JP2003266600A - 熱可塑性エラストマー組成物多層成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物多層成形体

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JP2003266600A
JP2003266600A JP2002073829A JP2002073829A JP2003266600A JP 2003266600 A JP2003266600 A JP 2003266600A JP 2002073829 A JP2002073829 A JP 2002073829A JP 2002073829 A JP2002073829 A JP 2002073829A JP 2003266600 A JP2003266600 A JP 2003266600A
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Tatsuro Hamanaka
達郎 浜中
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面にベトツキがなく、感触が良好なオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物多層成形体を提供す
ること。 【解決手段】 下記成分(A)〜(C)を含有し、成分
(A)〜(C)の合計量100重量部に対し、成分
(A)の含有量が1〜80重量部、成分(B)の含有量
が96〜17重量部、成分(C)の含有量が3〜66重
量部である熱可塑性エラストマー組成物からなる層
(I)と、下記成分(A)〜(C)を含有し、成分
(A)〜(C)の合計量100重量部に対し、成分
(A)の含有量が1〜80重量部、成分(B)の含有量
が98〜19重量部、成分(C)の含有量が1〜64重
量部である熱可塑性エラストマー組成物からなる層(I
I)とを有し、層(I)と層(II)の鉱物油系軟化剤含
有比が1〜5である多層成形体。 (A)オレフィン系樹脂 (B)α―オレフィン系共重合体ゴム (C)40℃における動粘度が50〜500cStであ
るパラフィン系鉱物油系軟化剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラスト
マー組成物多層成形体に関するものである。更に詳しく
は、ベトツキがなく、感触が良好なオレフィン系樹脂、
α―オレフィン系共重合体ゴム、及びパラフィン系鉱物
油系軟化剤を含有するオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物からなる多層成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系熱可塑性エラストマーは、
柔軟であり、反発弾性を有すると共に、通常の熱可塑性
樹脂成形機での加工が可能であることから、自動車部
品、電気部品或いは雑貨を始めとする工業製品の広い分
野において用途が開発されている。昨今では特に、多層
成形体の開発が活発に行われており、例えば自動車内装
表皮材においては、廃棄物を低減するために、リサイク
ルのオレフィン系熱可塑性エラストマーを粉砕、再溶融
して、バージンのオレフィン系熱可塑性エラストマーと
積層した多層成形体が検討されており、また、成形加工
性を向上させるために、硬さの異なる複数のオレフィン
系熱可塑性エラストマーを積層した多層成形体の検討が
行われている。しかしながら、従来のオレフィン系熱可
塑性エラストマーを用いた多層成形体では、多層成形体
表面にベトツキ等が発生し、多層成形体の感触が悪化す
ることがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況の下、本発
明が解決しようとする課題は、表面にベトツキがなく、
感触が良好なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
多層成形体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)〜(C)の合
計量100重量部に対し、成分(A)の含有量が1〜8
0重量部であり、成分(B)の含有量が96〜17重量
部であり、成分(C)の含有量が3〜66重量部である
熱可塑性エラストマー組成物からなる層(I)と、下記
成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)〜(C)の合
計量100重量部に対し、成分(A)の含有量が1〜8
0重量部であり、成分(B)の含有量が99〜19重量
部であり、成分(C)の含有量が1〜64重量部である
熱可塑性エラストマー組成物からなる層(II)とを有
し、下記式(イ)の鉱物油系軟化剤含有比が1〜5であ
り、式(ロ)を充足することを特徴とする多層成形体に
かかるものである。 (A)オレフィン系樹脂 (B)α―オレフィン系共重合体ゴム (C)40℃における動粘度が120〜500cStで
あるパラフィン系鉱物油系軟化剤
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー組成物多層成形体は、オレフィン系樹脂
(A)、α―オレフィン系共重合体ゴム(B)およびパ
ラフィン系鉱物油系軟化剤(C)を特定割合で含有する
熱可塑性エラストマー組成物からなる層(I)と、オレ
フィン系樹脂(A)、α―オレフィン系共重合体ゴム
(B)およびパラフィン系鉱物油系軟化剤(C)を特定
割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる層
(II)の2層を少なくとも有する多層成形体である。
【0006】層(I)と層(II)は、直接積層されてい
てもよいし、その間に別の層が挟み込まれていてもよ
い。例えば、この多層成形体の端材をリサイクルする目
的で、リサイクル層を層(I)と層(II)の間に設けた
成形体であってもよい。また、層(I)と層(II)は、
非発泡層であってもよいし、発泡層であってもよい。特
に本発明の効果が顕著となるのは、層(I)および/ま
たは層(II)が実質的に多層成形体の表面層であり、該
表面層が非発泡層である場合である。
【0007】層(I)および/または層(II)が実質的
に多層成形体の表面層であるとは、層(I)および/ま
たは層(II)が最外層である場合だけではなく、層
(I)および/または層(II)の表面に薄い皮膜を設け
ている場合も含む。表面に薄い皮膜を設ける例として
は、成形体表面の艶調整、傷付き性改良、耐油性改良な
どの目的でウレタン系、アクリル系などの表面コート剤
を塗布することや、本発明の多層成形体を他の成形体と
接着させる目的で塩素化ポリオレフィンなどの処理剤を
塗布することなどをあげることができる。
【0008】本発明の多層成形体の製造には、公知の積
層方法、例えば、共押出法、押出ラミネーション法など
を用いることができる。
【0009】層(I)の熱可塑性エラストマー組成物の
成分(A)〜(C)の含有量としては、成分(A)〜
(C)の合計量100重量部に対し、成分(A)の含有
量が1〜80重量部であり、好ましくは5〜65重量部
であり、更に好ましくは10〜25重量部であり、成分
(B)の含有量が96〜17重量部であり、好ましくは
90〜30重量部であり、更に好ましくは80〜40重
量部であり、成分(C)の含有量が3〜66重量部であ
り、好ましくは5〜65重量部であり、更に好ましくは
10〜50重量部である。また、層(II)の熱可塑性エラ
ストマー組成物の成分(A)〜(C)の含有量として
は、成分(A)〜(C)の合計量100重量部に対し、
成分(A)の含有量が1〜80重量部であり、好ましく
は5〜65重量部であり、更に好ましくは10〜25重
量部であり、成分(B)の含有量が98〜19重量部で
あり、好ましくは92〜32重量部であり、更に好まし
くは85〜45重量部であり、成分(C)の含有量が1
〜64重量部であり、好ましくは3〜63重量部であ
り、更に好ましくは5〜45重量部である。
【0010】層(I)および層(II)の熱可塑性エラス
トマー組成物において、成分(A)の含有量が過少であ
ると、加工性が低下することがあり、表面肌が悪化する
ことがあり、また真空成形等の2次加工時での離型不
良、変形等が起こることがあり、成分(A)の含有量が
過多であると、柔軟性が失われて硬い感触となることが
あり、また真空成形等の2次加工時でのドローダウン過
多、脱型時に折れ皺が発生することがある。また、成分
(B)の含有量が過少であると、柔軟性が失われて硬い
感触となることがあり、成分(B)の含有量が過多であ
ると、成形体の加工性が低下することがあり、表面肌が
悪化することがある。更に、成分(C)の含有量が過少
であると、成形体の加工性が低下することがあり、成分
(C)の含有量が過多であると、成形体にベトツキが発
生し、感触が低下することがある。
【0011】本発明の多層成形体において、式(イ)で
算出される鉱物油系軟化剤含有比は1〜5であり、好ま
しくは1〜3、更に好ましくは1〜2である。ただし、
層(I)と層(II)は式(ロ)を充足する。該鉱物油系
軟化剤含有比が過大であると、成形体表面にベトツキが
発生し、感触が低下することがある。
【0012】層(I)および層(II)に用いられる熱可
塑性エラストマー組成物としては、一部または全部が動
的熱処理された熱可塑性エラストマー組成物を用いても
よく、該組成物を用いることにより、本発明の効果がよ
り顕著となる。
【0013】本発明の成分(A)オレフィン系樹脂とし
ては、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重
合体、1−ブテン単独重合体などのオレフィン単独重合
体;プロピレンまたはエチレンから誘導される繰り返し
単位を主成分とする共重合体などをあげることができ
る。該共重合体のプロピレンおよびエチレン以外から誘
導される繰り返し単位としては、1−ブテン、1−ヘキ
センなどの炭素原子数が4以上のα−オレフィンや酢酸
ビニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルなどが
あげられ、該共重合体としては、例えば、プロピレン−
エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−
メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン
共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン
−1−オクテン共重合体などがあげられる。
【0014】オレフィン系樹脂がエチレンから誘導され
る繰り返し単位を主成分とする樹脂である場合、該樹脂
のメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18
N)は、好ましくは0.1〜100g/10分であり、
より好ましくは1〜5g/10分である。また、オレフ
ィン系樹脂がプロピレンから誘導される繰り返し単位を
主成分とする樹脂である場合、該樹脂のメルトフローレ
ート(温度230℃、荷重21.18N)は、好ましく
は0.1〜100g/10分であり、より好ましくは1
〜20g/10分である。
【0015】オレフィン系樹脂は公知の製造方法により
製造されるが、成形体の機械的性能、耐久性能の観点か
ら、チーグラーナッタ触媒、又はメタロセン系触媒で製
造されることが好ましい。
【0016】オレフィン系樹脂としては、2種以上の重
合体を併用してもよく、エチレンから誘導される繰り返
し単位を主成分とする樹脂とプロピレンから誘導される
繰り返し単位を主成分とする樹脂との重量比が10/9
0〜70/30であるオレフィン系樹脂組成物が、成形
体の柔軟性、成形加工性、機械的物性のバランスの観点
から好ましい。
【0017】本発明の成分(B)α―オレフィン系共重
合体ゴムとは、たとえばエチレン−プロピレン共重合体
ゴム(EPM)、エチレン−1−オクテン共重合体ゴ
ム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム
(EPDM)、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共
重合体ゴム、エチレン−1−オクテン−非共役ジエン共
重合体ゴム、プロピレン−ブタジエン系共重合体ゴムの
如く、オレフィンを主成分とする無定型ランダムな弾性
共重合体である。非共役ジエンとしてはジシクロペンタ
ジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、
メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等があ
るが、特にエチリデンノルボルネンが好ましい。動的熱
処理を行う場合は、これらの中では、成形体の諸物性の
バランスの観点より、特にエチレン−プロピレン−非共
役ジエン系共重合体ゴムが扱いやすい。
【0018】α―オレフィン系共重合体ゴムとしては、
プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量は、好
ましくは10〜55重量%であり、より好ましくは20
〜40重量%であり、エチリデンノルボルネン等の非共
役ジエンから誘導される繰り返し単位の含有量は、好ま
しくは1〜30重量%であり、より好ましくは3〜20
重量%である。プロピレンから誘導される繰り返し単位
の含有量が少な過ぎると成形体の柔軟性が失われる場合
があり、該含有量が多過ぎると成形体の機械的特性が低
下する場合がある。エチリデンノルボルネンに代表され
る非共役ジエンから誘導される繰り返し単位の含有量が
少な過ぎると成形体の機械的特性が低下する場合があ
り、該含有量が多すぎると耐光性、熱老化性等の成形体
の耐久性能が低下する場合がある。
【0019】成形体の耐光性をより重視する場合は、動
的熱処理されるα―オレフィン系共重合体ゴムとして
は、非共役ジエンから誘導される繰り返し単位を含まな
いゴム、或いは該単位を少量含むゴムを用いることがで
きる。この場合は、エチレン−1−オクテン共重合体ゴ
ム、或いはエチレン−1−オクテン−非共役ジエン共重
合体ゴムを用いることが、機械的特性上好ましい。該ゴ
ムとしては、1−オクテンから誘導される繰り返し単位
の含有量が10〜35重量%であり、密度が800〜9
00kg/m3であるエチレン−1−オクテン共重合体
ゴムが好ましく、1−オクテンから誘導される繰り返し
単位の含有量が20〜30重量%であり、密度が800
〜860kg/m3であるエチレン−1−オクテン共重
合体ゴムがより好ましい。
【0020】α―オレフィン系共重合体ゴムは公知の製
造方法により製造されるが、成形体の機械的性能、耐久
性能の観点から、メタロセン系触媒、又はバナジウム系
触媒で製造されることが好ましい。
【0021】α―オレフィン系共重合体ゴムのムーニー
粘度(ML1+4100℃)は、動的熱処理を行わない場
合、成形体の外観を高める観点から、好ましくは5以上
であり、より好ましくは10以上であり、一方、他の成
分との分散不良による外観の悪化、及びシート加工時の
肌荒れ、シャークスキンの発生を低減する観点から、好
ましくは100以下であり、より好ましくは80以下で
ある。また、動的熱処理を行う場合、該粘度は、成形体
の機械的強度を高める観点から、好ましくは20以上で
あり、より好ましくは40以上であり、一方、成形体表
面の荒れを低減する観点から、好ましくは350以下で
あり、より好ましくは300以下である。
【0022】なお、α−オレフィン系共重合体ゴム10
0重量部に対し、後述のパラフィン系鉱物油系軟化剤2
0〜150重量部を油展した油展ゴムを用いると、柔軟
で機械的強度に優れ、感触も良好な多層成形体が得られ
る。この場合、α−オレフィン系共重合体ゴムのムーニ
ー粘度(ML1+4100℃)は、好ましくは120〜3
50であり、より好ましくは140〜300である。ム
ーニー粘度が低すぎると機械的強度が低下することがあ
り、一方ムーニー粘度が高すぎる多層体の外観が不良と
なることがある。なお、該油展ゴムを用いて動的熱処理
した熱可塑性エラストマー組成物により、最も好ましい
多層成形体が得られる。
【0023】動的熱処理されていないオレフィン系熱可
塑性エラストマーとしてリアクターTPOが用いられる
ことがあるが、この場合は、結晶性樹脂成分を(A)成
分として、また非晶のゴム成分を(B)として考えれば
よい。
【0024】本発明の成分(C)パラフィン系鉱物油系
軟化剤とは、高沸点の石油留分の中でパラフィン系の石
油留分である。鉱物油系軟化剤としては、ナフテン系鉱
物油系軟化剤もあるが、該軟化剤中には芳香族成分が多
く存在する。そのため、該軟化剤を成形体に用いると、
光熱等で色相が悪化し、透明製品用途あるいは明色製品
用途へ該成形体を用いる場合に問題を生じることがあ
り、また、成形体の耐光性が低下することがあり、ナフ
テン系鉱物油系軟化剤は使用できない。
【0025】パラフィン系鉱物油系軟化剤の40℃での
動粘度は、50〜500cStであり、好ましくは12
0〜450cSt、より好ましくは180〜400cS
tである。該粘度が低過ぎると、例えば自動車内装表皮
材として使用した際、フォギング性が低下することがあ
り、また、熱老化性においても長時間で軟化剤が蒸散
し、望ましくない。一方、該粘度が高過ぎると、加工性
に劣り、製品としてもより硬いものとなり、クッション
感の劣ったものとなる。なお、40℃での動粘度は、J
IS K 2283−3に従い測定される。
【0026】パラフィン系鉱物油系軟化剤の配合方法と
しては、α―オレフィン系共重合体ゴムに油展する方
法、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を構成す
る成分を単純溶融混合する時に添加する方法、動的熱処
理を行う時に添加する方法、動的熱処理後に添加する方
法などある。
【0027】パラフィン系鉱物油系軟化剤をα―オレフ
ィン系共重合体ゴムに油展する場合、パラフィン系鉱物
油系軟化剤の含量は、α−オレフィン系共重合体ゴム1
00重量部あたり好ましくは20〜150重量部であ
り、より好ましくは30〜120重量部であり、更に好
ましくは35〜100重量部である。油展方法は公知の
方法が用いられる。たとえば、ロールやバンバリーミキ
サーのような装置を用い、ゴムとパラフィン系鉱物油系
軟化剤を機械的に混練する方法で油展する方法、あるい
はゴム溶液に所定量のパラフィン系鉱物油系軟化剤を添
加し、その後、スチームストリッピング等の方法により
脱溶媒して得る方法などがある。このうち好ましい油展
方法としてはゴム溶液を用いる方法であり、ゴム溶液は
重合で得られるゴム溶液を用いる方が、操作が容易であ
る。
【0028】オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
を構成する成分を単純溶融混合する時にパラフィン系鉱
物油系軟化剤を添加する方法や、動的熱処理を行う時に
パラフィン系鉱物油系軟化剤を添加する方法、動的熱処
理後にパラフィン系鉱物油系軟化剤を添加する方法にお
いては、バッチミキサーを用いる場合は、他の原料を溶
融後、軟化剤を投入すると効率よく混合でき、また押出
機を用いる場合は、原料が可塑化後、押出機の途中から
ポンプ等で軟化剤を少量ずつ注入混合する方法が好まし
く用いられる。
【0029】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物は、一部または全量が動的熱処理されていても
よい。ここで動的熱処理とは、該組成物中の成分(B)
の一部または全部と、必要に応じて、該組成物を構成す
る他の成分の一部または全部とを、有機過酸化物の存在
下で溶融混練し、成分(B)を架橋することである。な
お、成分(C)成分は、動的熱処理の際に成分(B)と
共存させて用いる場合と、動的熱処理後、多層成形体加
工時に混合して用いる場合があるが、双方ともに可能で
あり、通常両者を併用することが多い。
【0030】動的熱処理に用いられる有機過酸化物とし
ては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−
ジ(t−ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシ
クロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオ
キシベンゾイル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシド
などをあげることができる。これらの中では臭気性、ス
コーチ性の点で、特に2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0031】有機過酸化物の使用量は、被処理物100
重量部に対して、好ましくは0.005〜2.0重量部
であり、より好ましくは0.01〜0.6重量部であ
る。該使用量が過少であると動的熱処理効果が小さい場
合があり、一方過多であると反応の制御が難しく、また
経済的にも有利ではない場合がある。
【0032】動的熱処理には、有機過酸化物に加え、架
橋助剤を併用してもよい。該架橋助剤として、N,N’
−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレ
イミド、p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフ
ェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、ジビニル
ベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートな
どの多官能性の化合物があげられる。このような化合物
の配合により、均一かつ緩和な反応が起こり、機械的特
性を向上させることが可能である。架橋助剤の使用量
は、被処理物100重量部に対して、好ましくは0.0
1〜4.0重量部であり、より好ましくは0.05〜
2.0重量部である。該使用量が過少であると効果が現
れ難い場合があり、一方過多であると経済的に有利では
ない場合がある。
【0033】また、動的熱処理の程度、即ち成分(B)
の架橋の程度としては、部分架橋から完全架橋等目的に
応じて任意の程度を選択することができる。但し、耐油
性を必要とする用途においては、架橋度は高い方が好ま
しく、成分(B)が全て動的に熱処理されていることが
好ましい。
【0034】動的熱処理に用いられる混合混練装置とし
ては、公知の非開放型バンバリーミキサー、2軸押出機
等が用いられ、混練温度150〜300℃で、混練時間
30秒〜10分位で動的熱処理を行えばよい。具体例と
しては、被処理物に、必要により架橋助剤及び副資材を
所定の割合で配合し、非解放型混練機のバンバリーミキ
サー等を用いて150〜250℃の温度範囲で充分混練
均一化を図った後、得られた組成物と有機過酸化物とを
タンブラー又はスーパーミキサー等の密閉式混合機で充
分にブレンドする。次いで、このブレンド物を強混練力
の得られる2軸連続押出機等を用いて、200〜300
℃で動的に熱処理することにより、部分架橋組成物を得
ることができる。
【0035】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物には、適宜、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウ
ム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、
雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸ア
ルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、2硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガ
ラス球、シラスバルーン、カーボン繊維などの無機充填
剤;カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんが
ら、群青、紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔
料、フタロシアニン顔料などの着色剤などを配合するこ
とができる。また、フェノール系安定剤、サルファイト
系安定剤、フェニルアルカン系安定剤、フォスフアイト
系安定剤、アミン系安定剤などの耐熱安定剤や老化防止
剤;耐候安定剤;帯電防止剤などを、オレフィン系プラ
スチックあるいはオレフィン系共重合体ゴムで使用する
程度配合することができる。
【0036】本発明による多層成形体の用途としては内
装部品表皮等の自動車部品、デスクマット等の文具、水
泳プール、水泳用フイン等のレジャー用品、防水布等の
製品があげられ、特に、耐光性を必要とする用途に好適
に用いられる。
【0037】
【実施例】以下、実施例によって本発明の内容を具体的
に説明する。なお、これらの実施例及び比較例における
物性測定に用いた試験方法は以下のとおりである。
【0038】(1)ムーニー粘度(ML1+4100℃) ASTM D−927−57Tに従い測定を行った。な
お、油展EPDMを用いた場合は、油展EPDMのムー
ニー粘度と油展量より、下式を用いてEPDMのムーニ
ー粘度を算出した。 log(ML1/ML2)=0.0066(△PHR) ML1 :EPDMのムーニー粘度 ML2 :油展EPDMのムーニー粘度 △PHR:EPDM 100重量部当たりの油展量 (2)移行テスト及びシート表面の感触評価 25mmφ押出機(ユニオンプラスチック製、L/D=
20)に100mm幅のTダイを装着し、層I、層IIに
対応する材料を220℃、所定の厚みでシート加工を行
った。このシートから夫々6cm角のシートを切出し、
両者を重ね合わせてアルミ箔で包み、その上に7g/c
2の荷重を加えて80℃で1週間、状態調整を実施し
た。所定時間経過後、荷重を除き、取り出して常温に戻
し、アルミ箔からシートを取り出して重量の変化から移
行した物質の定量を行った。また層IIの層I非接触面を
指で触れ、ベトツキの判定を行った。(図1参照) 判定ランクについては以下のとおりである。 ○:粘着性なし。 ×:粘着性あり。
【0039】[オレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物の製造] TPE−1:EPDM(ML1+4100℃=242(計
算値)、プロピレン含量=28重量%、ヨウ素価=1
2,非共役ジエン種=エチリデンノルボルネン)の5重
量%ヘキサン溶液中に、EPDM100重量部当りパラ
フィン系鉱物油系軟化剤(出光興産、ダイアナプロセス
オイルPW−380、動粘度(40℃)=381.6c
St)100重量部を添加し、その後スチームストリッ
ピングで脱溶媒した油展EPDM1(ML1+4100℃
=53)87重量部、PP−1(ホモポリプロピレン、
MFR(230℃)=12g/10分)13重量部、架
橋助剤としてスミファインBM(N,N’−m−フェニ
レンビスマレイミド、住友化学社製)0.9重量部をバ
ンバリーミキサーで170〜200℃にて7分間混練し
た後、押出機を用いてペレット状マスターバッチを作製
した。次いで、マスターバッチ100重量部、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン(以下、「有機過酸化物」と記す。)0.08重量部
をヘンシェルミキサーにより2分間均一ブレンドした。
このブレンド物を2軸混練押出機により、230℃±2
0℃で60秒間動的熱処理を行い、架橋組成物TPE−
1を得た。
【0040】TPE−2:EPDM(ML1+4100℃
=85、プロピレン含量=50重量%、ヨウ素価=8、
非共役ジエン種=ジシクロペンタジエン)76重量部、
PP−2(ホモポリプロピレン、MFR(230℃)=
4g/10分)19重量部、パラフィン系鉱物油系軟化
剤(出光興産、ダイアナプロセスオイルPW−380)
5重量部をバンバリーミキサーで170〜200℃にて
7分間混練した後、押出機を用いてペレット状マスター
バッチを作製した。次いで、マスターバッチ100重量
部、有機過酸化物0.28重量部をヘンシェルミキサー
により2分間均一ブレンドした。このブレンド物を2軸
混練押出機により、230℃±20℃で60秒間動的熱
処理を行い、架橋組成物TPE−2を得た。
【0041】TPE−3:EPDM(ML1+4100℃
=36、プロピレン含量=32重量%、ヨウ素価=1
3.5、非共役ジエン種=エチリデンノルボルネン)7
6重量部、PP−1を19重量部、パラフィン系鉱物油
系軟化剤(出光興産、ダイアナプロセスオイルPW−3
80)5重量部をバンバリーミキサーで170〜200
℃にて7分間混練した後、押出機を用いてペレット状マ
スターバッチを作製した。次いで、マスターバッチ10
0重量部、有機過酸化物0.32重量部をヘンシェルミ
キサーにより2分間均一ブレンドした。このブレンド物
を2軸混練押出機により、230℃±20℃で60秒間
動的熱処理を行い、架橋組成物をTPE−3を得た。
【0042】TPE−4:TPE−2を60重量、PP
−3(ランダムポリプロピレン、エチレン含量4.5
%、MFR(230℃)=1g/10分)40重量部を
タンブラーで混合し、更に65mmφ単軸押出機(L/D
=32、ダルメージスクリュー使用)にて溶融混練し、
220℃で押出して熱可塑性エラストマーTPE−4を
得た。
【0043】TPE−5:TPE−2を66.5重量、
TPE−3を28.5重量部、PP−3を5重量部をタ
ンブラーで混合し、更に65mmφ単軸押出機(L/D=
32、ダルメージスクリュー使用)にて溶融混練し、2
20℃で押出して熱可塑性エラストマーTPE−5を得
た。
【0044】[実施例―1〜2、比較例1〜3]層I、
層IIともに0.3mmの厚みのシートを用いて評価し
た。評価結果を表1に示す。
【0045】[実施例―3、比較例―4]層Iは0.7
mm、層IIは0.5mmのシートを用いた。また層IIの
裏面(層Iとの非接触側)に塩素化ポリオレフィンから
なるプライマー(特殊色料株式会社製ハイコープL40
01)を塗布してテストを行った以外は、実施例1、2
と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0046】[実施例−4〜6]層Iは0.5mm、層
IIは0.7mmのシートを用いた。また層Iの裏面(層
IIとの非接触側)に塩素化ポリオレフィンからなるプラ
イマー(特殊色料株式会社製ハイコープL4001)を
塗布してテストを行った以外は、実施例1、2と同様に
行った。評価結果を表2に示す。
【0047】
【表1】 PE−1:エクセレンVL200(住友化学製、超低密
度ポリエチレン 密度=900kg/m3、MFR(1
90℃)=2g/10分)
【0048】
【表2】 PE−1:エクセレンVL200(住友化学製、超低密
度ポリエチレン 密度=900kg/m3、MFR(1
90℃)=2g/10分)
【0049】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ベ
トツキがなく感触が良好なオレフィン系熱可塑性エラス
トマー多層成形体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、移行テストの模式図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(A)〜(C)を含有し、成分
    (A)〜(C)の合計量100重量部に対し、成分
    (A)の含有量が1〜80重量部であり、成分(B)の
    含有量が96〜17重量部であり、成分(C)の含有量
    が3〜66重量部である熱可塑性エラストマー組成物か
    らなる層(I)と、下記成分(A)〜(C)を含有し、
    成分(A)〜(C)の合計量100重量部に対し、成分
    (A)の含有量が1〜80重量部であり、成分(B)の
    含有量が98〜19重量部であり、成分(C)の含有量
    が1〜64重量部である熱可塑性エラストマー組成物か
    らなる層(II)とを有し、下記式(イ)の鉱物油系軟化
    剤含有比が1〜5であり、下記式(ロ)を充足すること
    を特徴とする多層成形体。 (A)オレフィン系樹脂 (B)α―オレフィン系共重合体ゴム (C)40℃における動粘度が50〜500cStであ
    るパラフィン系鉱物油系軟化剤
  2. 【請求項2】 層(I)および/または層(II)を実質
    的に表面に有する請求項1記載の多層成形体。
  3. 【請求項3】 層(I)の熱可塑性エラストマー組成物
    および/または層(II)の熱可塑性エラストマー組成物
    が、熱可塑性エラストマー組成物の一部または全部を動
    的熱処理した熱可塑性エラストマー組成物である請求項
    1または2記載の多層成形体。
  4. 【請求項4】 成分(B)がエチレン−α―オレフィン
    系共重合体ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の
    多層成形体。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63251233A (ja) * 1987-04-07 1988-10-18 三井化学株式会社 熱可塑性エラストマー積層レザー
JP2001138440A (ja) * 1999-09-03 2001-05-22 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性エラストマー積層体

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