JP2003266557A - 射出成形靴およびその製造方法 - Google Patents

射出成形靴およびその製造方法

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JP2003266557A
JP2003266557A JP2002071213A JP2002071213A JP2003266557A JP 2003266557 A JP2003266557 A JP 2003266557A JP 2002071213 A JP2002071213 A JP 2002071213A JP 2002071213 A JP2002071213 A JP 2002071213A JP 2003266557 A JP2003266557 A JP 2003266557A
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shoe sole
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sole
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Hiroyuki Tajima
裕之 田島
Tetsuya Kamimura
上村  哲也
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Achilles Corp
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 胛被の靴底との接合部分の材料として不適
当であったポリエステル布帛、ナイロン布帛などの布帛
を胛被として使用可能な射出成形靴およびその製造方法
提供する。 【解決手段】 胛被41の靴底60との接合部分に、靴
底成形材料の射出温度より低融点で、胛被41や靴底6
0に融着可能な熱融着性フィルム43を設けた後、射出
成形するので、従来、胛被41の材料として不適当なポ
リエステル、ナイロンなどの布帛や、撥水処理された布
帛を胛被として使用でき、胛被41の素材感や発色性が
損なわれず、胛被素材材に起毛素材や起毛感のある素材
を使用しても胛被41の外観を損なわなず、そして靴底
成形材料が発泡性でも、胛被41に対して良好な投錨効
果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱融着性フィルム
を靴底と胛被との接着剤に使用した射出成形靴およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、布靴を射出成形法により製造す
るには、例えば布帛を積層してなる胛被をラストモール
ドに吊り込み、このラストモールドにボトムモールドと
サイドモールドを嵌合させて構成される靴底成形用空隙
内に熱可塑性樹脂を主体とする靴底成形材料を射出し、
靴底を成形すると同時に、該靴底と上記の胛被とを接合
一体化する方法が採用されている。しかしながら、胛被
の表布と靴底成形材料とは、本来、接着性に欠けるた
め、両者を強固に接着する手法として、以下の従来技術
が開発されている。
【0003】すなわち、(1)靴底が融着される胛被の
表布部分に、溶剤系のポリウレタン系接着剤、ポリエス
テル系接着剤などを刷毛塗りなどの方法により部分塗り
し、乾燥後、靴底成形材料を射出し、この接着剤により
靴底と胛被とを接着一体化する方法がそのひとつであ
る。 (2)また、特公昭58−29081号公報および特公
平3−20241号公報などのように、胛被の表布に原
反の段階で、ホットメルト型のポリウレタン系処理剤
や、ポリエステル系処理剤を30〜50メッシュのグラ
ビアロールで全面処理したり、ナイフコーターなどで全
面コーティーグ処理したものを裁断、縫製して胛被と
し、射出成形により靴底を成形すると同時に、表布に施
されたこれらの処理剤により靴底と胛被とを接着一体化
する方法も知られている。
【0004】しかしながら、(1)の従来技術によれ
ば、接着剤が所定の接着部分よりはみ出してしまい、靴
の外観品位を低下させ、また手作業が主体であることか
ら、作業性、生産性が悪く、コスト高の要因となり、し
かも接着安定性に欠けるという問題点がある。また、
(2)の従来技術では、胛被の表布を原反の段階で全面
処理するため、生産性は良好で、接着性も安定化する反
面、処理剤の樹脂分により、布の織り組織、編み組織が
固められ、布の風合いが硬くなり、素材本来の触感が損
なわれてしまう。さらに、布繊維が樹脂成分で濡れるこ
とで、素材の色が濃くなったり、色ボケが発生するな
ど、本来の表布の色が製品に生かせないという問題があ
る。さらには、胛被素材として起毛素材や起毛感のある
素材を使用した際には、処理時に毛が寝てしまい、しか
も処理剤の樹脂成分により固着されて起毛や起毛感がな
くなり、実質的に適用することができない。そのほか、
胛被が処理剤で硬化するため、胛被のラストモールドへ
の吊り込み作業が困難になるうえ、フィットした吊り込
みができないか、もしくは極めて困難である。また、従
来、靴底成形材料との接着強度が小さいため、胛被の靴
底との接合部分の材料としてポリエステル布帛、ナイロ
ン布帛などを使用することは難しい。また、同様の理由
によって、胛被に撥水性および防汚性を付与するためフ
ッ素系などの撥水剤により表面処理された布帛などを使
用することも困難である。さらに、靴底が発泡性靴底成
形材料を用いて軽量化される場合には、胛被の靴底との
接着面に直接射出圧を掛けることができず、靴底成形材
料の発泡圧しか掛けられないため、成形圧を高くするこ
とができず、そのため、靴底成形材料が胛被の布目およ
び繊維の隙間に効率よく侵入せず、良好な投錨(アンカ
ー)効果が得られない。
【0005】そこで、本発明者らは、胛被の靴底との接
合部分に、靴底成形材料の射出温度より低融点で、胛被
および靴底にそれぞれ融着可能な熱融着性フィルムを設
け、その後、靴底成形材料を射出成形することにより、
この射出成形時の靴底成形材料の熱によって熱融着性フ
ィルムが融解し、融解した熱融着性フィルムにより胛被
と靴底とを接合一体化すれば、上述した問題点がすべて
解消されることを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
観点からなされたもので、従来、胛被の靴底との接合部
分の材料として不適当であったポリエステル布帛、ナイ
ロン布帛などの素材を使用することができ、しかも胛被
の表面の素材感および発色性が損なわれることがなく、
さらには胛被素材に起毛素材や起毛感のある素材を使用
した場合でも胛被の外観を損なわなず、また胛被素材と
してフッ素系撥水剤などの撥水剤により表面処理された
布帛を使用することができ、さらには靴底成形材料が発
泡剤含有の合成樹脂の場合でも、胛被に対して良好な投
錨効果が得られる射出成形靴およびその製造方法を提供
することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、熱可塑性樹脂を主成分とする靴底成形材料を射出成
形し、靴底と胛被とを接合一体化した射出成形におい
て、上記胛被と靴底との接合部分の少なくとも一部に、
上記胛被と上記靴底に融着可能な熱融着性フィルムが介
在されてなることを特徴とする射出成形靴である。な
お、熱融着性フィルムは、熱によって、一旦、融かされ
た状態で介在されるので、必ずしもフィルム状で存在し
なくてもよい。また、介在個所は、胛被と靴底との接合
部分の全面である必要はない。
【0008】靴底成形材料としては、塩化ビニル系樹脂
配合物、熱可塑性エラストマー、エチレン−塩化ビニル
共重合体、合成ゴム(SBR,NBR)、天然ゴム、2
液反応型ポリウレタン樹脂などを用いることができる。
そのほか、エチレン−塩化ビニル共重合体100重量部
に対し、熱可塑性ポリウレタンエラストマー5〜50重
量部を含んだものや、平均重合度1,400〜2,50
0の塩化ビニル樹脂および/または塩化ビニリデン樹脂
95〜70重量部と、平均重合度400〜600の塩化
ビニル樹脂および/または塩化ビニリデン樹脂5〜30
重量部とからなる母体樹脂100重量部に対し、熱可塑
性ポリウレタンエラストマーを5〜50重量部含んだも
のなどを採用することができる。
【0009】なお、上記塩化ビニル系樹脂配合物とは、
塩化ビニル樹脂(塩化ビニルホモポリマー)や、塩化ビ
ニルと他のモノマーとの共重合体に、可塑剤および各種
添加剤を配合したものである。
【0010】また、上記熱可塑性ポリウレタンエラスト
マーは、1,4−ブタンジオールアジペート、1,6−
ヘキサンジオールアジペートなどで代表されるポリアル
キレンジアジペートや、ε−カプロラクトンを開環重合
したポリカプロラクトンなどの代表的なポリエステル
に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどの低
分子量脂肪族グリコール、水添加ビスフェノールAで代
表される低分子量脂環族グリコール、エチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジア
ミン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタンなど
の有機ジアミンなどの鎖延長剤を必要に応じて使用し、
脂肪族、脂環族、または芳香族ジイソシアネートと反応
させて得られるものが使用される。なお、このジイソシ
アネートとしては、靴底の要求特性、カラーなどによ
り、無黄変の脂肪族または脂環族を使用したり、黄変タ
イプの芳香族を使用することができる。
【0011】さらに、塩化ビニル系樹脂に用いられる可
塑剤としては、通常の塩化ビニル系樹脂の配合に使用さ
れるものであれば全て使用することができる。例えば、
ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどに代表
されるフタル酸誘導体、ジオクチルアジペートなどに代
表されるアジピン酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テト
ラヒドロフタル酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシ
ン酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリ
メリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導
体、オレイン酸誘導体、リノール酸誘導体、ステアリン
酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール誘導体、グリセリ
ン誘導体、パラフィン誘導体などが挙げられるが、これ
らに制限されるものではない。これらの可塑剤の配合量
によって、得られる靴底の硬さを調整することができ
る。
【0012】靴底成形材料の射出温度は、熱融着性フィ
ルムの融点以上であることが必要である。靴底成形材料
は、必要射出温度において射出成形性の良いものを適宜
選択する。逆にいえば、その射出温度に合った熱融着性
フィルムを適宜選択する。胛被素材としては、各種の織
布、不織布、網布からなる布帛を採用することができる
がこれに限定されるものではない。胛被素材の具体例と
しては、ナイロン布帛、ポリエステル布帛、塩化ビニル
レザー、ポリウレタン系合成皮革、人工皮革、天然皮
革、ポリウレタン布帛、アクリル布帛、麻製布帛、レー
ヨン布帛などを採用することができる。
【0013】熱融着性フィルムの素材としては、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体系のホットメルトフィルム、ポリ
エステル系のホットメルトフィルム、ナイロン系のホッ
トメルトフィルム、ポリウレタン系のホットメルトフィ
ルムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。これらの熱融着性フィルムは、ホットメルト接着剤
として市販されているものが使用できる。
【0014】この熱融着性フィルムの融点は、靴底成形
材料の射出温度よりも低くなければならない。上記熱融
着フィルムの融点は、通常、60〜160℃、好ましく
は100〜140℃程度である。熱融着性フィルムを胛
被の靴底との接合部分に設ける方法は限定されない。例
えば、縫着法、熱接着法、胛被をラストモールドに被せ
た状態で熱融着性フィルムを胛被の周りに一周させて巻
き付ける方法などが挙げられる。なお、熱融着性フィル
ムは、接着力アップの要求される個所に適宜設ければよ
い。縫着法、熱融着法による場合は、胛被の下端部に熱
融着性フィルムを結合させる。この熱融着性フィルム
は、単なるフィルム状だけでなく、ネット状、ウェブ状
またはスリット状などでもよい。このスリット状とは、
フィルム状のものに多数のスリットを形成したものであ
る。この熱融着性フィルムは、好ましくはフィルム状の
ものが良い。靴底からはみ出した端切れ部分を剥ぎ取る
際、フィルム状のものは、きれいに剥ぎ取ることができ
る。熱融着性フィルムの厚さは、通常、20〜150μ
m、好ましくは30〜100μmである。20μm未満
では、接着力が不足し、一方、150μmを超えると、
成形後に不要な部分のフィルムを除去するのに簡単に切
れない場合がある。
【0015】請求項2に記載の発明は、上記靴底が、発
泡性靴底成形材料からなる請求項1に記載の射出成形靴
である。発泡剤としては、例えばアゾジカアルボアミド
などの熱分解型化学発泡剤挙げられる。そのほか、熱可
塑性の殻壁の中に揮発性炭化水素などの気体や液体を含
有した俗にマイクロカプセルと称される熱膨張型発泡剤
などが挙げられる。また、2液反応型ポリウレタン樹脂
の場合、水、フッ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素など
も使用できる。なお、発泡剤として熱膨張型発泡剤を用
いる場合、本発明の熱融着性フィルムを用いないと、該
発泡剤が胛被の投錨効果を阻害するので、本発明の熱融
着性フィルムを用いることによる投錨効果は極めて大で
ある。
【0016】請求項3に記載の発明は、上記胛被の表面
が、撥水剤により処理されている請求項1または2に記
載の射出成形靴である。撥水剤としては、例えばポリテ
トラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ六
フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン共重合体など
のフッ素系撥水剤が挙げられる。
【0017】なお、本発明に用いられる胛被は、その気
孔容積率が50〜97%であることが望ましい。特に、
靴底が発泡性靴底成形材料で形成される場合、あるい
は、胛被が撥水剤で処理されている場合には、気孔容積
率が上記範囲であることが好ましい。ここでいう気孔容
積率とは、JISL−1096に規定される気孔容積率
である。この範囲において射出成形時における靴底成形
材料が胛被の布目および繊維間隙に効率良く侵入して、
靴底と胛被を接合一体化するために重要な投錨効果を実
現し、さらに繊維表面との濡れを容易にして、靴底成形
材料の接着効果を発揮させ易くし、強固な接合一体化を
容易に実現する。
【0018】気孔容積率が50%未満であると、射出時
における熱融着性フィルムの溶融物が胛被表布の布目お
よび繊維間隙に効率良く侵入できず、靴底成形材料と胛
被を接着一体化することが困難となる傾向にある。一
方、気孔容積率が97%を超えると、胛被の表布の物性
が靴用としては適さないものとなり、実質的に製靴する
ことは不可能となる。
【0019】請求項4に記載の発明は、熱可塑性樹脂を
主成分とする靴底成形材料を射出成形し、靴底と、胛被
とを接合一体化する射出成形靴の製造方法において、上
記胛被の靴底との接合部分の少なくとも一部に、上記靴
底成形材料の射出温度より低融点で、上記胛被および上
記靴底にそれぞれ融着可能な熱融着性フィルムを設け、
その後、上記靴底成形材料を射出成形することで、射出
成形時の靴底成形材料の熱により上記熱融着性フィルム
を融解し、該融解した熱融着性フィルムにより、上記胛
被および上記靴底を一体化させたことを特徴とする射出
成形靴の製造方法である。そして、胛被および靴底が一
体化された部分に存在した熱融着性フィルムは、溶融し
て胛被側に僅かに浸透し、接着に関係していない端切れ
部分との間に境目を形成するので、端切れ部分を引っ張
ることによって、きれいに端切れ部分を取り除くことが
できる。
【0020】この発明によれば、胛被の靴底との接合部
分に、靴底成形材料の射出温度より低融点で、胛被およ
び靴底にそれぞれ融着可能な熱融着性フィルムを設け、
その後、靴底成形材料を射出成形する。その際、射出成
形時の靴底成形材料の熱によって熱融着性フィルムが融
解し、この溶けた熱融着性フィルムにより胛被と靴底と
が接合して一体化する。これにより、従来、胛被の靴底
との接合部分の材料として不適当であったポリエステル
布帛、ナイロン布帛などの素材、および、フッ素系など
の撥水剤により表面処理された布帛を使用することがで
き、しかも胛被の表面の素材感および発色性が損なわれ
ることもなく、さらには胛被素材に起毛素材や起毛感の
ある素材を使用した場合でも胛被の外観を損なわなず、
そして靴底成形材料が発泡性熱可塑性樹脂の場合でも、
胛被に対して良好な投錨効果が得られる。なお、胛被に
設けられたものの、接合に使用されなかった熱融着性フ
ィルムの端切れ部分は、該端切れ部分の根元で境目が形
成されるため、射出成形後に容易に剥ぎ取ることができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例に係る
射出成形靴およびその製造方法について説明する。図1
は、本発明の一実施例に係る射出成形靴の製造方法を実
施するための射出成形装置の縦断面図である。図2は、
本発明の一実施例に係る靴底成形用空隙内に靴底成形材
料を射出・注入した状態を示す縦断面図である。図3
は、本発明の一実施例に係る射出成形靴の断面図であ
る。
【0022】図1において、40は、胛被41と底布4
2によって形成された胛部である。この胛被41の下部
の外周面には、あらかじめ縫着によって帯状の熱融着性
フィルム43が固定されている。この熱融着性フィルム
43は、胛被41の靴底60との接合部分に配置され、
靴底成形材料の射出温度より低融点で、胛被41と靴底
60に融着可能なホットメルトフィルムである。この胛
部40をラストモールド10に吊り込んだのち、この胛
部40にサイドモールド20とボトムモールド30とを
組み付けることによって靴底成形用の空隙部31が形成
される。このとき、熱融着性フィルム43の下部が、フ
ィルム全長にわたって空隙部31内に配置される。
【0023】次に、図2に示すように、上記靴底成形用
の空隙部31内に靴底成形材料として、発泡剤を含有し
ないもの、または、発泡剤を含有するものを射出・注入
し、靴底60を射出成形する。その際、射出成形時の靴
底成形材料の熱によって熱融着性フィルム43が融解
し、この溶けた熱融着性フィルム43を接着剤として、
素材が異なる胛被41と靴底60とが堅固に接合一体化
する。これにより、従来、胛被41の靴底60との接合
部分の材料として不適当であったポリエステル布帛、ナ
イロン布帛などの素材やフッ素系などの撥水剤により表
面処理された布帛などを使用することができ、しかも胛
被41の表面の素材感および発色性が損なわれることも
なく、さらには胛被41として起毛素材や起毛感のある
素材を使用した場合でも胛被41の外観を損なわなず、
そして靴底成形材料が発泡性合成樹脂の場合でも、胛被
41に対して良好な投錨効果が得られる。なお、胛被4
1に設けられたものの、靴底成形用の空隙部31からは
み出て、接合に使用されなかった熱融着性フィルム43
の上部(端切れ部分)は、端切れ部分の根元で境目が形
成されるため、射出成形後に容易にはぎ取ることができ
る。その後、ラストモールド10から型抜きすると、図
3に示すような射出成形靴底61aを有する射出成形靴
70が得られる。
【0024】実施例1〜7、比較例1〜7 ここで、実際に、熱融着性フィルムを使用した本発明の
射出成形靴と、熱融着性フィルムを使用していない従来
靴との比較試験を実施した。その試験条件と試験結果と
を、表1〜表5に示す。
【0025】なお、表中、用いられ射出樹脂(靴底成形
材料)などは、次のとおりである。射出樹脂 PVC;重合度は1,300のポリ塩化ビニル〔信越化
学工業(株)製、信越PVC TK139〕 スチレン系エラストマー;スチレン−ブタジエン共重合
エラストマー〔JSR(株)製、JSR TR108
2〕可塑剤(オイル) DOP;ジオクチルフタレート〔新日本理化(株)
製、サンソサイザーDOP〕 プロセスオイル;ナフテン系〔出光興産(株)製、ダ
イアナプロセスオイルPW−90〕発泡剤 アゾ系発泡剤;アゾジカルボンアミド〔大塚化学
(株)製、ユニフォームAZ〕 熱膨張型マイクロカプセル;日本フェライト(株)
製、EXPANCEL DU−091熱融着性フィルム ポリエステル系フィルム;融点120℃、日本マタイ
(株)製、エルファンPH413(実施例4以外のポリ
エステル系フィルムに使用) PBT系ポリエステルフィルム;融点117℃のポリ
ブチレンテレフタレート系フィルム〔ダイセル化成品
(株)製、2810〕(実施例4のみに使用) EVA系フィルム;融点100℃のエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体フィルム〔日本マタイ(株)製、エルファ
ンOH506〕フッ素系撥水剤 大日本インキ化学工業(株)製のNH−15を用いた。
このフッ素系撥水剤の塗布量は、乾燥重量で、5g/m
2 である。
【0026】また、表中の物性の測定項目は、下記に従
った。胛被素材の気孔容積率 本文に記載靴底の比重 靴底部を射出し、その靴底部分のみを剥がし、水中法に
より容積を測定し、また、電子天秤により重量を測定
し、両者より比重を求めた。靴底と胛被との接着強度 日本ゴム履物協会製品規格「つま先保護靴“8.5本底
の剥離試験”」に準じて測定した。なお、剥離強度(接
着強度)は、25N/cm巾以上であることが好まし
い。硬度(靴底) JIS K6301 Aタイプ硬度に準じた。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】*)比重0.85は、発泡倍率では1.2
倍に相当する。(発泡しない靴底比重では0.98)
【0032】
【表5】
【0033】*)比重0.7は、発泡倍率では1.6倍
(発泡しない靴底比重は1.15)
【0034】以上から明らかなように、実験例において
は、従来例において胛被の靴底との接合部分の材料とし
て不適当であったポリエステル布帛、ナイロン布帛など
の胛被素材、および、フッ素系撥水剤により表面処理さ
れた布帛からなる胛被素材を使用することができ、しか
も胛被の表面の素材感および発色性が損なわれることも
なく、さらには胛被の素材に起毛素材や起毛感のある素
材を使用した場合でも胛被の外観を損なわなず、そして
靴底成形材料が発泡性合成樹脂の場合でも、胛被に対し
て良好な投錨効果が得られた。また、ショートショット
により、靴底を発泡成形する場合は、胛被の空隙部に樹
脂が進入する圧力が小さいため、投錨効果による接着強
度が低くなるが(比較例1〜7)、この問題を解決する
ため、本発明によれば、熱融着性のフィルムが溶融し、
胛被の空隙に入り込むため投錨効果による接着力が向上
する(実施例1〜7)。特に、熱膨張型マイクロカプセ
ルを使用した場合には(実施例7)、熱膨張型のカプセ
ルが膨張した状態で胛被と接触するため、このカプセル
が樹脂が胛被の空隙への進入を阻害するため、熱融着性
フィルムを介在することで、より効果が大きいことが分
かる。
【0035】
【発明の効果】この発明によれば、胛被の靴底との接合
部分に、靴底成形材料より低融点で、胛被および靴底に
それぞれ融着可能な熱融着性フィルムを設け、その後、
靴底成形材料を射出成形するようにしたので、従来、胛
被の靴底との接合部分の材料として不適当であったポリ
エステル布帛、ナイロン布帛などの胛被素材や、フッ素
系撥水剤により表面処理された布帛からなる胛被素材を
使用することができ、しかも胛被の表面の素材感および
発色性が損なわれることもなく、さらには胛被素材に起
毛素材や起毛感のある素材を使用した場合でも胛被の外
観を損なわなず、そして靴底成形材料が発泡性合成樹脂
の場合でも、胛被に対して良好な投錨効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る射出成形靴の製造方法
を実施するための射出成形装置の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る靴底成形用空隙内に靴
底成形材料を射出・注入した状態を示す縦断面図であ
る。
【図3】本発明の一実施例に係る射出成形靴の断面図で
ある。
【符号の説明】
41 胛被 43 熱融着性フィルム 60 靴底 70 射出成形靴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F050 AA03 BA31 BA44 BC47 BC48 BG02 BG05 CA09 HA26 HA28 HA58 HA59 HA60 HA70 HA77 HA85 KA02 KA04 KA07 KA11 LA01 NA32 NA52

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を主成分とする靴底成形材
    料を射出成形し、靴底と胛被とを接合一体化した射出成
    形靴において、 上記胛被と靴底との接合部分の少なくとも一部に、上記
    胛被と上記靴底に融着可能な熱融着性フィルムが介在さ
    れてなることを特徴とする射出成形靴。
  2. 【請求項2】 上記靴底が、発泡性靴底成形材料からな
    る請求項1に記載の射出成形靴。
  3. 【請求項3】 上記胛被の表面が、撥水剤により処理さ
    れている請求項1または2に記載の射出成形靴。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂を主成分とする靴底成形材
    料を射出成形し、靴底と胛被とを接合一体化する射出成
    形靴の製造方法において、 上記胛被の靴底との接合部分の少なくとも一部に、上記
    靴底成形材料の射出温度より低融点で、上記胛被と上記
    靴底に融着可能な熱融着性フィルムを設け、 その後、上記靴底成形材料を射出成形することで、射出
    成形時の靴底成形材料の熱により上記熱融着性フィルム
    を融解し、該融解した熱融着性フィルムにより、上記胛
    被と上記靴底とを一体化させたことを特徴とする射出成
    形靴の製造方法。
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