JP3153659U - 防水性に優れる革靴 - Google Patents
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Abstract
【課題】 グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により絡合縫製形成される革靴において、雨水等の浸水を防止しえる防水性に優れる革靴の提供。【解決手段】 グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式で絡合縫製し形成される革靴において、甲部材を形成する甲革材に、その裏面に吸水により5乃至15容積%割合で膨潤する膨潤閉塞層が強固且均質に塗着形成された、膨潤閉塞層形成甲革材が用いられた構造からなる防水性に優れる革靴。【選択図】図2
Description
本考案は防水性に優れる革靴に係わるもので、更に詳しくは甲部材と中底材及び表底材とが縫合或いは縫製されて形成される革靴の縫い目の防止性を著しく高めた、防水性に優れる革靴に関するものである。
靴の製法による分類は、主として甲部材と底部材との接合方法の相違に基づきなされるもので、大別すると縫製による方法と接着剤により接着する方法とにより分けられ、このうち現在において使用されている縫製方法としては、マッケイ式とグッドイヤウエルト式が挙げられ、更に接着方法としてはセメント式及び射出成形式が主に用いられている。
そして縫製方法におけるグッドイヤウエルト式は、古くは革靴の大部分がこの製法で形成されていたもので、表底や中底及び細革に厚くて堅牢な植物タンニン革を使用するため、甲部材も釣合いをもたせるために腰のある堅牢な革を使い、更には付属品も丈夫なものを使用することから靴が重く重厚な感じとなるものの、丈夫で安定性があり且底が厚く堅牢なため道路等に対する足の防護が良く形崩れも抑止されるものの、工程が多く複雑で省力化もなし難く且軽薄に作成しにくいこと等より次第に減少している状況にある。
他方マッケイ式も古くからの製法であるが、表底革と中底革とを縫い合わせた糸が表底革の磨耗により切断すると表底が剥げる等耐久性に問題があるため普及が阻れていたが、イタリアで表底と中底とを接着剤で接着したうえ縫い合せる方法が開発され、且イタリアの靴産業の興隆と、及び軽量で美しい形状の靴が形成できることが時代の流れにも適合して急速に拡大化し、これにより我が国の高級靴の主流も、グッドイヤウエルト式から該マッケイ式へと移行されつつある。
そしてグッドイヤウエルト式やマッケイ式による多くの革靴は、裏中底、表底などに良質な革が使用されることが多く、足当りも柔かく蒸れも少ないので高級品として位置付けられている。
そしてグッドイヤウエルト式やマッケイ式による多くの革靴は、裏中底、表底などに良質な革が使用されることが多く、足当りも柔かく蒸れも少ないので高級品として位置付けられている。
加えてマッケイ式による革靴は、底のこばが出ず軽快な感じがあり、また表底革もフレキシブルな革が使用できるため、靴か軽く歩行時の抵抗も最初から少なく良好な履き心地の靴として評価されるに至っている。
而しながら今日では靴にも高いファッション性が希求されることから、降雨時でも雨靴の着用は皆無に等しく天候如何に不拘わらず、前記高級感に溢れるグッドイヤウエルト式やマッケイ式の革靴が着用されている。
而しながら今日では靴にも高いファッション性が希求されることから、降雨時でも雨靴の着用は皆無に等しく天候如何に不拘わらず、前記高級感に溢れるグッドイヤウエルト式やマッケイ式の革靴が着用されている。
ところでこれら高級感に溢れる革靴は、表底革にも薄い革が多用されるため磨耗すると降雨時には縫い目部分から水が浸入し易く、これによる履き心地の悪さに加えて水漏れによる耐久性の劣化も招来される。更にグッドイヤウエルト式やマッケイ式での革靴は甲部材と中底及び表底材との縫合や、デザイン性の付与のため甲部材の随所に縫合やステッチによる縫い目模様も施されることから、これら縫い目部分からの浸水防止が重要な課題とされるに至っている。
而してかかる縫い目部分からの水浸防止策については、織物業界における帆布類の防水対策が先行技術として参考となるもので、該縫い目部分からの水の浸水は縫製に伴って使用素材に穿孔形成される縫い針により突刺形成される縫い目孔径と、該縫い目孔内を挿通され縫合される縫い糸の分径とによる分径差による空隙が原因とされる。従って合成繊維織物や合成樹脂シート材では、多数枚のはぎ合せ縫製に際しての縫い目部分に低粘度で接着性を有する所謂目止液を塗着浸透せしめて縫い目を閉塞させて浸水防止を図り、或いは縫い目に沿って防水粘着テープを貼着させ浸水防止を図ることが用いられており、且つこの技術を革靴に利用することも先願で開示されている。然るに革靴はその概略工程でも製甲、釣り込み、底付け、及び仕上げ工程に大別されるばかりか、それぞれの細部工程を含めると膨大数の工程に亘るものであるから、新たに目止液の塗着や乾燥、或いは防水粘着テープの貼着工程を付加することは、生産性の低下ばかりか大幅なコストアップを招来する結果ともなるために、実用使用には至っていない。
加えて他の手段として、甲革材の裏面に防水透湿フィルム層を積層したライニング材を重ねた甲革材と、防水性低融点熱可塑性樹脂層を靴底接着面にラミネートした中底材を用い、防水性低融点熱可塑性樹脂層が溶融する温度により甲革材を自己接着させて防水機能を保持させることも開示されているが、該手段も靴底接着面にラミネートされた中底材を用い、その防水性低融点熱可塑性樹脂層に甲革材を釣り込み、該防水性低融点熱可塑性樹脂層が溶融する温度で甲革材を自己接着させるもので、靴底と中底材との間やこの靴底及び中底材と甲革材との間が、防水性低融点熱可塑性樹脂層で溶融接着されるため、これら相互の接合側面からの雨水等の浸入は阻止されるものの、縫合に係わる縫い目空隙からの浸水には依然として対処できず、且溶融接着のための溶融工程も強いられる結果となる。
特開2007−29500号公報 実用新案公開平6−19513号公報 特開2006−218154号公報
考案者等はかかる問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式からなる縫合により形成される革靴の雨水等の浸入は、専ら縫合に伴う縫い目部分の空隙からなされるものであるから、該縫い目部分の空隙を浸水に伴い吸水膨潤により実質的に閉塞せしめる膨潤閉塞層を甲革材の裏面に塗着形成させ、若しくは縫合使用される縫い糸に膨潤コートを塗着形成させたうえ、この膨潤閉塞層が形成された甲革部材を使用し、若しくは膨潤コートが塗着形成された縫い糸を使用することにより、簡便且安価に防水性を保持する革靴が提供できることを究明し本考案に至った。
本考案はグッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により形成される革靴において、簡便で且安価に雨水等の浸水を防止しえる防水性に優れる革靴を提供することにある。
上述の課題を解決するために本考案が用いた技術的手段は、グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により縫合若しくは縫製形成される革靴において、甲革材の裏側に柔軟性と吸水膨潤性を保持し、且吸水により略5乃至15容積%割合で膨潤して浸水防止をなす膨潤閉塞層が強固且均質に塗着形成された膨潤閉塞層形成甲革材を用いた構造からなる防水性に優れる革靴に存するものであり、更にはグッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により縫合若しくは縫製形成される革靴において、縫合使用する縫い糸に柔軟性と係止性及び吸水膨潤性を保持する膨潤コートが形成されてなる縫い糸により縫合及び縫製が施された構造からなる防水性に優れる革靴、及び膨潤閉塞層形成甲革材と且膨潤コート縫い糸とにより形成された構造からなる、防止性に優れる革靴の構成に存する。
本考案は上述の如き構成からなるものであって、甲革材と中底及び表底とがグッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式の如く縫合や縫製されて形成される革靴において、甲革材の裏面に柔軟性と吸水膨潤性を保持する膨潤閉塞層が強固且均質に塗着形成された膨潤閉塞層甲革材が使用されたうえ縫合や縫製がなされるため、複雑多様な形状でも従来の装置や工程で簡便且容易に釣り込みがなされ且縫合や縫製もなしえる。そして縫合や縫製に際しては縫い糸が甲革材とその裏面に塗着形成される膨潤閉塞層を突刺し縫い目が形成され、且該縫い目内を縫い糸が挿通し絡合される。かくして降雨被水に伴いその水分がこの縫い目空隙より侵入する際、膨潤閉塞層が吸水し膨潤して縫い目空隙が閉塞されて防水が図られることとなる。
更には甲革材と中底及び表底とをグッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式の如く縫合や縫製されて形成される革靴において、縫い糸に柔軟性と係止性及び膨潤閉塞性を保持する膨潤コートが形成された膨潤コート縫い糸が使用された場合には、甲革材はもとより中底や表底を突刺形成される縫い目孔内に該膨潤コート縫い糸が挿通絡合されて縫合や縫製がなされるものであるから、雨水等による被水で該縫い目孔内に浸水しても膨潤コート縫い糸の膨潤コートが吸水膨潤して縫い目空隙が閉塞されて防水性が発揮される。そして該膨潤コート縫い糸には係止性も付与されるため、強靭で耐水性を保持する反面滑性の高いポリエステルやポリアミド素材を用いても、強固な縫合縫製がなしえる。
加えて甲革材に膨潤閉塞層形成甲革材と且縫い糸に膨潤コート縫い糸が用いられれば、相互の防水作用によって確実な防水が実現される。
加えて甲革材に膨潤閉塞層形成甲革材と且縫い糸に膨潤コート縫い糸が用いられれば、相互の防水作用によって確実な防水が実現される。
甲革材と中底及び表底材とを、グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により縫合や縫製させて形成する革靴において、甲革材の裏面に柔軟性と吸水膨潤性を保持する膨潤閉塞層が強固且均質に塗着形成された膨潤閉塞層形成甲革材が用いられた構造の防水性を保持する革靴。
以下に本考案実施例を図とともに詳細な説明をすれば、図1は本考察に用いる膨潤閉塞層形成甲革材1の断面説明図であって、該膨潤閉塞層形成甲革材1は甲部材の形成のために用いられる甲革材1Aの裏面に、柔軟性と且吸水膨潤性を保持する膨潤閉塞層1Bが強固且均質に塗着形成されている。かかる場合の甲革材1Aの代表的なものとしては牛皮を初め山羊皮、或いは羊皮等が挙げられる。
そしてこの甲革材1の裏面に塗着形成される膨潤閉塞層1Bは、甲革材1Aの保有する強伸度や屈撓性或いは触感等を阻害せぬような柔軟性と且甲材1Aとの強靭な塗着性のうえから、該膨潤閉塞層1Bの塗着成分10Bとしては、甲革材1Aの裏面の微細な凹凸内に侵入し且皮革素材との強靭な接着性並びに柔軟性と、更には取扱性の安全性より天然ゴムラテックス若しくは合成ゴムラテックスが挙げられる。
加えて該膨潤閉塞層1Bは、雨水等の接触と吸水により吸水膨潤させて図2及び図3に示すように縫合や縫製に際して甲革材1や中底及び表底2を突刺して穿孔させた縫い目3Aと、該縫い目3A内を挿通され絡合されて縫合される縫い糸3Cとの縫い目空隙3Bを膨潤により閉塞せしめる膨潤閉塞形成成分11Bとしては、アクリル酸樹脂やアクリル酸エステル樹脂等が挙げられるもので、これら膨潤成分11Bは吸水率で略90乃至93%を保持し吸水膨潤するものの、実用使用に際しては甲革材1Aと同様の性能を保持させておく必要上から、該膨潤閉塞形成成分11Bは吸水に伴い略5乃至15容積%程度に膨潤させることにより浸水防止が実現できることから、膨潤閉塞層1B全体に対して略7乃至20重量%程度に配合割合が目処となる。
加えて該膨潤閉塞層1Bは、雨水等の接触と吸水により吸水膨潤させて図2及び図3に示すように縫合や縫製に際して甲革材1や中底及び表底2を突刺して穿孔させた縫い目3Aと、該縫い目3A内を挿通され絡合されて縫合される縫い糸3Cとの縫い目空隙3Bを膨潤により閉塞せしめる膨潤閉塞形成成分11Bとしては、アクリル酸樹脂やアクリル酸エステル樹脂等が挙げられるもので、これら膨潤成分11Bは吸水率で略90乃至93%を保持し吸水膨潤するものの、実用使用に際しては甲革材1Aと同様の性能を保持させておく必要上から、該膨潤閉塞形成成分11Bは吸水に伴い略5乃至15容積%程度に膨潤させることにより浸水防止が実現できることから、膨潤閉塞層1B全体に対して略7乃至20重量%程度に配合割合が目処となる。
無論膨潤閉塞層塗着成分10Bは天然ゴムや合成ゴムのみに限定されるものでなく、酢酸ビニルやエチレンビニルアセテート樹脂等でも可能である。
更に合成ゴムとしては多岐に亘るものが開発されているが、本考案への使用においてはアクリロニトリル−ブタジエンゴムやクロロプレンゴム或いはアクリルゴム等が挙げられる。そして肝要なことは該膨潤閉塞層1Bを形成する膨潤閉塞層塗着成分10B及び膨潤閉塞形成成分11Bは、取扱安全性と且環境配慮のうえから水溶液所謂エマルジョン溶液として形成させたものを、予め甲革材1の裏面に塗着し乾燥したものを使用する。
更に合成ゴムとしては多岐に亘るものが開発されているが、本考案への使用においてはアクリロニトリル−ブタジエンゴムやクロロプレンゴム或いはアクリルゴム等が挙げられる。そして肝要なことは該膨潤閉塞層1Bを形成する膨潤閉塞層塗着成分10B及び膨潤閉塞形成成分11Bは、取扱安全性と且環境配慮のうえから水溶液所謂エマルジョン溶液として形成させたものを、予め甲革材1の裏面に塗着し乾燥したものを使用する。
本考案の課題を解決する手段としては、上述の如く甲革材1Aの裏面に膨潤閉塞層1Bを強固且均質に塗着形成させた膨潤閉塞層形成甲革材1を使用する方法の他に膨潤コート縫い糸3による方法が提案される。
即ち図4には膨潤コート縫い糸3の説明図が示されてなるもので、古くは縫い糸3Cとしては綿や麻等の素材が使用されていたものであるから、耐久性能や強靭性等による特性を活かして今日ではポリアミド系やポリエステル系合成繊維素材等からなる縫い糸3Cへと代替されている。
しかしながらかかる現状の縫い糸3Cでの縫合や縫製においては耐久性や強靭性に優れ且縫合性も良好であるものの、反面において縫合や縫製部分の縫着性や係止性に劣るばかりか、甲革材1Aと中底及び表底2とを突刺して穿孔させた縫い目3A内を挿通して絡合される縫い糸3Cとの縫い目空隙3Bからは、雨水等の被水により容易に浸水する問題を抱えている。
即ち図4には膨潤コート縫い糸3の説明図が示されてなるもので、古くは縫い糸3Cとしては綿や麻等の素材が使用されていたものであるから、耐久性能や強靭性等による特性を活かして今日ではポリアミド系やポリエステル系合成繊維素材等からなる縫い糸3Cへと代替されている。
しかしながらかかる現状の縫い糸3Cでの縫合や縫製においては耐久性や強靭性に優れ且縫合性も良好であるものの、反面において縫合や縫製部分の縫着性や係止性に劣るばかりか、甲革材1Aと中底及び表底2とを突刺して穿孔させた縫い目3A内を挿通して絡合される縫い糸3Cとの縫い目空隙3Bからは、雨水等の被水により容易に浸水する問題を抱えている。
そこでポリアミド系やポリエステル系合成繊維素材等からなる縫い糸3Cの全体に亘って、縫合や縫製に際して強固な縫着性並びに係止性を付与せしめるうえから、非滑性で剛性を保持し且吸水による膨潤で縫い目空隙3Bを閉塞せしめて防水を図るための膨潤コート30Cが全体に浸透塗着されている。
即ちこの膨潤コート30Cは、一方において縫い糸3Cの素材たるポリアミド系やポリエステル系等の合成繊維素材の全体に亘って十分な塗着強度を以って浸透塗着でき、且非滑性と剛性を付与せしめるうえから、塗着成分31としてはポリエステル系やポリエステルとアクリル共重合系或いはポリウレタン系樹脂素材が望ましい。
即ちこの膨潤コート30Cは、一方において縫い糸3Cの素材たるポリアミド系やポリエステル系等の合成繊維素材の全体に亘って十分な塗着強度を以って浸透塗着でき、且非滑性と剛性を付与せしめるうえから、塗着成分31としてはポリエステル系やポリエステルとアクリル共重合系或いはポリウレタン系樹脂素材が望ましい。
更に該膨潤コート30Cの膨潤成分32としては、前記膨潤閉塞層1Bを形成する膨潤閉塞成分11Bと同様に、その吸水率が略90乃至93%割合で保持し吸水膨潤する素材が好適であることから、アクリル酸樹脂やアクリル酸エステル樹脂が望ましく、且吸水に伴って該膨潤コート30Cを略5乃至15容積%程度に膨潤させることで浸水防止が実現できることから、この配合割合としては略7乃至20重量%割合程度の割合が目処となる。
当然のことながら膨潤コート縫い糸3の形成に際しては、ポリアミド系やポリエステル系合成繊維素材等により撚製された縫い糸3Cに塗着成分31と膨潤成分32とが所要の割合で混合されたエマルジョン溶液中を浸漬流通せしめて塗着のうえ乾燥せしめて膨潤コート30Cを形成させるものである。
当然のことながら膨潤コート縫い糸3の形成に際しては、ポリアミド系やポリエステル系合成繊維素材等により撚製された縫い糸3Cに塗着成分31と膨潤成分32とが所要の割合で混合されたエマルジョン溶液中を浸漬流通せしめて塗着のうえ乾燥せしめて膨潤コート30Cを形成させるものである。
本考案は上述の如く、その課題を解決する技術構成として甲革材1Aと中底及び表底材2がグッドイヤフェルト式若しくはマッケイ式による縫合や縫製により形成される革靴において、甲部材を形成する甲革材1Aに膨潤閉塞層形成甲革材を用いた構成となすか、或いは甲革材1Aと中底及び表底材2がグッドイヤフェルト式若しくはマッケイ式により縫合や縫製されて形成される革靴において、縫合縫製する縫い糸3Cに膨潤コート縫い糸3を用いた構造によっても目的が達成される。従って当然のことながら甲革材1Aに膨潤閉塞層形成甲革材1を使用し、且縫い糸3Cも膨潤コート縫い糸3を使用することで、防水性を一段と確実になすことも可能となる。
以下に本考案による防水性の試験結果を述べるものであるが、革靴における防水性は靴の履き心地と重要な関係を有するものであって、とりわけ合成皮革は足が蒸れると言われ、この事由は合成皮革の吸水度、吸湿度或いは透湿度が天然皮革に劣るためである。反面合成皮革は耐水性において天然皮革よりはるかに優れているので、レインシューズ代りにも履ける所以である。更に吸水度でみると天然皮革と合成皮革とではあまり大差がない。しかしながら吸湿度については合成皮革は天然皮革より著しく劣るもので、これが靴の場合において足が蒸れる原因の一つになっている。
加えて足の蒸れる原因には透湿性が挙げられ、この透湿性を天然皮革で見ると厚さが厚くなる程、吸湿性は良いが透湿性が悪くなる。成牛甲革と仔牛甲皮では仔牛皮は吸湿度は小さいが、透湿度が大きなため足の蒸れが少ない靴となる。更に天然皮革でもガラス張り成牛甲革は表面に樹脂被膜があるので、透湿度が1.0mg/cm2hr程度であるものの、人工皮革では略1.4mg/cm2hrと悪く、吸湿度では15mg/cm3に比べ人工皮革では、略3.0mg/cm3であるから、吸湿度が極めて大きく蒸れの少ない靴となる。従って本考案における防水性とは浸水による履き心地の悪さや蒸れの防止にあるから、透湿度並びに吸湿度の対比で判断される。
革の透湿度試験方法がJISK6549に規程されていることから、該透湿度試験方法に準じて透湿度並び吸湿度を測定してみると、試験に用いた甲革材は仔牛甲革の厚さ0.92mm、重さ59mg/cm2、見掛比重0.64mg/cm3及び耐水度hr(2min)の物を用いた。
試験に用いた試料は膨潤閉塞層形成甲革材においては、甲革材の裏面に塗着成分として天然ゴム80重量%に膨潤閉塞成分としてアクリル酸樹脂20重量%割合で配合のうえ、この全体量に対して水分55重量%割合の構成からなるエマルジョン状塗着剤となしたうえ膨潤閉塞層を厚さ0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm及び0.5mmで塗着形成させたものを、それぞれ試料1、試料2、試料3、試料4及び試料5とし未塗着のものを対照とした。
試験に用いた試料は膨潤閉塞層形成甲革材においては、甲革材の裏面に塗着成分として天然ゴム80重量%に膨潤閉塞成分としてアクリル酸樹脂20重量%割合で配合のうえ、この全体量に対して水分55重量%割合の構成からなるエマルジョン状塗着剤となしたうえ膨潤閉塞層を厚さ0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm及び0.5mmで塗着形成させたものを、それぞれ試料1、試料2、試料3、試料4及び試料5とし未塗着のものを対照とした。
更に膨潤コート縫い糸による試料は、ポリエステル合成繊維素材からなる分径1mmの縫い糸の全面に、膨潤コートの厚さが0.05mmで且塗着成分がポリウレタン樹脂からなり、この塗着成分に対し膨潤成分としてアクリル酸樹脂を20重量%、40重量%及び60重量%割合でそれぞれ配合し、この全体量に対して水分55重量%割合のエマルジョン状塗着剤を塗着乾燥させて形成したものを用い、アクリル酸樹脂が20重量%のものを試料A、40重量%のものを試料B、60重量%のものを試料Cとし縫い糸のみを対照としたもので、結果は表1の如くである。尚試験に用いた試料の縫製条件は、分径1mmの縫い糸で4ステッチ/cmの密度で縫製したものを使用した。
現状の製甲装置や製甲工程を何等変更することなく実用使用できる。
1 膨潤閉塞層形成甲革材
1A 甲革材
1B 膨潤閉塞層
10B 膨潤閉塞層塗着成分
11B 膨潤閉塞形成成分
2 中底及び表底
3 膨潤コート縫い糸
3A 縫い目
3B 縫い目空隙
3C 縫い糸
30C 膨潤コート
31 膨潤コートの塗着成分
32 膨潤コートの膨潤成分
1A 甲革材
1B 膨潤閉塞層
10B 膨潤閉塞層塗着成分
11B 膨潤閉塞形成成分
2 中底及び表底
3 膨潤コート縫い糸
3A 縫い目
3B 縫い目空隙
3C 縫い糸
30C 膨潤コート
31 膨潤コートの塗着成分
32 膨潤コートの膨潤成分
Claims (3)
- グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により、甲革材と中底及び表底とが縫合や縫製されて形成される革靴において、甲革材の裏面に吸水に伴い5乃至15容積%割合で膨潤しえる膨潤閉塞層が強固且均質に塗着形成された膨潤閉塞層形成甲革材が用いられた構造からなる、防水性に優れる革靴。
- グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により、甲革材と中底及び表底とが縫合や縫製されて形成される革靴において、縫い糸の全体に亘って吸水に伴い5乃至15容積%割合で膨潤しえる膨潤コートが塗着形成された、膨潤コート縫い糸で縫合若しくは縫製された構造からなる、防水性に優れる革靴。
- グッドイヤウエルト式若しくはマッケイ式により甲革材と中底及び表底とが縫合や縫製されて形成される革靴において、甲革材が請求項1記載の膨潤閉塞層形成甲革材で、且縫い糸が請求項2記載の膨潤コート縫い糸により縫合や縫製された構造からなる、防水性に優れる革靴。
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CN114190649A (zh) * | 2021-12-22 | 2022-03-18 | 广州大草原鞋业有限公司 | 一种防水登山鞋的制作工艺 |
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CN114190649A (zh) * | 2021-12-22 | 2022-03-18 | 广州大草原鞋业有限公司 | 一种防水登山鞋的制作工艺 |
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