JP2003261782A - レーザーマーキング用樹脂組成物、樹脂成型物及びレーザーマーキング方法 - Google Patents

レーザーマーキング用樹脂組成物、樹脂成型物及びレーザーマーキング方法

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JP2003261782A
JP2003261782A JP2002067242A JP2002067242A JP2003261782A JP 2003261782 A JP2003261782 A JP 2003261782A JP 2002067242 A JP2002067242 A JP 2002067242A JP 2002067242 A JP2002067242 A JP 2002067242A JP 2003261782 A JP2003261782 A JP 2003261782A
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JP
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resin
inorganic particles
laser marking
resin composition
treated
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Application number
JP2002067242A
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English (en)
Inventor
Jun Kaneda
潤 金田
Seiji Sawada
誠司 澤田
Nobuyuki Uchida
信幸 内田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単一の素材でレーザー光に対して感度を持ちな
がら、それ自身がレーザー光照射による熱刺激により高
い発色性を持つ表面処理無機粒子を熱可塑性樹脂中に分
散することにより、レーザー光に対して感度良く、高い
発色性を持つレーザーマーキング用樹脂組成物、該樹脂
組成物から得られる樹脂成型物を用いたレーザーマーキ
ング方法を提供。 【解決手段】金属アルコキシドで表面処理した無機粒子
および熱可塑性樹脂を含有するレーザーマーキング用樹
脂組成物、該樹脂組成物から得られる樹脂成型物および
該樹脂成型物を用いたレーザーマーキング方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザーマーキン
グ用熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物から得られる樹
脂成型物および該樹脂成型物へのレーザーマーキング方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近頃、電子部品、電気部品、電気製品、
自動車部品、機械部品、シート、カードなどの表面に製
造年月日、製造メーカー名、製品名などを明記する方法
として、非接触で且つマーキング速度が速く、幅広い素
材の表面形状にとらわれることなくマーキング可能であ
り、自動化、工程管理が容易なことからレーザーマーキ
ングが普及している。また、最近は直接素材自身にマー
キングし、インキ、溶剤および接着剤などを使わず済む
ため、環境的にもクリーンなマーキング方法として注目
を受けている。現在、使用されているレーザーマーキン
グは金属や樹脂などに直接レーザーを照射することによ
り、照射部分が熱分解したり蒸発することによって表面
に物理的変化を生じさせたり、発色または脱色させるこ
とでマーキングする仕組みである。しかし、幅広い用途
で使用されている樹脂をマーキングする場合、樹脂自身
はレーザーの種類により多少の差はあるもののレーザー
感度が低いためマーキングが難しいことがある。特に、
大出力でありながら微細加工ができるYAGレーザー光
の波長1064nmに対してはほとんど感度を持たな
い。これまでに、特開平7−286074号公報、特開
平10−237319号公報において、レーザー感度を
持った単独または複数の無機素材を、熱可塑性樹脂に添
加することによってマーキングを行う技術が開示されて
いる。該公報で開示されているマーキング機構は、添加
する無機素材がレーザー光を吸収することにより高い熱
を発し、その周りの樹脂を分解させ変色させることによ
りマーキングさせる方法である。しかし、この方法で
は、樹脂の構造の違いによる変色の度合いや樹脂自身の
持つ透明性の違いによってマーキングの濃さに大きな差
がでてしまう問題が生じると同時に、コントラストを上
げるにも物理的に限界がある。そこで、特開平5−25
4252号公報では、熱で変色する無機素材を一緒に樹
脂に添加する技術が開示されている。しかし、この方法
では、添加する無機素材と熱で変色する無機素材を均一
に樹脂へ分散させない限り、少量の添加量で効率的に高
い発色性を出すことが難しくなる。また、無機素材の粒
径や形状によっても大きく左右されてしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、レ
ーザー光に対して高い感度と発色性を併せ持つレーザー
マーキング用樹脂組成物、該樹脂組成物から得られる樹
脂成型物および該樹脂成型物を用いたレーザーマーキン
グ方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、レーザー
光に対して感度を持った無機粒子表面に表面処理後の感
熱発色性が高い金属アルコキシドを処理することによ
り、単一の素材でレーザー光に対し感度を持ちながら、
レーザー光を吸収することによる発熱によりそれ自身が
発色する表面処理無機粒子が得られ、該表面処理無機粒
子を熱可塑性樹脂に分散することにより、レーザー光に
対して高い感度と発色性を併せ持つ樹脂組成物が得られ
ることを見出し、本発明に至った。
【0005】すなわち、本発明は、金属アルコキシドで
表面処理した無機粒子および熱可塑性樹脂を含有するレ
ーザーマーキング用樹脂組成物に関する。
【0006】また、本発明は、樹脂組成物の全成分量に
対して金属アルコキシドで表面処理した無機粒子の含有
量が0.05〜50重量%であることを特徴とする上記
レーザーマーキング用樹脂組成物に関する。
【0007】また、本発明は、金属アルコキシドで表面
処理した無機粒子を200℃から800℃まで加熱した
際の有機成分熱分解減少量が0.01〜20重量%であ
ることを特徴とする上記レーザーマーキング用樹脂組成
物に関する。
【0008】また、本発明は、金属アルコキシドが、ア
ミン系官能基、飽和炭化水素系官能基および芳香族系官
能基から選ばれる一種以上を有することを特徴とする上
記レーザーマーキング用樹脂組成物に関する。
【0009】また、本発明は、無機粒子が、マイカ、モ
ンモリロナイト、シリカおよび酸化チタンから選ばれる
一種以上であることを特徴とする上記レーザーマーキン
グ用樹脂組成物に関する。
【0010】また、本発明は、熱可塑性樹脂が、ポリプ
ロピレン系樹脂および/またはポリエステル系樹脂から
なることを特徴とする上記レーザーマーキング用樹脂組
成物に関する。また、本発明は、上記レーザーマーキン
グ用樹脂組成物から得られる樹脂成型物に関する。ま
た、本発明は、上記樹脂成型物の表面にレーザー光を照
射してマーキングすることを特徴とするレーザーマーキ
ング方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる無機粒子は、
レーザー光に対して感度を持つものであり、例えば、シ
リカ、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化
アンチモン、合成ゼオライト、天然ゼオライト、マイ
カ、モンモリロナイト、タルク、クレー、炭酸カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げ
られる。特に、レーザー光に対して高い感度を有するマ
イカ、モンモリロナイトや無機粒子表面に水酸基を多く
有するため金属アルコキシドで効率的に処理でき、その
処理効果がレーザーマーキングの鮮明性にも顕著に現れ
るシリカ、酸化チタンはより好ましい。また、本発明で
使用される無機粒子の色調は、樹脂組成物にした際の樹
脂の色調に影響しない白色または淡色の無機粒子である
ことが好ましい。さらに、本発明で使用される無機粒子
の平均粒径は0.05〜500μmが好ましく、0.1〜
50μmがより好ましい。本発明で使用する市販のマイ
カとしては、メルクジャパン社製のイリオジLS80
0、イリオジンLS805、イリオジンLS810、イ
リオジンLS820、イリオジンLS825、イリオジ
ンLS830、イリオジンLS835等が挙げられる。
本発明で用いられる金属アルコキシドは、無機粒子に表
面処理した際に熱刺激による発色性の高い官能基を有す
る化合物である。表面処理することで熱刺激による発色
性が高くなる官能基としては、アミン系官能基、飽和炭
化水素系官能基、不飽和炭化水素系官能基、芳香族系官
能基およびハロゲン化炭化水素系官能基等が好ましく、
アミン系官能基、飽和炭化水素系官能基および芳香族系
官能基がより好ましい。また、これらの官能基を一分子
中に一種以上有する金属アルコキシドも高い発色性を示
すものである。金属アルコキシドの金属成分としては、
珪素、チタン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ス
ズ、鉄、カルシウム、ニオビウム等が挙げられる。特
に、珪素のアルコキシドは種々の有機官能基を導入で
き、珪素のアルコキシドとして製造工程で扱いやすく安
価であると言う利点を持つため、表面処理剤としてより
好ましい。具体的には、3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3
−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエ
トキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−フェニルアミノプロピルトリエトキシシ
ラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエ
トキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシル
トリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オ
クチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシ
シラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルフ
ェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジフ
ェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、チタニウ
ムエトキシド、チタニウムブトキシド、チタニウムイソ
プロポキシド、チタニウム2−エチルヘキソキシド、チ
タニウムトリイソステアロイルイソプロポキシド、アル
ミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、
マグネシウムエトキシド、等が挙げられる。なかでも、
表面処理後の熱刺激による発色性がより高く、コスト的
に安価であるため、3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−フ
ェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニ
ルアミノプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリメ
トキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が
好適に用いられる。
【0012】これらの金属アルコキシドは一種類または
二種類以上混合して用いてもよい。本発明の金属アルコ
キシドで表面処理した無機粒子を200℃から800℃
まで加熱した際の有機成分熱分解減少量は、0.01〜
20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ま
しい。有機成分熱分解減少量が20重量%を超えるため
には、金属アルコキシドを多量に添加したり、高温下で
の反応時間を長くする必要性がありコスト的に高くなる
問題が生じるからである。
【0013】有機成分熱分解減少量は、熱分析計TG−
DTA測定装置(セイコーインスツルメンツ社製「TG
/DTA6300」)を用いて表面処理無機粒子の20
0〜800℃における重量減少率を空気気流下で測定し
求める。そしてこの重量減少率から未処理無機粒子を2
00℃から800℃まで加熱した際の重量減少率を差し
引いた割合を有機成分熱分解減少量(重量%)とする。
また、本発明に用いられる金属アルコキシドは、無機粒
子表面の水酸基と反応し、水素結合および/または共有
結合により無機粒子表面に結合する化合物である。具体
的に説明すると、金属に結合した反応性の高いアルコキ
シル基は、水の存在下で加水分解を生じて水酸基とな
り、無機粒子表面に存在する水酸基と水素結合する。さ
らに、その水素結合している状態で加熱することによ
り、一部脱水縮合して共有結合を生じる。無機粒子の金
属アルコキシドによる表面処理は、一般的に知られてい
る乾式処理または湿式処理を利用して行うことができ
る。乾式処理では、ヘンシェルミキサーやスーパーミキ
サーなどの高速攪拌機を使用し、無機粒子を高速攪拌し
ながらそこに金属アルコキシドを直接または溶液状態で
滴下または噴霧することにより処理を行う。そして、加
熱しながら乾燥させ、無機粒子表面の水酸基と金属アル
コキシド加水分解することで生じる水酸基との脱水縮合
反応を促進させる。高速攪拌処理中に加熱すると反応は
より促進され、短時間で処理を行うことができる。ま
た、金属アルコキシドを溶液として添加する際に用いる
媒体は、特に限定されないが、例えば、水、アルコー
ル、アセトン、トルエン等が挙げられる。溶液で使用す
る際は、溶液調整後、数時間から一日間放置しアルコキ
シル基の加水分解反応を促進させた状態で使用する。ま
た、乾式処理機として、マイクロナイザーやジェットミ
ルなどの流体エネルギー粉砕機で無機粒子を粉砕しなが
ら金属アルコキシドを添加し反応させることにより、よ
り均一な無機粒子表面での反応処理ができる。ここで用
いる流体としては、圧縮空気、加熱圧縮空気、スチーム
等が挙げられる。湿式処理では、容器中で無機粒子を水
または溶剤に分散させ、そこに金属アルコキシドを添加
し、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜
130℃の反応温度で、好ましくは4〜20時間、より
好ましくは7〜15時間加熱攪拌することにより処理を
行う。そして、水または溶媒を除去し、金属アルコキシ
ドの未反応成分を洗浄または減圧乾燥により除去し、表
面処理無機粒子を紛体として取り出す。湿式処理は、乾
式処理と異なりより均一に処理できる利点があるが、添
加する金属アルコキシドが媒体中で希釈されるため、乾
式処理より多い添加量が必要となる。湿式処理で、媒体
に溶剤を用いる場合、使用する溶剤の種類は未処理無機
粒子の分散性や親和性の高いものを選択し、無機粒子同
士が凝集状態で処理されることを抑え、一次粒子での均
一な表面処理を行うことができる溶剤を用いる。溶剤と
しては特に限定されるものでないが、例えばトルエン、
エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセト
ン、メチルエチルケトン、THF、1,4−ジオキサン
酢酸エチル、ヘキサン等が挙げられる。また、金属アル
コキシドにアルコキシル基を有するものを使用する場
合、アルコキシル基の加水分解反応をより促進させるた
めに、溶剤中の含水量が0.1〜30重量%が好まし
く、より好ましくは2〜15重量%である。溶剤中の最
適含水量は、無機粒子の種類によっても異なり、表面の
水酸基が少なく吸着水が1重量%未満の無機粒子に関し
ては水の添加が必要となるが、吸着水が1重量%以上あ
る無機粒子では、水の添加を抑えることもできる。本発
明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されな
いが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ナイロン系樹脂、ウレ
タン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ABS系樹脂、ポリ
乳酸系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用い
てもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。特に、
燃焼時のダイオキシン類の発生原因となるハロゲンを含
まず、安価で広く市場で使用されているポリプロピレン
系樹脂、透明性が高く、リサイクル性の高いポリエステ
ル系樹脂はより好ましい。本発明のレーザーマーキング
用樹脂組成物は、金属アルコキシドで表面処理した無機
粒子の含有量が組成物の全成分量を基準として0.05
〜50重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好
ましい。無機粒子の含有量が50重量%を超えると熱可
塑性樹脂の持つ柔軟性、成型性等の物性を損ねる問題が
生じるからである。表面処理無機粒子の違いによるマー
キング効率の違いや、その樹脂組成物の色調および透明
性の違いによって、最適含有量は異なるものである。白
色でない表面処理無機粒子を使用する場合、含有量を上
げすぎると樹脂組成物の色調に影響するだけでなく、樹
脂の持つ柔軟性などの様々な物性を落とすことにも繋が
るため、含有量はより少ない量で使用する必要がある。
熱可塑性樹脂の場合、種々の混合機や分散機や混錬機を
用いて、表面処理無機粒子と樹脂とを加熱混錬すれば良
く、樹脂組成物はペレット状やフレーク状の樹脂組成物
(以下マスターバッチと言う)であることが好ましい。
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、金属アル
コキシドで表面処理した無機粒子を上記濃度で含有し、
成型時に希釈樹脂(熱可塑性樹脂)で希釈して成型に供
されるペレット状のマスターバッチであっても良い。マ
スターバッチとコンパウンドとを比較すると、これらを
得る加工工程に大差はない。しかし、マスターバッチの
方が表面処理無機粒子を高濃度に含有する分、コンパウ
ンドよりややコスト高である。しかしながらマスターバ
ッチの場合は、マスターバッチを安価な希釈樹脂で希釈
して樹脂成型物を得ることができるため、コンパウンド
から製造した樹脂成型物よりもマスターバッチから製造
した樹脂成型物の方が安価であり好ましい。本発明のレ
ーザーマーキング用樹脂組成物は、どのような樹脂成型
物としても使用できる。例えば、フィルム、容器、キャ
ップおよび部品等が挙げられる。本発明のレーザーマー
キング用樹脂組成物および該樹脂成型物には、必要に応
じて、酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤および防
曇剤等を配合しても良い。このようにして得られた樹脂
成型物にレーザー光を照射することにより、照射部分の
表面処理無機粒子がレーザー光を吸収および発熱し、表
面処理無機粒子自身が発色すると同時にその周りの樹脂
も熱分解し変色することで、熱刺激に対して変色しない
未処理無機粒子のみを含有する樹脂成型物に比べて非常
に鮮明なコントラストを持ったマーキングが得られる。
使用するレーザーとしては、炭酸ガスレーザー、YAG
レーザーおよびエキシマレーザー等が挙げられる。照射
するレーザーのエネルギー量は特に限定されず、樹脂成
型物の照射部分の厚み、使用する表面処理無機粒子自身
の発色効率、樹脂の種類によって異なるものである。
【0014】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものでは
ない。実施例中、部は重量部を表す。また、レーザーマ
ーキング試験用に樹脂成型物はフィルム状に成型した。
【0015】なお、金属アルコキシドで表面処理した無
機粒子を200℃から800℃まで加熱した際の有機成
分熱分解減少量は、先に説明した方法で算出した。 (金属アルコキシドで表面処理した表面処理無機粒子の
製造例) 製造例1(表面処理無機粒子(a)の合成) 平均粒径1.7μmのシリカ(日本シリカ社製「ニップ
ジェルAZ−204」)3部をトルエン78部に添加
し、数十分攪拌した。次に、アミノプロピルトリエトキ
シシラン(信越化学社製)1.5部を添加し、加熱還流
下で8時間攪拌した。放冷後、沈殿物をろ過し、トルエ
ンでリスラリー洗浄を行い、110℃で減圧乾燥させ表
面処理無機粒子(a)3.1部を得た。
【0016】この時、表面処理無機粒子(a)の有機成
分熱分解減少量は1.8%であった。 製造例2(表面処理無機粒子(b)の合成) 平均粒径1.8μmのシリカ(富士シリシア社製「サイ
リシア350」)3部をトルエン78部に添加し、数十
分攪拌した。次に、フェニルトリメトキシシラン(信越
化学社製)1.5部を添加し、加熱還流下で8時間攪拌
した。放冷後、沈殿物をろ過し、トルエンでリスラリー
洗浄を行い、110℃で減圧乾燥させ表面処理無機粒子
(b)3.2部を得た。
【0017】この時、表面処理無機粒子(b)の有機成
分熱分解減少量は7.7%であった。 製造例3(表面処理無機粒子(c)の合成) 平均粒径2.2μmのシリカ(水澤化学社製「ミズカシ
ルP-707」)3部をトルエン78部に添加し、数十
分攪拌した。次に、オクチルトリエトキシシラン(信越
化学社製)1.5部を添加し、加熱還流下で8時間攪拌
した。放冷後、沈殿物をろ過し、トルエンでリスラリー
洗浄を行い、110℃で減圧乾燥させ表面処理無機粒子
(c)3.1部を得た。
【0018】この時、表面処理無機粒子(c)の有機成
分熱分解減少量は2.9%であった。 製造例4(表面処理無機粒子(d)の合成) 平均粒径7.0μmのマイカ(メルクジャパン社製「イ
リオジンLS-825」)3部をトルエン78部に添加
し、数十分攪拌した。次に、アミノプロピルトリメトキ
シシラン(信越化学社製)1.5部を添加し、加熱還流
下で8時間攪拌した。放冷後、沈殿物をろ過し、トルエ
ンでリスラリー洗浄を行い、110℃で減圧乾燥させ表
面処理無機粒子(d)3.0部を得た。
【0019】この時、表面処理無機粒子(d)の有機成
分熱分解減少量は0.6%であった。 製造例5(表面処理無機粒子(e)の合成) 平均粒径0.2μmの酸化チタン(テイカ社製)3部を
トルエン78部に添加し、数十分攪拌した。次に、アミ
ノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)1.5
部を添加し、加熱還流下で8時間攪拌した。放冷後、沈
殿物をろ過し、トルエンでリスラリー洗浄を行い、11
0℃で減圧乾燥させ表面処理無機粒子(e)3.0部を
得た。
【0020】この時、表面処理無機粒子(e)の有機成
分熱分解減少量は0.85%であった。 製造例6(表面処理無機粒子(f)の合成) 平均粒径40μmのモンモリロナイト(クニミネ工業社
製「クニピアF」)3部をトルエン78部に添加し、数
十分攪拌した。次に、アミノプロピルトリメトキシシラ
ン(信越化学社製)1.5部を添加し、加熱還流下で8
時間攪拌した。放冷後、沈殿物をろ過し、トルエンでリ
スラリー洗浄を行い、110℃で減圧乾燥させ表面処理
無機粒子(f)3.0部を得た。
【0021】この時、表面処理無機粒子(f)の有機成
分熱分解減少量は3.2%であった。 製造例7(表面処理無機粒子(g)の合成) 平均粒径7.0μmのマイカ(メルクジャパン社製「イ
リオジンLS-825」)3部をトルエン78部に添加
し、数十分攪拌した。次に、チタニウムイソプロポキシ
ド(アヅマックス社製)1.5部を添加し、加熱還流下
で8時間攪拌した。放冷後、沈殿物をろ過し、トルエン
でリスラリー洗浄を行い、110℃で減圧乾燥させ表面
処理無機粒子(g)3.1部を得た。
【0022】この時、表面処理無機粒子(g)の有機成
分熱分解減少量は1.2%であった。 (マスターバッチの作成方法)EastarPETG6
763(イーストマン社製)またはグランドポリプロB
761QD(グランドポリマー社製)80重量%、金属
アルコキシドで表面処理した無機粒子20重量%を溶融
混練機にて溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物(マス
ターバッチ)を得た。 (フィルム成型方法)得られたマスターバッチ50重量
部、EastarPETG6763(イーストマン社
製)またはグランドポリプロB761QD(グランドポ
リマー社製)50重量部、またはマスターバッチ25重
量部、EastarPETG6763(イーストマン社
製)またはグランドポリプロB761QD(グランドポ
リマー社製)75重量部を混合し、220〜260℃で
溶融押出し、厚さ200μmのフィルムを得た。 (レーザーマーキング試験方法)得られたフィルム表面
に、YAGレーザー(富士電機社製DW5200)を用
いてマーキングを行い、マーキングの鮮明性を目視で判
断し、非常に鮮明で黒色性の高いものを「◎」、少し黒
色性に劣るが鮮明であり実用適性のあるものを「○」、
鮮明であるが黒色性に劣り実用適性のないものを
「△」、鮮明でなく黒色性にも劣るものを「×」で示し
た。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明により、レーザー感度が高く、コ
ントラストの高いマーキングが可能であるレーザーマー
キング用樹脂組成物、該樹脂組成物から得られる樹脂成
型物が得られるようになった。また、該樹脂成型物を用
いたレーザーマーキング方法を提供することとなった。
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物、樹脂組成物
から得られる樹脂成型物は、レーザー光に対して高い感
度を持った無機粒子表面を表面処理後の感熱発色性が高
い金属アルコキシドで処理し、その表面処理無機粒子を
熱可塑性樹脂に含有させて作ることにより、レーザー光
に対して感度を持った無機粒子のみを使用した場合に比
べ高いコントラストを持ったレーザーマーキング適性を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/00 B41M 5/26 S Fターム(参考) 2H111 AA35 CA00 CA25 CA30 4E068 AB00 DB10 4J002 AA011 BB021 BB111 BC021 BD031 BG051 BN151 CF001 CG001 CK021 CL001 DE136 DJ006 DJ016 DJ056 FB086 FD206 GT00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属アルコキシドで表面処理した無機粒子
    および熱可塑性樹脂を含有するレーザーマーキング用樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】樹脂組成物の全成分量に対して金属アルコ
    キシドで表面処理した無機粒子の含有量が0.05〜5
    0重量%であることを特徴とする請求項1記載のレーザ
    ーマーキング用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】金属アルコキシドで表面処理した無機粒子
    を200℃から800℃まで加熱した際の有機成分熱分
    解減少量が0.01〜20重量%であることを特徴とす
    る請求項1または2記載のレーザーマーキング用樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】金属アルコキシドが、アミン系官能基、飽
    和炭化水素系官能基および芳香族系官能基から選ばれる
    一種以上を有することを特徴とする請求項1ないし3い
    ずれか記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】無機粒子が、マイカ、モンモリロナイト、
    シリカおよび酸化チタンから選ばれる一種以上であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のレーザ
    ーマーキング用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂お
    よび/またはポリエステル系樹脂であることを特徴とす
    る請求項1ないし5いずれか記載のレーザーマーキング
    用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6いずれか記載のレーザー
    マーキング用樹脂組成物から得られる樹脂成型物。
  8. 【請求項8】請求項7の樹脂成型物の表面にレーザー光
    を照射してマーキングすることを特徴とするレーザーマ
    ーキング方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006307061A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Kararingu Kk レーザーマーキング用樹脂組成物及びレーザーマーキング方法
JP2007224180A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Toyo Ink Mfg Co Ltd 着色樹脂組成物
CN110540703A (zh) * 2019-08-08 2019-12-06 上海金发科技发展有限公司 可激光标识的高效阻燃聚丙烯组合物及其制备方法

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