響信号のつなぎ
目の周波数特性の差を低減し、音響信号のつながりを自
然にすることができる。
【0011】また、請求項6に記載の発明は、ある音場
のインパルス応答を用いて該音場を再生する音場再生装
置において、再生しようとする音響信号に対して、前記
インパルス応答のうち最初から所定時間までの応答に対
応するインパルス応答データに対してフェードアウト処
理を施した第1のインパルス応答データを畳み込み演算
する第1の畳み込み演算手段と、再生しようとする音響
信号に対して、前記インパルス応答のうち前記所定時間
以降の一部の応答に対応するインパルス応答データに対
してフェードイン処理とフェードアウト処理を施した第
2のインパルス応答データを畳み込み演算する第2の畳
み込み演算手段と、前記第1の畳み込み演算手段の出力
信号と、前記第2の畳み込み演算手段の出力信号をつな
げる第1の合成手段と、前記第2の畳み込み演算手段の
出力信号に基づき残響音を生成する残響音生成手段と、
前記合成手段の出力信号と、前記残響音生成手段の出力
信号とをつなげる第2の合成手段とを備え、前記残響音
生成手段は、前記第2の畳み込み演算手段の出力信号の
フィードバックループが形成され、該ループ内に、該第
2のインパルス応答データの先頭部分の周波数特性と末
尾部分の周波数特性との差に対応する減衰特性を有する
周波数特性整合フィルタを有することを特徴としてい
る。この構成によれば、残響音生成手段においては、フ
ィードバックループ内の第2の畳み込み演算手段により
生成された音響信号が周波数特性整合フィルタを通過す
ることによって、一巡回前の音響信号の末尾部分の周波
数特性と一巡回後の音響信号の先頭部分の周波数特性を
揃えることができる。これにより、一巡回前の音響信号
と一巡回後の音響信号のつなぎ目の周波数特性差を低減
し、音響信号のつながりを自然にすることができる。ま
た、第2の畳み込み演算手段により生成された音響信号
は対応する応答をフェードイン及びフェードアウトさせ
たものとなるので、一巡回前の音響信号の末尾部分と一
巡回後の音響信号の先頭部分とが重なるように合成する
ことにより、各応答の位相ずれを目立たなくすることが
できる。
【0012】また、請求項7に記載の発明は、請求項5
または6に記載の音場再生装置において、前記残響音生
成手段は、該ループ内に、該ループ内の前記第2の畳み
込み演算手段の出力信号を減衰させる減衰手段と、一巡
回前の前記第2の畳み込み演算手段の出力信号と、一巡
回後の該出力信号とがつながるように、該出力信号を遅
延させる遅延手段とをさらに有することを特徴としてい
る。この構成によれば、減衰手段によってループ内の出
力信号(音響信号)の減衰量を実際のインパルス応答の
減衰量と同等にすることができ、遅延手段によって一巡
回後の出力信号を遅延させることによって一巡回前の出
力信号の後ろにつなげることが可能となる。
【0013】また、請求項8に記載の発明は、請求項5
乃至7のいずれかに記載の音場再生装置において、前記
残響音生成手段は、該ループ内に、前記第2の畳み込み
演算手段の出力信号の位相を拡散させる拡散フィルタを
さらに有することを特徴としている。この構成によれ
ば、拡散フィルタによりループ内の出力信号に含まれる
反射音の数を級数的に増加させることができるので、実
際の残響音と同等の残響密度を再現することができる。
【0014】また、請求項9に記載の発明は、請求項7
に記載の音場再生装置において、前記減衰手段の減衰量
は、前記ある音場のインパルス応答の前記所定時間以降
の減衰量に対応する値に設定されることを特徴としてい
る。この構成によれば、ループ内の出力信号の減衰量が
実際のインパルス応答の減衰量と同等になり、音場の再
現性が高い出力信号(音響信号)を得ることができる。
【0015】また、請求項10に記載の発明は、ある音
場のインパルス応答を用いて該音場を再生するためにコ
ンピュータを、再生しようとする音響信号に対して、前
記インパルス応答のうち一部の時間範囲の応答に対応す
るインパルス応答データを畳み込み演算する畳み込み演
算手段と、前記畳み込み演算手段の出力信号に基づき残
響音を生成する残響音生成手段として機能させ、前記残
響音生成手段は、前記畳み込み演算手段の出力信号のフ
ィードバックループを形成し、該ループ内に、該インパ
ルス応答データの先頭部分の周波数特性と末尾部分の周
波数特性との差に対応する減衰特性の周波数特性整合フ
ィルタを有する手段として機能させるためのプログラム
であることを特徴としている。この構成によれば、残響
音生成手段においては、畳み込み演算手段により生成さ
れた音響信号がフィードバックループ内で周波数特性整
合フィルタを通過することによって、一巡回前の音響信
号の末尾部分の周波数特性と一巡回後の音響信号の先頭
部分の周波数特性を揃えることができる。これにより、
一巡回前の音響信号と一巡回後の音響信号のつなぎ目の
周波数特性差を低減し、音響信号のつながりを自然にす
ることができる。
【0016】また、請求項11に記載の発明は、請求項
10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取
り可能な記録媒体であることを特徴としている。この構
成によれば、この記録媒体に記憶されたプログラムをコ
ンピュータが読み出して実行することによって、畳み込
み演算手段により生成された音響信号がフィードバック
ループ内で周波数特性整合フィルタを通過することによ
って、一巡回前の音響信号の末尾部分の周波数特性と一
巡回後の音響信号の先頭部分の周波数特性を揃えること
ができる。これにより、一巡回前の音響信号と一巡回後
の音響信号のつなぎ目の周波数特性差を低減し、音響信
号のつながりを自然にすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一
態様を示すものであり、この発明を限定するものではな
く、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0018】(1) 第1実施形態 図1は、本発明の音場再生装置の一実施例であるエフェ
クタ100の構成を示すブロック図である。このエフェ
クタ100は、ある原音場のインパルス応答IRの一部
に対応するインパルス応答IR0に基づきマイクロホン
101を介して入力した音響信号S1に所定の音響信号
処理を行うことによって、該原音場の該音響信号S1に
対する応答を再現した音響信号S4を生成する装置であ
る。なお、インパルス応答IR0は、実測のインパルス
応答から作成してもよいし、また、音響CADによる音
響シミュレーションによって作成してもよい。同図に示
すように、このエフェクタ100は、ROM(Read Onl
y Memory)102、RAM(Random Access Memory)1
03、操作部104、CPU(Central Processing Uni
t)105、表示部106、A/D(Analog / Digita
l)変換回路107、インパルス応答メモリ108、音
響処理部109、D/A(Digital / Analog)変換回路
110から構成されている。
【0019】このエフェクタ100において、ROM1
02は、上記音響信号処理を行うためのプログラムなど
の各種処理を実行するためのプログラム群を予め格納す
るメモリである。また、RAM103は、CPU105
のワーキングエリアとして使用され、音響信号処理を行
う際などに必要なデータが一時的に格納される。操作部
104は、図示しない操作スイッチが操作されたことを
検出すると、検出結果をバスBUSを介してCPU10
5に通知する。CPU105は、操作部104を介して
入力したユーザの操作に応じてROM102に記憶され
た各種プログラムを実行することにより、バスBUSを
介して接続された各部の制御を行う。表示部106は、
液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの表示制御を行
う駆動回路とから構成され、CPU105の制御の下、
各種情報を表示する。また、A/D変換回路107は、
マイクロホン101から入力したアナログ信号の音響信
号S1をディジタル信号の音響信号(以下、「ディジタ
ル音響信号」という)S2に変換して出力する。
【0020】インパルス応答メモリ108は、原音場の
インパルス応答IRの一部の時間範囲の応答IR0に対
応するインパルス応答データDI0が予め格納されてい
る。以下、このインパルス応答データDI0の時間範囲
の条件について説明する。図2のインパルス応答IRの
音圧レベルの時間減衰特性の模式図に示すように、イン
パルス応答IRの音圧レベルの減衰特性は、音圧レベル
を対数表示した場合、初期反射音にほぼ対応する範囲
と、残響音にほぼ対応する範囲とで傾きが異なる直線で
近似することができる。ここで、初期反射音とは直接音
の後に到来する低次反射音のことをいい、残響音とは初
期反射音の後に到来する高次反射音のことである。そし
て、このインパルス応答IRのうち、先頭から少なくと
も残響波形の傾きが変わった時点の経過時間t1以降の
経過時間t2までのインパルス応答IR0に対応するデ
ータがインパルス応答データDI0としてインパルス応
答メモリ108に記憶されるようになっている。
【0021】言い換えると、インパルス応答データDI
0は、聴感上音場の違いを識別し易い初期反射音の範囲
全てと、音場の違いが主に残響時間で識別される残響音
の最初部分の範囲の応答のみを抽出したデータである。
なお、初期反射音を何次の反射音までと判断するかの解
釈にもよるが、必ずしも初期反射音の範囲と、残響音の
範囲で明確に傾きが異なるとは言えない。従って、イン
パルス応答の残響波形を2つの傾きの直線で折れ線近似
した場合に、傾きが変わった時点t1以降のインパルス
応答を含むようにインパルス応答データDI0を抽出す
ればよい。また、2つの傾きの直線で近似する方法に限
らず、様々な近似曲線で2つの傾きを近似してもよい、
要は、初期反射音の範囲と残響音の一部の範囲を含む応
答をインパルス応答データDI0として使用すればよ
い。
【0022】また、以降において、このインパルス応答
データDI0のうち、インパルス応答IR0の最初から
経過時間t1以降であって経過時間t2より以前の経過
時間taまでの応答IRaのデータを第1インパルス応
答データDIaとし、経過時間taから経過時間t2ま
での応答IRbのデータを第2インパルス応答データD
Ibとして各々独立に使用されるようになっている。な
お、経過時間ta及びt2について具体的な数値を一例
として挙げると、経過時間taは0.3秒程度、経過時
間t2は0.5秒程度の値である。
【0023】図3は、インパルス応答メモリ108に格
納されたインパルス応答データDI0の内容を模式的に
示す図である。この図に示すように、インパルス応答デ
ータDI0は、インパルス応答データDI0のサンプリ
ング周期dtに対応する時間間隔で並ぶ経過時間(Ta
1〜Tam、Tb1〜Tbn)と、各経過時間における
該インパルス応答データDI0を表す係数(a1〜a
m、b1〜bn)とを対応づけたデータである。なお、
この図3においては、説明を判りやすくするために、上
述した最初から経過時間ta(=Tam)までの範囲の
第1インパルス応答データDIaのサンプリング数をm
個とし、これに対応して最初から経過時間taまでの時
間を経過時間Ta1〜Tamと表記した例を示してい
る。同様に、経過時間taから経過時間t2(Tbn)
までの範囲の第2インパルス応答データDIbのサンプ
リング数をn個とし、これに対応して経過時間taから
経過時間t2までの時間を経過時間Tb1〜Tbnと表
記した例を示している。また、経過時間の情報は省略し
て、各インパルス応答データに対応する係数だけを格納
してもよい。
【0024】音響処理部109は、CPU105の制御
の下、マイクロホン101を介して入力したディジタル
音響信号S2に対し、インパルス応答メモリ108に記
憶されたインパルス応答データDIa、DIbに基づい
て音響信号処理を施し、残響効果を付与したディジタル
音響信号S3を生成して出力する。D/A変換回路11
0は、音響処理部109から入力されるディジタル音響
信号S3をディジタルアナログ変換してアナログ音響信
号S5をアンプ111に出力する。この結果、アナログ
音響信号S5がアンプ111により増幅され、スピーカ
112から対応する音声が放音されるようになってい
る。
【0025】次に、音響処理部109について説明す
る。図4は、音響処理部109の機能構成を示すブロッ
ク図である。音響処理部109は、2つの畳み込み演算
部121及び122、加算器123及び124、遅延器
125及び126、残響音生成部127から構成されて
いる。この音響処理部109において、畳み込み演算部
121は、ディジタル音響信号S2に対し、インパルス
応答メモリ108に格納される第1インパルス応答デー
タDIaを畳み込み演算することによって、図5に示す
ように、第1インパルス応答データDIaに対応する応
答IRaを再現したディジタル音響信号S3aを生成す
る。なお、上述したように、第1インパルス応答データ
DIaのサンプリング数はm個であるため、この畳み込
み演算部121はm段の畳み込み演算処理を行うように
構成されている。
【0026】また、畳み込み演算部122は、ディジタ
ル音響信号S2に対し、インパルス応答メモリ108に
格納される第2インパルス応答データDIbを畳み込み
演算することによって、図5に示すように、第2インパ
ルス応答データDIbに対応する応答IRbを再現した
ディジタル音響信号S3bを生成する。なお、上述した
ように、第2インパルス応答データDIbのサンプリン
グ数はn個であるため、この畳み込み演算部122はn
段の畳み込み演算処理を行うように構成されている。
【0027】加算器123は、畳み込み演算部121か
ら出力されたディジタル音響信号S3aと、遅延器12
5を介して入力されるディジタル音響信号S3bとを加
算して出力する。ここで、遅延器125は、加算器12
3にてディジタル音響信号S3aの後にディジタル音響
信号S3bがつながるように、ディジタル音響信号S3
bを所定期間遅延させるために配置されている。すなわ
ち、この加算器123及び遅延器125は、ディジタル
音響信号S3aとディジタル音響信号S3bとをつなげ
る合成手段として機能するようになっている。この結
果、加算器123からは、インパルス応答データDI0
に対応する応答IR0を再現したディジタル音響信号S
3Aが出力されることとなる。
【0028】また、遅延器126は、後段の加算器12
4において、上述したディジタル音響信号S3Aの後
に、残響音生成部127から出力されたディジタル残響
音信号S3Bがつながるように、残響音生成部127に
供給されるディジタル音響信号S3bを所定期間遅延さ
せるために配置されている。
【0029】残響音生成部127は、入力したディジタ
ル音響信号S3bのフィードバックループが形成され、
該ループ内に乗算器131、加算器132、遅延器13
3、周波数特性整合フィルタ134及び拡散フィルタ1
35を備えている。この残響音生成部127において、
乗算器131は、入力したディジタル音響信号S3b及
びフィードバックされたディジタル音響信号を予め定め
た減衰量だけ減衰させて出力する。ここで、この乗算器
131の減衰量は、上述したインパルス応答IRの残響
特性のうち経過時間t2以降の減衰量に対応した値に設
定される(図2参照)。従って、この乗算器131から
は、図5に示すように、インパルス応答IRbの次の応
答IRcを再現したディジタル音響信号S3c、応答I
Rdを再現したディジタル音響信号S3d、……、応答
IRkを再現したディジタル音響信号S3k(図示せ
ず)が順次出力されることとなる。以下、入力したディ
ジタル音響信号S3bとフィードバックされたディジタ
ル音響信号S3c〜S3kを特に区別する必要がない場
合は、ディジタル音響信号S4と言う。
【0030】加算器132は、遅延器126を介して入
力したディジタル音響信号S3bと、フィードバックさ
れたディジタル音響信号S3c〜S3kとを加算して出
力する。ここで、フィードバックループ内の遅延器13
3は、加算器132にて一巡回前のディジタル音響信号
S4と、一巡回後のディジタル音響信号S4とがつなが
るように、ディジタル音響信号S4を所定期間遅延させ
るために配置されている。具体的には、遅延器133
は、図5に示すように、ディジタル音響信号S3cの先
頭部分がディジタル音響信号S3bの末尾部分とつなが
るタイミングで出力されるようにディジタル音響信号S
3cを遅延させ、同様に、ディジタル音響信号S3dの
先頭部分がディジタル音響信号S3cの末尾部分とつな
がるタイミングで出力されるようにディジタル音響信号
S3dを遅延させる。これにより、加算器132からは
ディジタル音響信号S3b、S3c〜S3kが切れ間無
く残響音のディジタル音響信号S3Bとして出力される
ようになっている。
【0031】次に、周波数特性整合フィルタ134につ
いて説明する。周波数特性整合フィルタ134は、ディ
ジタル音響信号S4の先頭部分の周波数特性と、末尾部
分の周波数特性との差に対応する周波数減衰特性を有す
るフィルタである。以下、この周波数特性整合フィルタ
134を設ける理由について説明する。
【0032】この周波数特性整合フィルタ134を使用
しない場合は、ディジタル音響信号S4の先頭部分の周
波数特性と末尾部分の周波数特性は、それぞれインパル
ス応答IRbの先頭部分と末尾部分から得られる周波数
特性が再現されることとなる。図6に示す例のように、
インパルス応答IRbの先頭部分の周波数特性と、末尾
部分の周波数特性とは一般に異なっている。このため、
フィードバックループによりディジタル音響信号S4を
減衰させながら繰り返しつなげて残響音を生成する方式
の場合、ディジタル音響信号S4の先頭部分と末尾部分
の周波数特性の違いによって、各つなぎ目において違和
感のある残響音が生成されることとなってしまう。これ
に対し、本実施形態のエフェクタ100は、周波数特性
整合フィルタ134を設けて、ディジタル音響信号S4
の巡回の度に、インパルス応答IRbの先頭部分と末尾
部分の周波数成分の差に対応する収亜hすうの減衰処理
を行っているので、一巡回後のディジタル音響信号S4
の先頭部分の周波数特性を、一巡回前のディジタル音響
信号S4の末尾部分の周波数特性と揃えることができ
る。これにより、各ディジタル音響信号S4のつなぎ目
における周波数特性の差を簡易に低減でき、聴感上つな
ぎ目を自然につなげることが可能となるのである。
【0033】なお、この周波数特性整合フィルタ134
は、対象とするディジタル音響信号S4の先頭部分と末
尾部分の周波数特性の差に対応する周波数減衰特性に応
じて、図7に示すように、ローパスフィルタ(LPF)
構成、バンドパスフィルタ(BPF)構成、ハイシェル
ビングフィルタ(HSF:High Shelving Filter)構成
などの様々な構成が適用される。なお、ハイシェルビン
グフィルタは、一般にオーディオアンプのトーンコント
ロールなどに使用されるフィルタであり、広いレンジに
わたって調整が出来るという利点を有する。
【0034】また、拡散フィルタ135は、入力信号の
位相を拡散させるフィルタであり、図8に示すように、
フィードバック前のディジタル音響信号S4に含まれる
反射音の数を級数的に増加させるために配置されてい
る。ここで、図9にこの拡散フィルタの構成の一例を示
すように、複数のオールパスフィルタ(APF)、遅延
器及び乗算器を並列に多段接続する構成などが適用され
る。このように拡散フィルタ135を設けることによ
り、ディジタル音響信号S4内の反射音の数をフィード
バックループを巡回する毎に増加させることができる。
このため、本実施形態のように、ディジタル音響信号S
4を減衰させながら繰り返しつなげて残響音を生成する
方式の場合でも、音色の繰り返し感を低減でき、さら
に、実際のインパルス応答のように高次反射音の数が時
間の経過と共に級数的に増加するという残響音特性を簡
易に再現することが可能となるのである。この結果、残
響音生成部127は、インパルス応答IRのうちインパ
ルス応答IR0以降の応答(図5参照)を再現した残響
音のディジタル音響信号S3Bを生成することが可能と
なる。
【0035】そして、この音響処理部109は、この残
響音生成部127により生成されたディジタル音響信号
S3Bと、初期反射音を含むディジタル音響信号S3A
とを加算器124にて加算して出力する。この場合、上
述したように、ディジタル残響音信号S3Bは遅延器1
26によりディジタル音響信号S3Aの後に出力される
ので、インパルス応答IRを再現したディジタル音響信
号S3を出力することが可能となる。これにより、この
エフェクタ100は、マイクロホン101を介して入力
した音響信号S1からある音場のインパルス応答IRを
再現したディジタル音響信号S3を生成でき、この音響
信号S3をD/A変換回路110でディジタルアナログ
変換することによってアナログ音響信号S5を出力する
ことができる。
【0036】以上のように、本実施形態に係るエフェク
タ100は、インパルス応答IRの一部の応答IR0に
対応するインパルス応答データDI0だけを用いてイン
パルス応答IRを再現した音響信号S5を生成すること
ができる。このため、インパルス応答IR全てのインパ
ルス応答データを使って畳み込み演算を行う方法に比し
て、畳み込み演算量を低減することが可能となり、回路
規模を小さくすることができる。
【0037】すなわち、このエフェクタ100は、一般
に残響音と呼ばれる範囲については、インパルス応答I
Rの一部の応答IRbに対応するインパルス応答データ
DIbを用いて畳み込み演算により音響信号S4を作成
し、この音響信号S4からフィードバック回路を用いて
減衰させながら繰り返しつなげることによって残りの残
響音の音響信号S3Bを生成するので、畳み込み演算回
路に比して簡易な回路で残響音の音響信号S3Bを生成
することができるのである。一方、このエフェクタ10
0は、聴感上音場の違いを識別し易い初期反射音につい
ては、対応する範囲のインパルス応答データDIaをそ
のまま畳み込み演算に使用して音響信号S3aを生成す
るので、原音場の違いを再現性高く聞き分け可能な音響
信号S5を生成することができるのである。
【0038】また、残響音の音響信号S3Bを生成する
際は、周波数特性整合フィルタ134により、一巡回後
の音響信号S4の先頭部分の周波数特性を、一巡回前の
音響信号S4の末尾部分の周波数特性に揃えるようにし
ているので、つなぎ目における周波数特性の差を低減す
ることができ、聴感上つなぎ目を目立たなくすることが
できる。さらに、このとき拡散フィルタ135により音
響信号S4に含まれる反射音の数を級数的に増加させる
ので、実際の残響音と同じ残響密度を再現することがで
きる。
【0039】従って、このエフェクタ100は、インパ
ルス応答IRの一部の応答IR0に対応するインパルス
応答データDI0だけを用いるだけで、原音場の再現性
に優れ、かつ、自然な残響音特性を有する音響信号S5
を簡易に生成することが可能である。
【0040】(2) 第2実施形態 第2実施形態に係るエフェクタ100Aが、第1実施形
態に係るエフェクタ100と大きく異なる点は、インパ
ルス応答メモリ108に記憶されるインパルス応答デー
タが、インパルス応答データDIaに対してフェードア
ウト処理を施したインパルス応答データDIafと、イ
ンパルス応答データDIbに対してフェードイン処理と
フェードアウト処理を施したインパルス応答データDI
bfである点である。このように、フェードイン処理あ
るいはフェードアウト処理を施したインパルス応答デー
タDIaf、DIbfを畳み込み演算することにより、
図10に示すように、インパルス応答IRaをフェード
アウトした応答を再現するディジタル音響信号S3a
f、インパルス応答IRb〜IRkを各々フェードイ
ン、フェードアウトした応答を各々再現するディジタル
音響信号S3bf〜S3kfを生成することができる。
【0041】また、このエフェクタ100Aにおいて
は、音響処理部109の遅延器125及び126の遅延
時間が第1実施形態の場合に比してわずかに短い時間に
設定され、各ディジタル音響信号S3af〜S3kfが
示す応答のフェードイン及びフェードアウト領域が各々
重なるように調整されている。フェードイン、フェード
アウト処理では、フェードインされたディジタル音響信
号とフェードアウトされたディジタル音響信号が時間的
に重なって加算されたときに、加算されたディジタル音
響信号のつなぎ目の音圧レベルがスムーズになるよう
に、フェードイン、フェードアウト処理のカーブが設定
される。このようにして、各ディジタル音響信号S3a
f〜S3kfが示す応答のフェードイン及びフェードア
ウト領域が各々重なるように加算することにより、図1
0に示すように、各応答の音圧レベルのつながりをスム
ーズにし、つなぎ目の位相ずれを目立たなくすることが
できる。この結果、このエフェクタ100Aは、第1実
施形態の効果に加えて、さらに原音場の再現性に優れた
自然な音響信号S5を生成することができる。
【0042】(3) 変形例 上述した各実施形態では、2つの畳み込み演算部12
1、122を備える構成としていたが、1つの畳み込み
演算部を備える構成としてもよい。この場合、その畳み
込み演算部の出力が遅延器126を経由して残響音生成
部127に供給される。このような構成をとることによ
り、より簡易な構成で、原音場の再現性に優れた自然な
音響信号S5を生成することができる。
【0043】上述した各実施形態においては、残響音生
成部127が周波数特性整合フィルタ134と拡散フィ
ルタ135の両方を具備する場合について述べたが、周
波数特性整合フィルタ134のみを具備するようにして
もよい。少なくともこの周波数特性整合フィルタ134
を用いれば、音を聞きながらフィルタ係数を調整すると
いった従来の煩雑な作業が必要なくなり、簡易に自然な
残響音を得ることが可能となる。
【0044】また、上述した各実施形態においては、イ
ンパルス応答データDIa及びDIb、あるいはDIa
f及びDIbfのサンプル数が予め定められている場合
について述べたが、各インパルス応答データDIa及び
DIb、またはDIaf及びDIbfのサンプル数をユ
ーザが任意に変更できるようにしてもよい。このような
構成にすれば、各種インパルス応答に応じて必要なイン
パルス応答データのサンプル数を調整することができ、
このエフェクタ100、100Aで様々な原音場を簡易
に再現させることができる。また、ユーザの希望通りに
原音場を再現可能な範囲で各インパルス応答データのサ
ンプル数を低減することもでき、エフェクタ100、1
00Aの演算量を低減することが可能となる。
【0045】上述した各実施形態においては、上記音響
信号処理を行うためのプログラムを予めエフェクタ10
0、100AのROM102に格納しておく場合につい
て述べたが、このプログラムを磁気記録媒体、光記録媒
体、半導体記憶媒体などのコンピュータが読み取り可能
な記録媒体に記録し、PC(Personal Computer)、P
DA(Personal Digital Assistant)などのコンピュー
タがこのプログラムを読み取って実行するようにしても
よい。この場合、上述した音響処理部109の各種処理
はコンピュータのディジタル処理によって実現すること
が可能である。また、このプログラムのインストール方
法も任意でよく、上述した記録媒体からエフェクタ10
0、100Aやコンピュータにインストールするように
してもよく、また、このプログラムを格納するサーバか
らインターネットなどのネットワーク網を介してプログ
ラムをダウンロードし、インストールするようにしても
よい。
【0046】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、原音場
のインパルス応答の一部のインパルス応答データだけを
使うことによって畳み込み演算量を減らしても、原音場
を正確に再現し、自然な残響音特性を有する音響信号を
簡易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係るエフェクタ100の構成
を示すブロック図である。
【図2】 インパルス応答IRの残響波形の模式図であ
る。
【図3】 インパルス応答データDI0の内容を模式的
に示す図である。
【図4】 音響処理部109の構成を示すブロック図で
ある。
【図5】 音響信号の生成の説明に供する図である。
【図6】 インパルス応答IRbの先頭部分の周波数特
性と末尾部分の周波数特性を示す特性曲線図である。
【図7】 周波数整合フィルタの構成例を示す図であ
る。
【図8】 拡散フィルタ135の説明に供する図であ
る。
【図9】 拡散フィルタの構成例を示す図である。
【図10】 第2実施形態に係るエフェクタ100Aの
音響信号の生成の説明に供する図である。
【符号の説明】
100、100A……エフェクタ(音場再生装置)、 101……マイクロホン、 102……ROM、 103……RAM、 104……操作部、 105……CPU、 106……表示部、 107……A/D変換回路 108……インパルス応答メモリ、 109……音響処理部、 110……D/A変換回路、 111……アンプ、 121、122……畳み込み演算部、 123、124、132……加算器、 125、126、133……遅延器、 127……残響音生成部、 131……乗算器、 134……周波数特性整合フィルタ、 135……拡散フィルタ、 DIa、DIaf……インパルス応答データ(第1のイ
ンパルス応答データ)、 DIb、DIbf……インパルス応答データ(第2のイ
ンパルス応答データ)、 S1、S2、S3a、S3b、S3A、S3B、S3、
S4、S5……音響信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 啓明 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 関根 聡 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 Fターム(参考) 5D062 AA23 AA26 5D108 AB07 AB08 AC01 5D378 JB00 JB07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ある音場のインパルス応答を用いて該音
    場を再生する音場再生装置において、 再生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応
    答のうち一部の時間範囲の応答に対応するインパルス応
    答データを畳み込み演算する畳み込み演算手段と、 前記畳み込み演算手段の出力信号に基づき残響音を生成
    する残響音生成手段とを備え、 前記残響音生成手段は、 前記畳み込み演算手段の出力信号のフィードバックルー
    プが形成され、該ループ内に、 該インパルス応答データの先頭部分の周波数特性と末尾
    部分の周波数特性との差に対応する減衰特性を有する周
    波数特性整合フィルタを有することを特徴とする音場再
    生装置。
  2. 【請求項2】 前記残響音生成手段は、該ループ内に、 前記畳み込み演算手段の出力信号を減衰させる減衰手段
    と、 前記出力信号の先頭部分が、一巡回前の該出力信号の末
    尾とつながるように、前記出力信号を遅延させる遅延手
    段とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の
    音場再生装置。
  3. 【請求項3】 前記残響音生成手段は、該ループ内に、
    前記畳み込み演算手段の出力信号の位相を拡散させる拡
    散フィルタをさらに有することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の音場再生装置。
  4. 【請求項4】 前記減衰手段の減衰量は、前記ある音場
    のインパルス応答の減衰量に対応する値に設定されるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の音場再生装置。
  5. 【請求項5】 ある音場のインパルス応答を用いて該音
    場を再生する音場再生装置において、 再生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応
    答のうち最初から所定時間までの応答に対応する第1の
    インパルス応答データを畳み込み演算する第1の畳み込
    み演算手段と、 再生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応
    答のうち前記所定時間以降の一部の応答に対応する第2
    のインパルス応答データを畳み込み演算する第2の畳み
    込み演算手段と、 前記第1の畳み込み演算手段の出力信号と、前記第2の
    畳み込み演算手段の出力信号をつなげる第1の合成手段
    と、 前記第2の畳み込み演算手段の出力信号に基づき残響音
    を生成する残響音生成手段と、 前記合成手段の出力信号と、前記残響音生成手段の出力
    信号とをつなげる第2の合成手段とを備え、 前記残響音生成手段は、 前記第2の畳み込み演算手段の出力信号のフィードバッ
    クループが形成され、該ループ内に、 該第2のインパルス応答データの先頭部分の周波数特性
    と末尾部分の周波数特性との差に対応する減衰特性を有
    する周波数特性整合フィルタを有することを特徴とする
    音場再生装置。
  6. 【請求項6】 ある音場のインパルス応答を用いて該音
    場を再生する音場再生装置において、 再生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応
    答のうち最初から所定時間までの応答に対応するインパ
    ルス応答データに対してフェードアウト処理を施した第
    1のインパルス応答データを畳み込み演算する第1の畳
    み込み演算手段と、 再生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応
    答のうち前記所定時間以降の一部の応答に対応するイン
    パルス応答データに対してフェードイン処理とフェード
    アウト処理を施した第2のインパルス応答データを畳み
    込み演算する第2の畳み込み演算手段と、 前記第1の畳み込み演算手段の出力信号と、前記第2の
    畳み込み演算手段の出力信号をつなげる第1の合成手段
    と、 前記第2の畳み込み演算手段の出力信号に基づき残響音
    を生成する残響音生成手段と、 前記合成手段の出力信号と、前記残響音生成手段の出力
    信号とをつなげる第2の合成手段とを備え、 前記残響音生成手段は、 前記第2の畳み込み演算手段の出力信号のフィードバッ
    クループが形成され、該ループ内に、 該第2のインパルス応答データの先頭部分の周波数特性
    と末尾部分の周波数特性との差に対応する減衰特性を有
    する周波数特性整合フィルタを有することを特徴とする
    音場再生装置。
  7. 【請求項7】 前記残響音生成手段は、該ループ内に、 該ループ内の前記第2の畳み込み演算手段の出力信号を
    減衰させる減衰手段と、 一巡回前の前記第2の畳み込み演算手段の出力信号と、
    一巡回後の該出力信号とがつながるように、該出力信号
    を遅延させる遅延手段とをさらに有することを特徴とす
    る請求項5または6に記載の音場再生装置。
  8. 【請求項8】 前記残響音生成手段は、該ループ内に、
    前記第2の畳み込み演算手段の出力信号の位相を拡散さ
    せる拡散フィルタをさらに有することを特徴とする請求
    項5乃至7のいずれかに記載の音場再生装置。
  9. 【請求項9】 前記減衰手段の減衰量は、前記ある音場
    のインパルス応答の前記所定時間以降の減衰量に対応す
    る値に設定されることを特徴とする請求項7に記載の音
    場再生装置。
  10. 【請求項10】 ある音場のインパルス応答を用いて該
    音場を再生するためにコンピュータを、 再生しようとする音響信号に対して、前記インパルス応
    答のうち一部の時間範囲の応答に対応するインパルス応
    答データを畳み込み演算する畳み込み演算手段と、 前記畳み込み演算手段の出力信号に基づき残響音を生成
    する残響音生成手段として機能させ、 前記残響音生成手段は、前記畳み込み演算手段の出力信
    号のフィードバックループを形成し、該ループ内に、該
    インパルス応答データの先頭部分の周波数特性と末尾部
    分の周波数特性との差に対応する減衰特性の周波数特性
    整合フィルタを有する手段として機能させるためのプロ
    グラム。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のプログラムを記録
    したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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