JP2003261570A - カリックス[4]アレーン化合物 - Google Patents

カリックス[4]アレーン化合物

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Takuya Nishioka
琢哉 西岡
Yasuhiro Suga
康裕 須賀
Hideki Sugihara
秀樹 杉原
Seiji Ide
誠二 井手
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新しいカリックス[4]アレーン−ポルフィ
リン結合体を提供する。 【解決手段】 分子中に2つのZn(II)−ポルフィリ
ン基を有するカリックス[4]アレーン化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カリックス[4]
アレーン(calix[4]arene)化合物、その製造方法及び
その用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カリックス[4]アレーン(calix[4]ar
ene)は、それに結合する置換基の種類やその置換基数
等に応じて、各種の機能を有することから、多くの研究
者にとって注目されている。一方、ポルフィリン(porp
hyrine)もかなりの注目を集めている。これは、クロロ
フィルやバクテリオクロロフィルを含めたポルフィリン
誘導体は、生物学的システムには大きな役割を有するか
らである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新しいカリ
ックス[4]アレーン−ポルフィリン結合体、その製造
方法及びその用途を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、分子中
に2つのZn(II)−ポルフィリン基を有するカリック
ス[4]アレーン化合物が提供される。また、本発明に
よれば、前記の分子中に2つのZn(II)−ポルフィリ
ン基を有するカリックス[4]アレーン化合物を製造す
る方法において、ジホルミルカリックス[4]アレーン
に対してジピロメタン及び3,5−ジ−tert−ブチ
ルベンズアルデヒドを反応させた後、Zn(II)化合物
を反応させることを特徴とする前記の方法が提供され
る。さらに、本発明によれば、分子中に2つのZn(I
I)−ポルフィリン基を有するカリックス[4]アレー
ン化合物からなるアミン抽出剤が提供される。本発明の
カリックス[4]アレーン化合物は、1,4−ジアゾビ
シクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)等のジア
ミン化合物に対して分子ピンセットとして作用し、この
DABCOと錯体を容易に形成する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明によるカリックス[4]ア
レーン化合物(化合物4)は、コーン−5,17−ジホ
ルミル−25,26−ジプロポキシ−26,27−ジヒ
ドロキシ−カリックス[4]アレーン(化合物1)に対
し、ジピロメタン(dipyrromethane)(化合物2)と
3,5−ジ−tert−ブチルベンズアルデヒド(化合
物3)を交差縮合させた後、Zn(II)化合物を反応さ
せることによって製造される。
【0006】前記化合物1は、従来公知の方法で合成さ
れる(W.Verboom,S.Datta,Z.Asfari,S.Harkema and
D.N.Reindoudt,J.Org.Chem.,1992,57,5394)
【0007】前記ジピロメタンは、下記構造式で表され
る化合物である。
【化1】
【0008】Zn(II)化合物としては、従来公知の各
種のもの、例えば、酢酸Zn(II)等の有機酸Zn(I
I)や、Zn(II)錯体、無機酸Zn(II)等が用いら
れる。このZn(II)は、カリックス[4]アレーン化
合物に結合するポルフィリンと結合し、光による分解や
酸素による劣化を防ぎ、ポルフィリンの安定化作用を示
す。
【0009】前記反応式を図1に示す。この反応によ
り、目的とするZn(II)ポルフィリン−二置換カリッ
クス[4]アレーン(化合物4)が20%の収率で得る
ことができる。この場合、同時に、モノ置換体(化合物
5)が2.4%の収率で生成し、Zn(II)5,15−
ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2,
8,12,18−テトラエチル−3,7,13,17−
テトラエチルポルフィリネートが副生する。前記化合物
5は、本発明化合物4の合成のための出発物質として用
いることができる。
【0010】本発明によるカリックス[4]アレーン化
合物(化合物4)は、その構造式からわかるように、カ
リックス[4]アレーンに対して、2つのZn−ポルフ
ィリンが結合(置換)していることを特徴とする。
【0011】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0012】実施例1 ジホルミルカリックス[4]アレーン(化合物1)1.
3g(2.3mmol)、ジピロメタン(化合物2)
2.6g(11mmol)及び3.5−ジ−tert−
ブチルベンズアルデヒド(化合物3)1.5g(6.8
mmol)を、ジクロロメタン(360mL)−アセト
ニトリル(400mL)混合溶媒に溶解させた。この溶
液に、10mLのアセトニトリルに溶解したトリクロロ
酢酸500mg(3.1mmol)を添加した後、アル
ゴン雰囲気下で20時間攪拌した。その後、60mLの
ジクロロメタン中のクロラニル(chloranil)
を加え、得られた反応混合物をさらに3時間攪拌した。
【0013】次に、得られた反応混合物を炭酸ナトリウ
ム水溶液で洗浄した後、水で洗浄した。次いで、有機相
を硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで溶媒を除去した後、
得られた残渣を200mLのジクロロメタンに溶解し
た。この溶液に対し、メタノールに飽和した酢酸亜鉛を
5.0mL加え、30分間攪拌後、溶媒を減圧下で蒸発
除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーで処理した。この場合、展開溶媒としてはヘキ
サン−ジクロロメタンを用いた。その結果、目的とする
化合物4を900mg(収率20%)及び化合物5を7
0mg(収率2.4%)を得た。
【0014】本発明の化合物4は、紫色の粉体で、その
融点は300℃より高いものであった。この化合物の性
状を以下に示す。1 IH NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.53 (36H, s, C(C
H3)3), 1.6O (6H, t,OCH2 CH2 CH2), 1.74-1.89 (24H,
m, pyrrole β-CH2CH2), 2.00, 2.47, 2.49, 2.78 (eae
h 6H, s, pyrrole β-CH3), 2-24-2.41 (4H, m, OCH2CH
2CH3), 3.68, 4.80 (eaeh 4H, d, J = 18 Hz ArCH2Ar),
3.99-4.24 (20H, m, OCH2CH2CH5, pyrrole β-CH2CH3),
6.91 (2H, t, ArH), 7.18 (4H, d, J = 7.5 Hz, ArH),
7.84 (2H, t,J = 1.5 Hz,meso-ArH), 7.92 (4H. s, Ar
H), 7.98 (8H, d. J = 1.5 Hz, meso-ArH), 8.93 (2H,
s, OH), lO.25, 10.30 (each 2H, s, meso-H); FAB/MS
m/z 1962 (M+) (Found: C, 74.64; H , 7.03; N, 7.30;
N,5.30. C126H144N804Zn2・0.5CHCl3 requires C, 75.0
3; H, 7.19; N, 5.53%.)
【0015】前記化合物5は紫色の粉体で、その融点は
300℃より高いものであった。その性状を以下に示
す。1 H NMR (300 MHz, CDCl3 δ 1.45 (6H, t, J = 7.4 Hz,
OCH2CH2CH3), 1.51 (18H, s, C(CH3)3), l.67-1.83(12
H, m, pyrrole β-CH2CH3),1.95, 2.44, 2.45,2.66 (ea
ch 3H, s pyrrole β・CH3), 2.17-2.25 (4H, m, OCH2CH
2CH3), 3.58,3.60, 4.45, 4.64 (each 2H, d, J = 13 H
z, ArCH2Ar), 3.88-4.16 (12H, m, OCH2CH2CH3, pyrrol
e β-CH2CH3),6.86(2H,t,ArH),7.02, 7.08 (each 2H,
d, ArH), 7.78, 7.80 ( each, 2H, s, ArH), 7.81 (lH,
t, J = 1.8 Hz,meso-ArH), 7.94 (2H, d. J = 1.8 Hz,
meso-ArH), 8.46, 9.36 (each 1H, s, OH), 9.92 (lH,
s, CHO), l0.17, lO.21 ( each 1H, s, meso-H); FAB/M
S m/z 1263 (M+) (C, 71.37; H, 6.44; N, 3.92 C81H90
N4O5Zn・CHCl3 requires C, 71.14; H, 6.63; N,4.05%)
【0016】実施例2 化合物4の錯形成能を調べるために、化合物4とジアミ
ンとを反応させた。この場合の反応条件は以下の通りで
ある。 (1)化合物4の濃度:5×10-6M(ジクロロメタン
中) (2)濃度:20℃
【0017】前記反応の結果に基づいて結合定数
(K1、K2)を算出した。その結果を表1に示す。
【0018】
【表1】 *微小
【0019】前記表1に示した結果からもわかるよう
に、化合物4とDABCO(1,4−ジアゾビシクロ
[2,2,2]オクタン)との錯体形成反応において
は、DABCOの添加量が5×10-5Mまでは、化合物
4/DABCOモル比が1/1のコンプレックスが生成
し、その場合の結合定数K1は3.7×105-1であっ
た。前記範囲より多いDABCO添加量では、化合物4
/DABCOモル比が1/2の錯体が生成し、その場合
の結合定数K2は1.0×102-1であった。
【0020】
【発明の効果】本発明による化合物は、DABCO等の
ジアミン化合物と選択的に錯体を形成し、複数の化合物
の中からジアミン化合物を抽出する分子ピンセット(抽
出剤)としての作用効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカリックス[4]アレーン化合物
を得るための反応式を示す。
【符号の説明】
1 ジホルミルカリックス[4]アレーン 2 ジピロメタン 3 3,5−ジ−tert−ブチルベンズアルデヒド 4 カリックス[4]アレーン化合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉原 秀樹 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人産業技術総合研究所つくばセンター内 (72)発明者 井手 誠二 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人産業技術総合研究所つくばセンター内 Fターム(参考) 4C050 PA05 PA07 4H048 AA01 AA02 AB80 AC90 BE62 VA20 VA32 VA66 VB10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に2つのZn(II)−ポルフィリ
    ン基を有するカリックス[4]アレーン化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した分子中に2つのZn
    (II)−ポルフィリン基を有するカリックス[4]アレ
    ーン化合物を製造する方法において、ジホルミルカリッ
    クス[4]アレーンに対してジピロメタン及び3,5−
    ジ−tert−ブチルベンズアルデヒドを反応させた
    後、Zn(II)化合物を反応させることを特徴とする前
    記の方法。
  3. 【請求項3】 分子中に2つのZn(II)−ポルフィリ
    ン基を有するカリックス[4]アレーン化合物からなる
    アミン抽出剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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