JP2013141817A - ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレン系樹脂粒子を用いた発泡成形体の寸法性と、融着率及び表面美麗性の両立を図ることが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂粒子を金型の成形空間に充填し、該成形空間部に蒸気を供給して該発泡粒子を発泡、融着させるポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法であって、該成形空間部に蒸気を供給して該発泡粒子を発泡、融着させる際に、(B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させ、(C)再び、一段目の加熱での到達蒸気圧力P1以上の蒸気圧力P3に到達するまで加熱し、一定時間保持し、かつ、(A)工程において、蒸気圧力P1に到達するまでの昇圧速度を0.04MPa/秒以上0.10MPa/秒以下とすることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
型内成形法にて製造される発泡樹脂成形体は、製品の形状設計の自由度が高いことから、断熱材、包装材料、緩衝材、芯材などに幅広く用いられる。
その中でも、ポリプロピレン系樹脂発泡体は、機械的強度、耐熱性、耐薬品性に優れた性質を示すことから、主に高級家電の緩衝材や、自動車のバンパー芯材、側突パッド、ティビアパッド、ツールボックス用途に好適に用いられている。
しかしながら、ポリプロピレン系予備発泡粒子の成形にはいくつかの課題があり、その一つは融着不良と製品表面の美麗性に関するものである。
ポリプロピレン系予備発泡粒子は、スチレン系樹脂に比べて、発泡力が弱く、発泡、融着しにくい傾向にある。これは、基材樹脂のガス透過係数が高く、予備発泡時に用いた発泡ガスが成形時に残らず、発泡ガスの可塑化効果と発泡ガスによる発泡力の付与の効果が得られないことに依る。
さらに、ポリプロピレン系予備発泡粒子は、融着に必要な蒸気圧力がスチレン系樹脂に比べて3倍〜4倍ほど高く、加熱時には蒸気圧力が外圧となり、予備発泡粒子の発泡を阻害するため発泡、融着が得られにくい傾向にある。
これらが原因となり、ポリオレフィン系予備発泡粒子を用いた型内成形法では、融着不良の発生や製品表面の粒間の増加などの品質上の問題が発生しやすいと考えられている。
二つ目の課題は、製品形状の安定性に関するものである。ポリプロピレン系樹脂発泡成形体はスチレン系樹脂に比べて、樹脂の柔軟性が高く、成形後に成形体が大きく収縮、変形するため、寸法と形状の回復を行うことを目的として、成形後の製品を70〜80℃の乾燥室内に10〜24時間静置する、いわゆる「乾燥、養生工程」が必要となる。
ここで、製品の寸法回復には、成形後に成形体内に残存するガス量が重要となるが、加熱条件により成形直後の製品内のガス量が変化するため、ポリオレフィン系樹脂発泡製品では寸法管理の難しさもあった。
これらの課題のうち、融着率の向上と表面性の改善を図る方策として、特許文献1には、従来の加熱パターンにおいて、加熱時の蒸気昇圧速度を、加熱初期では0.030MPa/秒以上とし、全体としても0.025MPa/秒以上とする技術が開示されている。しかしながら、該技術の効果は、融着性と表面性の改善にとどまり、製品形状、寸法の安定性の改善までは至らなかった。さらに、特許文献1の発明は、特定の融点を有するポリプロピレン系樹脂に限定されているなど、汎用ポロプロピレン系樹脂への適用も課題であった。
特開2003−266468号公報
本発明は、ポリプロピレン系樹脂粒子を用いた発泡成形体の融着率および表面美麗性の向上と共に、寸法保持も同時に向上させることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、加熱工程時の予備発泡粒子からのガス散逸挙動、加熱条件と製品品質との関係をつぶさに観察することにより、予備発泡粒子から放出される空気が製品品質に影響を及ぼすことを見出した。
すなわち、予備発泡粒子からの空気の放出量は、成形時の加熱温度および加熱時間と高い相関がある。さらには、成形時に予備発泡粒子から放出される空気が、蒸気の粒間への侵入を阻害するために均一な温度上昇を妨げ、融着不良や表面美麗性の悪化を引き起こしていることを見出した。
本発明者らは、以上の知見より、加熱工程時の予備発泡粒子からの空気放出を極力抑制する成形方法(製造方法)を考案した。
すなわち、短時間の加熱で所定の融着率となるような操作を行い、成形空間内の予備発泡粒子の空気放出経路である粒間を埋めることにより、予備発泡粒子からの空気放出を抑制する。この操作により、成形後の製品内に所定以上の空気を残存させ、製品形状と寸法を安定させることができる。
ただし、この操作のみでは、製品の表面美麗性を向上させるには不十分である為、昇温を阻害する発泡ガスの放出を抑制させた状態で、再び製品の表面性を整えるための第二段の加熱を行う成形方法を考案した。
最終的に、ここで示した二段階の加熱成形法による製造方法を用いることにより、得られるポリプロピレン系樹脂発泡体は、良好な融着性と表面美麗性、さらには製品寸法保持の全てを満足しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、以下の構成である。
[1] ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型の成形空間に充填し、該成形空間部に蒸気を供給して該発泡粒子を発泡、融着させるポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法であって、
該成形空間部に蒸気を供給して該予備発泡粒子を発泡、融着させる際に、
(A)該発泡粒子の融着率が40%以上80%以下になる蒸気圧力P1に到達するまで一段目の加熱を行い、(B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させ、(C)再び、一段目の加熱での到達蒸気圧力P1以上の蒸気圧力P3に到達するまで加熱し、一定時間保持し、
かつ、(A)工程において、蒸気圧力P1に到達するまでの昇圧速度を0.04MPa/秒以上0.10MPa/秒以下とすることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
[2] (B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させる工程において、
一段目の到達加熱圧力P1よりも0.05〜0.15MPa低下させることを特徴とする、[1]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
[3](B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させる工程を、2秒以上5秒以下の範囲で行うことを特徴とする、[1]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法によれば、得られる型内発泡成形品の融着性と表面美麗性を向上でき、成形後の過剰な製品収縮を抑制可能とし、製品寸法と形状安定性が大幅に向上することができる。
さらに、融着性と表面美麗性が向上するため、従来のような過剰な加熱が不要となる。この結果として、成形蒸気の削減および成形サイクルの短縮も、同時に図ることができる。
本発明の樹脂発泡体の製造方法に用いられる装置の説明を示す図である。 従来の成形蒸気圧力と成形サイクルとの関係を示す一例の図である。 本発明の成形蒸気圧力と成形サイクルとの関係を示す一例の図である。
本発明で用いられるポリプロピレン系予備発泡粒子について、説明する。
本発明で用いられるポリプロピレン系予備発泡粒子の基材樹脂としては、特に限定されるものではないが、プロピレンモノマー単位が50重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上からなる重合体であり、チーグラー型塩化チタン系触媒またはメタロセン系触媒で重合された、立体規則性の高いものが好ましい。
共重合成分としては、例えば、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。
基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂は、機械的強度、耐熱性に優れた発泡成形体を得るために、融点は、好ましくは130℃以上160℃以下、更に好ましくは135℃以上160℃以下、特に好ましくは140℃以上155℃以下である。基材樹脂の融点が当該範囲内であると、型内成形時の成形圧力の上昇(成形性)と機械的強度、耐熱性のバランスが取り易くなる。
また、これらのポリプロピレン系樹脂は無架橋のものが好ましいが、架橋したものも使用できる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法について説明する。
先ず、予備発泡を行う前に、ポリプロピレン系樹脂粒子を適切な大きさに加工する必要がある。押出機を用いて1粒の重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6mgのポリプロピレン系樹脂粒子に加工する。
発泡用ポリプロピレン系樹脂粒子は、一般的には、ストランドカット法にて製造され、例えば、押出機の先端に設けられた円形ダイスからストランド状に押出されたポリプロピレン系樹脂を水、空気等で冷却、固化させたものを切断して、所望の形状のポリプロピレン系樹脂粒子を得ることができる。
前記樹脂粒子の製造の際にセル造核剤を添加することにより、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子とする際にセル径を所望の値に調整することができる。セル造核剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。
ポリプロピレン系予備発泡粒子を製造するための予備発泡工程を、説明する。
ポリプロピレン系予備発泡粒子は、例えば、前記ポリプロピレン系樹脂粒子と、水、分散剤および発泡剤からなる水分散物を耐圧容器内に仕込み、所定の温度まで加熱した後、加圧状態から、前記樹脂粒子と水との混合物を前記耐圧容器内よりも低圧の雰囲気下に放出することによって得られる。
具体的には、密閉容器内に、前記ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡剤、分散剤および分散助剤を含む水系分散媒を仕込み、攪拌しながら昇温して所定温度として樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、必要に応じて発泡剤を追加添加して、密閉容器内を一定圧力に保持した後、密閉容器下部から内容物を密閉容器内圧より低圧雰囲気下に放出する方法が一般的である。
前記発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素およびそれらの混合物;空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガスなどが挙げられる。
本発明におけるポリプロピレン系予備発泡粒子を用いた型内成形方法について、説明する。
前記のようにして得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、大気下で熟成させた後にそのまま成形可能であるが、良好な製品を得る為に、成形前に発泡力の付与する為の操作を行うのが一般的である。
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子への発泡力の付与方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、
(イ)予備発泡粒子を無機ガスで加圧処理して、予備発泡粒子内に無機ガスを含浸させて、所定の予備発泡粒子内圧を付与する方法、
(ロ)予備発泡粒子をガス圧力で圧縮した状態で金型に充填し、その後ガス圧を開放することで予備発泡粒子の回復力を利用して発泡力を付与する方法、
(ハ)予備発泡粒子を金型内に充填する前に予め型を開いておき、充填後に金型を閉じることで予備発泡粒子を機械的に圧縮して発泡力を付与する方法、などがあげられる。
(イ)、(ロ)で使用される前記無機ガスとしては、空気、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガスなどが使用できる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、汎用性の高い空気と窒素が好適である。
本発明に好適な(イ)の方法について、さらに詳しく説明する。
例えば、圧力容器に予備発泡粒子を入れ、該容器内に圧縮空気を供給した状態で適当な圧力、時間、放置することにより、予備発泡粒子内に空気が含浸される。
従来の成形方法での予備発泡粒子の適性内圧範囲は0.08〜0.15MPa(G)であり、より好ましくは0.09〜0.13MPa(G)である。予備発泡粒子の内圧が上記範囲を外れ、0.08MPa(G)未満では成形後に製品が収縮し、変形量が大きくなる傾向にある。予備発泡粒子の内圧が0.08MPa(G)超では、加熱時に急激な予備発泡粒子の膨張が発生するため、製品内部への蒸気の侵入が遮断され、製品内部の融着ムラが発生したり、あるいは予備発泡粒子からの過度の空気放出により、融着不良が発生するリスクが高まる傾向がある。
これらの課題に対し、本発明の製造方法を適用することにより、成形時に予備発泡粒子内から噴出する空気を減少させることができる為、成形時の適性内圧の範囲を広げることが可能となる。
すなわち、本願発明での適正な内圧範囲は0.05〜0.15MPa(G)であり、より好ましくは0.07〜0.13MPa(G)である。
このように、本発明の製造方法では、従来の製造方法での適性内圧よりも低い内圧まで成形可能となるため、空気を含浸する工程での時間短縮が図れ、生産性が向上する。また、製品の過剰なヒケ、収縮を防止することができる。
ここで、本発明における予備発泡粒子の内圧の測定方法は、以下のとおりである。
すなわち、内圧付与処理後の前記予備発泡粒子約100cmの重量ならびに体積を測定する。体積測定は、エチルアルコールに水没させる際の体積上昇分で測定した。続いて、該予備発泡粒子を150℃で30分間加熱し、該予備発泡粒子中から無機ガスを逸散させる。予備発泡粒子の内圧は、無機ガス逸散後の予備発泡粒子重量と先に測定した内圧処理後の予備発泡粒子重量との差と、体積と重量から換算した密度を用いて、理想気体の状態方程式から算出した値である。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法について、説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を金型の成形空間に充填し、該成形空間部に蒸気を供給して該発泡粒子を発泡、融着させるポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法である。
本発明の製造方法を実施するのに用いられる成形装置としては、従来公知の各種のものを用いることができ、特に制約されない。
図1に、成形装置の一例を示す。
成形金型は、フレーム1、2とバックプレート3、4で囲まれる蒸気室内に、凹凸側のそれぞれのセンタープレート3を介して固定された凹型5と凸型6で構成される成形空間7からなる(ここでは、原料を成形空間に供給する為の充填器、離型ピンは図示していない)。
成形金型には、予備発泡粒子の加熱用の蒸気弁8、9、冷却用の冷却水弁10、11、用役排出用のドレン弁12、13が配設されている。また、ドレン弁の一次側には圧力センサーが設置されており、ここで検知した圧力信号を演算装置16に取り込み、蒸気圧力の制御や、各加熱工程の進捗を図ることが可能である。
かかる成形装置による成形工程は、大別して、充填工程、加熱工程、冷却工程に分けることができる。
従来の加熱工程では、図2に示すように、通常、予備加熱工程、一方加熱工程、逆一方加熱工程、両面加熱工程、補助加熱工程、保熱工程のように細分化されて行われる。
前記内圧を付与した予備発泡粒子を金型内成形空間に充填した後、予備発泡粒子を融着せしめる前に、蒸気室内の空気、さらには、成形空間内に充填された予備発泡粒子の粒間内の空気を蒸気に置換する操作を行う。この操作をそれぞれ予備加熱工程、一方加熱工程、逆一方加熱工程と呼んでいる。
予備加熱工程は、図1において、凹金型側蒸気調整弁8、凸金型側蒸気調整弁9、凹金型側ドレン弁12、凸金型側ドレン弁13を開けて凹型側蒸気室18と凸金型側移蒸気室19に蒸気を通す工程であり、蒸気室内の空気を蒸気に置換する工程である。
一方加熱工程は、凸型側ドレン弁13と凹側蒸気調整弁8を閉じ、凸型側蒸気調整弁9と凹型側ドレン弁12を開けて成形空間7に蒸気を通す工程であり、予備発泡粒子の粒間の空気を蒸気に置換する工程である。ここで示した一方加熱は、凸金型側から凹金型側に蒸気を流す工程であるが、凹金型側から凸金型側に蒸気を流す工程(逆一方加熱工程)を採用してもよいし、その両方を採用してもよい。
両面加熱工程は、凹型側ドレン弁12と凸型側ドレン弁13を閉じた状態で凹金型側蒸気調圧弁8と凸金型側蒸気調圧弁を開き、予備発泡粒子の発泡、融着に必要な所定蒸気圧力まで昇圧する工程である。蒸気昇圧のパターンとしては、所定蒸気圧力に達したときに蒸気供給を停止する場合や、所定蒸気圧力に達してから、その蒸気圧力を一定とするような制御を行う場合があり、予備発泡粒子の特性に合わせて何れかが選択される。
これに対して、本発明の製造方法の加熱工程では、図3に示すように、
(A)該発泡粒子の融着率が40%以上80%以下になる蒸気圧力P1に到達するまで一段目の加熱を行い、(B)一旦、蒸気圧力を一段目の到達加熱圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させ、(C)再び、一段目の加熱での蒸気圧力以上の蒸気圧力P3に到達するまで加熱することを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、従来の製造方法と比べて予備発泡粒子の融着性が向上する為、予備加熱工程は必要であるが、一方加熱工程および逆一方加熱工程は必ずしも必要ではない。
予備加熱工程での加熱時間は、成形機の配管サイズ、バルブサイズ、金型の熱容量、金型容積により異なるが、凡そ2〜8秒程度であり、より好ましくは2〜5秒である。
ただし、成形空間内の空気を蒸気に置換する工程において予備加熱工程のみを用いた場合に、製品の一部で融着ムラが発生することが、たまにある。この場合には、予備加熱工程の後に、一方加熱工程を2〜5秒程度行うとよい。該時間よりも長く一方加熱工程を行った場合には、予備発泡粒子内から空気が多量に放出される為、製品の寸法保持性を悪化させることがある。
本発明の製造方法では、成形空間に蒸気を供給して予備発泡粒子を加熱し融着せしめる際に、(A)該発泡粒子の融着率が40%以上80%以下になる蒸気圧力P1に到達するまで一段目の加熱を行うことを特徴としている。
成形装置の操作としては、凹金型側蒸気調整弁8と凸金型側蒸気調整弁9を開き、凹金型側ドレン弁12と凸金型側ドレン弁13を閉じて成形空間に蒸気を通すことにより、予備発泡粒子の発泡と融着を行う。
(A)一段目の加熱工程において、融着率が40%未満の場合には、予備発泡粒子同士の間隙が埋まらず、空気放出の抑制効果が得られず、成形直後の成形体の収縮や変形が大きくなり、最終製品の対金型収縮率が大きくなる傾向が見られる。また、成形直後に成形体が大きく変形した場合には、次工程である乾燥、養生工程に要する時間が長くなり、生産性を大幅に低下させることもあるし、最終的に規格寸法を満たさず不良品の発生にも繋がる場合がある。また、融着率が80%超となる場合には、続いて行う2段目の加熱の際に、成形体が蒸気に押されて変形する場合がある。
従って、本発明の効果である予備発泡粒子からの空気放出を抑制する為には、一段目加熱による融着率の適正範囲は40%以上80%以下であり、さらに好ましくは50%以上70%以下である。
(A)一段目の加熱工程において融着率を40%以上80%以下とする加熱蒸気圧力P1は、基材樹脂種、発泡倍率、付与する内圧により異なるが、一般的なプロピレン−エチレンランダム系樹脂を基材樹脂とする予備発泡粒子であれば、凡そ0.20〜0.25MPa(G)を目安に設定できる。
本発明の製造方法においては、(A)一段目の加熱工程での昇圧速度は、0.04MPa/秒以上0.10MPa/秒以下とすることが好ましく、0.05MPa/秒以上0.08MPa/秒以下とすることがより好ましい。
(A)一段目の加熱工程での昇圧速度が0.04MPa/秒未満では、予備発泡粒子の発泡速度が遅くなり、粒子間隙が埋まるまでに長い時間を要する為、予備発泡粒子からの空気放出を抑制できない傾向がある。昇圧速度が0.10Mpa/秒超では、金型の表面部近傍のみの予備発泡粒子が急激に膨張する為に、成形空間内部への蒸気流路を塞ぐことになり、成形空間を均一に蒸気加熱できなくなり、融着不良が発生しやすくなる傾向がある。
本発明の製造方法においては、(A)一段目の加熱工程から次工程への進捗条件としては、蒸気室内の圧力を検知し、これを用いて工程を制御することが好ましい。
本発明では、例えば、ドレン弁のラインに設置された圧力計15からの信号をモニターし、所定圧力に達した時点で、次の工程に移る操作を行うことが可能な装置とした。
ここで、一段目の加熱工程の進捗条件である蒸気圧力は、前記のとおり、0.20〜0.25MPa(G)である。
この所定蒸気圧力の設定に際しては、予備発泡粒子の嵩密度範囲17g/L〜50g/Lのものを準備し、これらの内圧を0.05〜0.15MPa(G)に調製した後、予備加熱工程、一段目の加熱工程を行い、その後の成形体の融着率が50〜70%となるような蒸気圧力を調査する手法と用いた。
このような装置構成および条件設定とすることにより、常に(A)一段目の加熱工程終了時の蒸気圧力を同じとすることができる。すなわち、常に同じ温度で一段目の加熱工程を完了することが可能であり、予備発泡粒子の融着率を、常に所定の融着率とすることができる。
本発明の製造方法では、(A)一段目の加熱が終了した後、(B)蒸気圧を一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させる工程を設けていることを特徴としている。工程(B)は、予備発泡粒子の発泡、融着を効率よく行うための重要な手法である。
予備発泡粒子を発泡、融着させる為には、所定の温度が必要となるが、ポリオレフィン系予備発泡粒子の発泡、融着温度は非常に高い為に、蒸気圧力も高い。この結果、加熱の為の蒸気圧力が発泡を阻害するという矛盾を引き起こす。
従って、本発明の製造方法においては、(A)予備発泡粒子を融着可能な温度まで加熱し、(B)一旦、高温のまま蒸気圧力を低下させることにより、発泡、融着を進行させるのである。工程(B)の操作を行うことにより、従来の製造方法に比べて、同じ融着率を得る為の加熱蒸気圧力をより低く設定することが可能である。
工程(B)における、一段目の加熱工程終了時の圧力P1からの蒸気圧力低下幅の目安は、0.05〜0.15MPaとすることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.10MPaである。
ここで、0.05MPa未満の圧力低下では、予備発泡粒子の発泡、融着の効果が十分に得られず、予備発泡粒子からの空気放出を抑制するには至らず、成形直後の成形体の収縮や変形が大きくなり、最終製品の対金型収縮率が大きくなる傾向が見られる。また、0.15MPaを超える圧力低下では、融着が過剰に進行するため、二段目の加熱を行った際に製品が変形する虞がある。
本発明の製造方法においては、一旦、蒸気圧力を低下させる工程(B)の時間は、2秒以上5秒以下の範囲で設定することが好ましい。
一旦、蒸気圧力を低下させる工程(B)の時間が2秒未満では、予備発泡粒子の発泡、融着を行うための時間が確保でない為、予備発泡粒子からの空気放出を抑制するには至らない傾向がある。また、工程(B)の時間が5秒超えると、融着が過剰に進行する為に、二段目の加熱を行った際に製品が変形する虞がある。
工程(B)において、蒸気圧を低下させる方法としては、蒸気弁の開度を小さくして蒸気供給量を少なくする、蒸気弁を閉じて蒸気供給を停止させ蒸気をドレン化させる、ドレン弁の開度を調整可能としドレン弁を僅かに開いた状態とする、蒸気弁とドレン弁の開度を制御しながら圧力を低下させる、等の方法があげられる。
本発明の製造方法においては、(A)一段目の加熱工程、(B)一旦、圧力を低下させる工程の後に、(C)一段目の加熱工程での到達蒸気圧力P1以上の蒸気圧力P3に到達するまで加熱を行い、一定時間保持する、二段目の加熱を行う工程を設けている。
(A)一段目の加熱は、融着率を40%以上80%以下に設定した加熱であり、融着率を確保するための加熱としては十分であるが、表面を平滑にし、美麗化するための加熱としては不足している。そこで、(A)予備発泡粒子の融着率を40%以上80%以下とする一段目の加熱を行うことにより、予備発泡粒子からの空気放出を抑制した状態で、表面を平滑化するための(C)二段目の加熱を行うことを特徴とする。
ここで、(C)二段目の加熱工程での到達蒸気圧力P3は、基材樹脂種、予備発泡粒子の発泡倍率、付与する内圧により異なるが、一般的なプロピレン−エチレンランダム系樹脂の予備発泡粒子であれば、凡そ0.25〜0.35MPaの範囲である。ただし、予備発泡粒子の発泡倍率が小さいほど高圧の蒸気を必要とする傾向にある。
(C)二段目の加熱工程での圧力保持時間の設定を、ここでは5秒とした。二段目の加熱工程で所定圧力に達した直後は、金型各所の肉厚の違い、蒸気の流れの違いから金型の温度ムラが生じており、均一な温度とする為の時間が必要となる。金型の温度ムラは製品の表面性に大きな影響を与える為、金型の形状、金型の熱容量等を考慮し、適切な圧力保持時間を設定する必要がある。
本発明の製造方法においては、(C)二段目の加熱工程を行うことにより、成形体表面の温度を均一に上昇させることが可能となり、発生する粒間の数を減少させることができる。ここで、粒間とは、成形体表面で見られる予備発泡粒子と予備発泡粒子との間に生じる隙間を意味しており、粒間数は表面美麗性の評価尺度となる。
元来、予備発泡粒子の融着に必要な蒸気加熱圧力と表面美麗性に必要な蒸気圧力は異なるにも関わらず、従来の加熱パターンでは、融着と表面を美麗化する工程を同一工程としていた為、表面美麗化に必要な高い蒸気圧力とする必要があった。このため、予備発泡粒子は過剰な発泡力を有することになり、成形サイクルが長くなるという問題があった。
これに対して、本発明の製造方法によれば、融着工程[工程(A)]と表面美麗化を行う工程[工程(C)]を分けたことにより、成形サイクルに大きな影響を与える融着工程[工程(A)]の蒸気圧力を、融着のみに必要な低い蒸気圧力設定とすることが可能となり、成形サイクルの短縮が図れるようになる。
本発明の製造方法においては、さらに、(C)二段目の加熱工程の終了後、表面性の劣る側の蒸気弁を開き、数秒間加熱する補助加熱工程を設けてもよいし、ドレン弁12、13を閉じた状態で数秒間保持する工程である保熱工程を設けてもよいし、さらに、補助加熱工程と保熱工程を併用してもよい。
いずれの工程も表面性を改善が期待でき、工程の時間は3秒以上10秒以下に設定することが好ましく、より好ましくは4秒以上7秒以下である。補助加熱工程および/または保熱時間が3秒未満の場合は、表面性の改善効果が見られず、10秒超に設定した場合には表面性の改善効果は変わらない状況で成形サイクルだけが延長されることになる。
本発明の製造方法においては、工程(A)〜(C)の終了後、冷却水弁10、11を開き、蒸気室内の蒸気を凝縮させ、続いて、ドレン弁12、13を開いて冷却を継続することにより、スプレーノズルから噴出した冷却水により凹金型7と凸金型6を冷却し、成形体を固化させ、金型から離型させる工程を行う。この場合の冷却方法としては、公知の各種の方法を用いることができる。
例えば、先に説明した成形装置に取り付けられた冷却水のスプレーノズル14により金型を水冷する方法や、これにバキュームを併用(図示せず)する方法である。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法によれば、得られる型内発泡成形品の融着性と表面美麗性を向上させることができ、成形後の過剰な製品収縮を抑制可能とし、製品寸法と形状安定性が大幅に向上することができる。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体の融着率としては、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
次に、本発明の実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、表1、表2に記載した評価は、次のように行った。
(蒸気使用量)
蒸気使用量は、渦式流量計[YOKOGAWA製]にて測定した。
(成形直後の成形体内圧)
成形直後の成形体を、カッターナイフ(刃長100mm、刃幅18mm、刃厚み0.5mm)を用いて、5mm〜10mm角に切り出し、これを熱収縮させて、放出された空気をガスクロマトグラフ分析することにより、成形体内圧として算出した。
なお、空気のガスクロマトグラフ分析の測定条件は、以下のとおりである。
ガスクロマトグラフ装置としてはTCD測定法のジーエルサイエンス製GC−320を用い、カラムの充填剤はPorapakP50/80を用いた。ガスクロの測定条件はオーブンの温度を80℃とし、キャリアガスにはヘリウムを用い、その流量は30cc/分とした。
(融着性)
得られた発泡成形体にカッターナイフ(刃長100mm、刃幅18mm、刃厚み0.5mm)を用いて、約5mmのノッチをいれ、ノッチに沿って曲げ破断させた。
破断面の状態を目視観察し、破壊面で界面破壊したものとそれ以外のもの数を計測し、粒子そのものが破断しているものを融着した発泡粒子とし、界面で破断しているものを未融着として、この割合を求めることで算出した。但し、融着率の数値は10%オーダーで表記した。
(表面性)
得られた成形体の端部および中央部の成形体表面における予備発泡粒子同士の空隙を目視にて評価し、以下のように表した。
◎・・・亀甲模様が目立たない。
○・・・僅かに亀甲模様が観察される。
△・・・亀甲模様は観察されるが、品質上は合格レベルである。
×・・・亀甲模様が顕著であり、品質上問題となるレベルである。
(端部の変形)
板状の成形品のエッジ形状となる端部での変形の状態を目視にて観察し、以下のように表した。
○・・・変形が無い。
△・・・僅かに変形はあるが、問題とならないレベルである。
×・・・変形が顕著に見られる。
(寸法収縮率)
得られた成形体の厚み方向の寸法を代表寸法とし、ノギス[ミツトヨ製、CD67−520PS]を用いて測定した。用いた金型の寸法を基準として、対金型収縮率を計算した。ここでの製品寸法の合格基準は、3.3%以下である。
(実施例1)
[ポリプロピレン系発泡粒子の調製]
ポリプロピレン系予備発泡粒子としては、市販ポリプロピレン系発泡樹脂粒子[(株)カネカ製、DBS45、嵩密度17.1kg/m]に、空気加圧処理により空気を圧入して0.05MPa(G)の内圧に調製したものを使用した。
[型内発泡成形体の作製]
図1に示した成形装置の構造を持つ成形機を用いて、凹金型側、凸金型側にそれぞれ50Åの蒸気弁8、9を有する口径80Åの蒸気配管を用い、フレーム外寸1270mm×1015mmで板状の製品形状(長さ450mm×幅300mm×厚み50mm)を有する金型を取り付けて、蒸気の供給圧力を0.6MPa(G)として、成形評価を行った。
成形評価は、凹型と凸型からなる金型を5mm開いた状態で予備発泡粒子を成形空間に充填し、その後、型締めを行い、図3に示す加熱パターンにおいて表1に示した加熱条件にて成形を行い、水冷時の発泡面圧が0.05MPaとなった時点で水冷工程を終了として、成形体を離型させた。
すなわち、予備加熱工程では、凹金型側と凸金型側のドレン弁の両方を開いて、凹側と凸側の蒸気弁の両方を開き蒸気室内の空気を排出した。
(A)1段目加熱工程では、両方のドレン弁を閉じ、凹金型側と凸金型側の蒸気弁8、9を同時に開く弁操作を行い、蒸気室内の蒸気圧力が0.20MPa(G)に達するまで加熱した。その際、蒸気の昇圧速度は、図1中の蒸気弁8、9と蒸気室の間に手動バルブを設置し、弁開度を調整することにより行い、0.06MPa/秒に調節した。
(B)圧力低下工程では、凹金型側と凸金型側の蒸気弁8、9を同時に閉じ、5秒間で、蒸気圧力を0.08MPa(G)まで低下させた<圧力差0.12MPa>。
(C)2段目加熱では、再び、凹金型側と凸金型側の蒸気弁8、9を同時に開き、蒸気圧力が0.25MPa(G)に達するまで加熱した後、5秒間保持した。
[成形体の評価]
得られた成形体を常温、大気圧下で1時間放置し、続いて、成形体を75℃の乾燥室に搬入して、24時間の乾燥を行った。
成形体の評価は、乾燥室から成形体を取り出した後、常温、大気圧力下で12時間養生したものを使用した。
その評価結果は、表1に示す。
(実施例2〜5)
使用するポリプロピレン系予備発泡粒子の内圧を、表1に示した値に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、成形体を得た。
得られた成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行い、その後に実施した。
その評価結果は、表1に示す。
(実施例6〜14)
表1に示した加熱条件に変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い、成形体を得た。実施例6〜7では(A)工程の到達蒸気圧力の違い、実施例8、13、14では(A)工程の昇圧速度の違い、実施例9〜12では(B)工程の圧力低下の違いによる成形性を確認した。成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。その評価結果は、表1に示す。
Figure 2013141817
(比較例1)
(B)圧力低下工程を行わなかった以外は、実施例4と同様の操作を行い、成形体を得た。成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。その評価結果は、表2に示す。
(比較例2)
(A)工程における加熱蒸気圧P1を0.15MPa(G)として、(A)工程終了時の融着率を30%とした以外は、実施例4と同様の操作を行い、成形体を得た。
成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。その評価結果は、表2に示す。
(比較例3)
(A)工程における加熱蒸気圧P1を0.28MPa(G)として、(A)工程終了時の融着率を85%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、成形体を得た。
成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。
その評価結果は、表2に示す。
(比較例4)
(C)工程における加熱蒸気圧P2を0.15MPa(G)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、成形体を得た。
成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。その評価結果は、表2に示す。
Figure 2013141817
(比較例5)
加熱操作を、図2に示す従来の加熱パターンにおいて表3に示した加熱条件とした以外は、実施例1と同様の操作により、成形体を得た。
なお、予備加熱工程では、両方のドレン弁を開き、両方の蒸気弁を開いた状態で蒸気室の空気を排気した。一方加熱工程では、凹型側から蒸気を導入し、凸型側に蒸気を排気した。逆一方加熱工程では、凸型側から蒸気を供給し、凹型側から蒸気を排気した。
両面加熱工程では、両方のドレン弁を閉じ、加熱時には凹側と凸側の蒸気弁を同時に開く弁操作を行った。その後、ドレン弁を閉じた状態で蒸気圧力を保持する保熱工程を追加した。
成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。その評価結果は、表3に示す。
(比較例6〜9)
使用するポリプロピレン系予備発泡粒子の内圧を、表3に示した値に変更した以外は、比較例5と同様の操作を行い、成形体を得た。
得られた成形体の評価は、実施例1と同様の乾燥、養生を行った後に実施した。その評価結果は、表3に示す。
Figure 2013141817
実施例1〜5と比較例5〜9との比較において、表1、表3から判るように、加熱工程での融着と表面美麗化の工程を分離した本発明製造方法により、融着率と表面性の両立と成形サイクルの短縮も同時に図れている。
また、効率よく融着がなされることで、金型系外に蒸気を排出する工程を簡素化することができ、蒸気使用量も削減できている。
さらに、成形時に予備発泡粒子からの空気流出を可能な限り防止した成形条件としたことにより、成形直後の成形品内の空気量を保持でき、過剰な製品収縮を抑制可能となった。この結果、予備発泡粒子の内圧範囲を広げることができ、工程の安定化が図れる。
1.凹金型側フレーム
2.凸金型側フレーム
3.凹金型側センタープレート
4.凹金型側バックプレート
5.凹金型
6.凸金型
7.成形空間
8.凹金型側蒸気弁(蒸気バルブ)
9.凸金型側蒸気弁(蒸気バルブ)
10.凹金型側冷却水弁
11.凸金型側冷却水弁
12.凹金型側ドレン弁
13.凸金型側ドレン弁
14.冷却水スプレーノズル
15.金型内の圧力フィードバックライン
16.演算装置
17.演算信号出力ライン
18.凹金型蒸気室
19.凸金型側蒸気室

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型の成形空間に充填し、該成形空間部に蒸気を供給して該発泡粒子を発泡、融着させるポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法であって、
    該成形空間部に蒸気を供給して該予備発泡粒子を発泡、融着させる際に、
    (A)該発泡粒子の融着率が40%以上80%以下になる蒸気圧力P1に到達するまで一段目の加熱を行い、(B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させ、(C)再び、一段目の加熱での到達蒸気圧力P1以上の蒸気圧力P3に到達するまで加熱し、一定時間保持し、
    かつ、(A)工程において、蒸気圧力P1に到達するまでの昇圧速度を0.04MPa/秒以上0.10MPa/秒以下とすることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. (B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させる工程において、
    一段目の到達加熱圧力P1よりも0.05〜0.15MPa低下させることを特徴とする、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
  3. (B)一旦、一段目の到達蒸気圧力P1よりも低い蒸気圧力P2まで低下させる工程を、2秒以上5秒以下の範囲で行うことを特徴とする、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法。
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