JP2003261800A - インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置

Info

Publication number
JP2003261800A
JP2003261800A JP2002063937A JP2002063937A JP2003261800A JP 2003261800 A JP2003261800 A JP 2003261800A JP 2002063937 A JP2002063937 A JP 2002063937A JP 2002063937 A JP2002063937 A JP 2002063937A JP 2003261800 A JP2003261800 A JP 2003261800A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
recording
pigment
tension
jet recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002063937A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiyoshi Ouchi
明美 大内
Tsutomu Maekawa
勉 前川
Kunihiro Tamahashi
邦裕 玉橋
Hidetoshi Fujii
秀俊 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Printing Systems Ltd
Original Assignee
Hitachi Printing Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Printing Solutions Inc filed Critical Hitachi Printing Solutions Inc
Priority to JP2002063937A priority Critical patent/JP2003261800A/ja
Publication of JP2003261800A publication Critical patent/JP2003261800A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自己分散型顔料を使用した記録用インクぬれ
性が劣り、インクの充填や供給がスムーズにできず、イ
ンク流路部材等の選定に支障をきたしていた点を解決
し、インクの充填が容易でかつ吐出信頼性に優れたイン
クジェット記録用インクおよびインクジェット記録装置
の提供すること。 【解決手段】 インクジェット記録用インクが、自己分
散型顔料を含み、インクの表面張力がインク流路部材の
ぬれ張力より小さいか、またはインクを充填する前にイ
ンク流路部材を該インク流路部材のぬれ張力より低い表
面張力の処理液で接液することとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンタに用いるインクジェット記録用インクおよびこれ
を用いたインクジェット記録装置に関するものである。
更に、本発明はインクの充填が容易でかつ吐出信頼性に
優れたインクジェット記録用インクおよびインクジェッ
ト記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、記録用インクを
加熱あるいは加圧といった方法により小液滴として吐出
させ、それを紙等の被記録材に付着させて記録を行うも
のである。インクの色材としては、染料および顔料が使
用される。しかし、記録物の耐水・耐候性の面から考え
ると、染料よりも顔料を用いる方が有利である。また、
液媒体としては、普通紙上への滲みの面から考えると、
非水性媒体よりも水性媒体を用いる方が有利である。そ
こで、色材に顔料を用い、この顔料を水性媒体に分散し
た水性顔料系インクの開発が行われている。
【0003】しかし、プリントヘッドのメンテナンス動
作の際に巻き込まれる気泡あるいは流路内に残存する気
泡がヘッド内への混入したり、ノズル板へインクがあふ
れ出すことにより、吐出不良やノズル汚れを引き起こす
という問題がある。これらの問題を解決するため、プリ
ントヘッドの構成部品として、インクとの接触角が所定
範囲内にあるプラスチック部材を用いる発明が特開20
00−141692号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報においては、
インクジェットヘッドの材料としてプラスチック部材を
使用する点については開示されているが、記録用インク
の組成および物性についての十分な検討が必ずしもなさ
れていない。更に、インクジェット記録用インクで特に
色材に顔料を使用する場合は、少量の溶剤の混入で顔料
の凝集や沈殿が生じるため、使用するプラスチック部材
自身のぬれ性、処理液とのぬれ性の関係、更に処理液と
記録用インクの関係を詳細に検討する必要があるが、前
述の公報にはかかる点ついては一切言及されていない。
この点について無視してしまうと、高画質の印刷物およ
び安定した噴射特性を提供することはできない。よっ
て、従来の技術においては、任意の記録用インクを使用
して噴射した場合に、極めて低い吐出信頼性を提供する
可能性が有る。
【0005】一方、本発明の如く表面酸化処理された自
己分散型顔料を使用した記録用インクは、従来の界面活
性剤で分散していた顔料系インクより再分散性に優れる
が、界面活性剤の無添加または減量によりぬれ性が劣
り、インクの充填や供給がスムーズにできない可能性が
あり、インク流路部材等の選定に支障をきたしていた。
また、顔料の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型
の顔料は、低粘度化は容易であるが、顔料と樹脂との相
性から組み合わせが限定され、分散の安定性さらには吐
出の安定性を得ることが難しかった。
【0006】以上より、本発明は吐出信頼性に優れたイ
ンクジェット記録用インクおよびインクジェット記録装
置を提供することを課題とする。さらなる目的として
は、多種多様化する記録用インクおよび記録装置の開発
において、インクまたは装置に依存しない独立した材料
本体のパラメータを把握することにより、開発の汎用性
およびスピードアップを図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明においては、インク液滴を噴射させ記録ドットを
形成するインクジェット記録装置で使用するインクが、
自己分散型顔料を含み、インクの表面張力がインク流路
部材のぬれ張力より小さいこととした。自己分散型顔料
がカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ス
ルホン基、水酸基、リン酸基から選ばれた1種または2
種以上の官能基を顔料表面に有し、JIS−K3362
の起泡力と泡の安定度試験において泡の安定度が30m
m以下であり、かつ25℃での溶存酸素量が50%以下
であるとよい。
【0008】インク流路部材の一部がプラスチックまた
は接着剤であり、ぬれ張力が40mN/m以下であるイ
ンクジェット記録装置がよい。インクを充填する前にイ
ンク流路部材を該インク流路部材よりぬれ張力が低い表
面張力の処理液で接液した後、処理液を記録用インクで
置換してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の特徴を以下に説明する。
【0010】図1は自己分散型顔料、特にスルホン化処
理顔料の概念図である。無処理の顔料表面は疎水性であ
るため、水系媒体に均一分散させることが難しい。その
ため、従来は界面活性剤などの分散剤添加により顔料を
均一分散させて使用していた。本発明で使用する顔料
は、水系媒体中で硝酸、硫酸、過硫酸カリウム、過マン
ガン酸カリウムなどの酸化剤と共に顔料を加熱処理した
後に水洗処理などを行い、顔料表面を酸化処理(親水処
理)したものを用いる。この処理により、図中のスルホ
ン基のような親水基が顔料表面に形成されるため、分散
剤の添加なしに水系媒体に均一分散させることが可能と
なる。この他、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロ
キシル基、水酸基、リン酸基を顔料表面に有した自己分
散型の顔料も有効であるが、処理しやすさおよび特性か
らスルホン基およびカルボキシル基が特に有効である。
【0011】次に、ぬれ張力について説明する。ぬれ張
力はJIS K6768-1999「プラスチックフィルム及びシー
ト−ぬれ張力試験方法」に準じて評価した。原理はプラ
スチックフィルム表面をぬらすまで、段階的に増加する
表面張力を持つ一連の混合液をフィルム表面に滴下す
る。試験表面のぬれ張力は、この混合液の表面張力で近
似できるものとした。つまり、インクジェットヘッドの
インク接触部分(主にプラスチック部材)に対する混合
液の接触角が10°以下になった時の混合液の表面張力
を、インク流路部材の表面張力とし、ぬれ張力と定義し
た。具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ホルムアミド、メタノールを表1に従い混合して、
表面張力22.6〜50mN/mのぬれ張力測定のため
の試験用混合液を調整した。
【0012】
【表1】
【0013】更に、市販のプラスチック部材のぬれ張力
を測定した。その結果を表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】表2において、シリコンおよびフッ素樹脂
は、表面張力22.6mN/mの試験用混合液に対して
ぬれ広がらなかったため、ぬれ張力は22.6mN/m
未満とした。つまり、シリコンおよびフッ素樹脂系のプ
ラスチック部材をインクジェットヘッドのインク接触部
分に直接使用する場合は、記録用インクの表面張力を2
2.6mN/mより低くした方が良い。塩化ビニル系高
分子、塩化ビニル/塩素化ポリエチレン/メタクリル酸
メチルのクラフト重合、軟質塩化ビニル、コロナ放電処
理ポリエチレンテレフタレート系のプラスチック部材を
インク接触部分として使用する場合は、記録用インクの
表面張力は35〜48mN/mと高くても、充填性に優
れ吐出が安定する。ぬれ張力の概念を導入することによ
り固体物質の表面張力を簡便かつ実態に沿って評価でき
る。
【0016】インクジェット記録装置に用いるプラスチ
ック部材はヘッドのキャリッジ方向の往復運動から生じ
る流路内部のインク圧力変動を吸収するダンパー、ある
いはインクカートリッジ、チューブ、ヘッド内流路等が
存在する。これらを本発明では流路部材と定義する。、
また、インク流路に接着剤がはみ出す場合があるが、こ
れも流路部材の一部とする。その理由は、シートタイプ
の接着剤や吹き付けるタイプの接着剤等があるが、イン
クの濡れを低下させる可能性があることによる。記録液
の水蒸気蒸発に伴う粘度上昇や顔料凝集により引き起こ
される種々の問題を解決するために要求される特性と共
にインクに対する耐性、濡れ性または処理液での処理し
やすさ等を解決する必要がある。
【0017】また、本発明の記録用インクは界面活性剤
を添加しなくても十分にインクとして機能を果たすが、
添加する場合においても、JIS−K3362の起泡力
と泡の安定度試験において泡の安定度が30mmよりも
小さい方が吐出性能に優れることを確認した。特に10
mm以下であるとさらに良い特性が得られる。これは3
0mm以上では残存気泡が流路内を移動し、ヘッド内部
に混入し吐出不良を引き起こしやすいためと考えられ
る。
【0018】同様に、溶存酸素量は25±5℃で50%
以下なるよう、記録用インクを十分に脱泡して使用する
のが望ましい。本発明において溶存酸素量は、インク中
に含まれる気体の量がどれだけ少ないかを示すものであ
る。従って、インク中に溶解している窒素と酸素量で定
義すべきであるが、本発明では容易に測定できる溶存酸
素量(DO値:DO = Dissolve Oxygen)で代用した。す
なわち、DO値が小さいもの程、脱気度が大きいことを
示している。なお、DO値は、溶質1リットル中に溶解
している酸素の量(mg/l)で表されるが、温度によって
DO値は変動するため飽和度(%)で定義した。
【0019】脱気が不十分であると、インク中に気泡が
発生しやすく吐出不良の原因となる可能性が有る。脱気
の方法としては、真空度97kPa程度で数分間インク
を真空脱泡し、溶存酸素量が30%以下になるとさらに
よい。またはエアーフィルタ等でエアーをろ過する方法
も有効である。インク中に空気を吸収する材料を添加し
ても良い。
【0020】本発明で使用するインクに特に限定はない
が、プリントヘッドや周辺部材を腐食したり特性を変化
させたりすることがないものが好ましい。
【0021】例えば、グリコール類、グリセリン、アセ
チレングリコールおよびアセチレンアルコール等、エチ
レングリコール系エーテルおよびプロピレングリコール
系エーテル等、防かび剤、キレート化剤、脱酸素剤、消
泡剤、整泡剤、静電気防止剤、導電性付与剤、高分子界
面活性剤、整泡剤粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止
剤、架橋促進剤、酸素吸収剤、可塑剤、防腐剤、防錆
剤、蒸発促進剤、pH調整剤、保湿剤等各種の添加剤が
機能性を発現するため用途に応じて使用できる。
【0022】色材としては、直接染料、酸性染料、食用
染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、
可溶性建染染料、反応分散染料等通常インクジェット記
録に使用する各種染料を自己分散型顔料と併用すること
ができる。特に限定されるわけではないが、本発明には
例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有
機又は無機顔料が使用できる。安全性が高く、特に変異
原性試験で陰性で、染色体異常を示さないものが好まし
い。
【0023】赤あるいはマゼンタ顔料としては、Pigmen
t Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:
3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:
4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、10
4、108、112、122、123、144、146、149、166、168、16
9、170、177、178、179、184、185、208、216、226、25
7、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、P
igment Orange 13、16、20、36、青またはシアン顔料と
しては、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、1
5:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑
顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料
としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、3
4、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、10
9、110、137、138、139、153、154、155、157、166、16
7、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Bla
ck 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
【0024】具体的にはピグメントイエロー74、ピグ
メントレッド122、ピグメントブルー15:4などが
表面処理しやすく好ましい。添加量は顔料濃度1〜10
重量パーセントが適量である。1重量パーセント未満で
は画像品質が低下し、10重量部より多いとインク粘度
特性に悪影響を与える。また色の調整等で2種類以上の
着色剤を適時混合して使用できる。上記したビヒクル、
顔料及びその他の成分の混合、分散には、スターラー、
ビーズミル、ホモジナイザが最適であるが周知の各種の
撹拌、粉砕又は分散装置が特に制限無く使用できる。
【0025】インクを充填する前にインクジェット記録
装置内のインク流路部材を該インク流路部材のぬれ張力
より低い表面張力の処理液で接液することも有効であ
る。インク流路部材のぬれ張力を低下させる処理液であ
れば、使用する材料に特に限定はないが、記録用インク
と同類または相溶性がある類似の組成物でプリントヘッ
ドや周辺部材を腐食したり特性を変化させたりすること
がないものが好ましい。例えば、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびジ
プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペン
タメチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチ
ルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコ
ール、メチルポリグリコール、ブチルグリコール、ブチ
ルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグ
リコール、メチルプロピレングリコール、メチルプロピ
レンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、
プロピルプロピレングリコール、 プロピルプロピレン
ジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプ
ロピレンジグリコール、フェニルプロピレングリコール
等、この他にもカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホ
ン酸塩、燐酸エステル塩類等のアニオン系界面活性剤、
アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキ
ルアンモニウム塩ベンザルコニウム塩、アルキルピリジ
ウム塩、イミダゾリニウム塩等のカチオン系界面活性
剤、カルボキシベタイン、スルホベタインアミノカルボ
ン酸、燐酸エステル塩等の両性界面活性剤、エーテル
系、エステル系、エーテルエステル系、含窒素系があり
具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリン
エステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリ
セリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビ
タンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビト
ールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ア
ルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、
アミンオキシド等の非イオン系界面活性剤等が広く利用
できる。流路部材のぬれ張力を低下させる非水溶性の材
料も使用できる。例えば、リン酸エステル、フタル酸エ
ステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族ニ塩基酸エス
テル、ニ価アルコールエステル、オキシ酸エステル等が
あり、特に揮発性が低いものは効果が継続するので適し
ている。
【0026】物性調整剤としては、KOH等の金属水酸
化物、各種界面活性剤、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン等のアルコールアミン類、りん酸、強酸の
アルコールアミン塩、アンモニウム塩、低級カルボン
酸、グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、安
息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、チアベンダゾ
ール、ベンズイミダゾール等の防かび剤、高分子界面活
性剤等各種の添加剤が用途に応じて使用できる。アセチ
レングリコールおよびアセチレンアルコールを使用する
こともできる。
【0027】接液の方法としては、インク流路部材のぬ
れ張力より低い表面張力の処理液を調整し、処理液が入
った容器からインク供給チューブを介してヘッド部に供
給する。ノズル部につないだポンプを駆動すると吸引が
始まり容器から処理液をヘッドに供給する充填方法があ
る。またはチューブやダンパ単体に対して、処理液に浸
漬する方法等がある。
【0028】処理液の粘度は25℃で2〜20mPa・
s、表面張力は18〜40mN/mが望ましい。
【0029】また、本発明においては、インクジェット
記録ヘッドに処理液を充填後、直ちに記録用インクに置
換するか、あるいは処理液をインクジェット記録ヘッド
に予め充填した状態で、例えば出荷または不使用時の仮
のインクとして充填し、使用時に記録用インクに置換す
るようにしている。
【0030】処理液を記録用インクで置換する方法とし
ては、処理液をヘッド部から排出し、インクジェット記
録ヘッドのノズルにつないだポンプを駆動して吸引し、
インク容器から記録用インクをインクジェット記録ヘッ
ド内に供給する自動吸引操作による方法と、インク容器
を加圧してノズルに水性記録用インクを充填する加圧操
作方法等があるが、気泡の取りこみがないように配慮し
た方法であれば制限はない。処理液を接液して流路部材
のぬれ張力を低下させた後は記録用インクの表面張力に
特に制限は無く、様々な記録用インクが使用できる。
【0031】インクジェット記録装置としては、圧電素
子を用いたオンデマンド型インクジェット記録の記録ヘ
ッドあるいは記録方法には、ライン型記録、シリアル型
記録、転写型(シャトル型)記録等、様々な様式がある
が、本発明の記録ヘッドは、長時間吐出の信頼性を回復
する処置を行わずに駆動を継続するライン型記録におい
て特に有効である。 間欠吐出性能に優れた記録ヘッド
が要求される。つまり吐出のインターバルが長いため、
ノズル付近でのインクの乾燥や増粘が起き、吐出の電気
信号が与えれた際に、初期の吐出が行われず印字不良と
なるのを回避する性能が必要となる。気泡巻き込みや流
路内の残存気泡が、ヘッド内への気泡混入、あるいはノ
ズル板へのインクあふれ出しによる吐出不良やノズル汚
れを引き起こすのを防止しなければならない。
【0032】本発明のインクジェット記録装置には、加
熱、乾燥工程や両面印刷機構、インク回収機構等を付加
することも可能である。ノズルの乾燥を防止するキャッ
ピングや、ノズル面に付着したインクを除去するブレー
ドが具備されてもよい。インクを吐出させない程度に微
動させることによって、インクが攪拌されて吐出を安定
的に行うことができる。微動方法としては特に限定はな
いが、インクを吐出する加圧手段を、インクが吐出しな
い程度に加圧制御することにより行うのが望ましい。ス
タンバイの間微動を継続してもよいが、インクの乾燥を
促進するため吐出直前に微動を行う方が好ましい。
【0033】記録装置の一例を図2に示す。記録用紙2
は用紙供給部4からガイドローラによって用紙送り方向
に搬送される。2式のプリントヘッド1から記録用紙両
面に噴射されたインク液滴により画像を形成した後、記
録用紙2は乾燥装置3において加熱または送風され、定
着される。さらに、記録用紙2は用紙スタッカ部6に保
管される。また、記録に使用されなかったインクはイン
ク回収機構5に集められ再利用される。
【0034】更に、このインクジェット記録装置は、印
刷を必要とするときのみインク小滴を噴射させる、従来
公知のインクジェットプリンタ例えば、オフィス用プリ
ンタ、工業用マーキングに使用されているプリンタ、ワ
イドフォーマット型プリンタ、刷版及び製版用プリタ、
ラベルプリンタおよびカレンダーの追い刷り印刷、三次
元造形機等この典型的操作を持つすべてのタイプのプリ
ンタに使用可能であるがこれらに限定されるものではな
い。
【0035】次に本発明を具体的な例により具体的に説
明するが、記載例に限定されるものではない。 〔実施例1〜4〕記録用インクとしては精製水40重量
パーセント、グリセリン50重量パーセント、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル(いずれも和光純薬
製)を5重量パーセント、N−ホルムアミド(荒川化学
製、ビームセット770)、これに対して自己分散型顔
料として黒顔料として(キャボット製、Cab-O-jet200、
実施例1)、黄顔料として(キャボット製、444、実施例
2)、赤顔料水分散体(キャボット製、266、実施例
3)、シアン顔料水分散体(キャボット製、253、実施
例4)を、それぞれ顔料濃度を全量に対して3重量パー
セントになるように混合し、各組成物全300gをホモ
ジナイザ(日立工機製HG30)を用いて、回転数2,
000rpmで均質な混合物が得られるまで分散し、均
質な記録用インク4種を得た。
【0036】インクの表面張力は自動表面張力計(協和
界面科学社製CVBP-Zモデル)にて測定し34〜37mN
/mであった。インクの泡の安定度試験は、JIS K−33
62に準じた起泡力測定装置((有)桐山製作所、Cat.No.J
IS-197-1)を使用した。泡の安定性は0〜10mmであ
った。溶存酸素量はDO METER(東興化学研究所製TOX-90
i)を用いて、マグネチックスターラーでゆるやかに攪
拌しながら測定したところ15〜38%であった。いず
れも測定温度は25±5℃である。結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】インク供給用のチューブに表2の軟質塩化
ビニル(ぬれ張力、38mN/m))を使用し、ダイレ
クト刷版作成機(日立工機製SJ02A)のヘッド部分
を摘出して固定した印刷試験機を使用し、用紙表面にイ
ンク吐出速度3kHz、用紙送り速度を10ipsとし
て、解像度300(×600)dpiで30分間連続し
て記録を行った。チューブのぬれ張力より表面張力の低
い記録用インクを充填し使用したことによりに、チュー
ブ内に残存気泡がなく30分連続した吐出ができ、不吐
出ノズルが発生せず実用レベルにあった。 〔実施例5〜6〕記録用インクおよびチューブは実施例
1〜4と同様のものをそれぞれ使用した。プリントヘッ
ド部にエポキシ樹脂系のシート接着剤(ぬれ張力、32
mN/m)が使用されていた。インクのぬれ性が悪く充
填が困難であったため処理液を接液した。処理液は精製
水70重量パーセント、グリセリン5重量パーセント、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル25重量パー
セントおよびアセチレンアルコール系(日信化学工業
製、商品名:オルフィンSTG(実施例5、表面張力3
0.1mN/m)、オルフィンE−1010(実施例6、表
面張力31 mN/m)、サーフィノール104E(実施例
7、表面張力30.7mN/m)、サーフィノール440
(実施例8、表面張力29.5mN/m)をそれぞれ0.1
重量パーセントを攪拌し、均質な処理液4種を得た。処
理液の表面張力はそれぞれ30.1mN/m(実施例
5)、31mN/m(実施例6)、30.7mN/m
(実施例7)、29.5mN/m(実施例8)であっ
た。
【0039】接液方法としては処理液が入った容器から
インク供給チューブを介してヘッド部に供給する。ノズ
ル部につないだポンプを駆動して吸引が始まり容器から
処理液をヘッドに供給した。その後処理液を実施例1〜
4と同じ記録用インクで置換して、実施例1と同様に評
価したところ30分連続した吐出ができて、不吐出ノズ
ルが発生せず実用レベルにあった。 〔比較例1〕実施例5〜8の処理液を接液しないで同様
の印字試験を行なったところ、数本のノズルに不吐出が
あり実用レベルには達していなかった。 〔比較例2〕記録用インクを市販の染料インク(表面張
力、32mN/m)に代えて、チューブに表2のポリエ
チレン(ぬれ張力、30mN/m))を使用した以外は
実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
不吐出ノズルが発生し、十分な記録ができなかった。
【0040】
【発明の効果】流路内の残存気泡による吐出不良がない
ため噴射安定性が向上した。また、インク流路部材等の
選択範囲が広がり高信頼化、低価格化が可能となった。
さらにぬれ張力の概念を開発に導入することにより、イ
ンクおよび記録装置の開発に汎用性をもたらした。すな
わち、インク物性の改良または記録装置部材の改良の切
り分けがしやすくなり、さらに、インクに依存しない独
立したインクジェットヘッドの部材本体のパラメータ
(ぬれ張力)を把握することにより、多種多様なインク
および記録装置の開発に汎用性をもたらしかつ、製品設
計のスピードアップを図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面処理自己分散型顔料の一例を示す模式
図。
【図2】 本発明におけるインクジェット記録装置の一
例を示す概略図
【符号の説明】
1…プリントヘッド、2…記録用紙、3…乾燥装置、4
…用紙供給部、5…インク回収機構、6…用紙スタッカ
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉橋 邦裕 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 藤井 秀俊 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EC62 FC02 HA17 2H086 BA02 BA55 BA60 4J039 BC07 BC16 BC19 BC54 BC56 BE01 GA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク液滴を噴射させ記録ドットを形成す
    るインクジェット記録装置で使用するインクが、自己分
    散型顔料を含み、インクの表面張力がインク流路部材の
    ぬれ張力より小さいことを特徴とするインクジェット記
    録用インク。
  2. 【請求項2】前記自己分散型顔料が、カルボニル基、カ
    ルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、水酸基、
    リン酸基から選ばれた1種または2種以上の官能基を顔
    料表面に有することを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】JIS−K3362の起泡力と泡の安定度
    試験において泡の安定度が30mm以下であり、かつ2
    5±5℃での溶存酸素量が50%以下であることを特徴
    とする請求項1または2記載のインクジェット記録用イ
    ンク。
  4. 【請求項4】請求項1記載のインクジェット記録用イン
    クを用いた記録装置であって、記録装置内のインク流路
    部材の一部がプラスチックまたは接着剤であることを特
    徴とするインクジェット記録用インクを用いた記録装
    置。
  5. 【請求項5】請求項4記載のインクジェット記録用イン
    クを用いた記録装置であって、プラスチック部材または
    接着剤のぬれ張力が40mN/m以下であることを特徴
    とするインクジェット記録用インクを用いた記録装置。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載のインクジェット記
    録用インクを用いた記録装置であって、前記インクジェ
    ット記録用インクを充填する前に、前記インク流路部材
    を該インク流路部材のぬれ張力より低い表面張力の処理
    液で接液することを特徴とするインクジェット記録用イ
    ンクを用いた記録装置。
JP2002063937A 2002-03-08 2002-03-08 インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置 Pending JP2003261800A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002063937A JP2003261800A (ja) 2002-03-08 2002-03-08 インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002063937A JP2003261800A (ja) 2002-03-08 2002-03-08 インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003261800A true JP2003261800A (ja) 2003-09-19

Family

ID=29196964

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002063937A Pending JP2003261800A (ja) 2002-03-08 2002-03-08 インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003261800A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018020548A (ja) * 2016-06-15 2018-02-08 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像を有する連続紙の製造方法
JP2018161854A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 株式会社リコー 画像形成装置、及び画像形成方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018020548A (ja) * 2016-06-15 2018-02-08 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像を有する連続紙の製造方法
JP2018161854A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 株式会社リコー 画像形成装置、及び画像形成方法
JP2022002900A (ja) * 2017-03-27 2022-01-11 株式会社リコー 画像形成装置、画像形成方法、及びインク
JP7184137B2 (ja) 2017-03-27 2022-12-06 株式会社リコー 画像形成装置、画像形成方法、及びインク

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4965755B2 (ja) インクジェット用インク組成物
WO2013161410A1 (ja) インクジェット記録用インク組成物、インク供給システム及びインクジェット記録装置
JP5146041B2 (ja) インクジェットプリンタ及びインクジェットヘッド洗浄液
JP2003138186A (ja) インク、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク吐出の安定化方法
US10202563B2 (en) Cleaning fluid and cleaning method
JP2004352856A (ja) インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP6065622B2 (ja) インクジェット用インクセット及びインクジェット記録システム
JP2013124260A (ja) インクセット、インクジェット記録装置及び記録物
JP6292235B2 (ja) インクジェットインクの脱気方法およびインクジェット記録方法
JP2017115075A (ja) インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録装置
US9809037B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
JP3217486B2 (ja) インクジェット記録方法及び装置、記録物の耐擦過性を向上させる方法
JP2003261800A (ja) インクジェット記録用インクおよびそれを用いた記録装置
JP2016215619A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JPH0692009A (ja) インクジェット記録方法
JP2016216619A (ja) インク、インクジェット記録方法、インク収容容器及びインクジェット記録方法
JPH06116522A (ja) 記録液及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP5076393B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2006083303A (ja) インクジェット用インクセット、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP3601358B2 (ja) インクジェット記録用反応液およびそれを用いたインクジェット記録方法
JP2003326692A (ja) インクジェット記録装置
JP2003136831A (ja) インクジェット記録装置
JP3951212B2 (ja) インクジェット記録装置
JP7433988B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2004359803A (ja) インク組成物、インクジェット画像形成方法およびインクジェット画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060719

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061110