JP2003266468A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法

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JP2003266468A JP2002123226A JP2002123226A JP2003266468A JP 2003266468 A JP2003266468 A JP 2003266468A JP 2002123226 A JP2002123226 A JP 2002123226A JP 2002123226 A JP2002123226 A JP 2002123226A JP 2003266468 A JP2003266468 A JP 2003266468A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高剛性のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用
いた高剛性の型内発泡粒子成形体を、工業的に有利に製
造する方法を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子形成体を
製造する方法において、引張弾性率が1200MPa以
上のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とするポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子を金型の成形空間部に充填し、次い
で該金型内にスチームを供給して該発泡粒子を加熱融着
せしめる際に、該成形空間部の発泡粒子の所定の成形圧
力の50%に相当する圧力に達するまでの昇圧速度が
0.030MPa/sec以上であり、かつ、該所定の
成形圧力に達するまでの昇圧速度が0.025MPa/
sec以上であることを特徴とする、ポリプロピレン系
樹脂発泡粒子成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂発泡粒子成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
は、プロピレンの持つ機械強度、耐熱性、耐薬品性、易
リサイクル性等の優れた特性を損なうことなく、更に、
緩衝性、断熱性等の特性を付加できる事から、包装材
料、建築材料等、幅広い産業分野で利用されている。特
に、ポリプロピレン系樹脂より予備発泡粒子を作製し、
これを開閉可能な金型内に充填してスチームにより加熱
して融着せしめた、いわゆるビーズ法型内発泡成形体
は、その優れた緩衝特性、賦型性から、自動車バンパー
芯材、ドアパッド等のエネルギーアブソーバー材(以下
E/A材ともいう)として広く使用されている。
【0003】近年、このE/A材については、衝突安全
基準の厳格化や、燃費向上を目指した重量軽減から、よ
り高剛性なものが求められている。高剛性なポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子成形体を得るには、一般的に基材樹
脂を高剛性化する事が挙げられる。高剛性のポリプロピ
レン系樹脂としては、共重合成分であるエチレンやブテ
ンといったコモノマーの組成比の少ないプロピレン系共
重合体又はプロピレン単独重合体が知られており、これ
ら原料を用いることで高剛性のポリプロピレン系樹脂発
泡粒子成形体を得ることが可能であった。しかし、一般
的に高剛性のポリプロピレン系樹脂は剛性と同時にその
軟化温度、融解温度が上昇するものであり、これら高剛
性の原料を用いた予備発泡粒子を用いて、発泡粒子成形
体を製造する場合、十分に2次発泡し且つ融着した発泡
成粒子形体を得るには必然的に加工温度が高くなる。す
なわち成形には高圧のスチームを必要とするものであっ
た。
【0004】従来、EPP成形体(ポリプロピレン系樹
脂発泡粒子成形体)を製造するための成形機は高い成形
温度に対応する構造、即ち高圧のスチームに耐えうる構
造となっているが、上記のような高剛性のポリプロピレ
ン系樹脂から得られた高剛性の予備発泡粒子を用いて、
発泡粒子成形体を製造する場合、十分な2次発泡、融着
率を得るには成形機の耐圧以上の圧力のスチームを必要
とする場合が多くあった。更にこの様な高圧のスチーム
による成形では成形サイクルが長くなり、発泡粒子成形
体を効率的に生産できるとは言い難いものであった。
【0005】上記の様な予備発泡粒子の2次発泡不足を
改善する方法としては、発泡粒子に気泡内圧を付与する
方法が挙げられる。しかし成形サイクルが長くなるとい
った問題があり、又、厚みのある発泡粒子成形体を得よ
うとした場合、その成形体の内部が融着不良となる虞が
ある。又、本発明者らは上記の様な予備発泡粒子の融着
性改良を改善する方法として、先に有機過酸化物が存在
する分散媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子を分散させ
ると共に、該分散媒体を該ポリプロピレン系樹脂粒子の
基材樹脂融点よりも低温であって且つ該有機過酸化物が
実質的に分解する温度に保持して該有機過酸化物を分解
させることによって形成した実質的に無架橋の表面改質
粒子から得られた発泡粒子が、低温のスチームで発泡粒
子間の融着を達成することができ且つ剛性にすぐれたポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を与えることを見出
した(特願2001−285537号)。しかし、この
発泡粒子を用いて、発泡粒子成形体を製造する場合、発
泡粒子相互の融着性は改善されるものの、発泡粒子相互
の空隙が多く成形体の表面が凹凸となる等の2次発泡性
については改善されているとは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高剛性のポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子を用いた高剛性の発泡粒子
成形体を、工業的に有利に製造する方法を提供すること
をその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、成形空間部の発泡
粒子の昇圧速度が特定の値とすることによって融着性及
び2次発泡性共に良好な型内成形体を得られることが分
かり、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれ
ば、以下に示すポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の
型内成形方法が提供される。 (1)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子形成体を製造する
方法において、引張弾性率が1200MPa以上のポリ
プロピレン系樹脂を基材樹脂とするポリプロピレン系樹
脂発泡粒子を金型の成形空間部に充填し、該成形空間部
内にスチームを供給して該発泡粒子を加熱融着せしめる
際に、該成形空間部において所定の成形圧力の50%に
相当する圧力に達するまでの昇圧速度が0.030MP
a/sec以上であり、かつ、該所定の成形圧力に達す
るまでの昇圧速度が0.025MPa/sec以上であ
ることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成
形体の製造方法。 (2)該成形空間部内にスチームを供給して発泡粒子を
加熱して融着せしめる際に、所定の成形圧力に達した後
に、該成形圧力から該成形圧力より0.020MPaを
引いた圧力の範囲内でで5秒以上の保持を行うことを特
徴とする前記(1)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡
粒子成形体の製造方法。 (3)該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、実質的に無
架橋の発泡粒子であって、示差走査熱量測定によるDS
C曲線における該ポリプロピレン系樹脂の融解熱に由来
する固有の吸熱曲線ピークよりも高温側に吸熱曲線ピー
クが存在する発泡粒子であることを特徴とする前記
(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒
子成形体の製造方法。 (4)該ポリプロピレン系樹脂を発泡粒子は、示差走査
熱量測定によるDSC曲線における該ポリプロピレン系
樹脂の融解熱に由来する固有の吸熱曲線ピークよりも高
温側に吸熱曲線ピークが存在する実質的に無架橋の発泡
粒子であって、該発泡粒子の表層部分の高温側に存在す
る吸熱曲線ピークの熱量(ΔH)と該発泡粒子の内部
発泡層の高温側に存在する吸熱曲線ピークの熱量(ΔH
)との関係がΔH<ΔH×0.86である発泡粒
子であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれ
かに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造
方法。
【0008】
【発明の実施の形態】使用されるポリプロピレン系樹脂
粒子の基材樹脂(以下「本基材樹脂」ということがあ
る)は、引張弾性率が1200MPa以上のポリプロピ
レン系樹脂である。このようなポリプロピレン系樹脂と
しては、ポリプロピレン単独重合体、またはプロピレン
成分を60モル%以上含有する(好ましくはプロピレン
成分を80モル%以上含有する)プロピレンと他のコモ
ノマーとの共重合体のいずれか、あるいはこれらの樹脂
の中から選ばれる2種以上の混合物である。
【0009】プロピレン成分を60モル%以上含有する
プロピレンと他のコモノマーとの共重合体としては、例
えば、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチ
レン−プロピレンブロックコポリマー、プロピレン−ブ
テンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテ
ンランダムコポリマーなどが例示される。
【0010】前記した中でも引張弾性率が1200MP
a以上とするには、ポリプロピレン単独重合体またはプ
ロピレンと他のコモノマーとの共重合体においてコモノ
マーの成分を少なくすればよい。上記引張弾性率はEP
P成形体の圧縮強度等の機械的物性を高いものとする上
で1250MPa以上が好ましく、1300MPa以上
がより好ましい。その上限は、特に制限はないが250
0MPa程度である。
【0011】前記した引張弾性率は、本基材樹脂を用い
てJIS K 7162(1994)にしたがって以下
の条件にて測定された値である。 ・試験片 JIS K 7162(199
4)記載の試験片1A形(射出成形で直接成形) ・試験速度 1mm/min
【0012】前記した特定の引張弾性率のポリプロピレ
ン系樹脂の中でも、本基材樹脂の融点は、最終的なEP
P成形体(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体)の圧
縮強度等の機械的物性を高いものとする点と耐熱性に優
れるものとする点で、145℃以上であることが好まし
く、155℃以上であることがより好ましく、160℃
以上であることが更に好ましい。融点の上限値は、通
常、170℃程度である。更に、本基材樹脂は、メルト
フローレイト(MFR)が1〜100g/10分である
ことが好ましい。そのMFRが1g/10分未満である
と、型内成形時の成形スチーム温度をより低くする効果
が不充分となる虞がある。また、そのMFRが100g
/10分を超えると、得られた型内成形体が脆くなって
しまう虞がある。このような観点から、本基材樹脂のM
FRは10g/10分〜70g/10分であることが好
ましい。尚、MFRはJIS K7210(1976
年)の試験条件14で測定された値である。
【0013】本発明においては、ポリプロピレン系樹脂
粒子中に、機械的物性を損なわない範囲内において、前
記した特定のポリプロピレン系樹脂以外のポリプロピレ
ン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂又
は/及びエラストマーを添加することができる。前記し
た特定のポリプロピレン系樹脂以外のポリプロピレン系
樹脂、ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂又は/
及びエラストマーの添加量は、ポリプロピレン系樹脂1
00重量部当り、多くても35重量部であることが好ま
しく、多くても20重量部であることがより好ましく、
多くとも10重量部であることが更に好ましく、多くて
も5重量部であることが最も好ましい。。
【0014】ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂
としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖
状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタク
リル酸共重合体等のエチレン系樹脂、或いはポリスチレ
ン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン系
樹脂等が例示される。
【0015】また上記エラストマーとしては、エチレン
−プロピレンゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピ
レン−1−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴムやそ
の水添物、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリル
ゴム、或いはスチレン−ブタジエンブロック共重合体エ
ラストマーやその水添物等のエラストマーが例示され
る。
【0016】なお、本基材樹脂中には、所望に応じて各
種添加剤を含有させることができる。このような添加剤
としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電
防止剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、核剤、あ
るいは気泡調整剤等を挙げることができる。気泡調整剤
としては、たとえばホウ酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウ
ム、ホウ砂、水酸化アルミニウムなどの無機粉体が例示
される。これらの添加剤は、合計で本基材樹脂100重
量部当り20重量部以下、特に5重量部以下で使用され
るのが好ましい。またこれらの添加剤は例えば、押出機
により押出したストランドを切断する等して発泡粒子用
ポリプロピレン系樹脂粒子(以下「本樹脂粒子」という
ことがある)を製造する際に、押出機内で溶融した本基
材樹脂に添加、混練することによって本樹脂粒子中に含
有させることができる。
【0017】尚、本樹脂粒子としては、本基材樹脂を押
出機内で溶融して押出したストランドを切断して本樹脂
粒子を製造する場合、押出直後のストランドを急冷する
ことが好ましい。特に、表面改質された発泡粒子を得よ
うとする場合、急冷された本樹脂粒子を用いることによ
り、後述する表面改質を効率よく行なうことができる。
その押出直後のストランドの急冷は、そのストランドを
押出し直後に、好ましくは50℃以下に調節された水中
に、より好ましくは40℃以下に調節された水中に、最
も好ましくは30℃以下に調節された水中に入れること
により行なうことができる。そして充分に冷却されたス
トランドは水中から引き上げられ、適宜長さに切断する
ことにより、所望の大きさの本樹脂粒子になされる。本
樹脂粒子は、通常、長さ/直径比が0.5〜2.0、好
ましくは0.8〜1.3となるように調節され、また1
個当たりの平均重量(無作為に選んだ200個の重量を
同時に測定した1個当たりの平均値)は、0.1〜20
mgとなるように、好ましくは0.2〜10mgとなる
ように調節される。
【0018】後述する表面改質工程で使用される分散媒
体は、一般には水性媒体、好ましくは水が使用され、よ
り好ましくはイオン交換水が使用されるが、水に限らず
本基材樹脂を溶解せず且つ本樹脂粒子の分散が可能な溶
媒又は液体であれば使用することができる。水以外の分
散媒体としては、例えば、エチレングリコール、グリセ
リン、メタノール、エタノール等が挙げられる。水性媒
体には、水と有機溶媒、例えば前記アルコールとの混合
液が包含される。
【0019】本樹脂粒子からその表面を改質してもしな
くても構わないが、表面が改質された発泡粒子を得るた
めの好ましい方法は、表面改質工程と発泡工程(発泡剤
含浸工程+樹脂粒子発泡工程)とからなる方法である
(以下、方法Aとも言う)。表面改質工程では、有機過
酸化物が存在する分散媒体中に本樹脂粒子を分散させる
と共に、得られた分散体を本樹脂粒子の基材樹脂融点よ
りも低温であって且つ該有機過酸化物が実質的に分解す
る温度に保持して該有機過酸化物を分解させることによ
って本樹脂粒子の表面を改質して実質的に無架橋の表面
改質粒子を得る。このようにして得られる表面改質粒子
は、これを次の発泡工程において、発泡剤を用いて発泡
させて実質的に無架橋の発泡粒子に変換させることがで
きる。このようにして得られる発泡粒子は、熱融着性に
すぐれ、低温のスチームでその発泡粒子間の融着を行う
ことができる。また、この発泡粒子は、これを成形型に
充填し、スチームで加熱することにより、剛性にすぐれ
たEPP成形体を得ることができる。
【0020】前記有機過酸化物としては、従来公知の各
種のもの、例えば、イソブチルパーオキシド、クミルパ
ーオキシネオデカノエート、α,α’−ビス(ネオデカ
ノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−n−
プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパ
ーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メ
チルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,
3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカ
ーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカー
ボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカー
ボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、
ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−
メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−
ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ヘキシルパーオ
キシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オ
クタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ス
テアロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、サクシ
ニックパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−
シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート、m−トルオイルベンゾイルパーオキ
シド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ
イソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−
ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカ
ン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネ
ート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパ
ーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t
−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネ
ート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサ
ン等が例示される。前記有機過酸化物は、単独でまたは
2種以上を併用して、本樹脂粒子100重量部当り、通
常、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重
量、より好ましくは0.1〜3重量部を分散媒体中に添
加して使用される。上記有機過酸化物と本樹脂粒子と分
散媒体からなる分散体において、本樹脂粒子/分散媒体
の重量比が大きくなりすぎると本樹脂粒子に対して均一
な表面改質が行なえなくなる虜があり、その結果とし
て、得られる発泡粒子に充分な低温成形性を付与できな
い虜がある。そのような観点から、本樹脂粒子/分散媒
体の重量比は1.3以下であることが、好ましく、1.
2以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましく、
1.0以下が最も好ましい。ただし、この重量比があま
りにも小さくなりすぎると、本樹脂粒子に対する有機過
酸化物の使用量を増やさなければ得られる発泡粒子に充
分な低温成形性を付与できない虜がある。有機過酸化物
の使用量の増加はコストアップにもつながる。有機過酸
化物の使用量をより少なくする上で、本樹脂粒子/分散
媒体の重量比は0.6以上であることが好ましく、0.
7以上であることがより好ましい。
【0021】一般に、有機過酸化物が発生するラジカル
には水素の引き抜き、付加、β崩壊の3種の連鎖移動作
用がある。本発明においては、その3つの作用のうち特
に付加の作用が大きいもの、即ち、分解時に酸素ラジカ
ルを発生するものが特に好ましく、その中でもカーボネ
ート構造を有するパーオキシドが最も好ましい。尚、該
有機過酸化物を使用する際、必要に応じて連鎖移動剤等
を併用(予じめ本樹脂粒子中に含有させておくか又は/
及び分散媒体中に添加して併用)することも可能であ
る。なお、前記酸素ラジカルは、酸素単体のラジカルの
他、有機過酸化物の分解により生じた有機基が結合した
酸素ラジカルを意味する。
【0022】従来、ポリプロピレンに対する有機過酸化
物の用途としては、次の〜の利用方法が知られてい
る。 ポリプロピレン粒子に有機過酸化物と架橋助剤を均質
に含浸させてポリプロピレンの融点を超える温度で上記
有機過酸化物を分解させてポリプロピレンを架橋させ
る。 ポリプロピレンと有機過酸化物とを含む組成物をポリ
プロピレンの融点を超える温度で押出機内で均一に溶融
混練して上記有機過酸化物を均質に分解させ、それによ
って分子量分布の狭くなったポリプロピレンを得る(特
開平3−152136号)。 ポリプロピレン粒子に有機過酸化物と架橋助剤を均質
に含浸させてポリプロピレンの融点未満の温度で上記有
機過酸化物を分解させることによってポリピロピレンに
長鎖分岐又は架橋構造を導入してポリプロピレンの溶融
張力を高める(特開平11−80262号)。この溶融
張力が高められたポリプロピレンはその後、押出機内で
発泡剤と共に溶融混練されて押出発泡に使用される。 ポリプロピレンと有機過酸化物と無水マレイン酸を含
む組成物をポリプロピレンの融点を超える温度で押出機
内で均一に溶融混練してグラフト重合させる。有機過酸
化物の従来の利用法は、いずれも、熱融着性にすぐれた
EPP粒子を得るために、そのEPP粒子の製造に先立
ち、有機過酸化物が存在する分散媒体中にポリプロピレ
ン系樹脂粒子を分散させると共に、該分散液を該ポリプ
ロピレン系樹脂粒子の基材樹脂融点よりも低温であって
且つ該有機過酸化物が実質的に分解する温度に保持して
該有機過酸化物を分解させることによって該ポリプロピ
レン系樹脂粒子の表面を改質して実質的に無架橋の表面
改質粒子を得る前記方法Aによる利用法とは相違する。
【0023】前記有機過酸化物は、本基材樹脂の融点よ
りも低温で実質的に分解させる。従って、該有機過酸化
物の1時間半減期温度(有機過酸化物を1時間で半分に
分解させる温度)は、本基材樹脂のビカット軟化点(J
IS K 6747−1981、以下同じ)以下である
ことが好ましい。使用する有機過酸化物の1時間半減期
温度が本基材樹脂のビカット軟化点を超える場合には、
その過酸化物の分解を迅速に行なうには本基材樹脂の融
点以上の高温が必要となるので好ましくないし、場合に
よっては、本基材樹脂の融点よりも低温で実質的に分解
させることができなるので好ましくない。そして該過酸
化物を本基材樹脂の融点以上の高温で実質的に分解させ
ると、該過酸化物が本樹脂粒子の奥深くまで浸透した状
態で分解するため、本樹脂粒子を構成する本基材樹脂が
表面、内部を問わず全体的に大きく分解してしまうの
で、場合によっては、成形に使用できないEPP粒子し
か得ることができなくなる虞があり、また成形できたと
しても最終的に得られるEPP成形体の機械的物性が大
きく低下してしまう虞がある。
【0024】以上のことを考慮すると、前記方法Aで使
用される有機過酸化物は、1時間半減期温度が本基材樹
脂のビカット軟化点よりも20℃以上低温であることが
好ましく、本基材樹脂のビカット軟化点よりも30℃以
上低温であることがより好ましい。尚、該1時間半減期
温度は、本基材樹脂のガラス転移温度以上であることが
好ましく、取り扱い性等を考慮すると、40〜100℃
であることがより好ましく、50〜90℃であることが
更に好ましい。上記ガラス転移温度は、JISK712
1−1987に従って、試験片の状態調節を「一定の
熱処理を行なった後、ガラス転移温度を測定する場合」
とし、熱流束DSCにより求めた中間点ガラス転移温度
を意味する。また、該過酸化物は、本樹脂粒子が存在す
る分散媒体中で、本基材樹脂のビカット軟化点以下で実
質的に分解させることが好ましく、本基材樹脂のビカッ
ト軟化点よりも20℃以上低温で実質的に分解させるこ
とがより好ましく、本基材樹脂のビカット軟化点よりも
30℃以上低温で実質的に分解させることが更に好まし
い。該有機過酸化物は、該有機過酸化物の1分間半減期
温度(一定温度で有機化酸化物を分解させた際、理論活
性酸素量が1分間で当初の半分になるときのその温度〉
±30℃の温度範囲に10分以上保持して実質的に分解
させることが特に好ましい。〔1分間半減期温度−30
℃〕よりも低温度で分解させようとする場合、分解させ
るのに長時間を要してしまうので効率が悪くなってしま
う。逆に〔1分間半減期温度+30℃〕よりも高温度で
分解させようとする揚合、分解が急激となってしまう虞
があり、表面改質の効率を悪くする虞がある。また、1
分間半減期温度±30℃の範囲に10分以上保持すれ
ば、有機過酸化物を実質的に分解させることが容易とな
る。1分間半減期温度±30℃の範囲での保持時間は長
くなるほどより確実に有機過酸化物を分解させることが
できるが、ある時間以上はもはや必要ない。必要以上の
長時間は生産効率の低下をまねく。上記温度範囲での保
持時間は通常は長くても60分にとどめるべきである。
有機過酸化物を分解させるには、最初に有機過酸化物が
分解しにくい温度に調整された上記分散体を用意し、次
にその分散体を上記有機過酸化物の分解温度に加熱すれ
ばよい。この際、1分間半減期温度±30℃の範囲に1
0分以上保持されるように昇温速度を選択すればよい
が、1分間半減期温度±30℃の範囲内の任意の温度で
止めてその温度を5分以上保持することがより好まし
い。その際の任意の温度としては、1分間半減期温度±
5℃内の温度が最も好ましい。
【0025】また、実質的に分解させるとは、使用した
過酸化物の理論活性酸素量が当初の50%以下になるま
で分解させることを意味するが、その理論活性酸素量が
当初の30%以下になるまで分解させることが好まし
く、その理論活性酸素量が当初の20%以下になるまで
分解させることがより好ましく、その理論活性酸素量が
当初の5%以下になるまで分解させることが更に好まし
い。尚、有機過酸化物の上記半減期温度は、ラジカルに
対して比較的不活性な溶液(例えばベンゼンやミネラル
スピリット等)を使用して、0.1mol/L濃度の有
機過酸化物溶液を調整し、窒素置換を行なったガラス管
内に密封し、所定温度にセットした恒温槽に浸し、熱分
解させて測定される。
【0026】上記処理粒子は実質的に無架橋である。前
記方法Aでは架橋助剤等を併用しないので実質的に架橋
は進行しない。尚、実質的に無架橋であるとは、次のと
おり定義される。即ち、基材樹脂、本樹脂粒子、表面改
質粒子、EPP粒子、EPP成形体を問わず、それぞれ
を試料とし(キシレン100g当たり試料1g使用)、
これを沸騰キシレン中に8時間浸漬後、標準網フルイを
規定しているJISZ8801(1966年)に定めら
れている網目74μmの金網で速やかに濾過し、該金網
上に残った沸騰キシレン不溶分の重量を測定する。この
不溶分の割合が試料の10重量%以下の場合を実質的に
無架橋というが、その不溶分の割合は、試料の5重量%
以下であることが好ましく、3重量%以下であることが
より好ましく、1重量%以下であることが最も好まし
い。その不溶分の割合が少ないほど再利用し易い。不溶
分の含有率P(%)を式で表すと下式の通りである。 P(%)=(M÷L)×100 ただし、Mは不溶分の重量(g)、Lは試料の重量
(g)である。
【0027】樹脂粒子は、上記した通り、表面を改質す
る場合、有機過酸化物を分解させて樹脂粒子の表面を改
質してから、発泡粒子の製造に供される。発泡粒子は、
樹脂粒子を発泡剤の存在下に密閉容器内で分散媒体に分
散させながら加熱及び加熱条件下で樹脂粒子に発泡剤を
含浸せしめ(発泡剤含浸工程)、次いで、除圧した際に
発泡粒子が生成する温度で、樹脂粒子と分散媒体とを低
圧帯域に放出することにより発泡粒子を得る(樹脂粒子
発泡工程)方法(以下「分散媒放出発泡方法」という)
により製造することが好ましい。
【0028】上記表面を改質する場合、表面改質粒子を
形成する表面改質工程と、その表面改質粒子から発泡粒
子を得る発泡工程(発泡剤含浸工程+樹脂粒子発泡工
程)とは、それぞれ別の装置で別な時期に実施すること
も可能であるが、分散媒放出発泡方法を採用すると、適
当な分解温度を持つ上記有機過酸化物を密閉容器内の分
散媒体に所定量添加して上記表面改質工程を行い、続い
て同じ容器内で表面改質粒子に発泡剤を含浸させて通常
の分散媒放出発泡方法による発泡工程を行なうことによ
って表面改質粒子から発泡粒子を得ることもできる。
【0029】前記表面を改質する場合、表面改質粒子、
ひいてはそれから得られるEPP粒子(ポリプロピレン
系樹脂発泡粒子)やEPP成形体中には、前記有機過酸
化物の分解に伴なって生成される分子量50以上のアル
コールが数百ppm乃至数千ppm程度含有され得る。
そのようなアルコールとしては、例えば、ビス(4−t
−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが
使用された場合には、P−t−ブチルシクロヘキサノー
ルが表面改質粒子中に含有され得る。他の過酸化物が使
用された場合には他のアルコールが含有され得る。その
ようなアルコールとしては、例えば、イソプロパノー
ル、S−ブタノール、3−メトキシブタノール、2−エ
チルヘキシルブタノール、t−ブタノールが例示され
る。
【0030】上記分散媒放出発泡方法では、容器内の加
熱下の樹脂粒子が容器内で互いに融着しないように、分
散媒体中に分散剤を添加することが好ましい。そのよう
な分散剤としては、樹脂粒子の容器内での融着を防止す
るものであればよく、有機系、無機系を問わず使用可能
であるが、取り扱いのし易さから微粒状無機物が好まし
い。例えば、アムスナイト、カオリン、マイカ、クレー
等の天然又は合成粘土鉱物や、酸化アルミニウム、酸化
チタン、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭
酸カルシウム、酸化鉄等を1種または数種の組み合わせ
で使用する事ができる。
【0031】更に、上記分散媒放出発泡方法において
は、分散剤の分散力を強化する(分散剤の添加量を少な
くしても容器内で表面改質粒子同志の融着を防止する)
分散強化剤を分散媒体中に添加してもよい。このような
分散強化剤は、40℃の水100ccに対して少なくと
も1mg以上溶解し得る無機化合物であって、該化合物
の陰イオンまたは陽イオンの少なくとも一方が2価また
は3価である無機物質である。このような無機物質とし
ては、たとえば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミ
ニウム、硫酸アルミニウム、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄等
が例示される。見かけ密度が100g/L以上の低発泡
の成形用EPP粒子を製造する場合には、その使用が好
ましい。
【0032】通常、樹脂粒子100重量部当り、分散剤
は0.001〜5重量部程度で使用され、分散強化剤は
0.0001〜1重量部程度で使用される。
【0033】前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造
工程において用いる発泡剤としては、プロパン、ブタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロ
ブタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、ク
ロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,2−ジフロ
ロエタン、1,2,2,2−テトラフロロエタン、メチ
ルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド
等のハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤や、窒
素、酸素、空気、二酸化炭素、水といったいわゆる無機
系物理発泡剤が例示される。有機系物理発泡剤と無機系
物理発泡剤を併用することもできる。本発明において
は、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水の群から選択さ
れる1又は2以上の無機系物理発泡剤を主成分とするも
のが特に好適に使用される。その中でも発泡粒子の見か
け密度の安定性、環境負荷やコストなどを考慮すると、
窒素や空気が好ましい。また発泡剤として使用される水
は表面改質粒子を密閉容器中に分散させるために分散媒
体として使用される水(イオン交換水も含む)をそのま
ま利用すればよい。
【0034】上記分散媒放出発泡方法において、物理発
泡剤の容器内への充填量は、使用する発泡剤の種類と発
泡温度と目的とする発泡粒子の見かけ密度に応じて適宜
選択されるが、例えば発泡剤として窒素を使用し、分散
媒体として水を使用した場合を例にとると、発泡開始直
前の安定した状態にある密閉容器内の圧力、すなわち密
閉容器内空間部の圧力(ゲージ圧)が、0.6〜6MP
aとなるように選定することが好ましい。通常は、目的
とする発泡粒子の見かけ密度が小さいほど前記容器内の
空間部の圧力は高くすることが望ましく、目的とする発
泡粒子の見かけ密度が大きいほど空間部の圧力は低くす
ることが望ましい傾向にある。
【0035】本発明で用いる発泡粒子は、上記分散媒放
出発泡方法を採用して、見かけ密度が10g/L〜50
0g/Lで且つ発泡粒子の示差走査熱量測定によるDS
C曲線におけるポリプロピレン系樹脂の融解熱に由来す
る固有の吸熱曲線ピーク(固有ピーク)よりも高温側に
吸熱曲線ピーク(高温ピーク)が存在する発泡粒子を製
造することが好ましい。そのような発泡粒子は、独立気
泡率の高い、成形に適切な発泡粒子である。本発明の場
合、得られる発泡粒子において、その高温ピークの熱量
が10J/g〜60J/gであるのが特に好ましい。高
温ピークの熱量が10J/g未満の場合はEPP成形体
の圧縮強度、エネルギー吸収量などが低下する虞があ
る。また60J/gを超える場合は、発泡粒子を成形す
るに先立ち発泡粒子内の空気圧を高める工程で必要とな
る空気圧が高くなりすぎたり、成形サイクルが長くなっ
たりする虞れがあるので好ましくない。本発明におい
て、上記高温ピークの熱量は、特に12J/g〜58J
/gであって、かつ高温ピークの熱量と固有ピークの熱
量の総和に対して10〜60%であることが好ましく、
20〜50%であることがより好ましい。また、高温ピ
ークの熱量と固有ピークの熱量の総和は40J/g〜1
50J/gであることが好ましい。尚、本発明及び本明
細書における高温ピークの熱量と固有ピークの熱量は、
いずれも吸熱量を意味し、そしてその数値は絶対値で表
現されたものである。
【0036】発泡粒子の高温ピークの熱量は、発泡粒子
2〜4mgを、示差走査熱量計によって室温(10〜4
0℃)から220℃まで10℃/分で昇温した時に得ら
れる図1に示す第1回目のDSC曲線に認められるポリ
プロピレン系樹脂の融解熱に由来する固有の吸熱曲線ピ
ーク(固有ピーク)aの頂点が現れる温度よりも高温側
に頂点が現れる吸熱曲線ピーク(高温ピーク)bの熱量
で、この高温ピークbの面積に相当するものであり、具
体的には次のようにして求めることができる。まずDS
C曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終
了温度Tに相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線
(α−β)を引く。次に上記の固有ピークaと高温ピー
クbとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラ
フの縦軸と平行な直線を引き、前記直線(α−β)と交
わる点をσとする。高温ピークbの面積は、DSC曲線
の高温ピークb部分の曲線と、線分(σ−β)と、線分
(γ−σ)とによって囲まれる部分(図1において斜線
を付した部分)の面積であり、これが高温ピークの熱量
に相当する。尚、上記融解終了温度Tとは、高温ピーク
bの高温側におけるDSC曲線と高温側ベースラインと
の交点をいう。また、高温ピークの熱量と固有ピークの
熱量の総和は、前記直線(α−β)とDSC曲線とで囲
まれる部分の面積に相当する。
【0037】なお、本明細書では、断り無く単に「発泡
粒子の高温ピーク」と表現している場合には、以上の測
定で得られた高温ピークの熱量のことを言い、後述する
発泡粒子の表層部分に関する高温ピークの熱量及び内部
発泡層に関する高温ピーク熱量とは異なるものである。
【0038】尚、この高温ピークbは、上記のようにし
て測定した第1回目のDSC曲線には認められるが、第
1回目のDSC曲線を得た後、220℃から10℃/分
で一旦40℃付近(40〜50℃)まで降温し、再び1
0℃/分で220℃まで昇温した時に得られる第2回目
のDSC曲線には認められず、図2に示されるような基
材樹脂の融解時の吸熱に相当する固有ピークaのみが認
められる。尚、発泡粒子の第1回目のDSC曲線に現れ
る固有ピークaの頂点の温度は、基材樹脂の融点(T
m)を基準とすると、通常、〔Tm−5℃〕〜〔Tm+
5℃〕の範囲に現れる(最も一般的には〔Tm−4℃〕
〜〔Tm+4℃〕の範囲に現れる)。また、発泡粒子の
第1回目のDSC曲線に現れる高温ピークbの頂点の温
度は、基材樹脂の融点(Tm)を基準とすると、通常、
〔Tm+5℃〕〜〔Tm+15℃〕の範囲に現れる(最
も一般的には〔Tm+6℃〕〜〔Tm+14℃〕の範囲
に現れる)。また、発泡粒子に対する第2回目のDSC
曲線に認められる固有ピークaの頂点の温度(基材樹脂
の融点に対応する温度)は、基材樹脂の融点(Tm)を
基準とすると、通常、〔Tm−2℃〕〜〔Tm+2℃〕
の範囲に現れる。
【0039】EPP粒子は、前記の通り、DSC測定に
おいて、1回目のDSC曲線に高温ピークが出現する結
晶構造を有するものが好ましいが、この高温ピークの熱
量は樹脂の融点と発泡温度の差に強く影響される。EP
P粒子の高温ピーク熱量は特にEPP粒子相互の融着に
関して最低融着温度を決定する因子として作用する。こ
こでいう最低融着温度とは、EPP粒子相互が型内で融
着するために必要な最低の飽和スチーム圧力を与える温
度を意味する。高温ピーク熱量は、この最低融着温度と
密接な関係にあり、全く同一の基材樹脂を用いた場合、
高温ピーク熱量値が小さい方が高温ピーク熱量値が大き
いときよりも最低融着温度が低くなるといった傾向があ
る。この高温ピーク熱量の値にはEPP粒子の製造段階
で樹脂に与える発泡温度の高低が強く影響しており、同
一の基材樹脂を用いた場合、発泡温度が高い方が低い場
合より高温ピーク熱量値が小さくなる傾向がある。
【0040】ところが、高温ピーク熱量が小さいEPP
粒子を用いてEPP成形体を得る場合、最低融着温度は
相対的に低い傾向があるものの、EPP成形体の圧縮強
度(剛性)等の強度物性等が相対的に低下する傾向があ
る。一方で、高温ピーク熱量が大きい発泡粒子を用いて
EPP成形体を得る場合、EPP成形体の圧縮強度等の
強度物性等が相対的に高い傾向があるものの最低融着温
度が相対的に高くなり、前述のようにEPP成形体を製
造する際に高い圧力のスチームを必要とする場合が生じ
るといった問題が発生する。即ち、最も好ましい発泡粒
子は最低融着温度が低く且つEPP成形体の圧縮強度等
の強度物性等が相対的に高いといった相反する性質を同
時に有する発泡粒子である。前記方法Aで得られる発泡
粒子は最低融着温度が効果的に低下されたものである。
この発泡粒子を用いてEPP成形体を製造する場合に
は、圧縮強度等の機械的物性に優れたEPP成形体を得
ることができる。
【0041】DSC曲線における高温ピークを有する発
泡粒子を得るためには、密閉容器内で分散媒体に樹脂粒
子を分散させて加熱する際に、樹脂粒子を構成する基材
樹脂の融解終了温度(Te)以上に昇温することなく、
基材樹脂の融点(Tm)より20℃低い温度以上、融解
終了温度(Te)未満の範囲内の任意の温度(Ta)で
止めてその温度(Ta)で十分な時間、好ましくは10
〜60分程度保持し、その後、融点(Tm)より15℃
低い温度から融解終了温度(Te)+10℃の範囲の任
意の温度(Tb)に調節し、その温度で止め、必要によ
り当該温度でさらに十分な時間、好ましくは10〜60
分程度、保持してから樹脂粒子を密閉容器内から低圧下
に放出して発泡させる方法により得ることができる。
尚、上記融点(Tm)とは、樹脂粒子2〜4mgを試料
として用いて前述の如き発泡粒子のDSC曲線を得るの
と同様の方法で樹脂粒子に対して示差走査熱量測定を行
い、これによって得られた2回目のDSC曲線(その一
例を図2に示す)に認められる基材樹脂固有の吸熱曲線
ピークaの頂点の温度であり、融解終了温度(Te)と
は、該固有の吸熱曲線ピークaの高温側におけるDSC
曲線と高温側ベースライン(B)との交点(β)を言
う。樹脂粒子に対する2回目のDSC曲線に現れる吸熱
曲線ピークは、それがポリプロピレン系樹脂の融解に基
づくピークであることを前提として、通常は1つの吸熱
曲線ピークとなって現れる。ただし、2以上のポリプロ
ピレン系樹脂の混合物からなる場合等には、まれに2以
上の吸熱ピークが認められることがある。その場合に
は、各ピークの頂点を通ると共にグラフの縦軸と平行な
(横軸と直交する)直線をそれぞれ引き、各直線におい
てピークの頂点からベースラインBまでの長さを測定
し、その長さが最も長い直線上のピークの頂点を上記T
mとする。ただし、最も長い直線が2以上存在する場合
には、その中で最も高温側のピークの頂点を上記Tmと
する。
【0042】また、発泡粒子における上記高温ピークの
熱量の大小は、主として、発泡粒子を製造する際の樹脂
粒子に対する上記温度Taと該温度における保持時間お
よび上記温度Tbと該温度における保持時間ならびに昇
温速度に依存する。発泡粒子の上記高温ピークの熱量
は、温度TaまたはTbが上記温度範囲内において低い
程、保持時間が長い程、大きくなる傾向を示す。通常、
加熱時の昇温速度(加熱開始から温度保持を開始するま
での間の平均昇温速度)は0.5〜5℃/分が採用され
る。これらの点を考慮して予備実験を繰り返すことによ
り、所望の高温ピーク熱量を示す発泡粒子の製造条件を
容易に知ることができる。
【0043】尚、以上で説明した温度範囲は、発泡剤と
して無機系物理発泡剤を使用した場合の適切な温度範囲
である。有機系物理発泡剤が併用された場合には、その
種類や使用量に応じてその適切な温度範囲は上記温度範
囲よりもそれぞれ低温側にシフトする。
【0044】前記発泡粒子の見かけ密度(g/L)は、
発泡粒子の重量(g)を発泡粒子の見かけ体積(L)で
除すことにより算出される。発泡粒子の見かけ体積は、
23℃、大気圧下に48時間以上放置された発泡粒子約
5gを23℃の水100cmが収容されたメスシリン
ダー内の水に水没させたときの排除体積から、発泡粒子
の見かけ体積(cm)を読み取り、これをリットル単
位に換算することにより求まる。この測定には発泡粒子
重量が0.5000〜10.0000g、かつ発泡粒子
の見かけ体積が50〜90cmとなる量の複数個の発
泡粒子が使用される。
【0045】有機過酸化物を分解させて樹脂粒子表面を
改質した表面改質粒子を用いた場合、低温のスチームで
成形可能であると共に、次のような構造的特異性を有し
ていることが測定結果より判明している。
【0046】発泡粒子のDSC測定の結果、前記方法A
で得られた発泡粒子は、従来法により得られた発泡粒子
とは異なる傾向を示す。発泡粒子の表層部分と表層部分
を含まない内部発泡層に分割して融点を測定したとこ
ろ、従来の発泡粒子は発泡粒子の表層部分の融点(Tm
)の方が内部発泡層の融点(Tm)に比較して必ず
高くなる性質があったのに対して、前記方法Aで得られ
た発泡粒子は表層部分の融点(Tm)の方が内部発泡
層の融点(Tm)よりもより低くなっていることが観
察された。低温のスチームで成形可能な発泡粒子として
はTmはTmよりも0.05℃以上低いことが好ま
しく、0.1℃以上低いことがより好ましく、0.3℃
以上低いことが更に好ましい。
【0047】発泡粒子の表層部分の融点(Tm)は、
発泡粒子の表層部分を切り出し、2〜4mg集めこれを
試料とする以外は上記した発泡粒子の高温ピーク熱量の
測定と同じ操作を行なって得た第2回目のDSC曲線の
固有ピークaの頂点の温度を意味する。また、発泡粒子
の内部発泡層の融点(Tm)は、表層部分を含まない
ように発泡粒子の内部から切り出し、2〜4mg集めこ
れを試料とする以外上記した発泡粒子の高温ピーク熱量
の測定と同じ操作を行なって得た第2回目のDSC曲線
の固有ピークaの頂点の温度を意味する。
【0048】また、発泡粒子の表層部分と表層部分を含
まない内部発泡層に分割して高温ピーク熱量を測定した
ところ、従来の発泡粒子は発泡粒子の表層部分の高温ピ
ーク熱量(ΔH)と内部発泡層の高温ピークの熱量
(ΔH)との関係が、ΔH≧ΔH×0.87とな
る性質があったのに対して、前記方法Aで得られた発泡
粒子では、ΔH<ΔH×0.86であることが観察
された。従って、低温のスチームで成形可能な発泡粒子
では、ΔH<ΔH×0.86であることが好まし
く、ΔH<ΔH×0.80であることがより好まし
く、ΔH<ΔH×0.75であることが更に好まし
く、ΔH<ΔH×0.70であることが更に好まし
く、ΔH<ΔH×0.60であることが最も好まし
い。また、ΔHsは、ΔHs≧ΔHi×0.25である
ことが好ましい。ΔH<ΔH×0.86であること
により、表面改質されていない発泡粒子よりも低温で型
内成形が可能となり、ΔHs値が小さくなるほどその効
果は大きい。尚、ΔHは、1.7J/g〜60J/g
であることが好ましく、2J/g〜50J/gであるこ
とがより好ましく、3J/g〜45J/gであることが
更に好ましく、4J/g〜40J/gであることが最も
好ましい。
【0049】発泡粒子の表層部分の高温ピーク熱量は、
発泡粒子の表層部分を切り出し、2〜4mg集めこれを
試料とする以外は上記した発泡粒子の高温ピーク熱量の
測定と同じ操作を行なって求めることができる。また、
発泡粒子の内部発泡層の高温ピーク熱量は、表層部分を
含まないように発泡粒子の内部から切り出し、2〜4m
g集めこれを試料とする以外は上記した発泡粒子の高温
ピーク熱量の測定と同じ操作を行なって求めることがで
きる。
【0050】上記の発泡粒子の表層部分と表層部分を含
まない内部発泡層に分割して融点及び高温ピーク熱量を
測定する際の試料の採取方法は次の通りである。発泡粒
子の表層部分は、表層部分をカッターナイフ、ミクロト
ーム等を用いてスライスして表層部分を集めて測定に供
すればよい。但し、スライスされた発泡粒子の表層部分
の表面の全面には発泡粒子の表面を必ず存在させるが、
スライスされた発泡粒子の表層部分の裏面においては、
発泡粒子の表面から発泡粒子の重心に向って200μm
を越える部分が含まれないように、発泡粒子表面の無作
為に選んだ1箇所又は複数箇所からスライスされる。ス
ライスされた発泡粒子の表層部分の裏面において、発泡
粒子の表面から発泡粒子の重心に向って200μmを越
える部分が含まれるようになると、内部発泡層を多量に
含有することとなり表層部分の融点及び高温ピーク熱量
を正確に測定できないおそれがある。尚、1個の発泡粒
子から得られる表層部分が2〜4mgに満たない場合は
複数個の発泡粒子を使用して上記操作を繰り返して必要
量の表層部分を集めればよい。一方、発泡粒子の表層部
分を含まない内部発泡層は、発泡粒子の表面と、発泡粒
子の表面から発泡粒子の重心部に向って200μmとの
間の部分が含まれないように発泡粒子の全面から表層部
分を切除したものを使用して融点及び高温ピーク熱量の
測定に供すればよい。ただし、発泡粒子の大きさが小さ
すぎて上記の表面から200μmの部分を切除すると内
部発泡層がなくなってしまう場合には、発泡粒子の表面
と、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心部に向って10
0μmとの間の部分が含まれないように発泡粒子の全面
から表層部分を切除したものが内部発泡層として使用さ
れ、更にそれでも内部発泡層がなくなってしまう場合に
は、発泡粒子の表面と、発泡粒子の表面から発泡粒子の
重心部に向って50μmとの間の部分が含まれないよう
に発泡粒子の全面から表層部分を切除したものが内部発
泡層として使用される。尚、1個の発泡粒子から得られ
る内部発泡層が2〜4mgに満たない場合は複数個の発
泡粒子を使用して上記操作を繰り返して必要量の内部発
泡層を集めればよい。
【0051】また、MFRを測定したところ、前記方法
Aで得られた発泡粒子のMFRの値は表面改質される前
の本樹脂粒子のMFRの値と同じがそれよりも大きな値
を示すことが観察された。発泡粒子のMFRの値は表面
改質される前の本樹脂粒子のMFRの値の1.2倍以上
とすることが好ましく、1.5倍以上とすることがより
好ましく、1.8〜3.5倍とすることが最も好まし
い。尚、発泡粒子のMFRの値は、EPP成形体の耐熱
性及び発泡粒子製造時の発泡効率を考慮すると、0.5
〜150g/10分となるようにすることが好ましく、
1〜100g/10分となるようにすることがより好ま
しく、10〜80g/10分となるようにすることが更
に好ましい。
【0052】上記発泡粒子のMFRとは、発泡粒子を2
00℃に温度調節した加熱プレス盤で厚さ0.2mmか
ら1mmのプレスシートを調製し、該シートからペレッ
ト状或いは棒状に試料を切り出し、その試料を使って上
記無架橋プロピレン系樹脂のMFRの測定と同様の方法
で測定を行った値である。尚、発泡粒子のMFRを測定
する上で上記試料には気泡等の混入は正確な測定値を得
るために避ける必要がある。気泡の混入がどうしても避
けられない場合には、同一サンプルを繰り返し3回まで
の範囲で加熱プレス盤による脱泡を目的としたプレスシ
ートの調製を行うことができる。
【0053】更に、前記方法Aで得た発泡粒子は、特に
酸素ラジカルを発生する有機過酸化物を用いた場合、有
機過酸化物の付加作用により若干量の酸素を含有する改
質表面を形成する。このことは、前記方法Aで得た発泡
粒子の表面と、それから製造されたEPP成形体の表面
の分析から明らかとなっている。具体的には、前記方法
Aで得た発泡粒子から製造されたEPP成形体の表面
(即ち発泡粒子の表面と実質的に同じ)と、従来の表面
改質されていない発泡粒子から製造されたEPP成形体
の表面のそれぞれをATR測定(全反射吸収測定法)で
比較した結果、前記方法Aで得た発泡粒子から製造され
たEPP成形体の表面には、新たに1033cm−1
近の吸収に差のあることを確認しており、酸素単体ある
いは酸素を含有した官能基の付加あるいは挿入等の変化
があったことが認められた。具体的には、1166cm
−1の吸収における両ピーク高さ(表面改質された発泡
粒子からの成形体に対する吸収ピーク高さと従来の成形
体に対する吸収ピーク高さ)を同じとしたときに、本発
明の成形体表面の1033cm−1付近の吸収ピークの
高さは、従来の成形体表面の1033cm−1付近の吸
収ピークの高さに比べ高くなっている。更に発泡粒子の
表面観察としてEDS(エネルギー分散形分析装置)に
よる元素分析を行った結果、酸素と炭素の比に関し、方
法Aで得た発泡粒子の場合、0.2(mol/mol)
であったのに対し、従来の発泡粒子の場合、0.09
(mol/mol)であった。以上のことから、有機過
酸化物の付加作用により若干量の酸素を含有する改質表
面を形成しているのは明白である。このような改質表面
の形成は成形の際スチームの透過性を高め、低温のスチ
ームでの成形を可能にすると考えられる。この様な観点
から、低温スチームで成形可能な発泡粒子は、発泡粒子
表面における上記EDSによるその酸素と炭素の比は
0.15以上であることが好ましい。上記した方法Aで
得られる発泡粒子は、上記酸素を含有する改質表面又は
/及び、上記融点の逆転現象又は/及び上記発泡粒子の
表層部分の高温ピーク熱量の低下又は/及び上記発泡粒
子表面の融解開始温度の低下により、その最低融着温度
は大きく低減されるものと推測される。
【0054】上記した方法Aによって得られたEPP粒
子は、大気圧下で熟成した後、必要に応じて気泡内圧を
高めてから、水蒸気や熱風を用いて加熱することによっ
て、より高発泡倍率の発泡粒子とすることが可能であ
る。
【0055】本発明によるポリプロピレン系樹脂発泡粒
子成形体の製造方法は、前記した方法Aで製造された発
泡粒子を用いることにより好ましく実施されるが、この
ような方法Aによって製造された発泡粒子に限定される
ものではなく、従来公知の法で製造される発泡粒子を用
いることによっても実施することができる。
【0056】本発明の方法においては、予め作製したポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子を、金型の成形空間部に所
定量充填し、次いでその金型内にスチームを供給して該
発泡粒子を加熱して融着させて成形体とした後、該成形
体を冷却し、該金型から排出する。
【0057】本発明において用いる発泡粒子において、
その見掛け密度は、10〜500g/L、好ましくは2
0〜300g/Lである。
【0058】なお、前記発泡粒子の見かけ密度(g/
L)は、発泡粒子の重さ(g)を発泡粒子の見かけ体積
(L)で割ることにより算出される値である。この場
合、発泡粒子の見かけ体積は、60℃のオーブン24時
間乾燥した後、23℃、大気圧下に24時間放置された
発泡粒子約5gを23℃の水100cmが収容された
メスシリンダー内の水に水没させたときの排除体積か
ら、その発泡粒子の見かけ体積(cm)を読取り、こ
れをリットル(L)単位に換算することにより求めるこ
とができる。
【0059】本発明で原料として用いる発泡粒子は、一
般的には、大気圧下で熟成させた後にそのまま成形に供
することができるが、必要に応じて気泡内圧を高めてか
ら成形に供することができる。この場合、気泡内圧を高
めるためには、従来公知の方法を採用することができ
る。例えば、密閉容器に発泡粒子を入れ、該容器内に加
圧空気を供給した状態で適当な時間放置して発泡粒子内
に加圧空気を浸透させればよい。
【0060】発泡粒子を金型内の成形空間部に充填する
方法としては、従来公知の方法を採用することができ
る。このような方法には、クラッキング充填方法や加圧
ガスによる圧縮充填方法等が包含される。この場合、金
型に対する発泡粒子の充填率は、90〜150%、好ま
しくは95〜130%である。なお、発泡粒子の充填率
は、以下の式により定義される。 充填率=A/B×100(%) A:EPP成形体の重量(g)/発泡粒子の嵩密度(g
/L) B:EPP成形空間部の容積(L) 尚、EPP成形体の重量は、60℃のオーブンで24時
間乾燥した後、温度25℃、温度55%の部屋に24時
間放置後の値を採用することとする。また、発泡粒子の
嵩密度は、前述した見かけ密度に1.6を乗じた値であ
る。
【0061】前記充填率において、その値が90%未満
では、充填不良の成形体となる虞れがある。一方、圧縮
率が150%を超えると、発泡粒子間へのスチームの流
れが悪くなり、成形体内部が融着不良となる虞れがあ
る。前述したように発泡粒子中に必要に応じて無機ガス
を入れ、内圧を高めることもできる。発泡粒子中に無機
ガスを入れ、内圧を付与した発泡粒子の充填率は、90
%以上105%未満であり、内圧を付与しない発泡粒子
の充填率は、105%以上150%以下である。内圧を
付与した発泡粒子は、充填率が上記範囲内であることか
ら発泡粒子の充填率が低くとも発泡粒子相互の空隙が少
なく、得られる型内成形体の表面に凹凸のないものとす
ることができる。一方、内圧を付与しない発泡粒子の充
填率が上記範囲内であると、EPP成形体の表面に凹凸
のないものとすることができ内圧を付与する工程がない
ことから高圧容器等の設備や内圧を付与する時間を無く
すことができる。
【0062】内圧を付与する該発泡粒子の内圧は、0.
03〜0.3MPa(G)であり、より好ましくは0.
05〜0.5MPa(G)である。0.3MPa(G)
未満であると型内成形での発泡粒子の二次発泡が悪く発
泡粒子相互の空隙が多くなり得られるEPP成形体の表
面が凹凸状となる。一方、0.3MPa(G)を超える
と冷却に時間がかかり、成形サイクルが長くなってしま
う虜がある。このように内圧を上記範囲内とすることで
成形圧力を低くすることができ、これにより成形サイク
ルを短縮することができる。
【0063】内圧が高められた発泡粒子の内圧P(MP
a(G))は、次の操作により測定される。尚、ここで
は、空気を使用してEPP粒子の内圧を高めた例を示
す。まず、成形に使用されるEPP粒子は、密閉容器に
入れられ、該容器内に加圧空気を(通常は容器内の空気
圧がゲージ圧で0.98〜9.8MPa(G)の範囲を
維持するように)供給した状態で適当な時間放置してE
PP粒子内に空気を浸透させることによりEPP粒子の
内圧が高められる。充分に内圧が高められたEPP粒子
は、成形機の金型内に供給される。EPP粒子の内圧は
型内成形直前のEPP粒子の一部(以下、発泡粒子群と
いう。)を使用して、次の操作を行うことによって求め
られる。
【0064】内圧が高められた型内成形直前の発泡粒子
群を加圧タンク内から取り出してから60秒以内に、発
泡粒子は通過させないが空気は自由に通過できるサイズ
の針穴を多数穿設した70mm×100mm程度のポリ
エチレン製袋の中に収容して気温23℃、相対湿度50
%の大気圧下の恒温室に移動する。続いてその恒温室内
の秤に載せて重量を読み取る。その重量の測定は、上記
した発泡粒子群を加圧タンク内から取出してから120
秒後とする。このときの重量をQ(g)とする。続いて
その袋を同恒温室に48時間放置する。発泡粒子内の加
圧空気は時間の経過と共に気泡膜を透過して外部に抜け
出すため発泡粒子群の重量はそれに伴って減少し、48
時間後では平衡に達しているため実質的にその重量は安
定する。上記48時間後に再度その袋の重量を測定し、
このときの重量をU(g)とする。続いて直ちに同恒温
室内にて袋から発泡粒子群の全てを取り出して袋のみの
重量を読み取る。その重量をZ(g)とする。上記のい
ずれの重量も0.0001gまで読み取るものとする。
Q(g)とU(g)の差を増加空気量W(g)とし、次
式より発泡粒子の内圧P(MPa(G))が計算され
る。尚、この内圧Pはゲージ圧に相当する。
【0065】P=(W÷M)×R×T÷V
【0066】ただし、上式中、Mは空気の分子量であ
り、ここでは28.8(g/モル)の定数を採用する。
Rは気体定数であり、ここでは0.0083(MPa・
L/(K・mol))の定数を採用する。Tは絶対温度
を意味し、23℃の雰囲気が採用されているので、ここ
では296(K)の定数である。Vは発泡粒子群の見掛
け体積から発泡粒子群中に占める基材樹脂の体積を差し
引いた体積(L)を意味する。
【0067】尚、発泡粒子群の見掛け体積(L)は、4
8時間後に袋から取り出された発泡粒子群の全量を直ち
に同恒温室内にて23℃の水100cmが収容された
メスシリンダー内の水に水没させたときの目盛りから、
発泡粒子群の体積Y(cm)を算出し、これをリット
ル(L)単位に換算することによって求められる。発泡
粒子群の見掛け発泡倍率は、基材樹脂密度(g/c
)を発泡粒子群の見掛け密度(g/cm)で除す
ことにより求められる。また発泡粒子群の見掛け密度
(g/cm)は、上記発泡粒子群重量(U(g)とZ
(g)との差)を体積Y(cm)で除すことにより求
められる。尚、以上の測定においては、上記発泡粒子群
重量(U(g)とZ(g)との差)が0.5000〜1
0.0000gで、かつ体積Yが50〜90cmとな
る量の複数個の発泡粒子群が使用される。
【0068】本発明においては、発泡粒子が充填された
成形空間部にスチームを供給して発泡粒子を加熱して融
着せしめる際に、該成形空間部の発泡粒子の所定の成形
圧力の50%に相当する圧力に達するまでの昇圧速度
が、0.030MPa/sec以上であり、かつ、該所
定の成形圧力に達するまでの昇圧速度が0.025MP
a/sec以上であることを規定する。所定の成形圧力
の50%に相当する圧力の50%に相当する圧力の上限
値は、特に制約されないが、通常、0.150MPa/
sec程度である。好ましいその昇圧速度は0.035
MPa/sec以上であり、より好ましくは0.040
MPa/sec以上である。前記した条件に加えて所定
の成形圧力に達するまでの昇圧速度が0.025MPa
/sec以上である。その上限は、特に制約されない
が、通常、0.150MPa/sec程度である。発泡
粒子相互の融着と発泡粒子の二次発泡とがより優れ、成
形サイクルが短くなる観点から好ましいその昇圧速度は
0、030MPa/sec以上であり、より好ましくは
0.035MPa/sec以上である。なお、本発明に
おける所定の成形圧力とは、成形工程における最大スチ
ームをいう。また、本発明では、所定の成形圧力に達す
るまでの加熱工程における加熱時間は、前記した昇圧温
度にもよるが1〜20秒である。前記加熱工程における
昇圧速度が前記範囲より小さい場合には、得られる成形
体の表面が凹凸が少なくなるものの、融着性は極端に低
下する等の問題を生じるので好ましくない。なお、昇圧
速度は、図4に示すように制御装置13に接続されてい
る金型内の圧力検知用ライン11、12より検知される
値を縦軸にして横軸を時間とした図3に示すグラフを作
成する。この図3のグラフよりYが所定の成形圧力であ
り、Xが所定の成形圧力の50%に相当する圧力であ
る。成形圧力の50%に相当する圧力に達するまでの昇
圧速度は、所定の成形圧力の50%に相当する圧力
(X:MPa(G))と圧力0MPa(G)から所定の
成形圧力の50%に相当する圧力になるまでの時間とに
より算出される値である。所定の成形圧力に達するまで
の昇圧速度は、所定の成形圧力(Y)と圧力0MPaか
ら所定の成形圧力(Y:MPa(G))になるまでの時
間とにより算出される値である。なお、加熱方法として
は、所定の成形圧力の50%に相当する圧力まで昇圧
し、さらに所定の成形圧力まで昇圧する二段の加熱方法
が挙げられるが連続して所定の成形圧力とする方法が簡
単な制御でできることや加熱時間が短くなる点で好まし
い速度とする。前記した昇圧速度とするには、元圧のス
チームを高くすることやスチームを供給する配管の直径
を大きくすることや発泡粒子を充填する前に予め金型を
加熱させ、発泡粒子相互を融着させる際のスチームが金
型に熱をうばわれて昇圧速度が低下させなくすること又
はそれらの組合せによる。
【0069】本発明の製造方法は、前記した昇圧速度と
することが特定の融点をもつポリプロピレン系樹脂を基
材とする発泡粒子相互を融着させ得られる成形体の表面
に凹凸がないものとすることができる。このメカニズム
は不明であるが特定の融点をもつポリプロピレン系樹脂
発泡粒子を加熱する速度と該発泡粒子が加熱により結晶
化する速度との関係で加熱する速度が速いことから発泡
粒子が結晶化する前に発泡粒子相互の融着し、さらには
得られる成形体の表面に凹凸がない2次発泡性の良いも
のが得られると考えられる。
【0070】その加熱圧力が所定の成形圧力に達して後
の加熱工程においては、さらに5秒以上、好ましくは7
秒以上その成形圧力から成形圧力より0.020MPa
を引いた圧力の範囲内で保持するのが好ましい。その時
間の上限値は、特に制約されないが、通常、60秒程度
である。この成形圧力の保持により、さらに発泡粒子の
2次発泡力が増し、発泡粒子界面の隙間が減少して成形
体の表面性が向上する。
【0071】所定の成形圧力に達してその成形圧力で保
持する方法としては、オンオフ制御によりスチーム弁が
開いたり開いたりして飽和スチームを金型内に入れ、金
型内の圧力を調整する方法やスチーム弁があいておりた
えず飽和スチームを金型内に入れその開度を調整する方
法等が挙げられる。
【0072】本発明においては、発泡粒子を充填する前
に金型を予め加熱することが発泡粒子相互の融着させる
際のスチームの昇圧速度を向上させる点で好ましい。ま
た、発泡粒子を成形空間部に充填し、成形空間部内への
スチームの供給に先立ち、発泡粒子の相互融着の向上を
目的として、発泡粒子の相互融着が進行せず、金型内の
圧力が上がらないようにスチームを短時間投入して、金
型をあたためることや成形空間部内に残存する空気を排
出するのが好ましい。この場合、金型の大きさ、成形体
の厚みにより調節するが、1〜10秒の範囲であること
が好ましい。
【0073】前記加熱工程の終了後、金型の圧力を開放
し、その成形体を冷却し、金型から排出させる。この場
合、成形体の冷却方法としては、公知の各種の方法を用
いることができるが、成形サイクルを考慮すると、冷却
時間を短縮できる水による方法や、バキュームを併用す
る方法等の使用が好ましい。
【0074】本発明の方法を実施するのに用いる成形装
置としては、従来公知の各種のものを用いることがで
き、特に制約されない。連続式成形法としては、(例え
ば特開平9−104026号、特開平9−104027
号及び特開平10−180888号等に記載される成形
方法)を採用して製造することもできる。該連続式成形
法においては、必要に応じて気泡内圧が高められた本発
泡粒子を、通路内の上下に沿って連続的に移動するベル
ト間に連続的に供給し、飽和スチーム供給領域(加熱領
域)を通過する際に本発泡粒子どうしを膨張させて融着
させ、その後冷却領域を通過させて冷却し、次いで得ら
れた成形体を通路内から取り出し、適宜の長さに順次切
断することによって、EPP成形体が製造される。
【0075】また、EPP成形体にはその表面の少なく
とも一部に、補強材又は/及び表面装飾材を積層一体化
することができる。そのようなラミネート複合タイプの
型内発泡成形体の製造方法は、米国特許第592877
6号、米国特許第6096417号、米国特許第603
3770号、米国特許第5474841号、ヨーロッパ
特許477476号、WO98/34770号、WO9
8/00287号、日本特許第3092227号等の各
公報に詳細に記載されている。また、本発明のEPP成
形体中には、インサート材の全部または一部が埋設され
るようにして該インサート材を複合一体化することがで
きる。そのようなインサート複合タイプの型内発泡成形
体の製造方法は、米国特許第6033770号、米国特
許第5474841号、日本公開特許昭59−1277
714号、日本特許第3092227号等の各公報に詳
細に記載されている。
【0076】本発明により製造されるEPP成形体は、
ASTM−D2856−70の手順Cに基づく連続気泡
率が40%以下であることが好ましく、30%以下であ
ることがより好ましく、25%以下であることが最も好
ましい。連続気泡率が小さい成形体ほど、機械的強度に
優れる。
【0077】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳述する。
【0078】(発泡粒子の製造方法) 参考例1〜5及び7、8比較例1及び3 表1から選択されるポリプロピレン系樹脂(プロピレン
単独重合体)100重量部当り、ホウ酸亜鉛粉末(気泡
調整剤)0.05重量部を添加して押出機内で溶融混練
した後、押出機からストランド状に押出し、そのストラ
ンドを直ちに25℃に調節された水中に入れて急冷しな
がら引き取り、充分に冷却した後、水中から引き上げ、
長さ/直径比が略1.0になるようにストランドを切断
して、1粒子当りの平均重量が2mgの樹脂粒子を得
た。次いで400リットルのオートクレーブに、上記樹
脂粒子100kg、イオン交換水120kg、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)0.00
2kgとカオリン(分散剤)0.4重量部、粉末硫酸ア
ルミニウム(分散助剤)0.013kg、ビス(4−t
−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート
(有機過酸化物)を0.32kgを仕込み、攪拌しなが
ら90℃まで昇温して(平均昇温速度5℃/分)からそ
の温度で10分間保持した。次いで、イオン交換水10
0kg、炭酸ガス(発泡剤)を平衡圧で0.49MP
(G)となるように圧入した後、攪拌しながら表1の発
泡温度より5℃低い温度まで昇温した。その後、平均昇
温速度を0.16℃/分として更に発泡温度より1℃低
い温度で昇温した。その後、炭酸ガス(発泡剤)を表1
の圧力となる様に圧入し、昇温速度を0.29℃/分と
して発泡温度まで昇温した。次いで、オートクレーブの
一端を開放してオートクレーブ内容物を大気圧下に放出
して発泡粒子を得た。尚、樹脂粒子をオートクレーブか
ら放出する間のオートクレーブ内の圧力が、放出直前の
オートクレーブ内の圧力に保たれるように、オートクレ
ーブ内に炭酸ガスを供給しながら放出を行った。得られ
た発泡粒子を水洗し遠心分離機にかけたのち、24時間
大気圧下に放置して養生した後、発泡粒子の高温ピーク
熱量、表層部分及び内部発泡層の各高温ピーク熱量及び
各融点、基材樹脂のMFR、発泡粒子の見かけ密度等を
測定した。その結果を表1に示した。
【0079】実施例6、比較例2 (発泡粒子の製造方法)実施例1と同様にして樹脂粒子
を得た。次いで400リットルのオートクレーブに、上
記樹脂100kg、イオン交換水220kg、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)0.00
2kgとカオリン(分散剤)0.3kg、粉末硫酸アル
ミニウム(分散助剤)0.01kgを仕込み、次いで、
炭酸ガス(発泡剤)を平衡圧で0.49MPa(G)と
なる様に圧入した後、攪拌しながら表1の発泡温度より
5℃低い温度まで昇温した。(平均昇温温度5℃/分)
その後、昇温速度を0.16℃/分として更に発泡温度
より1℃低い温度まで昇温した。その後、炭酸ガス(発
泡剤)を表1の圧力となる様に圧入し、昇温速度を0.
29℃/分として発泡温度まで昇温した。次いで、オー
トクレーブの一端を開放してオートクレーブ内容物を大
気圧下の空間に放出して発泡粒子を得た。尚、樹脂粒子
をオートクレーブから放出する間のオートクレーブ内圧
力が、放出直前のオートクレーブ内圧力に保たれるよう
に、オートクレーブ内に炭酸ガスを供給しながら放出を
行った。得られた発泡粒子を水洗し遠心分離機にかけた
のち、24時間大気圧下に放置して養生した後、発泡粒
子の高温ピーク熱量、表層部分及び内部発泡層の各高温
ピーク熱量、見かけ密度及び嵩密度を測定した。その結
果を表1に示した。
【0080】
【表1】
【0081】実施例1、2、5、8 (成形方法)表1に示す発泡粒子を、図4に示す成形装
置を用いて、成形を行なった。700mm×200mm
×50mmの成形空間部を持つ雄型1及び雌型2からな
る金型を閉じて型締めし、ドレン弁8、9を閉じてバル
ブの流量特性を示すCv値18、有効断面積320mm
のスチーム弁6、7より金型内に0.39MPa
(G)に調圧されたスチームを導入して予熱を5秒間行
った。次いで金型を一度開けた後、再度閉じて表2に示
す充填率となる様に前記発泡粒子を充填し、次いで型締
めした後にドレン弁8、9を開けたまま、スチーム弁
6、7より金型内にスチームを導入して成形空間部の発
泡粒子間にある空気を排気した。次いでドレン弁を閉じ
て、スチーム弁7より圧力検知ライン12での圧力が表
2の所定の成形圧力より0.04MPa(G)低い圧力
に達するまで0.8MPa(G)に調圧されたスチーム
を導入し(一方加熱)、続いてスチーム弁6より圧力検
知ライン11での圧力が表2の所定の成形圧力より0.
02MPa(G)低い圧力に達するまでスチームを導入
した(逆一方加熱)後、スチーム弁6、7を用いて表2
の所定の成形圧力となるようにスチームを導入して表2
に示す所定の成形圧力で保持加熱を行なった(本加
熱)。成形後、成形空間部の成形体の面圧が0.059
MPa(G)となるまで水冷した後、成形体を成形空間
部から取り出し、60℃で24時間養生した後、室温ま
で冷却して成形体を得た。表2に、成形条件及び成形体
の性状を示す。
【0082】実施例3、4及び6 (成型方法)予熱を行なわず図4に示すCv値28、有
効断面積500mmのスチーム弁6、7を用いて流量
を大きくした以外は実施例1と同様にして成形を行なっ
た。
【0083】実施例7 図4に示すスチーム弁6、7を通る配管を内径80mm
とし、スチーム弁6、7をCv値60のものに交換し、
スチーム流量を大きくして成形を行った。表1に示す発
泡粒子を用いて成形を行った。400mm×300mm
×80mmの成形空間部を持つ雄型1及び雌型2からな
る金型を閉じて型締めし、ドレン弁8、9を閉じてスチ
ーム弁6、7より金型内に0.39MPa(G)に調圧
されたスチームを導入し予熱を5秒間行った。次いで金
型を一度開けた後、再度閉じて表2に示す充填率となる
様に前記発泡粒子を充填し、次いで型締めした後にドレ
ン弁8、9を開けたまま、スチーム弁6、7より金型内
にスチームを導入して金型内の空気を排気した。次いで
ドレン弁8を閉じ、スチーム弁7より表2の所定の成形
圧より0.04MPa低い圧力に調圧されたスチームを
2秒間導入し、続いてドレン弁8を開けてドレン弁9を
閉じ、スチーム弁6より表2の所定の成形圧より0.0
4MPa低い圧力に調圧されたスチームを2秒間導入し
た後、スチーム弁6、7を用いて表2の所定の成形圧に
調圧されたスチームを導入して5秒間、保持加熱を行っ
た。成形後、金型内の成形体の面圧が0.059MPa
(G)となるまで水冷した後成形体を型から取り出し、
60℃で24時間養生した後、室温まで冷却して成形体
を得た。
【0084】比較例1〜3 (成形方法)充填する前の予熱を行なわず、一方加熱及
び逆一方加熱に用いるスチームを0.78MPa(G)
に調圧した以外は実施例1と同様に成形体を得た。
【0085】表2の充填率、所定の成形圧力の50%に
相当する圧力に達するまでの昇圧速度(50%昇圧速
度)、所定の成形圧力に達するまでの昇圧速度は前述し
た通りである。また、融着率、外観、圧縮強度は以下の
ようにして評価した。
【0086】(融着率)融着率は、実施例及び比較例で
得られた成形体をカッターナイフで成形体の厚み方向に
約10mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から
成形体を破断するテストにより、破断面に存在する発泡
粒子の個数(n)に対する材料破壊した発泡粒子の個数
(b)の比(b/n)である。
【0087】(外観)外観は成形体の表面について、目
視にて観察し粒子間の間隙量を以下の基準によって判定
したものである。 ◎:粒子間に殆ど間隙がない。 ○:粒子間に若干の間隙が見られる。 ×:粒子間に多くの間隙が見られる。
【0088】(圧縮強度)圧縮強度とは、成形体から縦
50mm、横50mm、厚み25mm、となるように切
断して得られた試験片(全面の表皮がカットされたも
の)を使用し、JIS Z 0234−1976 A法
に従って試験片温度23℃、荷重速度10mm/分の条
件で歪が55%に至るまで圧縮試験を行い、得られた応
力−歪線図より50%歪時の応力を読みとり、これを圧
縮強度とした。実施例及び比較例の発泡粒子を用いて前
述した不溶分を測定したところ、いずれも0重量%以下
であった。
【表2】
【0089】
【発明の効果】本発明の方法によれば、発泡粒子相互の
融着性が高く、表面の凹凸が少ない成形体が得られる。
さらに、所定の成形圧力までの時間を短縮すると共に冷
却時間の短縮もでき、その結果、成形サイクルを短縮
し、生産効率を高める事ができる。引張弾性率が特定の
ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とするポリプロピレン
系樹脂発泡粒子を充填することにより、内部の空隙や表
面の凹凸も少なく圧縮強度に優れた発泡成形体を得られ
る。所定の成形圧力に達した後に、該成形圧力で5秒以
上の保持を行うことでより表面の凹凸が少ない発泡成形
体が得られる。特定の発泡粒子を用いることにより急激
な圧力上昇に対して耐久性があり、成形サイクルも短縮
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の、第
1回目のDSC曲線のチャートの一例を示す図である。
【図2】図2は、ポリプロピレン系樹脂粒子の第2回目
のDSC曲線のチャートの一例を示す図である。
【図3】図3は、成形圧力と成形サイクルとの関係を示
す一例の図である。
【図4】図4は、本発明成形体の製造方法に用いられる
装置の説明を示す図である。
【符号の説明】
1 雄型 2 雌型 3 成形空間 4、5 スチーム弁(大流量) 6、7 スチーム弁(調圧用) 8、9 ドレン弁 10 発泡体の表面における測定用ライン 11、12 圧力検知用ライン 13 制御装置
フロントページの続き (72)発明者 佐々木 秀浩 栃木県鹿沼市さつき町10−3 株式会社ジ ェイエスピー鹿沼研究所内 Fターム(参考) 4F074 AA24 AB02 BA32 BA33 BA34 BA35 BA36 BA37 BA40 BA45 BA47 BA55 BA58 CA38 CA48 CC04Z DA08 DA35 4F212 AA11 AG20 UA07 UN09 UN10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を
    製造する方法において、引張弾性率が1200MPa以
    上のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とするポリプロピ
    レン系樹脂発泡粒子を金型の成形空間部に充填し、該成
    形空間部内にスチームを供給して該発泡粒子を加熱して
    融着せしめる際に、該成形空間部において所定の成形圧
    力の50%に相当する圧力に達するまでの昇圧速度が
    0.030MPa/sec以上であり、かつ、該所定の
    成形圧力に達するまでの昇圧速度が0.025MPa/
    sec以上であることを特徴とする、ポリプロピレン系
    樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該成形空間部内にスチームを供給して発
    泡粒子を加熱して融着せしめる際に、所定の成形圧力に
    達した後に、該成形圧力から該成形圧力より0.020
    MPaを引いた圧力の範囲内で5秒以上の保持を行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂
    発泡粒子成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、実
    質的に無架橋の発泡粒子であって、示差走査熱量測定に
    よるDSC曲線における該ポリプロピレン系樹脂の融解
    熱に由来する固有の吸熱曲線ピークよりも高温側に吸熱
    曲線ピークが存在する発泡粒子であることを特徴とする
    請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子
    成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、示
    差走査熱量測定によるDSC曲線における該ポリプロピ
    レン系樹脂の融解熱に由来する固有の吸熱曲線ピークよ
    りも高温側に吸熱曲線ピークが存在する実質的に無架橋
    の発泡粒子であって、該発泡粒子の表層部分の高温側に
    存在する吸熱曲線ピークの熱量(ΔH)と該発泡粒子
    の内部発泡層の高温側に存在する吸熱曲線ピークの熱量
    (ΔH)との関係がΔH<ΔH×0.86である
    発泡粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造
    方法。
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