JP2003268318A - 被覆用水性樹脂組成物 - Google Patents

被覆用水性樹脂組成物

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JP2003268318A JP2002078783A JP2002078783A JP2003268318A JP 2003268318 A JP2003268318 A JP 2003268318A JP 2002078783 A JP2002078783 A JP 2002078783A JP 2002078783 A JP2002078783 A JP 2002078783A JP 2003268318 A JP2003268318 A JP 2003268318A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のポリオレフィンをラミネートする方法と
同等またはより優れた防湿性能を有し、かつ耐ブロッキ
ング性、離解性ともに優れた被覆用水性樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】融点が25℃以上130℃未満であり、分
子量が5万以上100万未満である結晶性水溶性化合物
を組成物の固形分に対して0.05%以上5%未満含む
防湿性付与被覆用水性樹脂組成物は防湿性能が良好であ
り、比較的湿度の高い状態に長時間保存することにより
更に防湿性が向上する。結晶性水溶性高分子化合物は、
大量の水の存在する紙製品のリサイクル工程では容易に
水溶化して離解性を損なわない。このため防湿性と離解
性が両立した性能を付与した紙製品を容易に製造するこ
とが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紙の被覆用水性樹脂
組成物に関するものであり、詳しくは改良された防湿性
を付与し、かつ古紙再生のための離解性に優れた防湿被
覆用水性樹脂組成物、およびこれらを塗工した製品の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、防湿性を要する包装紙などは
ポリオレフィンのラミネート紙が広く利用されている。
しかしこの場合、優れた防湿性を有するものの、使用後
省資源の面から古紙として再利用する際、離解性がない
ため大きな問題となっている。またリサイクル可能な離
解性の良い防湿性のコーティング剤として、塩化ビニリ
デン共重合エマルション樹脂を使用することが行なわれ
ている。しかしこれらをコーティングした紙製品は燃焼
時にダイオキシンなどの有害物質を生成する可能性が強
く、好ましいものではない。
【0003】これに対して、離解性のある防湿塗工紙を
得る被覆用樹脂組成物として、合成ゴム系ラテックス、
アクリル系エマルションなどのエマルション樹脂に水分
散性のワックス類を配合した各種の組成物が開示されて
いる(特公昭55−22597号公報、特公昭62−2
8826号公報など)。しかし、この場合、同じ厚みで
塗工されたポリオレフィンのラミネート紙と比較して、
防湿性能は同程度の値が得られるが、実際に工業的にこ
れらを生産する場合において、塗工機に適した粘度、流
動性に合わせるために各種配合物を添加すると、防湿性
能が低下したり、防湿面同志が重ね合わさった場合の耐
ブロッキング性が低下するなどの問題が発生してポリオ
レフィンのラミネート紙と比べ性能が劣るのが実情であ
る。
【0004】合成ゴム系ラテックス、アクリル系エマル
ションなどのエマルション樹脂と水分散性ワックスを使
用した組成物の防湿性を向上させ、塗工機に合わせた配
合変更を行なっても防湿性を確保できるように各種の検
討がなされている。この方法として、単純に防湿性組成
物中の水分散性ワックスを多く含有させることが有効で
ある。しかしこれらの方法はワックスの表面への移行問
題、接着性の問題、塗工層が脆弱化する問題などがあ
る。
【0005】塗工機に合わせた変成として、水溶性高分
子などの添加による増粘、流動性改良が行なわれるが、
これらは湿度の高い状態での耐ブロッキング性を低下さ
せる傾向がある。またこれらの水溶性高分子は高湿度の
条件で湿気に対して鋭敏となり水蒸気透過性を落とすた
めに極力使用量を少なくする又は非使用とするのが一般
的である。各種の無機物を混入させ防湿性とブロッキン
グ性を改良する方法も開示(特開平9−67795号公
報)されているが、防湿紙の剛性が高くなりすぎて、汎
用的に使用できない場合もある。
【0006】更に、水溶性高分子などの添加による増
粘、流動性改良を行なう場合に伴う防湿性低下を塗工時
の乾燥工程で架橋を行なわせて、耐水性即ち防湿性の低
下を回避する方法も提案されている(特開平9−268
494号公報)。しかし、現実的には耐湿ブロッキング
性が不十分であり、また塗工工程が煩雑であったり、組
成物の安定性が不良であるなどの問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、従来のポリオレフィンをラミネートする方法と同等
又はより優れた防湿性能を有し、特に、塗工機に合わせ
た増粘、流動性改良、乾燥速度の調整などを行ってもポ
リオレフィンをラミネートする方法に遜色の無い防湿性
と耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、古紙の再
利用時の離解性にも優れ、経済性にも有利な防湿被覆用
水性樹脂組成物を提供すること及びこれらの防湿被覆用
水性樹脂組成物を塗工した防湿コート製品の製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、各種合成樹
脂エマルションの防湿性改良の配合を鋭意検討した結
果、特定の結晶性水溶性高分子化合物が防湿性改良に有
効であることを見出し本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は良好な防湿性を持つ水
系エマルション樹脂を主成分とする防湿コート剤を製造
するにあたり、水系エマルション樹脂を主成分とし、防
湿性を向上させる目的で添加したワックス類、ブロッキ
ング性を改良する目的で添加した顔料類、プラスッチク
ス粒子類などからなる防湿コート剤組成物に特定の分子
量範囲の結晶性水溶性高分子化合物を添加して防湿性が
改良された防湿コート剤を製造するものである。また本
発明の被覆用水性樹脂組成物を塗工した紙製品に更に高
度に防湿性を付与する目的で本発明の被覆用水性樹脂組
成物を塗工した紙製品を特定の条件に保存することによ
り結晶性水溶性高分子化合物の結晶化を促進させ高度の
防湿性を付与する防湿コート製品の製造方法を提供する
ものである。
【0010】融点が25℃以上130℃未満であり、分
子量が5万以上100万未満である結晶性水溶性化合物
とは、水溶性を示す化学構造をもち、大量の水と混合さ
れた含水状態では、水溶液状態となる分子量範囲の高分
子であり、25℃以上130℃未満の非含水状態ではそ
の化学構造の均一性に由来する結晶化した部分を分子内
に生成する高分子化合物の総称である。更に具体的に
は、本発明の防湿性が改良された被覆用水性樹脂組成物
が紙に塗工され、水分を失う条件下で結晶性を示さず、
塗工された紙製品が冷却される工程又は保存される条件
で結晶化することが必要である。このためには本発明の
防湿性が改良された被覆用水性樹脂組成物中に含まれる
結晶性水溶性高分子化合物は25℃以上130℃未満の
融点を持つことが必須であり、40℃から100℃の融
点を持つ結晶性水溶性高分子化合物が好ましい。結晶性
水溶性高分子化合物の分子量としては5万以上100万
未満である必要がある。分子量5万未満では、多湿条件
下で容易に含水して防湿性を低下させる。一方分子量が
100万以上となるとこれらの結晶性水溶性高分子化合
物水溶液は水溶液中で他の物質を吸着する傾向が強くな
り被覆用水性樹脂組成物を凝集させるため、容易に塗工
できる水性樹脂組成物にならない。水溶性を示しかつ結
晶性を示す化学構造としては、セルロース基、ポリオキ
シエチレン構造等があり、セルロース基構造の一部を変
性したヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチレン
オキサイド及びプロピレンオキサイド等を開環重合した
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドお
よびこれらのブロック共重合物などがある。
【0011】本発明に使用する結晶性水溶性高分子化合
物として分子量5万〜100万を持つポリオキシエチレ
ンオキサイドがあげられる。ポリオキシエチレンオキサ
イド末端の水酸基の一部を変成した化合物も水酸基によ
る耐水性低下を防ぐ方法として有効である。
【0012】本発明の被覆用水性樹脂組成物に含有され
る結晶性水溶性高分子化合物の量も重要であり、0.0
5%以上5%未満であることが必須である。即ち 0.
05%未満の含有量では、結晶化による防湿性の向上は
発揮できず、また5%以上の含有量では、多湿時に容易
に吸水して防湿性の効果を大きく低下させることにな
る。特に好ましい含有量は、防湿性付与被覆用水性樹脂
組成物の組成にもよるが、被覆用水性樹脂組成物の全固
形分に対して 0.25%〜2%である。
【0013】本発明による被覆用水性樹脂組成物を紙状
薄層物に塗工した場合、防湿性を高度に向上させる又は
高度の防湿性を早期に発現させるために、塗工物を本発
明による被覆用水性樹脂組成物中の結晶性水溶性高分子
化合物が結晶化しやすい条件下に保存することが好まし
い。即ち、乾燥工程を経た塗工物は通常過度に乾燥され
ており結晶化するのに長期間を要する。しかしながら、
過乾燥された塗工物に湿度を与えることによって結晶化
を促進することができる。結晶化を促進させる条件は、
25℃以上で相対湿度60%以上の条件下で100時間
以上保存することによって容易に達成できる。本発明に
よる防湿性が改良された被覆用水性樹脂組成物を各種紙
製品に塗工し、乾燥することによって防湿性と離解性を
満足した性能を付与した紙製品が容易に得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による被覆用水性樹脂組成
物は、一般の水溶性又は水分散性の防湿性付与と同様水
分散体であることおよび高度の防湿性と良好な離解性を
併せ持つ。したがって、離解性と防湿性は両立させにく
いという従来の防湿性付与被覆用水性樹脂組成物の欠点
を解消したものである。
【0015】本発明の中で用いられる被覆用水性樹脂組
成物とは、1種以上のエマルション、ラッテクスと総称
される水分散体樹脂類を主成分とし必要に応じて高度な
防湿性を付与する目的で混合されるワックス類、ブロッ
キング性を改良するために用いる各種の添加剤等を含む
組成物を言う。これらの組成物を塗工した紙製品は、古
紙として回収された場合に容易に離解して紙原料として
再使用可能な製品となるため、ポリエチレンフィルムな
どのプラスチックス薄層をラミネートした紙製品に代替
して使用され始めている。これらの技術内容について
は、従来技術の項で各種開示した。
【0016】本発明の防湿性付与被覆用水性樹脂組成物
は、従来技術の項で述べた各種公知の防湿性付与被覆用
水性樹脂組成物に、融点が25℃以上130℃未満であ
り、分子量が5万以上100万未満である結晶性水溶性
化合物を添加して混合することによって防湿性が改良さ
れた被覆用水性樹脂組成物である。また、本発明の被覆
用水性樹脂組成物を塗工した紙製品に更に高度に防湿性
を付与する目的で本発明の被覆用水性樹脂組成物を塗工
した紙製品を特定の条件に保存することにより高度の防
湿性を付与した紙製品類を得ることができる。
【0017】防湿性付与被覆用水性樹脂組成物に、融点
が25℃以上130℃未満であり、分子量が5万以上1
00万未満である結晶性水溶性化合物を組成物の固形分
に対して0.05%以上5%未満含むように水溶液状態
で添加し、混合することによって容易に本発明の防湿性
が改良された被覆用水性樹脂組成物が得られる。
【0018】本発明による被覆用水性樹脂組成物を紙状
薄層物に塗工した場合、防湿性を高度に向上させる又は
高度の防湿性を早期に発現させるために塗工物に湿度を
付与する、具体的には少なくとも25℃以上で相対湿度
60%以上の条件下で100時間以上保存することによ
って短期間に高度の防湿性を容易に付与することができ
る。
【0019】
【実施例】本発明を実施例及び比較例に基づき具体的に
説明するが、これらにより本発明が限定されることはな
い。なお、例中の部及び%はそれぞれ重量部、重量%を
示す。
【0020】防湿性付与被覆用水性樹脂組成物の製造例
1 予め、容器にスチレン62部、2−エチルヘキシルアク
リレ−ト34.5部、メタクリル酸3.5部、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ソ−ダ0.5部および脱イオン水6
0部をとり、攪拌して乳化した。攪拌機、還流冷却器、
温度計、窒素導入管および滴下設備を備えた反応装置に
脱イオン水40部を仕込み、内温75℃まで昇温した。
予め脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム
水溶液20部を仕込み、10分間保温し、予め前記容器
で調整した乳化物を4時間かけて滴下した。この間反応
設備の内温を73〜78℃に調整して乳化重合を行っ
た。滴下終了後、同温度を80℃に昇温して2時間熟成
した後室温に冷却し、25%アンモニア水1.5部を添
加した。固形分45.6%、pH8.3、粘度130c
p、Tg17℃ 粒子径 0.25マイクロメーターの
エマルションを得た。生成したエマルション70重量部
とSBRラッテクス「DS−602」(大日本インキ社
製)30重量部、ワックスエマルジョン「EW−50
0」(パラフィンワックス、フタバファイン株式会社製)
1.5重量部を混合して汎用的な防湿性付与被覆用水性
樹脂組成物を得た。
【0021】防湿性付与被覆用水性樹脂組成物の製造例
2 予め、容器にスチレン62部、2−エチルヘキシルアク
リレ−ト34.5部、メタクリル酸3.5部、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ソ−ダ1.5部および脱イオン水6
0部をとり、攪拌して乳化した。攪拌機、還流冷却器、
温度計、窒素導入管および滴下設備を備えた反応装置に
脱イオン水40部を仕込み、内温75℃まで昇温した。
予め脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム
水溶液20部を仕込み、10分間保温し、予め前記容器
で調整した乳化物を4時間かけて滴下した。この間反応
設備の内温を73〜78℃に調整して乳化重合を行っ
た。滴下終了後、同温度を80℃に昇温して2時間熟成
した後室温に冷却し、25%アンモニア水1.5部を添
加した。固形分45.7%、pH8.4、粘度170c
p、Tg17℃ 粒子径 0.11マイクロメーターの
エマルションを得た。生成したエマルション70重量部
とSBRラッテクス「DS−602」(大日本インキ社
製)30重量部、ワックスエマルジョン「EW−50
0」(パラフィンワックス、フタバファイン株式会社製)
1.5重量部を混合して汎用的な防湿性付与被覆用水性
樹脂組成物を得た。
【0022】
【実施例1】製造例1で作成した防湿性付与被覆用水性
樹脂組成物101.5部及び結晶性水溶性高分子ポリエ
チレンオキサイド「アルコックスR−400」(融点6
5〜67℃、分子量18万〜25万、明成化学工業社
製)の5%水溶液5重量部を混合した防湿性が改良され
た被覆用水性樹脂組成物を製造した。この被覆用水性樹
脂組成物を市販のPPC紙に固形分として塗工量16g/
m2となるようにワイヤーロッドバーで手塗りし、直ちに
130℃1分間乾燥し防湿性紙を製造した。この防湿コ
ート剤が塗工された紙を防湿紙として評価した。結果を
表1に示す。
【0023】
【実施例2】実施例1における結晶性水溶性高分子ポリ
エチレンオキサイド「アルコックスR−400」に変え
て結晶性水溶性高分子ポリエチレンオキサイド「アルコ
ックスR−150」(融点65〜67℃、分子量10万
〜17万、明成化学工業社製)の5%水溶液5重量部を
混合した防湿性が改良された被覆用水性樹脂組成物を製
造した。この被覆用水性樹脂組成物を市販のPPC紙に
固形分として塗工量16g/m2となるようにワイヤーロッ
ドバーで手塗りし、直ちに130℃1分間乾燥し防湿性
紙を製造した。この防湿性紙の性能を評価し、結果を表
1に示した。
【0024】
【実施例3】実施例1における結晶性水溶性高分子ポリ
エチレンオキサイド「アルコックスR−400」に変え
て結晶性水溶性高分子ポリエチレンオキサイド「アルコ
ックス R−1000」(融点 65〜67℃ 分子量
25万〜30万 明成化学工業社製)の5%水溶液5重
量部を混合した防湿性が改良された被覆用水性樹脂組成
物を製造した。この被覆用水性樹脂組成物を市販のPP
C紙に固形分として塗工量16g/m2となるようにワイヤ
ーロッドバーで手塗りし、直ちに130℃1分間乾燥し
防湿性紙を製造した。この防湿性紙の性能を評価し、結
果を表1に示した。
【0025】
【比較例1】実施例1における結晶性水溶性高分子ポリ
エチレンオキサイド「アルコックスR−400」に変え
て水溶性高分子であるポリビニルアルコール PVA−
117((株)クラレ製品)の5%水溶液5重量部を混
合した防湿コート剤を製造した。この被覆用水性樹脂組
成物を市販のPPC紙に固形分として塗工量16g/m2
なるようにワイヤーロッドバーで手塗りし、直ちに13
0℃1分間乾燥し防湿性紙を製造した。この防湿性紙の
性能を評価し、結果を表1に示した。
【0026】
【比較例2】実施例1における結晶性水溶性高分子ポリ
エチレンオキサイド「アルコックスR−400」に変え
て結晶性水溶性高分子ポリエチレンオキサイド「アルコ
ックス E−60」(融点 65〜67℃ 分子量10
0万〜120万 明成化学工業社製)の5%水溶液5重
量部を混合した防湿コート剤を製造した。この被覆用水
性樹脂組成物は粘度が高く、凝集物を生成した。この被
覆用水性樹脂組成物を水10重量部を加えて希釈した
後、市販のPPC紙に固形分として塗工量16g/m2とな
るようにワイヤーロッドバーで手塗りし、直ちに130
℃1分間乾燥し防湿性紙を製造した。この防湿性紙の性
能を評価し、結果を表1に示した。
【0027】
【比較例3】製造例1で作成した防湿性付与被覆用水性
樹脂組成物のみを固形分として塗工量16g/m2となるよ
うにワイヤーロッドバーで手塗りし、直ちに130℃1
分間乾燥し防湿性紙を製造した。この防湿性紙の性能を
評価し、結果を表1に示した。
【0028】
【実施例4】製造例2で作成した防湿性付与被覆用水性
樹脂組成物101.5部及び結晶性水溶性高分子ポリエ
チレンオキサイド「アルコックスR−400」(融点6
5〜67℃、分子量18万〜25万、明成化学工業社
製)の5%水溶液5重量部を混合した防湿性が改良され
た被覆用水性樹脂組成物を製造した。この被覆用水性樹
脂組成物を市販のPPC紙に固形分として塗工量16g/
m2となるようにワイヤーロッドバーで手塗りし、直ちに
130℃1分間乾燥し防湿性紙を製造した。この防湿性
紙の性能を評価し、結果を表2に示した。
【0029】
【実施例5】実施例4における結晶性水溶性高分子ポリ
エチレンオキサイド「アルコックスR−400」に変え
て結晶性水溶性高分子である疎水化ポリエチレンオキサ
イド「パオゲンEP−15」(融点55〜57℃、分子
量10万〜17万、第一工業製薬社製品)の5%水溶液
5重量部を混合した防湿性が改良された被覆用水性樹脂
組成物を製造した。この被覆用水性樹脂組成物を市販の
PPC紙に固形分として塗工量16g/m2となるようにワ
イヤーロッドバーで手塗りし、直ちに130℃1分間乾
燥し防湿性紙を製造した。この防湿性紙の性能を評価
し、結果を表2に示した。
【0030】
【比較例4】実施例4における結晶性水溶性高分子ポリ
エチレンオキサイド「アルコックスR−400」に変え
て水溶性高分子であるヒドロキシエチルセルロース「ナ
トロゾールMR−500」(ハーキュレス社製品)の5
%水溶液5重量部を混合した被覆用水性樹脂組成物を製
造し実施例4と同様にして評価した。結果を表2に示し
た。
【0031】
【比較例5】製造例2で作成した防湿性付与被覆用水性
樹脂組成物のみを固形分として塗工量16g/m2となるよ
うにワイヤーロッドバーで手塗りし、直ちに130℃1
分間乾燥し防湿性紙を製造した。この防湿性紙の性能を
評価し、結果を表2に示した。
【0032】
【表1】 表ー1中の防湿性能は、ポリエチレンラミネート紙の防
湿性を1とした相対値で示し、この値が小さいほど防湿
性能が優れていることを表す。実施例1〜3に示す本発
明組成物を塗工した紙においては、その値は結晶性水溶
性高分子を含有しない組成物より小さく防湿性が良好で
あった。また25℃相対湿度60%またはこれよりも含
有水蒸気の多い状態に長時間保存することによって防湿
性が経時的に向上し、ポリエチレンラミネートフィルム
と同等もしくは優れた防湿性を示すことが明らかになっ
た。また、本発明組成物を塗工した紙の離解性について
も検討したところ、いずれも離解性は良好であった。
【0033】
【表2】 表ー2中の防湿性能は、ポリエチレンラミネート紙の防
湿性を1とした相対値で示し、この値が小さいほど防湿
性能が優れていることを表す。実施例4および5に示す
本発明組成物を塗工した紙においては、その値は結晶性
水溶性高分子を含有しない組成物より小さく防湿性が良
好であった。また25℃相対湿度60%またはこれより
も含有水蒸気の多い状態に長時間保存することによって
防湿性が経時的に向上し、ポリエチレンラミネートフィ
ルムと同等もしくは優れた防湿性を示すことが明らかに
なった。また、本発明組成物を塗工した紙の離解性につ
いても検討したところ、いずれも離解性は良好であっ
た。
【0034】試験方法および評価方法 本発明で用いた各種試験方法をまとめて記載する。
【0035】防湿性評価方法 被覆用水性樹脂組成物を市販のPPC紙に固形分として
塗工量16g/m2となるようにワイヤーロッドバーで手塗
りし、直ちに130℃1分間乾燥し防湿コート紙を製造
する。防湿コート剤が塗工された紙を5時間以内にJI
S−Z 0208に基づいた水蒸気透過性評価を行なっ
た結果を乾燥直後の防湿性とする。また25℃相対湿度
60%及び30℃相対湿度80%の恒温槽に所定時間保
存し、同様に水蒸気透過性を測定した。表中には同時に
測定した15g/mのポリエチレンフィルムをラミネ
ートした市販のポリエチラミネート紙の水蒸気透過性で
除しポリエチレンラミネート紙の防湿性を1とした相対
値で表示した。
【0036】簡易的離解性試験 塗工乾燥後25℃相対湿度60%以上に1週間以上保存
した塗工紙を2.5cm角に裁断し、この裁断された紙
10gを60℃の温水0.5リットルと共に家庭用ジュ
ースミキサーに投入して15分間撹拌混合する。前記工
程で離解された水分散液を1mmの目開きの金網の上に
置き十分な水と共に洗い流す。金網に残った紙片又はフ
ィルム片の個数又は面積を評価する。個数が50個以下
の時に離解性良好とする。
【発明の効果】融点が25℃以上130℃未満であり、
分子量が5万以上100万未満である結晶性水溶性化合
物を組成物の固形分に対して0.05%以上5%未満含
む防湿性付与被覆用水性樹脂組成物は塗工乾燥により防
湿性と離解性が両立した性能を付与した紙製品を製造す
ることができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点が25℃以上130℃未満であり、分
    子量が5万以上100万未満である結晶性水溶性化合物
    を組成物の固形分に対して0.05%以上5%未満含む
    ことを特徴とする被覆用水性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】結晶性水溶性化合物がポリエチレンオキサ
    イド鎖を持つ化合物であることを特徴とする請求項1に
    記載の被覆用水性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】結晶性水溶性化合物のポリエチレンオキサ
    イド鎖の末端の一部が疎水性基に置換されたことを特徴
    とする請求項1または2に記載の被覆用水性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の被覆用水性樹脂組成物を塗
    工した製品を、結晶化を促進させる条件下に保存して防
    湿性を向上させることを特徴とする防湿コート製品の製
    造方法。
  5. 【請求項5】結晶化を促進させる条件が、25℃以上で
    相対湿度60%以上の条件下に100時間以上保管する
    ことであることを特徴とする請求項4に記載の製造方
    法。
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